JP7229800B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明はポリアセタール樹脂組成物及びそれを含む成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は機械的強度、耐薬品性及び摺動性等に優れるため、代表的なエンジニアリングプラスチックとして、電気電子部品、自動車部品、工業用部品、その他精密機器の機構部品等の成形体を中心に広く使用されている。しかし、上記のような一般物性以外にも特殊な性能を要求されることが多い。その一例として、種々の細菌やカビ類に対する抗菌性が挙げられる。
一般に樹脂に抗菌性を付与するためには、有機系や無機系の抗菌剤を添加する方法がとられる。ポリアセタール樹脂に対しても、抗菌性を付与するために、無機系抗菌剤を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1~4)。
また、ポリアセタール樹脂組成物の熱安定性を向上させるためにポリアセタール樹脂にポリエステル樹脂を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献5~8)。
特開平9-14358号公報 特開平9-291193号公報 特許第3281195号公報 特開平5-230325号公報 特開2010-241939号公報 特許第1763894号広報 特許第1453949号公報 特許第1281646号公報
しかしながら、無機系抗菌剤をポリアセタール樹脂に添加して使用する際、抗菌剤がポリアセタール樹脂の分解を促進し樹脂組成物の熱安定性が大幅に低下してしまう。特に射出成形の場合には、樹脂分解ガスによるシルバーストリーク発生による不良品発生、及び作業環境の悪化が懸念される。このため抗菌性と耐熱性とを併せ持つポリアセタール樹脂組成物が望まれている。
しかしながら、特許文献1~8に開示されるようなポリアセタール樹脂組成物では、抗菌性と熱安定性とを高いレベルで両立できず、更なる改良が望まれていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、機械的強度、射出成形時の熱安定性、及び抗菌性に優れる、ポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、ポリアセタール樹脂に特定の無機系抗菌剤とポリエステル樹脂とを特定の割合で配合することで、ポリアセタール樹脂に無機系抗菌剤のみを配合した場合に比べて高い抗菌性を発現し、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤0.01~5質量部と、
(C)ポリエステル樹脂0.01~5質量部と、
を含み、
(C)ポリエステル樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である、
ことを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物。
[2]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧-2X+0.35の関係を満たす、[1]のポリアセタール樹脂組成物。
[3]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.1の関係を満たす、[1]又は[2]のポリアセタール樹脂組成物。
[4]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.05の関係を満たす、[1]又は[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5]
(B)無機系抗菌剤が、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくともの1種の元素並びに/又は該元素のイオンをガラス又はゼオライトに担持させたものである、[1]~[4]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物。
[6]
(B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを含有する、[1]~[4]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物。
[7]
(B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを、ガラス又はゼオライトに担持させたものである、[1]~[6]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物。
[8]
[1]~[7]のいずれかのポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
本発明によると、機械的強度、射出成形時の熱安定性、及び抗菌性に優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々に変形して実施することができる。
[ポリアセタール樹脂組成物]
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤0.01~5質量部と、(C)ポリエステル樹脂0.01~5質量部と、を含む。さらに、上記以外の無機抗菌剤、有機系抗菌剤、後述の他の成分等の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、「ポリアセタール樹脂組成物」を、単に、「樹脂組成物」と称する場合がある。
((A)ポリアセタール樹脂)
(A)ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーが挙げられ、公知のものを用いてもよい。
ポリアセタールホモポリマーとしては、ホルムアルデヒドの単量体又はその3量体(トリオキサン)及び4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られるもの等が挙げられる。したがって、ポリアセタールホモポリマーは、実質的にオキシメチレン単位からなる。
また、上記ポリアセタールホモポリマーは、両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコール、の存在下、ホルムアルデヒドの単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーであってもよい。
ポリアセタールコポリマーとしては、ホルムアルデヒドの単量体又はその3量体(トリオキサン)及び4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3-ジオキソラン、1,4-ブタンジオールホルマール等のグリコール又はジグリコールの環状ホルマール等の、環状エーテル又は環状ホルマールとを共重合させて得られるもの、複数種のホルムアルデヒドの単量体又はその3量体(トリオキサン)及び4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを共重合させて得られるもの、等が挙げられる。したがって、ポリアセタールコポリマーは、実質的にオキシメチレン単位とオキシエチレン単位からなるポリマーであってもよい。
また、ポリアセタールコポリマーとして、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー、又は、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーを用いることもできる。
