JP2019183529A - 多連式シールド掘進機 - Google Patents

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大助 三宅
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Abstract

【課題】複数のカッタヘッドを油圧駆動方式で同期駆動する場合にも、カッタヘッドに作用する荷重に起因するカッタヘッド同士の衝突を回避可能な多連式シールド掘進機を提供する。【解決手段】このシールド掘進機(多連式シールド掘進機)1は、同期回転して土砂を掘削する複数のカッタヘッド2と、複数のカッタヘッド2にそれぞれ設けられ、カッタヘッド2を回転駆動する複数の油圧式のカッタ駆動部5と、それぞれのカッタ駆動部5に所定の流量比で同期して作動油を供給する油圧供給部21と、油圧供給部21から各々のカッタ駆動部5への各油圧供給ライン24と、作動油の排出ライン25とを接続するリリーフライン27に設けられ、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時に、それぞれの油圧供給ライン24から所定の流量比で同期して作動油を排出する容積式のリリーフ同期部22と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、多連式シールド掘進機に関し、特に、複数のカッタヘッドを同期して回転させる多連式シールド掘進機に関する。
従来、複数のカッタヘッドを同期して回転させる多連式シールド掘進機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、トンネルの掘進中には、地山の地質の変化や埋設物の存在などにより、カッタヘッドに作用する荷重が変化する。そのため、多連式シールド掘進機では、いずれかのカッタヘッドに作用する荷重が過大となり、他のカッタヘッドよりも回転速度が低下する状況が生じうる。このような状況に対して適切な対応を取らない場合、カッタヘッドの回転が同期しなくなり、カッタヘッド同士が衝突する恐れがある。
上記特許文献1には、2つの回転カッタ(カッタヘッド)と、各回転カッタを駆動する複数の電動モータとを備えた多連シールド掘進機の、各回転カッタの同期運転制御を行う同期制御装置が開示されている。2つの回転カッタは、掘削範囲が一部重複するように略同一平面内に配置されている。上記特許文献1の同期制御装置では、回転カッタ同士の衝突を防止するために、それぞれの回転カッタの回転位置を検出するための位置検出器の位置検出信号から回転カッタ間の角度偏差を検出し、角度偏差に応じて電動モータを制御している。
ここで、上記特許文献1のような電動モータによって大型のカッタヘッドを駆動するためには、大型で高出力の電動モータと、大型で高減速比の減速機が必要となる。このため、カッタヘッドの駆動部が大型化し易い。特に多連式シールド掘進機では、カッタヘッドの駆動部も複数設ける必要があるため、大型化の傾向が顕著になる。そこで、カッタヘッドの駆動部をより小型に構成するために、電動モータと比較して小型で高トルクを発生することが可能な油圧式の駆動部を採用したいという要望がある。
特許第3424120号公報
このように、多連式シールド掘進機において、カッタヘッドに作用する荷重に起因するカッタヘッド同士の衝突を回避可能な構成を、油圧駆動方式で実現することが望まれている。
この発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、この発明の1つの目的は、複数のカッタヘッドを油圧駆動方式で同期駆動する場合にも、カッタヘッドに作用する荷重に起因するカッタヘッド同士の衝突を回避可能な多連式シールド掘進機を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における多連式シールド掘進機は、同期回転して土砂を掘削する複数のカッタヘッドと、複数のカッタヘッドにそれぞれ設けられ、カッタヘッドを回転駆動する複数の油圧式のカッタ駆動部と、それぞれのカッタ駆動部に所定の流量比で同期して作動油を供給する油圧供給部と、油圧供給部から各々のカッタ駆動部への各油圧供給ラインと、作動油の排出ラインとを接続するリリーフラインに設けられ、いずれかの油圧供給ラインの圧力上昇時に、それぞれの油圧供給ラインから上記所定の流量比で同期して作動油を排出する容積式のリリーフ同期部と、を備える。なお、同期して作動油を供給(または排出)するとは、供給または排出の開始直後や停止直前の過渡状態(非定常状態)を除く少なくとも定常状態において、流量の変化が時間的に一致していれば足り、過渡状態において非同期となることを許容する広い概念である。また、本明細書において容積式(容積式油圧モータ、容積式油圧ポンプ)とは、作動油を取り込む容積に応じて単位動作(一回転)当たりの作動油の吐出量が略一定である形式の油圧機械であることを意味する。吐出量が略一定とは、油圧機械の構造上、不可避的に発生するリークなど、実質的に無視できる微小な変動要因は許容することを意味する。
本発明によれば、複数のカッタヘッドを油圧駆動方式で同期駆動する場合にも、カッタヘッドに作用する荷重に起因するカッタヘッド同士の衝突を回避可能な多連式シールド掘進機を提供できる。
本実施形態による多連式シールド掘進機を掘進方向前方から見た模式的な正面図である。 図1の多連式シールド掘進機の構成を説明するための模式的な縦断面図である。 多連式シールド掘進機のカッタ駆動に関わる油圧回路の構成を示した図である。 容積式油圧モータの構成例を示した図である。 リリーフ同期部の動作を説明するための第1の図である。 リリーフ同期部の動作を説明するための第2の図である。 多連式シールド掘進機の変形例による油圧回路の主要構成を示した図である。 リリーフ同期部の変形例を示した図である。 油圧供給部の第1の変形例を示した図である。 油圧供給部の第2の変形例を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6を参照して、本実施形態による多連式シールド掘進機1について説明する。シールド掘進機は、シールド工法に用いられる掘進機であり、回転するカッタヘッド2により地山の掘削を行いながら、セグメントSG(図2参照)をリング状(筒状)に組み立ててトンネルを構築していく装置である。多連式シールド掘進機1は、複数のカッタヘッド2を備え、矩形、長円(楕円)形などの断面や、複数の円形断面を繋いだ断面(メガネ型断面)などの非円形断面のトンネルを掘削することが可能である。なお、以下では、多連式シールド掘進機1を単に「シールド掘進機1」とする。
