JP5185078B2 - 異形断面トンネル掘削機及び異形断面トンネル掘削方法 - Google Patents

異形断面トンネル掘削機及び異形断面トンネル掘削方法 Download PDF

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Description

本発明は、掘削断面が円形以外の異形断面のトンネルを掘削する異形断面トンネル掘削機及び異形断面トンネル掘削方法に関する。
掘削断面が円形以外の異形断面(矩形断面、楕円断面等)のトンネルを掘削する異形断面トンネル掘削機として、シールド本体の隔壁に配設されシールド軸心廻りに回転される公転隔壁と、公転隔壁に偏芯して配設されてシールド軸心と平行な軸廻りに回転駆動されるカッタヘッドとを備え、公転隔壁を回転させながらカッタヘッドを逆廻りに回転させるものが知られている(特許文献1)。
また、別の異形断面トンネル掘削機として、シールド本体の隔壁に配設されシールド軸心廻りに回転されるメインカッタヘッドと、メインカッタヘッドに配設されて回転駆動されるサブカッタヘッドとを備え、メインカッタヘッドを回転させながらサブカッタヘッドを逆廻りに回転させるものも知られている(特許文献2)。
しかし乍ら、前者の異形断面トンネル掘削機においては、回転する公転隔壁の上でカッタヘッドを逆回転させており、後者の異形断面トンネル掘削機においては、回転するメインカッタヘッドの上でサブカッタヘッドを逆回転させているため、いずれの掘削機においても、各構成要素を回転或いは逆回転させるための機構が複雑にならざるを得ず、コストアップが避けられない。
特開平11−256991号公報 特開2000−310098号公報
ところで、本発明者は、簡単な構造であり低コストで製造できる異形断面トンネル掘削機として、従来より、シールド本体に切羽に対向して設けられて回転駆動されるカッタヘッドと、掘削径を可変とするためカッタヘッドに移動可能に設けられた移動カッタと、一端が移動カッタに他端がカッタヘッドに接続されて伸縮することで移動カッタを移動させるカッタジャッキと、カッタヘッドに設けられ伸縮するカッタジャッキの側部を摺動可能に支持する軸受部とを備え、カッタヘッドが1回転する間に、カッタヘッドの回転角度に応じてカッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とするようにした異形断面トンネル掘削機を開発している。
このような異形断面トンネル掘削機においては、異形断面を切削するために、移動カッタをカッタヘッドの回転径方向外方に移動させながらカッタヘッドを回転させると、移動カッタの径方向外方への移動に伴って切羽を切削する際の荷重が徐々に大きくなる。このため、移動カッタに接続されたカッタジャッキの側部がカッタヘッドに設けられた軸受部に押し付けられる力が徐々に大きくなり、軸受部に生じる面圧Pが徐々に大きくなる。また、カッタヘッドが1回転する間、カッタヘッドの回転角度に拘わらずカッタヘッドの回転速度が一定であると、所望の異形断面を切削するためには、カッタヘッドの回転角度によっては、移動カッタを移動させるカッタジャッキの伸長速度、即ちカッタジャッキの側部が軸受部に摺接する速度Vを或る程度以上速めなければならない場合も生じる。
この結果、カッタヘッドの回転角度によっては、軸受部において、面圧Pと速度Vとを乗じた値(所謂PV値)が許容値を超える可能性もあった。PV値が許容値を超えると、軸受部の耐久性が悪化し、寿命が短くなってしまう。
そこで、本発明の目的は、簡単な構造であって低コストで製造でき、且つ耐久性が向上して寿命が延びる異形断面トンネル掘削機及び異形断面トンネル掘削方法を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、掘削機本体に切羽に対向して設けられて回転駆動されるカッタヘッドと、掘削径を可変とするため上記カッタヘッドに移動可能に設けられた移動カッタと、一端が上記移動カッタに他端が上記カッタヘッドに接続されて伸縮することで上記移動カッタを移動させるカッタジャッキと、上記カッタヘッドに設けられ、伸縮する上記カッタジャッキの側部を摺動可能に支持する軸受部と、上記カッタヘッドが回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とする制御部とを備えた異形断面トンネル掘削機であって、上記制御部は、上記カッタヘッドが回転する間の回転角度に応じて、上記カッタヘッドの回転速度を変更し上記カッタジャッキの伸縮速度を変更する調節機構を有し、上記カッタヘッドの回転に伴い上記移動カッタに接続された上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に押し付けられて上記軸受部に生じる面圧をPとし、上記移動カッタの移動に伴い伸縮する上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に摺接する速度をVとすると、上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が、上記カッタヘッドが回転する間、常に所定値以下となり、且つ、上記カッタヘッドが1回転する際の平均回転速度が所定速度以上となるように、上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とを、上記カッタヘッドが回転する間の回転角度に応じて制御するものである。