また、ポリアセタールコポリマーは両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコール、の存在下、ホルムアルデヒドの単量体又はその3量体(トリオキサン)及び4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと環状エーテル又は環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーであってもよい。
以上のように、(A)ポリアセタール樹脂として、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーのいずれも用いられ得る。また、これら(A)ポリアセタール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。この場合、(A)ポリアセタール樹脂は、ポリアセタールコポリマーを50質量%以上含むものが好ましく、80質量%以上含むものがより好ましく、実質的にほぼすべて(95質量%以上)がポリアセタールコポリマーであることが最も好ましい。なお、ここでのパーセンテージは、(A)ポリアセタール樹脂の全体量を100質量%としたものに基づく。
上記ポリアセタールホモポリマーを得る方法については、例えば、モノマーであるホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)、連鎖移動剤(分子量調節剤)、及び重合触媒を、炭化水素系溶媒で満たした重合反応器にフィードし、スラリー重合法により粗ポリアセタールホモポリマーを得る工程を含む方法が挙げられる。得られた粗ポリアセタールホモポリマーは、重合体の末端基が熱的に不安定なので、この不安定末端基をエステル化剤やエーテル化剤等でポリマー末端基を封鎖し安定化処理を行うことが好ましい。これにより、ポリアセタールホモポリマーが得られる。なお、上記粗ポリアセタールホモポリマーをポリアセタールホモポリマーとして用いてもよい。
原料モノマーであるホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)、連鎖移動剤、炭化水素系重合溶媒は、連鎖移動可能な成分(不安定末端基を生成する成分)、例えば水やメタノール及び蟻酸を含んでいるため、先ず、これら連鎖移動可能な成分の含有量を調整し、粗ポリアセタールホモポリマーを重合することが好ましい。この時の連鎖移動可能な成分の含有量は、モノマーであるホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)の合計質量に対して、好ましくは1~1000質量ppmの範囲であり、より好ましくは1~500質量ppm、さらに好ましくは1~300質量ppmである。
ポリアセタールホモポリマーの分子量は、無水カルボン酸又はカルボン酸等の分子量調節剤を用いて連鎖移動させることにより調節できる。上記分子量調節剤としては、特に、無水プロピオン酸、無水酢酸が好ましく、より好ましくは無水酢酸である。
これらの分子量調節剤は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリアセタールホモポリマーの重合における重合触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニオン系重合触媒が好ましく、オニウム塩系重合触媒がより好ましい。上記オニウム塩系重合触媒の中でも、テトラエチルホスホニウムイオダイド、トリブチルエチルホスホニウムイオダイドのような、第4級ホスホニウム塩系化合物や、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムアセテートのような第4級アンモニウム塩系化合物が好ましい。
これらの集合触媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記炭化水素系重合溶媒は、原料モノマーと反応しない溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン等が挙げられる。
これらの炭化水素系溶媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。炭化水素系重合溶媒としては、ヘキサンが特に好ましい。
また、粗ポリアセタールホモポリマーを製造する重合装置は、原料モノマー、連鎖移動剤(分子量調節剤)、重合触媒と炭化水素系重合溶媒を同時に供給できる装置であればよく、特に限定されるものではないが、生産性の観点から連続式重合装置が好ましい。
上記ポリアセタールホモポリマーとしては、上述したように、重合体の末端基が熱的に不安定なため、安定化処理を行うことが好ましく、重合体の末端基をエステル化剤により封鎖し安定化することが好ましい。
エステル化剤は、酸無水物を用いることができる。酸無水物としては、例えば、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水酢酸が挙げられ、好ましくは無水酢酸である。これらエステル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリアセタールコポリマーを得る方法について、以下に述べる。ポリアセタールコポリマーの重合方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塊状重合法が挙げられる。重合方式としては、バッチ式、連続式のいずれも適用可能である。
重合装置としては、以下に限定されるものではないが、例えば、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混錬機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機等が挙げられる。具体的な重合方法としては、溶融状態のモノマーと連鎖移動剤、重合触媒を上記重合装置に供給し、重合の進行とともに固体塊状のポリアセタールコポリマーを得る方法が挙げられる。重合工程後に得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔-(OCH2n-OH基〕が存在する場合があるため、当該不安定な末端部の分解除去処理を実施することが好ましい。
トリオキサンを用いてポリアセタールコポリマーを得る場合、上記1,3-ジオキソラン等のコモノマーは、一般的には、トリオキサン100mol%に対して0.1~60mol%、好ましくは0.1~20mol%、更に好ましくは0.13~10mol%用いられる。
上記ポリアセタールコポリマーの好適な融点は160℃~173℃であり、より好ましくは160℃~170℃、更に好ましくは163℃~167℃である。その融点が163℃~167℃であるポリアセタールコポリマーは、トリオキサン100mol%に対して3.0~6.0mol%程度のコモノマーを用いることにより得ることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合に用いられる重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、より具体的には、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステル又は無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸-3級ブチルエステル、アセチルパークロラート及びトリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。これらの中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び、酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル及び三フッ化ホウ素ジ-n-ブチルエーテルが好適な例として挙げられる。
