JP5908695B2 - 摺動部材及び電子写真画像形成装置に用いられるトナー介在下で使用される機構部品 - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真画像形成装置のトナーが介在する部位に設置される機構部品において、従来成し得なかった自材及び摺動相手材双方の摺動性向上及び摺動音の抑制を実現し、更に電子写真画像形成装置用として好適な成形性(剥離性)を有する機構部品を提供することを目的とする。
〔1〕ポリアセタール樹脂100質量部と、エラストマー0.01〜10質量部と、潤滑剤0.01〜10質量部とを含むポリオキシメチレン樹脂組成物を含有する、トナー型電子写真画像形成装置用機構部品。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
R3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
mは、それぞれ独立に2〜6の整数を示し、
nは、それぞれ独立に1〜1000の整数を示す。)
Gは、下記一般式(3a)で表される2価の基を示し、ヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合を有してもよく、
Eは、それぞれ独立に下記一般式(4)で表される1価の基を示し、2つのEの平均の数平均分子量は5000〜250000である。
R4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
pは、それぞれ独立に2〜6の整数を示し、
q及びrは、それぞれ独立に正の数を示し、
qとrとの合計100%に対してqは2〜98%、rは2〜98%であり、
−(CH(CH2CH3)CH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。)
R5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
tは、それぞれ独立に2〜6の整数を示し、
s及びuは、それぞれ独立に正の数を示し、
sとuとの合計100%に対してsは95〜99.9%、uは5〜0.1%であり、
−((C(R5)2)tO)−単位は−(CH2O)−単位に対してランダムに存在する。))
本実施形態のトナー型電子写真画像形成装置用機構部品(以下、単に「機構部品」とも記す。)は、ポリアセタール樹脂100質量部と、エラストマー0.01〜10質量部と、潤滑剤0.01〜10質量部とを含むポリオキシメチレン樹脂組成物を含有する。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂100質量部と、エラストマー0.01〜10質量部と、潤滑剤0.01〜10質量部とを含有するものである。
[ポリアセタール樹脂]
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂を含む。
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂は、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体、及び(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つを含んでいることが好ましい。ポリアセタール樹脂が(A1)、(A2)及び(A3)成分からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有することにより、得られる機構部品は、成形性(剥離性)に優れ、また、トナーが介在する雰囲気下で使用する場合、摺動性に優れ、摺動音の発生が抑制される。
ポリオキシメチレンホモポリマーは、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、又はその3量体であるトリオキサン若しくは4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを常法により重合し、得られた重合体の両末端をエーテル基又はエステル基により封鎖したものが挙げられる。好適なポリオキシメチレンホモポリマーの数平均分子量は、10000〜500000である。
本実施形態に用いる特定のポリオキシメチレンの線状重合体は、オキシメチレン単位の繰返しよりなる線状重合体の片末端が、下記一般式(1)で表される1価の基(すなわち、アルコールへのアルキレンオキシド付加物残基)、
ここで、本明細書において、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも記す。)測定(ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」とも記す。)換算)により測定される。
ポリオキシメチレンブロック共重合体は、下記一般式(3)で表される数平均分子量10000〜500000の共重合体であり、具体的には、国際公開第01/09213号パンフレットに開示されたポリオキシメチレンブロック共重合体が挙げられ、その公報に記載の方法により調製される。
Eは、それぞれ独立に下記一般式(4)で表される1価の基を示し、2つのEの平均の数平均分子量は5000〜250000であり、好ましくは20000〜100000である。
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂は、前記(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体と、前記(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び/又は前記(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体とからなることが好ましい。
