JP5749143B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び摺動性のバランスに優れ、かつその加工が容易であることから、代表的エンジニアリングプラスチックスとして、電気機器や電気機器の歯車などの機構部品、自動車部品及びその他精密機械を含めた機構部品を中心に広範囲にわたって用いられている。特に、電気機器や自動車部品、ギアやカムといった精密機構部品に用いられることが多く、その場合には摺動性と機械的物性とのバランスが要求される。
また、上記のような部品を成形する手法として、一般には射出成形法が用いられることが多く、射出成形機を組み立てラインに設置して長時間の連続成形を行っている例も少なくない。このような長時間の連続成形では、射出成形機の滞留部分にたまった溶融状態の樹脂の熱分解により発生したホルムアルデヒドによって作業環境に悪影響を与えたり、成形品の変色を招くこともある。
このような要求に対し、たとえば特許文献1ではポリオキシメチレン樹脂にジカルボン酸と脂肪族アルコールとのジエステル、ジカルボン酸と脂肪族アルコールとのモノエステルを添加してなる組成物であって、高温・高荷重の厳しい条件下における摺動性に優れた組成物が開示されている。
摺動性に加え、機械的特性やギア精度を付与させた組成物として、たとえば特許文献2ではポリオキシメチレン樹脂に特定の体積平均粒子径を持つウォラストナイト、エステル化合物、ポリオレフィン樹脂を添加してなる組成物であって、摺動性とギア精度に優れる組成物が開示されている。
そして特許文献3には、ポリアセタール樹脂に特定の性状の炭酸カルシウム、有機酸、任意で脂肪酸エステルを添加してなる組成物であって、機械的特性及び熱安定性に優れる組成物が開示されている。
特許第3145005号公報 特許第3308522号公報 国際公開WO2005−071011号公報
しかしながら、特許文献1〜3には、連続成形時の変色性に関する記載はなく、ポリアセタール樹脂組成物の特性において改善の余地がある。
本発明は、上記従来技術に鑑み、長時間連続成形時の熱変色性及び機械的特性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂、特定の脂肪族アルコール、特定の脂肪酸エステル、無機フィラーを含み、かつ脂肪族アルコールに対する肪酸エステルの質量比が特定の範囲であるポリアセタール樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
〈1〉
ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、
脂肪族一価アルコール(II)0.15〜1質量部、
脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)3〜10質量部、
無機フィラー(IV)0.5〜50質量部を含有してなり、
脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)と脂肪族一価アルコール(II)との質量比率((III)/(II))が5〜20であることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
〈2〉
さらに、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)0.01〜1質量部を含有してなることを特徴とする前記〈1〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈3〉
ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)がメラミンであることを特徴とする前記〈1〉又は〈2〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈4〉
脂肪族一価アルコール(II)の炭素数が14〜30であることを特徴とする前記〈1〉〜〈3〉いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈5〉
脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)の炭素数が28〜50であることを特徴とする前記〈1〉〜〈4〉いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈6〉
無機フィラー(IV)が粒子であり、
無機フィラー(IV)のアスペクト比(平均長径L/平均短径D)が1以上5以下であることを特徴とする前記〈1〉〜〈5〉いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈7〉
無機フィラー(IV)が粒子であり、
無機フィラー(IV)の平均粒径が50nm以上500nm以下であることを特徴とする前記〈1〉〜〈6〉いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈8〉
無機フィラー(IV)が炭酸カルシウムであることを特徴とする前記〈1〉〜〈7〉いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈9〉
炭酸カルシウムが表面処理されていないことを特徴とする前記〈8〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈10〉
炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする前記〈8〉又は〈9〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
本発明によると、長時間連続成形時の熱変色性及び機械的特性に優れたポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
図1は、実施例におけるポリアセタール樹脂組成物の製造に用いた2軸押出機の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
≪ポリアセタール樹脂組成物≫
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、脂肪族一価アルコール(II)0.15〜1質量部、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)3〜10質量部、無機フィラー(IV)0.5〜50質量部を含有してなり、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)と脂肪族一価アルコール(II)との質量比率((III)/(II))が5〜20である。
