JP4473691B2 - 含油樹脂組成物及び含油樹脂軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、含油樹脂組成物及び含油樹脂軸受に関するものである。特に、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真装置のトナー粉末の介在する部位に設置される摺動部材に用いられる含油樹脂軸受及びその軸受の含油樹脂組成物に関するものである。
トナーを用いる電子写真装置の可動部の支持摺動部材として、軽量コンパクト化及び注油等の保守点検の簡略化を目的として、摩擦係数の低いいわゆる自己潤滑性エンジニアリングプラスチックにより成形された無給油の軸受が広く使用されている。
本出願人は、このような軸受の研究開発を継続して実施していて、特許文献1(特許第2624442号公報)に開示された発明、特許文献2(特許第3029029号公報)に開示された発明などを提案してきた。
特許文献1では、1〜25容積%の潤滑油と該潤滑油担体としての0.2〜15容積%のスチレンブタジエン系共重合体を、スチレンブタジエン系共重合体1容量に対して潤滑油2容量以下で混合してゼリー状物を得、該ゼリー状物に成形用合成樹脂粉末を混合した後、押出成形によりペレット化する含油樹脂組成物の製造方法を提案した。
特許文献2では、潤滑油、潤滑油担体、補強充填材及び自己潤滑性樹脂を含む含油樹脂組成物において、この補強充填材として酸化亜鉛ウィスカーを0.5容積%以上40容積%以下含有することを特徴とする含油樹脂組成物、及び、この組成物を用いた電子写真装置におけるトナー粉末の介在する部位に設置される含油樹脂軸受を提案した。この発明は、潤滑油担体としてのポリノルボルネン系エラストマーと潤滑油を混合し、両者が均一に相溶した泥状の混合物を得た後、自己潤滑性樹脂、補強充填材を添加し、押出成形により、含油樹脂組成物を得ていた。
これら先行提案技術で用いられる潤滑油担体は、いずれにおいても、吸油前は粉末状の材料であるが、潤滑油・潤滑油担体の混合物は、特許文献1では「ゼリー状物」、特許文献2では「泥状の混合物」と表現されるように、その性状は凝集した塊状物となっていた。このため、自己潤滑性樹脂粉末や補強充填材との混合工程において、分散不良を生じやすく、品質が不安定になる問題点があった。混合物の分散不良は、含油樹脂軸受を成形した際に、成形品の表面層の剥離、カケ、表面粗さの増大といった原因となり、軸受の性能面においては、耐摩耗性の低下の要因となっていた。
特許第2624442号公報 特許第3029029号公報
凝集した塊状物とならない潤滑油・潤滑油担体の混合物を製造し、合成樹脂粉末や補強充填材との混合工程において、分散不良が発生せず、安定した品質の含油軸受を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究開発を続けた結果、潤滑油担体として特定のスチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を用いることにより、問題点を解決できることを見出した。
本発明の主な構成はつぎのとおりである。
(1)潤滑油、潤滑油担体、補強充填材及び自己潤滑性樹脂を含む含油樹脂組成物において、補強充填材が酸化亜鉛ウィスカーであって、この潤滑油担体としてスチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を全含油樹脂組成物中に10〜15容積%含有し、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を含有することを特徴とする含油樹脂組成物。
(2) 電子写真装置におけるトナー粉末の介在する部位に設置される含油樹脂軸受であって、(1)記載の含油樹脂組成物が成形材料として用いられていることを特徴とする含油樹脂軸受。
(3) 潤滑油担体として、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を全含油樹脂組成物中10〜15容積%用い、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を混合して粉末状の混合物となし、該粉末状混合物に自己潤滑性樹脂と補強充填材である酸化亜鉛ウィスカーとを添加混合することを特徴とする含油樹脂組成物を製造する方法。
(4) 潤滑油担体として、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を全含油樹脂組成物中10〜15容積%用い、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を混合して粉末状の混合物となし、該粉末状混合物に自己潤滑性樹脂と補強充填材である酸化亜鉛ウィスカーとを添加混合して含油樹脂組成物となし、該含油樹脂組成物を2軸混錬押出機によりぺレット化し、該ペレットを射出成形して含油樹脂軸受を製造する方法。
