JP2019052520A - シールド掘進機 - Google Patents

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大助 三宅
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Abstract

【課題】伸縮カッタの制御系を短期間で構築可能なシールド掘進機を提供する。【解決手段】このシールド掘進機1は、回転して土砂を掘削するカッタヘッド2と、カッタヘッド2を回転駆動する油圧式のカッタ駆動部3とカッタヘッド2の回転角度θを検出する回転角度検出部4と、カッタヘッド2の外周部から半径方向に伸縮する油圧式の伸縮カッタ5と、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に同期して作動油を供給する油圧供給部30と、伸縮カッタ5と油圧供給部30との間に設けられ、カッタヘッド2の回転角度θに対応した流量で作動油を伸縮カッタ5へ吐出する容積式の流量調整部40と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、シールド掘進機に関し、特に、カッタヘッドの外周側を掘削する伸縮カッタを備えるシールド掘進機に関する。
従来、カッタヘッドの外周側を掘削する伸縮カッタを備えるシールド掘進機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、カッタヘッドと、カッタヘッドの外周部から半径方向に伸縮することにより、カッタヘッドの外周側を掘削するコピーカッタ(伸縮カッタ)とを備えるシールド掘進機が開示されている。コピーカッタは、コピーカッタの伸縮用の油圧ジャッキと油圧ポンプとの間に設けられたサーボ弁の開閉制御により、伸縮動作が制御される。コピーカッタは、カッタヘッドの掘削範囲が及ばない外周部分を余掘りする機構であり、カッタヘッドの回転に応じて伸縮させて、一回転の間にコピーカッタが所望の軌跡を描くように制御される。上記特許文献1では、油圧ジャッキによるコピーカッタのストローク量の目標値と、コピーカッタのストローク量を検出するストローク計の検出信号との偏差がゼロになるように、サーボ弁の開度をフィードバック制御することにより、一回転の間のコピーカッタの軌跡を制御している。
特開平7−217373号公報
上記特許文献1のようなコピーカッタのフィードバック制御方式には、以下のような問題点がある。まず、一般的なPID制御などのフィードバック制御を行う場合、制御上の各種係数(ゲイン)を事前に決めることは容易ではなく、実際のシールド掘進機を稼働(試運転)させて係数を決める必要があるため煩雑で時間がかかる。また、サーボ弁は開度調節によって流量を制御するため、実際に油圧ジャッキに供給される流量はサーボ弁の前後の差圧によって変動する。そのため、たとえばコピーカッタにかかる負荷(地山からの反力)変動や、油圧ジャッキの伸長駆動時の特性と収縮駆動時の特性との相違などによっても差圧変動が生じて油圧ジャッキへの供給流量が変動し、フィードバック制御によって安定して制御するのが難しいため、たとえばコピーカッタを高速で伸縮させる場合などにコピーカッタの伸縮動作が振動的になる(いわゆるハンチングを生じる)場合がある。これによっても、各種係数を決める作業は煩雑化し時間を要することになる。
そのため、伸縮カッタの制御系を構築するのに要する期間を短縮(リードタイムを短縮)できるようにすることが望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、伸縮カッタの制御系を短期間で構築可能なシールド掘進機を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるシールド掘進機は、回転して土砂を掘削するカッタヘッドと、カッタヘッドを回転駆動する油圧式のカッタ駆動部とカッタヘッドの回転角度を検出する回転角度検出部と、カッタヘッドの外周部から半径方向に伸縮する油圧式の伸縮カッタと、カッタ駆動部および伸縮カッタの各々に同期して作動油を供給する油圧供給部と、伸縮カッタと油圧供給部との間に設けられ、カッタヘッドの回転角度に対応した流量で作動油を伸縮カッタへ吐出する容積式の流量調整部と、を備える。なお、同期して作動油を供給するとは、供給開始直後や供給停止直前の過渡状態(非定常状態)を除く少なくとも定常状態において、供給動作(供給圧力の変化)が時間的に一致していれば足り、過渡状態において非同期となることを許容する広い概念である。
この発明の一の局面によるシールド掘進機では、上記のように、カッタ駆動部および伸縮カッタの各々に同期して作動油を供給する油圧供給部を設けることによって、カッタヘッドへ供給する油圧の増減に連動させて、伸縮カッタへ供給する油圧を増減させることができる。このため、伸縮カッタ用の独立したポンプを一定流量で駆動して、カッタヘッドの回転速度変化に対してフィードバック制御によって伸縮速度を追従させる場合と異なり、フィードバック制御を行わなくともカッタヘッドの回転速度に伸縮カッタの伸縮速度を同期させることができる。そして、伸縮カッタと油圧供給部との間に設けられ、カッタヘッドの回転角度に対応した流量で作動油を伸縮カッタへ吐出する容積式の流量調整部を設けることによって、油圧供給部からの作動油の流量を差圧によらずに定量的に制御することができる。すなわち、サーボ弁のように同じ開度でも差圧によって流量が変動してしまう構成では、実際のストローク量を検出してフィードバック制御を行う必要があるのに対して、容積式の流量調整部によれば、差圧が変動しても伸縮カッタに所望の流量で作動油が供給できるので、ストローク量のフィードバック制御(閉ループ制御)を用いなくても、カッタヘッドの回転角度に基づくフィードフォワード的な流量制御(開ループ制御)を行うだけで、カッタヘッドの回転に同期させて所望の軌跡を描くように伸縮カッタを伸縮させることができる。これらの結果、シールド掘進機を試運転してフィードバック制御のための各種係数を決定する調整作業が不要となるため、伸縮カッタの制御系を短期間で構築できる。なお、更なる高精度化を図るため、伸縮カッタの実際のストローク量などのフィードバック制御を追加的に用いてもよい。その場合でも、フィードバック制御は、カッタヘッドの回転角度によるメイン制御(フィードフォワード制御)における誤差を修正するためのサブ制御として用いるだけで済むので、伸縮カッタの全制御をフィードバック制御によって行う場合よりも、各種係数を決定する調整作業も容易化できる。
上記一の局面によるシールド掘進機において、好ましくは、流量調整部は、油圧供給部からの作動油を伸縮カッタ側とオイルタンク側とに分流する容積式の分流機構を含み、カッタヘッドの回転角度に応じて分流機構の容積を変化させるように構成されている。このように構成すれば、伸縮カッタ側とオイルタンク側とに分流する容積比を制御することによって、伸縮カッタへ吐出する作動油の流量を精度よく制御することができる。
この場合、好ましくは、分流機構は、互いに軸が連結された一対の容積式油圧モータを含み、容積式油圧モータが、カッタヘッドの回転角度に応じて容積を変化させるように構成されている。このように構成すれば、連結した一対の容積式油圧モータを分流機構として用いることにより、油圧供給部からの油圧によって駆動された容積式油圧モータによる吐出量を制御することによって、伸縮カッタへ吐出する作動油の流量を精度よく制御することができる。そして、容積式油圧モータを可変容量型油圧モータとすることにより、容易に、伸縮カッタ側とオイルタンク側とに分流する容積比を変化させることが可能な分流機構を構築することができる。