<ポリアセタール樹脂(I)>
本実施形態で用いるポリアセタール樹脂(I)としては、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位だけから成るポリアセタールホモポリマーや、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマーを代表例として挙げることができる。また、ポリアセタール樹脂(I)として、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。さらに、ポリアセタール樹脂(I)として、両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーや、同じく両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと環状エーテルや環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。以上のように、本実施形態においては、ポリアセタール樹脂(I)として、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマーいずれも用いることが可能であるが、好ましくはポリアセタールコポリマーである。
1,3−ジオキソラン等のコモノマーは、一般的にはトリオキサン1molに対して、好ましくは0.1〜60mol%、より好ましくは0.1〜20mol%、更に好ましくは0.13〜10mol%用いられる。本実施形態に用いるポリアセタールコポリマーにおいて、特に好適な融点は162℃〜173℃であり、好ましくは167℃〜173℃、より好ましくは167℃〜171℃である。融点が167℃〜171℃のポリアセタールコポリマーは、例えば、トリオキサンに対して1.3〜3.5mol%程度のコモノマーを用いることにより得ることができる。
なお、本実施形態において、ポリアセタール樹脂の融点は、JIS K7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求まることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合における重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステル又は無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合方法としては、従来公知の方法、例えば米国特許第3027352号明細書、米国特許第3803094号明細書、独国特許発明第1161421号明細書、独国特許発明第1495228号明細書、独国特許発明第1720358号明細書、独国特許発明第3018898号明細書及び特開昭58−98322号公報、特開平7−70267号公報に記載の方法によって重合することができる。上記の重合で得られたポリアセタールコポリマーは、通常、熱的に不安定な末端部〔−(OCH2n−OH基〕が存在するため、不安定な末端部の分解除去処理を実施することが好ましい。特に、次に示す特定の不安定末端部の分解除去処理を行なうことが好適である。特定の不安定末端部の分解除去処理とは、下記一般式(1)で表わされる少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物の存在下に、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理するものである。
[R1234+n-n 式(1)
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基又は置換アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基である。また、上記アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
本実施形態に用いる第4級アンモニウム化合物は、上記一般式(1)で表わされるものであれば特に制限はないが、一般式(1)におけるR1、R2 、R3、及びR4が、各々独立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、この内更に、R1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つが、ヒドロキシエチル基であるものが特に好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエチルアンモニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、オクタデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウム等の水酸化物;塩酸、臭酸、フッ酸等の水素酸塩;硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、珪酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸等のオキソ酸塩;チオ硫酸等のチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸等のカルボン酸塩等が挙げられる。中でも、水酸化物(OH-)、硫酸(HSO4 -、SO4 2-)、炭酸(HCO3 -、CO3 2-)、ホウ酸(B(OH)4 -)、カルボン酸の塩が好ましい。カルボン酸の内、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が特に好ましい。これら第4級アンモニウム化合物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記第4級アンモニウム化合物に加えて、公知の不安定末端部の分解促進剤であるアンモニアやトリエチルアミン等のアミン類等を併用しても何ら差し支えない。
用いる第4級アンモニウム化合物の量は、ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物との合計質量に対する下記式(2)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して好ましくは0.05〜50質量ppm、より好ましくは1〜30質量ppmである。
P×14/Q 式(2)
(式(2)中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を表わし、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。)