このようなポリアセタール樹脂における、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体及び(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体の含有割合について、(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体の含有割合と、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体の合計含有割合との比(((A1)+(A2))/(A3))が、95/5〜5/95(質量%)であると好ましく、95/5〜20/80(質量%)であるとより好ましく、95/5〜30/70(質量%)であるとさらに好ましく、90/10〜50/50(質量%)であると特に好ましい。((A1)+(A2))/(A3)が、95/5(質量%)以下であることにより、樹脂組成物の二次収縮性の改良効果が十分となり、5/95(質量%)以上であることにより、得られる機構部品の耐摩擦摩耗性が十分に良好となる。また、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマーに対する(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体の配合割合((A2)/(A1))も、本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物から得られる機構部品の機械的特性(剛性)と耐摩擦摩耗性とに影響を与える。この配合割合((A2)/(A1))は、各ポリマーの種類や物性、あるいはその成形体に必要とされる特性を考慮して、100/0〜0/100(質量%)の範囲で任意で選択すればよい。すなわち、本実施形態に用いるポリアセタール樹脂は、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体のいずれか一方のみを含有してもよく、それらの両方を含有してもよい。
本実施形態に用いるエラストマーは、圧縮永久歪(C−セット、100℃、以下同様。)が90〜10%であることが好ましい。さらに本実施形態に用いるエラストマーは、動架橋エラストマーであることが好ましい。エラストマーがこのような動架橋エラストマーであると、得られる機構部品は、成形性(剥離性)に優れ、また、トナーが介在する雰囲気下で使用する場合、摺動性に優れ、摺動音の発生が抑制される。
エラストマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
(2)特開平03−292342号公報に記載されている、油添オレフィン共重合体ゴムと、オレフィン樹脂と、軟化剤とを有機過酸化物で架橋した後に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを添加して動架橋エラストマーを得る方法。
(3)特開平07−11067号公報に記載されている、架橋ゴム含有熱可塑性エラストマーとスチレン系ブロック共重合体と軟化剤とポリオレフィン系樹脂とを混合して動架橋エラストマーを得る方法。
(4)特開平10−287775号公報に記載されている、特定のエチレン−αオレフィン共重合体、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなり水素添加してなるブロック共重合体、プロピレン系重合体、及び、ゴム用オイルからなる混合物をラジカル開始剤及び架橋助剤により架橋して、低硬度熱可塑性エラストマー組成物である動架橋エラストマーを得る方法。
(5)国際公開第2000/61681号パンフレットに記載されている、メタロセン触媒を用いて製造したエチレン−αオレフィン共重合体とオレフィン系樹脂とからなり、架橋度が50%以上であるエチレン−αオレフィン共重合体に、後から熱可塑性エラストマーを添加してゴム組成物である動架橋エラストマーを得る方法。
これらの中では、架橋度を高く制御できる(5)の方法が、動架橋エラストマーを得る方法としてより有効である。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物において、エラストマーの含有割合は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、1〜10質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。エラストマーを前記範囲で含有すると、得られる機構部品は、成形性(剥離性)に優れ、また、トナーが介在する雰囲気下で使用する場合、摺動性に優れ、摺動音の発生が抑制される。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は、(C)潤滑剤を含有する。これにより、得られる機構部品は、トナーが介在する雰囲気下で使用する場合、摺動性に優れる。この潤滑剤は、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であると好ましい。(C)潤滑剤がこのような成分であると、得られる機構部品は、成形性(剥離性)に優れ、また、トナーが介在する雰囲気下で使用する場合、摺動性に優れ、摺動音の発生が抑制される。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は、更に無機充填剤を含有することが好ましい。この無機充填剤は、体積平均粒子径が10μm以下であると好ましい。無機充填剤の形状としては、例えば針状、粒子状、板状が挙げられる。針状の無機充填剤としては、例えば、チタン酸カリ、酸化亜鉛、酸化チタン等のウイスカー、針状ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、微細カーボン繊維、カーボンナノチューブが挙げられる。粒子状の無機充填剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、導電性カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、金属(好ましくは、Ti、Cr、Sb、Ni、Zn、Fe、Co、Al及びCuからなる群より選ばれる2種以上)の複合酸化物、アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。板状の無機充填剤としては、例えば、マイカ、グラファイトが挙げられる。これらの無機充填剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は、従来のポリオキシメチレン樹脂組成物に含まれる安定剤、例えば、熱安定剤、耐候(光)安定剤等の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。