上記一の局面によるシールド掘進機において、好ましくは、油圧供給部は、互いに軸が連結されることにより機械的に同期されたカッタ駆動用ポンプと伸縮カッタ用ポンプとを含む。このように構成すれば、カッタ駆動部および伸縮カッタの各々への油圧供給を同期させることが可能な油圧供給部を容易に構築することができる。また、ポンプ動作が安定した定常状態以外の、供給開始直後や供給停止直前の過渡状態(非定常状態)においても、カッタ駆動用ポンプと伸縮カッタ用ポンプとを機械的に同期させることができるので、フィードフォワード制御を行う場合でも、非定常状態の動作特性の相違などに起因してカッタヘッドの回転角度と伸縮カッタのストローク量との同期制御にずれが生じるのを抑制することができる。
上記一の局面によるシールド掘進機において、好ましくは、流量調整部の伸縮カッタ側への吐出流量を制御する制御部をさらに備え、制御部は、カッタヘッドの回転角度と流量調整部の伸縮カッタ側への吐出流量とを対応付ける制御データに基づいて、流量調整部を制御するように構成されている。ここで、カッタヘッドの回転速度と回転方向とが決まれば、伸縮カッタが所定の軌跡を描くように伸縮カッタを伸縮させるのに必要な作動油の流量は、カッタヘッドの回転角度のみによって決定することができる。そこで、カッタヘッドの回転角度と伸縮カッタ側への吐出流量とを対応付ける制御データを予め求めておくだけで、複雑なフィードバック制御を要することなく、回転角度検出部が検出した回転角度から流量調整部の制御量を決定して伸縮カッタの動作制御を行うことができる。その結果、伸縮カッタの制御系をより短期間で構築できる。
この場合、好ましくは、制御部は、制御データに基づき、カッタヘッドの回転に伴う伸縮カッタの伸縮切り替えタイミングよりも早いタイミングでストロークの限界位置に到達するように、流量調整部を制御するように構成されている。このように構成すれば、油圧機器に付随する作動油のリークなどを考慮して、伸縮カッタが伸縮切り替えタイミングで確実に最大ストローク(最小ストローク)に到達するように制御できる。これにより、リークなどの運用上の誤差要因が存在しても、伸縮カッタのストローク量の誤差を抑制することができ、伸縮切り替えの繰り返しによって誤差が累積することを防止することができる。
上記一の局面によるシールド掘進機において、好ましくは、伸縮カッタは、カッタヘッドの回転に伴い伸縮して、カッタヘッドよりも外周側を所定の軌跡で掘削することにより、掘削断面を非円形の異形断面とするように構成されている。このように、伸縮カッタを用いて異形断面のトンネル掘削を行う場合、伸縮カッタによる外周掘削がトンネル掘削において常時行われるため、伸縮動作が振動的になることを回避しつつ、予め設定された軌跡で伸縮カッタを動作させることが強く望まれる。本発明では、フィードバック制御を行う場合と異なり、カッタヘッドの回転角度によるフィードフォワード的な制御が可能となるので、目標値の前後で伸縮動作が振動的になるのを抑制することができるため、伸縮カッタを用いた異形断面の掘削を行うシールド掘進機において特に好適である。
本発明によれば、上記のように、伸縮カッタの制御系を短期間で構築できる。
本発明の第1および第2実施形態によるシールド掘進機の模式的な縦断面図である。 図1のシールド掘進機を掘進方向前方から見た模式的な正面図である。 シールド掘進機のカッタ駆動に関わる油圧回路の構成を示した図である。 容量可変型の油圧モータの構成例を示した図である。 カッタヘッドの回転に伴う伸縮カッタの動きを説明するための図である。 図5に示した軌跡を実現するための伸縮カッタのストロークおよび作動油の必要流量を示した図である。 伸縮カッタを動作させるための制御データを示した図である。 第1実施形態による油圧供給部の流量変化(A)および比較例による流量変化(B)を示した図である。 第2実施形態における伸縮カッタのストローク範囲を示した図である。 第2実施形態における伸縮カッタを動作させるための制御データを示した図である。 図10の例において、カッタヘッドの回転方向を変更した場合の制御動作を示した図である。 比較例による、回転に伴う伸縮カッタの軌跡を示した図である。 第2実施形態による、回転に伴う伸縮カッタの軌跡を示した図である。 油圧供給部の変形例を示した図である。 第1および第2実施形態の変形例による伸縮カッタにストローク計を設ける例を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態によるシールド掘進機1について説明する。第1実施形態では、非円形の異形断面トンネルを掘削する異形断面シールド掘進機の例について説明する。
(シールド掘進機の全体構成)
図1に示すように、シールド掘進機1は、回転して土砂を掘削するカッタヘッド2と、カッタヘッド2を回転駆動するカッタ駆動部3と、カッタヘッド2の回転角度を検出する回転角度検出部4と、カッタヘッド2の外周部から半径方向に伸縮する伸縮カッタ5と、を備える。また、シールド掘進機1は、カッタヘッド2によって掘削された土砂が貯留されるチャンバ6と、チャンバ6内の土砂を排出する排土装置7と、セグメントSGを押圧してカッタヘッド2を推進させるシールドジャッキ8とを含む。
第1実施形態では、シールド掘進機1が、泥土圧式のシールド掘進機である例を示している。泥土圧式のシールド掘進機1では、カッタヘッド2により掘削された土砂にチャンバ6内で作泥材が注入されて土砂と混合され、掘削土砂が不透水性と塑性流動性を持つ泥土に変換される。掘削土砂(泥土)は、チャンバ6内および排土装置7内に充満する。シールド掘進機1は、掘削土砂(泥土)をチャンバ6内および排土装置7内に充満させた状態を維持してシールドジャッキ8の推力によりチャンバ6内に圧力を発生させることにより、地山側の圧力(切羽の土圧および地下水圧)に対抗させる。シールド掘進機1は、掘進量と排土量とのバランスによって圧力の平衡を図りながら掘進方向前方(図1の左方向)に掘進する。
シールド掘進機1は、前胴部9aおよび後胴部9bから構成された胴体9を備えている。前胴部9aは、推進力が付与されてカッタヘッド2により地山の掘進を行う部分であり、後胴部9bは、前胴部9aに伴って、トンネルのリング状の周壁部分を構成するセグメントSGを図示しないエレクタにより配列しながら進行する部分である。
ここで、図2に示すように、第1実施形態のシールド掘進機1は、異形断面を有するシールド掘進機である。すなわち、シールド掘進機1(胴体9)は、カッタヘッド2の中心軸線Aと直交する断面Cが非円形形状を有する。図2では、概ね正方形(角丸正方形)の矩形断面を有し、矩形断面のトンネルを掘進するシールド掘進機1の例を示している。なお、非円形形状は、矩形に限られず、オーバル形状(角丸長方形)または楕円形状や、六角形状などの多角形状であってもよい。
図1に戻り、カッタヘッド2は、中心軸線A回りに回転駆動される。カッタヘッド2によって削られた掘削土は、図示しない貫通孔を通ってカッタヘッド2の内部のチャンバ6に進入する。カッタヘッド2は、径方向に直線状に延びるカッタスポーク2aと、カッタスポーク2aの前面に設けられたカッタビット2bとを含む。カッタスポーク2aは、角筒状の梁部材である。カッタビット2b(ビット)は、土砂を削る掘削刃である。
カッタヘッド2は、カッタコラム11を介して旋回台12に取り付けられ、カッタ駆動部3によって回転駆動される。旋回台12は、前胴部9aの隔壁13に回転可能に支持されている。カッタ駆動部3は、隔壁13の後方(図1の右方向)に配置されており、旋回台12に駆動トルクを付与して回転駆動する。つまり、カッタヘッド2、カッタコラム11および旋回台12がカッタ駆動部3によって一体的に回転(旋回)される。カッタヘッド2の回転角度θ(図2参照)は、回転角度検出部4により検出される。
