JP3670983B2 - 方向修正装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に横穴、縦穴等のトンネルを構築するために、先端装置で地中を推進する際においてその推進方向を修正する方向修正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
管を地中に埋設するための工法としては、▲1▼立坑に設置した元押装置により先端装置をただ単に押圧し、土砂を掘削することなく地中に圧入させる静的圧入工法、▲2▼先端装置としての掘削機で土砂を掘削すると共に掘削した土砂を排土しながら地中で掘削機を推進させる掘削工法、▲3▼特開昭60−148997号公報に示す工法で、本出願の図10及び図11に示すように、加振機aを作動させて、先端装置としての振動発生装置bの前部cを加振すると共に、該振動発生装置b周囲の土砂dに振動を与えて流動化させ、立坑eに設置した元押装置fにより押圧することにより土砂を掘削することなく振動発生装置bを圧入するようにした動的圧入工法がある。
【0003】
前記各工法において地中に埋設物等の障害物がある場合には、先端装置の推進方向を修正する必要があり、該先端装置の推進方向を修正する装置としては、特開昭58−222291号公報に示す装置がある。この特開昭58−222291号公報に示す装置は、本出願の図12に示すように、倍力機構として装置の推進方向と平行に伸長する位置決めジャッキgにより主動楔部材hを介して受動楔部材iの楔面を押し、受動楔部材iの前方の穿孔ヘッドj、推進ジャッキkを球軸受mを介して傾斜させ、装置の推進方向を変更して障害物を避けるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き障害物を避けるよう先端装置の推進方向を修正する装置は、主動楔部材hを介して受動楔部材iの楔面を押す位置決めジャッキgのストロークが推進方向に長くなるため、装置の推進方向の全長が長くなり、出発点となる立坑への搬入が困難になると共に、装置の方向制御を行う制御性が悪いという問題があった。
【0005】
こうした問題を解決すべく、本発明者等は、以下に示すような方向修正装置を発明し、既に出願している。
【0006】
図4〜図9は本発明者等が発明した方向修正装置の一例である。
【0007】
前記方向修正装置が適用される管埋設装置は図9に示され、図中、1は先端装置である。
【0008】
先端装置1は、推進方向D1前方側に位置する前部4と、先端装置1の前部4の推進方向D1後方に接続されると共に、推進中に推進方向D1を修正させるための屈曲部5を備えた方向修正装置6を備えており、7は先端装置1において方向修正装置6の推進方向D1後方に配置された挿入管、8は立坑9内に配設されて押圧板10を介し挿入管7の後端を押圧するようにした液圧ジャッキ等の元押装置である。
【0009】
而して、上記管埋設装置においては、元押装置8を伸長させて押圧板10を介し挿入管7を地中に圧入し、挿入管7により先端装置1を押圧することにより先端装置1を推進させるようにしている。
【0010】
又、管埋設装置は、方向修正装置6の屈曲部5により先端装置1の前部4を傾動させ、更に元押装置8を伸長させることにより押圧板10及び挿入管7を介して先端装置1を押圧し、先端装置1の推進方向D1を変更しつつ推進させるようにしている。
【0011】
このような方向修正装置6の詳細は図4〜図7に示されており、方向修正装置6は、屈曲部5を備えた方向修正部11を、前段部の前段円筒部12と後段部の後段円筒部13とにより構成している。
【0012】
前段円筒部12は、先端装置1の前部4に着脱可能な接続部14を介して前方壁15を配し、該前方壁15の推進方向D1後方に、先端装置1の前部4と略同径に形成される第一の外筒16と、該第一の外筒16と同心に形成され且つ推進方向D1後方へ張り出す円筒状の内筒17とを設けてなる構成を有しており、前記内筒17における前方壁15の近傍には、内筒17の軸線上に中心を有する凸状球面座18を形成してあり、該凸状球面座18の表面には、カーボン等の固体潤滑被膜19を形成してある。
【0013】
