JP2020143256A - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、長期連続成形性時におけるモールドデポジッド性、及び成形品外観性優れ、成形機滞留後の色差変化が少ないポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)顔料0.00001〜5.0質量部と、(C)アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、及びアクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物並びに/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、(D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部と、を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は、結晶性樹脂であり、剛性、強度、靭性、摺動性、及びクリープ性に優れる為、従来から、自動車部品、電気・電子部品、及び工業部品などの機構部品用の材料等として、広範囲に亘って用いられている。
ポリアセタール樹脂は顔料等を添加して着色する場合が多く、主に自動車内装部品等で幅広く採用されている。しかしながらポリアセタール樹脂に顔料を添加した場合、顔料の種類、添加量によっては、熱安定性の低下、成形不良等を引き起こし、安定な生産が困難となる場合がある。
これらの問題を解決するために、従来から、さまざまな技術が提案されている。例えば、ポリアセタール樹脂にアミンポリマー、ポリアミド、アラントインを添加する方法(例えば、下記特許文献1参照)、ポリアセタール樹脂にポリ−β−アラニン重合体とポリアミド6/66/610を添加する方法(例えば、下記特許文献2参照)、ポリアセタール樹脂に窒素含有ヒンダードフェノール化合物とホルムアルデヒド捕捉剤とを添加する方法(例えば、下記特許文献3、4、5参照)、ポリアセタール樹脂にアリール基を含む多価カルボン酸ヒドラジド等を添加する方法(例えば、下記特許文献6参照)等が提案されている。
国際公開第2016/126514号 特開2009−256425号公報 特開平01−315455号公報 特開平06−179798号公報 特開平04−293952号公報 特開2005−312801号公報
しかしながら、上記文献で提案されている各種の方法でポリアセタール樹脂組成物を着色した場合、長期連続成形時に金型内部がモールドデポジッドで汚染され易くなり、得られる成形品の外観性も低下し易くなる問題がある。
そこで、本発明は、長期連続成形性時におけるモールドデポジッド性、及び成形品外観性優れ、成形機滞留後の色差変化が少ないポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、ポリアセタール樹脂に対して、顔料、窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体、特定のポリアミド、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有するポリアセタール樹脂組成物が、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)顔料0.00001〜5.0質量部と、(C)アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、及びアクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物並びに/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、(D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部とを、含有するポリアセタール樹脂組成物。
〔2〕
上記(D)融点が240℃以上のポリアミドがポリアミド66である、上記〔1〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔3〕
上記(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤が窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤である、上記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔4〕
上記窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤がヒドラジン構造を含む、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔5〕
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(C)アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、及びアクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物並びに/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部と、を混合、溶融混錬した後に、(B)顔料0.00001〜5.0質量部と、(D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、を混合し、溶融混錬するポリアセタール樹脂ペレットの製造方法。
本発明によれば、ポリアセタール樹脂組成物を長期連続成形する場合に、金型汚染が少なく、更には得られる成形品の外観性にも優れ、成形機滞留後の色差変化が少ないポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリアセタール樹脂組成物>
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)顔料0.00001〜5.0質量部と、(C)アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、及びアクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物並びに/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、(D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部とを、含有する。
〔(A)ポリアセタール樹脂〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含有される(A)ポリアセタール樹脂は、オキシメチレン基を主鎖に有するポリマーをいい、例えば、ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる、実質上オキシメチレン単位のみからなるポリアセタールホモポリマー;ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール等のグリコール、ジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、又は環状ホルマールとを共重合させて得られるポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマー;等が挙げられる。
