JP2015209499A - ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2015209499A
JP2015209499A JP2014091967A JP2014091967A JP2015209499A JP 2015209499 A JP2015209499 A JP 2015209499A JP 2014091967 A JP2014091967 A JP 2014091967A JP 2014091967 A JP2014091967 A JP 2014091967A JP 2015209499 A JP2015209499 A JP 2015209499A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyacetal resin
mass
parts
resin composition
metal salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014091967A
Other languages
English (en)
Inventor
勇二 吉永
Yuji Yoshinaga
勇二 吉永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2014091967A priority Critical patent/JP2015209499A/ja
Publication of JP2015209499A publication Critical patent/JP2015209499A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】耐候安定性を有し、ホルムアルデヒド放出量が低減されたポリアセタール樹脂組成物であって、成形加工時のモールドデポジットの発生が抑制され、成形加工時の滞留変色性の良好なポリアセタール樹脂組成物及び成形体を提供する。
【解決手段】(A)ポリアセタール樹脂と、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩0.15〜0.5質量部と、(C)グアナミン化合物0.01〜0.15質量部と、(D)タルク0.001〜0.1質量部と、(E)耐候(光)安定剤0.1〜3質量部と、を含むものであって、(C)グアナミン化合物に対する(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比が、質量基準で2〜10であるポリアセタール樹脂組成物及び成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は結晶性樹脂であり、剛性、強度、靭性、摺動性、及びクリープ性に優れているため、従来から、自動車部品、電気・電子部品及び工業部品等の機構部品用材料等に、広範囲に亘って用いられている。
しかしながら、ポリアセタール樹脂は、太陽光等の光エネルギーや熱エネルギーに対して非常に弱く、長時間大気に暴露すると、成形品表面にクラックが発生し、強度低下を引き起こすという問題を有している。そのため、太陽光等に暴露される環境下で使用する場合には、ヒンダードアミン化合物等の耐候安定剤を添加するのが一般的である。
ところで、近年、ポリアセタール樹脂成形品においては、小型化、薄肉化、及び精密化の要求が高まってきており、当該要求を満たすため、従来よりも熱履歴がかかりやすい成形方法、及び成形条件が増加している。
このような成形方法としては、例えば、ピンゲート金型による成形、ハイサイクル成形が挙げられ、当該成形方法においては、剪断速度を上昇させたり、可塑化時間の短縮を図るためにスクリュー回転や成形温度を上げたりするので、通常の成形方法よりもポリアセタール樹脂が高い熱履歴を受けることとなる。
また、その他の一般的な成形方法においても、成形不良、例えばフローマーク、ウェルドライン、ジェッテイング等が発生した場合には、樹脂温度を上げることで対応することが多く、これも高い熱履歴がかかる要因となっている。
さらに、この際、金型にホットランナーを使用する場合には、樹脂の部分的な滞留が発生することによって樹脂温度がさらに上がり、樹脂の分解が起きるおそれがある。
そして、上述したような、各種の熱履歴がかかる成形方法及び成形条件を設定してポリアセタール樹脂を成形する場合、上述したように、当該樹脂に、その耐候安定性を向上させるべく耐候安定剤を添加すると、熱安定性との関係で良好な特性バランスを取るのが困難であるという問題が生じていた。すなわち、耐候安定性を重視して耐候安定剤を多く配合すると熱安定性が劣化し、当該樹脂からホルムアルデヒドを含む揮発性有機化合物(VOC)が放出されやすくなるという問題があった。
特に自動車の内装部品の分野においては、揮発性有機化合物の放出量を低減させる要求が高まってきており、耐候安定性と熱安定性とのバランスに優れた樹脂組成物が求められているのが現状である。
ところで、ポリアセタール樹脂の耐候安定性を向上させる為にこれまでさまざまな方法が提案されている。例えば、ヒンダードアミン系光安定剤と蓚酸アニリド系紫外線吸収剤を併用する技術(特許文献1)、ヒンダードアミン系光安定剤とベンゾフェノン系紫外線吸収剤を併用する技術(特許文献2)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を併用する技術(特許文献3)、各種紫外線吸収剤、脂肪酸エステル及びヒンダードアミン系光安定剤を併用する技術(特許文献4)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤と酸化防止剤を併用する技術(特許文献5)等が挙げられる。
また、ポリアセタール樹脂成形品からのホルムアルデヒド放出量を低減させる手段として、例えば、ポリアミド及びヒドラジン誘導体を添加する技術(特許文献6)、ヒドラジド化合物を添加する技術(特許文献7)、メラミン及びメラミン誘導体及びジカルボン酸ヒドラジドから選ばれた窒素化合物を添加する技術(特許文献8)、ベンゾグアナミンを添加する技術(特許文献9)、ペレット表面に多価アルコール化合物の脂肪酸部分エステルを付着させる方法(特許文献10)、モノN−置換尿素を添加する技術(特許文献11)、酸解離指数が3.6以上のカルボキシル基含有化合物を添加する技術(特許文献12)、フェノール類と塩基性窒素含有化合物とアルデヒド類との縮合物を添加する技術(特許文献13)、ヒダントイン又はイミダゾールを添加する技術(特許文献14)、塩基解離指数が2〜8の低分子量アミノ化合物を添加する技術(特許文献15)等が提案されている。
また、耐候安定性と成形品から放出されるホルムアルデヒドを低減した方法としては、特定構造のヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤及び芳香族ヒドラジド化合物等のヒドラジド化合物を添加する技術(特許文献16)、ホルムアルデヒドの発生量を抑制したポリアセタール樹脂に耐候剤(ヒンダードアミン系光安定剤と紫外線吸収剤)及びヒドラジド化合物を添加する技術(特許文献17)が提案されている。
特開昭57−98545号公報 特開昭59−133245号公報 特開昭60−195155号公報 特開昭61−47744号公報 特開平6−157871号公報 特開昭51−111857号公報 特開平4−345648号公報 特許第3024802号公報 特開昭62−190248号公報 特開平6−107900号公報 特開平11−335519号公報 特開2000−239484号公報 特開2002−212384号公報 特許第3310467号公報 特表2002−541288号公報 特開2006−232937号公報 特開2006−306944号公報
しかしながら、特許文献1〜5に記載されたいずれの技術も耐候安定性は改良されているが、ポリアセタール樹脂成形品からのホルムアルデヒド放出の低減が十分でない。また、特許文献6〜15に記載された技術は、耐候安定性が十分ではないという問題がある。さらに、特許文献16及び17に記載された技術は、耐候安定性とホルムアルデヒド放出の低減に関しては改良効果がみとめられるが、成形加工時に金型への充填率が低い条件下でモールドデポジットが発生する問題がある。さらに、成形加工時にポリアセタール樹脂組成物を成形機シリンダー内に滞留させた時の滞留変色性に関しても改良の余地がある。