前記前段円筒部12の推進方向D1後方に位置する後段円筒部13は、前段円筒部12の第一の外筒16と略同径の第二の外筒20を備え、該第二の外筒20の先端には、前段円筒部12の第一の外筒16と内筒17との間に位置し且つ凸状球面座18を推進方向D1の投影面積で広く受ける凹状球面座21を形成しており、前記凸状球面座18に接する凹状球面座21の内周面には凸状球面座18と同様なカーボン等の固体潤滑被膜22を形成し、凹状球面座21の外周面には複数の環状溝23(図4では二本)を設け、該環状溝23には、前段円筒部12の第一の外筒16と後段円筒部13の凹状球面座21との間の隙間から内部に土砂が流入することを防ぐためのU字状のパッキン24を嵌入してある。
【0014】
又、前記凹状球面座21の外周面で環状溝23の推進方向D1後方には、前段円筒部12が傾動した際に前段円筒部12の第一の外筒16における推進方向D1後端が凹状球面座21の外周面に接触しないよう所定の大きさの溝25を形成してある。
【0015】
前記後段円筒部13の第二の外筒20における凹状球面座21の推進方向D1後方には、図4及び図6に示す如く、内筒17における凸状球面座18の回動中心から推進方向D1後方へ最も離れた位置、即ち内筒17の推進方向D1後端に位置するよう四本の液圧ジャッキ26を配設してあり、該四本の液圧ジャッキ26は、内筒17を周方向へ等間隔に囲むと共に、内筒17を径方向に挟み込む二本を一対として構成されている。
【0016】
ここで、内筒17の外周面と液圧ジャッキ26との構造を説明すると、図6に示す如く、内筒17の外周面には接線方向へ延在する複数の平面(図6では四個所)を形成して滑り軸受け板27を配しており、該滑り軸受け板27には、球面座28を備えて首を振れるようにした液圧ジャッキ26の先端部を面接触させるようにしてある。
【0017】
前記後段円筒部13の第二の外筒20における複数の液圧ジャッキ26のうち二本の液圧ジャッキ26の間には、内筒17の径方向に向かう二本のストローク検出器29を内筒17の周方向へ位相をずらして略直角に配置し、残りの二本の液圧ジャッキ26の間には、ストローク検出器29と同様に内筒17の径方向に向かう二本の土圧検出器30を内筒17の周方向へ位相をずらして略直角に配置してある。
【0018】
一方、図4及び図5に示す如く、後段円筒部13の推進方向D1後端部、即ち方向修正部11の推進方向D1後端部には、後段円筒部13の第二の外筒20に対し同心状で外径が略同一に形成され且つ推進方向D1後端部に蓋体31が取り付けられた中空の後方筒部32が接続され、該後方筒部32の中空部内には、方向修正部11の前段円筒部12を傾動させるために必要な油圧回路を構成する各種機器及び制御系統を構成する各種機器が収納されるようになっている。
【0019】
前記後方筒部32に収納されている機器は、油圧回路を構成する三位置切換弁である電磁制御弁34、各液圧ジャッキ26に対応する圧力センサ35、地中の土内にベントナイト等の滑材を供給するよう後方筒部32の周方向表面に形成された滑材供給ノズル36、制御系統におけるストローク検出器29用のアンプ、推進方向D1を制御するジャイロ37、発生する磁界により地上で位置を検出させる電磁コイル38、各部材に給電するバッテリ39、及び省配線ユニット等である。又、二本ずつで構成される二対の液圧ジャッキ26は、先端装置1の推進方向D1後方へ延在する管路40を介して、各対に対応するそれぞれの電磁制御弁34に接続されており、それぞれの電磁制御弁34に接続された後述の図7における管路41,42は、送給管路47及び戻り管路48に接続され、該送給管路47及び戻り管路48には、蓋体31に取り付けられ且つ油圧ユニット60へ接続可能なカップラ43,44と、振動発生装置の油圧系へ接続可能なカップラ45,46とが接続されている。
【0020】
前記滑材供給ノズル36には管路49の先端が接続され、該管路49は後方筒部32の中空部を通って後方へ延在し、蓋体31に取り付けられたカップラ50に接続されている。又、管路49の中途位置には分岐部分(図示せず)が設けられており、該分岐部分から後方筒部32の中空部を通って前方側へ延在する管路52は、先端装置1の前部4の油圧系へ着脱可能なカップラ51に接続されている。
【0021】