熱安定剤としては、例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒドの捕捉剤、ギ酸の捕捉剤、並びにこれらの併用が、その効果をより有効に発揮するので好ましい。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来のポリオキシメチレン樹脂組成物に用いられる各種の添加剤、例えば、潤滑材、耐衝撃改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを含有してもよい。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン樹脂組成物は、例えば、上述の各成分を一般的に使用されている溶融混練機を用いて溶融混練することで製造される。溶融混練機としてはニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機が挙げられる。溶融混練時の加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のために不活性ガスによる置換や、一段及び多段ベントで脱気することが好ましい。
本実施形態の機構部品は、上述のポリオキシメチレン樹脂組成物を所望の形状に成形することによって得られる。その成形方法としては、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、ガスアシスト中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形、あるいは、押出成形品の切削加工等の成形法が挙げられる。本実施形態の機構部品は、上述のポリオキシメチレン樹脂組成物を用いる以外は従来と同様の成形方法によって得られるものであり、その用途に応じて、上述の成形方法を用いて所望の形状に成形して得られる。
以上説明した本実施形態の機構部品は、機械的性能に優れたポリオキシメチレンホモポリマー等の特徴を保持しつつ、トナー介在下での摺動性を向上させたものである。したがって、上述のポリオキシメチレン樹脂組成物を含有する機構部品は、ポリオキシメチレンホモポリマー等の用途拡大に寄与するものであり、トナーが介在するOA機器の機構部品に好適である。
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマーとして、メルトフローレイトが35.0g/10分(ISO 1133 Dに準拠)である両末端がアセチル基で封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマー(旭化成ケミカルズ社製、商品名「テナック7010」、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも記す。)測定(ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」とも記す。)換算)による数平均分子量:54000)を準備した。
(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体を下記のようにして調製した。まず、十分に脱水乾燥されたパラホルムアルデヒドを150℃で熱分解させ、冷却トラップを数回通すことにより、純度99.9%のホルムアルデヒドガスを得た。このホルムアルデヒドガスと、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC18H37O(CH2CH2O)70H(ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物)及び触媒であるテトラブチルアンモニウムアセテートのトルエン溶液とを、それぞれ同時に3時間連続して重合機に供給し、重合体を製造した。この際の重合温度は60℃に維持した。なお、ホルムアルデヒドガスの供給量を1時間当たり110質量部として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを微量添加したC18H37O(CH2CH2O)70H(ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物)及びテトラブチルアンモニウムアセテートのトルエン溶液の供給量を1時間当たり500質量部とした。また、トルエン溶液中におけるテトラブチルアンモニウムアセテートの濃度は1.0×10-4モル/リットル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC18H37O(CH2CH2O)70Hの濃度は5.0×10-3モル/リットルとした。得られた重合体を含むトルエン溶液を供給量に見合って連続的に抜き出し、重合体をろ過によりトルエン溶液から分離した。
回収した重合体100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)(チバガイギー社製、商品名「IRGANOX245」)0.5質量部、ポリ−β−アラニン0.5質量部を添加混合して、ベント付き単軸押出機で溶融混錬してすることにより、重合体組成物((A2)成分)を得た。得られた重合体組成物は、そのメルトフローレイトが17.0g/10分(ISO 1133 Dに準拠)、GPC測定(PMMA換算)による数平均分子量が67000であった。
(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体を下記のようにして調製した。まず、熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を80℃に調整した。該重合機に、水及びギ酸を合わせて4ppm添加したトリオキサンを40モル/時間で供給し、同時にコモノマーである環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを2モル/時間で供給した。それと同時に、前記重合機に、重合触媒として、シクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対して5×10-5モルになるように連続的に供給し、また、連鎖移動剤として、下記式(8)