第4級アンモニウム化合物の添加量が前記範囲内であると不安定末端部の分解除去速度が向上し、不安定末端部分解除去後のポリアセタールコポリマーの色調が良好となる。
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂の不安定末端部の分解除去処理は、例えば、上記一般式(1)で表わされる少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物の存在下に、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度でポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理することにより達成される。当該熱処理に用いる装置には特に制限はないが、押出機、ニーダー等が好適である。また、分解で発生したホルムアルデヒドは減圧下で除去される。第4級アンモニウム化合物の添加方法には特に制約はなく、重合触媒を失活する工程にて水溶液として加える方法、重合で生成したポリアセタールコポリマーパウダーに吹きかける方法などがある。いずれの添加方法を用いても、ポリアセタールコポリマーを熱処理する工程で添加されていればよく、押出機の中に注入したり、押出機等を用いてフィラーやピグメントの配合を行なう品種であれば,樹脂ペレットに該化合物を添着し、その後の配合工程で不安定末端除去操作を実施してもよい。
不安定末端除去操作は、重合で得られたポリアセタールコポリマー中の重合触媒の失活させた後に行なうことも可能であるし、また重合触媒を失活させずに行なうことも可能である。重合触媒の失活操作としては、アミン類等の塩基性の水溶液中で重合触媒を中和失活する方法を代表例として挙げることができる。また、重合触媒の失活を行なわずに、ポリアセタールコポリマーの融点以下の温度で不活性ガス雰囲気下にて加熱し、重合触媒を揮発低減した後、本不安定末端除去操作を行なうことも有効な方法である。
以上の特定の不安定末端部分解除去処理により、不安定末端部が殆ど存在しない非常に熱安定性に優れたポリアセタールコポリマーを得ることができる。
<脂肪族一価アルコール(II)>
本実施形態に用いられる脂肪族一価アルコール(II)は、分岐又は直鎖構造の脂肪族一価のアルコールであり、飽和していても不飽和でも構わない。具体的には、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール(セチルアルコール)、パルミトレイルアルコール、マルガリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、バクセルアルコール、リノールアルコール、リノレルアルコール、エレオステアリルアルコール、ツベルクロステアリルアルコール、アラキジルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ネルボルアルコール、セロチニルアルコール、モンタニルアルコール、メリシニルアルコール等が挙げられる。この中でも好ましいのは直鎖構造のアルコールであり、さらに好ましいのは直鎖飽和アルコールである。また、脂肪族一価アルコール(II)の炭素数は14〜30が好ましい。該炭素数の下限値に関してさらに好ましくは16であり、さらにより好ましくは18である。また、該炭素数の上限値に関してさらに好ましくは28であり、さらにより好ましくは26である。炭素数が前記範囲内の脂肪族一価アルコール(II)を含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により優れる傾向にある。
炭素数が14〜30の脂肪族一価アルコール(II)の具体例としては、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール(セチルアルコール)、マルガリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、バクセルアルコール、リノールアルコール、リノレルアルコール、エレオステアリルアルコール、ツベルクロステアリルアルコール、アラキジルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ネルボルアルコール、セロチニルアルコール、モンタニルアルコール、メリシニルアルコールが挙げられる。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、脂肪族一価アルコール(II)の含有量は、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対し0.15〜1質量部である。脂肪族一価アルコール(II)の含有量の下限値に関して好ましくは0.2質量部であり、さらに好ましくは0.25質量部である。脂肪族一価アルコール(II)の含有量の上限値に関して好ましくは0.9質量部であり、さらに好ましくは0.75質量部である。脂肪族一価アルコール(II)を前記範囲内で含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性に優れる。
<脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)>
本実施形態に用いられる脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸からなるエステル(III)は、分岐又は直鎖構造の脂肪族一価のアルコールと分岐又は直鎖構造の脂肪族一価のカルボン酸とからなるモノエステルであり、エステルを構成する脂肪族一価アルコールと脂肪族一価カルボン酸とは各々飽和していても不飽和でも構わない。エステルを構成する脂肪族一価アルコールとしては、例えば、上記(II)成分の説明の部分に記載したアルコールが挙げられる。一方、脂肪族一価カルボン酸としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、へプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸(ベヘニン酸)、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。この中でも、脂肪族直鎖飽和一価アルコールと脂肪族直鎖飽和一価カルボン酸とからなるエステルが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)の含有量は、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、3〜10質量部である。脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)の含有量の下限値に関して好ましくは4質量部であり、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)の含有量の上限値に関して好ましくは8質量部であり、さらに好ましくは6質量部である。脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)を前記範囲内で含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性に優れる。