また、ポリアセタールコポリマーを得る際には、重合触媒に加えて、メチラール等の重合連鎖剤(連鎖移動剤)を適宜用いてもよい。さらにメチラールを用いる際、含有水分量量が100質量ppm以下で含有メタノール量が1質量%以下のもの、より好ましくは、含有水分量が50質量ppm以下で含有メタノール量が0.7質量%以下のメチラールが好ましい。
ポリアセタールコポリマーは、従来公知の方法、例えば、米国特許第3027352号明細書、同第3803094号明細書、独国特許発明第1161421号明細書、同第1495228号明細書、同第1720358号明細書、同第3018898号明細書、特開昭58-98322号公報、及び特開平7-70267号公報に記載の方法によって重合することができる。上記の重合により得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部(-(OCH2n-OH基;以下、「不安定末端部」という。)が存在するため、そのままでは実用に供することは困難である。そこで、不安定末端部の分解除去処理を実施することが好ましく、具体的には、以下に示す特定の不安定末端部の分解除去処理を行うことが好適である。すなわち、その特定の不安定末端部の分解除去処理では、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物の存在下に、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーに対して、それを溶融させた状態で加熱処理を施す。
[R1234+nn- (1)
ここで、式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基;炭素数6~20のアリール基;炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基における少なくとも1個の水素原子が炭素数6~20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は、炭素数6~20のアリール基における少なくとも1個の水素原子が炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基で置換されたアルキルアリール基;を示し、置換又は非置換のアルキル基は直鎖状、分岐状、若しくは環状である。上記置換アルキル基における置換基は、ハロゲン原子、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基であると好ましい。また、上記非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルキルアリール基において、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
nは1~3の整数を示す。
Xは水酸基、又は、炭素数1~20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸若しくは炭素数1~20の有機チオ酸の酸残基を示す。
第4級アンモニウム化合物は、上記一般式(1)で表わされるものであれば特に制限はないが、上記効果をより有効かつ確実に奏する観点から、一般式(1)におけるR1、R2、R3及びR4が、各々独立して、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数2~4のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム等の水酸化物;それらのアンモニウムの塩酸、臭酸、フッ酸等の水素酸塩;それらのアンモニウムの硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、ケイ酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸等のオキソ酸塩;それらのアンモニウムのチオ硫酸等のチオ酸塩;それらのアンモニウムの蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸等のカルボン酸塩が挙げられる。これらの中でも、アンモニウムの水酸化物(OH-)、並びに、硫酸(HSO4 -、SO4 2-)、炭酸(HCO3 -、CO3 2-)、ホウ酸(B(OH)4 -)、及びカルボン酸の塩が好ましい。カルボン酸の中では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が特に好ましい。第4級アンモニウム化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、上記第4級アンモニウム化合物に加えて、公知の不安定末端部の分解促進剤であるアンモニアやトリエチルアミン等のアミン類を併用してもよい。
第4級アンモニウム化合物の使用量は、ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物との合計質量に対する下記式(2)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素量に換算して、好ましくは0.05~50質量ppm、より好ましくは1~30質量ppmである。
P×14/Q (2)
ここで、式(2)中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を示し、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を示す。
第4級アンモニウム化合物の使用量が0.05質量ppm以上であると不安定末端部の分解除去速度の低下を抑制しやすくなり、50質量ppm以下であると不安定末端部の分解除去後のポリアセタールコポリマーの色調の悪化を抑制しやすくなる。
(A)ポリアセタール樹脂の不安定末端部は、融点以上260℃以下の温度でポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理すると、分解除去されるので好ましい。この分解除去処理に用いる装置としては特に制限はないが、押出機、ニーダー等が好適である。分解により発生したホルムアルデヒドは通常、減圧下で除去される。第4級アンモニウム化合物をポリアセタールコポリマー中に存在させる方法には特に制約はなく、例えば、重合触媒を失活する工程において水溶液として添加する方法、重合により生成したポリアセタールコポリマーパウダーに吹きかける方法が挙げられる。いずれの方法を用いても、ポリアセタールコポリマーを加熱処理する工程において、そのコポリマー中に第4級アンモニウム化合物が存在していればよい。例えば、ポリアセタールコポリマーが溶融混練され押し出される押出機の中に第4級アンモニウム化合物を注入してもよい。あるいは、その押出機等を用いて、ポリアセタールコポリマーに充填剤や顔料を配合する場合、ポリアセタールコポリマーを含む樹脂ペレットに第4級アンモニウム化合物をまず添着し、その後の充填剤や顔料の配合時に不安定末端部の分解除去処理を行ってもよい。
不安定末端部の分解除去処理は、重合により得られたポリアセタールコポリマーと共存する重合触媒を失活させた後に行うことも可能であり、重合触媒を失活させずに行うことも可能である。重合触媒の失活処理としては、アミン類(例えばトリエチルアミン)等の塩基性の水溶液中で重合触媒を中和失活する方法が挙げられる。重合触媒の失活を行わない場合、ポリアセタールコポリマーの融点以下の温度で不活性ガス雰囲気下にてそのコポリマーを加熱し、重合触媒を揮発により減少させた後、不安定末端部の分解除去操作を行うことも有効な方法である。
上述のような不安定末端部の分解除去処理により、不安定末端部がほとんど存在しない非常に熱安定性に優れたポリアセタールコポリマーを得ることができる。