請求項2に係る発明は、上記カッタヘッドが1回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度を所定角度毎に検出する回転角度センサを更に備え、上記制御部は、上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とすると共に、上記回転角度センサで検出される上記カッタヘッドの各回転角度において、上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が全て上記所定値以下となる上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とが書き込まれたマップを有し、該マップに基づき、上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とをマップ制御するものである。
請求項3に係る発明は、掘削機本体に切羽に対向して設けられて回転駆動されるカッタヘッドと、掘削径を可変とするため上記カッタヘッドに移動可能に設けられた移動カッタと、一端が上記移動カッタに他端が上記カッタヘッドに接続されて伸縮することで上記移動カッタを移動させるカッタジャッキと、上記カッタヘッドに設けられ、伸縮する上記カッタジャッキの側部を摺動可能に支持する軸受部とを備え、上記カッタヘッドが回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とする異形断面トンネル掘削方法であって、上記カッタヘッドの回転に伴い上記移動カッタに接続された上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に押し付けられて上記軸受部に生じる面圧をPとし、上記移動カッタの移動に伴い伸縮する上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に摺接する速度をVとすると、上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が、上記カッタヘッドが回転する間、常に所定値以下となり、且つ、上記カッタヘッドが1回転する際の平均回転速度が所定速度以上となるように、上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とを、上記カッタヘッドが回転する間の回転角度に応じて制御するものである。
請求項4に係る発明は、上記カッタヘッドが1回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度を所定角度毎に検出する回転角度センサと、該回転角度センサで検出される上記カッタヘッドの各回転角度において、上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が全て上記所定値以下となる上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とが書き込まれたマップとを有し、上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とすると共に、上記マップに基づき、上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とをマップ制御するようにしたものである。
本発明によれば、簡単な構造であって低コストで製造でき、且つ耐久性が向上して寿命が延びる異形断面トンネル掘削機及び異形断面トンネル掘削方法を提供することができる。
本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る異形断面トンネル掘削機の正面図、図2は図1の異形断面トンネル掘削機の概略側断面図である。