潤滑油担体として、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を用いることにより、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を含有する混合物は、粒子同士が凝集することなく粉末状を保持することができた。
これにより、混合工程における分散が良好となるために、内部組成が均一な含油樹脂軸受成形品を得ることができた。
これによって、表面状態が良好となり、耐摩耗性にも優れた含油樹脂軸受成形品を得ることができた。
潤滑油担体として、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を用いる。
潤滑油は、潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を用いる。
この潤滑油担体と潤滑油の混合物は、粒子同士が凝集することなく粉末状を保持する。
この潤滑油担体と潤滑油の混合粉末と自己潤滑性樹脂と補強充填材を添加混合すると、混合工程における分散が良好となるために、内部組成が均一な含油樹脂軸受成形品を得ることが出来る。
<潤滑油担体>
潤滑油担体は、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を用いる。このスチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体の例として、旭化成株式会社製 商品名「アサプレンT-411G」が挙げられる。
スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体は、ポリスチレンをハードセグメント、ポリブタジエンをソフトセグメントとするスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーである。この構造モデルの想定を図5に示す。低温及び常温ではゴム弾性を有し、高温では流動性を示す素材である。
25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上は、潤滑油の給油状態が良好な範囲であり、22000cpsまで用いられている
潤滑油担体は、潤滑油を吸収し、含油樹脂軸受中に潤滑油を多量に含有させることができ、しかも摺動面への潤滑油の滲出量を安定化させることができるようになる。潤滑油の給油試験でも示すように、25重量%トルエン溶液粘度=20200cpsは、25重量%トルエン溶液粘度=7500 cpsに比べて多量の潤滑油を含浸できる。
MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下という数値は、スチレン・ブタジエン共重合体の中でも、ラジアルテレブロック構造のものが特に高分子量であることを示しており、このことが潤滑油を多量に含浸できる一要因である。本発明に適したスチレン/ブタジエン重量比は20/80〜40/60であり、25/75〜35/65が特に好ましい。
<潤滑油>
潤滑油としては、一般的に潤滑油として使用されているものが使用できる。例えば(a)スピンドル油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の芳香属系潤滑油、(b)ナフテン系潤滑油、(c)パラフィン系潤滑油、(d)炭化水素、エステル、ポリグリコール、シリコーン等の合成油等が挙げられる。
潤滑油の配合量は、用いられる含油樹脂組成物100容積%に対し15容積%以上30容積%以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、滑り摩擦抵抗を十分に低下させることができなくなってしまうことがある。逆に、配合量が上記範囲を超えると、摺動部分に過剰の潤滑油が滲出して摺動面に介在するトナー等の微粉末が固まりやすくなり、摺動抵抗が増大してしまうことがある。
<補強充填材>
補強充填材として酸化亜鉛ウィスカーが例示できる。補強充填材が補強作用を発現し、含油樹脂軸受の機械的性質を向上させることができる。
酸化亜鉛ウィスカーは、摺動部分の平滑性を悪化させることがなく、一般的な強化繊維や補強充填材と比較して含油樹脂軸受の表面硬度をさほど上昇させないので、トナー等の微粉末の侵入による摺動抵抗増大を防止する機能を保持することができる。上記摺動部分の平滑性、機械的性質の向上等の作用を効果的に奏させるためには、酸化亜鉛ウィスカーの含有量を0.5容積%以上20容積%以下にするとよい。