尚、図5中、53は、前段円筒部12の第一の外筒16における推進方向D1後端に凸設されたキー状の回り止め部材であり、該回り止め部材53は、後段円筒部13の第二の外筒20における推進方向D1先端に設けた切欠き状の案内手段54と係合しており、これにより、推進時に前段円筒部12が円周方向へ回動しないよう動きを規制されている。
【0022】
一方、前記液圧ジャッキ26により前段円筒部12の方向、即ち先端装置1の推進方向D1を変更する油圧回路は図7に示されており、60は油圧ユニット、61は傾動用の油圧回路である。
【0023】
前記油圧ユニット60は地上に設置されており、電動機62により駆動される油圧ポンプ63の吐出側には、中途部に逆止弁64及び可変絞り付逆止弁65を、又、油流れ方向D2下流端にカップラ66を設けた管路67が接続されている。又、前記油圧ユニット60は、油流れ方向D2上流端にカップラ68が接続され且つ油をタンク69に戻すようにした戻り管路70を備え、油圧ポンプ63には、タンク69から油を吸い込むための吸引管路71が接続されている。
【0024】
又、管路67における逆止弁64の油流れ方向D2下流側には、中途部に切換弁72が接続されて一端が戻り管路70に接続された管路73の他端が接続されている。油圧ユニット60の管路67と戻り管路70とをつなぐ管路途中には、管路67側の圧力が設定値を越えた場合に油を戻り管路70側へ逃がすためのリリーフ弁74を設けてある。
【0025】
前記油圧回路61を構成する各機器は後方筒部32内に収納されており、油圧ユニット60のカップラ66と管路75を介して接続し得るようにしたカップラ43には、先端装置1の前部4の油圧ユニット(図示せず)に接続可能なカップラ45へ通じる送給管路47が接続されると共に、油圧ユニット60のカップラ68と管路76を介して接続し得るようにしたカップラ44には、先端装置1の前部4の油圧ユニット(図示せず)に接続可能なカップラ46へ通じる戻り管路48が接続されている。
【0026】
又、送給管路47の中途部には、二つの電磁制御弁34に接続される管路41が接続され、戻り管路48の中途部には、二つの電磁制御弁34に接続される管路42が一本の管路77にまとめられて接続されており、まとめられた一本の管路77には第一の弁としてのリリーフ弁78が設けられている。
【0027】
一方、前記電磁制御弁34には、各液圧ジャッキ26のヘッド側液室79へ通じる管路40と接続され且つ途中に可変絞り付逆止弁80を有する管路81が接続されており、可変絞り付逆止弁80は、液圧ジャッキ26のヘッド側液室79から戻る油の流量を制御するようになっている。
【0028】
又、前記管路81の管路40に対する接続位置から可変絞り付逆止弁80までの中途部には、逆止弁82を備えた管路83が分岐接続され、該管路83は、一本の管路84にまとめられて第二の弁としてのリリーフ弁85を介し戻り管路48に接続されている。
【0029】
ここで、前記リリーフ弁78は、所定の液圧ジャッキ26が内筒17を押圧することによりそれと対向する液圧ジャッキ26が内筒17によって押圧された際に、対向する戻り側の液圧ジャッキ26のヘッド側液室79、管路40、管路81、電磁制御弁34、管路42の一連の流路の圧力がゼロにならないよう所定の圧力に設定されている。
【0030】
前記液圧ジャッキ26を介して前段円筒部12を傾動させる際の制御装置は、図8に示されており、圧力センサ35で検出したそれぞれの液圧ジャッキ26の推力である液圧ジャッキ圧力P1、ストローク検出器29で検出した内筒17延いては前段円筒部12の変位方向X1、土圧検出器30で検出した後段円筒部13の第二の外筒20に作用する土圧力P2は、それぞれ検出信号として地上に設置した制御装置90の演算制御部91へ与え得るようになっている。
【0031】
前記前段円筒部12の傾動時における液圧ジャッキ26の選択Sa、液圧ジャッキ26の伸長量LaはCPU等の上位系制御装置92若しくはオペレータより、制御装置90の演算制御部91へ設定し得るようになっており、その他の操作指令C1も制御装置90の演算制御部91へ与え得るようになっている。又、制御装置90の演算制御部91から上位系制御装置92へは、動作状態情報Iを与え得るようになっている。
【0032】
又、上位系制御装置92等から与えられた種々のデータを基に、制御装置90における演算制御部91からは、電磁制御弁34に切換指令Vを与え得るようになっている。尚、図8中、93は制御装置90における演算制御部91からの動作状態データを表示するための表示部である。