この異形断面トンネル掘削機1は、断面矩形に形成された筒状のシールドフレーム2を有する掘削機本体3と、シールドフレーム2の内部に設けられた隔壁4に切羽に対向して回転可能に設けられたカッタヘッド5と、カッタヘッド5を回転駆動するカッタ回転装置6と、掘削径を可変とするためカッタヘッド6に移動可能に設けられた移動カッタ7と、一端が移動カッタ7に他端がカッタヘッド5に接続されて伸縮することで移動カッタ7を移動させるカッタジャッキ8と、伸縮するカッタジャッキ8の側部を摺動可能に支持するようにカッタヘッド5に設けられた軸受部9と、カッタヘッド5が1回転する間に、カッタヘッド5の回転角度に応じてカッタジャッキ8のストロークを制御することで、掘削断面をシールドフレーム2に合った矩形断面とする制御部10とを備えている。
掘削機本体3は、セグメント11をシールドフレーム2の内周面に沿ってリング状に組み立てるエレクタ(図示せず)と、エレクタによって組み立てられたセグメント(既設セグメント)11に反力を取ってシールドフレーム2を前進させるシールドジャッキ12とを有する。シールドフレーム2は、本実施形態では上下に長い矩形断面となっているが、左右に長い矩形断面でもよく、楕円断面、馬蹄型断面、おむすび型断面等、円形以外の断面であればどのような断面でもよい。また、掘削機本体3は、本実施形態では、シールドジャッキ12で自立的に掘進するシールド掘進機タイプとなっているが、立坑に設けられた元押ジャッキにより鋼管を介して掘削機本体3が前方に押し出される元押し推進タイプであってもよい。
シールドフレーム2の隔壁4には、カッタヘッド5が切羽に対向して回転可能に装着されている。カッタヘッド5は、隔壁4に回転可能に支持された回転軸13に装着された略直方体形状のカッタヘッド本体14を有し、このカッタヘッド本体14は、カッタ回転装置6によって回転駆動される。カッタ回転装置6は、回転軸13に設けられたギヤ15と、このギヤ15に噛合するピニオン16を有する油圧モータ17と、油圧モータ17に作動油を供給排出する油圧回路18とを有する。油圧モータ17への作動油の給排の向きを切換弁19により逆にすることで、油圧モータ17が逆回転し、カッタヘッド5が逆回転する。なお、本実施形態ではカッタヘッド5を回転駆動するようにしたが、カッタヘッド5を360度未満の所定角度範囲(例えば180度)で回転方向を切り換えて往復回動させる所謂揺動タイプの駆動方式としてもよい。
カッタヘッド本体14には、その回転中心にフィシュテールビット20が設けられている他、固定カッタ21が固定的に、移動カッタ7が移動可能に、設けられている。固定カッタ21は、カッタヘッド本体14から径方向外方に延出されたスポーク22と、スポーク22に設けられたビット23とを有する。スポーク22は、180度間隔で2本設けられており、各スポーク22の長さは、カッタヘッド本体14が回転されてスポーク22がシールドフレーム2の短辺2aと平行になったとき(図1の状態)、スポーク22の先端がシールドフレーム2の長辺2bに重なるような長さに設定されている。
移動カッタ7は、固定カッタ21に対して90度位相をずらして配置されており、カッタヘッド5の回転半径方向と平行な軸に沿って移動可能となっている。移動カッタ7を上記軸に沿って内方又は外方に移動すると、移動カッタ7のビット24による掘削径が変更されることになる。移動カッタ7を最も内方に移動させると、移動カッタ7の掘削半径がカッタヘッド5の回転中心からシールドフレーム2の長辺2bまでの距離と等しくなって固定カッタ21の掘削半径と等しくなり、移動カッタ7を最も外方に移動させると、移動カッタ7の掘削半径がカッタヘッド5の回転中心からシールドフレーム2の短辺2aと長辺2bとの角部2cまでの距離と等しくなる。移動カッタ7は、カッタジャッキ8によって上記軸に沿って内方又は外方に移動される。
カッタジャッキ8は、カッタヘッド5の回転半径方向と平行な軸に沿って配置されており、一端が移動カッタ7に他端がカッタヘッド本体14に接続されている。詳しくは、カッタジャッキ8は、カッタヘッド本体14の内部に穴状に形成された断面円形の収容部25にスライド可能に挿通されたシリンダ26と、シリンダ26の内部に収容されたピストン27と、ピストン27に連結されたロッド28と、シリンダ26の先端を蓋するヘッド29と、シリンダ26の基端を蓋すると共にロッド28が挿通する穴が形成されたロッドカバー30と、ロッド28の先端に設けられた基部31を有し、基部31がカッタヘッド本体14にピン32で固定され、ヘッド29が連結部材33を介して移動カッタ7に接続されている。
シリンダ26の内部は、ピストン27によって、ヘッド側油圧室34とロッド側油圧室35とに仕切られており、ヘッド側油圧室34に作動油が供給されるとカッタジャッキ8が伸長し、ロッド側油圧室35に作動油が供給されるとカッタジャッキ8が収縮する。ロッド28及びピストン27の内部には、図示しない伸長側作動油通路と収縮側作動油通路とが形成されている。伸長側作動油通路は、一端がロッド28の端部に開口され、中間がロッド28の内部に長手方向に沿って形成されてピストン27を貫通し、他端がヘッド側油圧室34に開口されている。収縮側作動油通路は、一端がロッド28の端部に開口され、中間がロッド28の内部に長手方向に沿って形成された後にピストン27の内部で折り返され、他端がロッド側油圧室35に開口されている。