上記事情に鑑み、本発明は、耐候安定性を有し、ホルムアルデヒド放出量が低減されたポリアセタール樹脂組成物であって、成形加工時のモールドデポジットの発生が抑制され、成形加工時の滞留変色性の良好なポリアセタール樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂と、飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩と、グアナミン化合物と、タルクと、耐候(光)安定剤と、を特定量配合し、更に、グアナミン化合物と飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩との比を特定の範囲内に制御したポリアセタール樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
[1](A)ポリアセタール樹脂と、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩0.15〜0.5質量部と、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(C)グアナミン化合物0.01〜0.15質量部と、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(D)タルク0.001〜0.1質量部と、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(E)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種以上である耐候(光)安定剤0.1〜3質量部と、
を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
前記(C)グアナミン化合物に対する前記(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比((B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩/(C)グアナミン化合物)が、質量基準で2〜10であるポリアセタール樹脂組成物。
[2]前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(F)ポリアルキレングリコール、及びアミド基を有する脂肪族化合物の中から選ばれる1種以上である離型(潤滑)剤0.01〜5質量部を更に含有する上記[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[3]前記(D)タルクの平均粒子径が1〜30μmである上記[1]または[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[4]前記(D)タルクが表面処理されていないことを特徴とする上記[1]から[3]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5]前記(A)ポリアセタール樹脂がポリアセタールコポリマーである上記[1]から[4]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[6]前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(G)補強剤、導電材、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種0〜60質量部と、(H)顔料0〜5質量部と、を更に含有する上記[1]から[5]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[7]前記(C)グアナミン化合物に対する前記(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比が、質量基準で2〜5である上記[1]から[6]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[8]上記[1]から[7]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体。
本発明により、耐候安定性を有し、ホルムアルデヒド放出量が低減されたポリアセタール樹脂組成物であって、成形加工時のモールドデポジットの発生が抑制され、成形滞留時の変色性の良好なポリアセタール樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(ポリアセタール樹脂組成物)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂と、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩0.15〜0.5質量部と、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(C)グアナミン化合物0.01〜0.15質量部と、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(D)タルク0.001〜0.1質量部と、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(E)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種以上である耐候(光)安定剤0.1〜3質量部と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、前記(C)グアナミン化合物に対する前記(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比が、質量基準で2〜10であるポリアセタール樹脂組成物である。
以下、本実施形態について詳細に説明する。まず、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を構成する各成分について述べる。
−(A)ポリアセタール樹脂−
本発明で用いる(A)ポリアセタール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアセタールホモポリマーやポリアセタールコポリマーが挙げられる。
ポリアセタールホモポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみから成るものが代表的例として挙げられる。また、ポリアセタールホモポリマーとして、例えば、両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するものも用いることができる。
ポリアセタールコポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、を共重合させて得られたものが代表例として挙げられる。また、ポリアセタールコポリマーとして、例えば、同じく両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するものも用いることができる。更に、ポリアセタールコポリマーとして、例えば、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するものも用いることができる。
本実施形態においては、(A)ポリアセタール樹脂として、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーのいずれを用いてもよく、また、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよく、特に限定されない。(A)ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールコポリマーであることが好ましい。
(A)ポリアセタール樹脂に、上記のポリアセタールコポリマーが含まれる場合には、特に限定されないが、ポリアセタールコポリマーの共重合にホルムアルデヒドの3量体のトリオキサンを用いることが好ましい。また、かかる場合、ポリアセタールコポリマーで用いるコモノマー(例えば、1,3−ジオキソラン等)は、一般的には、トリオキサン1molに対して0.1〜60mol%、好ましくは0.1〜20mol%、更に好ましくは0.13〜10mol%用いられる。