回転角度検出部4は、ロータリーエンコーダなどの角度検出器により構成されている。回転角度検出部4は、隔壁13の後方に設けられカッタヘッド2に連結されたセンターシャフト14を介して、カッタヘッド2の回転角度θ(図2参照)を取り出して検出する。なお、回転角度検出部4は、カッタヘッド2と一体で回転する部分であれば、どの部位の回転を検出してもよい。
伸縮カッタ5は、カッタヘッド2の外周部に設けられている。具体的には、伸縮カッタ5は、カッタスポーク2aに内蔵されている。伸縮カッタ5は、土砂を掘削するビット21と、ビット21を径方向(カッタスポーク2aの延びる方向)に直線移動させる伸縮カッタ用ジャッキ22とを含む。伸縮カッタ用ジャッキ22は、カッタスポーク2aの内部でカッタスポーク2aの伸びる方向に沿って設けられ、カッタスポーク2aに沿ってロッド23を伸縮させる。ビット21は、ロッド23の先端に設けられ、伸縮カッタ用ジャッキ22によって所定のストローク範囲内で径方向に伸縮する。
第1実施形態では、伸縮カッタ5は、カッタヘッド2の回転に伴い伸縮して、カッタヘッド2よりも外周側を所定の軌跡で掘削することにより、掘削断面を非円形の異形断面とするように構成されている。すなわち、図2に示すように、カッタヘッド2は、カッタスポーク2aによって、中心軸線Aから半径Lの円形断面の領域を掘削することができる。そして、半径Lを越える外側領域を、カッタヘッド2の回転に伴い伸縮する伸縮カッタ5が掘削する。これにより、シールド掘進機1は、非円形の異形断面Cのトンネル掘削を行う。
図1に戻り、チャンバ6は、カッタヘッド2、前胴部9aおよび隔壁13によって囲まれた空間(作泥土室)である。チャンバ6内の泥土圧は、設置高さの異なる位置に複数設けられた土圧センサ6aにより計測される。チャンバ6内の泥土圧は、地山側からカッタヘッド2に作用する圧力と概ね平衡状態となるように維持される。
シールドジャッキ8は、後胴部9bに取り付けられている。シールドジャッキ8は、複数設けられており、胴体9の周方向に沿って配列されている。シールド掘進機1は、シールドジャッキ8の推進力によって掘進方向に推進する。シールドジャッキ8は、複数本で1つのブロックを構成し、複数のブロックが、後胴部9bの内周に略全周にわたって配列されている。カッタ駆動部3による回転駆動と、シールドジャッキ8によるジャッキ推力の付与(推進)とは、独立して制御される。
排土装置7は、チャンバ6に接続され、チャンバ6内の土砂を排出するように構成されている。図1の例では、排土装置7は、スクリュコンベアにより構成されている。排土装置7は、一端で開口する取込口7aが隔壁13を貫通してチャンバ6内に露出し、他端側の排出口7bが隔壁13よりも後方側の作業空間WS内に設けられている。
チャンバ6内の土圧センサ6aの圧力計測値は、データ処理装置15に送られる。データ処理装置15は、シールド掘進機1のオペレーションルーム(運転室)16と接続されている。オペレーションルーム16における操作入力などに基づいて、シールド掘進機1の動作制御が行われる。オペレーションルーム16により、カッタ駆動部3によるカッタヘッド2の回転速度、シールドジャッキ8の推進力(シールド掘進機1の掘進速度)、排土装置7による掘削土砂の排出量などが制御される。
(油圧回路の構成)
次に、図3を参照して、シールド掘進機1のカッタヘッド2および伸縮カッタ5を駆動するための油圧回路の構成について説明する。第1実施形態では、カッタヘッド2を回転駆動するカッタ駆動部3と、伸縮カッタ5の伸縮カッタ用ジャッキ22とは、作動油の供給によって駆動される油圧機器により構成されている。具体的には、カッタ駆動部3は油圧モータにより構成され、伸縮カッタ用ジャッキ22は油圧ジャッキにより構成されている。
また、第1実施形態では、シールド掘進機1は、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に作動油を供給する油圧供給部30と、伸縮カッタ5と油圧供給部30との間に設けられ、カッタヘッド2の回転角度θに対応した流量で作動油を伸縮カッタ5へ吐出する容積式の流量調整部40と、を備える。
油圧供給部30は、少なくとも1つの油圧ポンプを備える。油圧供給部30は、オイルタンク51から作動油を組み上げ、所望の圧力で作動油を供給することができる。油圧供給部30は、カッタ駆動部3に作動油を供給するための配管経路52と、伸縮カッタ用ジャッキ22に作動油を供給するための配管経路53と、にそれぞれ接続されている。油圧供給部30は、配管経路52と配管経路53とに並列的に接続され、それぞれの経路に個別に作動油を供給する。
配管経路52は、カッタ駆動部3に接続されている。カッタ駆動部3は、配管経路52を介して供給された作動油によってピニオン3aを回転させ、ピニオン3aに噛み合う主ギヤ3bを介して、カッタヘッド2(カッタスポーク2a)を回転駆動する。カッタ駆動部3の出口ポートはオイルタンク51への戻り経路に接続されている。
配管経路53は、流量調整部40、方向制御弁54、パイロットチェック弁55を介して、伸縮カッタ用ジャッキ22に接続される経路である。配管経路53は、ロータリージョイント17、センターシャフト14およびカッタスポーク2aの各々の内部を通って伸縮カッタ用ジャッキ22に接続されている。
伸縮カッタ用ジャッキ22は、ロッド23とシリンダ24とを含み、方向制御弁54によって2経路に分岐した配管経路53の一方経路53aがシリンダ24のキャップ側ポートに接続され、他方経路53bがシリンダ24のロッド側ポートに接続されている。
方向制御弁54は、作動油の供給先をキャップ側またはロッド側に選択的に切り替え、非選択の経路をオイルタンク51への戻り経路に接続する。第1実施形態の方向制御弁54は、電磁式の切替弁であり、絞りによる流量調整は行わない。
方向制御弁54は、伸縮カッタ5の伸長時には、一方経路53aを流量調整部40に接続し、他方経路53bをオイルタンク51(戻り経路)に接続する。伸縮カッタ用ジャッキ22は、キャップ側ポートに作動油が供給されることにより、ロッド23を伸長させて伸縮カッタ5(ビット21)を突出させる。伸長時には、ロッド側の作動油が他方経路53bからオイルタンク51に戻される。
方向制御弁54は、伸縮カッタ5の収縮時には、一方経路53aをオイルタンク51に接続し、他方経路53bを流量調整部40に接続する。伸縮カッタ用ジャッキ22は、ロッド側ポートに作動油が供給されることにより、ロッド23を収縮させて伸縮カッタ5(ビット21)を引き戻す。収縮時には、キャップ側の作動油が一方経路53aからオイルタンク51に戻される。なお、一方経路53aと他方経路53bとの間には過負荷防止用のリリーフ弁56が設けられている。
流量調整部40は、伸縮カッタ用ジャッキ22への作動油の供給量を制御する機能を有する。第1実施形態では、流量調整部40は、カッタヘッド2の回転角度θ(図2参照)に対応した流量で作動油を伸縮カッタ5へ吐出するように構成された容積式の流量調整機構である。流量調整部40により、伸縮カッタ用ジャッキ22への作動油の供給流量が定量的に制御される。
シールド掘進機1は、流量調整部40の伸縮カッタ5側への吐出流量を制御する制御部60を備える。制御部60は、CPU等のプロセッサとメモリとを含むコンピュータにより構成されている。制御部60は、回転角度検出部4からカッタヘッド2の回転角度θを取得する。そして、制御部60は、カッタヘッド2の回転角度θに基づいて、方向制御弁54の経路切り替え、および流量調整部40の吐出流量の制御を行うように構成されている。すなわち、制御部60は、カッタヘッド2の回転角度θに基づいて、方向制御弁54に対して、伸縮カッタ5の伸長動作と収縮動作とを切り替えるための制御信号P1を出力する。また、制御部60は、カッタヘッド2の回転角度θに基づいて、後述するサーボピストン62に制御信号P2およびP3を出力することにより、流量調整部40の吐出流量の制御を行う。