基部31には、伸長側作動油通路に接続された伸長側作動油配管36と、収縮側作動油通路に接続された収縮側作動油配管(図示せず)とが装着されている。伸長側作動油配管36及び収縮側作動油配管は、回転軸13の内部を通ってロータリージョイント37に接続されており、ロータリージョイント37を介して作動油が坑内から供給排出されるようになっている。具体的には、ロータリージョイント37には、伸長側作動油配管36に連通する配管38と収縮側作動油配管に連通する配管39とが接続されており、これら配管38、39に作動油を給排することで、カッタジャッキ8が伸縮されるようになっている。
すなわち、オイルポンプで加圧された作動油をロータリージョイント37を介してヘッド側油圧室34に供給すると、カッタジャッキ8が伸長し、ロッド側油圧室35内の作動油が押し出されてロータリージョイント37を介して排出されオイルタンクに戻される。また、制御部10により切換弁40が切り換えられて、オイルポンプで加圧された作動油がロータリージョイント37を介してロッド側油圧室35に供給されると、カッタジャッキ8が収縮すると共に、ヘッド側油圧室34内の作動油が押し出されてロータリージョイント37を介して排出されオイルタンクに戻される。
カッタヘッド本体14の内部に形成された断面円形の穴からなる収容部25には、カッタジャッキ8のシリンダ26の側部を摺動可能に支持する軸受部(滑り軸受)9が設けられている。軸受部9は、収容部25を成す穴の奥側に配設された第1軸受部9aと、その穴の入口側に配設された第2軸受部9bとからなり、これら第1及び第2軸受部9a、9bは、それぞれ円筒状に形成されていて、上記シリンダ26の側部を摺動可能に支持する。シリンダ26の側部と収容部25を成す穴の内周面との間には僅かな隙間が形成されており、シリンダ26の側部は、第1軸受部9a、第2軸受部9bとは接触するが、収容部25を成す穴の内周面とは接触しないようになっている。
カッタジャッキ8は、カッタヘッド5が1回転する間に、カッタヘッド5の回転角度に応じて制御部10によって適宜伸縮され、これにより、移動カッタ7及び固定カッタ21による掘削断面が、シールドフレーム2に合った断面(矩形断面)とされる。カッタヘッド5の回転角度は、ロータリージョイント37の後部に設けられた回転角度センサ41によって検出され、カッタジャッキ8の伸縮ストロークはカッタヘッド5の内部に設けられたストロークセンサ(磁歪式リニア変位センサ)42によって検出される。そして、制御部10は、回転角度センサ41によって検出されたカッタヘッド5の回転角度に応じてカッタジャッキ8の伸縮ストロークを制御(フィードバック制御)し、移動カッタ7及び固定カッタ21による掘削断面をシールドフレーム2に合った矩形断面としている。
図2は、カッタジャッキ8のストロークを最小として、カッタヘッド5を図1の回転位置から90度回転させた際に、移動カッタ7の先端がシールドフレーム2の長辺2bと重なるようにした断面図であり、図3は、カッタジャッキ8のストロークを中間的として、カッタヘッド5が図1の回転位置のとき、移動カッタ7の先端がシールドフレーム2の短辺2aと重なるようにした断面図であり、図4は、カッタジャッキ8のストロークを最大として、カッタヘッド5を図1の回転位置から所定角度回転させた際に、移動カッタ7の先端がシールドフレーム2の短辺2aと長辺2bとの角部2cと重なるようにした断面図である。
図5は、カッタヘッド5を0度(移動カッタ7が水平の状態)から反時計回りに略90度回転させた際の移動カッタ7の移動量を示す概略図である。
本実施形態では、48.8度でカッタジャッキ8のストロークが最大となり、0度付近でカッタジャッキ8のストロークが最小となる。0度から48度まで6度毎に示し、48.8度から84.8度まで6度毎に示している。
図6(a)はカッタジャッキ8のストロークが最小の状態(図2の状態)の概略図、図6(b)はカッタジャッキ8のストロークが最大の状態(図4の状態)の概略図である。
Fは、カッタヘッド5を回転させた際、移動カッタ7に加わる切羽からの掘削反力がカッタジャッキ8のシリンダ26に作用する力であり、aは第1軸受部9aの中心と第2軸受部9bの中心との距離であり、bは第2軸受部9bの中心と上記力Fが作用する点との距離であり、R1は第1軸受部9aでの力Fに対する反力であり、R2は第2軸受部9bでの力Fに対する反力である。また、dは第1及び第2軸受部9a、9bの内径であり、h1は第1軸受部9aの高さ(長さ)であり、h2は第2軸受部9bの高さである。
