JP2002285788A - シールド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】カッターチャンバー内の圧力を迅速に調整する
ことができ、これにより、周辺地盤や近接構造物に悪影
響を与えることなく掘削することが可能なシールド装置
を提供する。 【解決手段】筒状のスキンプレート５１と、このスキン
プレート５１の前側に回転自在に取り付けられたカッタ
ヘッド５２と、スキンプレート５１の前端部分を隔壁５
３で仕切ることによって設けられたカッターチャンバー
５４と、シールド装置本体５を前進させるシールドジャ
ッキ５５とを有し、カッターチャンバー５４内に掘削土
又は泥水５６を充填することによって、切羽５８の安定
を図るシールド装置５において、隔壁５３はスキンプレ
ート５１内に掘進方向に対して摺動自在に挿入されると
共に、スキンプレート５１側に設けられカッターチャン
バー５４内の圧力に応じて掘進方向に伸縮する伸縮手段
６６によって支持されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シールド装置に係
り、特に泥水式シールド装置又は土圧式シールド装置に
好適なシールド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】切羽の自立が困難な地盤や、複雑な地層
構成の地盤にトンネルを掘削する場合には、泥水式のシ
ールド装置、または、土圧式のシールド装置が広く用い
られている。

【０００３】従来の泥水式のシールド装置１は、図４に
示すように、円筒状のスキンプレート１０と、掘削済み
のトンネルＴに取り付けられたセグメントＳに反力をと
ってシールド装置１を前進させるためのシールドジャッ
キ１１と、スキンプレート１０の前側に回転自在に取り
付けられたカッターヘッド１２と、スキンプレート１０
の前端部分を隔壁１３によって仕切ることによって形成
されたカッターチャンバー１４と、カッターヘッド１２
を駆動するモータ１５を備えている。

【０００４】なお、図４中の符号１６はカッターチャン
バー１４内に泥水を供給するための送泥管、１７はカッ
ターチャンバー１４内の泥水を排出するための排泥管、
１８はカッターチャンバー１４内の泥水を攪拌するアジ
テータである。

【０００５】この泥水式のシールド装置１は、カッター
チャンバー１４内に送り込んだ送泥水の圧力により、切
羽１９側の土と水の圧力Ｐ，Ｑを押さえて、切羽１９の
安定を図りながら掘削するものであり、掘削工事中は、
送泥水の圧力を常に一定に保持する必要がある。そのた
め、送排泥用のポンプ（図示せず）の回転数制御によ
り、送排泥量を管理している。なお、カッターチャンバ
ー１４内に送り込む送泥水は、掘削する土の種類に合わ
せて適当な粘性、比重になるように調整される。

【０００６】カッターヘッド１２で掘削された土は、カ
ッターヘッド１２に設けられたカッタースリット(図示
せず）からカッターチャンバー１４内に取り込み、泥水
と一緒にアジテータ１８で攪拌して排泥管１７から排出
するようになっている。

【０００７】一方、従来の土圧式のシールド装置２は、
図５に示すように、上述のシールド装置１と同様なスキ
ンプレート２０、シールドジャッキ２１、カッターヘッ
ド２２、隔壁２３で仕切られたカッターチャンバー２
４、カッター駆動用のモータ２５などを有している。

【０００８】また、この土圧式のシールド装置２は、カ
ッターチャンバー２４内の土砂に添加材を注入するため
の添加材注入管２６、カッターチャンバー２４内の土砂
を排出するためのスクリューコンベヤ２７を備えてい
る。添加材は流動性の悪い地盤を掘削するときに添加さ
れるものであり、粘性土を薄めたもの（泥土，気泡等）
が用いられる。

【０００９】この土圧式のシールド装置２は、掘削した
土をカッターチャンバー２４内に充満させ、この土の圧
力により切羽２８側の土と水の圧力Ｐ，Ｑを押さえるも
のであり、掘進しながら絶えずカッターチャンバー２４
内の土を充満維持させることが必要になる。そのため、
スクリューコンベア２７の回転数や、スクリューコンベ
ア２７の排出側の端部に設けられた排出ゲート２９の開
閉度をコントロールすることで、土の充填量を管理して
いる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
泥水式のシールド装置１及び土圧式のシールド装置２
は、カッターチャンバー１４，２４内の泥水圧力又は土
圧を測定し、その測定値に基づいて泥水又は土の送排出
量を制御することにより、カッターチャンバー１４，２
４内の圧力を調整するようになっていたので、常に後追
い動作となる。