なお、第1実施形態では、制御部60は、伸縮カッタ5の実際のストローク量(伸縮カッタ用ジャッキ22のストローク量)を用いたフィードバック制御を行うことなく、カッタヘッド2の回転角度θに基づくフィードフォワード的な制御によって、流量調整部40の吐出流量を制御するように構成されている。
〈油圧供給部〉
第1実施形態では、油圧供給部30は、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に同期して作動油を供給するように構成されている。ここで、同期して作動油を供給するとは、配管経路52と配管経路53との各々への作動油の供給圧力(流量)を連動させることを意味する。配管経路52および配管経路53の一方への供給圧力(流量)が上昇する場合、油圧供給部30は、配管経路52および配管経路53の他方への供給圧力(流量)を同期させて上昇させる。ただし、配管経路52への供給量と配管経路53への供給量とは、供給先の油圧機器の仕様に応じて互いに異なる。つまり、油圧供給部30は、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の必要流量の比に応じた一定割合で、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に作動油を供給する。
カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々への作動油の供給は、電気的に同期させてもよいし、機械的に同期させてもよい。第1実施形態では、油圧供給部30は、作動油の供給を機械的に同期させている。具体的には、油圧供給部30は、互いに軸が連結されることにより機械的に同期されたカッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを含む。つまり、油圧供給部30は、共通の駆動軸を有する2連式の油圧ポンプユニットにより構成されている。カッタ駆動用ポンプ31はカッタ駆動部3側の配管経路52に接続され、伸縮カッタ用ポンプ32は伸縮カッタ5側の配管経路53に接続されている。そして、カッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とは、共通の電動モータ33によって回転駆動される。これにより、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々への油圧供給が機械的に同期されている。カッタ駆動用ポンプ31および伸縮カッタ用ポンプ32は、機械的に連結されることにより、各々のポンプの容量に応じた一定流量比を維持して作動油を供給する。すなわち、後述するように定常状態におけるカッタ駆動用ポンプ31の吐出流量をQ3とし、伸縮カッタ用ポンプ32の吐出流量をQ4としたとき、流量比(Q3:Q4)が略一定になる。また、カッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とは、機械的に連結されることにより、吐出流量が安定した定常状態のみならず、始動直後の立ち上がりの過渡状態、および流量を減少させる停止時の過渡状態の非定常状態においても同期を維持するように構成されている。なお、カッタ駆動用ポンプ31および伸縮カッタ用ポンプ32の駆動源としては、電動モータ33以外のエンジン(内燃機関)などであってもよい。
〈流量調整部〉
第1実施形態では、流量調整部40は、油圧供給部30からの作動油を伸縮カッタ5側とオイルタンク51側とに分流する容積式の分流機構41を含む。分流機構41は、伸縮カッタ用ポンプ32からの作動油を、伸縮カッタ5側の方向制御弁54への経路と、オイルタンク51側への戻り経路とに分流するように構成されている。分流によって、伸縮カッタ用ポンプ32から供給される作動油の一部または全部が方向制御弁54へ供給され、残りがオイルタンク51へ戻される。分流機構41は、容積変化によって、方向制御弁54およびオイルタンク51の各々への吐出量を変化させることが可能に構成されている。そして、流量調整部40は、カッタヘッド2の回転角度θに応じて分流機構41の容積を変化させるように構成されている。
具体的には、分流機構41は、互いに軸が連結された一対の容積式油圧モータ42aおよび42bを含む。容積式油圧モータ42aおよび42bは、共通の配管経路53によって、油圧供給部30(伸縮カッタ用ポンプ32)に接続されている。容積式油圧モータ42aは、方向制御弁54に接続され、作動油を伸縮カッタ5側へ分流する。容積式油圧モータ42bは、オイルタンク51に接続され、作動油をオイルタンク51側へ分流する。容積式油圧モータは、1回転毎に所定量(押しのけ容積)の作動油を吐出するタイプの油圧モータであり、ギヤモータ、ベーンモータ、ピストン(プランジャ)モータなどがある。
第1実施形態では、容積式油圧モータ42aおよび42bが、カッタヘッド2の回転角度θに応じて容積を変化させるように構成されている。すなわち、容積式油圧モータ42aおよび42bは、可変容量型油圧モータにより構成されている。可変容量型油圧モータとしては、たとえば斜板式または斜軸式のピストンモータでもよいし、ロータの偏心量を変更可能な可変容量型のベーンモータでもよい。図4は、斜板式の可変容量型モータ(容積式油圧モータ42aおよび42b)の一例を示す。
図4の例では、各容積式油圧モータ42aおよび42bは、シリンダブロック43に複数のシリンダおよびピストン43aを周状に有し、それぞれのシリンダにピストン43aの一端が摺動可能に嵌合している。ピストン43aの他端は回転軸に対して傾斜可能な斜板44に支持される。サーボピストン62によって斜板44の傾斜角αを変化させることにより、傾斜角αに応じてピストン43aのストローク量が変化し、その結果、1回転当たりの押しのけ容積(吐出流量)が変化する。なお、斜軸式の場合、斜板に相当する部分に回転軸が設けられ、シリンダブロック43の中心軸(斜軸)の方を傾斜させる。
このように、容積式油圧モータ42aおよび42bは、それぞれサーボピストン62に接続され、サーボピストン62のストロークによって斜板44または斜軸(図示せず)の傾斜角αを変化させることにより、容積を変化させるように構成されている。これにより、容積式油圧モータ42aおよび42bの各々は、可変範囲内で、サーボピストン62のストローク位置に応じた流量の作動油を吐出できる。それぞれのサーボピストン62のストロークは、制御部60により制御される。
容積式油圧モータ42aおよび42bは、互いの軸が連結されているため、一体で回転する。したがって、分流機構41は、油圧供給部30からの作動油を、容積式油圧モータ42aおよび42bの容積比に応じた割合で、伸縮カッタ5側とオイルタンク51側とに分流するように構成されている。つまり、分流機構41は、油圧供給部30からの流量Q4の作動油を、容積式油圧モータ42aによって伸縮カッタ5側に流量Q4Aで分流し、容積式油圧モータ42bによってオイルタンク51側に流量Q4Bで分流する。Q4=Q4A+Q4Bとなる。これにより、容積式油圧モータ42aの傾斜角に応じた可変範囲内の任意流量で、作動油を伸縮カッタ5側に定量供給することができる。容積式油圧モータ42bは、容積式油圧モータ42aの流量Q4Aに応じて、Q4A+Q4B=Q4(一定)を維持するように吐出流量(容積)が制御される。つまり、容積式油圧モータ42bは、容積式油圧モータ42aの吐出流量(容積)Q4Aが増大すれば、増大分に応じて吐出流量(容積)Q4Bを減少させ、容積式油圧モータ42aの吐出流量(容積)Q4Aが減少すれば、減少分に応じて吐出流量(容積)Q4Bを増大させるように、制御される。