図6(a)、図6(b)において、
モーメントのバランスにより
R1=(F×b)/a…(1)
力のバランスにより
R2=F+R1…(2)
が得られる。
また、第1軸受部9aにおける面圧(投影面圧)P1は
P1=R1/(d×h1)…(3)
第2軸受部9bにおける面圧(投影面圧)P2は
P2=R2/(d×h2)…(4)
となる。
また、Fは、カッタジャッキ8のストロークstが長くなるに応じて大きくなり、stが零のときの初期値をFoとすると
F=Fo+f(st)=Fo+st…(5)
となる。
bも、カッタジャッキ8のストロークstが長くなるに応じて大きくなり、stが零のときの初期値をboとすると
b=bo+st…(6)
となる。
なお、本実施形態では、
a :112.5cm
bo:57cm
Fo:15t
d :31cm
h1:15cm
h2:30cm
である。
また、本実施形態では、カッタヘッド5が1回転する間に6度毎に回転角度センサ41によってカッタヘッド5の回転角度を検出し、カッタヘッド5が6度回転する毎に制御部10によりカッタジャッキ8のストロークstを制御している。
ここで、カッタヘッド5が6度回転するために必要な時間Tは、カッタヘッド5の回転速度をN〔rpm〕とすると
T=60×(6/(360×N))=1/N〔秒〕…(7)
となり、カッタヘッド5が6度回転する際のカッタジャッキ8のストロークstの変化量をΔstとすると、カッタヘッド5が6度回転する際に伸縮するカッタジャッキ8の平均伸縮速度Vは
V=(Δst/T)×60×10-2〔m/min〕
=(Δst×0.6)/T〔m/min〕…(8)
となる。
よって、第1軸受部9aにおけるPV値は、
P1×V〔(kg/cm2)・(m/min)〕…(9)
第2軸受部9bにおけるPV値は、
P2×V〔(kg/cm2)・(m/min)〕…(10)
となる。
そして、これらPV値、P1×V、P2×Vが、カッタヘッド5が1回転する間、共に常に所定値以下となるように、カッタヘッド5の回転速度Nとカッタジャッキ8の伸縮速度Vとが、カッタヘッド5が1回転する間の回転角度θに応じて、制御部10によって制御されている。
すなわち、制御部10は、カッタヘッド5が1回転する間の回転角度θに応じて、カッタヘッド5の回転速度Nを変更し、カッタジャッキ8の伸縮速度Vを変更する調節機構43を有し、P1×V、P2×Vの値が、カッタヘッド5が1回転する間、共に常に所定値(本実施形態では1000)以下となるように、カッタヘッド5の回転速度Nとカッタジャッキ8の伸縮速度Vとを、カッタヘッド5が1回転する間の回転角度θに応じて制御する。
調節機構43は、図2に示すように、オイルポンプから油圧モータ17に至る作動油の配管に設けられたカッタヘッド回転速度調節用可変絞り器43aと、オイルポンプからロータリージョイント37に至る作動油の配管に設けられたカッタジャッキ伸縮速度調節用可変絞り器43bとを有する。制御部10は、回転角度センサ41により検出されたカッタヘッド5の回転角度θに基づいて、可変絞り器43aの絞り度を制御してカッタヘッド5の回転速度Nをカッタヘッド5が1回転する間の回転角度θに応じて制御し、可変絞り器43bの絞り度を制御してカッタジャッキ8の伸縮速度Vをカッタヘッド5が1回転する間の回転角度θに応じて制御する。
この制御は、図7(a)、図7(b)のマップM1、M2に基づくマップ制御により成される。すなわち、制御部10は、回転角度センサ41で検出されるカッタヘッド5の各回転角度θ(本実施形態では6度毎)において、上記P1×V、P2×Vの値が全て所定値(本実施形態では1000)以下となるカッタヘッド5の回転速度Nとカッタジャッキ8の伸縮速度Vとが書き込まれたマップM1、M2を有し、これらのマップに基づき、回転角度センサ41で検出されたカッタヘッド5の回転角度θに応じてカッタヘッド5の回転速度Nとカッタジャッキ8の伸縮速度Vとをマップ制御する。
また、マップM1、M2には、カッタヘッド5の各回転角度θ(6度毎)においてカッタジャッキ8の目標となるストロークstも書き込まれており、制御部10は、回転角度センサ41で検出されたカッタヘッド5の回転角度θに応じてカッタジャッキ8のストロークstを制御することで、掘削断面をシールドフレーム2に合わせた矩形断面とすると共に、マップM1、M2に基づき、回転角度センサ41で検出されたカッタヘッド5の回転角度θに応じてカッタヘッド5の回転速度Nとカッタジャッキ8の伸縮速度Vとをマップ制御する。
マップM1、M2は、図7(a)の0度から48度までのマップM1、図7(b)の48.8度から84.8度までのマップM2のみではなく、0度から360度分のものが用意されていることは勿論である。
図7(a)、図7(b)に示すように、P1×V、P2×Vの値は、カッタヘッド5の回転角度θに拘わらず、カッタヘッド5が1回転する間、常に所定値(1000)以下となっている。