【0033】
次に、上記方向修正装置6の作動を説明する。
【0034】
先端装置1の方向を変更する際において、図7に示す油圧回路61のリリーフ弁78、リリーフ弁85は、リリーフ弁78の設定圧をPO1、リリーフ弁85の設定圧をPO2とした場合、常にPO1<PO2となるよう圧力調整が行われており、油圧ユニット60では、油が流通するよう切換弁72が切換わった状態で油圧ポンプ63は電動機62により駆動されており、油圧ポンプ63から吐出された油は、管路67,73、切換弁72、戻り管路70を通ってタンク69へ循環している。
【0035】
又、上位系制御装置92から、先端装置1即ち前段円筒部12の変位方向及び変位量に対応する液圧ジャッキ26の選択Sa、液圧ジャッキ26の伸長量La、その他の操作指令C1等の信号が制御装置90の演算制御部91に与えられている。このため、推進方向D1の変更を開始する操作ボタンをオンにすることにより、制御装置90の演算制御部91からは油圧ユニット60の切換弁72に切換指令が与えられて管路73の油が切換弁72を通過しないように切り換わり、同時に油圧回路61の二つの電磁制御弁34のうち少なくとも一つに切換指令が与えられて、一対の液圧ジャッキ26のうち一方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に他方の管路81を戻り側の管路42に接続するか、或いは他方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に一方の管路81を戻り側の管路42に接続するよう、電磁制御弁34の切換が行われている。
【0036】
このため、二つの電磁制御弁34のうち一方の電磁制御弁34において、一対の液圧ジャッキ26のヘッド側液室79に接続された一方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に他方の管路81を戻り側の管路42に接続するよう、切換が行われている場合には、油圧ポンプ63から吐出された油は、管路67,75,47,41を経て電磁制御弁34を通り、管路81から管路40を経て液圧ジャッキ26のヘッド側液室79へ導入され、液圧ジャッキ26を伸長させることにより内筒17を押圧しており、同時に、相対する液圧ジャッキ26のヘッド側液室79の油は排出され、他方の管路40,81を経て電磁制御弁34を通り、管路42から管路77及びリリーフ弁78を介して、戻り管路48、管路76,70を通り、タンク69に戻される。
【0037】
又、二つの電磁制御弁34のうち一方の電磁制御弁34において、一対の液圧ジャッキ26のヘッド側液室79に接続された他方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に一方の管路81を戻り側の管路42に接続するよう、切換が行われている場合には、油圧ポンプ63から吐出された油は、管路67,75,47,41を経て電磁制御弁34を通り、上記の場合の他方の管路81から管路40を経て逆側の液圧ジャッキ26のヘッド側液室79へ導入され、逆側の液圧ジャッキ26を伸長させることにより内筒17を逆方向に押圧しており、同時に、相対する液圧ジャッキ26のヘッド側液室79の油は排出され、上記の場合の一方の管路40,81を経て電磁制御弁34を通り、管路42から管路77及びリリーフ弁78を介して、戻り管路48、管路76,70を通り、タンク69に戻される。
【0038】
更に、二つの電磁制御弁34のうち他方の電磁制御弁34において、他の一対の液圧ジャッキ26が作動する場合には、上記の一方の電磁制御弁34と略同様に作動し、二つの電磁制御弁34を同時に作動させた場合には、互いに直交する方向に配設された二対の液圧ジャッキ26が所要方向へそれぞれ伸縮する形となり、このときの内筒17の押圧方向は二対の液圧ジャッキ26の伸長方向を合わせたものになる。
【0039】
ここで、前記内筒17の傾動角度は、内筒17の周方向へ位相をずらして略直角に配置された二本のストローク検出器29により傾動のデータが検出され、該検出された値を演算することにより求められる。
【0040】