(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(以下「MFR」とも記す)は、0.1~100g/10分であることが好ましく、1~80g/10分であることがより好ましく、5~80g/10分であることがさらに好ましく、15~80g/10分であることがよりさらに好ましい。
なお、メルトフローレイトは、ISO 1131-1:2011(JIS K7210-1:2014)に準拠して2.16kgの荷重を用い、190℃で測定した値をいう。
((B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤)
(B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤としては、公知のものを制限なく用いることができ、例えば、上記金属の粒子、無機塩、酸化物、上記金属を担持した無機化合物等が挙げられる。中でも抗菌性に一層優れる観点から、上記金属を担持した無機化合物を用いることが好ましい。上記金属を担持する無機化合物としては、ゼオライト;リン酸ガラス、珪酸ガラス等のガラス;タルク;シリカゲル;ケイ酸塩;リン酸塩;リン酸ジルコニウム;酸化チタン;珪藻土;アルミナなどを用いることができる。銀・銅担持ゼオライト、銀・亜鉛担持アルミナケイ酸塩のようにひとつの無機化合物に二つ以上の金属が担持されていても良い。抗菌性とその持続性により一層優れる観点から、上記金属を担持する無機化合物としてはガラス、ゼオライト、リン酸ジルコニウムが好ましく、より好ましくはガラス又はゼオライト、更に好ましくはリン酸ガラスである。また、熱安定性と抗菌性に一層優れる観点から、含有する元素並びに/又は該元素のイオンとしては、銀、亜鉛が好ましく、銀がより好ましい。上記無機系抗菌剤としての無機化合物中の上記金属の含有量は、無機化合物100質量%に対して、原子として、0.01質量%~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
(B)無機系抗菌剤としての無機化合物の平均粒径は1~10μmが好ましく、1~5μmがより好ましく、2~4μmがさらに好ましい。
(B)無機系抗菌剤は、特定の組成の無機化合物を単独で用いることはもちろんのこと、2種類以上の無機化合物を組み合わせて用いてもよい。
(B)無機系抗菌剤の含有量は(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01~5質量部であり、下限としては、好ましくは0.03質量部、より好ましくは0.05質量部、さらに好ましくは0.05質量部、特に好ましくは0.07質量部である。また、上限としては、好ましくは3質量部、より好ましくは1.1質量部、さらに好ましくは1質量部、さらに好ましくは0.6質量部、特に好ましくは0.5質量部である。(B)無機系抗菌剤の含有量が0.01質量部未満では抗菌性能が不足し、5質量部を超えると樹脂組成物の熱安定性が低下してしまう。
((C)ポリエステル樹脂)
(C)ポリエステル樹脂とは、1種類以上のモノマーがエステル基で結合されたポリマーである。(C)ポリエステル樹脂としては、カルボン酸基を持つモノマーとアルコール基を持つモノマーを脱水縮合(重縮合)させて得られるポリエステルを用いることができ、また、カルボン酸基を持つモノマーとエポキシ基を持つモノマーを開環重合させて得られるポリエステルを用いることができる。モノマーの組み合わせとしては、例えば、ジカルボン酸(ポリカルボン酸)とジオール(ポリオール)を重縮合させる組み合わせや、カルボン酸とアルコール基をもつヒドロキシカルボン酸を重縮合させる組み合わせ等がある。また、ジカルボン酸(ポリカルボン酸)とジエポキシ化合物(ポリエポキシ化合物)を開環重合させる組み合わせや、カルボン酸とエポキシ基を持つモノマーを開環重合させる組み合わせも挙げることができる。代表的なモノマー組成には次のようなものがある。
(1)ポリカルボン酸:フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、グルタコン酸等のジカルボン酸と無水物。
(2)ジオール:エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、ジブロムネオペンチルグリコール等のジオール。
(3)ヒドロキシカルボン酸:乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の1分子中にカルボン酸とヒドロキシル基を有する化合物。
(4)エポキシ:ビスフェノールAとエビクロルヒドリンから合成したエポキシ化合物、エチレングリコールとエビクロルヒドリンから合成したエポキシ化合物、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシ-6’‐メチルシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシ化合物。
(C)ポリエステル樹脂は、酸成分として上記(1)ポリカルボン酸の1種類あるいは2種類以上と、(2)グリコール1種類あるいは2種類以上を重縮合して得られるものが好ましい。より好ましくは、マレイン酸又はフマル酸とビスフェノールAプロピレンオキシド付加物とを重縮合して得られるポリエステル樹脂である。さらにより好ましくはフマル酸とビスフェノールAプロピレンオキシド付加物とを重縮合して得られるポリエステル樹脂である。
(C)ポリエステル樹脂は、通常不飽和ポリエステルに含有される架橋剤としてのビニルモノマー(スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、アクリル酸、ジビニルベンゼン等)、及び架橋を促進するための促進剤(例えばバナジウム金属塩、マンガン系促進剤、第3アミン系促進剤、コバルト系促進剤)を含有しても良い。
(C)ポリエステル樹脂の取り扱いを容易にするため、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート等のエステル化合物を、(C)ポリエステル樹脂と共に用いる溶剤として使用する事も可能である。
(C)ポリエステル樹脂としては、熱安定性と抗菌性とに一層優れる観点から、不飽和ポリエステルが好ましい。不飽和ポリエステルは、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和多塩基酸を1成分として含み、エチレングリコールおよびその多量体、プロピレングリコールおよびその多量体、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールのような多価アルコールとエステル化して得られるものである
(C)ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましくより好ましくは10,000~50,000であることが好ましい。また軟化点は80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上であることが好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値をいう。
