JP2003020408A - 電子複写機等の耐トナー性軸受用樹脂組成物 - Google Patents
電子複写機等の耐トナー性軸受用樹脂組成物Info
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- JP2003020408A JP2003020408A JP2001205954A JP2001205954A JP2003020408A JP 2003020408 A JP2003020408 A JP 2003020408A JP 2001205954 A JP2001205954 A JP 2001205954A JP 2001205954 A JP2001205954 A JP 2001205954A JP 2003020408 A JP2003020408 A JP 2003020408A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】摩擦性、対摩耗性や耐衝撃性に優れた、電子電
子複写機、プリンター、ファクシミリなどの軸受に適す
る自己潤滑性樹脂組成物の提供 【解決手段】 潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体
としてのポリノルボルネン系エラストマー1〜20vo
l%、酸化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カ
ーボンブラック5〜10vol%及び残部がポリアセタ
ール樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又
はポリテトラフルオロエチレンなどの自己潤滑性樹脂よ
りなる樹脂組成物。
子複写機、プリンター、ファクシミリなどの軸受に適す
る自己潤滑性樹脂組成物の提供 【解決手段】 潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体
としてのポリノルボルネン系エラストマー1〜20vo
l%、酸化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カ
ーボンブラック5〜10vol%及び残部がポリアセタ
ール樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又
はポリテトラフルオロエチレンなどの自己潤滑性樹脂よ
りなる樹脂組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子複写機、プリ
ンター、ファクシミリなどの耐トナー性ローラ軸受に使
用される、自己潤滑性を有する樹脂組成物に関する。ま
た、本発明は、苛酷な使用条件においても、摩擦性、対
摩耗性や耐衝撃性などに優れ、従来品に比べて経済性に
も優れたローラ軸受組成物に関する。
ンター、ファクシミリなどの耐トナー性ローラ軸受に使
用される、自己潤滑性を有する樹脂組成物に関する。ま
た、本発明は、苛酷な使用条件においても、摩擦性、対
摩耗性や耐衝撃性などに優れ、従来品に比べて経済性に
も優れたローラ軸受組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】事務機器や電気製品などのローラ軸受と
して、自己潤滑性の合成樹脂が使用されている(特開平
8−157688号公報、特開平10−281160号
公報)が、金属とは異なって電気絶縁性をもっているた
め、他の物質との摩擦などで生じた静電気を長時間蓄積
する性質があるので、帯電された静電気による放電、吸
引、反発などの種々の障害を引き起こすことがあり、電
子複写機、プリンター、ファクシミリなどにおけるトナ
ー微粉末が存在する環境下での使用においては、トナー
残存の上で大きな問題があった。
して、自己潤滑性の合成樹脂が使用されている(特開平
8−157688号公報、特開平10−281160号
公報)が、金属とは異なって電気絶縁性をもっているた
め、他の物質との摩擦などで生じた静電気を長時間蓄積
する性質があるので、帯電された静電気による放電、吸
引、反発などの種々の障害を引き起こすことがあり、電
子複写機、プリンター、ファクシミリなどにおけるトナ
ー微粉末が存在する環境下での使用においては、トナー
残存の上で大きな問題があった。
【0003】 静電気は、物
質同士の摩擦・接触により生ずるから、その発生を防ぐ
ことは困難ではあるが、上記のような状態を避けるため
に、摺動部材に使用するときに導電性を付与する目的
で、合成樹脂に炭素繊維、金属粉末、カーボンブラック
などを素材に添加することが提案された(特開平1−2
83432号公報、特開平5−117677号公報、特
開平7−3167号公報、特開平9−32851号公
報、特開2000−129081公開公報)。
質同士の摩擦・接触により生ずるから、その発生を防ぐ
ことは困難ではあるが、上記のような状態を避けるため
に、摺動部材に使用するときに導電性を付与する目的
で、合成樹脂に炭素繊維、金属粉末、カーボンブラック
などを素材に添加することが提案された(特開平1−2
83432号公報、特開平5−117677号公報、特
開平7−3167号公報、特開平9−32851号公
報、特開2000−129081公開公報)。
【0004】しかしながら、上記の導電性を付与された
合成樹脂素材から形成されたローラ軸受では、電子複写
