JP7229800B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1~8に開示されるようなポリアセタール樹脂組成物では、抗菌性と熱安定性とを高いレベルで両立できず、更なる改良が望まれていた。
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤0.01~5質量部と、
(C)ポリエステル樹脂0.01~5質量部と、
を含み、
(C)ポリエステル樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である、
ことを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物。
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧-2X+0.35の関係を満たす、[1]のポリアセタール樹脂組成物。
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.1の関係を満たす、[1]又は[2]のポリアセタール樹脂組成物。
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.05の関係を満たす、[1]又は[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(B)無機系抗菌剤が、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくともの1種の元素並びに/又は該元素のイオンをガラス又はゼオライトに担持させたものである、[1]~[4]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物。
(B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを含有する、[1]~[4]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物。
(B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを、ガラス又はゼオライトに担持させたものである、[1]~[6]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物。
[1]~[7]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤0.01~5質量部と、(C)ポリエステル樹脂0.01~5質量部と、を含む。さらに、上記以外の無機抗菌剤、有機系抗菌剤、後述の他の成分等の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、「ポリアセタール樹脂組成物」を、単に、「樹脂組成物」と称する場合がある。
(A)ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーが挙げられ、公知のものを用いてもよい。
これらの分子量調節剤は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの集合触媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの炭化水素系溶媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。炭化水素系重合溶媒としては、ヘキサンが特に好ましい。
エステル化剤は、酸無水物を用いることができる。酸無水物としては、例えば、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水酢酸が挙げられ、好ましくは無水酢酸である。これらエステル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
重合装置としては、以下に限定されるものではないが、例えば、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混錬機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機等が挙げられる。具体的な重合方法としては、溶融状態のモノマーと連鎖移動剤、重合触媒を上記重合装置に供給し、重合の進行とともに固体塊状のポリアセタールコポリマーを得る方法が挙げられる。重合工程後に得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔-(OCH2)n-OH基〕が存在する場合があるため、当該不安定な末端部の分解除去処理を実施することが好ましい。
[R1R2R3R4N+]nXn- (1)
ここで、式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基;炭素数6~20のアリール基;炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基における少なくとも1個の水素原子が炭素数6~20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は、炭素数6~20のアリール基における少なくとも1個の水素原子が炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基で置換されたアルキルアリール基;を示し、置換又は非置換のアルキル基は直鎖状、分岐状、若しくは環状である。上記置換アルキル基における置換基は、ハロゲン原子、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基であると好ましい。また、上記非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルキルアリール基において、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
nは1~3の整数を示す。
Xは水酸基、又は、炭素数1~20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸若しくは炭素数1~20の有機チオ酸の酸残基を示す。
P×14/Q (2)
ここで、式(2)中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を示し、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を示す。
なお、メルトフローレイトは、ISO 1131-1:2011(JIS K7210-1:2014)に準拠して2.16kgの荷重を用い、190℃で測定した値をいう。