さらに、(A)ポリアセタール樹脂としては、両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば、ポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマー;同じく両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば、水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル又は環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマー等も用いることができる。
上記ポリアセタール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のように、(A)ポリアセタール樹脂は、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーいずれも用いることが可能であるが、この中でも、ポリアセタールコモポリマーが好ましい。
また、本実施形態における(A)ポリアセタール樹脂の重合度、コモノマー含量については、特に制限されない。
(ポリアセタールホモポリマー)
上記ポリアセタールホモポリマーは、例えば、モノマーであるホルムアルデヒド、連鎖移動剤(分子量調節剤)及び重合触媒を、炭化水素系重合溶媒を導入した重合反応機にフィードし、スラリー重合法により重合すること等により製造することができる。
この際、原料モノマー、連鎖移動剤、重合触媒には、連鎖移動可能な成分(不安定末端基を生成する成分)、例えば、水、メタノール及び蟻酸等が含まれ得るため、まずこれら連鎖移動可能な成分の含有量を調整することが好ましい。これら連鎖移動可能な成分の含有量は、モノマーであるホルムアルデヒドの合計質量に対して、好ましくは1〜1000質量ppmの範囲であり、より好ましくは1〜500質量ppm、さらに好ましくは1〜300質量ppmである。連鎖移動可能な成分の含有量を上記範囲に調整することにより、熱安定性に優れるポリアセタールホモポリマーを得ることができる。
ポリアセタールホモポリマーの分子量は、無水カルボン酸又はカルボン酸等の分子量調節剤を用いて連鎖移動させることにより、調整することができる。分子量調節剤としては、特に無水プロピオン酸、無水酢酸が好ましく、より好ましくは無水酢酸である。
分子量調節剤の導入量は、目的とするポリアセタールホモポリマーの特性(特にメルトフローレート)に応じて調節し決定する。例えば、ポリアセタールホモポリマーは、メルトフローレート(MFR値(ISO1133に準拠))が、0.1〜100g/10分の範囲になるようにすることが好ましく、1.0g/10分〜70g/10分の範囲になるようにすることがより好ましい。ポリアセタールホモポリマーのMFR値を上記範囲とすることにより、機械強度に優れるポリアセタールホモポリマーを得ることができる。
重合触媒としては、アニオン系重合触媒が好ましく、下記一般式(I)で表されるオニウム塩系重合触媒がより好ましい。
[R1234M]+- ・・・(I)
(式(I)中、R1、R2、R3及びR4は、各々、独立してアルキル基を示し、Mは孤立電子対を持つ元素を示し、Xは求核性基を示す。)
重合触媒は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
オニウム塩系重合触媒のなかでも、テトラエチルホスホニウムイオダイド、トリブチルエチルホスホニウムイオダイドのような第4級ホスホニウム塩系化合物や、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムアセテートのような第4級 アンモニウム塩系化合物が好ましい。
これら第4級ホスホニウム塩系化合物及び第4級アンモニウム塩系化合物等のオニウム塩系重合触媒の添加量は、ホルムアルデヒド1モルに対して0.0003〜0.01molであることが好ましく、より好ましくは0.0008〜0.005mol、さらに好ましくは0.001〜0.003molである。
炭化水素系重合溶媒としては、ホルムアルデヒドと反応しない溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼンなどの溶媒が挙げられ、ヘキサンが特に好ましい。これら炭化水素系溶媒は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリアセタールホモポリマーの製造においては、先ず、重合により粗ポリアセタールホモポリマーを得、続いて、後述するように、不安定末端基に対して安定化処理を施すことが好ましい。
粗ポリアセタールホモポリマーを製造するための重合反応機は、モノマーであるホルムアルデヒド、連鎖移動剤(分子量調節剤)及び重合触媒と、炭化水素系重合溶媒とを同時に供給できる装置であれば、特に限定されるものではないが、生産性の観点から、連続式重合反応機であることが好ましい。
重合により得られた粗ポリアセタールホモポリマーは、末端基が熱的に不安定である。そのため、この不安定末端基を、エステル化剤又はエーテル化剤等で封鎖し、安定化処理することが好ましい。
エステル化による粗ポリアセタールホモポリマーの末端基の安定化処理は、例えば、粗ポリアセタールホモポリマーと、エステル化剤及びエステル化触媒とを、炭化水素系溶媒を導入した末端安定化反応機にそれぞれ投入し、反応させることによって行うことができる。この時の反応温度及び反応時間としては、例えば、反応温度が130〜155℃であり、反応時間が1〜100分間であることが好ましく、反応温度が135〜155℃であり、反応時間が5〜100分間であることがより好ましく、反応温度が140〜155℃であり、反応時間が10〜100分間であることがさらに好ましい。
上記粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を封鎖し、安定化するエステル化剤としては、下記一般式(II)で表される酸無水物を用いることができる。
5COOCOR6 ・・・(II)
(式(II)中、R5及びR6は、各々、独立してアルキル基を示す。R5及びR6は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
当該エステル化剤としては、例えば、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水酢酸が挙げられ、好ましくは無水酢酸である。これらエステル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記エステル化触媒としては、炭素数1〜18のカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、その添加量は、ポリアセタールホモポリマーの質量に対して、1〜1000質量ppmの範囲で適宜選択することができる。炭素数1〜18のカルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプリル酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、当該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。そして、これらカルボン酸のアルカリ金属塩の中でも、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、及び酢酸カリウムが好ましい。