酸化亜鉛ウィスカーとしては、繊維長が2μm以上50μm以下であり、繊維径が0.2μm以上3μm以下であるものが好適に用いられる。
補強充填材として酸化亜鉛ウィスカーと金属粉末とを併用し、この酸化亜鉛ウィスカーと金属粉末との容積比を4/6以上6/4以下とすれば、含油樹脂軸受の熱伝導性及び寸法安定性を向上させることができる。
補強効果と摺動抵抗増大防止効果とを両立させるには、補強充填材の含有率を含油樹脂組成物100容積%に対して0.5容積%以上20容積%以下とするのが好ましい。
金属粉末としては、例えば耐摩耗性に優れる青銅、りん青銅、ホワイトメタル、鉛青銅、ケルメット(銅鉛合金)等の銅系金属等が挙げられる。
酸化亜鉛ウィスカーと金属粉末とを併用する場合、その容積比は4/6以上6/4以下が好ましい。容積比が上記範囲未満であると、摺動部分2の表面平滑性が損なわれてしまうことがある。逆に、容積比が上記範囲を超えると、含油樹脂軸受の熱伝導性及び寸法安定性が低下してしまうことがある。
これら補強充填材の合計含有率は、用いられる含油樹脂組成物100容積%に対して0.5容積%以上20容積%以下が好ましく、5容積%以上15容積%以下が特に好ましい。含有率が上記範囲未満であると、含油樹脂軸受1の強度が不十分となったり熱伝導性が低下したりしてしまうことがある。逆に、含有率が上記範囲を超えると、含油樹脂軸受1が脆化したり摺動部分2の表面平滑性が低下したりしてしまうことがある。
<自己潤滑性樹脂>
自己潤滑性樹脂とは、固体状又は液状の潤滑剤を添加しない状態でも潤滑性を有し、比較的低い摩擦係数を示す樹脂のことである。自己潤滑性樹脂としては、上記のポリアセタールの他に、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
含油樹脂組成物中に占める自己潤滑性樹脂の量は、35容積%以上75容積%以下が好ましく、40容積%以上70容積%以下が特に好ましい。自己潤滑性樹脂の量が上記範囲未満であると、摺動部材として必要な機械的強度が低下し、摩耗量が増大してしまうことがある。逆に、自己潤滑性樹脂の量が上記範囲を越えると、含油樹脂組成物の硬度が上昇し、トナー等の微粉末の侵入により摺動抵抗が増大してしまうことがある。
<その他充填材等>
この含油樹脂軸受に用いられる含油樹脂組成物には、潤滑油、潤滑油担体、補強充填材及び自己潤滑性樹脂の他にも、必要に応じ、例えば紫外線吸収剤、劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤等を配合することができる。
<製造工程>
この含油樹脂軸受に用いられる含油樹脂組成物は、例えば潤滑油担体と潤滑油とを混合して両者が均一に混合した粉末状を調製し、これに粉末状の自己潤滑性樹脂と酸化亜鉛ウィスカー及び又は/金属粉末を添加して混合することにより得られる。この含油樹脂組成物から含油樹脂軸受を成形するに際しては既知の種々の成形方法を採用することができるが、ペレット化し、このペレットを一般的には射出成形する方法が採用される。
こうして得られる含油樹脂軸受の摺動部分の摩擦係数は0.20以下となり、限界PV値は4.5kgf/cm2・m/sec以上となり、好ましい。
<性能、用途>
本発明の含油合成樹脂組成物は、含油量が増加し、粉末状であるため均一な混合ができ、成形した軸受も均一な材質であり、摺動抵抗が小さく、耐摩耗性が向上し、耐久性も向上する。
この含油樹脂軸受摩擦係数は、0.20以下が好ましく、0.15以下が特に好ましい。摩擦係数が上記範囲を超えると、軸材の摩耗の程度が大きくなってしまうことがある。
摩擦係数は小さいほど好ましいので、本発明では摩擦係数の下限は特には設けていない。
なお、ここで摩擦係数とは、SUS303材に対する、面圧10kgf/cm2、滑り速度0.2m/secにおける摩擦係数を意味する。
この含油樹脂軸受の摺動部分の限界PV値は、4.5kgf/cm2・m/sec以上が好ましく、5.5kgf/cm2・m/sec以上が特に好ましい。限界PV値が上記範囲未満であると、高負荷・高速条件において摺動部分2が摩擦熱により溶融してしまうことがある。限界PV値は大きいほど好ましいので、本発明では限界PV値の上限は特には設けていないが、一般的に得られる限界PV値の上限は10kgf/cm2・m/sec程度である。なお、ここで限界PV値とは、摩擦熱によって摺動部分2が溶融して摩擦係数及び摩耗が急増する地点での荷重Pと速度Vとの積を意味する。
本発明の含油樹脂組成物を利用して成形した含油樹脂軸受は、特に、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真装置のトナー粉末が介在する部位に設置される摺動部材に用いられる。