【００１１】そのため、土質の違いや、機器のトラブ
ル、オペレータの操作遅れなどが発生した場合、チャン
バー１４，２４内の異常な圧力低下又は圧力上昇が発生
する。そうすると、カッターチャンバー１４，２４内の
圧力が切羽１９側に影響を与え、その結果、周辺地盤や
近接構造物を沈下させたり、盛り上げたりするなどの問
題が発生するおそれがあった。

【００１２】近年、都市部におけるトンネルの施工環境
は一段と厳しくなり、低土被りや重要構造物との近接施
工を余儀なくされているが、従来の泥水式シールド装置
１及び土圧式シールド装置２は、上述した理由からこれ
らの要請に応えることが困難であった。

【００１３】本発明の目的は、このような問題点を解決
するためになされたものであり、カッターチャンバー内
の圧力を迅速に調整することができ、これにより、周辺
地盤や近接構造物に悪影響を与えることなく掘削するこ
とが可能なシールド装置を提供することを技術的課題と
する。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明はシールド装置で
あり、前述の技術的課題を解決するために、以下のよう
に構成されている。すなわち、本発明のシールド装置
は、筒状のスキンプレートと、前記スキンプレートの前
側に回転自在に取り付けられたカッタヘッドと、前記ス
キンプレートの前端部分を隔壁で仕切ることによって設
けられたカッターチャンバーと、シールド装置本体を前
進させるシールドジャッキとを有し、前記カッターチャ
ンバー内に掘削土又は泥水を充填することによって、切
羽の安定を図るシールド装置において、前記隔壁は前記
スキンプレート内に掘進方向に対して摺動自在に挿入さ
れると共に、前記スキンプレート側に設けられ前記カッ
ターチャンバー内の圧力に応じて掘進方向に伸縮する伸
縮手段によって支持されていることを特徴とする。

【００１５】また、本発明は、前記伸縮手段が、スプリ
ングと、このスプリングに直列的に連結されたシリンダ
によって構成されていることを特徴とする。

【００１６】本発明によれば、カッターチャンバー内の
圧力が変動した場合、伸縮手段が伸縮して隔壁が前方ま
たは後方に摺動し、カッターチャンバー内の圧力が基準
値に戻される。

【００１７】また、伸縮手段をスプリングとシリンダに
よって構成した場合には、カッターチャンバー内の圧力
変動が小さいときには、スプリングが伸縮して隔壁が自
動的に摺動し、圧力変動が大きいときには、シリンダを
伸縮させて隔壁を摺動させる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るシールド装置
の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明す
る。

【００１９】図１は、本発明を適用した泥水式シールド
装置５を示す。この泥水式シールド装置５は、筒状のス
キンプレート５１と、このスキンプレート５１の前側に
回転自在に取り付けられたカッタヘッド５２と、スキン
プレート５１の前端部分を隔壁５３で仕切ることによっ
て設けられたカッターチャンバー５４と、泥水式シール
ド装置５自体を前進させるシールドジャッキ５５を有し
ている。

【００２０】そして、この泥水式シールド装置５は、カ
ッターチャンバー５４内に泥水５６を充填することによ
って、トンネル５７における切羽５８の安定を図るよう
になっている。

【００２１】隔壁５３の外周側には、円環状の摺動部材
５９が設けられている。また、カッターヘッド５２の外
周側には、スキンプレート５１とほぼ同径の円環状のカ
バー６０が設けられている。このカバー６０とスキンプ
レート５１の内側に、隔壁５３の摺動部材５９が摺動自
在に挿入されている。

【００２２】また、隔壁５３には、カッターチャンバー
５４内に泥水５６を供給する送泥管６９、カッターチャ
ンバー５４内の泥水５６を排出する排泥管７０、カッタ
ーチャンバー５４内における複数の場所の土圧及び水圧
を測定する複数の圧力計７１，７１が取り付けられてい
る。

【００２３】カッターヘッド５２の中心には、隔壁５３
を貫通したロッド６１が取り付けられている。一方、ス
キンプレート５１には架台６２を介してモータ６３が取
り付けられ、このモータ６３に上述のロッド６１が取り
付けられている。

【００２４】シールドジャッキ５５は、スキンプレート
５１の内面に設けられたブラケット６４に取り付けられ
ている。このシールドジャッキ５５は、後方に向けて伸
縮することにより、セグメントＳに反力を取って泥水式
シールド装置５自体を前進させるようになっている。