〈伸縮カッタの制御〉
次に、カッタヘッド2の回転に同期する伸縮カッタ5の伸縮制御について説明する。図5のようにカッタスポーク2a(実線部)が正面視上下方向に延び、伸縮カッタ5が中心軸線Aの真上にある状態におけるカッタヘッド2の回転角度θを0度とする。図において反時計方向を正回転、時計方向を逆回転とする。
図5に示した構成例において、略正方形の掘削断面を形成する場合の伸縮カッタ5のストローク量は、カッタヘッド2の各回転角度において既知である。すなわち、伸縮カッタ5の先端(ビット21)が、カッタヘッド2の回転に伴って矩形断面の外周縁と略一致する軌跡TRに沿って回転すればよい。図5の場合、伸縮カッタ5のストローク量は、0度から90度毎(0度、90度、180度、270度)に最小となり、45度から90度毎(45度、135度、225度、315度)に最大となる。正回転時、0度から90度ずつ回転する間に、前半の45度は伸長(ストローク量増大)動作、後半の45度は収縮(ストローク量減少)動作となる。つまり、カッタヘッド2の回転角度θに対する伸縮カッタ5のストローク量(目標値)は、図6の上段のグラフ(縦軸:ストローク、横軸:回転角度)に示すようになる。
そのため、カッタヘッド2の回転速度(カッタ駆動部3への供給流量)が一定の条件において、伸縮カッタ用ジャッキ22(伸縮カッタ5)を図5の軌跡TRで動作させるのに必要な作動油の流量(必要流量)は、カッタヘッド2の回転角度θによって一義的に決定される。すなわち、図6上段のグラフに示すストローク変化を実現するための必要流量は、図6下段のグラフ(縦軸:必要流量、横軸:回転角度)のように予め決定される。そこで、第1実施形態では、制御部60は、回転角度検出部4によって検出されたカッタヘッド2の回転角度θに基づいて、回転角度に応じた流量を吐出するように流量調整部40を制御することによって、伸縮カッタ用ジャッキ22のストロークを図6に示したように制御する。
第1実施形態では、図7に示すように、制御部60は、カッタヘッド2の回転角度θと、流量調整部40の伸縮カッタ5側への吐出流量とを対応付ける制御データ61に基づいて、流量調整部40を制御するように構成されている。ここで、伸縮カッタ5側への吐出流量Q4Aは、容積式油圧モータ42aの容積によって定まり、容積式油圧モータ42aの容積を決定する斜板または斜軸の傾斜角αは、サーボピストン62のストロークによって決まる。そのため、制御データ61は、カッタヘッド2の回転角度θと、容積式油圧モータ42aの吐出流量(容積)Q4A、斜板または斜軸の傾斜角α、またはサーボピストン62のストローク量のいずれかと、カッタヘッド2の回転角度θとを対応付ける。制御データ61は制御部60に予め設定されている。ここで、カッタヘッド2の回転角度θにおける伸縮カッタ用ジャッキ22の動作は、回転方向によって異なる。たとえば0度から45度の区間は、正回転時には伸長動作の区間であるが、逆回転時には収縮動作の区間となる。そのため、制御データ61は正回転用データと逆回転用データとの2種類が設けられ、制御部60は、カッタヘッド2の回転方向に応じて参照するデータを切り替える。
図7は、カッタヘッド2の回転角度θ(横軸)と、容積式油圧モータ42aの吐出流量Q4A(縦軸)との関係(0度〜180度)を示している。正回転時において、0度〜45度、90度〜135度の各区間71aは、伸長動作区間である。区間71aでは、制御部60は、回転角度毎に対応する吐出流量で、作動油を伸縮カッタ用ジャッキ22のキャップ側に供給するように、各サーボピストン62および方向制御弁54を制御する。正回転時において、45度〜90度、135度〜180度の各区間71bは、収縮動作区間である。区間71bでは、制御部60は、回転角度毎に対応する吐出流量で、作動油を伸縮カッタ用ジャッキ22のロッド側に供給するように、各サーボピストン62および方向制御弁54を制御する。逆回転時には、区間71aが収縮動作区間となり、区間71bが伸長動作区間となる。
なお、ロッド側供給時とキャップ側供給時とで作動油の吐出流量の大きさに差があるのは、伸縮カッタ用ジャッキ22のキャップ側とロッド側とでロッド23の有無の分だけ容積が異なるためである。区間71aおよび区間71bの各々で、流量に対応する伸縮カッタ5のストローク量は、それぞれ等しい(図6参照)。制御データ61は、たとえば、図7に示したカッタヘッド2の各回転角度θと、各回転角度θに対応する吐出流量とを、一対一で対応させたテーブルデータとして構成される。
なお、図7では、カッタヘッド2の回転角度θと、容積式油圧モータ42aの吐出流量Q4Aとを対応付ける例を示したが、容積式油圧モータ42aの吐出流量Q4Aを、斜板または斜軸の傾斜角α、またはサーボピストン62のストローク量に置き換えてもよい。
ところで、図7の縦軸の吐出流量の値は、カッタヘッド2の回転速度によって異なる。すなわち、回転速度が高くなれば、その分、吐出流量[L/min]も大きくなる必要がある。第1実施形態では、油圧供給部30がカッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に同期して作動油を供給するため、カッタ駆動部3への作動油の油圧が増大して回転速度が上昇すれば、これに連動して伸縮カッタ5への油圧が増大して分流機構41の容積式油圧モータ42aおよび42bの回転速度も上昇して、その分、吐出流量が増大する。このように、カッタ駆動部3への作動油の流量Q3と、流量調整部40への作動油の流量Q4とは、常に一定の比率を保つように同期するので、カッタヘッド2の回転速度が変化しても、同じ制御データ61を用いた制御によって、伸縮カッタ5を軌跡TR(図5参照)に沿って動作させることができる。
第1実施形態の流量調整部40は、分流機構41によって流量調整部40からの作動油の一部を伸縮カッタ用ジャッキ22へ供給する構成であるため、分流機構41の容積式油圧モータ42aおよび42bの各容積は、可変範囲の最大値(最大吐出量)が、伸縮カッタ用ジャッキ22の必要流量の最大値Qmに一致するか必要流量の最大値Qmよりも大きくなるように設計されている。可変範囲の最小値(最小吐出量)は、たとえば略0に設計されている。
〈シールド掘進機の動作〉
次に、シールド掘進機1の動作について説明する。図3に示したように、掘進を開始する際、油圧供給部30から作動油(油圧)が供給される。すなわち、電動モータ33によってカッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とが駆動される。カッタ駆動用ポンプ31および伸縮カッタ用ポンプ32は、共通の駆動軸で連結され機械的に同期するので、ポンプの始動タイミングのずれが存在せず、定常状態に遷移するまでの立ち上がりの期間でも流量比が一定に保たれる。
すなわち、たとえばカッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを別々に駆動した場合、図8(B)に示す比較例のように、定常状態では一定の流量比に維持されたとしても、始動タイミングのずれが発生したり、立ち上がりの過渡状態におけるそれぞれのポンプやモータの特性の相違などによって、流量の比率が一致しなくなる可能性がある。この流量の不一致は、図7に示したカッタヘッド2の回転角度θに対する伸縮カッタ5への吐出流量の誤差となって現れる。