メルトフローレイト9.1g/10分(ISO 1133 Dに準拠)であるポリオキシメチレンコポリマー(旭化成ケミカルズ社製、商品名「テナック−C 4520」、GPC測定(PMMA換算)による数平均分子量:83000)を準備した。
(B1)ラジカル架橋性エラストマーとしてエンゲージ8180(商品名、デュポンダウエラストマーズ社製、エチレンとオクテンとの共重合体、αオレフィンの共重合体比率28重量%、密度0.863g/cm3、ショアA硬度66)100質量部と、ラジカル架橋性エラストマーとしてブロック共重合体(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン構造を有する共重合体(以下「SBS」と表記する。)、スチレン含有量20質量%、数平均分子量51000、ポリブタジエン部分の水素添加率99%)30質量部、ラジカル架橋性を示さない樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名「MA2」、ASTM D1238に準拠したメルトインデックス15g/10分)40質量部を十分に混合した。
得られた混合物を、バレル中央部に注入口を有する2軸押出機(40mmφ、L/D=47、混練部をバレル中央部の両側に配置、シリンダー温度220℃)のホッパーに投入した。次いで、押出機の中央部の両側の注入口より、ラジカル開始剤(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ25B」)0.4質量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン1.3質量部とをポンプで注入した後、加熱混練して架橋反応させ、更にペレット化して組成物ペレットを得た。この得られた組成物ペレット170質量部を再び2軸押出機(シリンダー温度220℃)のホッパーに投入し、押出機の中央部にある注入口よりオイル(パラフィン系)110質量部を注入した。これらを加熱溶融混練し、さらにペレット化して、動架橋エラストマーを得た。得られた動架橋エラストマーを200℃での圧縮成形により2mm厚のシート状に成形し、各種機械特性を測定した。その結果を下記、及び表1に示す。
1) 引張破断強度(JIS K6251に準拠、23℃で測定):6.3MPa
2) 引張破断伸度(JIS K6251に準拠、23℃で測定):360%
3) 圧縮永久歪(JIS K6301に準拠、100℃×22時間で測定):34%
4) 表面硬度(2mm厚のシートを4枚重ね、ASTM D2240に準拠して測定):66
潤滑剤として下記のものを準備した。
(C1)エチレンプロピレン液状コポリマー(分子量600)
(C2)エチレンブテン共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーA70090」)
(C3)ミリスチン酸セチルエステル
(C4)アジピン酸ジラウレート
(C5)シリコーングラフト化ポリオレフィン樹脂(東レダウコーニング社製、商品名「BY27−219」)
無機充填剤として下記のものを準備した。
(D1)レーザー回折法(日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分析計MT3200II)で測定した体積平均粒子径が3μmであるウォラストナイト。
(D2)レーザー回折法(日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分析計MT3200II)で測定した体積平均粒子径が200nmである炭酸カルシウム。
(1)成形性(剥離)評価
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製、商品名「IS−100GN」)を用いて、金型温度90℃、冷却時間30秒間の条件で、乾燥した上記ペレットから剥離評価用歯車試験片を成形した。この歯車試験片を用いてNTカッターで2mm間隔で縦横6本づつ溝を形成することで25個の升目を形成した。その升目上に住友スリーエム(株)社製24mm幅テープを貼り付け、引き剥がすことにより剥離試験を行った。剥離した升目の数から下記の基準でランク付けした。
◎:剥がれ升目 0個
○:剥がれ升目 1〜5個
△:剥がれ升目 6〜12個
×:剥がれ升目 13個以上
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定されたファナック(株)製、商品名「α50iA」を用いて、金型温度80℃、冷却時間15秒間の条件で、乾燥した上記ペレットから軸受け試験片を成形した。図1は、該軸受け試験片の断面を示した概略図である。
この軸受け試験片を用いて、ヤマテコーポレーション社製、商品名「軸受材 耐異物噛み込み性 測定装置」を、荷重1kg、回転数239rpm、間欠on/off=4/1秒、及び環境温度23℃の条件下で120時間稼動させて摺動試験を行った。当該試験にはトナーとして、市販の下記1)〜3)を用いた。
1)キヤノン社レーザービームプリンタLBP5050に用いられている黒、シアン、マゼンタ及びイエローのカラートナーを取り出し、ポリエチレン袋に各色100gを混合した混合物。
2)富士ゼロックス社カラー複合機DocuCentre−IIC4300に
用いられている黒、シアン、マゼンタ及びイエローのカラートナーを取り出し、ポリエチレン袋に各色100gを混合した混合物。
3)富士ゼロックス社カラー複合機DocuCentre−IIC4300で回収された
廃棄トナー(トナーと磁性体との混合物)。
自材(軸受け試験片)の摩耗量(mg)を測定し、摺動相手材として用いたステンレス鋼SUS416製軸及びメッキ処理した金属軸に発生した摺動痕を下記の基準でランク付けした。
1:摺動痕 なし
2:摺動痕 僅か(薄く、少なく)
3:摺動痕 あり(薄く、多く。又は深く、少なく)
4:摺動痕 多く(深く、多く)
5:摺動痕 無数(全面に深く)
上記(2)の摺動試験時に発生する摺動音を下記の基準でランク付けした。
◎:摺動試験終了まで摺動音の発生なし
○:摺動試験開始から96時間まで摺動音の発生なし
△:摺動試験開始から48時間以内に摺動音が発生
×;試験開始直後から摺動音発生