ところで、本実施形態において、特に好適な、ポリアセタールコポリマーの融点は162℃〜173℃であり、好ましくは167℃〜173℃、より好ましくは167℃〜171℃である。なお、融点が167℃〜171℃となるポリアセタールコポリマーは、トリオキサン1molに対して1.3〜3.5mol%程度のコモノマーを用いることにより得ることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合における重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒を用いることが好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステルまたは無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物がより好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合方法としては、特に限定されないが、一般には塊状重合で行われ、バッチ式、連続式いずれも可能である。用いられる重合装置としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混錬機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機が使用され、溶融状態のモノマーが重合機に供給され、重合の進行とともに固体塊状のポリアセタールコポリマーが得られる。
以上の重合で得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔−(OCH2n−OH基〕が存在するため、そのままでは実用に供することはできない。そこで、不安定な末端部の分解除去処理を実施することが必要であるが、以下にするには、次に示す特定の不安定末端部の分解除去処理を行なうことが好適である。特定の不安定末端部の分解除去処理とは、下記一般式(1)で表わされる少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物の存在下、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理することである。
[R1234+nn- 式(1)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、または環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
本実施形態で用いる第4級アンモニウム化合物は、上記一般式(1)で表わされるものであれば特に制限はないが、一般式(1)におけるR1、R2、R3及びR4が、各々独立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、この内更に、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが、ヒドロキシエチル基であるものが特に好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエチルアンモニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、オクタデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウム等の水酸化物;塩酸、臭酸、フッ酸などの水素酸塩;硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、珪酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸等のオキソ酸塩;チオ硫酸などのチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸などのカルボン酸塩等が挙げられる。中でも、水酸化物(OH-)、硫酸(HSO4 -、SO4 2-)、炭酸(HCO3 -、CO3 2-)、ホウ酸(B(OH)4 -)、カルボン酸の塩が好ましい。カルボン酸の内、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が特に好ましい。これら第4級アンモニウム化合物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本実施形態では、上記第4級アンモニウム化合物に加えて、公知の不安定末端部の分解促進剤であるアンモニアやトリエチルアミン等のアミン類等を併用しても何ら差し支えない。
用いる第4級アンモニウム化合物の量は、ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物の合計質量に対する下記式(2)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して0.05〜50質量ppm、好ましくは1〜30質量ppmである。
P×14/Q 式(2)
(式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を表わし、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。)
第4級アンモニウム化合物の添加量が0.05質量ppm未満であると不安定末端部の分解除去速度が低下し、50質量ppmを超えると不安定末端部分解除去後のポリアセタールコポリマーの色調が悪化する。
本実施形態で用いるポリアセタール樹脂の不安定末端部の分解除去処理は、融点以上260℃以下の温度でポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理することにより達成される。用いる装置には特に制限はないが、例えば、押出機、ニーダー等を用いて熱処理することが好適である。また、分解で発生したホルムアルデヒドは減圧下で除去される。第4級アンモニウム化合物の添加方法には特に制約はなく、重合触媒を失活する工程にて水溶液として加える方法、重合で生成したポリアセタールコポリマーパウダーに吹きかける方法などがある。いずれの添加方法を用いても、ポリアセタールコポリマーを熱処理する工程で添加されていれば良く、押出機の中に注入したり、押出機等を用いてフィラーやピグメントの配合を行なう品種であれば、樹脂ペレットに該化合物を添着し、その後の配合工程で不安定末端除去操作を実施してもよい。
不安定末端除去操作は、重合で得られたポリアセタールコポリマー中の重合触媒を失活させた後に行なうことも可能であるし、また重合触媒を失活させずに行なうことも可能である。重合触媒の失活操作としては、アミン類等の塩基性の水溶液中で重合触媒を中和失活する方法を代表例として挙げることができる。また、重合触媒の失活を行なわずに、融点以下の温度で不活性ガス雰囲気下にて加熱し、重合触媒を揮発低減した後、本不安定末端除去操作を行なうことも有効な方法である。
以上の特定の不安定末端部分解除去処理により、不安定末端部が殆ど存在しない非常に熱安定性に優れたポリアセタールコポリマーを得ることができる。
−(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の飽和脂肪酸−
本実施形態で用いられる(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の飽和脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、10〜30個の炭素原子を有する飽和脂肪酸が好ましく、これらの飽和脂肪酸は水酸基で置換されていてもよい。飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の具体的な例としては、特に限定されないが、例えば、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウムなどが挙げられ、中でも好ましくは、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムである。ホルムアルデヒドガス放出量(VDA275法)をさらに低減させる観点である。また、滞留変色性を向上させる観点からは、より好ましくは、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムが好ましい。