(多連式シールド掘進機の全体構成)
図1に示すように、シールド掘進機1は、同期回転して土砂を掘削する複数のカッタヘッド2を備えている。図1では、2つのカッタヘッド2a、2bが設けられた例を示しているが、3つ以上のカッタヘッド2を設けてもよい。
各カッタヘッド2は、シールド掘進機1の前面と略平行な面内で、掘進方向に延びる回転中心軸回りに回転可能に構成されている。カッタヘッド2は、回転中心軸回りに回転するカッタスポーク3と、カッタスポーク3の表面に設けられたカッタビット4とを有する。カッタスポーク3は、角筒状の梁部材により構成されている。カッタビット4(ビット)は、土砂を削る掘削刃である。図1では、便宜的に直線状(長方形状)のカッタスポーク3を設けた例を示しているが、カッタスポーク3は、十字またはX字状、両側扇状など様々な形状であり得る。
各カッタヘッド2は、互いに同一形状を有していてもよいし、互いに異なる形状を有していてもよい。図1では、各カッタヘッド2が実質的に同一形状を有する例を示している。そのため、それぞれのカッタヘッド2を回転駆動するために必要なトルクは、略同一であるとしてよい。
複数のカッタヘッド2は、シールド掘進機1の前面(掘削面)において並んで配置されている。複数のカッタヘッド2は、略同一平面内で回転するように配置されている。複数のカッタヘッド2は、掘削範囲DR(回転中心軸からカッタヘッド2の外周端部までを半径とする円形領域)が部分的に重複するように配置されている。すなわち、複数のカッタヘッド2は、互いの回転角度によっては、相互に接触(衝突)しうる位置に設けられている。
カッタヘッド2同士の接触(衝突)を回避するため、シールド掘進機1は、各カッタヘッド2を同期させて回転させる。カッタヘッド2の回転を同期させるとは、各カッタヘッド2の回転角度の相対関係(つまり位相差)が略一定に維持されることである。たとえば図1の場合、一方のカッタヘッド2aが図1の上下に向いた状態で、他方のカッタヘッド2bが図1の左右に向くように(位相差が約90度になるように)回転が同期される。位相差は、カッタヘッド2が互いに接触(衝突)しない範囲で任意である。
図2に示すように、シールド掘進機1は、カッタヘッド2を回転駆動する複数のカッタ駆動部5と、カッタヘッド2により掘削された土砂を排出する排土装置6と、セグメントSGを押圧してカッタヘッド2を推進させるシールドジャッキ7と、これらの各部を収容する筒状の胴体8とを含む。図2の例では、カッタヘッド2は、回転中心軸に設けられたセンターシャフト9の先端に設けられ、センターシャフト9が軸受を介して前面の隔壁12により回転支持されている。
カッタ駆動部5は、カッタヘッド2に回転トルクを付与する油圧式の駆動部である。カッタ駆動部5は、複数のカッタヘッド2にそれぞれ設けられている。カッタ駆動部5は、カッタヘッド2と対で設けられ、1つのカッタ駆動部5が1つのカッタヘッド2を回転駆動する。
カッタ駆動部5は、複数の油圧モータ31を含んでいる。言い換えると、それぞれのカッタヘッド2に対して、油圧モータ31が複数ずつ設けられている。たとえば、カッタ駆動部5は、1つのカッタヘッド2に対して、2つ、3つ、4つまたは6つの油圧モータ31を含みうる。カッタ駆動部5の各油圧モータ31は、センターシャフト9の外周面に設けられたフランジ部のリングギヤ10と出力軸のピニオンギヤ11との噛み合いによりトルクを伝達する。センターシャフト9の回転により、カッタヘッド2が回転中心軸回りに回転される。具体的な図示は省略するが、カッタ駆動部5を構成する複数の油圧モータ31は、たとえばセンターシャフト9の周囲に均等に(等回転角度で)分布するように配置されている。これによりセンターシャフト9(カッタヘッド2)に作用する回転方向外力(駆動力)の偏りが抑制される。1つのカッタヘッド2に設けられるカッタ駆動部5の数は、360度を割り切れる数が好ましい。
シールドジャッキ7は、複数設けられており、胴体8の周方向に沿って配列されている。シールド掘進機1は、シールドジャッキ7の推進力によって掘進方向に推進する。複数のシールドジャッキ7は、胴体8の内周に略全周にわたって配列されている。カッタ駆動部5による回転駆動と、シールドジャッキ7によるジャッキ推力の付与(推進)とは、独立して制御される。
排土装置6は、前面の隔壁12に開口するように接続され、前面から流入する土砂を排出するように構成されている。図1の例では、排土装置6は、スクリュコンベアにより構成されている。排土装置6は、一端で取込口6aが隔壁12に開口し、他端側の排出口6bが隔壁12よりも後方側の作業空間WS内に設けられている。
なお、シールド掘進機1は、セグメントSGの組み立てを行う図示しないエレクタを備えている。シールド掘進機1は、カッタ駆動部5によりカッタヘッド2を中心軸線回りに回転させつつ、シールドジャッキ7により既設のセグメントリング(覆工体)を支持体として掘進方向への推進力を発生させることにより、地山の掘削を行う。所定距離の掘削が行われると、エレクタにより既設のセグメントリングを延長するようにセグメントSGがリング状に組み立てられて、所定距離分のセグメントリング(覆工体)が追加構築される。シールド掘進機1は、掘削とセグメントSGの組み立てとを繰り返すことによりトンネル覆工体を構築しながら掘進する。カッタヘッド2により掘削された土砂は、排土装置6によってシールド掘進機1の後方に排出された後、ベルトコンベヤや配管などにより後方の坑口へ向けて搬送される。
(油圧回路の構成)
次に、図3を参照して、シールド掘進機1のカッタヘッド2を回転駆動するための油圧回路20の構成について説明する。上記のように、複数のカッタヘッド2は、それぞれのカッタヘッド2を駆動する複数のカッタ駆動部5によって同期回転するように駆動される。本実施形態では、実質的に同一形状の2つのカッタヘッド2a、2b(図1参照)を、実質的に同一構成の2つのカッタ駆動部5a、5bにより駆動する構成例を示す。したがって、それぞれのカッタ駆動部5には略同一の流量(1:1の流量比)で作動油が供給され、それぞれのカッタヘッド2a、2bは略等速で同期回転する。
図3に示すように、シールド掘進機1は、複数のカッタ駆動部5の各々に作動油を供給する油圧供給部21を備えている。また、本実施形態では、シールド掘進機1は、油圧供給ライン24の圧力上昇時に油圧供給ライン24から作動油を排出する容積式のリリーフ同期部22を備える。