また、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)と脂肪族一価アルコール(II)との質量比((III)/(II))は5〜20である。この質量比((III)/(II))の下限値に関して好ましくは7であり、さらに好ましくは10である。またこの質量比((III)/(II))の上限値に関して好ましくは18であり、さらに好ましくは16である。この質量比((III)/(II))を前記範囲内に制御することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性に優れる。
さらに、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)の炭素数は28〜50であることが好ましい。具体的にはラウリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル(ベヘニン酸ステアリル)、ベヘン酸ベヘニル(ベヘニン酸ベヘニル)等である。このようなエステル(III)を含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により優れる傾向にある。
<無機フィラー(IV)>
本実施形態に用いられる無機フィラー(IV)は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイト、酸化鉄、酸化チタン、アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、金属粉末、マイカ、ガラスフレーク、金属箔、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等から選択される1種又は2種以上である。これらの無機フィラー(IV)は表面処理されたもの及び未表面処理のもののいずれであってもよい。
また、無機フィラー(IV)が粒子の場合、無機フィラー(IV)のアスペクト比(平均長径L/平均短径D)は、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。アスペクト比が前記範囲内の無機フィラー(IV)を含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により優れる傾向にある。
さらにまた、無機フィラー(IV)の平均粒径が、50nm以上500nm以下であると好ましく、70nm以上300nm以下であることがより好ましい。平均粒径が前記範囲内の無機フィラー(IV)を含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により優れる傾向にある。
なお、本実施形態において、無機フィラー(IV)の平均粒径、平均長径、平均短径及びアスペクト比は以下のとおり測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、無機フィラー(IV)の粒子像を倍率1千倍から5万倍で撮影し、無作為に選んだ最低100個の無機フィラー(IV)の粒子について、粒径(長径)、短径、それぞれの長さを測定した。無機フィラーの平均粒径(平均長径)、平均短径及びアスペクト比は、前記測定値を用いて、単位体積中に、粒径(長径)Li、短径Diの無機フィラーの粒子がNi個存在するとして、下記式より算出した。
無機フィラー(IV)としては、炭酸カルシウムであることが好ましく、軽質炭酸カルシウムであることがより好ましい。また、無機フィラー(IV)としては、上記アスペクト比の範囲と上記平均粒径の範囲との条件を満たす炭酸カルシウムであるとより好ましい。さらにまた、炭酸カルシウムの中でもさらに好ましくは表面処理されていない炭酸カルシウムであり、特に好ましくは表面処理がされていない軽質炭酸カルシウムである。
このような炭酸カルシウムを含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により一層優れる傾向にある。
ここでいう表面処理とは、炭酸カルシウムの製造工程において、粒子の凝集を防止する目的で、公知の表面処理剤、付着剤又は錯化剤、及び凝集防止剤の少なくとも1種が添加され、その結果、該物質によって炭酸カルシウムの表面が被覆されていることをいう。ここで、表面処理剤、付着剤又は錯化剤、及び凝集防止剤とは、例えば「分散・凝集の解明と応用技術、1992年」(北原文雄監修・(株)テクノシステム発行)の232〜237ページに記載されているようなアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。また、アミノシラン、エポキシシラン等のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸)、脂肪族カルボン酸、樹脂酸及び金属セッケンが例示される。
また軽質炭酸カルシウムは沈降炭酸カルシウム又は活性炭酸カルシウムと呼ばれるものが好ましい。これらの中でも、スラリー状の水酸化カルシウムに二酸化炭素を反応させて製造された軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、無機フィラー(IV)の含有量は、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下である。無機フィラー(IV)の含有量の下限値に関して好ましくは2質量部であり、さらに好ましくは5質量部である。無機フィラー(IV)を前記範囲内で含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性に優れる。
<ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)>