機、プリンター、ファクシミリなどにおいてトナーの存
在する状態で使用すると、静電気の場合と同様に、回転
トルクの上昇や異音の発生といった問題が生じた。上記
のような、トナーの存在による影響の問題を解消するた
めに、非常に軟かい合成樹脂、例えばポリノルボルネン
樹脂を使用した軸受用組成物も提案された(特開平11
−335571号公報)が、ポリノルボルネン樹脂を使
用するこの技術では、製品の強度強化や導電性付与の目
的で、金属粉末を使用しており、ポリノルボルネン樹脂
と金属粉末との相互作用の影響で同様に上記問題を解消
することができなかった。
合成樹脂素材から形成されたローラ軸受では、電子複写
機、プリンター、ファクシミリなどにおいてトナーの存
在する状態で使用すると、静電気の場合と同様に、回転
トルクの上昇や異音の発生といった問題が生じた。上記
のような、トナーの存在による影響の問題を解消するた
めに、非常に軟かい合成樹脂、例えばポリノルボルネン
樹脂を使用した軸受用組成物も提案された(特開平11
−335571号公報)が、ポリノルボルネン樹脂を使
用するこの技術では、製品の強度強化や導電性付与の目
的で、金属粉末を使用しており、ポリノルボルネン樹脂
と金属粉末との相互作用の影響で同様に上記問題を解消
することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上記の問題点を解消し、電子複写機、プリンター
やファクシミリにおける現像部のようなトナーが存在す
る環境下においても、摩擦、磨耗特性や耐衝撃性に優れ
た軸受け用組成物を提供することを目的とするものであ
る。上記目的を達成するため、本発明者などは、鋭意研
究を重ねた結果、ポリノルボルネン系ラストマーに対し
て酸化亜鉛ウィスカー及び導電性カーボンブラックを加
えた組成物が自己潤滑性に優れ、導電性軸受け部材とし
て極めて有用であることを知見し、本発明を完成するに
至った。
おける上記の問題点を解消し、電子複写機、プリンター
やファクシミリにおける現像部のようなトナーが存在す
る環境下においても、摩擦、磨耗特性や耐衝撃性に優れ
た軸受け用組成物を提供することを目的とするものであ
る。上記目的を達成するため、本発明者などは、鋭意研
究を重ねた結果、ポリノルボルネン系ラストマーに対し
て酸化亜鉛ウィスカー及び導電性カーボンブラックを加
えた組成物が自己潤滑性に優れ、導電性軸受け部材とし
て極めて有用であることを知見し、本発明を完成するに
至った。
【0006】すなわち、本発明は、以下の構成を基本と
する。 (1)潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体としての
ポリノルボルネン系エラストマー1〜20vol%、酸
化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カーボンブ
ラック5〜10vol%及び残部が自己潤滑性樹脂より
なることを特徴とする、電子複写機、プリンター、ファ
クシミリなどにおけるトナー供給ローラの軸受けに適す
る自己潤滑性樹脂組成物。 (2)潤滑油が、スピンドル油、タービン油、マシン
油、ダイナモ油などの芳香族系潤滑油、ナフテン系潤滑
油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポリグリ
コール又はシリコーンなどの合成油のいずれかであるこ
とを特徴とする(1)の上記自己潤滑性樹脂組成物。 (3)自己潤滑性樹脂が、ポリアセタール樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート又はポリテトラフル
オロエチレンのいずれかであることを特徴とする上記
(1)又は(2)記載の上記自己潤滑性樹脂組成物。 (4)酸化亜鉛ウィスカーが、長さ2〜5Oμm及び直
径0.2〜3μmの範囲のものであることを特徴とする
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の自己潤滑性樹脂
組成物。 (5)導電性カーボンブラックが、N2吸着によるBE
T式表面積が、850m 2/g以上のものであることを
特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の上記
自己潤滑性樹脂組成物。
する。 (1)潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体としての
ポリノルボルネン系エラストマー1〜20vol%、酸
化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カーボンブ
ラック5〜10vol%及び残部が自己潤滑性樹脂より
なることを特徴とする、電子複写機、プリンター、ファ
クシミリなどにおけるトナー供給ローラの軸受けに適す
る自己潤滑性樹脂組成物。 (2)潤滑油が、スピンドル油、タービン油、マシン
油、ダイナモ油などの芳香族系潤滑油、ナフテン系潤滑
油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポリグリ
コール又はシリコーンなどの合成油のいずれかであるこ
とを特徴とする(1)の上記自己潤滑性樹脂組成物。 (3)自己潤滑性樹脂が、ポリアセタール樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート又はポリテトラフル