而して、所定の液圧ジャッキ26を所定量で伸長させると、該液圧ジャッキ26は前段円筒部12の内筒17を径方向に押圧し、凸状球面座18の球中心を回動中心として前段円筒部12を所定変位量で傾動させ、先端装置1の前部4を所望方向へ向ける。
【0041】
続いて、先端装置1の推進方向D1を更に変更する際には、圧力センサ35により液圧ジャッキ圧力P1が、又、ストローク検出器29により前段円筒部12の変位方向X1が、更に、土圧検出器30により後段円筒部13の外周面に作用する土圧力P2が、それぞれ検出されて制御装置90における演算制御部91に与えられ、所定の演算が行われることにより、切換指令Vにより電磁制御弁34が適切な状態に制御される。
【0042】
このため、制御装置90は、傾動時の前段円筒部12の変位方向及び変位量に対応する液圧ジャッキ26の選択Sa、液圧ジャッキ26の伸長量La、その他の操作指令C1を任意に設定すると共に、前述の検出データを基として前段円筒部12の傾動方向を予め設定した所定の状態に制御して傾動を行うことができる。
【0043】
一方、図9に示す元押装置8によりトンネルを形成するよう先端装置1を押圧した場合には、先端装置1へ与える推力、先端装置1の径方向にかかる力等を凸状球面座18を介して後段円筒部13の凹状球面座21で受ける。
【0044】
従って、前段円筒部12の傾動に必要な液圧ジャッキ26のストロークの方向を先端装置1の推進方向D1でなく前段円筒部12の内筒17の径方向にするため、先端装置1の推進方向D1の全長を短くでき、結果的に出発点となる立坑9への搬入が容易になると共に、先端装置1の方向制御を行う制御性を良好にすることができる。又、先端装置1へ与える推力を凸状球面座18で支持するため液圧ジャッキ26を小型化し、設置スペースの占有を低減して方向修正装置6内部のスペースを有効利用することができる。
【0045】
又、油圧回路61において、収縮する液圧ジャッキ26から排出される液はリリーフ弁78により所定圧以上に保持されるため、先端装置1が屈曲する屈曲部5の内筒17及び液圧ジャッキ26に対して何らかの外力が加わった場合であっても、液圧ジャッキ26の誤作動を防止して内筒17と液圧ジャッキ26を常に接触させ、結果的に、屈曲部5及び傾動方向の制御性に悪影響を及ぼす、内筒17と液圧ジャッキ26の間に生じる隙間を完全に抑制することができる。
【0046】
しかも、液圧ジャッキ26を内筒17の周方向に複数対備えているため、複数対の液圧ジャッキ26の伸長する方向を合わせて内筒17を種々の方向に傾動させることができる。
【0047】
又、液圧ジャッキ26のヘッド側液室79及び電磁制御弁34を結ぶ管路81に可変絞り付逆止弁80を設けてあるため、液圧ジャッキ26のヘッド側液室79から戻る油の流量を制御し、液圧ジャッキ26による傾動の動作速度を調節することができる。
【0048】
更に又、液圧ジャッキ26のヘッド側液室79及び電磁制御弁34を結ぶ管路40,81に異常な液圧力が生じた場合には、リリーフ弁85を有する管路84により、液圧ジャッキ26のヘッド側液室79及び電磁制御弁34を結ぶ管路40,81からリリーフ弁78の下流側の戻り管路48へ液圧力を逃がすので、方向修正装置6を確実且つ安全に使用することができる。
【0049】
以上述べたように、本発明者等が既に発明して出願している方向修正装置6は、小型でしかも耐久性、操作性の良いものとなっている。
【0050】
ところで、前記先端装置1は、発進側並びに到達側の立坑9のスペース的制約から、一般に、前部4と方向修正装置6との接続部において分割されることになるが、前述の如き方向修正装置6では、油圧回路61の電磁制御弁34として三位置切換弁、即ち対をなす液圧ジャッキ26のうち一方の液圧ジャッキ26に内筒17を径方向へ押圧するよう油圧ポンプ63からの油を送給すると共に内筒17により押圧されて他方の液圧ジャッキ26から排出された油をタンク69へ戻す押ポジションと、対をなす液圧ジャッキ26のポートを封止するロックポジションと、対をなす液圧ジャッキ26のうち他方の液圧ジャッキ26に内筒17を径方向へ押圧するよう油圧ポンプ63からの油を送給すると共に内筒17により押圧されて一方の液圧ジャッキ26から排出された油をタンク69へ戻す引ポジションとを有する切換弁を用いているため、先端装置1の前部4と方向修正装置6とを分割した状態から立坑9内で接続する作業や、先端装置1の前部4と方向修正装置6とを接続した状態から立坑9内で分割する作業を行う場合、油圧ポンプ63停止状態では、油圧回路61の電磁制御弁34を押ポジション、ロックポジション、引ポジションのいずれのポジションに切り換えたとしても、対をなす液圧ジャッキ26をロックせずにフリーにした状態とすることはできない。
