JP5878425B2 - ポリアセタール樹脂組成物、及びその成形体 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は下記の通りである。
ポリアセタール樹脂(A)と、炭酸カルシウム(B)とを含み、
下記に示す条件で連続成形を実施した際に、1ショット目の成形体と10ショット目の
成形体の色差△Eが1.2以下であり、
水分率が550〜1200ppmである、ポリアセタール樹脂組成物。
<連続成形>
成形機:型締力40〜80tの射出成形機
シリンダー温度:220℃
金型温度:80℃
成形体:平板
<△E測定>
色差計:JIS Z8722に準拠した色差計
〔2〕
ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)をさらに含む、〔1〕に記載のポリア
セタール樹脂組成物。
〔3〕
前記炭酸カルシウム(B)の含有量が、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に
対して5〜50質量部である、〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔4〕
前記ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)の含有量が、前記ポリアセタール樹
脂(A)100質量部に対して0.001〜1質量部である、〔2〕又は〔3〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を含み、L値が93以上である成形体。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)と、炭酸カルシウム(B)とを含み、
下記に示す条件で連続成形を実施した際に、1ショット目の成形体と10ショット目の成形体の色差△Eが1.2以下である。
<連続成形>
成形機:型締力40〜80tの射出成形機
シリンダー温度:220℃
金型温度:80℃
成形体:平板
<△E測定>
色差計:JIS Z8722に準拠した色差計
ポリアセタール樹脂(A)としては、特に限定されないが、具体的には、ポリアセタールホモポリマー、及びポリアセタールコポリマーが挙げられる。ポリアセタールホモポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド単量体、その3量体(トリオキサン)、又は4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる、実質的にオキシメチレン単位のみを有するポリアセタールホモポリマーが挙げられる。また、ポリアセタールコポリマーとしては、特に限定されないが、具体的には、ホルムアルデヒド単量体、その3量体(トリオキサン)、又は4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、及び1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコール、若しくはジグリコールの環状ホルマール等の、環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、を共重合させて得られたポリアセタールコポリマーが挙げられる。さらに、ポリアセタールコポリマーとして、ホルムアルデヒド単量体又は上記ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルと、を共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体又は上記ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、多官能グリシジルエーテルと、を共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも挙げられる。
ここで、式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1〜30の置換若しくは非置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の置換若しくは非置換アルキル基の少なくとも1個の水素原子が炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;炭素数6〜20のアリール基の少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜30の置換若しくは非置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を示す。ここで、置換若しくは非置換アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン原子、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基であることが好ましい。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。nは1〜3の整数を示す。Xは水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸若しくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を示す。
ここで、式(2)中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を示し、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を示す。
本実施形態に用いる炭酸カルシウム(B)としては、特に限定されないが、具体的には、軽質炭酸カルシウムが挙げられる。その粒子の形状としては、特に限定されないが、具体的には、球形、立方形、紡鍾形、薄片形、不定形が挙げられる。これらのうち、射出成形体の異方性低減、機械的強度向上の観点から、立方形のものが好ましく、粒子の平均長径(L)と平均短径(D)との比であるアスペクト比(L/D)が5以下であるものがより好ましく、3以下であるものがさらに好ましい。また、軽質炭酸カルシウムの結晶形態としては、一般的に知られているカルサイト型、アラゴナイト型及びパテライト型のいずれであってもよく、これらのうち、ポリアセタール樹脂(A)との界面密着性、組成物の機械的物性のバランスを向上させる観点から、カルサイト型のものが好ましい。軽質炭酸カルシウムは、人工的に合成されるものであれば特に限定されず、コロイド状炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム又は活性炭酸カルシウムと呼ばれるものが好ましい。これらの中でも、スラリー状の水酸化カルシウムに二酸化炭素を反応させて製造されたものが好ましい。軽質炭酸カルシウムは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)をさらに含むことができる。ここでホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物とは、ホルムアルデヒドと反応可能な窒素原子を分子内に有する重合体又は化合物である。その具体例としては、特に限定されないが、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。より具体的には、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体が挙げられる。さらに、ホルムアルデヒド反応性窒素を有する重合体又は化合物として、アミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、尿素、尿素誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物、ヒドラジン誘導体も挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、用途に応じて適当な添加剤を配合することができる。具体的には、添加剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、蟻酸捕捉剤、離型剤等が挙げられる。なお、ポリアセタール樹脂組成物における各添加剤の配合量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.8質量部、より好ましくは0.01〜0.7質量部である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。さらに、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が、エージング下でのクラックの抑制改良の観点からより好ましい。これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
蟻酸捕捉剤は蟻酸を効率的に中和し得るものであり、特に限定されないが、例えば、上記のアミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えば、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
離型剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール等のグリコール類アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステルが好ましく用いられるが、より好ましい離型剤としては、エチレングリコールジステアレートが挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、さらに適当な公知の添加剤を必要に応じて配合することができる。具体的には、ヒンダードアミン系やベンゾトリアゾール系の耐候剤、無機充填剤、チッ化ホウ素等の結晶核剤、導電剤、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマー、顔料が挙げられる。
無機充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状の無機充填剤が挙げられる。繊維状無機充填剤としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属繊維等の無機質繊維が挙げられる。また、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー類も繊維状無機充填剤として例示される。
導電剤としては、特に限定されないが、例えば、導電性カーボンブラック、金属粉末又は繊維が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物も熱可塑性樹脂に含まれる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、具体的には、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料が挙げられる。無機系顔料とは樹脂の着色用として一般的に使用されているものをいい、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックが挙げられる。有機系顔料としては、例えば、縮合アゾ系、キノン系、フタロシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ペリレン系、ジオキサジン系の顔料が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、下記条件で連続成形を実施した際に、1ショット目の成形体と10ショット目の成形体の色差ΔEが特定範囲となる。ここで、用語「連続成形」とは、連続的に射出成形を実施することを意味している。連続成形を実施した際の成形体の色差は、連続成形して得られる各成形体の△Eを算出することによって得ることができる。
<連続成形>
成形機:型締力40〜80tの射出成形機
シリンダー温度:220℃
金型温度:80℃
成形体:平板
上述の連続成形を行い、1ショット目と10ショット目の成形体を、JIS Z8722に準拠した色差計(例えば、コニカミノルタ社製CR−200等)で測定して、△Eを求める。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法は特に制限されない。例えば、ポリアセタール樹脂(A)と炭酸カルシウム(B)を、又はポリアセタール樹脂(A)と炭酸カルシウム(B)とホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)と、必要に応じてその他のヒンダードフェノール系酸化防止剤等と、をヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダーなどで予め混合した後、1軸又は多軸混練押出機等を用いて溶融混練するなど、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法として一般的に知られている方法により製造することができる。それらの中でも、減圧装置を備えた2軸混練押出機を用いる方法が好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形する方法は特に制限されるものではない。よって、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによってポリアセタール樹脂組成物を成形することができる。また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体は、必ずしも上記連続成形条件によって成形されなくてもよい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体は、色調に優れる。本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体のL値は、92以上であることが好ましく、93以上であることがより好ましく、94以上であることがより好ましい。