(C)ポリエステル樹脂の含有量は(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01~5質量部であり、下限としては、好ましくは0.03質量部、より好ましくは0.05質量部、さらに好ましくは0.10質量部、特に好ましくは0.15質量部である。また、上限としては、好ましくは3質量部、より好ましくは1質量部、さらに好ましくは0.5質量部、さらに好ましくは0.41質量部、特に好ましくは0.25質量部である。(C)ポリエステル樹脂の含有量が0.01質量部未満では熱安定性が得られず、5質量部を超えると力学物性が低下する。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(C)ポリエステル樹脂の含有量(質量割合)は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する、(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧-2X+0.35を満たすことが好ましく、Y≧-2X+0.4を満たすことがより好ましい。(C)ポリエステル樹脂の含有量が上記範囲を満たすとき、(C)ポリエステル樹脂は(B)無機系抗菌剤の働きを助け、組成物の抗菌性が向上する。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(C)ポリエステル樹脂の含有量(質量割合)は、Y≧0.5X-0.1を満たすことが好ましく、Y≧0.5X-0.05を満たすことがより好ましい。(C)ポリエステル樹脂の含有量がこの範囲を満たすとき、射出成形時の熱安定性が向上し樹脂分解によるガス発生量が抑制される。
(他の成分)
本実施形態の樹脂組成物において、(A)ポリアセタール樹脂、(B)無機系抗菌剤、(C)ポリエステル樹脂以外の他の成分として、従来、ポリアセタール樹脂組成物に添加してもよいとされている種々の樹脂及び添加剤等を含有させてもよい。具体的には、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、耐候(光)安定剤、離型剤、顔料及び染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)、潤滑剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、帯電防止剤、流動性改良剤、無機充填剤、補強剤、展着剤、ゴム、強化剤並びに他のポリマー等が挙げられ、これらは本発明の目的達成を損なわない範囲で添加されてもよい。
熱安定剤としては、窒素化合物が挙げられる。たとえば高分子反応性窒素化合物や、非高分子反応性窒素化合物が挙げられる。高分子反応性窒素化合物としては、例えば、分子構造中にアミド結合を有するポリアミド樹脂等が挙げられる。その具体例としては、ポリアミド4,6、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド12、及びこれらを構成するモノマー成分の共重合体が挙げられる。非高分子反応性窒素化合物としては、例えば、グアナミン化合物、メラミン、ヒドラジド化合物、及びこれらとホルムアルデヒドとの反応生成物等が挙げられる。
グアナミン化合物としては、脂肪族グアナミン系化合物、脂環族グアナミン系化合物、芳香族グアナミン系化合物及びヘテロ原子含有グアナミン系化合物が例示できる。
脂肪族グアナミン系化合物の例としては、バレログアナミン、カプログアナミン、ヘプタノグアナミン、カプリログアナミン及びステアログアナミン等のモノグアナミン類;並びに、サクシノグアナミン、グルタログアナミン、アジポグアナミン、ピメログアナミン、スベログアナミン、アゼログアナミン及びセバコグアナミン等のアルキレンビスグアナミン類;等が挙げられる。
脂環族グアナミン系化合物の例としては、シクロヘキサンカルボグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン及びノルボルナンカルボグアナミン等のモノグアナミン類;並びに、それらのシクロアルカン残基に官能基、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基、が1~3個置換した誘導体;等が挙げられる。
芳香族グアナミン系化合物の例としては、ベンゾグアナミン、ベンゾグアナミンのフェニル残基に官能基、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基、が1~5個置換した誘導体(例えば、トルグアナミン、キシログアナミン、フェニルベンゾグアナミン、ヒドロキシベンゾグアナミン、4-(4’-ヒドロキシフェニル)ベンゾグアナミン、ニトリルベンゾグアナミン、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンゾグアナミン及び3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾグアナミン)、ナフトグアナミン、及び、ナフトグアナミンのナフチル残基に官能基、例えば上述の官能基、が1~7個置換した誘導体等のモノグアナミン類;フタログアナミン、イソフタログアナミン、テレフタログアナミン、ナフタレンジグアナミン及びビフェニレンジグアナミン等のポリグアナミン類;並びに、フェニルアセトグアナミン、β-フェニルプロピオグアナミン及びキシリレンビスグアナミン等のアラルキル又はアラルキレングアナミン類;等が挙げられる。
ヘテロ原子含有グアナミン系化合物の例としては、2,4-ジアミノ-6-(3,3-ジメトキシプロピル)-s-トリアジン等のアセタール基含有グアナミン類;[2-(4’-6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)エチル]-1,3-ジオキサン、及び[2-(4’-6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)エチル]-4-エチル-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン等のジオキサン環含有グアナミン類;CTU-グアナミン及びCMTU-グアナミン等のテトラオキソスピロ環含有グアナミン類;並びに、1,3,5-トリス[2-(4’,6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)エチル]イソシアヌレート及び1,3,5-トリス[3-(4’,6’-ジアミノ-s-トリアジン-2’-イル)プロピル]イソシアヌレート等のイソシアヌル環含有グアナミン類等が挙げられる。
また、ヒドラジド化合物としては、脂肪族又は脂環族カルボン酸ヒドラジド及び芳香族カルボン酸ヒドラジドが例示できる。
脂肪族又は脂環族カルボン酸ヒドラジドの例としては、ラウリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、ソルビン酸ヒドラジド等の飽和又は不飽和脂肪酸ヒドラジド;α-オキシ酪酸ヒドラジド、グリセリン酸ヒドラジド等のオキシ脂肪酸ヒドラジド;7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)、並びに、トリス(ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート;等が挙げられる。
芳香族カルボン酸ヒドラジドの例としては、1-ナフトエ酸ヒドラジド、2-ナフトエ酸ヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド及び2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド等が挙げられる。
これら、非高分子反応性窒素化合物の中でも好ましいものは、メラミン、ベンゾグアナミン、ステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、及びこれらとホルムアルデヒドとの反応生成物からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましいものはメラミン、及びメラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物である。
熱安定剤としては、脂肪酸金属塩化合物も挙げられる。