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)をさらに含有することができる。ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)の具体例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、及びこれらの重合体、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等を挙げることができる。また他に、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられ、例えばアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。その他にアミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、尿素、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物を挙げることができる。
アミド化合物の具体例としては、イソフタル酸ジアミド等の多価カルボン酸アミド、アントラニルアミドが挙げられる。アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン(メラミン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等が挙げられる。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンを挙げることができる。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。尿素誘導体の例としては、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物を挙げることができる。N−置換尿素の具体例としては、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アリール置換尿素を挙げることができる。尿素縮合体の具体例としては、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体等が挙げられる。ヒダントイン化合物の具体例としては、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。ウレイド化合物の具体例としては、アラントイン等が挙げられる。ヒドラジン誘導体としてはヒドラジド化合物を挙げることができる。ヒドラジド化合物の具体例としては、ジカルボン酸ジヒドラジドを挙げることができ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等を挙げることができる。イミダゾール化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等を挙げることができる。イミド化合物の具体例としてはスクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドを挙げることができる。
これらのホルムアルデヒド反応性窒素原子含有化合物(V)は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)の中でもメラミンが特に好ましい。メラミンを含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により優れる傾向にある。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、ホルムアルデヒド反応性窒素原子含有化合物(V)の含有量は、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。ホルムアルデヒド反応性窒素原子含有化合物(V)を前記範囲内で含有することにより、ポリアセタール樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的特性、並びに長時間連続成形時の熱変色性により優れる傾向にある。
<その他の添加剤>
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、さらに必要に応じて、酸化防止剤、ギ酸捕捉剤、耐候(光)安定剤、離型剤を、本発明の目的達成を損なわない範囲で、好ましくは、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して各々0.01〜1質量部の範囲で添加されてもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。これらの中では、好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン‐3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ギ酸捕捉剤としては、例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩又はアルコキシドが挙げられる。より具体的には、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム若しくはバリウムの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩が挙げられる(ただし、上記成分(IV)を除く)。これらのギ酸捕捉剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる
耐候(光)安定剤は、ベンゾトリアゾール系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤並びにヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種以上であると好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の具体例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、好ましくは2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらヒンダードアミン系光安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
離型剤としては、アルコール(ただし、上記成分(II)を除く)、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル(ただし、上記成分(III)を除く)、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物が好ましく用いられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、本発明の目的達成を損なわない範囲で、更に公知の添加剤を必要に応じて含有してもよい。そのような添加剤として、具体的には、結晶核剤、導電材、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及び顔料が挙げられる。