オロエチレンのいずれかであることを特徴とする上記
(1)又は(2)記載の上記自己潤滑性樹脂組成物。 (4)酸化亜鉛ウィスカーが、長さ2〜5Oμm及び直
径0.2〜3μmの範囲のものであることを特徴とする
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の自己潤滑性樹脂
組成物。 (5)導電性カーボンブラックが、N2吸着によるBE
T式表面積が、850m 2/g以上のものであることを
特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の上記
自己潤滑性樹脂組成物。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記知見に基づいてなさ
れた本発明は、潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体
としてのポリノルボルネン系エラストマー1〜20vo
l%、酸化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カ
ーボンブラック5〜10vol%及び残部自己潤滑性樹
脂より己潤滑性樹脂組成物を電子複写機などのローラ軸
受の成形素材として使用することによって上記課題を解
決することができた。
れた本発明は、潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体
としてのポリノルボルネン系エラストマー1〜20vo
l%、酸化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カ
ーボンブラック5〜10vol%及び残部自己潤滑性樹
脂より己潤滑性樹脂組成物を電子複写機などのローラ軸
受の成形素材として使用することによって上記課題を解
決することができた。
【0008】本発明における自己潤滑性樹脂組成物に使
用する潤滑油は、スピンドル油、タービン油、マシン
油、ダイナモ油のような芳香族系潤滑油、ナフテン系潤
滑油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポリグ
リコール又はシリコーンなどの合成油のいずれかが適当
である。また、自己潤滑性樹脂は、ポリアセタール樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテ
トラフルオロエチレンのいずれかを使用することが好ま
しいさらに、酸化亜鉛ウィスカーは、長さ2〜50μ
m、直径0.2〜3μm野茂のを使用する。そして、導
電性カーボンブラックは、N2吸着によるBET式表面
積が、850m2/g以上のものを使用するのがよい。
用する潤滑油は、スピンドル油、タービン油、マシン
油、ダイナモ油のような芳香族系潤滑油、ナフテン系潤
滑油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポリグ
リコール又はシリコーンなどの合成油のいずれかが適当
である。また、自己潤滑性樹脂は、ポリアセタール樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテ
トラフルオロエチレンのいずれかを使用することが好ま
しいさらに、酸化亜鉛ウィスカーは、長さ2〜50μ
m、直径0.2〜3μm野茂のを使用する。そして、導
電性カーボンブラックは、N2吸着によるBET式表面
積が、850m2/g以上のものを使用するのがよい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成と作用を説明
する。本発明の組成物において、潤滑油の配合量は2〜
40vol%の範囲が好適である。潤滑油の配合量が、
2vol%未満では、滑り摩擦抵抗を十分に低下させる
ことができない。一方、40vol%を超えると、潤滑
油が過剰に浸出して摺動面に存在するトナーなどの微粉
末が固まりやすくなり、摺動抵抗が増大する問題があ
る。
する。本発明の組成物において、潤滑油の配合量は2〜
40vol%の範囲が好適である。潤滑油の配合量が、
2vol%未満では、滑り摩擦抵抗を十分に低下させる
ことができない。一方、40vol%を超えると、潤滑
油が過剰に浸出して摺動面に存在するトナーなどの微粉
末が固まりやすくなり、摺動抵抗が増大する問題があ
る。
【0010】潤滑油には、上述するようにスピンドル
油、タービン油、マシン油、芳香族系潤滑油、ナフテン
系潤滑油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポ
リグリコール又はシリコーンなどの合成油などが使用可
能であるが、潤滑油保持体として配合するポリノルボネ
ン系エラストマーとの適合性を考慮して選択することが
必要である。潤滑油保持体としては、多孔性であり、多
量の潤滑油を吸収することのできる、ポリノルボルネン
系エラストマーが好適である。好ましい配合量は、1〜
20vol%である。上記配合量の下限未満では、十分
な潤滑油を配合できず、摺動抵抗が増大する。逆に上限
を超えた配合は、主成分である自己潤滑性樹脂の特性が
減少し、全体としての機械的強度の不足や耐熱性の低下
をもたらす。
油、タービン油、マシン油、芳香族系潤滑油、ナフテン
系潤滑油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポ
リグリコール又はシリコーンなどの合成油などが使用可
能であるが、潤滑油保持体として配合するポリノルボネ
ン系エラストマーとの適合性を考慮して選択することが
必要である。潤滑油保持体としては、多孔性であり、多
量の潤滑油を吸収することのできる、ポリノルボルネン
系エラストマーが好適である。好ましい配合量は、1〜
20vol%である。上記配合量の下限未満では、十分
な潤滑油を配合できず、摺動抵抗が増大する。逆に上限
を超えた配合は、主成分である自己潤滑性樹脂の特性が
減少し、全体としての機械的強度の不足や耐熱性の低下
をもたらす。
【0011】酸化亜鉛ウィスカーの配合割合は、1〜2
0vol%が望ましい。1vol%未満の添加は、強度
が不十分であり、熱伝導性も低下する。20vol%を
超えると、製品の脆化が著しくなり、摺動部分の表面平
滑性が低下する。補強充填材としての酸化亜鉛ウィスカ
ーは、微細な短繊維であり、テトラポッド状の結晶構造
を有しているので、これが配合されても、軸材摺動部分
の平滑性を悪化させることがなく、摩耗量を抑制するこ
とができる。また、酸化亜鉛ウィスカーは、それ自体の
表面硬度が低いため、一般的な強化繊維や補強充填材と
比較して含油樹脂軸受の表面硬度をさほど上昇させな
い。したがって、摺動部分に侵入したトナーなどが内部
に取り込まれ、摺動部分の滑り摩擦抵抗の増大を効果的
に防止することができる。
0vol%が望ましい。1vol%未満の添加は、強度
が不十分であり、熱伝導性も低下する。20vol%を
超えると、製品の脆化が著しくなり、摺動部分の表面平
滑性が低下する。補強充填材としての酸化亜鉛ウィスカ
ーは、微細な短繊維であり、テトラポッド状の結晶構造
を有しているので、これが配合されても、軸材摺動部分
の平滑性を悪化させることがなく、摩耗量を抑制するこ
とができる。また、酸化亜鉛ウィスカーは、それ自体の
表面硬度が低いため、一般的な強化繊維や補強充填材と
比較して含油樹脂軸受の表面硬度をさほど上昇させな
い。したがって、摺動部分に侵入したトナーなどが内部
に取り込まれ、摺動部分の滑り摩擦抵抗の増大を効果的
に防止することができる。
【0012】上記酸化亜鉛ウィスカーの繊維長は、2〜
50μm、繊維径は0.2〜3μmのものが好ましい。
繊維長、繊維径が下限未満では、十分な補強効果が得え
られず、機械的強度が不足したり、摩耗量が増大したり
することがある。逆に上限を超えると、摺動部分の平滑
性が損なわれる恐れがある。本発明では、酸化亜鉛ウィ
スカーとともに補充充填材として導電性カーボンを使用
することも重要である。添加した導電性カーボンブラッ
クは、ポリノルボルネン系エラストマーと共同して潤滑
油を吸収・保持する単体の役割をすると共に、樹脂組成
物に導電性を付与し、静電気の帯電によるトラブルを改
善する。
50μm、繊維径は0.2〜3μmのものが好ましい。
繊維長、繊維径が下限未満では、十分な補強効果が得え
られず、機械的強度が不足したり、摩耗量が増大したり
することがある。逆に上限を超えると、摺動部分の平滑
性が損なわれる恐れがある。本発明では、酸化亜鉛ウィ
スカーとともに補充充填材として導電性カーボンを使用
することも重要である。添加した導電性カーボンブラッ
クは、ポリノルボルネン系エラストマーと共同して潤滑
油を吸収・保持する単体の役割をすると共に、樹脂組成
物に導電性を付与し、静電気の帯電によるトラブルを改
善する。
【0013】金属粉末を添加しても導電性が付与され、
静電気の帯電防止は行なわれるが、潤滑油吸収は行なわ
れず、樹脂組成物を硬化させて、トナーなどの微粒子を
補足することができず、摺動抵抗を増大する恐れがあ
る。上記の特性を発揮できるのは、樹脂組成物中に5〜
10vol%の導電性カーボンブラックを配合したとき
である。5vol%未満では体積抵抗値が十分に得られ
ず、7vol%を超えると、耐トナー性が低下する。
静電気の帯電防止は行なわれるが、潤滑油吸収は行なわ
れず、樹脂組成物を硬化させて、トナーなどの微粒子を
補足することができず、摺動抵抗を増大する恐れがあ
る。上記の特性を発揮できるのは、樹脂組成物中に5〜
10vol%の導電性カーボンブラックを配合したとき
である。5vol%未満では体積抵抗値が十分に得られ
ず、7vol%を超えると、耐トナー性が低下する。
【0014】上記した各成分の残部として自己潤滑性樹
脂を使用する。自己潤滑性樹脂としては、ポリアセター
ルや、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロ
エチレンなどが挙げられる。本発明の樹脂組成物は上記
した各成分の他に、必要に応じ、例えば紫外線吸収剤、
劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤などを配合す
ることができる。
脂を使用する。自己潤滑性樹脂としては、ポリアセター
ルや、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロ
エチレンなどが挙げられる。本発明の樹脂組成物は上記
した各成分の他に、必要に応じ、例えば紫外線吸収剤、
劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤などを配合す
ることができる。
【0015】