これらの飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物中の(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の配合量は、熱安定性改良の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.15質量部以上であり、好ましくは0.2質量部以上である。また、当該配合量は、成形時の滞留変色性の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.5質量部以下であり、好ましくは0.4質量部以下であり、より好ましくは0.35質量部以下である。
本実施形態で用いられる(C)グアナミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族グアナミン系化合物、脂環族グアナミン系化合物、芳香族グアナミン系化合物及びヘテロ原子含有グアナミン系化合物などが挙げられる。
脂肪族グアナミン系化合物の例としては、バレログアナミン、カプログアナミン、ヘプタノグアナミン、カプリログアナミン及びステアログアナミンなどのモノグアナミン類;並びに、サクシノグアナミン、グル夕ログアナミン、アジポグアナミン、ピメログアナミン、スベログアナミン、アゼログアナミン及びセバコグアナミンなどのアルキレンビスグアナミン類が挙げられる。
脂環族グアナミン系化合物の例としては、シクロヘキサンカルボグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン及びノルボルナンカルボグアナミンなどのモノグアナミン類;並びに、それらのシクロアルカン残基に官能基、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基、が1〜3個置換した誘導体が挙げられる。
芳香族グアナミン系化合物の例としては、ベンゾグアナミン、ベンゾグアナミンのフェニル残基に官能基、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基、が1〜5個置換した誘導体(例えば、トルグアナミン、キシログアナミン、フェニルベンゾグアナミン、ヒドロキシベンゾグアナミン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾグアナミン、ニトリルベンゾグアナミン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンゾグアナミン及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾグアナミン)、ナフトグアナミン、及び、ナフトグアナミンのナフチル残基に官能基、例えば上述の官能基、が1〜7個置換した誘導体などのモノグアナミン類;フ夕ログアナミン、イソフタログアナミン、テレフタログアナミン、ナフタレンジグアナミン及びビフェニレンジグアナミンなどのポリグアナミン類;並びに、フェニルアセトグアナミン、β−フェニルプロピオグアナミン及びキシリレンビスグアナミンなどのアラルキル又はアラルキレングアナミン類が挙げられる。
ヘテロ原子含有グアナミン系化合物の例としては、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミンなどのメラミン類;2,4−ジアミノ−6−(3,3−ジメトキシプロピル)−s−トリアジンなどのアセタール基含有グアナミン類;[2−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]−1,3−ジオキサン、及び[2−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンなどのジオキサン環含有グアナミン類;CTU−グアナミン及びCMTU−グアナミンなどのテトラオキソスピロ環含有グアナミン類;並びに、1,3,5−トリス[2−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]イソシアヌレート及び1,3,5−トリス[3−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)プロピル]イソシアヌレートなどのイソシアヌル環含有グアナミン類が挙げられる。
本実施形態では、(C)グアナミン化合物としては、ホルムアルデヒドガス放出量(VDA275法)をさらに低減させる観点から、ヘテロ原子含有グアナミン系化合物のメラミン類が好ましく、より好ましくは、メラミンである。
本実施形態で用いられる(C)グアナミン化合物の配合量は、熱安定性改良の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であり、好ましくは0.02質量部以上であり、より好ましくは0.03質量部以上である。また、当該配合量は、成形加工時のモールドデポジットの発生量が良好となる観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.15質量部以下であり、好ましくは0.13質量部以下であり、より好ましくは0.10質量部以下である。
−(C)グアナミン化合物に対する(B)成分の含有比−
本実施形態の樹脂組成物において、(C)グアナミン化合物に対する(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比、すなわち、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩/(C)グアナミン化合物の含有比は、質量基準で2以上であり、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。また当該含有比は、質量基準で10以下であり、好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下であり、更に好ましくは5以下である。当該含有比を、このような範囲にすることにより、耐候安定性と良好な熱安定性と共に、成形加工時のモールドデポジットの発生と成形時の滞留変色性を抑制できる樹脂組成物を得ることができる。
−(D)タルク−
本実施形態で用いられる(D)タルクの化学名は含水珪酸マグネシウムであり、一般的にSiO2約60%、MgO約30%と結晶水約4.8%が主成分である。本実施形態で用いるタルクは、蛍光X線分析装置を用いて測定したSiO2/MgOのモル比が1.1〜1.7であり、好ましくは1.2〜1.5、より好ましくは1.3〜1.4である。真比重は2.7〜2.8であり、白色度はJIS K−8123に準じて測定した数値が93%以上、PHは、JIS K−5101に準じて測定した数値が9.0〜10の範囲が好ましい。また、45μm篩残分はJIS K−5101に準じて測定した数値が0.2%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.08%以下である。
(D)タルクの平均粒子径は、熱安定性改良の点から1μm以上が好ましく、より好ましくは2μm以上である。また、当該平均粒子径は、連続成形時の寸法精度安定性の点から、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。
なお、本発明で用いられる(D)タルクの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いることにより平均粒子径を求めることができる。
本実施形態で用いられる(D)タルクは、樹脂との親和性を向上させるために公知の表面処理剤を用いることができる。表面処理剤としては例えば、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、さらには脂肪酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)、脂環族カルボン酸及び樹脂酸や金属石鹸を挙げることができる。表面処理剤による表面処理方法は、限定されるものではないが、例えば、タルクをポリアセタール樹脂に配合させる際に、タルクとともに表面処理剤を混合させることができ、かかる場合の表面処理剤の添加量としては、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。また、さらに好ましくは、実質的に添加されていないことであり、最も好ましくは、実質的に(D)タルクが表面処理されていないことである。
本実施形態でのポリアセタール樹脂組成物中の(D)タルクの配合量は、熱安定性改良の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上であり、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上である。また、当該配合量は、成形時の滞留変色性と熱安定性の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.1質量部以下であり、好ましくは0.05質量部以下、より好ましくは0.03質量部以下である。