【００２５】更に、この泥水式シールド装置５において
は、スキンプレート５１の内面に取付部材６５が固定さ
れ、この取付部材６５に隔壁５３を摺動自在に支持する
ための伸縮手段６６が取り付けられている。そして、後
述のようにカッターチャンバー５４内の圧力に応じて伸
縮手段６６が掘進方向、すなわち、図１中の前後方向に
伸縮し、これにより隔壁５３を前方または後方に摺動さ
せることによって、カッターチャンバー５４内の圧力を
基準値に維持するようになっている。

【００２６】伸縮手段６６は、圧縮スプリング６７と、
この圧縮スプリング６７に直列的に連結された油圧シリ
ンダ６８によって構成されている。圧縮スプリング６７
は、カッターチャンバー５４内の圧力が基準値の場合
に、その最大弾性変形量のほぼ半分まで圧縮されるよう
に設定されている。これによって、カッターチャンバー
５４内の圧力が基準値に対して増減した場合に、圧縮ス
プリングがある程度伸長又は縮小するようになってい
る。

【００２７】油圧シリンダ６８には、図２に示すよう
に、シリンダ圧力調節手段７２が接続されている。この
シリンダ圧力調整手段７２には、隔壁５３の圧力計７
１，７１が接続され、カッターチャンバー５４内の圧力
変動が所定値を超えた場合に、油圧シリンダ６８を伸縮
させるようになっている。なお、油圧シリンダ６８は、
通常はその最大ストロークのほぼ中間の位置で停止する
ように設定されている。

【００２８】圧力計７１，７１のデータは、切羽水圧調
節手段７３にも供給され、ここからの指示で送排泥水圧
指示調節手段７４が制御されて、送排泥ポンプ７５，７
６が開閉される。なお、図２中の符号７７，７８，７９
はバルブ、８０は圧力計である。

【００２９】次に、このシールド機５の作用を説明す
る。図１に示すように、トンネル５７の掘削中に、何ら
かの原因でカッターチャンバー５４内の圧力が基準圧力
に対して変動した場合には、次に説明するように、伸縮
手段６６が伸縮して２段階の圧力調整が行われる。

【００３０】すなわち、カッターチャンバー５４内の圧
力が基準値より高くなった場合、その圧力が一定値より
小さいときには、圧縮スプリング６７が隔壁５３に押圧
されて縮小し、隔壁５３がその圧力変動に応じた距離だ
け後方に摺動する。これにより、カッターチャンバー５
４内の容積が拡大し、その内部圧力が自動的に低下して
基準値に戻される。これが第一段階の圧力調整である。

【００３１】これに対して、カッターチャンバー５４内
の圧力が一定値以上になった場合には、圧縮スプリング
６７の弾性変形だけではカバーできないので、次に説明
するように油圧シリンダ６８を伸縮させることにより、
圧力を調整するようになっている。

【００３２】すなわち、カッターチャンバー５４内の圧
力が一定値以上になると、圧力計７１の計測データに基
づいて、シリンダ圧力調節手段７２（図２）から指示が
出され、油圧シリンダ６８がその圧力に応じた長さだけ
縮小する。これによって、隔壁５３が後方に摺動し、カ
ッターチャンバー５４内の圧力が基準値に戻される。こ
れが第２段階の圧力調整である。

【００３３】カッターチャンバー５４内の圧力が基準値
より低下した場合には、まず圧縮スプリング６７がその
圧力に応じた分だけ伸長して隔壁５３が前方に移動し、
カッターチャンバー５４内の容積が縮小し、これによっ
て、カッターチャンバー５４内の圧力が基準値に戻され
る。

【００３４】カッターチャンバー５４内の圧力が更に低
下して、一定値以下になった場合には、油圧シリンダ６
８が圧力に応じた分だけ伸長し、隔壁５３が前方に摺動
する。これにより、ッターチャンバー５４内の容積が更
に縮小し、その内部圧力が基準値に戻される。

【００３５】このようにして、カッターチャンバー５４
内の圧力が基準値に戻された後、ポンプ７５，７６が運
転されてカッターチャンバー５４内の泥水５６の充填量
が調整され、内部圧力を基準値に保持したまま隔壁５３
が規定の位置に戻される。

【００３６】このように、本発明の泥水式シールド装置
５は、カッターチャンバー５４内の圧力が基準値より増
減したときには、その増減の大きさに応じて隔壁５３が
掘進方向に摺動し、カッターチャンバー５４内の容積が
変化して内部圧力が自動的に基準値に戻されるので、例
えば掘削すべき地盤の土質の違い、送排泥ポンプ７５，
７６などの機器のトラブル、オペレータの操作遅れなど
があったとしても、カッターチャンバー５４内の圧力を
即座に基準値まで戻すことができる。