まず、カッタヘッド2を回転駆動するための油圧回路20の全体構成を説明する。シールド掘進機1は、主として、オイルタンク23と、油圧供給部21と、油圧供給部21とカッタ駆動部5とを接続する油圧供給ライン24と、カッタ駆動部5とオイルタンク23とを接続する排出ライン25と、によって構成される作動油の循環回路を備える。油圧供給ライン24および排出ライン25は、方向制御弁26および接続管路30を介してカッタ駆動部5に接続されている。
図1の構成例では、カッタヘッド2(2a、2b)が2つ設けられているため、図3の油圧回路20においても、油圧供給ライン24(24a、24b)、カッタ駆動部5(5a、5b)および方向制御弁26(26a、26b)がそれぞれカッタヘッド2と同数の2系統ずつ設けられている。また、油圧回路20には、油圧供給部21から各々のカッタ駆動部5への各油圧供給ライン24と、作動油の排出ライン25とを接続する、2本のリリーフライン27(27a、27b)が設けられている。リリーフライン27は、カッタ駆動部5をバイパスするように、リリーフ同期部22を介して油圧供給ライン24と排出ライン25とを接続している。それぞれの油圧供給ライン24、排出ライン25およびリリーフライン27は、作動油を流通させる管路により構成されている。
〈油圧供給部〉
油圧供給部21は、オイルタンク23から作動油を汲み上げ、所望の流量で作動油を供給することができる。油圧供給部21は、少なくとも1つの油圧ポンプを備える。油圧供給部21は、カッタ駆動部5aに作動油を供給するための油圧供給ライン24aと、カッタ駆動部5bに作動油を供給するための油圧供給ライン24bと、にそれぞれ接続されている。油圧供給部21は、油圧供給ライン24aと、油圧供給ライン24bとに並列的に接続され、それぞれの経路に個別に作動油を供給する。
本実施形態では、油圧供給部21は、それぞれのカッタ駆動部5に所定の流量比で同期して作動油を供給するように構成されている。上記の通り、同一形状の2つのカッタヘッド2(2a、2b)を、同一構成の2組のカッタ駆動部5(5a、5b)により同期して駆動するので、所定の流量比は、1:1である。油圧供給部21は、油圧供給ライン24aと、油圧供給ライン24bとに、それぞれ同一流量で作動油を供給する。
具体的には、油圧供給部21は、互いに軸が連結されることにより機械的に同期して作動する複数の容積式油圧ポンプ28を含む。本実施形態では、油圧供給部21は、カッタヘッド2と同数の容積式油圧ポンプ28を備えている。容積式油圧ポンプ28は、1回転毎に所定量(押しのけ容積)の作動油を吐出するタイプのポンプであり、ギヤポンプ、ベーンポンプ、ピストン(プランジャ)ポンプなどがある。このように、油圧供給部21は、互いに軸が連結された2つの容積式油圧ポンプ28a、28bを含んで構成され、2つの容積式油圧ポンプ28aおよび28bが共通の駆動源としての電動モータ29によって駆動される。駆動源は、電動モータ29以外のガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関でもよい。
容積式油圧ポンプ28aと28bとは、油圧供給ライン24aと、油圧供給ライン24bとにそれぞれ接続されている。容積式油圧ポンプ28aおよび28bは、実質的に同一の油圧ポンプであり容積比が1:1となっている。機械的に連結された各容積式油圧ポンプ28a、28bが電動モータ29によって同一速度で駆動される結果、所定の流量比(1:1)での作動油の供給が実現される。
〈方向制御弁〉
方向制御弁26(26a、26b)は、カッタ駆動部5に対する作動油の流通方向を切り替えることにより、カッタ駆動部5の回転方向を切り替えるように構成されている。方向制御弁26の構成は特に限定されないが、図3の例では、方向制御弁26は、4ポートのスプール型の方向制御弁(電磁弁)である。便宜的に、4ポートをそれぞれ供給(P)ポート、排出(T)ポート、Aポート、Bポートと呼ぶ。方向制御弁26は、PポートとTポートとが、それぞれ油圧供給ライン24と排出ライン25とに接続されている。AポートとBポートとが、それぞれカッタ駆動部5の一方側と他方側との各接続管路30に接続されている。
方向制御弁26は、正回転ポジションと、逆回転ポジションとに、切替可能に構成されている。正回転ポジションでは、PポートとAポートとが接続され、TポートとBポートとが接続される。作動油は、Aポートを介してカッタ駆動部5の一方側から他方側へ流通し、カッタヘッド2を正回転させ、カッタ駆動部5の他方側からBポートへ流れ込み、排出ライン25へと排出される。
逆回転ポジションでは、TポートとAポートとが接続され、PポートとBポートとが接続される。作動油は、Bポートを介してカッタ駆動部5の他方側から一方側へ流通し、カッタヘッド2を逆回転させ、カッタ駆動部5の一方側からAポートへ流れ込み、排出ライン25へと排出される。これらの方向制御弁26のポジション切替や油圧供給部21(電動モータ29の駆動量)は、シールド掘進機1が備える図示しないコントロールルーム(制御部)からの制御信号によって制御される。
〈カッタ駆動部〉
カッタ駆動部5は、方向制御弁26と接続管路30を介して接続されている。カッタ駆動部5を構成する各油圧モータ31は、分岐した接続管路30により並列的に接続されている。図3では、カッタ駆動部5の油圧モータ31を便宜的に2つのみ図示している。油圧モータ31は、たとえば容積式の油圧モータであり、油圧供給部21から油圧供給ライン24、方向制御弁26および接続管路30を介して供給された作動油は、各々の油圧モータ31に分配される。各油圧モータ31は、実質的に同一の油圧モータであり、作動油が等分配されて駆動される。各油圧モータ31(カッタ駆動部5)から排出された作動油は、接続管路30、方向制御弁26を通って排出ライン25に送り出される。
〈リリーフ同期部〉
リリーフ同期部22は、それぞれのリリーフライン27(27a、27b)に接続されている。リリーフ同期部22は、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時に、それぞれの油圧供給ライン24から所定の流量比で同期して作動油を排出するように構成されている。リリーフ同期部22は、所定容積の空間内に流入した作動油を排出することにより、それぞれの油圧供給ライン24からの作動油の排出流量比を維持する容積式のリリーフ機構である。なお、上記の通り、図3の例では、所定の流量比は1:1である。