(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤としては、公知のものを制限なく用いることができ、例えば、上記金属の粒子、無機塩、酸化物、上記金属を担持した無機化合物等が挙げられる。中でも抗菌性に一層優れる観点から、上記金属を担持した無機化合物を用いることが好ましい。上記金属を担持する無機化合物としては、ゼオライト;リン酸ガラス、珪酸ガラス等のガラス;タルク;シリカゲル;ケイ酸塩;リン酸塩;リン酸ジルコニウム;酸化チタン;珪藻土;アルミナなどを用いることができる。銀・銅担持ゼオライト、銀・亜鉛担持アルミナケイ酸塩のようにひとつの無機化合物に二つ以上の金属が担持されていても良い。抗菌性とその持続性により一層優れる観点から、上記金属を担持する無機化合物としてはガラス、ゼオライト、リン酸ジルコニウムが好ましく、より好ましくはガラス又はゼオライト、更に好ましくはリン酸ガラスである。また、熱安定性と抗菌性に一層優れる観点から、含有する元素並びに/又は該元素のイオンとしては、銀、亜鉛が好ましく、銀がより好ましい。上記無機系抗菌剤としての無機化合物中の上記金属の含有量は、無機化合物100質量%に対して、原子として、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
(C)ポリエステル樹脂とは、1種類以上のモノマーがエステル基で結合されたポリマーである。(C)ポリエステル樹脂としては、カルボン酸基を持つモノマーとアルコール基を持つモノマーを脱水縮合(重縮合)させて得られるポリエステルを用いることができ、また、カルボン酸基を持つモノマーとエポキシ基を持つモノマーを開環重合させて得られるポリエステルを用いることができる。モノマーの組み合わせとしては、例えば、ジカルボン酸(ポリカルボン酸)とジオール(ポリオール)を重縮合させる組み合わせや、カルボン酸とアルコール基をもつヒドロキシカルボン酸を重縮合させる組み合わせ等がある。また、ジカルボン酸(ポリカルボン酸)とジエポキシ化合物(ポリエポキシ化合物)を開環重合させる組み合わせや、カルボン酸とエポキシ基を持つモノマーを開環重合させる組み合わせも挙げることができる。代表的なモノマー組成には次のようなものがある。
(1)ポリカルボン酸:フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、グルタコン酸等のジカルボン酸と無水物。
(2)ジオール:エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、ジブロムネオペンチルグリコール等のジオール。
(3)ヒドロキシカルボン酸:乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の1分子中にカルボン酸とヒドロキシル基を有する化合物。
(4)エポキシ:ビスフェノールAとエビクロルヒドリンから合成したエポキシ化合物、エチレングリコールとエビクロルヒドリンから合成したエポキシ化合物、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシ-6’‐メチルシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシ化合物。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値をいう。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(C)ポリエステル樹脂の含有量(質量割合)は、Y≧0.5X-0.1を満たすことが好ましく、Y≧0.5X-0.05を満たすことがより好ましい。(C)ポリエステル樹脂の含有量がこの範囲を満たすとき、射出成形時の熱安定性が向上し樹脂分解によるガス発生量が抑制される。
本実施形態の樹脂組成物において、(A)ポリアセタール樹脂、(B)無機系抗菌剤、(C)ポリエステル樹脂以外の他の成分として、従来、ポリアセタール樹脂組成物に添加してもよいとされている種々の樹脂及び添加剤等を含有させてもよい。具体的には、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、耐候(光)安定剤、離型剤、顔料及び染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)、潤滑剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、帯電防止剤、流動性改良剤、無機充填剤、補強剤、展着剤、ゴム、強化剤並びに他のポリマー等が挙げられ、これらは本発明の目的達成を損なわない範囲で添加されてもよい。
脂肪族グアナミン系化合物の例としては、バレログアナミン、カプログアナミン、ヘプタノグアナミン、カプリログアナミン及びステアログアナミン等のモノグアナミン類;並びに、サクシノグアナミン、グルタログアナミン、アジポグアナミン、ピメログアナミン、スベログアナミン、アゼログアナミン及びセバコグアナミン等のアルキレンビスグアナミン類;等が挙げられる。
脂環族グアナミン系化合物の例としては、シクロヘキサンカルボグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン及びノルボルナンカルボグアナミン等のモノグアナミン類;並びに、それらのシクロアルカン残基に官能基、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基、が1~3個置換した誘導体;等が挙げられる。
芳香族グアナミン系化合物の例としては、ベンゾグアナミン、ベンゾグアナミンのフェニル残基に官能基、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基、が1~5個置換した誘導体(例えば、トルグアナミン、キシログアナミン、フェニルベンゾグアナミン、ヒドロキシベンゾグアナミン、4-(4’-ヒドロキシフェニル)ベンゾグアナミン、ニトリルベンゾグアナミン、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンゾグアナミン及び3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾグアナミン)、ナフトグアナミン、及び、ナフトグアナミンのナフチル残基に官能基、例えば上述の官能基、が1~7個置換した誘導体等のモノグアナミン類;フタログアナミン、イソフタログアナミン、テレフタログアナミン、ナフタレンジグアナミン及びビフェニレンジグアナミン等のポリグアナミン類;並びに、フェニルアセトグアナミン、β-フェニルプロピオグアナミン及びキシリレンビスグアナミン等のアラルキル又はアラルキレングアナミン類;等が挙げられる。