これに対して、第1実施形態では、図8(A)に示すように、カッタ駆動用ポンプ31および伸縮カッタ用ポンプ32の流量変化が同期して、一定の流量比を維持する。つまり、過渡状態における流量比(Q1:Q2)と、定常状態での流量比(Q3:Q4)とを常に一致させることができる。そのため、カッタヘッド2の回転角度θに対する伸縮カッタ5への吐出流量の誤差が発生することがない。
カッタヘッド2が回転を始めると、制御部60は、カッタヘッド2の回転方向に応じて、方向制御弁54を切り替えるとともに、回転方向に応じた制御データ61を選択する。そして、制御部60は、回転角度検出部4からカッタヘッド2の回転角度θを取得し、制御データ61を参照して、伸縮カッタ5側への流量調整部40の吐出流量Q4A(あるいは、傾斜角αまたはサーボピストン62のストローク量)を求める。オイルタンク51側に戻す吐出流量Q4Bは、伸縮カッタ5側への吐出流量Q4Aに応じて決まる。そして、制御部60は、カッタヘッド2の回転角度θに応じた流量で作動油を伸縮カッタ5へ吐出するように、流量調整部40を制御する。すなわち、制御部60は、求めた流量調整部40の吐出流量Q4A、Q4B(または傾斜角α)から、各サーボピストン62のストローク量を求めて、求めたストローク量となるように各サーボピストン62を制御することにより、流量調整部40の吐出流量Q4A、Q4Bを制御する。制御データ61がカッタヘッド2の回転角度θとサーボピストン62のストローク量とを対応させていれば、サーボピストン62を、制御データ61から取得したストローク量とすればよい。
回転を継続する間、制御部60は、カッタヘッド2の回転角度θに応じて、区間71aと区間71bとが切り替わる45度間隔で方向制御弁54を切り替え、それぞれの回転角度に対応する吐出流量Q4A、Q4Bとなるように、各サーボピストン62(流量調整部40)を制御する。
以上の結果、伸縮カッタ用ジャッキ22は、カッタヘッド2の回転に伴って、図6に示した変化曲線に一致するようにストローク量が制御され、伸縮カッタ5(ビット21)がカッタヘッド2の回転に伴って矩形断面の外周縁に沿う軌跡TR(図5参照)で回転する。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に同期して作動油を供給する油圧供給部30を設けることによって、カッタヘッド2へ供給する油圧の増減に同期させて伸縮カッタ5へ供給する油圧を増減させることができる。このため、伸縮カッタ用の独立したポンプを一定流量で駆動して、カッタヘッド2の回転速度変化に対してフィードバック制御によって伸縮速度を追従させる場合と異なり、フィードバック制御を行わなくともカッタヘッド2の回転速度に伸縮カッタ5の伸縮速度を同期させることができる。
そして、伸縮カッタ5と油圧供給部30との間に、カッタヘッド2の回転角度θに対応した流量で作動油を伸縮カッタ5へ吐出する容積式の流量調整部40を設けることによって、油圧供給部30からの作動油の流量を差圧によらずに定量的に制御することができる。すなわち、サーボ弁のように同じ開度でも差圧によって流量が変動してしまう構成では、実際のストローク量を検出してフィードバック制御を行う必要があるのに対して、容積式の流量調整部40によれば、差圧が変動しても伸縮カッタ5に所望の流量で作動油が供給できるので、ストローク量のフィードバック制御(閉ループ制御)を用いなくても、カッタヘッド2の回転角度θに基づくフィードフォワード的な流量制御(閉ループ制御)を行うだけで、カッタヘッド2の回転に同期させて所望の軌跡を描くように伸縮カッタ5を伸縮させることができる。
これらの結果、シールド掘進機1を試運転してフィードバック制御のための各種係数を決定する調整作業が不要となるため、伸縮カッタ5の制御系を短期間で構築できる。それに加えて、第1実施形態のシールド掘進機1では、フィードバック制御を行う場合と異なり、カッタヘッド2の回転角度θによるフィードフォワード的な制御が可能となるので、目標値の前後で伸縮動作が振動的になるのを抑制する制御ができる。
なお、フィードバック制御を用いたサーボ弁の開度調節によって流量を制御する手法を採用する場合、選定したサーボ弁では伸縮カッタに要求される伸縮速度に対応できないということが、工場製作時またはトンネル掘削時に露呈する可能性もあり、製作・施工上のリスクとなる。そのため、設計に必要なパラメータが、実際に試運転等をしなくても事前に分かる制御方法が望まれる。
これに対して、第1実施形態のシールド掘進機1では、構造上、カッタヘッド2の回転に同期して、予め設定した所望の流量で伸縮カッタ5に作動油を供給できるので、実際に試運転等をしなくても設計に必要なパラメータを事前に決定することができるとともに、サーボ弁のフィードバック制御手法と比べて、設計時と、製作時または稼働時との乖離を低減することができる。その結果、製作・施工上のリスクを低減できる。
また、第1実施形態では、上記のように、流量調整部40に、油圧供給部30からの作動油を伸縮カッタ5側とオイルタンク51側とに分流する容積式の分流機構41を設け、カッタヘッド2の回転角度θに応じて分流機構41の容積を変化させるように構成する。これにより、伸縮カッタ5側とオイルタンク51側とに分流する容積比(Q4A:Q4B)を制御することによって、伸縮カッタ5へ吐出する作動油の流量を精度よく制御することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、分流機構41に、互いに軸が連結された一対の容積式油圧モータ42aおよび42bを設け、容積式油圧モータ42aおよび42bを、カッタヘッド2の回転角度θに応じて容積を変化させるように構成する。これにより、油圧供給部30からの油圧によって駆動された容積式油圧モータ42aおよび42bの各吐出量を制御することによって、伸縮カッタ5へ吐出する作動油の流量Q4Aを精度よく制御することができる。そして、容積式油圧モータ42aおよび42bを可変容量型油圧モータとすることにより、容易に、伸縮カッタ5側とオイルタンク51側とに分流する容積比(Q4A:Q4B)を変化させることが可能な分流機構41を構築することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、油圧供給部30に、互いに軸が連結されることにより機械的に同期されたカッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを設ける。これにより、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々への油圧供給を同期させることが可能な油圧供給部30を容易に構築することができる。また、図8に示したように、ポンプ動作が安定した定常状態以外の、供給開始直後や供給停止直前の過渡状態(非定常状態)においても、カッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを機械的に同期させることができるので、フィードフォワード制御を行う場合でも、非定常状態の動作特性の相違に起因してカッタヘッド2の回転角度θと伸縮カッタ5のストローク量との同期制御にずれが生じるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部60を、カッタヘッド2の回転角度θと流量調整部40の伸縮カッタ5側への吐出流量Q4Aとを対応付ける制御データ61に基づいて、流量調整部40を制御するように構成する。これにより、カッタヘッド2の回転角度θと伸縮カッタ5側への吐出流量Q4Aとを対応付ける制御データ61を予め求めておくだけで、複雑なフィードバック制御を要することなく、回転角度検出部4が検出した回転角度から流量調整部40の制御量を決定して伸縮カッタ5の動作制御を行うことができる。その結果、伸縮カッタの制御系をより短期間で構築できる。