上記粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を封鎖し、安定化するエーテル化剤としては、脂肪族又は芳香族の酸と、脂肪族、脂環式又は芳香族のアルコールとのオルトエステル、例えば、メチルオルトホルメート又はエチルオルトホルメート、メチルオルトアセテート又はエチルオルトアセテート、メチルオルトベンゾエート又はエチルオルトベンゾエート、及びオルトカーボネート、具体的にはエチルオルトカーボネートから選択することができ、p−トルエンスルホン酸、酢酸及びシュウ酸のような中強度有機酸、ジメチルスルフェート及びジエチルスルフェートのような中強度鉱酸等のルイス酸型の触媒を用いて安定化することができる。
粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を、エーテル化により封鎖し安定化するときの、当該エーテル化反応に用いる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼン等の低沸点脂肪族有機溶媒;脂環式及び芳香族炭化水素系有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化低級脂肪族;等の有機溶媒が挙げられる。
上記の方法により末端基が安定化されたポリアセタールホモポリマーを、熱風式乾燥機や真空乾燥機等の乾燥機を用いて、100〜150℃に調整した空気又は窒素ガスを封入し、水分を除去して乾燥することにより、(A)ポリアセタール樹脂としてのポリアセタールホモポリマーが得られる。
(ポリアセタールコポリマー)
まず、ポリアセタールコポリマーの製造で用いる材料、具体的には、トリオキサン、環状エーテル及び/又は環状ホルマール、重合触媒、低分子量アセタール化合物、及び有機溶剤について説明する。
−トリオキサン−
トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルマリン水溶液を反応させることにより得られる。
このトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の連鎖移動させる不純物を含有している場合があるので、例えば、蒸留等の方法でこれら不純物を除去精製することが好ましい。その場合、連鎖移動させる不純物の合計量をトリオキサン1molに対して、1×10-3mol以下とすることが好ましく、0.5×10-3mol以下とすることがより好ましい。不純物の合計量を上記上限以下まで低減化することにより、重合反応速度を実用上十分に高めることができ、生成したポリマーにおいて優れた熱安定性が得られる。
−環状エーテル及び/又は環状ホルマール−
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、上記トリオキサンと共重合可能な成分であり、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクルロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。そして、環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、これらの中でも、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量は、上記トリオキサン1molに対して、1〜20mol%の範囲が好ましく、1〜15mol%の範囲がより好ましく、1〜10mol%の範囲がさらに好ましく、1〜5mol%の範囲が一層好ましい。
−重合触媒−
重合触媒としては、ルイス酸に代表されるホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン化物が挙げられ、特に、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましい。例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートが好適例として挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒の添加量は、上記トリオキサン1molに対して、0.1×10-5〜0.1×10-3molの範囲が好ましく、0.3×10-5〜0.3×10-4molの範囲がより好ましく、0.5×10-5〜0.15×10-4molの範囲がさらに好ましい。重合触媒の添加量が上記範囲内であれば、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
−低分子量アセタール化合物−
低分子量アセタール化合物は、重合反応において連鎖移動剤として機能するものであり、分子量が200以下、好ましくは60〜170のアセタール化合物である。具体的には、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラールを好適例として挙げることができる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
低分子量アセタール化合物の添加量は、重合体の分子量を好適な範囲に制御する観点から、上記トリオキサン1molに対して、0.1×10-4〜0.6×10-2molの範囲が好ましい。
−有機溶剤−
有機溶剤としては、重合反応に関与したり悪影響を及ぼしたりするものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点110.63℃)、キシレン(沸点144℃)のような芳香族炭化水素;n−ヘキサン(沸点69℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、シクロヘキサン(沸点80.74℃)のような脂肪族炭化水素;クロロホルム(沸点61.2℃)、ジクロロメタン(沸点40℃)、四塩化炭素(沸点76.8℃)のようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル(沸点35℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、1,4−ジオキサン(沸点101.1℃)のようなエーテル類等が挙げられ、特に、タール状析出物の抑制の観点から、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素を好適例として挙げることができる。これら有機溶剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の添加量は、トリオキサン1molに対して、0.1×10-3〜0.2molの範囲が好ましく、0.2×10-3〜0.5×10-1molの範囲がより好ましく、0.5×10-3〜0.3×10-1molの範囲がさらに好ましい。有機溶剤の添加量が上記範囲内であるとき、生産性に優れるポリアセタールコポリマーが得られる。
−ポリアセタールコポリマーの重合−
ポリアセタールコポリマーの重合方法としては、特に限定されるものではないが、ポリアセタールホモポリマーの製造に関して既述したスラリー重合法の他に、例えば、塊状重合法、メルト重合法が挙げられる。また、ポリアセタールコポリマーの重合は、バッチ式、連続式のいずれも適用可能である。
重合反応機としては、特に限定されるものではないが、例えば、コニーダー、二軸スクリュー式連続押出混錬機、二軸パドル式連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機が挙げられる。これらの装置は、熱媒を通すことができるジャケットを有することが好ましい。