脂肪酸金属塩化合物における脂肪酸は炭化水素基にカルボキシル基が結合した構造を持つ。例えば、炭素-炭素の単結合のみ(炭素-炭素飽和結合)からなる飽和脂肪酸、炭素-炭素の二重結合や三重結合(炭素-炭素不飽和結合)を有する不飽和脂肪酸が挙げられる。なかでも熱エージング性が高い飽和脂肪酸が好ましい。飽和脂肪酸の具体例としては、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデシル酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ナノデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラドコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサドコサン酸(セロチン酸)、オクタドコサン酸(モンタン酸)及びメリシン酸が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、炭素数が14~22の脂肪酸である。具体的には、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ナノデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)及びドコサン酸(ベヘン酸)が挙げられる。更には、これらの中でも、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)及びドコサン酸(ベヘン酸)がより好ましい。より好ましい脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸が挙げられる。
また、脂肪酸金属塩化合物の塩を形成する金属元素としては、アルカリ金属元素又は周期律表第二族元素が好ましく、それらの中でもナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムがより好ましく、カルシウムが特に好ましい。
具体的な脂肪酸金属塩化合物としては、例えば、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム及びベヘン酸カルシウムが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態において好ましい酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3’-メチル-5’-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-テトラデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、1,4-ブタンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。これらの中では、より好ましくは、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態において好ましい耐候(光)安定剤としては、ベンゾトリアゾール系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、並びにヒンダードアミン系光安定剤からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-t-ブチル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール及び2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の具体例としては、2-エトキシ-2’-エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2-エトキシ-5-t-ブチル-2’-エチルオキザリックアシッドビスアニリド及び2-エトキシ-3’-ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドが挙げられる。これらの蓚酸アリニド系紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、及び、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、好ましくはビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらのヒンダードアミン系光安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態において用いられ得る離型剤としては、例えば、アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、並びに、平均重合度が10~500であるオレフィン化合物が挙げられる。これらの中では、ポリオキシアルキレングリコールが好ましい。
顔料としては、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料及び蛍光顔料が挙げられる。ここで、無機系顔料としては、樹脂の着色用として一般的に用いられているものが挙げられ、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩、カーボンブラック、アセチレンブラック及びランプブラックが例示される。また、有機系顔料としては、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系及びフタロシアニン系の顔料が挙げられる。本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、顔料の含有量は、求められる色調により大幅に変化するため明確に規定することは困難であるが、一般的には、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.005~5質量部の範囲程度である。
無機充填剤としては、例えば、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状のものが用いられる。繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、並びに、ステンレス、アルミニウム、チタン、及び真鍮等の金属繊維に代表される無機質繊維が挙げられる。粉粒子状充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、クレー、ケイ藻土及びウォラストナイトのようなケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン及びアルミナのような金属酸化物、硫酸カルシウム及び硫酸バリウムのような金属硫酸塩、炭酸マグネシウム及びドロマイトのような炭酸塩、その他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素及び各種金属粉末が挙げられる。板状充填剤としては、例えば、マイカ、ガラスフレーク及び各種金属箔が挙げられる。中空状充填剤としては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン及び金属バルーンが挙げられる。また、無機充填剤として、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー等のウイスカーを用いてもよい。なお、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等の高融点有機繊維状物質を含有してもよい。