【実施例】実施例に基いて本発明の実施態様を具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 潤滑油担体としてのポリノルボネン系合成エラストマー
(商品名:「ノルソレックス」日本ゼオン株式会社製)
8vol%に対して、潤滑油としての鉱物油(商品名:
「ダフニースーパーメカニックオイル100」出光石油
株式会社製)16vol%を添加してヘンシェルミキサ
ーで混合したのち、常温で12時間放置し、両者が均一
に相溶した泥状の混合物を得た。上記混合物に、自己潤
滑性樹脂として、ポリアセタール樹脂粉末(商品名:
「ジュラコンM90−02」ポリプラスチック株式会社
製)62vol%と酸化亜鉛ウィスカー(商品名:「パ
ナテトラ」松下アムテック社製)8vol%及び導電性
カーボンブラック(商品名:「ケッチェンブラックE
C」ライオンアクゾ社製)6vol%を添加して、再び
ヘンシェルミキサーで混合し、含油樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を押出してペレットに裁断し、この
ペレットを用いて射出成形により外径12mm、内径6
mm、長さ4mmの含油樹脂軸受を成形した。この軸受
に、焼き入れをしていない、表面粗さ3sの炭素鋼(S
45C)製軸を受容させ、軸荷重:5kgf、軸回転
数:600rpm、評価時間:48時間の条件で摩擦摩
耗試験を行なった。実験結果を表1に示す。なお、表1
に比較例の含油樹脂組成物配合割合と、これらを実施例
1と同様の手法により成形した軸受に、同じ条件で摩擦
摩耗試験を行なった結果を記載した。
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 潤滑油担体としてのポリノルボネン系合成エラストマー
(商品名:「ノルソレックス」日本ゼオン株式会社製)
8vol%に対して、潤滑油としての鉱物油(商品名:
「ダフニースーパーメカニックオイル100」出光石油
株式会社製)16vol%を添加してヘンシェルミキサ
ーで混合したのち、常温で12時間放置し、両者が均一
に相溶した泥状の混合物を得た。上記混合物に、自己潤
滑性樹脂として、ポリアセタール樹脂粉末(商品名:
「ジュラコンM90−02」ポリプラスチック株式会社
製)62vol%と酸化亜鉛ウィスカー(商品名:「パ
ナテトラ」松下アムテック社製)8vol%及び導電性
カーボンブラック(商品名:「ケッチェンブラックE
C」ライオンアクゾ社製)6vol%を添加して、再び
ヘンシェルミキサーで混合し、含油樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を押出してペレットに裁断し、この
ペレットを用いて射出成形により外径12mm、内径6
mm、長さ4mmの含油樹脂軸受を成形した。この軸受
に、焼き入れをしていない、表面粗さ3sの炭素鋼(S
45C)製軸を受容させ、軸荷重:5kgf、軸回転
数:600rpm、評価時間:48時間の条件で摩擦摩
耗試験を行なった。実験結果を表1に示す。なお、表1
に比較例の含油樹脂組成物配合割合と、これらを実施例
1と同様の手法により成形した軸受に、同じ条件で摩擦
摩耗試験を行なった結果を記載した。
【0016】
【表1】
【0017】上表に示された結果から、本発明樹脂組成
物によって形成された軸受は、表面硬度が低く、体積抵
抗値も実用的範囲にあると共に、温度上昇も少なく、表
面平滑性、耐トナー性に優れていることが確認された。
物によって形成された軸受は、表面硬度が低く、体積抵
抗値も実用的範囲にあると共に、温度上昇も少なく、表
面平滑性、耐トナー性に優れていることが確認された。
【0018】
【発明の効果】本発明の自己潤滑性樹脂組成物から作成
された電子電子複写機、プリンター、ファクシミリなど
におけるトナーを用いる環境下のローラ軸受は、苛酷な
使用条件に使用しても、摩擦性、対摩耗性や耐衝撃性な
どの特性が十分に発揮され、しかも従来品に比べて経済
性が高く、産業上極めて有用である。
された電子電子複写機、プリンター、ファクシミリなど
におけるトナーを用いる環境下のローラ軸受は、苛酷な
使用条件に使用しても、摩擦性、対摩耗性や耐衝撃性な
どの特性が十分に発揮され、しかも従来品に比べて経済
性が高く、産業上極めて有用である。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C10M 107/34 C10M 107/34
107/50 107/50
125/02 125/02
125/10 125/10
143/00 143/00
143/16 143/16
145/22 145/22
145/24 145/24
147/02 147/02
149/18 149/18
F16C 33/20 F16C 33/20 A
// C10M 169/04 C10M 169/04
(C08L 101/00 C08L 91:00
91:00 45:00
45:00 65:00
65:00) C10N 10:04
C10N 10:04 20:00 Z
20:00 20:06 B
20:06 30:06
30:06 40:02
40:02
Fターム(参考) 3J011 AA07 AA20 BA01 DA01 JA02
KA01 MA01 MA12 MA22 RA03
SC03 SC05 SC12 SC13
4H104 AA04C AA13C BB31A CA14C
CB13C CB14A CB14C CD02C