各材料を重合反応機へ供給した後、重合反応における重合反応機の温度は、63〜135℃に保つことが好ましく、より好ましくは70〜120℃の範囲であり、さらに好ましくは70〜100℃の範囲である。また、重合反応機内の滞留(反応)時間は0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25分であり、さらに好ましくは0.1〜20分である。重合反応機の温度及び滞留時間が上記範囲内であれば、安定した重合反応が継続される傾向にある。
そして、重合反応により、粗ポリアセタールコポリマーが得られる。ここで、重合触媒の失活方法としては、重合反応機から出た粗ポリアセタールコポリマーを、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩類、有機酸塩等の中和失活剤の少なくとも1種を含む水溶液又は有機溶液中に投入し、スラリー状態で数分間〜数時間、室温〜100℃以下の範囲で連続撹拌する方法が挙げられる。この際、粗ポリアセタールコポリマーが大きな塊状である場合には、重合後、一旦粉砕して処理することが好ましい。その後、遠心分離機でろ過し、窒素下で乾燥することにより、ポリアセタールコポリマーが得られる。
得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔−(OCH2n−OH基〕が存在する場合がある(以下、そのようなポリアセタールコポリマーを「末端安定化前のポリアセタールコポリマー」と称することがある)。そのため、この不安定な末端部の分解除去処理(末端安定化)を、末端安定化剤を用いて実施することが好ましい。末端安定化剤としては特に制限されず、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン化合物、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリシウム又はバリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩及びホウ酸塩等のような、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機弱酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、プロピオン酸塩及びシュウ酸塩のような、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機酸塩、等の塩基性物質が挙げられ、これらの中でも、脂肪族アミン化合物が好ましく、トリエチルアミンがさらに好ましい。
不安定な末端部の分解除去方法としては、特に制限はされず、例えば、トリエチルアミン等の末端安定化剤の存在下でポリアセタールコポリマーの融点以上、260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理する方法が挙げられる。熱処理する方法としては、例えば、ベント減圧装置を備えた単軸、又は二軸の押出機が挙げられ、好ましくは二軸押出機である。
上記の方法により末端部が安定化されたポリアセタールコポリマーを、熱風式乾燥機や真空乾燥機等の乾燥機を用いて、100〜150℃に調整した空気又は窒素ガスを封入し、水分を除去して乾燥することにより、(A)ポリアセタール樹脂としてのポリアセタールコポリマーが得られる。
〔(B)顔料〕
顔料としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
顔料は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
無機系顔料としては、樹脂の着色用として一般的に使用されているもの使用でき、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が挙げられる。
有機系顔料としては、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料が挙げられる。
顔料の添加割合は、色調により大幅に変わるため明確にすることは難しいが、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.00001〜5.0質量部であり、好ましくは0.00005〜5.0質量部であり、より好ましくは0.00005〜3.0質量部である。顔料が上記範囲であれば、色調に優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
〔(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体〕
窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体としては、例えば、アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、アクリルアミド重合体等が挙げられる。これらは、各々を単独、或いは併用して用いることができる。
上記アミノ置換トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等が挙げられる。
上記尿素誘導体としては、例えば、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物等が挙げられる。
上記N−置換尿素としては、例えば、アルキル基等の置換基を有するメチル尿素、アルキレンビス尿素、アリール置換尿素が挙げられる。
上記尿素縮合体としては、例えば、尿素とホルムアルデヒドの縮合体等が挙げられる。
上記ヒダントイン化合物としては、例えば、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。
上記ウレイド化合物としては、例えば、アラントイン等が挙げられる。
上記ヒドラジド誘導体としては、例えば、ヒドラジド化合物を挙げることができる。
ヒドラジド化合物は、カルボン酸(含芳香族、脂環)とヒドラジンとの反応により合成される、カルボン酸モノ/又はジヒドラジド化合物やアルキル基置換モノ/又はジヒドラジド化合物である。カルボン酸モノ/又はジヒドラジド化合物を構成するカルボン酸とは、モノカルボン酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸である。ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタリン酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸が挙げられる。また不飽和カルボン酸の例としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸が挙げられる。これらカルボン酸を用いて合成されるカルボン酸モノ(ジ)ヒドラジド化合物は、例えば、カルボジヒドラジン、シュウ酸モノ(ジ)ヒドラジド、マロン酸モノ(ジ)ヒドラジド、コハク酸モノ(ジ)ヒドラジド、グルタル酸モノ(ジ)ヒドラジド、アジピン酸モノ(ジ)ヒドラジド、セバシン酸モノ(ジ)ヒドラジド、ラウリン酸モノ(ジ)ヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、プロピオン酸モノヒドラジド、ラウリン酸モノヒドラジド、ステアリン酸モノヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタリン酸ジヒドラジド、p−ヒドロキシベンゾイックヒドラジン、p−ヒドロキシベンゾイックヒドラジン、1,4−シクロへキサンジカルボン酸ジヒドラジン、アセトヒドラジド、アクリロヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ベンゾヒドラジド、ニコチノヒドラジド、イソニコチノヒドラジド、イソブチルヒドラジン、オレイン酸ヒドラジド等が挙げられる。これらカルボン酸の中でも、アジピン酸、セバシン酸、ラウリン酸等のジカルボン酸が好ましく、アジピン酸モノ(ジ)ヒドラジド、セバシン酸モノ(ジ)ヒドラジド、ラウリン酸モノ(ジ)ヒドラジドが、最も好ましいカルボン酸ヒドラジド化合物である。