リリーフ同期部22は、通常の掘進状態では、作動油を排出することはない。リリーフ同期部22は、リリーフライン27および油圧供給ライン24の圧力が所定圧力よりも上昇した場合に、作動油を排出して圧力上昇を抑制するリリーフ動作を行うように構成されている。たとえば、トンネルの掘進中には、地山の地質の変化や埋設物の存在などにより、カッタヘッド2に作用する荷重が変化する。いずれかのカッタヘッド2に作用する荷重が過大となり回転速度が低下した場合には、回転速度が低下したカッタヘッド2に対応する油圧供給ライン24の圧力が上昇する。リリーフ動作によりいずれかのカッタヘッド2のみ回転速度が低下すると、複数のカッタヘッド2間での同期が失われることになる。そのため、リリーフ同期部22は、リリーフ動作時に、それぞれの油圧供給ライン24から所定の流量比で同期して作動油を排出することによって、荷重が作用したカッタヘッド2のみならず、過大な荷重が作用していない他のカッタヘッド2の回転速度を一致させて低下させ、回転の同期を維持する。
本実施形態では、リリーフ同期部22は、各々のリリーフライン27に接続され、互いに軸が連結されることにより機械的に同期された複数の容積式油圧モータ32を含む。図3の例では、リリーフ同期部22は、2つの容積式油圧モータ32a、32bを含んでいる。2つの容積式油圧モータ32a、32bは、各々の回転軸同士が連結されることにより、共通の1つの回転軸を有している。容積式油圧モータ32aおよび32bは、それぞれ別々のリリーフライン27a、27bに接続されている。容積式油圧モータ32aおよび32bは、それぞれ排出ライン25に接続されている。容積式油圧モータ32は、1回転毎に所定量(押しのけ容積)の作動油を吐出するタイプの回転モータであり、ギヤモータ、ベーンモータ、ピストン(プランジャ)モータなどがある。
図4は、容積式油圧モータ32の一例として、斜板式のピストンモータを示している。図4の例では、容積式油圧モータ32は、シリンダブロック51に複数のシリンダおよびピストン52を周状に有し、それぞれのシリンダにピストン52の一端が摺動可能に嵌合している。ピストン52の他端は回転軸に対して傾斜した斜板53に支持される。各シリンダの容積は一定であり、ピストン52のストローク量は、斜板53の傾斜角αによって決まる。その結果、容積式油圧モータ32は、1回転当たりの押しのけ容積(吐出流量)が一定に維持される定量性を有している。なお、斜軸式の場合、斜板に相当する部分に回転軸が設けられ、シリンダブロック51の中心軸(斜軸)の方を傾斜させる。なお、カッタ駆動部5の油圧モータ31も、ギヤモータ、ベーンモータ、ピストンモータなどにより構成される。
図3に示すように、容積式油圧モータ32aおよび32bは、互いの軸が連結されているため、一体で回転する。したがって、リリーフ同期部22は、リリーフ動作時には、各リリーフライン27からの作動油を、容積式油圧モータ32aおよび32bの容積比に応じた割合で、排出ライン25へ排出するように構成されている。2つの容積式油圧モータ32a、32bは、実質的に同一の油圧モータであり、容積比が1:1となっている。軸同士が連結されたそれぞれの容積式油圧モータ32が一体で回転する結果、所定の流量比(1:1)で作動油が排出される。このように、リリーフ同期部22では、複数の容積式油圧モータ32を、入力された油圧を回転軸の出力(トルク)に変換する油圧アクチュエータとして使用するのではなく、作動油の吐出流量を同期(所定流量比に維持)する装置として利用している。
このように、本実施形態では、油圧供給部21は、複数の容積式油圧ポンプ28を含んで構成され、リリーフ同期部22は、複数の容積式油圧モータ32を含んで構成されている。そして、油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28と、リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32とは、カッタヘッド2の数と同数設けられている。言い換えると、複数のカッタヘッド2の1つずつに対して、油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28と、リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32とが、それぞれ1つずつ設けられている。このため、油圧供給部21から各油圧供給ライン24へ作動油を供給する際の所定の流量比と、リリーフ同期部22が各リリーフラインからの作動油を排出する際の所定の流量比とは、それぞれ対応する容積式油圧ポンプ28および容積式油圧モータ32の容積(押しのけ容積)によって決定される。
〈リリーフ回路〉
なお、図3の構成例では、リリーフ同期部22は複数の容積式油圧モータ32によって構成されているため、油圧が付与されれば回転して作動油を排出ライン25へ排出する。そこで、図3の構成例では、シールド掘進機1は、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時にのみリリーフ同期部22を作動させるためのリリーフ回路33を備えている。
リリーフ回路33は、複数のリリーフライン27の各々においてリリーフ同期部22の上流側に設けられている。図3では、2本のリリーフライン27の各々に、合計2つのリリーフ回路33が設けられている。リリーフ回路33は、リリーフライン27を遮断するように構成されている。
具体的には、各々のリリーフ回路33は、リリーフライン27の圧力が所定圧力未満の通常運転時には、リリーフライン27を遮断する。そして、各々のリリーフ回路33は、所定圧力以上で開放し、いずれかのリリーフ回路33の開放に連動して全てのリリーフ回路33が開放されるように構成されている。つまり、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時に、圧力が上昇した油圧供給ライン24(便宜的に高圧供給ラインHLとする)に接続するリリーフライン27が所定圧力以上になると、そのリリーフライン27に設けられた1つリリーフ回路33がリリーフライン27を開放する。1つのリリーフ回路33が開放されると、その他の全てのリリーフ回路33が連動して、それぞれのリリーフライン27を開放する。その結果、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時には、全てのリリーフライン27が開放されてリリーフ同期部22に作動油が流入する。