−(E)耐候(光)安定剤−
本実施形態で用いられる(E)耐候(光)安定剤は、ベンゾトリアゾール系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種若しくは2種以上である。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の例としては、特に限定されないが、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の例としては、特に限定されないが、例えば、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。
本実施形態では、(E)耐候(光)安定剤としては、耐候(光)安定性と金型汚染性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、および、ヒンダードアミン系光安定剤の、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物であることが好ましい。
これら耐候(光)安定剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物中の(E)耐候(光)安定剤の配合量は、耐候安定性の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であり、好ましくは0.3質量部以上であり、より好ましくは0.6以上である。また、当該配合量は、成形加工時のモールドデポジットの発生量が良好となる観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、3.0質量部以下であり、好ましくは2.5質量部以下であり、より好ましくは2.0質量部以下である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂に、特定量(前述)の(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(C)グアナミン化合物、(D)タルク、及び(E)耐候(光)安定剤を含有し、さらに、(C)グアナミン化合物の配合量に対する(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の配合量を調整することにより、耐候安定性を有し、ホルムアルデヒド放出量が低減されたものであって、成形加工時のモールドデポジットの発生が抑制され、成形滞留時の変色性の良好なポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
−その他−
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、発明の効果を損なわない範囲で公知の添加剤を配合することができる。そのような添加剤等を配合したポリアセタール樹脂組成物としては、例えば、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(F)離型(潤滑)剤を0.1〜5質量部、(G)補強剤、導電材、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を0〜60質量部、及び(H)顔料0〜5質量部を含有してなるポリアセタール樹脂組成物を挙げることができる。
−−(F)離型(潤滑)剤−−
本実施形態で用いることが可能な(F)離型(潤滑)剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリコール、及びアミド基を有する脂肪族化合物から選ばれる1種以上を挙げることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。ポリアルキレングリコールの分子量は目的に応じて選択することができ、一般には500〜20000の分子量を有するポリアルキレングリコールを用いることができる。
アミド基を有する脂肪族化合物としては、エチレンビスパルチミン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、及びエチレンビスエルカ酸アミド等を挙げることができる。
これらの離型剤は1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリアセタール樹脂組成物中の(F)離型(潤滑)剤の配合量は、離型性と耐候(光)安定性の観点から、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部配合することが好ましい。
−−(G)補強剤、導電材、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマー−−
ポリアセタール樹脂組成物中には、無機フィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維等に代表される補強剤、導電性カーボンブラック、金属粉末、繊維、等に代表される導電材、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂、又はこれらの変性物等に代表される熱可塑性樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等に代表される熱可塑性エラストマーを配合してもよい。これらは、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して10〜40質量部配合されることが好ましい。
−−(H)顔料−−
ポリアセタール樹脂組成物中には、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー等に代表される無機顔料、縮合アゾ系、ペリノン系、フタロシアニン系、モノアゾ系等に代表される有機顔料等の各種顔料を配合することができる。顔料は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0〜5質量部、好ましくは0.1〜1質量部の範囲で使用される。
(ポリアセタール樹脂組成物の製造方法)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法としては特に制限されない。一般的には押出機を用い、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩と、(C)グアナミン化合物と、(D)タルクと、(E)耐候(光)安定剤及び必要に応じて(F)〜(H)成分と、をヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダー等で混合した後、1軸又は2軸押出機で溶融・混練することで、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造することができる。また、予め混合することなく、定量フィーダー等で各成分を単独あるいは数種類ずつまとめて押出機に連続フィードすることにより本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造することも可能である。また、予め(A)〜(E)成分及び必要に応じて(F)〜(H)成分からなる高濃度マスターバッチを作製しておき、押出溶融混練時又は射出成形時にポリアセタール樹脂で希釈することにより本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
(成形体)
本実施形態の成形体は、上述した実施形態のポリアセタール樹脂組成物を含む。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形する方法は、特に制限されず、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法の何れかによって成形することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の成形体としては、特に制限されず、例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、関節、軸、軸受け、キーステム、キートップ、シャッター、リール、光ディスクドライブのピックアップを駆動させるリードクリューに勘合・摺動する部品、リードスクリューを回転させるギア、ピックアップを駆動させるためのラックギア、及びラックギアに勘合し、それを駆動させるギア等の機構部品、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、及び側板等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を用いて得られる成形体は、耐候安定性に優れ、且つホルムアルデヒドの放出が著しく低減されているため、下記に示すような様々な用途に好適に用いることができる。