ヘテロ原子含有グアナミン系化合物の例としては、2,4-ジアミノ-6-(3,3-ジメトキシプロピル)-s-トリアジン等のアセタール基含有グアナミン類;[2-(4’-6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)エチル]-1,3-ジオキサン、及び[2-(4’-6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)エチル]-4-エチル-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン等のジオキサン環含有グアナミン類;CTU-グアナミン及びCMTU-グアナミン等のテトラオキソスピロ環含有グアナミン類;並びに、1,3,5-トリス[2-(4’,6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)エチル]イソシアヌレート及び1,3,5-トリス[3-(4’,6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)プロピル]イソシアヌレート等のイソシアヌル環含有グアナミン類等が挙げられる。
脂肪族又は脂環族カルボン酸ヒドラジドの例としては、ラウリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、ソルビン酸ヒドラジド等の飽和又は不飽和脂肪酸ヒドラジド;α-オキシ酪酸ヒドラジド、グリセリン酸ヒドラジド等のオキシ脂肪酸ヒドラジド;7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)、並びに、トリス(ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート;等が挙げられる。
芳香族カルボン酸ヒドラジドの例としては、1-ナフトエ酸ヒドラジド、2-ナフトエ酸ヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド及び2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド等が挙げられる。
脂肪酸金属塩化合物における脂肪酸は炭化水素基にカルボキシル基が結合した構造を持つ。例えば、炭素-炭素の単結合のみ(炭素-炭素飽和結合)からなる飽和脂肪酸、炭素-炭素の二重結合や三重結合(炭素-炭素不飽和結合)を有する不飽和脂肪酸が挙げられる。なかでも熱エージング性が高い飽和脂肪酸が好ましい。飽和脂肪酸の具体例としては、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデシル酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ナノデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラドコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサドコサン酸(セロチン酸)、オクタドコサン酸(モンタン酸)及びメリシン酸が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、炭素数が14~22の脂肪酸である。具体的には、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ナノデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)及びドコサン酸(ベヘン酸)が挙げられる。更には、これらの中でも、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)及びドコサン酸(ベヘン酸)がより好ましい。より好ましい脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸が挙げられる。
また、脂肪酸金属塩化合物の塩を形成する金属元素としては、アルカリ金属元素又は周期律表第二族元素が好ましく、それらの中でもナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムがより好ましく、カルシウムが特に好ましい。
具体的な脂肪酸金属塩化合物としては、例えば、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム及びベヘン酸カルシウムが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-t-ブチル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール及び2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の具体例としては、2-エトキシ-2’-エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2-エトキシ-5-t-ブチル-2’-エチルオキザリックアシッドビスアニリド及び2-エトキシ-3’-ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドが挙げられる。これらの蓚酸アリニド系紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、及び、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、好ましくはビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらのヒンダードアミン系光安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの充填剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの充填剤は、表面処理されたもの及び未表面処理のもののいずれであってもよいが、成形表面の平滑性、機械的特性の点から、表面処理されたものの方が好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。表面処理剤として、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤を用いることができる。具体的には、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート及びn-ブチルジルコネートが挙げられる。
上記抗菌活性は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記抗菌活性は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記引張強さは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記引張強さは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の製造においては、ポリアセタール樹脂と添加される上記各成分との混合は、公知の溶融混合法によって行うことが出来、溶融混合法も何等限定されるものではない。溶融混合温度は、180~240℃が好ましく、この範囲内であれば樹脂を十分に溶融し混合することができ、また溶融樹脂の分解も起こらない。