リリーフ回路33は、リリーフライン27の圧力に応じて開閉するバルブ34と、バルブ34の開放時の圧力を他のリリーフ回路33へ伝達するパイロット通路35とを含む。バルブ34は、リリーフライン27の第1経路36に配置され所定圧力以上で開放されるリリーフ弁38と、第1経路36をバイパスする第2経路37に配置されパイロット通路35が所定圧力以上の場合に開放されるパイロットチェック弁39と、を含む。
つまり、リリーフライン27は、油圧供給ライン24とリリーフ同期部22との間で第1経路36と第2経路37とに分岐した後、合流している。所定圧力未満の通常運転時において、第1経路36はリリーフ弁38によって遮断され、第2経路37はパイロットチェック弁39によって遮断されている。
第1経路36は、リリーフライン27が所定圧力以上の高圧状態になった場合に、リリーフ弁38によって開放される経路である。一方、第2経路37は、他のリリーフライン27が所定圧力以上の高圧状態になって開放された場合に、パイロットチェック弁39によって連動して開放される経路である。つまり、第2経路37は、所定圧力未満の状態でも開放されうる経路である。
リリーフ弁38は、第1経路36の油圧供給ライン24側管路に接続される吸い込みポートと、リリーフ同期部22側管路に接続される吐出ポートとを備える。リリーフ弁38は、油圧供給ライン24側が所定圧力未満ではポート間を遮断し、所定圧力以上になるとポート間を連通させて第1経路36を開放する。
パイロットチェック弁39は、第2経路37の油圧供給ライン24側管路に接続される吸い込みポートと、リリーフ同期部22側管路に接続される吐出ポートと、パイロット通路35に接続されたパイロットポートとを備えた一方向弁(逆止弁)である。パイロットチェック弁39は、パイロットポートの圧力が所定圧力未満では吸い込みポート、吐出ポート間を遮断し、所定圧力以上になるとポート間を連通させて第2経路37を開放する。リリーフ弁38およびパイロットチェック弁39自体は、公知の構成であるので、詳細な説明は省略する。
第1経路36およびリリーフ弁38は、1つのリリーフライン27に対して1つ設けられる。第2経路37およびパイロットチェック弁39は、他のリリーフライン27の数だけ並列的に設けられる。つまり、1つのリリーフライン27に設けられる第2経路37およびパイロットチェック弁39の数は、リリーフライン27の総数をNとすると、(N−1)となる。
パイロット通路35は、リリーフ弁38よりもリリーフ同期部22側の第1経路36の部分と、他のリリーフライン27に設けられたパイロットチェック弁39のパイロットポートとを接続する。この結果、いずれかのリリーフライン27(第1経路36)が開放されたとき、その圧力が他のリリーフライン27のパイロットチェック弁39に入力され、第2経路37を開放させる。
このような構成により、リリーフ回路33では、高圧供給ラインHL(図5、図6参照)と連通する1つのリリーフライン27の第1経路36が所定圧力以上となって開放されると、その他の全てのリリーフライン27の第2経路37が連動して開放される。
(多連式シールド掘進機の動作)
次に、シールド掘進機1の動作について説明する。図3において、掘進時には、油圧供給部21から作動油(油圧)が供給される。すなわち、電動モータ29によって容積式油圧ポンプ28aと容積式油圧ポンプ28bとが駆動される。容積式油圧ポンプ28aおよび容積式油圧ポンプ28bは、共通の駆動軸で連結され機械的に同期するので、ポンプの始動タイミングのずれが存在せず、定常状態に遷移するまでの立ち上がりの期間や停止直前の立ち下がりの期間でも流量比が一定に保たれる。容積式油圧ポンプ28aの吐出流量をQs1、容積式油圧ポンプ28bをQs2とすると、流量比Qs1:Qs2=1:1となる。
作動油は、それぞれ油圧供給ライン24a、24bを通過して、方向制御弁26および接続管路30を介してそれぞれのカッタ駆動部5a、5bへ流入する。カッタ駆動部5aへの流入流量をQm1、カッタ駆動部5bへの流入流量をQm2とすると、流量比Qm1:Qm2=1:1となる。その結果、容積式油圧モータ32により構成されたそれぞれのカッタ駆動部5は、回転の位相差を維持するように各カッタヘッド2を同期して回転させる。これにより、各カッタヘッド2a、2b(図1参照)は、相互に接触(衝突)しない所定の回転の位相差を維持したまま、同期して回転する。カッタ駆動部5a、5bから排出された作動油は、接続管路30、方向制御弁26を通過して排出ライン25へ流れ、オイルタンク23に戻る。油圧供給部21の動作によって作動油が上記の経路を循環することによって、各カッタヘッド2が連続的に回転駆動される。
図5および図6は、いずれかのカッタヘッド2に作用する荷重が過大となり回転速度が低下した場合などに発生する、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時の動作を示す。図5は、カッタ駆動部5a(ハッチング部)の回転速度が低下して油圧供給ライン24aが高圧供給ラインHLとなるケースを示し、図6は、カッタ駆動部5b(ハッチング部)の回転速度が低下して油圧供給ライン24bが高圧供給ラインHLとなるケースを示している。図5および図6では、油圧供給部21や方向制御弁26などの図示を省略している。
容積式油圧ポンプ28aおよび容積式油圧ポンプ28b(図3参照)は機械的に同期するので、各油圧供給ライン24a、24bへ供給される作動油の流量比Qs1:Qs2=1:1となる。しかし、図5において、油圧供給ライン24aではカッタ駆動部5aの回転速度が低下して吸い込み流量が低下するので、その差分に応じて油圧供給ライン24aの圧力が上昇して、所定圧力以上の高圧供給ラインHLとなる。一方、油圧供給ライン24bでは、カッタ駆動部5bの回転速度が低下する要因がないので、油圧供給ライン24aと比較して相対的に低圧のままの通常運転状態となる。
油圧供給ライン24aが所定圧力以上になると、これに接続するリリーフライン27aも高圧となり、リリーフ弁38が開放される。その結果、高圧の油圧供給ライン24aとリリーフ同期部22とがリリーフライン27a(第1経路36)を介して連通する。油圧供給ライン24bは所定圧力よりも低圧なので、リリーフライン27aのパイロットチェック弁39は閉鎖したままである。
リリーフライン27a(第1経路36)が開放されると、パイロット通路35を介して、リリーフライン27bのパイロットチェック弁39に高圧供給ラインHLである油圧供給ライン24a(リリーフライン27a)の圧力が付与される。その結果、リリーフライン27bでは、リリーフライン27aに連動してパイロットチェック弁39が開放されて、油圧供給ライン24bとリリーフ同期部22とがリリーフライン27b(第2経路37)を介して連通する。なお、油圧供給ライン24bは所定圧力よりも低圧なので、リリーフライン27bのリリーフ弁38は閉鎖したままである。