(1)プリンター及び複写機等に代表されるOA機器
(2)VTR及びビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラ等に代表されるカメラ・ビデオ機器
(3)カセットプレイヤー、LD、DAT、MD、CD、DVD、その他の光ディスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム、及びモバイルパーソナルコンピュータ等に代表される音楽、映像又は情報機器
(4)携帯電話及びファクシミリ等に代表される通信機器
(5)ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、ドアロック、ドアハンドル、ウィンドゥレギュレータ、スピーカーグリル等に代表されるドア回り部品、シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品、コンビスイッチ部品、スイッチ類、クリップ類の自動車内外装部品
(6)使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器、及び住宅設備機器等に代表される工業部品
以下、実施例及び比較例よって本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例で適用した物性測定方法、及び原料を以下に示す。
〔物性測定方法〕
<成形体から放出されるホルムアルデヒド量の定量>
射出成形機(東芝機械(株)製IS−100GN)を用いて、シリンダー温度:220℃、射出圧力70MPa、射出時間:15秒、冷却時間:20秒、金型温度:80℃の条件で、後述する実施例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物から規定された寸法の試験片(縦100mm×横40mm×厚み3mm)を成形した。
得られた試験片から放出されるホルムアルデヒド量を下記VDA275法に準じて測定し、成形体から放出されるホルムアルデヒド量を求めた。
VDA275法においては、まず、ポリエチレン容器に蒸留水50mLと上記試験片とを収容して密閉した。次いで、60℃で3時間容器を加熱後、蒸留水中のホルムアルデヒドをアンモニウムイオン存在下においてアセチルアセトンと反応させ、その反応物を対象としてUV分光計にて波長412nmの吸収ピークを測定し、成形体から放出されるホルムアルデヒド量(mg/kg)を求めた。
<滞留変色性>
射出成形機(東芝機械(株)製IS−100GN)を用いて、温度205℃に設定されたシリンダー内に後述する実施例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を溶融状態で滞留させた。60分経過後、射出圧力72MPa、射出時間35秒、冷却15秒の射出条件で90℃に設定された金型に射出して、成形片(JIS1A号ダンベル片)を得た。
得られた成形片の中心部分の色調を色彩色差計(コニカミノルタ(株)製、商品名「CR−200」)を用いてLab表色系にて測定した。このとき、ブランク(滞留させない、通常成形によって得られる成形片)の色彩色差計の測定値をL,a,bとし、滞留後の成形片の測定値をL*,a*,b*として、下記式により、色差ΔEを算出した。ΔE値が低いほど熱変色性に優れることを表す。
Figure 2015209499
<金型汚染性>
(a)成形条件
・射出成形機 : 東洋精機製Ti-30G
・シリンダー設定温度 : 200℃
・金型設定温度 : 30℃
・成形サイクル : 射出/冷却=10/5秒
・金型サイズ : 30mm×12mm×2mmの鏃型
(流動末端先端部にガス抜き部設置)
・成形ショット数 : 5,000ショット
(b)金型汚染性判定基準
AA:金型表面にまったく析出物が確認されず、金型汚染は認められない。
A:金型キャビティ内外、ガス抜き部に、僅かな析出物が確認される。
B:金型キャビティの1/5程度の範囲で析出物が確認される。
C:金型キャビティの全体に析出物が確認される。
<耐候安定性>
射出成形機(東芝機械(株)製IS−100GN)を用いて、シリンダー温度:205℃、射出圧力72MPa、射出時間:15秒、冷却時間:20秒、金型温度:90℃の条件で、後述する実施例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物から成形片(JIS1A号ダンベル片)を得た。
得られた成形片を用いて、耐候性試験評価を行った。
耐候性試験機(スガ試験機(株)製サンシャインウエザーメーターS80)を使用し、耐候安定性試験は、ブラックパネル温度83℃、雨なし、暴露時間1500時間の条件で行った。
また、色差ΔEは、耐候性試験前と、1500時間暴露後の成形片の光照射面を色彩色差計(コニカミノルタ(株)製、商品名「CR−200」)を用いてLab表色系にて測定した。このとき、耐候性試験前の色彩色差計の測定値をL,a,bとし、1500時間暴露後の測定値をL*,a*,b*として、下記式により、色差ΔEを算出した。ΔE値が低いほど耐候性に優れることを表す。
Figure 2015209499
〔原料〕
実施例、比較例には下記成分を用いた。
<(A)ポリアセタール樹脂>
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8(L:重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)。以下、同じ。))を80℃に調整し、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを128.3g/h(トリオキサン1molに対して、3.9mol%)、連鎖移動剤としてメチラール(トリオキサン1molに対して1.50×10-3mol)を連続的に添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラート(トリオキサン1molに対して1.5×10-5mol)で連続的に添加し重合を行なった。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し、重合触媒の失活を行なった。失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で不安定末端部分の分解除去を行なった。不安定末端部分の分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押出され、ペレタイズされた。
<(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩>
B−1:日東化成工業(株)製、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
B−2:日東化成工業(株)製、ステアリン酸カルシウム
B−3:日東化成工業(株)製、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム
<(C)グアナミン化合物>
C−1:日産化学工業(株)製、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、
商品名「メラミン」
C−2:和光純薬工業(株)製、ベンゾグアナミン
<(D)タルク>
D−1:日本タルク(株)製MS(表面未処理、平均粒子径14.2μm)
D−2:日本タルク(株)製P−3(表面未処理、平均粒子径5.1μm)
D−3:日本タルク(株)製MS(平均粒子径14.3μm)と表面処理剤アミノプロピルトリエトキシシラン1%との混合物
<(E)耐候(光)安定剤>
E−1:2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール
E−2:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