潤滑油担体としてのスチレン・ブタジエンラジアルテレブロック共重合体(旭化成株式会社製 商品名「アサプレンT-411G」12・5容積%と、潤滑油としての鉱物油(出光石油株式会社製 商品名「ダフニースーパーメカニックオイル100」21.3容積%とをヘンシェルミキサーで混合し、70℃で24時間熟成させた。この混合物は粉末状を呈している。
この後、自己潤滑性樹脂としてのポリアセタール樹脂粉末(ポリプラスチックス株式会社製 商品名「ジュラコンM90-00」56・2容積%と補強充填材としての酸化亜鉛ウィスカー(松下産業情報機器株式会社製 商品名「パナテトラWZ-0531」10.0溶積%とを添加し、再びヘンシェルミキサーで混合して、含油樹脂組成物を得た。
これを2軸混錬押出機により押し出して裁断し、樹脂ペレットを得た。この樹脂ペレットを射出成形にて含油樹脂軸受を得た。
製造された含油樹脂軸受の形状は、外径が12mm、内径が6mm、長さが4mmである含油樹脂軸受を得た。
潤滑油担体としてのスチレン・ブタジエンラジアルテレブロック共重合体(旭化成株式会社製 商品名「アサプレンT-411G」8.6容積%、潤滑油としての鉱物油(出光石油株式会社製 商品名「ダフニースーパーメカニックオイル100」16.5容積%、自己潤滑性樹脂としてのポリアセタール樹脂粉末(ポリプラスチックス株式会社製 商品名「ジュラコンM90-00」64.3容積%、補強充填材としての酸化亜鉛ウィスカー(松下産業情報機器株式会社製 商品名「パナテトラWZ-0531」8.7容積%、着色顔料1.9容積%とを用いて、実施例1と同様に含油軸受を製造した。
[比較例1]
潤滑油担体としてのスチレン・ブタジエンブロック共重合体(KFトレーディング株式会社製 商品名「ロングクリンS-101」12・5容積%と、潤滑油としての鉱物油(出光石油株式会社製 商品名「ダフニースーパーメカニックオイル100」21.3容積%とをヘンシェルミキサーで混合し、70℃で24時間熟成させた。この混合物はゼリー状を呈している。この後、自己潤滑性樹脂としてのポリアセタール樹脂粉末(ポリプラスチックス株式会社製 商品名「ジュラコンM90-00」56・2容積%と補強充填材としての酸化亜鉛ウィスカー(松下産業情報機器株式会社製 商品名「パナテトラWZ-0531」10.0溶積%とを添加し、再びヘンシェルミキサーで混合して、含油樹脂組成物を得た。
これを2軸混錬押出機によりペレット化し、射出成形にて含油樹脂軸受を得た。
含油樹脂軸受の形状は実施例1と同じである。
[比較例2]
潤滑油担体としてのポリノルボルネン系エラストマー(日本ゼオン株式会社製 商品名「ノルソレックス」12・5容積%と、潤滑油としての鉱物油(出光石油株式会社製 商品名「ダブニースーパーメカニックオイル100」21.3容積%とをヘンシェルミキサーで混合し、70℃で24時間熟成させた。この混合物は泥状を呈している。
この後、自己潤滑性樹脂としてのポリアセタール樹脂粉末(ポリプラスチックス株式会社製 商品名「ジュラコンM90-00」56・2容積%と補強充填材としての酸化亜鉛ウィスカー(松下産業情報機器株式会社製 商品名「パナテトラWZ-0531」10.0溶積%とを添加し、再びヘンシェルミキサーで混合して、含油樹脂組成物を得た。
これを2軸混錬押出機によりペレット化し、射出成形にて含油樹脂軸受を得た。
含油樹脂軸受の形状は実施例1と同じである。
[吸油試験]
スチレン・ブタジエン系共重合体の基本特性の違いによる潤滑油担体としての性能の差を確認するため、潤滑油としての鉱物油(出光石油株式会社製 商品名「ダフニースーパーメカニックオイル100」10gを、(1)25重量%トルエン溶液粘度=20200cpsである旭化成株式会社製 商品名「アサプレンT-411G」5gと、(2)25重量%トルエン溶液粘度=7500 cpsである旭化成株式会社製 商品名「アサプレンT430G」5gに含浸させて、両者を24時間常温で静置した。
24時間後、(1)のT-411Gは、鉱物油を完全に包含し、固形状態となっていたが、(2)のT-430Gは鉱物油が含浸しきれずに、ゲル状の流動体となった。
[スチレン・ブタジエン系共重合体の吸油限界値試験]
試験方法:オイル(ダフニースーパーメカニックオイル100)5.0gに吸油担体の「アサプレンT−411G」と「アサプレンT−430G」をそれぞれ徐々に添加していった時の吸油状態を観察した。結果を表1に示す。
吸油担体として、樹脂との混合に用いるには、「オイルを吸着し、流れないゼリー状」が吸油量の限界と考えられ、「ほぼオイルを包含し、粒子状が目立つ」状態が混合時の分散性を考慮する上では理想的である。よって、T−430Gが1.3倍までのオイルしか吸着できないのに対し、T−411Gは2倍のオイルを混合に理想的な状態で吸着できることが確認された。この実験により、T−411Gが潤滑油担体として、より適していることが確認できた。