各リリーフライン27aおよび27bが開放された結果、リリーフ同期部22に油圧が付与され、リリーフ同期部22において容積式油圧モータ32aおよび32bが回転駆動される。リリーフ同期部22においてリリーフライン27aと接続する容積式油圧モータ32aの入口圧力をP1とし、リリーフライン27bと接続する容積式油圧モータ32bの入口圧力をP2とすると、P1>P2の関係となる。その結果、容積式油圧モータ32aおよび32bは、高圧供給ラインHLと接続するリリーフライン27aの圧力P1に応じて一体回転し、排出ライン25へと作動油を吐出する。この結果、高圧供給ラインHLでは過度な圧力上昇が回避される。
容積式油圧モータ32aの吐出流量をQr1とし、容積式油圧モータ32bの吐出流量をQr2とすると、流量比Qr1:Qr2=1:1となる。カッタ駆動部5aへの流入流量Qm1=Qs1−Qr1となり、カッタ駆動部5bへの流入流量Qm2=Qs2−Qr2となるので、Qm1:Qm2=1:1を維持する。つまり、図5では、リリーフ動作によってカッタ駆動部5aへの流入流量Qm1が低下した分だけ、カッタ駆動部5bでも流入流量Qm2が低下し、それぞれのカッタヘッド2の回転は同期したままとなる。
図6の場合、油圧供給ライン24bが高圧供給ラインHLとなる。図6のケースにおいても、油圧供給ライン24aと油圧供給ライン24bとの関係が逆になるだけで、基本的には同様の動作が行われる。
すなわち、図6の場合、油圧供給ライン24bが高圧供給ラインHLとなるので、リリーフライン27bでは第1経路36(リリーフ弁38)が開放され、パイロット通路35により連動して、低圧のリリーフライン27aでは第2経路37(パイロットチェック弁39)が開放される。各リリーフライン27aおよび27bが開放された結果、リリーフ同期部22に油圧が付与され、リリーフ同期部22において容積式油圧モータ32aおよび32bが回転駆動される。
図6の場合、P1<P2の関係となる。その結果、容積式油圧モータ32aおよび32bは、高圧供給ラインHLと接続するリリーフライン27bの圧力P2に応じて一体回転し、排出ライン25へと作動油を吐出する。この結果、高圧供給ラインHLでは過度な圧力上昇が回避される。カッタ駆動部5aへの流入流量Qm1と、カッタ駆動部5bへの流入流量Qm2とは、Qm1:Qm2=1:1を維持する。このように、図6では、リリーフ動作によってカッタ駆動部5bへの流入流量Qm2が低下した分だけ、カッタ駆動部5aでも流入流量Qm1が低下し、それぞれのカッタヘッド2の回転は同期したままとなる。
以上の結果、本実施形態のシールド掘進機1では、いずれかのカッタヘッド2に作用する荷重が過大となり回転速度が低下した場合でも、これに同期して他のカッタヘッド2の回転速度も低下し、それぞれのカッタヘッド2の同期回転が維持される。その結果、高圧供給ラインHLでの過度な圧力上昇を抑制しながら、カッタヘッド2同士の接触(衝突)が回避される。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、リリーフライン27に設けられ、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時に、それぞれの油圧供給ライン24から上記所定の流量比(1:1)で同期して作動油を排出する容積式のリリーフ同期部22によって、いずれかの油圧供給ライン24の圧力上昇時に、それぞれのカッタ駆動部5への油圧供給ライン24からリリーフライン27を介して排出ライン25へ排出する作動油の流量比(Qr1:Qr2)を、油圧供給部21から各カッタ駆動部5へ供給する流量比(Qs1:Qs2)と同じ所定の流量比(1:1)に維持することができる。この結果、いずれかのカッタヘッド2に作用する荷重が過大となって速度低下した場合でも、過大な荷重が作用していない他のカッタヘッド2についても速度低下することにより、回転の同期が維持されるので、回転位相のずれによるカッタヘッド2同士の衝突を回避することができる。以上により、本実施形態のシールド掘進機1によれば、複数のカッタヘッド2を油圧駆動方式で同期駆動する場合にも、カッタヘッド2に作用する荷重に起因するカッタヘッド2同士の衝突を回避することができる。
また、本実施形態では、上記のように、リリーフ同期部22に、互いに軸が連結されることにより機械的に同期された複数の容積式油圧モータ32を設ける。これにより、高圧供給ラインHLと接続するリリーフライン27の高い圧力によっていずれかの容積式油圧モータ32が回転駆動される際に、他の容積式油圧モータ32の回転速度を一致させることができる。そのため、複数の容積式油圧モータ32の容積比を所定の流量比(1:1)に対応させることによって、リリーフ動作時に、それぞれの油圧供給ライン24から所定の流量比で同期して作動油を排出することができる。この結果、複雑な油圧回路を構築することなく、軸が連結された複数の容積式油圧モータ32を設けるという単純な構成で、リリーフ同期部22を構築することができる。
また、本実施形態では、上記のように、複数のリリーフライン27の各々においてリリーフ同期部22の上流側に、リリーフライン27を遮断する複数のリリーフ回路33を設け、各々のリリーフ回路33を、所定圧力以上で開放し、いずれかのリリーフ回路33の開放に連動して全てのリリーフ回路33が開放されるように構成する。これにより、各リリーフ回路33によって、いずれかの油圧供給ライン24が所定圧力以上になった場合に初めて、それぞれのリリーフライン27を開放してリリーフ同期部22に圧力を作用させることができる。このため、リリーフ同期部22としては単純に排出流量比を所定の流量比(1:1)に維持するだけでよく、圧力に応じて動作を切り替える機能をリリーフ同期部22に付加する必要がないので、リリーフ同期部22の構成を簡素化することができる。