【0051】
しかしながら、このように、先端装置1の前部4と方向修正装置6とを分割した状態から立坑9内で接続する作業や、先端装置1の前部4と方向修正装置6とを接続した状態から立坑9内で分割する作業を行う場合に、対をなす液圧ジャッキ26をロックせずにフリーにした状態とすることができないと、先端装置1の前部4と方向修正装置6との姿勢角合わせが難しくなり、立坑9内での作業性が悪くなることがあった。
【0052】
又、本発明者等は、先端装置1の前部4に推進方向D1へ伸縮する機構(いわゆる複推進機構)を搭載し、方向修正装置6により屈曲部5で先端装置1を中折れさせた状態で、複推進機構により先端装置1の前部4を伸長させ所要量だけ推進させた後、複推進機構をフリーの状態とするか或いは該複推進機構を収縮させつつ元押装置8を伸長させることにより押圧板10及び挿入管7を介して先端装置1を押圧し、先端装置1の推進方向D1を変更しつつ推進させ、これにより、土質によらず方向制御精度を向上させるようにした、いわゆる複推進機構を用いた方向制御についても開発を進めており、この場合、複推進機構により先端装置1の前部4を伸長させ所要量だけ推進させた後、複推進機構をフリーの状態とするか或いは該複推進機構を収縮させつつ元押装置8を伸長させる際、先端装置1の前部4に対し、その後方に位置する方向修正装置6を追従させるようにした方が方向制御精度をより向上させる上で有利となる場合があることが確認されているが、前述と同様に対をなす液圧ジャッキ26をロックして屈曲部5を固定した状態では、先端装置1の前部4に対し、その後方に位置する方向修正装置6を追従させることができず、方向制御精度をより向上させることが困難となっていた。
【0053】
本発明は、斯かる実情に鑑み、先端装置の前部と方向修正装置との分割或いは接続状態からの接続或いは分割作業を狭い立坑内でも効率よく行うことができる一方、複推進機構を用いた方向制御を行う場合に、先端装置の前部に対し、その後方に位置する方向修正装置を追従させることができ、方向制御精度をより向上させ得る方向修正装置を提供しようとするものである。
【0054】
【課題を解決するための手段】
本発明は、地中を推進する先端装置の一部を形成する第一の外筒内に配設された凸状球面座と、第二の外筒に設けられると共に前記凸状球面座に外嵌された凹状球面座と、前記凸状球面座に連なる内筒を径方向へ押圧することにより凸状球面座を介して先端装置の前部の推進方向を修正するよう前記第二の外筒内に配設された所要対の液圧ジャッキとを備えた方向修正装置において、
内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのうち一方の液圧ジャッキに内筒を径方向へ押圧するよう液圧ポンプからの液を送給すると共に内筒により押圧されて他方の液圧ジャッキから排出された液をタンクへ戻す押ポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのポートを封止するロックポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのうち他方の液圧ジャッキに内筒を径方向へ押圧するよう液圧ポンプからの液を送給すると共に内筒により押圧されて一方の液圧ジャッキから排出された液をタンクへ戻す引ポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのポートを連通させる連通ポジションとを有する切換弁を備えたことを特徴とする方向修正装置にかかるものである。
【0055】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0056】