E−3:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと、β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)−ジエタノールと、の縮合物
<(F)離型(潤滑)剤>
F−1:エチレンビスステアリン酸アミド
F−2:ポリエチレングリコール(分子量6000)
〔実施例1〕
上記(A)ポリアセタール樹脂と、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B−1)12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム0.25質量部と、(C)メラミン0.03質量部と、(D−1)タルクMS0.01質量部と、(E−1)2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール0.6質量部と、(E−2)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.3質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。前記混合物を200℃に設定されたL/D=30の30mmベント付2軸押出機のメインフィード口からフィードし、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬し、ストランド状に押し出し、冷却し、ペレタイズすることにより、ポリアセタール樹脂組成物からなる樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを80℃で4時間乾燥した。乾燥した樹脂ペレットを用いて、<成形体から放出されるホルムアルデヒドの定量>、<滞留変色性>、<金型汚染性>、<耐候安定性>を前記各種評価方法により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜20〕
(A)〜(E)成分を表1に示す添加剤からなる所定の配合比に替えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。前記各種評価方法により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例21〜28〕
(A)〜(E)成分と場合により(F)成分を表2に示す添加剤からなる所定の配合比に替えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。前記各種評価方法により評価した。結果を表2に示す。
〔比較例1〜12〕
(A)〜(E)成分を表2に示す添加剤からなる所定の配合比に替えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。前記各種評価方法により評価した。結果を表2に示す。
Figure 2015209499
Figure 2015209499
前記表1、表2の評価結果から明らかなように、実施例1〜28と比較例1〜12によれば、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩と、(C)グアナミン化合物と、(D)タルクの配合量が、各々、本発明の範囲であること及び(B)/(C)含有比が本発明の範囲であることにより、耐候安定性を有し、ホルムアルデヒド放出量が低減されたポリアセタール樹脂組成物であって、成形加工時のモールドデポジットの発生が抑制され、成形滞留時の変色性の良好なポリアセタール樹脂組成物が得られた。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、耐候安定性を有し、ホルムアルデヒド放出量が低減され、さらに、成形加工時のモールドデポジットの発生を抑制し、成形滞留時の変色性が良好であるという効果を有する。
本発明のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体は、自動車用部品、各種電機・電子機器部品、その他各種工業用部品等として、好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. (A)ポリアセタール樹脂と、
    前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩0.15〜0.5質量部と、
    前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(C)グアナミン化合物0.01〜0.15質量部と、
    前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(D)タルク0.001〜0.1質量部と、
    前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(E)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種以上である耐候(光)安定剤0.1〜3質量部と、
    を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
    前記(C)グアナミン化合物に対する前記(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比が、質量基準で2〜10であるポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(F)ポリアルキレングリコール、及びアミド基を有する脂肪族化合物の中から選ばれる1種以上である離型(潤滑)剤0.01〜5質量部を更に含有する請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記(D)タルクの平均粒子径が1〜30μmである請求項1または2記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記(D)タルクが表面処理されていないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリアセタール樹脂がポリアセタールコポリマーである請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(G)補強剤、導電材、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種0〜60質量部と、(H)顔料0〜5質量部と、を更に含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. 前記(C)グアナミン化合物に対する前記(B)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の含有比が、質量基準で2〜5である請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体。
JP2014091967A 2014-04-25 2014-04-25 ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体 Pending JP2015209499A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014091967A JP2015209499A (ja) 2014-04-25 2014-04-25 ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014091967A JP2015209499A (ja) 2014-04-25 2014-04-25 ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015209499A true JP2015209499A (ja) 2015-11-24

Family

ID=54611959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014091967A Pending JP2015209499A (ja) 2014-04-25 2014-04-25 ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015209499A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017197635A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物