また、本実施形態では、上記のように、リリーフ回路33に、リリーフライン27の圧力に応じて開閉するバルブ34と、バルブ34の開放時の圧力を他のリリーフ回路33へ伝達するパイロット通路35とを設ける。これにより、高圧供給ラインHLにおいてリリーフ回路33が開放される場合に、パイロット通路35を介して高圧供給ラインHLの圧力を伝達することによって、他のリリーフ回路33も同期して開放することができる。これにより、たとえば圧力センサや電子制御式の流量制御弁などを用いる複雑な制御システムを利用することなく、油圧回路を用いた簡素な構成によって、各リリーフ回路33の動作を同期させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、リリーフライン27の第1経路36に配置され所定圧力以上で開放されるリリーフ弁38と、第1経路36をバイパスする第2経路37に配置されパイロット通路35が所定圧力以上の場合に開放されるパイロットチェック弁39と、を設ける。これにより、高圧供給ラインHLではリリーフ弁38が開放され、高圧供給ラインHL以外の油圧供給ライン24ではパイロット通路35の圧力によってパイロットチェック弁39が開放されることにより、それぞれのリリーフライン27を同期して開放することができる。この結果、各リリーフ回路33にリリーフ弁38とパイロットチェック弁39とを設けるだけの簡素な構成で、各リリーフ回路33の動作を同期させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、油圧供給部21に、互いに軸が連結されることにより機械的に同期して作動する複数の容積式油圧ポンプ28を設ける。これにより、各々のカッタ駆動部5への油圧供給を所定の流量比で同期させることが可能な油圧供給部21を容易に構築することができる。また、それぞれの容積式油圧ポンプ28は互いの軸が連結されて動作が機械的に同期するので、ポンプ動作が安定した定常状態以外の、供給開始直後や供給停止直前の過渡状態(非定常状態)においても、供給する作動油の流量比を維持することができる。
また、本実施形態では、上記のように、油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28と、リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32とを、カッタヘッド2の数と同数設ける。これにより、油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28とリリーフ同期部22の容積式油圧モータ32とをカッタヘッド2毎に設けて、それぞれカッタヘッド2と一対一で対応させることができる。そのため、油圧供給部21から各カッタヘッド2(カッタ駆動部5)に供給する作動油の流量比(Qs1:Qs2)と、リリーフ動作時に各リリーフライン27から排出する作動油の流量比(Qr1:Qr2)とを、個別の容積式油圧ポンプ28および容積式油圧モータ32によって容易に設定することができる。さらに、それぞれが容積式の油圧ポンプおよび油圧モータであるため、流量を確実に一定に維持することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、2つのカッタヘッド2を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。カッタヘッド2が3つ以上設けられていてもよい。たとえば図7では、3つのカッタヘッド2(3つのカッタ駆動部5)を設けた例を示している。
図7の場合、3つのカッタ駆動部5に応じて油圧供給ライン24およびリリーフライン27がそれぞれ3系統となり、油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28およびリリーフ同期部22の容積式油圧モータ32もそれぞれ3つずつ設けられる。詳細は省略するが、各リリーフ回路33においては、1つのリリーフ回路33から他のリリーフ回路33へ圧力を伝達するパイロット通路35が、それぞれ2本になる。これにより、上記実施形態と同様、いずれかのリリーフ回路33が開放された場合に、他の全てのリリーフ回路33にパイロット圧力が伝達され、連動して開放される構成となる。
また、上記実施形態では、2つのカッタヘッド2(2a、2b)と、各カッタヘッド2を回転駆動する2つのカッタ駆動部5(5a、5b)とをそれぞれ同一構成とすることにより、各カッタ駆動部5に対して作動油を1:1の流量比で供給する例を示したが、本発明はこれに限られない。作動油の流量比は1:1でなくてもよい。たとえば複数のカッタヘッド2の寸法が互いに異なり、複数のカッタ駆動部5の容積が互いに異なる場合など、回転速度を同期させるために必要な作動油の流量がカッタ駆動部5毎に異なる場合、流量比は1:1以外になる。その場合、各カッタ駆動部5の容積比、油圧供給部21の各油圧供給ライン24への吐出流量比(各容積式油圧ポンプ28の容積比)、および、リリーフ同期部22の各リリーフライン27からの排出流量比(各容積式油圧モータ32の容積比)を、それぞれ所定の流量比となるように設定すればよい。たとえば各カッタ駆動部5a、5bの容積比が1:2であれば、油圧供給部21の吐出流量比、リリーフ同期部22の排出流量比も1:2にすればよい。
また、上記実施形態では、リリーフ同期部22を、各々の回転軸の軸端で連結されることにより、共通の1つの回転軸を有するように構成した複数の容積式油圧モータ32(32a、32b)によって構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。複数の容積式油圧モータ32の回転軸を共通化(連結)することに代えて、それぞれの容積式油圧モータ32の軸を、回転が同期するように伝達機構を介して機械的に連結してもよい。たとえば、各容積式油圧モータ32の軸にギヤを設けるとともに中間ギヤを介してそれぞれの軸が同期回転するように機械的に連結してもよい。この場合、伝達機構は、各容積式油圧モータ32の軸を同期して回転するように連結できるものであれば、ギヤ(歯車機構)に限らない。
また、上記実施形態では、リリーフ同期部22を、互いに軸が連結されることにより機械的に同期された複数の容積式油圧モータ32により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。リリーフ同期部22を、互いに軸が連結された複数の容積式油圧モータ32以外の構成としてもよい。たとえば、個別の容積式油圧モータ32を機械的に連結する代わりに、容積式油圧モータに相当する構造を単一の装置内に複数組み込んだ構造のリリーフ同期部を設けてもよい。すなわち、一定の押しのけ容積を有する構造(油室)を、共通の回転軸に対して複数備えるリリーフ同期部を設け、各油室の容積を所定の容積比になるように設定してもよい。