このような範囲であればより色調に優れる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体は、様々な用途の成形体に用いることが可能である。そのような成形体としては、例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け、及びガイド等に代表される機構部品;アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品;シャーシ、トレー、側板、プリンター、及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品;VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ、及びデジタルカメラに代表されるカメラ、又はビデオ機器用部品;カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk)、CD(Compact Disk:CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む)、DVD(Digital Video Disk:DVD−ROM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−R DL、DVD+R DL、DVD−RAM(Random Access Memory)、DVD−Audioを含む)、Blu−ray Disc、HD−DVD、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム、及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像、又は情報機器;携帯電話、及びファクシミリに代表される通信機器用部品;電気機器用部品;電子機器用部品が挙げられる。
後述のポリアセタール樹脂組成物を射出成形機(日精製、商品名「PS60E95SE」)を用いて、シリンダー温度を220℃、金型温度を80℃に設定し、射出圧力90MPa、射出時間40秒、冷却時間15秒の射出条件で連続成形して、射出プレートを得た。色差計(コニカミノルタ社製CR−200)でプレートの表裏1点を測定し、L値とb値の平均値をとった。連続成形10ショット目も同様にL値とb値を測定し、1ショット目のプレートとの色差△Eを測定した。
射出成形機(EC−5P 東芝機械株式会社製)に、直径30mmの歯車(モジュール:0.6,歯数:60個,歯幅:3mm,ゲート数:3点,ゲート形状:0.2mm径ピンポイントゲート)が成形可能な金型を取り付け、成形機シリンダー温度を210℃に、金型温度を30℃に設定し、射出圧力・保圧力とも、100MPaに固定し、成形を実施した。200ショット成形後に、金型キャビティー内部及び周辺を観察し、以下の指標でモールドデポジットによる金型汚染状況を評価した。「A」は、MDが認められないことを示し、「B」は、うっすらとMDが認められることを示し、「C」は、明らかな析出物が認められることを示す。この評価が「A」、「B」、「C」の順で、耐MD性が優れることを示す。また、成形体表面に発生する茶色のスジ(茶スジ)の有無を確認した。茶スジがある場合は成形体着色がしやすく、茶スジがない場合は成形体が着色しにくいと判断した。
実施例、比較例において、ポリアセタール樹脂組成物に含有される成分には下記のものを用いた。
熱媒を通すことができるジャケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整した。次いで、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを128.3g/hr(トリオキサン1molに対して、0.039mol)、連鎖移動剤としてメチラール(水分量1.3%、メタノール量0.99%)をトリオキサン1molに対して1.50×10−3molにて連続的に添加した。さらに、重合触媒として三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10−5molにて連続的に添加し重合を行った。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行った。重合触媒が失活したポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過して分離回収した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合し、さらに120℃で乾燥した。水酸化コリン蟻酸塩の添加量の調節は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行った。上記式(2)で表される水酸化コリン蟻酸塩由来の窒素の量に換算して20質量ppmとなる量の水酸化コリン蟻酸塩を添加した。乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中で溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分間で不安定末端部の分解除去処理を行った。不安定末端部が分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下で脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押し出され、ペレット化した。こうして、ペレット化したポリアセタール樹脂(a−1)を得た。得られたポリアセタール樹脂(a−1)のメルトインデックスをASTM−D1238に準じて測定したところ、190℃、2169gの条件下で9g/10分であった(メルトインデックスの測定は以下同様。)。
メルトインデックスが40g/10分になるように連鎖移動剤のメチラールの量を変更した以外はポリアセタール樹脂(a−1)と同様にして、ポリアセタール樹脂(a−2)を得た。
1,3−ジオキソランを42.8g/hr(トリオキサン1molに対して、0.013mol)に変更した以外はポリアセタール樹脂(a−1)と同様にして、ポリアセタール樹脂(a−3)を得た。メルトインデックスは、10g/10分であった。
攪拌羽根の付いた連続式にモノマー等を供給できるタンクに脱水したホルムアルデヒドガス100質量部、触媒としてジメチルジステアリルアンモニウムアセテート0.1質量部を投入した。次いで、そこに、分子量調節剤として無水酢酸を、重合後のポリアセタール樹脂のメルトフローレートが10g/10分となるような量で連続的に供給しながら、58℃で重合した。得られた粗ポリオキシメチレン重合体をヘキサンと無水酢酸との1対1混合溶媒に入れ、140℃で2時間、末端基を化学処理した。得られた重合体を120℃、3時間、1mmHgの条件で真空乾燥した。次に、乾燥したポリオキシメチレン重合体100質量部に対して、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.35質量部添加し、ベント付2軸押出機で溶融混練することによりポリアセタール樹脂(a−4)のペレットを得た。