前述の如く、切換弁に、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのポートを連通させる連通ポジションを形成するようにすると、先端装置の前部と方向修正装置とを分割した状態から立坑内で接続する作業や、先端装置の前部と方向修正装置とを接続した状態から立坑内で分割する作業を行う場合に、切換弁をロックポジションの代りに連通ポジションに切り換えて内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキをロックせずにフリーにした状態とすることが可能となり、先端装置の前部と方向修正装置との姿勢角合わせが容易となり、立坑内での作業性が良好となる。
【0057】
又、複推進機構により先端装置の前部を伸長させ所要量だけ推進させた後、複推進機構をフリーの状態とするか或いは該複推進機構を収縮させつつ元押装置を伸長させて、先端装置を推進させるような場合、前述と同様に、油圧回路の切換弁をロックポジションの代りに連通ポジションに切り換えて内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキをロックせずにフリーにした状態とすると、先端装置の前部に対し、その後方に位置する方向修正装置を追従させるようにすることが可能となり、方向制御精度をより向上させる上で有利となる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0059】
図1は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図4〜図9と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図4〜図9に示すものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1に示す如く、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26のうち一方の液圧ジャッキ26に内筒17を径方向へ押圧するよう油圧ポンプ63からの油を送給すると共に内筒17により押圧されて他方の液圧ジャッキ26から排出された油をタンク69へ戻す押ポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26のポートを封止するロックポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26のうち他方の液圧ジャッキ26に内筒17を径方向へ押圧するよう油圧ポンプ63からの油を送給すると共に内筒17により押圧されて一方の液圧ジャッキ26から排出された油をタンク69へ戻す引ポジションとを有する電磁制御弁34に、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26のポートを連通させる連通ポジションを追加形成するようにし、電磁制御弁34を四位置切換弁とした点にある。
【0060】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0061】
前述の如く、油圧回路61の電磁制御弁34に、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26のポートを連通させる連通ポジションを持たせるようにすると、先端装置1の前部4と方向修正装置6とを分割した状態から立坑9内で接続する作業や、先端装置1の前部4と方向修正装置6とを接続した状態から立坑9内で分割する作業を行う場合に、油圧回路61の電磁制御弁34をロックポジションの代りに連通ポジションに切り換えて内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26をロックせずにフリーにした状態とすることが可能となり、先端装置1の前部4と方向修正装置6との姿勢角合わせが容易となり、立坑9内での作業性が良好となる。
【0062】
又、複推進機構により先端装置1の前部4を伸長させ所要量だけ推進させた後、複推進機構をフリーの状態とするか或いは該複推進機構を収縮させつつ元押装置8を伸長させて、先端装置1を推進させるような場合、前述と同様に、油圧回路61の電磁制御弁34をロックポジションの代りに連通ポジションに切り換えて内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26をロックせずにフリーにした状態とすると、先端装置1の前部4に対し、その後方に位置する方向修正装置6を追従させるようにすることが可能となり、方向制御精度をより向上させる上で有利となる。