また、第1実施形態では、上記のように、伸縮カッタ5を、カッタヘッド2の回転に伴い伸縮して、カッタヘッド2よりも外周側を所定の軌跡で掘削することにより、掘削断面Cを非円形の異形断面とするようにシールド掘進機1を構成する。伸縮カッタ5を用いて異形断面のトンネル掘削を行う場合、伸縮カッタ5による外周掘削がトンネル掘削において常時行われるため、伸縮動作が振動的になることを回避しつつ、予め設定された軌跡TRで伸縮カッタ5を動作させることが強く望まれる。そのため、カッタヘッド2の回転角度θによるフィードフォワード的な制御によって、目標値の前後で伸縮動作が振動的になるのを抑制することが可能な第1実施形態のシールド掘進機1は、伸縮カッタ5を用いた異形断面の掘削を行う場合に特に好適である。
[第2実施形態]
次に、図9〜図13を参照して、第2実施形態によるシールド掘進機について説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態に加えて、さらに油圧機器における作動油のリークなどの影響を考慮して、伸縮カッタの流量制御を行う構成について説明する。
油圧機器に作動油のリークが存在する場合や、可変容量型の容積式油圧モータ42a、42bに応答遅れが存在する場合、伸縮カッタ5(ビット21)の軌跡は、図5に示した目標値の軌跡TRには一致しない可能性がある。目標値からの誤差が生じる場合、回転の度に誤差が蓄積する可能性がある。そこで、第2実施形態では、作動油のリークや応答遅れが存在しても誤差が生じにくく、かつ、誤差の累積を回避する制御を行う例を示す。
図9に示すように、第2実施形態では、伸縮カッタ5の伸縮カッタ用ジャッキ22は、ストロークの最小値(0度、90度、180度、270度)において、最も収縮した最小ストロークとなり、ストロークの最大値(45度、135度、225度、315度)において、最も伸長した最大ストロークとなるように構成されている。つまり、伸縮カッタ5は、異形断面トンネルにおいて中心軸線Aに最も近付く位置を掘削する際に、それ以上収縮しない最小ストローク(ロッド23が縮みきる位置)に達し、中心軸線Aから最も離れた位置を掘削する際に、それ以上伸長しない最大ストローク(ロッド23が伸びきる位置)に達するように構成されている。
図10に示すように、第2実施形態では、制御部60(図3参照)は、制御データ161に基づき、カッタヘッド2の回転に伴う伸縮カッタ5の伸縮切り替えタイミングよりも早いタイミングでストロークの限界位置(最大ストロークまたは最小ストローク)に到達するように、流量調整部40を制御するように構成されている。なお、伸縮切り替えタイミングは、伸長動作区間と収縮動作区間との境界であり、図9の例では0度から45度間隔の各タイミングである。
具体的には、図10に示すように、第2実施形態の制御データ161は、各区間71aおよび71bの各々において、伸縮カッタ用ジャッキ22(伸縮カッタ5)を所定の軌跡TRで動作させるのに必要な作動油の流量よりも大きい流量で作動油を供給するように設定されている。図10の例では、流量調整部40の伸縮カッタ5への吐出流量Q4Aが最大値Qmに到達した後、減少していく過程で、リークを考慮しない場合の必要流量(一点鎖線)よりも大きい流量で作動油を供給するように、制御データ161が設定されている。
つまり、制御データ161は、リークを考慮しない場合の必要流量に対して、伸縮切り替えタイミングにおける流量が補正量Eだけ大きくなるように設定されている。そのため、リークを考慮しない場合の必要流量では、伸縮切り替えタイミングにおいて最大ストロークまたは最小ストロークに到達して流量が略0となるのに対して、第2実施形態では、伸縮切り替えタイミングにおいて補正量Eだけ流量が大きく設定されている。
この結果、第2実施形態の制御データ161に従って流量が制御されると、伸縮カッタ5は、リークや応答遅れが発生しても、伸縮切り替えタイミングにおいて確実にロッド23が伸びきるかまたは縮みきるように制御される。
制御データ161は、上記第1実施形態と同様、正回転時の制御データと、逆回転時の制御データとを含む。制御部60(図3参照)は、回転角度検出部4(図3参照)から取得したカッタヘッド2(図3参照)の回転角度θに基づいて、回転方向に応じた制御データ161を参照して、流量調整部40(図3参照)の吐出流量を制御する。
なお、回転途中で回転方向が切り替えられた場合、制御部60は、参照する制御データ161を切り替えて、流量制御を継続する。図11は、0度から160度まで正回転の制御データ161に従って制御し、160度で逆回転に切り替えられた後、0度まで逆回転の制御データ161に従って制御する場合の例を示している。図11において、実線が正回転時の流量変化を示し、破線が逆回転時の流量変化を示す。
次に、第2実施形態の作用を説明する。たとえば図12に示す比較例のように、リークや応答遅れによる誤差が発生する場合、伸長動作区間(0度〜45度)では伸びきらずに伸縮カッタ5の軌跡(実線)が目標値(軌跡TR、破線)よりも内側を通過し、収縮動作区間(45度〜90度)では縮みきらずに伸縮カッタ5が目標値(軌跡TR)よりも外側を通過する軌跡となる。
これに対して、第2実施形態では図13に示すように、伸縮カッタ5のストローク量は、45度間隔の伸縮切り替えタイミングにおいて、常に最大ストロークまたは最小ストロークに到達して目標値(軌跡TR)に一致する。そのため、リークや応答遅れによる誤差が発生しても、45度間隔で誤差が略0にリセットされることになるので、誤差の累積が生じない。また、第2実施形態では、補正量Eは、実際の試運転時にリークや応答遅れによる誤差を計測し、誤差量に応じて設定される。そのため、第2実施形態の制御データ161に従って流量制御を行う場合、図13に示すように、リークや応答遅れが発生しても、伸縮カッタ5の軌跡(実線の軌跡)を、極力目標値(軌跡TR、破線)に近づけることが可能である。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、カッタ駆動部3および伸縮カッタ5の各々に同期して作動油を供給する油圧供給部30と、伸縮カッタ5と油圧供給部30との間に設けられ、カッタヘッド2の回転角度θに対応した流量で作動油を伸縮カッタ5へ吐出する容積式の流量調整部40とを設けることによって、フィードバック制御の各種係数を決定する調整作業が不要となるため、伸縮カッタ5の制御系を短期間で構築できる。それに加えて、実際のストローク量のフィードバックによりサーボ弁の開度を制御する場合と異なり、カッタヘッド2の回転角度θによるフィードフォワード的な制御が可能となるので、目標値の前後で伸縮動作が振動的になるのを抑制する制御ができる。
また、第2実施形態では、上記のように、制御データ161に基づき、カッタヘッド2の回転に伴う伸縮カッタ5の伸縮切り替えタイミングよりも早いタイミングでストロークの限界位置に到達するように、流量調整部40を制御するように制御部60を構成する。これにより、油圧機器に付随する作動油のリークなどを考慮して、伸縮カッタ5が伸縮切り替えタイミングで確実に最大ストローク(最小ストローク)に到達するように制御できる。これにより、リークなどの運用上の誤差要因が存在しても、伸縮カッタ5のストローク量の誤差を抑制することができ、伸縮切り替えの繰り返しによって誤差が累積することを防止することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、泥土圧式シールド掘進機に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明を、泥水式シールド掘進機に適用してもよい。泥水式シールド掘進機の場合には、送泥管を介してチャンバ6内に泥水を送り込んで掘削土砂をスラリー化し、スラリー化した掘削土砂を、排泥管を介して排出する。