結晶核剤としては、例えば窒化ホウ素などが挙げられる。
導電材としては、例えば、導電性カーボンブラック、炭素繊維、人造又は天然黒鉛、単層又は多層カーボンナノチューブ、金属粉末及び金属繊維が挙げられる(ただし、上記成分(IV)を除く)。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、及び未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物を熱可塑性樹脂として用いてもよい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
顔料としては、無機系顔料、有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料が挙げられる(ただし、上記成分(IV)を除く)。ここで、無機系顔料としては、樹脂の着色用として一般的に用いられているものが挙げられ、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックが例示される。また、有機系顔料としては、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系の顔料が挙げられる。本実施形態のポリアセタール樹脂組成物への顔料の添加割合は、求められる色調により大幅に変化するため明確に規定することは困難であるが、一般的には、ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部の範囲で用いられる。
≪ポリアセタール樹脂組成物の製造方法≫
次に本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の好適な製造方法について説明する。なお、ここでは説明の簡略化のために、ポリアセタール樹脂(I)、脂肪族一価アルコール(II)、脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)及び無機フィラー(IV)を、それぞれ、単に成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)と表記する場合がある。
まず、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法に用いられる装置としては、一般に実用されている混練機が適用され得る。その装置としては、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーが挙げられる。それらの中でも、減圧装置とサイドフィーダーとを装備した2軸押出機が特に好ましい。このような装置を用いて、上記各成分を溶融混練することによって本実施形態のポリアセタール樹脂組成物が得られる。溶融混練の方法は、全成分を同時に溶融混練する方法、予備的に混合した混合物を溶融混練する方法、更に押出機のバレルの途中において、逐次、サイドフィーダーから各成分を供給し、溶融混練する方法が挙げられる。
押出機の減圧度は特に限定されないが、0〜0.07MPaが好ましい。また、溶融混練の温度は、用いるポリアセタール樹脂(I)のJIS K7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求まる融点より1〜100℃高い温度が好ましい。より具体的には、溶融混練の温度は160〜240℃であると好ましい。また、混練機での剪断速度は100rpm以上であることが好ましく、混練時の平均滞留時間は、30秒間〜1分間が好ましい。
≪成形品≫
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形して成形品を得ることができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形して成形品を製造する方法は、従来のポリアセタール樹脂組成物を成形する方法と同様であればよく特に制限されない。その成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)が挙げられる。
上述の成形方法によって本実施形態のポリアセタール樹脂組成物から得られる成形品、例えば、射出成形によって得られる射出成形体は、機械的特性に優れているため、様々な用途の成形品として使用することが可能である。そのような成形品の具体例として、歯車(ギア)、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け及びガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、プリンター及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品、VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ及びデジタルカメラに代表されるカメラ又はビデオ機器用部品、カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk)、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(Digital Video Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−R DL、DVD+R DL、DVD−RAM(Random Access Memory)、DVD−Audioを含む〕、Blu−ray Disc、HD−DVD、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器、携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品が挙げられる。
また、その成形品は、自動車用の部品などとしても用いることも可能であり、例えば、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、スピーカーグリル等に代表されるドア廻り部品、シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品、コンビスイッチ部品、スイッチ類及び、クリップ類の部品、さらにシャープペンシルのペン先及び、シャープペンシルの芯を出し入れする機構部品、洗面台並びに排水口及び排水栓開閉機構部品、自動販売機の開閉部ロック機構及び商品排出機構部品、衣料用のコードストッパー、アジャスター及びボタン、散水用のノズル及び散水ホース接続ジョイント、階段手すり部及び床材の支持具である建築用品、使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器及び住宅設備機器に代表される工業部品としても好適に用いられる。