また、上記実施形態では、各リリーフライン27にリリーフ回路33を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リリーフ回路33を設けなくてもよい。たとえば図8に示すように、各容積式油圧モータ32の回転軸を強制的にロックおよびロック解除可能なロック機構91をリリーフ同期部122に設け、各リリーフライン27に設けた圧力センサ92のいずれかの検出値が所定圧力以上となった場合に、圧力センサ92からの信号に基づいてロック機構91がリリーフ同期部122の回転軸のロックを解除するような構成でもよい。
また、上記実施形態では、リリーフ回路33にバルブ34とパイロット通路35とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。パイロット通路35を設ける代わりに、各リリーフライン27に図8と同様に圧力センサ92を設けて、圧力センサ92の検出値に基づいて全てのリリーフライン27のリリーフ回路33(バルブ34)が開放される構成でもよい。この場合、リリーフライン27に分岐した経路(第1経路36および第2経路37)を設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、油圧供給部21を、互いに軸が連結されることにより機械的に同期して作動する複数の容積式油圧ポンプ28により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば図9に示す変形例のように、油圧供給部121aに共通の1つの油圧ポンプ93を設け、リリーフ同期部22と同じように回転軸が機械的に連結された複数の容積式油圧モータ32により構成された分流機構94を、油圧ポンプ93と各油圧供給ライン24の間に接続してもよい。この場合、1つの油圧ポンプ93から、各油圧供給ライン24の合計流量に相当する作動油が吐出された後、分流機構94によって、各油圧供給ライン24へ作動油が所定の流量比となるように分流される。
この他、たとえば図10に示すように、油圧供給部121bを、個々の油圧供給ライン24に個別に設けた容積式油圧ポンプ28と、各容積式油圧ポンプ28を別々に駆動する複数の電動モータ95とによって構成してもよい。図10の油圧供給部121bでは、各電動モータ95を同期制御するモータ制御部96によって、各容積式油圧ポンプ28の吐出流量が所定の流量比となるように電気的に同期制御される。
また、上記実施形態では、油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28と、リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32とを、カッタヘッド2の数と同数設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28の数と、リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32の数とは、カッタヘッド2の数と異なっていてもよい。油圧供給部21の容積式油圧ポンプ28の数と、リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32の数とが互いに異なっていてもよい。たとえば図9のように油圧供給部21に単一の油圧ポンプ93を設けた構成を図3において採用した場合、油圧供給部21の油圧ポンプ93の数は、カッタヘッド2の数(リリーフ同期部22の容積式油圧モータ32の数)と異なる。
1 シールド掘進機(多連式シールド掘進機)
2、2a、2b カッタヘッド
5、5a、5b カッタ駆動部
21、121a、121b 油圧供給部
22、122 リリーフ同期部
24、24a、24b 油圧供給ライン
25 排出ライン
27、27a、27b リリーフライン
28、28a、28b 容積式油圧ポンプ
32、32a、32b 容積式油圧モータ
33 リリーフ回路
34 バルブ
35 パイロット通路
36 第1経路
37 第2経路
38 リリーフ弁
39 パイロットチェック弁

Claims (7)

  1. 同期回転して土砂を掘削する複数のカッタヘッドと、
    前記複数のカッタヘッドにそれぞれ設けられ、前記カッタヘッドを回転駆動する複数の油圧式のカッタ駆動部と、
    それぞれの前記カッタ駆動部に所定の流量比で同期して作動油を供給する油圧供給部と、
    前記油圧供給部から各々の前記カッタ駆動部への各油圧供給ラインと、作動油の排出ラインとを接続するリリーフラインに設けられ、いずれかの前記油圧供給ラインの圧力上昇時に、それぞれの前記油圧供給ラインから前記所定の流量比で同期して作動油を排出する容積式のリリーフ同期部と、を備える、多連式シールド掘進機。
  2. 前記リリーフ同期部は、各々の前記リリーフラインに接続され、互いに軸が連結されることにより機械的に同期された複数の容積式油圧モータを含む、請求項1に記載の多連式シールド掘進機。
  3. 複数の前記リリーフラインの各々において前記リリーフ同期部の上流側に設けられ、前記リリーフラインを遮断する複数のリリーフ回路をさらに備え、
    各々の前記リリーフ回路は所定圧力以上で開放し、いずれかの前記リリーフ回路の開放に連動して全ての前記リリーフ回路が開放されるように構成されている、請求項1または2に記載の多連式シールド掘進機。
  4. 前記リリーフ回路は、前記リリーフラインの圧力に応じて開閉するバルブと、前記バルブの開放時の圧力を他の前記リリーフ回路へ伝達するパイロット通路とを含む、請求項3に記載の多連式シールド掘進機。
  5. 前記バルブは、
    前記リリーフラインの第1経路に配置され前記所定圧力以上で開放されるリリーフ弁と、
    前記第1経路をバイパスする第2経路に配置され前記パイロット通路が前記所定圧力以上の場合に開放されるパイロットチェック弁と、を含む、請求項4に記載の多連式シールド掘進機。
  6. 前記油圧供給部は、互いに軸が連結されることにより機械的に同期して作動する複数の容積式油圧ポンプを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多連式シールド掘進機。
  7. 前記リリーフ同期部は、互いに軸が連結されることにより機械的に同期された複数の容積式油圧モータを含み、
    前記油圧供給部の前記容積式油圧ポンプと、前記リリーフ同期部の容積式油圧モータとは、前記カッタヘッドの数と同数設けられている、請求項6に記載の多連式シールド掘進機。
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