これらの充填剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの充填剤は、表面処理されたもの及び未表面処理のもののいずれであってもよいが、成形表面の平滑性、機械的特性の点から、表面処理されたものの方が好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。表面処理剤として、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤を用いることができる。具体的には、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート及びn-ブチルジルコネートが挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、抗菌性に一層優れる観点から、JIS Z2801に準拠して測定される抗菌活性が、0.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.7以上である。
上記抗菌活性は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、熱安定性に一層優れる観点から、208℃に設定した成形機のシリンダー中に滞留させて樹脂の分解が生じるまでの時間が、3分以上であることが好ましく、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは15分以上、特に好ましくは30分以上である。
上記抗菌活性は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、機械的強度に一層優れる観点から、ISO-527-1に準拠して測定される引張強さが、55MPa以上であることが好ましく、より好ましくは60MPa以上である。
上記引張強さは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、機械的強度に一層優れる観点から、ISO-178に準拠して測定される曲げ弾性率が、2.0GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2.5GPa以上である。
上記引張強さは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(製造方法)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の製造においては、ポリアセタール樹脂と添加される上記各成分との混合は、公知の溶融混合法によって行うことが出来、溶融混合法も何等限定されるものではない。溶融混合温度は、180~240℃が好ましく、この範囲内であれば樹脂を十分に溶融し混合することができ、また溶融樹脂の分解も起こらない。
ポリアセタール樹脂組成物の製造に用いることのできる装置として、例えば、一般に使用されている混練機を適用してもよい。その装置としては、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール及びバンバリーミキサーが挙げられる。加工容易性と生産性との観点から、一軸又は多軸混練押出機がより好ましく用いられる。それらの中でも、二軸押出機が特に好ましく用いられる。
押出機としては、L/D(スクリュー長さ/スクリュー径)が40以上で、かつ、上流側供給口(トップフィード口)以外にも1箇所以上の供給口を有する二軸押出機がより好ましく用いられる。
また、押出機のスクリュー径は、生産性を考慮した場合、量産性と供給安定性との観点から、二軸押出40mm以上であることが好ましい。
上流側以外にも供給口を有する押出機を使用する際、原料は分けて押出機に供給することが可能となる。その組み合わせの一例としては、ポリアセタール樹脂を上流側供給口より供給し、残りの成分全て(例えば、抗菌剤とポリエステルと顔料)を上流側以外の供給口より供給する方法、ポリアセタール樹脂と所望の他の成分の一部又は全部を上流側供給口より供給し、残りを上流側供給口以外より供給する方法が挙げられる。もちろん原料の供給方法は、公知の供給方法であれば、特に制限されることなく採用され得る。
上流側供給口のみを有する押出機を用いる際でも、ポリアセタール樹脂以外の成分を予め混合した混合物を作製しておき、ポリアセタール樹脂を供給するのに用いる供給機とは異なる供給機で押出機に供給することが、樹脂組成物の組成の変動を抑制する観点から好ましい。
本実施形態の樹脂組成物を押出機等で加工する際、加工時にバレル内の一部分を減圧環境とし、不要な揮発成分を除去することが好ましい。その際の減圧度は特に制限はないが、0.06MPa以上とすることが望ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、樹脂ペレットとしてもよい。
樹脂ペレットは、一般的には上述の押出機による加工で得られる。ペレットの形状としては、特に限定されないが、ストランド状に押し出してペレタイズした場合においては、円柱状のペレットが得られ、ホットカット法、アンダーウォーターカット法等で得られたペレットは球状のペレットが得られる。ペレットの寸法についても特に限定されないが、好ましいペレットの粒子径の上限は、3mmである。好ましい下限は1mmである。円柱状ペレットの寸法について好ましい上限は、直径が3mmで、長さが4mmであり、好ましい下限は、直径が1mm、長さが2mmである。後の成形加工時の噛み込み性の観点から、上限が上記寸法であることが好ましく、ペレットのニューマー輸送時の詰まり等を防止するため、下限は、上記寸法であることが好ましい。
(成形体)
本実施形態の成形体は、上記ポリアセタール樹脂組成物を含み、上記ポリアセタール樹脂組成物のみからなっていてもよい。
本実施形態の成形体の形状は特に限定されず、いかなる形状のものも包含される。本実施形態の成形体としては、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、及び金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等で得られた本実施形態の樹脂組成物からなる物品が挙げられる。
上記成形体としては、通常の射出成形品以外に、例えば繊維、シート・フィルム、及び異型押出品等も含む。上記成形体は部品として用いてもよく、具体的な部品としては、例えば歯車(ギア)、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け及びガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、プリンター及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品、VTR、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ及びデジタルカメラに代表されるカメラ又はビデオ機器用部品、カセットプレイヤー、DAT、LD、MD、CD〔CD-ROM、CD-R、CD-RWを含む〕、DVD〔DVD-ROM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、DVD-R DL、DVD+R DL、DVD-RAM、DVD-Audioを含む〕、Blu-ray(登録商標) Disc、HD-DVD、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器、携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品が挙げられる。