また、上記第1および第2実施形態では、油圧供給部30を、互いに軸が連結されることにより機械的に同期されたカッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを含む2連油圧ポンプユニットとして構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば図14に示す変形例のように、非連結のカッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを、電動モータ33aと33bとによって別々に駆動する構成であってもよい。図14では、電動モータ33aおよび33bを同期制御するモータ制御部131を有する構成の油圧供給部130によって、カッタ駆動用ポンプ31と伸縮カッタ用ポンプ32とを電気的に同期させる。この他、たとえば共通の1つの油圧ポンプを、流量調整部と同じ原理の分流機構に接続してもよい。そして、分流機構から、カッタ駆動部3と流量調整部40とにそれぞれ作動油を供給するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、伸縮カッタ5の実際のストローク量を用いたフィードバック制御を行わずに、カッタヘッド2の回転角度θに基づいてフィードフォワード的に伸縮カッタ5を制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図15に示す変形例のように、伸縮カッタの実際のストローク量を用いて、フィードバック制御を行ってもよい。なお、図15では、油圧供給部30や、カッタ駆動部3に関する構成については図示を省略している。
図15では、伸縮カッタ5には、伸縮カッタ用ジャッキ22のストローク量を検出するストロークセンサ125が設けられている。制御部60は、ストロークセンサ125により検出された伸縮カッタ5のストローク量と、ストローク量の目標値(軌跡TR)との偏差に基づいて流量調整部40のフィードバック制御を行う。これにより、伸縮カッタ5の動作制御の更なる高精度化を図ることができる。このように伸縮カッタ5のストローク量のフィードバック制御を行う場合でも、カッタヘッド2の回転角度θに基づく流量制御によって目標値(軌跡TR)に沿った動作が可能であるので、フィードバック制御は、たとえば第2実施形態に示したような誤差を修正するためのサブ制御として用いるだけで済む。そのため、伸縮カッタの全制御をフィードバック制御によって行う場合よりも、フィードバック制御のための各種係数を決定する調整作業も容易化できる。
また、上記第1および第2実施形態では、流量調整部40を、容積式の分流機構41によって構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、伸縮カッタ5への供給流量を定量的に制御可能であれば、分流機構41以外の容積式の流量調整部を設けてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、略正方形の掘削断面を形成するための伸縮カッタ5の動作制御の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、掘削断面はオーバル形状(角丸長方形)または楕円形状や、六角形状などの多角形状などの非円形の任意形状であってよい。その場合、断面形状に合わせて伸縮カッタ5の回転角度毎の目標値(軌跡TR)が設定され、軌跡TRを実現するための必要流量が求められる。そのため、流量調整部40の回転角度θ毎の吐出流量(制御データ61)や、伸縮切り替えタイミングは、図7に示したものに限られず、断面形状に応じて設定される。
また、上記第1および第2実施形態では、掘削断面を非円形の異形断面とするための伸縮カッタ5の制御例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえばトンネルの曲線区間を掘進する際や蛇行修正を行う際の余掘り掘削に、上記した伸縮カッタの制御を適用してもよい。したがって、本発明は、異形断面を掘進するための異形断面シールド掘進機のみならず、一般的な円形断面の掘進用のシールド掘進機に適用してもよい。
1 シールド掘進機
2 カッタヘッド
3 カッタ駆動部
4 回転角度検出部
5 伸縮カッタ
30、130 油圧供給部
31 カッタ駆動用ポンプ
32 伸縮カッタ用ポンプ
40 流量調整部
41 分流機構
42a、42b 容積式油圧モータ
60 制御部
61、161 制御データ
C 断面
Q4A 伸縮カッタ側への吐出流量
Q4B オイルタンク側への吐出流量
TR 軌跡
θ カッタヘッドの回転角度

Claims (7)

  1. 回転して土砂を掘削するカッタヘッドと、
    前記カッタヘッドを回転駆動する油圧式のカッタ駆動部と、
    前記カッタヘッドの回転角度を検出する回転角度検出部と、
    前記カッタヘッドの外周部から半径方向に伸縮する油圧式の伸縮カッタと、
    前記カッタ駆動部および前記伸縮カッタの各々に同期して作動油を供給する油圧供給部と、
    前記伸縮カッタと前記油圧供給部との間に設けられ、前記カッタヘッドの回転角度に対応した流量で作動油を前記伸縮カッタへ吐出する容積式の流量調整部と、を備える、シールド掘進機。
  2. 前記流量調整部は、前記油圧供給部からの作動油を前記伸縮カッタ側とオイルタンク側とに分流する容積式の分流機構を含み、前記カッタヘッドの回転角度に応じて前記分流機構の容積を変化させるように構成されている、請求項1に記載のシールド掘進機。
  3. 前記分流機構は、互いに軸が連結された一対の容積式油圧モータを含み、
    前記容積式油圧モータが、前記カッタヘッドの回転角度に応じて容積を変化させるように構成されている、請求項2に記載のシールド掘進機。
  4. 前記油圧供給部は、互いに軸が連結されることにより機械的に同期されたカッタ駆動用ポンプと伸縮カッタ用ポンプとを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシールド掘進機。
  5. 前記流量調整部の前記伸縮カッタ側への吐出流量を制御する制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記カッタヘッドの回転角度と前記流量調整部の前記伸縮カッタ側への吐出流量とを対応付ける制御データに基づいて、前記流量調整部を制御するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシールド掘進機。
  6. 前記制御部は、前記制御データに基づき、前記カッタヘッドの回転に伴う前記伸縮カッタの伸縮切り替えタイミングよりも早いタイミングでストロークの限界位置に到達するように、前記流量調整部を制御するように構成されている、請求項5に記載のシールド掘進機。
  7. 前記伸縮カッタは、前記カッタヘッドの回転に伴い伸縮して、前記カッタヘッドよりも外周側を所定の軌跡で掘削することにより、掘削断面を非円形の異形断面とするように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシールド掘進機。
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