[含油樹脂組成物の表面粗さ比較試験]
実施例1、2及び比較例1、2で得られた軸受の表面粗さをJIS B0601-1994に準拠した方法にて測定した。結果を表2、図1に示す。潤滑油担体にポリノルボルネン系を用いた比較例2の軸受に対して、スチレン・ブタジエン系を用いた実施例1、2及び比較例1の軸受は表面粗さが小さく、平滑性が向上しており、本発明による実施例1、2で得られた軸受は、さらに平滑性が向上していることが確認された。
[含油樹脂組成物の引張り強度比較試験]
実施例1、2及び比較例1、2で得られた軸受の引っ張り強度をASTM D638に準拠した方法にて測定した。結果を表2、図2に示す。本実施例1、2及び比較例1、2で得られた軸受とも同程度の数値を示し、本実施例の引張り強度は、従来例と遜色無いことが確認できた。
[含油樹脂組成物の限界PV曲線比較試験]
滑り摩擦試験を本実施例1、比較例1、2で製造した含油軸受と及び市販品について行った。評価試験機として、鈴木式摩擦試験機を使用した。相手材として、SUS303を用いた。試験は常温で実施した。
結果を表3、含油樹脂組成物の限界PV曲線比較グラフとして図3に示す。
実施例1、2の含油軸受は、各面圧とも高い滑り速度であり、低摩擦であり、潤滑性能が高いことが示された。
[含油樹脂組成物の軸受摩耗量比較試験]
縦方向摩耗試験を本実施例1、比較例1、2で製造した含油軸受と及び市販品について行った。試験は連続運転を144時間行い24時間毎の摩耗量を測定した。
試験条件:軸荷重:300gf、回転数:300rpm、軸材:SUS303、常温

結果を表4、含油樹脂組成物の軸受摩耗量比較グラフとして図4に示す。

実施例1、実施例2は、比較例1、2より摩耗が少ないことが確認された。実施例1,2は、比較例2に比べてほぼ半分の摩耗量であった。特に、実施例1、2共、比較例1で使用したスチレン・ブタジエンブロック共重合体よりも摩耗が少なく、同種のスチレン・ブタジエン共重合体でも、その特定の共重合構造によって性能が大きく異がなることが認められた。これによって、本実施例の摩耗耐久性が向上していることが確認できた。
含油樹脂組成物の表面粗さを比較したグラフ 含油樹脂組成物の引張り強度を比較したグラフ 含油樹脂組成物の限界PV曲線を比較したグラフ 含油樹脂組成物の軸受摩耗量を比較したグラフ スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体構造モデル図

Claims (4)

  1. 潤滑油、潤滑油担体、補強充填材及び自己潤滑性樹脂を含む含油樹脂組成物において、
    補強充填材が酸化亜鉛ウィスカーであり、
    この潤滑油担体としてスチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を全含油樹脂組成物中に10〜15容積%含有し、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を含有することを特徴とする含油樹脂組成物。
  2. 電子写真装置におけるトナー粉末の介在する部位に設置される含油樹脂軸受であって、請求項1記載の含油樹脂組成物が成形材料として用いられていることを特徴とする含油樹脂軸受。
  3. 潤滑油担体として、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を全含油樹脂組成物中10〜15容積%用い、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を混合して粉末状の混合物となし、該粉末状混合物に自己潤滑性樹脂と補強充填材である酸化亜鉛ウィスカーとを添加混合することを特徴とする含油樹脂組成物を製造する方法。
  4. 潤滑油担体として、スチレン/ブタジエン重量比が25/75〜35/65、MFR(G)[200℃、5kg]が1g/10min以下、25重量%トルエン溶液粘度が20000cps以上の、スチレン・ブタジエン・ラジアルテレブロック共重合体を全含油樹脂組成物中10〜15容積%用い、この潤滑油担体1容量に対し、潤滑油1.5〜2容量を混合して粉末状の混合物となし、該粉末状混合物に自己潤滑性樹脂と補強充填材である酸化亜鉛ウィスカーとを添加混合して含油樹脂組成物となし、該含油樹脂組成物を2軸混錬押出機によりペレット化し、該ペレットを射出成形して含油樹脂軸受を製造する方法。
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