【００３７】従って、カッターチャンバー５４内の圧力
を常に切羽５８側の圧力とほぼ同一に保持することがで
きるので、カッターチャンバー５４内の圧力が、掘削場
所の周辺地盤や近接構造物に影響して沈下或いは盛り上
がりなどの問題が発生するのを防止することができる。

【００３８】また、この泥水式シールド装置５は、カッ
ターチャンバー５４内の圧力が自動的に調整されるの
で、掘削地盤の土質が頻繁に変化するため、カッターチ
ャンバー５４内の微妙な圧力コントロールを必要とする
場所などを掘削する場合に好適である。

【００３９】なお、上述の実施形態では、本発明を泥水
式の泥水式シールド装置５に適用した場合について説明
したが、本発明は、図３に示すように、土圧式のシール
ド装置９に適用することができる。

【００４０】この土圧式のシールド装置９は、カッター
チャンバー５４内に掘削土９１を充填することにより、
切羽５８の安定を図るものであり、上述した泥水式シー
ルド装置５と同様に、スキンプレート５１、カッターヘ
ッド５２、隔壁５３、シールドジャッキ５５、モータ６
３、伸縮手段６６を備えている。

【００４１】また、このシールド装置９は、泥水に代え
て掘削土を使用するので、上述の送泥管６９及び排泥管
７０に代えて、排泥用のスクリューコンベア９２が設け
られている。

【００４２】このシールド装置９は、上述の泥水式シー
ルド装置５と同様に、カッターチャンバー５４内に充填
されている掘削土９１の圧力が基準値に対して増減した
ときに、その圧力に応じて伸縮手段６６の圧縮スプリン
グ６７又は油圧シリンダ６８が伸縮し、これにより隔壁
５３が前方又は後方に移動してカッターチャンバー５４
内の圧力が基準値に戻されるようになっている。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
カッターチャンバーを形成する隔壁を掘進方向に摺動自
在とし、この隔壁をカッターチャンバー内の圧力に応じ
て掘進方向に伸縮する伸縮手段によって支持しているの
で、カッターチャンバー内の圧力が基準値より増減した
場合には、隔壁が前方又は後方に摺動してカッターチャ
ンバー内の容積が変化し、カッターチャンバー内の圧力
が自動的に基準値に戻される。

【００４４】従って、カッターチャンバー内の圧力が周
辺地盤や地中構造物などに影響して、周辺地盤や地中構
造物などが沈下したり、盛り上げられたりするのを防止
できる。

【００４５】また、伸縮手段を、スプリングと、これに
直列的に連結されたシリンダとで構成した場合には、圧
力変動が小さいときに、スプリングが自動的に伸縮して
圧力調整されるので、伸縮手段の構成を簡略化すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る泥水式シールド装置を示す断面図
である。

【図２】本発明に係る泥水式シールド装置の圧力制御系
を示す断面図である。

【図３】本発明に係る土圧式シールド装置を示す断面図
である。

【図４】従来例に係る泥水式シールド装置を示す断面図
である。

【図５】従来例に係る土圧式シールド装置を示す断面図
である。

【符号の説明】

５ 泥水式シールド装置 ９ 土圧式シールド装置 ５１ スキンプレート ５２ カッタヘッド ５３ 隔壁 ５４ カッターチャンバー ５５ シールドジャッキ ６６ 伸縮手段 ６７ 圧縮スプリング ６８ 油圧シリンダ ９１ 掘削土

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状のスキンプレートと、前記スキンプ
   レートの前側に回転自在に取り付けられたカッタヘッド
   と、前記スキンプレートの前端部分を隔壁で仕切ること
   によって設けられたカッターチャンバーと、シールド装
   置本体を前進させるシールドジャッキとを有し、前記カ
   ッターチャンバー内に掘削土又は泥水を充填することに
   よって、切羽の安定を図るシールド装置において、 前記隔壁は前記スキンプレート内に掘進方向に対して摺
   動自在に挿入されると共に、前記スキンプレート側に設
   けられ前記カッターチャンバー内の圧力に応じて掘進方
   向に伸縮する伸縮手段によって支持されていることを特
   徴とするシールド装置。
2. 【請求項２】 前記伸縮手段は、スプリングと、このス
   プリングに直列的に連結されたシリンダによって構成さ
   れていることを特徴とする請求項１に記載のシールド装
   置。