【0063】
尚、前記電磁制御弁34に追加形成する、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキ26のポートを連通させる連通ポジションの型式は、例えば、図2或いは図3に示すようにすることも可能である。
【0064】
こうして、先端装置1の前部4と方向修正装置6との分割或いは接続状態からの接続或いは分割作業を狭い立坑9内でも効率よく行うことができる一方、複推進機構を用いた方向制御を行う場合に、先端装置1の前部4に対し、その後方に位置する方向修正装置6を追従させることができ、方向制御精度をより向上させ得る。
【0065】
尚、本発明の方向修正装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の方向修正装置によれば、先端装置の前部と方向修正装置との分割或いは接続状態からの接続或いは分割作業を狭い立坑内でも効率よく行うことができる一方、複推進機構を用いた方向制御を行う場合に、先端装置の前部に対し、その後方に位置する方向修正装置を追従させることができ、方向制御精度をより向上させ得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例の油圧回路図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例における電磁制御弁の変形例を表わす油圧回路図である。
【図3】本発明を実施する形態の一例における電磁制御弁の他の変形例を表わす油圧回路図である。
【図4】本発明者等が既に発明している方向修正装置の一例の縦断面図である。
【図5】本発明者等が既に発明している方向修正装置の一例の側面図である。
【図6】図4のVI−VI方向矢視図である。
【図7】本発明者等が既に発明している方向修正装置に適用する油圧回路図である。
【図8】本発明者等が既に発明している方向修正装置に適用する制御系統図である。
【図9】図4に示す方向修正装置を適用した管埋設装置の概要を示す側面図である。
【図10】従来の圧入工法に使用する振動発生装置の概要を示す側面図である。
【図11】図10に示す振動発生装置を適用した管埋設装置の概要を示す側面図である。
【図12】従来の方向修正方法に使用する方向修正装置の概要を示す側面図である。
【符号の説明】
1 先端装置
4 前部
5 屈曲部
6 方向修正装置
7 挿入管
8 元押装置
9 立坑
16 第一の外筒
17 内筒
18 凸状球面座
20 第二の外筒
21 凹状球面座
26 液圧ジャッキ
34 電磁制御弁(切換弁)
61 油圧回路
63 油圧ポンプ(液圧ポンプ)
69 タンク

Claims (1)

  1. 地中を推進する先端装置の一部を形成する第一の外筒内に配設された凸状球面座と、第二の外筒に設けられると共に前記凸状球面座に外嵌された凹状球面座と、前記凸状球面座に連なる内筒を径方向へ押圧することにより凸状球面座を介して先端装置の前部の推進方向を修正するよう前記第二の外筒内に配設された所要対の液圧ジャッキとを備えた方向修正装置において、
    内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのうち一方の液圧ジャッキに内筒を径方向へ押圧するよう液圧ポンプからの液を送給すると共に内筒により押圧されて他方の液圧ジャッキから排出された液をタンクへ戻す押ポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのポートを封止するロックポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのうち他方の液圧ジャッキに内筒を径方向へ押圧するよう液圧ポンプからの液を送給すると共に内筒により押圧されて一方の液圧ジャッキから排出された液をタンクへ戻す引ポジションと、内筒を径方向に挟み込む二本を一対とした液圧ジャッキのポートを連通させる連通ポジションとを有する切換弁を備えたことを特徴とする方向修正装置。
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