(A1)成分100質量部からなる(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B1)成分2質量部と、(C1)成分2質量部とをブレンダーで均一に混合してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、210℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いて、スクリュー回転数100rpm、10kg/時間の条件で溶融混練しつつ押し出した。押し出された樹脂組成物はストランドカッターでペレットに成形した。このペレットについて上記評価を行った。その結果を表2に示す。
(A1)成分85質量部と(A2)成分10質量部と(A3)成分5質量部とからなる(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B1)成分2質量部と、(C1)成分2質量部とをブレンダーで均一に混合してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、210℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いて、スクリュー回転数100rpm、10kg/時間の条件で溶融混練しつつ押し出した。押し出された樹脂組成物はストランドカッターでペレットに成形した。このペレットについて上記評価を行った。その結果を表2に示す。
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表2に示す。
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表3に示す。
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表4に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表4に示す。
また、本発明の機構部品は、例えば、電子写真画像形成装置でのトナーが介在する機構部品において、自材及び摺動相手材双方の摺動性向上を実現し、長期使用における画質及び精度の維持並びに作動音発生の低減を実現し、更に電子写真画像形成装置用機構部品として好適な成形性(剥離性)を有し、かつ機械的物性に優れることから、軸受け、歯車、カム、ローラー、アーム、レバー、リンク、ハンドル、取っ手及びガイド等に有用である。
Claims (6)
- ポリアセタール樹脂100質量部と、動架橋エラストマー0.01〜10質量部と、潤滑剤0.01〜10質量部とを含むポリオキシメチレン樹脂組成物を含有する、トナー型電子写真画像形成装置用機構部品。
- 前記ポリアセタール樹脂が、
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、
(A2)片末端に下記一般式(1)で表される1価の基及び下記一般式(2)で表される1価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(x)を有し、該基(x)を除いた部分の数平均分子量が10000〜500000であるポリオキシメチレンの線状重合体、並びに
(A3)下記一般式(3)で表される数平均分子量が10000〜500000であるポリオキシメチレンブロック共重合体
からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1に記載の機構部品。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
R3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
mは、それぞれ独立に2〜6の整数を示し、
nは、それぞれ独立に1〜1000の整数を示す。)
Gは、下記一般式(3a)で表される2価の基を示し、ヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合を有してもよく、
Eは、それぞれ独立に下記一般式(4)で表される1価の基を示し、2つのEの平均の数平均分子量は5000〜250000である。
R4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
pは、それぞれ独立に2〜6の整数を示し、
q及びrは、それぞれ独立に正の数を示し、
qとrとの合計100%に対してqは2〜98%、rは2〜98%であり、
−(CH(CH2CH3)CH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。)
R5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、
tは、それぞれ独立に2〜6の整数を示し、
s及びuは、それぞれ独立に正の数を示し、
sとuとの合計100%に対してsは95〜99.9%、uは5〜0.1%であり、
−((C(R5)2)tO)−単位は−(CH2O)−単位に対してランダムに存在する。)) - 前記ポリアセタール樹脂が、前記(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体と、前記(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び/又は前記(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体とからなり、
前記ポリアセタール樹脂において、(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体の含有割合と、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体の合計含有割合との比((A3)/((A1)+(A2)))が、(95/5)〜(5/95)(質量%)の範囲である、請求項2に記載の機構部品。 - 前記エラストマーの圧縮永久歪(C−Set、100℃)が90〜10%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機構部品。
- 前記潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の機構部品。
- 軸受け、歯車、カム、ローラー、アーム、レバー、リンク、ハンドル、取っ手及びガイドからなる群より選ばれるいずれかである請求項1〜5のいずれか1項に記載の機構部品。
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