これらカルボン酸ヒドラジド化合物の中でも、モノヒドラジド化合物とジヒドラジド化合物の含有率が特定の範囲にある時、とりわけ、長時間連続成形時に発生する炭化物及び変性物の発生抑制と、金型汚染性を改良する事ができる。モノヒドラジド化合物とジヒドラジド化合物の含有率は、カルボン酸モノヒドラジド化合物とジヒドラジド化合物の合計量に対して、モノヒドラジド化合物の含有率が、0.0001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。中でも好ましいモノヒドラジド化合物の含有率が、0.0001〜0.5質量%であり、最も好ましい含有率は、0.0001〜0.1質量%の範囲である。カルボン酸モノヒドラジド化合物の含有率の調整方法は、カルボン酸ジヒドラジド化合物にモノヒドラジド化合物を添加し調整する方法や、前述のカルボン酸とヒドラジンの反応により合成する際、その合成反応条件を調整する方法がある。カルボン酸とヒドラジンとの合成反応条件を調整する方法では、合成反応時に中間体としてモノヒドラジド化合物が生成する。このモノヒドラジド化合物を洗浄除去により、モノヒドラジド化合物の含有率を調整する事が可能である。
上記アミド化合物としては、例えば、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、アントラニルアミド、ポリアクリルアミド共重合体が挙げられる。
上記アクリルアミド重合体としては、第一級アミド基が30〜70mol%であり、0.1〜10μmの平均粒子径を有する粒子状のものが好ましい。
中でも、好ましいアクリルアミド重合体は、架橋型アクリルアミド重合体で且つ平均粒子径が10μm以下のものである。更に好ましくは、平均粒子径が5μm以下のポリアクリルアミドであり、最も好ましくは、架橋型で平均粒子径が3μm以下のポリアクリルアミドである。
上記(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体としては、成形機に滞留する際の色差変化を一層抑えることができる観点から、尿素誘導体、又はアクリルアミド重合体が好ましく、ウレイド化合物又はアクリルアミド重合体がより好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体は、上述した(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.001〜0.07質量部含有される。好ましくは、0.005〜0.07質量部であり、更に好ましくは0.01〜0.05質量部である。(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体の含有量が上記範囲であれば、成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
〔(D)ポリアミド〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(D)ポリアミドの融点は240℃以上であり、好ましくは245℃以上、更に好ましくは250℃以上である。融点が240℃以上のポリアミドを用いることにより、モールドデポジット性、成形機内滞留後の色差変化に一層優れる。
融点が240℃以上のポリアミドとしては、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I/6T等が挙げられる。
これらポリアミドの中でも、ポリアミド66、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I/6Tが好ましく、より好ましいのはポリアミド66である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(D)ポリアミドは、上述した(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.04〜0.5質量部含有される。好ましくは0.05〜0.5質量部であり、更に好ましくは0.05〜0.2質量部である。
(D)ポリアミドが上記範囲であれば、成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
〔(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、4−[[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]−2,6−ジ−t−ブチルフェノール等が挙げられる。
好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン‐3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]であり、これらの中でも、窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
また、窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ヒドラジン構造を含むことが好ましい。これらを踏まえ、窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、長期連続成形性時におけるモールドデポジッド性、及び成形品外観性に一層優れ、成形機滞留後の色差変化が一層少なくなる観点から、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジンがより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の融点は、ポリアセタール樹脂組成物の熱安定性を一層向上させる観点から、50℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましく、225℃以上が一層好ましく、また、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、上述した(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.001〜0.5質量部含有される。好ましくは0.005〜0.5質量部であり、更に好ましくは0.005〜0.3質量部である。
(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤が上記範囲であれば、成形性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