また、その成形体は、自動車用の部品等としても用いることも可能であり、例えば、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、スピーカーグリル等に代表されるドア廻り部品、シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品、コンビスイッチ部品、スイッチ類が挙げられる。その他、クリップ類の部品、さらにシャープペンシルのペン先及び、シャープペンシルの芯を出し入れする機構部品、洗面台並びに排水口及び排水栓開閉機構部品、衣料用のコードストッパー、アジャスター及びボタン、散水用のノズル及び散水ホース接続ジョイント、階段手すり部及び床材の支持具である建築用品、使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機(例えば自動販売機の開閉部ロック機構及び商品排出機構部品)、家具、楽器及び住宅設備機器に代表される機器の工業部品としても好適に用いられる。 特に医療、食品分野やその周辺で使用される上記部品に好適に用いられる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例、比較例には以下の原料を用いた。
(A)ポリアセタール樹脂
(A-1)ポリアセタール(商品名「TENAC-C 9520」、旭化成株式会社製、融点:165℃、MFR:30g/10分)
(A-2)ポリアセタール(商品名「TENAC-C 7520」、旭化成株式会社製、融点:165℃、MFR:75g/10分)
(B)無機系抗菌剤
(B-1)銀担持リン酸ガラス(商品名「ミリオンガード PMG721S」、興亜硝子株式会社製、平均粒径:3μm、銀原子含量5質量%)
(B-2)銀担持ゼオライト(商品名「ゼオミック DAW502」、シナネン社製、平均粒径:2.5μm、銀原子含量2.5質量%)
(B-3)酸化亜鉛(商品名「酸化亜鉛一種」、本荘ケミカル製、平均粒径:0.5μm、亜鉛原子含量80質量%)
(C)ポリエステル樹脂
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(ビスフェノールA、1モルに対してプロピレンオキサイドが4モル程度付加した化合物)2240gとフマル酸580g及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、230℃で12時間かけて反応させた後、8.3kPaにて、所定の軟化点になるまで反応させた。軟化点は昇温可能なホットステージにポリエステル樹脂をのせて昇温し、光学顕微鏡(10倍)による目視観察で、樹脂の変形がみとめられた時の温度とした。
(C-1)ポリエステル(上記方法で重合した、重量平均分子量:20000、軟化点:96℃のポリエステル樹脂)
(C-2)ポリエステル(上記方法で重合した、重量平均分子量:45000、軟化点:101℃のポリエステル樹脂)
[ポリアセタール樹脂組成物の製造方法]
上流側に1箇所の供給口を有する同方向回転二軸押出機(商品名「TEM26SS」、東芝機械株式会社製)のシリンダー温度を210℃に設定し、吐出量が14kg/時間となるよう、フィーダーを調整し、原料を、スクリュー回転数150rpmの条件でストランド状に押し出し、冷却し、ペレタイズすることにより、ポリアセタール樹脂組成物からなる樹脂ペレットを得た。この際、原料は、予め均一になるように混合し、一つのフィーダーより押出機に供給した。また、下流側に取り付けた真空吸引ポートより、揮発分及び水分の除去を行った。
[各種評価方法]
各種評価方法の詳細について以下に述べる。
(1)抗菌活性
射出成形機(商品名「EC75N II」)によって試験片(50mm×50mm×3mm厚)を成形した。抗菌性試験は一般財団法人日本食品分析センターに依頼し、方法はJIS Z 2801に準じた。すなわち、試験片の表面に菌数が2.5×10^5~10×10^5個/mLとなるように調整した菌液を0.4ml塗布し、温度35℃、相対湿度90%の培養器中で24時間培養した。無加工フィルム(ポリエチレンフィルム)の培養後菌数の対数値:Uから試験片の培養後菌数の対数値:Aを減じた数を抗菌活性値:Rとした(R=U-A)。培養後の試験片表面の生菌数が0の場合は「>(無加工フィルムの培養後菌数の対数値:U)」とした。菌種は大腸菌を用いた。
(2)シリンダー滞留可能時間
208℃のシリンダー温度に設定した射出成形機(商品名「EC5P」、東芝機械製)のシリンダー内に樹脂組成物を滞留させて、13×3×89mmの成形片を成形した際に、成形片の表面の2/3にシルバーストリークが発生する滞留可能時間(分)を測定した。この滞留可能時間が長いほど熱安定性に優れると判断できる。
なお、30分経過しても、成形片の表面積の2/3にシルバーストリークスが発生しないの場合は、「>30」と表記した。
(3)引張強さ
射出成形機(商品名「EC75N II」、東芝機械製)を用いて、ISO294-1に準拠した多目的試験片(A型)の成形片を成形した。
上記で得られた成形片を用いて、ISO527-1に準拠して、引張速度50mm/minで引張試験を行い、引張強さ(MPa)を測定した。
(4)曲げ弾性率
上記(3)と同様の方法で成形して得られた成形体を用い、ISO178に準拠して、曲げ試験を行い、曲げ弾性率(GPa)を測定した。
(実施例1~23及び比較例1~9)
各成分が表1、2に示す組成となるよう、ポリアセタール樹脂組成物を上述のようにして製造し、上記各種評価方法により評価した。結果を表1、2に示す。
Figure 0007229800000001
Figure 0007229800000002
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、強度、靭性、耐熱性を保持したまま、より一層高い抗菌性も付与できるため、家電、文具、日用品、建築分野、自動車分野等の抗菌性が要求される部品等で好適に利用できる。

Claims (8)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
    (B)銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素並びに/又は該元素のイオンを含有する無機系抗菌剤0.01~5質量部と、
    (C)ポリエステル樹脂0.01~5質量部と、
    を含み、
    (C)ポリエステル樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である、
    ことを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧-2X+0.35の関係を満たす、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.1の関係を満たす、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対する(B)無機系抗菌剤の質量割合をX質量部、(C)ポリエステル樹脂の質量割合をY質量部としたときに、Y≧0.5X-0.05の関係を満たす、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. (B)無機系抗菌剤が、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくともの1種の元素並びに/又は該元素のイオンをガラス又はゼオライトに担持させたものである、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. (B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. (B)無機系抗菌剤が、銀及び/又は銀イオンを、ガラス又はゼオライトに担持させたものである、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
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