(B−1):白石工業(株)製、平均粒径150nm、表面未処理、pH=9.4、最多確率空隙半径0.13μm
(B−2):白石工業(株)製、平均粒径150nm、表面未処理、pH=10.2、最多確率空隙半径0.14μm
(A)緻密質石灰石を焼成炉で焼成し、二酸化炭素と生石灰とに分解した。
(B)得られた生石灰に水を加えて水化精製し、スラリー状の消石灰とした。
(C)(A)で得られた二酸化炭素を(B)で得られたスラリー状の消石灰に吹き込んで反応させ、炭酸カルシウムを生成した。
(C−1)日産化学工業(株)製、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、商品名「メラミン」
(C−2)アルドリッチ社製、ベンゾグアナミン
(C−3)アルドリッチ社製、ヒダントイン
(C−4)日本ヒドラジド製、アジピン酸ジヒドラジド、商品名「ADH」
〈脂肪酸〉
川研ファインケミカル(株)製、ステアリン酸、商品名「F−3」(融点64℃)
日東化成(株)製、ステアリン酸カルシウム
ナイロン6,6(10%)−コポリマーアセタール:メルトフローレートが30g/10分のポリアセタールコポリマーと、ギ酸相対粘度VRが22のポリアミド6,6とを質量比9:1で混合し、シリンダー温度が260℃に設定された二軸押出機でそれらの混合物の溶融混練を行った。押し出されたストランドはストランドカッターでペレット化し、これをポリアミド樹脂とした。
BASF社製トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]
実施例、比較例において、ベント付2軸押出機として東芝機械社製TEM48SSを用いた。
ポリアセタール樹脂組成物を、2軸押出機(東芝機械(株)製、商品名「TEM−48SS押出機」、L/D=58.4、ベント付き)を用いて製造した。この押出機100の概略図を図1に示す。この押出機100は、上流側から下流側にかけて各々独立したバレルの領域1〜14と、その最下流側に配置されたダイヘッド15と、バレル内のスクリュー(図示せず)を駆動するための押出機モータ16と、最上流側のバレルの領域1に連結した定量フィーダー17と、それとは異なる定量フィーダー18と、その下流のバレルの領域10に連結した定量フィーダー(サイドフィーダー)19と、さらに下流のバレルの領域13から延びている脱気ベント20とを備える。バレルの領域6は、系内のガスを排出するために大気中に開放されている。ポリアセタール樹脂組成物を、図1に示す押出機100を用いて、下記の製造方法A、Bいずれかにより製造した。
押出機100のバレルの領域1を冷却水により冷却し、バレルの領域2〜4を200℃に、バレルの領域5〜9を210℃に、バレルの領域10を200℃に、バレルの領域11〜14を180℃に、ダイヘッド15を190℃に設定した。この温度条件で、ポリアセタール樹脂(A)を定量フィーダー17から、炭酸カルシウム(B)とステアリン酸との固相状態での混合物を定量フィーダー18からそれぞれ供給した。それと共に、脱気ベント20より真空ポンプ(図示せず)を用いて脱気しながら、スクリュー回転数300rpm、押出量200kg/hの条件で混合物を溶融混練し、ダイヘッド15でダイから溶融混練物を押出し水バスで冷却してポリアセタール樹脂組成物を得た。
炭酸カルシウム(B)とステアリン酸との固相状態での混合物を定量フィーダー18に代えて定量フィーダー19から供給した以外は製造方法Aと同様にして、ポリアセタール樹脂組成物を得た。
各成分を表1に示す割合で配合し、それぞれ表1に示された製造方法により溶融混練を行った。押出されたポリアセタール樹脂組成物を水バスに1.5m浸漬、冷却後にストランドカッターでペレット化した。得られたペレットを三菱化学社製水分計(CA200/VA200)により水分量を測定した(表記は50ppm毎とした)。水分量と得られたペレットについて上述の方法により連続成形した際の色差、MD性を測定した結果を表2に示す。
上記実施例に記載の方法で得られたペレットを、マツイ社製乾燥機(PO−120)を用いて80℃、3時間乾燥した。乾燥後、三菱化学社製水分計(CA200/VA200)により水分量を測定した(表記は50ppm毎とした)。水分量と得られたペレットについて上述の方法により連続成形した際の色差、MD性、及び成形体着色性を測定した結果を表2に示す。
水バスに3m浸漬、冷却した以外は、実施例1〜7と同様に実施した。
各成分を表1に示す割合で配合し、表1に示された製造方法により溶融混練を行った。押出されたポリアセタール樹脂組成物を水バスに3m浸漬、冷却後にストランドカッターでペレット化した。得られたペレットを、マツイ社製乾燥機(PO−120)を用いて80℃、3時間乾燥した。乾燥後、三菱化学社製水分計(CA200/VA200)により水分量を測定した(表記は50ppm毎とした)。水分量と得られたペレットについて上述の方法により連続成形した際の色差、MD性、及び成形体着色性を測定した結果を表2に示す。
各成分を表1に示す割合で配合し、それぞれ表1に示された製造方法により溶融混練を行った。押出されたポリアセタール樹脂組成物を水バスに1.5m浸漬、冷却後にストランドカッターでペレット化した。得られたペレットを三菱化学社製水分計(CA200/VA200)により水分量を測定した(表記は50ppm毎とした)。水分量と得られたペレットについて上述の方法により連続成形した際の色差、MD性、及び成形体着色性を測定した結果を表2に示す。
ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)を0.1質量部とし、水バスに3m浸漬、冷却した以外は、実施例17、21,23と同様に実施した。
Claims (5)
- ポリアセタール樹脂(A)と、炭酸カルシウム(B)とを含み、
下記に示す条件で連続成形を実施した際に、1ショット目の成形体と10ショット目の
成形体の色差△Eが1.2以下であり、
水分率が550〜1200ppmである、ポリアセタール樹脂組成物。
<連続成形>
成形機:型締力40〜80tの射出成形機
シリンダー温度:220℃
金型温度:80℃
成形体:平板
<△E測定>
色差計:JIS Z8722に準拠した色差計 - ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)をさらに含む、請求項1に記載のポリア
セタール樹脂組成物。 - 前記炭酸カルシウム(B)の含有量が、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に
対して5〜50質量部である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。 - 前記ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物(C)の含有量が、前記ポリアセタール樹
脂(A)100質量部に対して0.001〜1質量部である、請求項2又は3に記載のポ
リアセタール樹脂組成物。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を含み、L値が93以
上である成形体。
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