〔(F)添加剤〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、さらに、上述したもののほかに、ギ酸捕捉剤、耐候安定剤、離型剤、潤滑剤、導電剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、無機充填剤又は有機充填剤等の公知の添加剤を含有してもよい。なお、上記添加剤には、上記(A)〜(E)を含まないものとする。
これらの添加剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ギ酸捕捉剤としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩又はアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物;上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、さらには層状複水酸化物が挙げられる。
上記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、例えば、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウム、12ヒドロキシステアリン酸カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシジステアリン酸カルシウムが挙げられる。
ギ酸補捉剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記耐候安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系光安定剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらの化合物はそれぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シュウ酸アリニド系化合物としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドなどが挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、等が挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも好ましい耐候安定剤は、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。
上記離型剤及び潤滑剤としては、例えば、アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーンが好ましいものとして挙げられる。離型剤及び潤滑剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
上記導電剤としては、例えば、導電性カーボンブラック、金属粉末又は繊維が挙げられる。導電剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂としては、樹脂の変性物も含まれる。
上記熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。
その他の樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記無機充填剤としては、例えば、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状の充填剤が用いられる。
繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維が挙げられる。また、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー類も含まれる。
粉粒子状充填剤としては、例えば、タルク、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイト等の珪酸塩;酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
板状充填剤としては、例えば、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔が挙げられる。
中空状充填剤としては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機繊維状充填剤が挙げられる。
これらの充填剤は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用して使用してもよい。これらの充填剤としては、表面処理された充填剤、未表面処理の充填剤、何れも使用可能であるが、成形表面の平滑性、機械的特性の面から、表面処理剤で表面処理の施された充填剤の使用の方が好ましい場合がある。
表面処理剤としては、特に限定されず、従来公知の表面処理剤が使用可能である。
表面処理剤としては、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤、樹脂酸、有機カルボン酸、有機カルボン酸の塩等、界面活性剤が使用できる。具体的には、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
〔ポリアセタール樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法は特に限定されるものではないが、(A)ポリアセタール樹脂と、(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、を混合、溶融混錬(以下「第一工程」と称す)した後、次の工程として、(B)顔料と、(D)融点が240℃以上のポリアミドと、を混合し、再び溶融混錬(以下「第二工程」と称す)することが好ましい。より好ましくは、第一工程で(A)ポリアセタール樹脂と、(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、を混合、二軸押出機により溶融混錬し、ペレット化した後、第二工程で、(B)顔料と、(D)融点が240℃以上のポリアミドと、を混合し、単軸押出機により溶融混錬する方法である。
上述の方法でポリアセタール樹脂組成物を製造することにより、長期連続成形性時におけるモールドデポジッド性、及び成形品外観性優れ、成形機滞留後の色差変化が少ないポリアセタール樹脂組成物(以下、「ポリアセタール樹脂ペレット」と称することがある。)を提供することができる。
上記第一工程は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(C)窒素含有化合物及び/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部と、を混合、溶融混錬することが好ましい。
上記第二工程は、(B)顔料0.00001〜5.0質量部と、(D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、を混合し、溶融混錬することが好ましい。
第一工程、及び第二工程での溶融混錬時における樹脂温度としては、230℃以下が好ましく、より好ましくは220℃であり、さらに好ましくは210℃以下である。溶融混錬時の樹脂温度を上記範囲とすることで、熱安定性に優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
二軸押出機(第一工程)、または単軸押出機(第二工程)の構造については、特に限定されるものではないが、ベント減圧装置を備えた押出機による混練が、熱安定性、及び生産性の観点から好ましい。