樹脂ペレットは、一般的には上述の押出機による加工で得られる。ペレットの形状としては、特に限定されないが、ストランド状に押し出してペレタイズした場合においては、円柱状のペレットが得られ、ホットカット法、アンダーウォーターカット法等で得られたペレットは球状のペレットが得られる。ペレットの寸法についても特に限定されないが、好ましいペレットの粒子径の上限は、3mmである。好ましい下限は1mmである。円柱状ペレットの寸法について好ましい上限は、直径が3mmで、長さが4mmであり、好ましい下限は、直径が1mm、長さが2mmである。後の成形加工時の噛み込み性の観点から、上限が上記寸法であることが好ましく、ペレットのニューマー輸送時の詰まり等を防止するため、下限は、上記寸法であることが好ましい。
本実施形態の成形体は、上記ポリアセタール樹脂組成物を含み、上記ポリアセタール樹脂組成物のみからなっていてもよい。
本実施形態の成形体の形状は特に限定されず、いかなる形状のものも包含される。本実施形態の成形体としては、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、及び金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等で得られた本実施形態の樹脂組成物からなる物品が挙げられる。
実施例、比較例には以下の原料を用いた。
(A-1)ポリアセタール(商品名「TENAC-C 9520」、旭化成株式会社製、融点:165℃、MFR:30g/10分)
(A-2)ポリアセタール(商品名「TENAC-C 7520」、旭化成株式会社製、融点:165℃、MFR:75g/10分)
(B-1)銀担持リン酸ガラス(商品名「ミリオンガード PMG721S」、興亜硝子株式会社製、平均粒径:3μm、銀原子含量5質量%)
(B-2)銀担持ゼオライト(商品名「ゼオミック DAW502」、シナネン社製、平均粒径:2.5μm、銀原子含量2.5質量%)
(B-3)酸化亜鉛(商品名「酸化亜鉛一種」、本荘ケミカル製、平均粒径:0.5μm、亜鉛原子含量80質量%)
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(ビスフェノールA、1モルに対してプロピレンオキサイドが4モル程度付加した化合物)2240gとフマル酸580g及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、230℃で12時間かけて反応させた後、8.3kPaにて、所定の軟化点になるまで反応させた。軟化点は昇温可能なホットステージにポリエステル樹脂をのせて昇温し、光学顕微鏡(10倍)による目視観察で、樹脂の変形がみとめられた時の温度とした。
(C-1)ポリエステル(上記方法で重合した、重量平均分子量:20000、軟化点:96℃のポリエステル樹脂)
(C-2)ポリエステル(上記方法で重合した、重量平均分子量:45000、軟化点:101℃のポリエステル樹脂)
上流側に1箇所の供給口を有する同方向回転二軸押出機(商品名「TEM26SS」、東芝機械株式会社製)のシリンダー温度を210℃に設定し、吐出量が14kg/時間となるよう、フィーダーを調整し、原料を、スクリュー回転数150rpmの条件でストランド状に押し出し、冷却し、ペレタイズすることにより、ポリアセタール樹脂組成物からなる樹脂ペレットを得た。この際、原料は、予め均一になるように混合し、一つのフィーダーより押出機に供給した。また、下流側に取り付けた真空吸引ポートより、揮発分及び水分の除去を行った。
各種評価方法の詳細について以下に述べる。
射出成形機(商品名「EC75N II」)によって試験片(50mm×50mm×3mm厚)を成形した。抗菌性試験は一般財団法人日本食品分析センターに依頼し、方法はJIS Z 2801に準じた。すなわち、試験片の表面に菌数が2.5×10^5~10×10^5個/mLとなるように調整した菌液を0.4ml塗布し、温度35℃、相対湿度90%の培養器中で24時間培養した。無加工フィルム(ポリエチレンフィルム)の培養後菌数の対数値:Uから試験片の培養後菌数の対数値:Aを減じた数を抗菌活性値:Rとした(R=U-A)。培養後の試験片表面の生菌数が0の場合は「>(無加工フィルムの培養後菌数の対数値:U)」とした。菌種は大腸菌を用いた。
208℃のシリンダー温度に設定した射出成形機(商品名「EC5P」、東芝機械製)のシリンダー内に樹脂組成物を滞留させて、13×3×89mmの成形片を成形した際に、成形片の表面の2/3にシルバーストリークが発生する滞留可能時間(分)を測定した。この滞留可能時間が長いほど熱安定性に優れると判断できる。
なお、30分経過しても、成形片の表面積の2/3にシルバーストリークスが発生しないの場合は、「>30」と表記した。
射出成形機(商品名「EC75N II」、東芝機械製)を用いて、ISO294-1に準拠した多目的試験片(A型)の成形片を成形した。
上記で得られた成形片を用いて、ISO527-1に準拠して、引張速度50mm/minで引張試験を行い、引張強さ(MPa)を測定した。
上記(3)と同様の方法で成形して得られた成形体を用い、ISO178に準拠して、曲げ試験を行い、曲げ弾性率(GPa)を測定した。
各成分が表1、2に示す組成となるよう、ポリアセタール樹脂組成物を上述のようにして製造し、上記各種評価方法により評価した。結果を表1、2に示す。
Claims (8)
- (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤0.01~5質量部と、
(C)ポリエステル樹脂0.01~5質量部と、
を含み、
(C)ポリエステル樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である、
ことを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物。 - (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧-2X+0.35の関係を満たす、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.1の関係を満たす、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.05の関係を満たす、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (B)無機系抗菌剤が、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくともの1種の元素並びに/又は該元素のイオンをガラス又はゼオライトに担持させたものである、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを、ガラス又はゼオライトに担持させたものである、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
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