なお、本実施形態では上述したマップ制御を採用したが、P1×V、P2×Vの値が、カッタヘッド5が1回転する間、共に常に上記所定値以下となるように、カッタヘッド5の回転速度Nとカッタジャッキ8の伸縮速度Vとを、カッタヘッド5が1回転する間の回転角度θに応じて、高速演算制御してもよい。
以上説明した異形断面トンネル掘削機1及び異形断面トンネル掘削方法によれば、カッタヘッド5を回転させながら移動カッタ7を適宜往復移動させることで異形断面トンネルを掘削できるので、従来例のように、回転する公転隔壁の上でカッタヘッドを逆回転させたり(特許文献1)、回転するメインカッタヘッドの上でサブカッタヘッドを逆回転させるもの(特許文献2)と比べると、構造が簡単となり、システム全体が低コストとなる。
また、第1軸受部9aにおけるPV値(P1×V)、第2軸受部9bにおけるPV値(P2×V)は、カッタヘッド5の回転角度θに拘わらず、カッタヘッド5が1回転する間、常に所定値(本実施形態では1000)以下となっているので、異形断面を切削することに起因して、耐久性が低下したり寿命が短くなることはない。
また、マップM1、M2の数値を適切な値とすることで、第1軸受部9aのPV値(P1×V)、第2軸受部9bのPV値(P2×V)を、全て所定値(例えば1000)以下としつつ、カッタヘッド5が1回転する際の平均回転速度を、所定速度(例えば1.0rpm)以上とすることが可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
マップM1、M2は、6度ごとではなく、1度毎、2度毎、3度毎等に作成されてもよいし、これに応じて、回転角度センサ41も、6度ごとではなく、1度毎、2度毎、3度毎等にカッタヘッド5の回転角度θを検出するものでもよい。
掘削断面が矩形断面に限定されることはなく、楕円断面、馬蹄型断面、おむすび型断面等、円形以外の断面であればどのような断面でもよいことは既述の通りである。この場合、掘削すべき断面の形状に合わせて、マップM1、M2等の数値が書き換えられ、シールドフレーム2の断面形状も掘削すべき断面の形状に合わせた形状となる。
移動カッタ7は、カッタヘッド5の回転によって掘削径を変更できるようになっていればどの方向に移動してもよく、例えば、カッタヘッド5の回転半径に沿った軸上を移動可能となっていてもよい。軸受部9は、2箇所ではなく、3箇所以上であってもよい。PV値の上限を定める上記所定値は、軸受部9の仕様によって異なり、1000に限られないことは勿論である。
本発明の一実施形態に係る異形断面トンネル掘削機の正面図である。 図1の異形断面トンネル掘削機の概略を示す断面図であり、カッタジャッキのストロークを最小として、カッタヘッドを図1の回転位置から90度回転させた際に、移動カッタの先端がシールドフレームの長辺と重なるようにした断面図である。 カッタジャッキのストロークを中間的として、カッタヘッドが図1の回転位置のとき、移動カッタの先端がシールドフレームの短辺と重なるようにした断面図である。 カッタジャッキのストロークを最大として、カッタヘッドを図1の回転位置から所定角度回転させた際に、移動カッタの先端がシールドフレームの短辺と長辺との角部と重なるようにした断面図である。 カッタヘッドを0度(移動カッタが水平の状態)から90度回転させた際の移動カッタの移動量を示す概略図である。 図6(a)はカッタジャッキのストロークが最小の状態(図2の状態)の概略図、図6(b)はカッタジャッキのストロークが最大の状態(図4の状態)の概略図である。 図7(a)の0度から48度までのマップを示す説明図、図7(b)の48.8度から84.8度までのマップを示す説明図である。
符号の説明
1 異形断面トンネル掘削機
2 シールドフレーム
3 掘削機本体
5 カッタヘッド
7 移動カッタ
8 カッタジャッキ
9 軸受部
10 制御部
41 回転角度センサ
43 調節機構
θ 回転角度
N 回転速度
V 伸縮速度
P 面圧
V 摺接する速度
st ストローク
M1 マップ
M2 マップ

Claims (4)

  1. 掘削機本体に切羽に対向して設けられて回転駆動されるカッタヘッドと、
    掘削径を可変とするため上記カッタヘッドに移動可能に設けられた移動カッタと、
    一端が上記移動カッタに他端が上記カッタヘッドに接続されて伸縮することで上記移動カッタを移動させるカッタジャッキと、
    上記カッタヘッドに設けられ、伸縮する上記カッタジャッキの側部を摺動可能に支持する軸受部と、
    上記カッタヘッドが回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とする制御部とを備えた異形断面トンネル掘削機であって、
    上記制御部は、