第一工程、及び第二工程における原料の混合方法については、特に限定されるものではないが、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー等で混合することができる。
上述で得られたポリアセタール樹脂ペレットを乾燥する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、箱型乾燥機(常圧、真空)、トンネル及びバンド乾燥機、回転及び通気回転乾燥機、溝型撹拌乾燥機、流動層乾燥機、多段円盤乾燥機、噴霧乾燥機、気流乾燥機、赤外線乾燥機、高周波乾燥機などを用いた乾燥方法が挙げられる。
これらの中でも、箱型乾燥機、回転及び通気回転乾燥機、溝型撹拌乾燥機、流動層乾燥機、多段円盤乾燥、機気流乾燥機が好ましく、さらに好ましくは生産性の観点から流動層乾燥機である。
乾燥温度としては、熱媒体の温度として80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。また、乾燥時間としては、ポリアセタール樹脂ペレットの品温が100℃以上に到達した時点を開始時間とした場合に、0〜10時間が好ましく、0〜6時間がより好ましく、1〜6時間がさらに好ましい。
〔ポリアセタール樹脂組成物の成形〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、成形し、成形品として使用することができる。成形する方法については、特に限定はなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法の何れかによって成形することができる。これらの中でも、安定生産性の観点からは、射出成形法が好ましい。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ホットランナー金型を用いた成形などの、材料が高温に長時間曝される金型成形法に用いて、連続成形を行ったとしても、金型の汚染が少ない。
〔ポリアセタール樹脂組成物の成形品の用途〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の成形品は、対金属防錆性に優れ、そのため、様々な用途の成形品として使用することが可能である。例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、軸、軸受け及びガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品またはインサート成形の樹脂部品(シャーシ、トレー、側板部品)、プリンター又は複写機用部品、デジタルカメラ又はデジタルビデオ機器用部品、音楽、映像又は情報機器用部品、通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品用に用いられる。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の成形品は、自動車用の部品として、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品;ドア廻り部品;シートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品;スイッチ類に好適に使用される。
さらに、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の成形品は、住宅設備機器に代表される工業部品としても好適に使用できる。
以下、本実施形態について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において適用した測定・評価方法を下記に示す。
〔測定・評価方法〕
<長期連続成形モールドデポジッド性の評価>
作製したポリアセタール樹脂ペレットを、下記(a)成形条件に従って成形した。そして、このときのモールドデポジッド性を、下記(b)の評価基準で評価した。
(a)成形条件
・射出成形機:東芝機械(株)IS−100GN
・シリンダー設定温度 :220℃
・金型設定温度:60℃
・金型サイズ:130×110mm×3mm
・成形サイクル:射出時間/冷却時間=20/20秒
(b)評価基準
以下の評価基準に基づいて、成形開始から5000ショット目の金型キャビティ内のモールドデポジッド付着状況を観察した。
1:付着物が、観察されなかったか、又は金型キャビティ内の面積の5%未満の範囲で観察された。
2:付着物が、金型キャビティ内の面積の5%以上10%未満の範囲で観察された。
3:付着物が、金型キャビティ内の面積の10%以上15%未満の範囲で観察された。
4:付着物が、金型キャビティ内の面積の15%以上20%未満の範囲で観察された。
5:付着物が、金型キャビティ内の面積の20%以上の範囲で観察された。
<長期連続成形後の成形品表面外観性の評価>
モールドデポジッド性の評価で得られた、成形開始10ショット目の成形品表面と成形開始から5000ショット目の成形品表面の差異を、以下の評価基準に基づいて観察した。
1:シルバーストリークの発生が殆ど無。
2:ゲート部から20mmの範囲にシルバーストリークが発生。
3:ゲート部から50mmの範囲にシルバーストリークが発生。
<成形機滞留後の色差(△E)>
(株)東芝製IS−100GN射出成形機を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度80℃、射出圧力60MPa、射出時30秒、冷却時間15秒で試験片(130×110×3mm)を成形した。
5ショット目を成形している途中(成形機シリンダー内に溶融樹脂が計量され、冷却ゾーンに入っている状態)で成形機を停止し、シリンダー温度220℃を保持した状態で、成形機シリンダー内に溶融樹脂を30分間滞留させた。30分後、再び成形機を起動し、射出成形機内に滞留させていたポリアセタール樹脂を、金型温度80℃、射出圧力60MPa、射出時30秒、冷却時間15秒の条件で成形し試験片を得た。滞留前後の試験片を色差計で測定し、△E値を求めた。
〔原料成分〕
実施例及び比較例に用いた原料成分を、下記に示す。
<(A)ポリアセタール樹脂>
ジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機((株)栗本鐵工所製、径2B、L/D=14.8)を80℃に調整し、下記に示す重合条件(供給速度)にて原料等を供給してポリアセタールコポリマーを重合した。
得られた粗ポリマーの不安定末端基を下記に示す末端安定化条件で除去し、1,3−ジオキソランに由来するコモノマー成分の含有量が4mol%、MFR値が9g/10minのポリアセタールコポリマー(ポリアセタール樹脂(A−1))を得た。
なお、ポリアセタールコポリマーの重合条件(原料の供給速度)及び末端安定化条件を以下に示した。
[重合条件]
以下に示す供給速度で反応機に原料を供給した。
・トリオキサン(主モノマー):3500gr/hr
・1,3−ジオキソラン(コモノマー):120.9gr/hr
・メチラール(低分子量アセタール化合物):2.4gr/hr
・シクロヘキサン(有機溶媒):6.5g/hr
・三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート(重合触媒):0.04g/hr(ホルムアルデヒド1molに対して、三フッ化ホウ素が、0.04×10−4molとなるように供給速度を設定した。)
なお、重合触媒のみ上記の他の成分と別ラインにてフィードした。
[末端安定化条件]