CE13C CJ02A DA02A EA01C
EA10C EA14C FA02 LA03
PA01
4J002 AE052 BB011 BD151 BK003
CB001 CE003 CF061 CF071
CL001 CP032 DA037 DE106
FA066 GM05
Claims (5)
- 【請求項1】 潤滑油2〜40vol%、潤滑油保持体
としてのポリノルボルネン系エラストマー1〜20vo
l%、酸化亜鉛ウィスカー1〜20vol%、導電性カ
ーボンブラック5〜10vol%及び残部が自己潤滑性
樹脂よりなることを特徴とする自己潤滑性樹脂組成物。 - 【請求項2】 潤滑油が、スピンドル油、タービン油、
マシン油、ダイナモ油などの芳香族系潤滑油、ナフテン
系潤滑油、パラフィン系潤滑油、炭化水素エステル、ポ
リグリコール又はシリコーンなどの合成油のいずれかで
あることを特徴とする請求項1記載の自己潤滑性樹脂組
成物。 - 【請求項3】 自己潤滑性樹脂が、ポリアセタール樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はポリ
テトラフルオロエチレンのいずれかであることを特徴と
する請求項1又は2記載の自己潤滑性樹脂組成物。 - 【請求項4】 酸化亜鉛ウィスカーが、長さ2〜50μ
m及び直径0.2〜3μmの範囲のものであることを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自己潤滑性樹
脂組成物。 - 【請求項5】 導電性カーボンブラックが、N2吸着に
よるBET式表面積が、850m2/g以上のものであ
ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電
子複写機などのローラ軸受用自己潤滑性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001205954A JP2003020408A (ja) | 2001-07-06 | 2001-07-06 | 電子複写機等の耐トナー性軸受用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001205954A JP2003020408A (ja) | 2001-07-06 | 2001-07-06 | 電子複写機等の耐トナー性軸受用樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003020408A true JP2003020408A (ja) | 2003-01-24 |
Family
ID=19042171
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001205954A Pending JP2003020408A (ja) | 2001-07-06 | 2001-07-06 | 電子複写機等の耐トナー性軸受用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003020408A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101864168A (zh) * | 2010-07-12 | 2010-10-20 | 河南省科学院同位素研究所有限责任公司 | 一种耐磨自润滑尼龙复合材料及其制备方法 |
JP2013082818A (ja) * | 2011-10-11 | 2013-05-09 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 摺動部材及び電子写真画像形成装置に用いられるトナー介在下で使用される機構部品 |
WO2019142843A1 (ja) | 2018-01-17 | 2019-07-25 | Ntn株式会社 | 滑り軸受、軸受装置、および画像形成装置 |
-
2001
- 2001-07-06 JP JP2001205954A patent/JP2003020408A/ja active Pending
Cited By (4)
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CN101864168A (zh) * | 2010-07-12 | 2010-10-20 | 河南省科学院同位素研究所有限责任公司 | 一种耐磨自润滑尼龙复合材料及其制备方法 |
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WO2019142843A1 (ja) | 2018-01-17 | 2019-07-25 | Ntn株式会社 | 滑り軸受、軸受装置、および画像形成装置 |
US11346398B2 (en) | 2018-01-17 | 2022-05-31 | Ntn Corporation | Sliding bearing, bearing apparatus, and image forming apparatus |
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A02 | Decision of refusal |
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