    上記カッタヘッドが回転する間の回転角度に応じて、上記カッタヘッドの回転速度を変更し上記カッタジャッキの伸縮速度を変更する調節機構を有し、
    上記カッタヘッドの回転に伴い上記移動カッタに接続された上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に押し付けられて上記軸受部に生じる面圧をPとし、上記移動カッタの移動に伴い伸縮する上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に摺接する速度をVとすると、
    上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が、上記カッタヘッドが回転する間、常に所定値以下となり、且つ、上記カッタヘッドが1回転する際の平均回転速度が所定速度以上となるように、上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とを、上記カッタヘッドが回転する間の回転角度に応じて制御するものである
    ことを特徴とする異形断面トンネル掘削機。
  2. 上記カッタヘッドが1回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度を所定角度毎に検出する回転角度センサを更に備え、
    上記制御部は、
    上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とすると共に、
    上記回転角度センサで検出される上記カッタヘッドの各回転角度において、上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が全て上記所定値以下となる上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とが書き込まれたマップを有し、
    該マップに基づき、上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とをマップ制御するものである
    請求項1に記載の異形断面トンネル掘削機。
  3. 掘削機本体に切羽に対向して設けられて回転駆動されるカッタヘッドと、
    掘削径を可変とするため上記カッタヘッドに移動可能に設けられた移動カッタと、
    一端が上記移動カッタに他端が上記カッタヘッドに接続されて伸縮することで上記移動カッタを移動させるカッタジャッキと、
    上記カッタヘッドに設けられ、伸縮する上記カッタジャッキの側部を摺動可能に支持する軸受部とを備え、
    上記カッタヘッドが回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とする異形断面トンネル掘削方法であって、
    上記カッタヘッドの回転に伴い上記移動カッタに接続された上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に押し付けられて上記軸受部に生じる面圧をPとし、上記移動カッタの移動に伴い伸縮する上記カッタジャッキの側部が上記軸受部に摺接する速度をVとすると、
    上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が、上記カッタヘッドが回転する間、常に所定値以下となり、且つ、上記カッタヘッドが1回転する際の平均回転速度が所定速度以上となるように、上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とを、上記カッタヘッドが回転する間の回転角度に応じて制御する
    ことを特徴とする異形断面トンネル掘削方法。
  4. 上記カッタヘッドが1回転する間に、上記カッタヘッドの回転角度を所定角度毎に検出する回転角度センサと、
    該回転角度センサで検出される上記カッタヘッドの各回転角度において、上記面圧Pに上記速度Vを乗じた値が全て上記所定値以下となる上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とが書き込まれたマップとを有し、
    上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタジャッキのストロークを制御することで、掘削断面を円形以外の異形断面とすると共に、
    上記マップに基づき、上記回転角度センサで検出された上記カッタヘッドの回転角度に応じて上記カッタヘッドの回転速度と上記カッタジャッキの伸縮速度とをマップ制御するようにした
    請求項3に記載の異形断面トンネル掘削方法。
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