JP2017197636A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物
JP2019065233A (ja) * 2017-10-04 2019-04-25 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物
CN110643139A (zh) * 2018-06-27 2020-01-03 旭化成株式会社 树脂组合物
CN110878167A (zh) * 2018-09-05 2020-03-13 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物和金属树脂组合物
CN112812495A (zh) * 2019-11-15 2021-05-18 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物和金属树脂组合物
US20220259422A1 (en) * 2021-02-16 2022-08-18 Celanese International Corporation Polyoxymethylene Polymer Composition That is Media Resistant
WO2022201669A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 ポリプラスチックス株式会社 ポリアセタール樹脂組成物、及びこのポリアセタール樹脂組成物の成形品を備える硫黄燃料接触体
US12091525B2 (en) * 2018-06-04 2024-09-17 Celanese International Corporation Polyoxymethylene composition in food handling applications

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017197636A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物
JP2017197635A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物
JP2019065233A (ja) * 2017-10-04 2019-04-25 旭化成株式会社 ポリアセタール樹脂組成物
CN109679275A (zh) * 2017-10-04 2019-04-26 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物
CN109679275B (zh) * 2017-10-04 2022-03-01 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物
US12091525B2 (en) * 2018-06-04 2024-09-17 Celanese International Corporation Polyoxymethylene composition in food handling applications
CN110643139A (zh) * 2018-06-27 2020-01-03 旭化成株式会社 树脂组合物
CN110878167B (zh) * 2018-09-05 2023-02-21 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物和金属树脂组合物
CN110878167A (zh) * 2018-09-05 2020-03-13 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物和金属树脂组合物
CN112812495A (zh) * 2019-11-15 2021-05-18 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物和金属树脂组合物
CN112812495B (zh) * 2019-11-15 2023-08-11 旭化成株式会社 聚缩醛树脂组合物和金属树脂组合物
US20220259422A1 (en) * 2021-02-16 2022-08-18 Celanese International Corporation Polyoxymethylene Polymer Composition That is Media Resistant
WO2022201669A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 ポリプラスチックス株式会社 ポリアセタール樹脂組成物、及びこのポリアセタール樹脂組成物の成形品を備える硫黄燃料接触体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015209499A (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP5317312B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形品
JP4827435B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形品
EP2267075B1 (en) Polyacetal resin composition and method for producing the same
JP4903737B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP4799534B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5234752B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5610613B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体
CN111534040B (zh) 聚缩醛树脂组合物
JP5234602B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP4990324B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法
JP5009336B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法
JP5435629B2 (ja) ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法
JP5749143B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5143163B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法
JP2010132885A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5009954B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法
CN108070199B (zh) 聚缩醛树脂组合物
CN109721943B (zh) 聚缩醛树脂组合物
JP6157945B2 (ja) 樹脂組成物、その製造方法、成形体、板状成形体、及びシート
JP4903748B2 (ja) ハードディスクのランプ成形体
JP5714974B2 (ja) ポリアセタール樹脂押し出し成形品
JP5878358B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP7240889B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体
JP7084822B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及び成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160518