重合反応機から排出された粗ポリアセタールコポリマーを、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中に浸漬し、その後、常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、ポリアセタールコポリマー(ポリアセタール樹脂(A−1))を得た。
<(B)顔料>
B−1:TIOXIDE R−TC30(白顔料)
B−2:デンカブラック(黒顔料)
B−3:Irgazin Red K3842(赤顔料)
<(C)窒素含有化合物、窒素含有重合体>
C−1:メラミン
C−2:アラントイン
C−3:セバシン酸ジヒドラジド
C−4:アクリルアミド重合体(1級アミド量:69.3mol%、平均粒子径:5.2μm)
<(D)ポリアミド>
D−1:ポリアミド66(平均粒子径10μm)
D−2:ポリアミド6/66/610(融点150℃)
<(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤>
E−1:トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート](Irganox 245)
E−2:1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(Irganox MD1024)
〔実施例1〕
(A−1)ポリアセタール樹脂100質量、(C−1)メラミン0.05質量部、(E−1)トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.05質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。
この混合物を200℃に設定された30mmベント付2軸押出機のトップフィード口からフィードし、スクリュー回転数80rpm、ベント減圧度−0.09MPa、吐出量7kg/hrで溶融混錬しペレット化した後、更に、(B−1)TIOXIDE R−TC30(白顔料)0.1質量部、(D−1)ポリアミド(66)0.05質量部を、該ペレットに均一混合し、200℃に設定された30mmベント付単軸押出機のトップフィード口からフィードし、スクリュー回転数40rpm、ベント減圧度−0.09MPa、吐出量5kg/hrで溶融混錬しペレット化した後、当該ペレットを熱風温度100℃で3時間乾燥することによりポリアセタール樹脂ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂ペレットを用いて長期連続成形後のモールドデポジッド性の評価、長期連続成形後の成形品表面外観性の評価、成形機滞留前後の色差(△E)を、上述した方法により測定、評価した。評価結果を下記表1に示す。
〔実施例2〜17、比較例1〜13〕
組成を表1の通りとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、ポリアセタール樹脂ペレットを得た。
〔実施例18〕
(A−1)ポリアセタール樹脂100質量、(B−1)TIOXIDE R−TC30(白顔料)0.1質量部、(C−1)メラミン0.05質量部、(D−1)ポリアミド(66)0.05質量部、(E−1)トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.05質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。
この混合物を200℃に設定された30mmベント付2軸押出機のトップフィード口からフィードし、スクリュー回転数80rpm、ベント減圧度−0.09MPa、吐出量5kg/hrで溶融混錬しペレット化した後、当該ペレットを熱風温度100℃で3時間乾燥することによりポリアセタール樹脂ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂ペレットを用いて長期連続成形後のモールドデポジッド性の評価、長期連続成形後の成形品表面外観性の評価、成形機滞留前後の色差(△E)を、上述した方法により測定、評価した。評価結果を下記表1に示す。
〔実施例19〜21〕
組成を表1の通りとした以外は、比較例14と同様な操作を行い、ポリアセタール樹脂ペレットを得た。
Figure 2020143256
表1に示したように、実施例1〜17で得られたポリアセタール樹脂組成物は、長期連
続成形後のモールドデポジッド性、及び成形品表面外観性に優れ、更には、成形機滞留前
後の色差(△E)に優れた。
一方、比較例1〜13で得られたポリアセタール樹脂組成物は、長期連続成形後のモールドデポジッド性、及び成形品表面外観性が劣り、更には、成形機滞留前後の色差(△E)も大きかった。
実施例18〜21の方法で得られたポリアセタール樹脂組成物に比べ、実施例1〜4の方法で得られたポリアセタール樹脂組成物は、モールドデポジット性、成形品表面外観性、及び色差変化に優れていた。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、長期連続成形性に優れるため、自動車、電機・電子、その他工業などの幅広い分野で好適に利用できる。

Claims (5)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
    (B)顔料0.00001〜5.0質量部と、
    (C)アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、及びアクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物並びに/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、
    (D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、
    (E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部と、
    を含有することを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記(D)融点が240℃以上のポリアミドがポリアミド66である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤が窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記窒素含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤がヒドラジン構造を含む、請求項3に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(C)アミノ置換トリアジン化合物、尿素誘導体、ヒドラジド誘導体、アミド化合物、及びアクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物並びに/又は窒素含有重合体0.001〜0.07質量部と、(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.001〜0.5質量部と、を混合、溶融混錬した後に、
    (B)顔料0.00001〜5.0質量部と、(D)融点が240℃以上のポリアミド0.04〜0.5質量部と、を混合し、溶融混錬する
    ことを特徴とする、ポリアセタール樹脂ペレットの製造方法。
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