また本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、長時間連続成形時の熱変色性にも優れているため、長時間連続成形する際にも成形機バレル内のパージ作業頻度を格段に少なくすることができ、歩留まりの悪化を抑えることができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例及び比較例よって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(機械的特性の評価方法)
東芝機械(株)製EC75NII射出成形機を用いて、シリンダー温度205℃、金型温度を90℃に設定し、射出圧70MPa、射出時間35秒、冷却15秒の射出条件で、ポリアセタール樹脂組成物から評価用ISOダンベルを作成した。作成した評価用ISOダンベルを用いて、ISO527に準じて引張強度及び引張伸度を測定した。また同じISOダンベルを用いて、ISO179/1eAに基づきシャルピー衝撃強度を測定した。
(連続成形試験)
東芝機械(株)製EC5P射出成形機を用いて、シリンダー温度215℃、金型温度90℃に設定し、射出圧45MPa、射出時間10秒、冷却時間30秒の射出条件で、ポリアセタール樹脂組成物から90mm×8mm×3mmの短冊片を得た。この短冊片の色調を色彩色差計(コニカミノルタ(株)製CR−200)用いてLab表色系にて測定した。このとき、1ショット目の短冊片(同成形機での通常成形によって得られる短冊片)の色彩色差計の測定値をL,a,bとし、nショット目の短冊片の色彩色差計の測定値をL*,a*,b*として下記式(3)により色差ΔEを算出し、このΔEが2以上となったショット数を求めた。このΔEが2以上となったショット数が大きいほど、連続成形時の変色性に優れる。
(摺動性の評価方法)
上記引張試験に用いた評価用ISOダンベルを用いて、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製、商品名「AFT−15MS型」)により荷重2kg、線速度30mm/sec、往復距離10mmの条件下、環境温度60℃で10000回の往復試験を行い、10000回目の摩擦係数及びISOダンベルの磨耗量を測定した。相手材料としては、SUS球(SUS304、R=2.5mm)を用いた。
(ポリアセタール樹脂組成物の製造)
ポリアセタール樹脂組成物を、2軸押出機(東芝機械(株)製、商品名「TEM−26SS押出機」、L/D=48、ベント付き)を用いて製造した。この押出機の概略図を図1に示す。図1中、1〜12は押出機のバレルゾーン(個々に独立している)、13はダイヘッド、14は押出機モーター、15は定量フィーダー(トップ1)、16は定量フィーター(トップ2)、17は脱気ベントをそれぞれ示す。
この押出機を用い、バレルゾーン1を180℃に、バレルゾーン2〜12とダイヘッド13を200℃に設定し、成分(I)、(II)、及び(III)のドライブレンドによる混合物を定量フィーダー15より、成分(IV)と必要に応じて成分(V)のドライブレンドによる混合物を定量フィーダー16より供給し、スクリュー回転数150rpm、押出量14kg/hの条件で溶融混練を行い、ストランド冷却固化した後、ストランドカッターでペレタイズした。
また本願実施例では、各成分に以下の物質を用いた。
(ポリアセタール樹脂(I))
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整した。該重合機に、トリオキサンを4kg/時間、コモノマーとして1,3−ジオキソランを42.8g/時間(トリオキサン100mol%に対して、1.3mol%)、連鎖移動剤としてメチラールを、重合後のポリアセタール樹脂のJIS K7210に基づく190℃でのメルトフローレート(以下同様。)が13g/10分となるような量、それぞれ添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10-5molとなる量で、連続的に重合機に添加し重合を行った。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1質量%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行った。重合触媒の失活したポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後、該混合物を120℃で乾燥してポリアセタールコポリマーを得た。水酸化コリン蟻酸塩の添加量は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行い、上記式(2)で表される窒素量に換算して20質量ppmとした。乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分間の条件で、ポリアセタールコポリマーの不安定末端部分の分解除去処理を行った。不安定末端部分の分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下で脱揮され、押出機のダイス部よりストランドとして押し出され、ペレット化された。ペレット化したポリアセタールコポリマー(ポリアセタール樹脂)100質量部に対し、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.35質量部を添加し、ベント付2軸押出機で溶融混練することによりポリアセタール樹脂ペレットを得た。このようにして得られたポリアセタール樹脂の融点は169.5℃であった。
なお、本実施例において、ポリアセタール樹脂の融点は、JIS K7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求めた。
(脂肪族一価アルコール(II))
(II−i)ラウリルアルコール(花王(株)製、炭素数12)。
(II−ii)ミリスチルアルコール(花王(株)製、炭素数14)。
(II−iii)セチルアルコール(司生堂製薬(株)製、炭素数16)。
(II−iv)ステアリルアルコール(花王(株)製、炭素数18)。
(II−v)ベヘニルアルコール(日油(株)製、炭素数22)。
(多価アルコール)
(II−vi)ポリエチレングリコール(日油(株)製、数平均分子量6000)。
(脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III))
(III−i)ミリスチン酸セチル(北広ケミカル(株)製、炭素数30)。
(III−ii)ステアリン酸ステアリル(花王(株)製、炭素数36)。
(III−iii)ベヘニン酸ベヘニル(日油(株)製、炭素数44)。
(III−iv)ステアリン酸メチル(日油(株)製、炭素数19)。
(脂肪族一価アルコールと脂肪族二価のカルボン酸とからなるエステル)
(III−v)アジピン酸ジラウリル(北広ケミカル(株)製、炭素数30)。
(無機フィラー(IV))
(IV−i)軽質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、アスペクト比1、平均粒径150nm、表面処理なし)。
(IV−ii)軽質炭酸カルシウム白石工業(株)製、アスペクト比1、平均粒径150nm、表面脂肪酸処理)。
(IV−iii)軽質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、アスペクト比3、平均粒径1.2μm、表面処理なし)。
(IV−iv)重質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、アスペクト比3、平均粒径1.25μm、表面処理なし)。
(IV−v)タルク(日本タルク(株)製、アスペクト比15、平均粒径600nm、表面処理なし)。
(IV−vi)ウォラストナイト(NYCO Minerals製、平均長径600μm、アスペクト比15、表面処理なし)。
なお、無機フィラーの平均粒径、平均長径、平均短径及びアスペクト比は以下のとおり測定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、無機フィラーの粒子像を倍率1千倍から5万倍で撮影し、無作為に選んだ最低100個の無機フィラーの粒子について、粒径(長径)、短径、それぞれの長さを測定した。無機フィラーの平均粒径(平均長径)、平均短径及びアスペクト比は、前記測定値を用いて、単位体積中に、粒径(長径)Li、短径Diの無機フィラーの粒子がNi個存在するとして、下記式より算出した。
(ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V))
微粉メラミン(日産化学工業(株)製)。
[実施例1〜55]
表1〜3に示す量の割合で各成分を配合し、上述の押出法によりポリアセタール樹脂組成物のペレットを製造し、該ポリアセタール樹脂組成物のペレットの物性評価を上述の方法により行った。評価結果を表1〜3に示す。
[比較例1〜30]
表4及び5に示す量の割合で各成分を配合し、上述の押出法によりポリアセタール樹脂組成物のペレットを製造し、該ポリアセタール樹脂組成物のペレットの物性評価を上述の方法により行った。評価結果を表4及び5に示す。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、上述のとおり引張強度及び引張伸度等の機械的特性に優れているため、自動車、電機電子機器の精密部品、その他工業などの分野で好適に利用できる。さらに本発明のポリアセタール樹脂組成物は、長時間連続成形時の熱変色性にも優れているため、長時間連続成形の際の歩留まりの悪化を抑制することができる。
1〜12:押出機のバレルゾーン
13:ダイヘッド
14:押出機モーター
15:定量フィーダー(トップ1)
16:定量フィーター(トップ2)
17:脱気ベント

Claims (9)

  1. ポリアセタール樹脂(I)100質量部に対して、
    炭素数が12〜30である脂肪族一価アルコール(II)0.15〜1質量部、
    脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなる炭素数が19〜50であるエステル(III)3〜10質量部、
    炭酸カルシウム、タルク及び、ウォラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラー(IV)0.5〜50質量部を含有してなり、
    当該脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなる炭素数が19〜50であるエステル(III)と当該炭素数が12〜30である脂肪族一価アルコール(II)との質量比率((III)/(II))が5〜20であることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族一価アルコール(II)の炭素数が12〜22であり、前記脂肪族一価アルコールと脂肪族一価のカルボン酸とからなるエステル(III)の炭素数が19〜44であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. さらに、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)0.01〜1質量部を含有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(V)がメラミンであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 炭酸カルシウム、タルク及び、ウォラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラー(IV)が粒子であり、
    当該無機フィラー(IV)のアスペクト比(平均長径L/平均短径D)が1以上5以下であることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 炭酸カルシウム、タルク及び、ウォラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラー(IV)が粒子であり、
    当該無機フィラー(IV)の平均粒径が50nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. 無機フィラー(IV)が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. 炭酸カルシウムが表面処理されていないことを特徴とする請求項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  9. 炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項又はに記載のポリアセタール樹脂組成物。
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