JP4035842B2 - 小口径推進機油圧制御方法及びその装置 - Google Patents

小口径推進機油圧制御方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は管埋設装置に係わり,特に小口径管の埋設に用いる先導管内に搭載された油圧モーターの供給圧制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上下水道管や電線管等の比較的小口径の管を地中に埋設する手段として、埋設個所の地盤を管路全長にわたって開削して行う方法があるが、路面の交通障害を起こすと共に、騒音や振動が激しく、周辺環境に悪影響を及ぼす。また埋設位置が深い場合、開削時に土留めが必要となり、余分な工費が掛かるうえ、狭い作業場所では付近の民家まで地盤沈下が発生しやすい。
【0003】
これに対し、地表から掘削したピット内からスクリューコンベアの先端に設けられたカッタヘッドにより水平方向に地盤を掘削し、掘削した土砂は泥水状にして先導管内及び埋設管内に付設された送排泥管を通じてピットから地上へ搬出しつつ先導管に埋設管を接続して後方から押進し、順次埋設管を継足して地中に埋設する推進工法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記推進工法によるものでは、上記開削による問題点を解消することは出来るが、先導管部分に油圧モーターを搭載して土砂を掘削する方式の小口径推進機において、例えば直径200mm以下の小口径管を埋設しようとした場合、供給する油圧油の圧力を一定にしておくと掘り始めと最後の到達坑近くでは、掘削性能に大きな差が生じることとなる。
【0005】
これは次の理由による。一つには直径200mm以下の小口径推進の場合、管径が小さく、その中に排土用のパイプやホース及びケーブル類が多く入るため、油圧ホースやカプラのサイズが限定され配管抵抗が大きく、埋設距離に伴い埋設管は1本ずつ継足され、油圧ホースも段階的に繋いでいくことになり、それに伴って圧力損失は階段的に増大していくことにより結果的には大きな圧力降下が起こすためである。
【0006】
また途中でカッタヘッドの回転数を上げたい場合、油圧油の供給量を増すことになるが、その場合も流量増から圧力損失の増大が起こる。これらのことにより、油圧モーターに供給される油圧油の圧力が下がり掘削性能が落ちる。
【0007】
この対策として、これらの圧力損失を考慮して最初から元圧を上げておくということが考えられるが、油圧モーターには耐圧制限が設けられており到達坑までの圧力損失に見合った分を最初から上げておくことができない場合や、掘削状態が変化して施工がスムースに行えないといったことが起こる。
【0008】
本発明は、掘削条件や距離による圧力変化や圧力損失に多大な注意を払わずとも掘削性能が安定した施工を行える、システムを有する方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
先導管内に搭載した油圧モーターの油供給側及び排出側に分岐管を設けて取り付けた差圧計からの情報を、電気信号に変換して電送し、立坑外に設置した油圧ユニットにてこの信号を受信すると共に、この信号に基き油圧ポンプの供給圧力を制御し、油圧モーターの供給圧と排出圧との差を一定に保つことを特徴とする方法及びその装置にある。
【0010】
こうしたことにより、油圧モーターの許容圧力内で、掘削条件例えばカッタヘッドの回転数を変えた運転や、埋設距離が長くなり圧力損失が大きくなった場合でも、油圧モーター入出油の差圧を常に一定に保った運転ができることとなる。
【0011】
従って、このシステムを有する小口径推進装置を使うことにより掘削条件による圧力変化、埋設距離による圧力損失、油圧モーター耐圧、等に多大な注意を払わずとも掘削性能の安定した施工を行うことが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【0013】
図1は埋設管付設の推進装置全体を示す概念図であり、先導管1内にはカッタヘッド2に接続の油圧モーター3が搭載されている。この油圧モーター3と油圧ユニット5は3本の油圧ホース4a、4b、4cにて繋げられており、4aは油圧ユニット5内に設けられている油圧ポンプ6の吐出側の配管であり、4bは油圧モーター3から油圧ユニット5に油圧油が戻る配管であり、同じく4cは油圧モーター3からのドレン戻り配管である。
【0014】
尚、先導管のA矢視からの断面を同図に示してあるが、図からも明らかなように管内には掘削土砂の送排泥管20、ピンチ弁用エアホース21、掘削補助剤(滑剤等)供給配管22、泥水用水配管23、検出信号用ケーブル24、駆動信号用ケーブル25等、及びその他として掘削進路補正用のターゲット26空間等が必要であり、遊び空間がなく油圧ホース4の外径は著しく制限されることが一般的である。
【0015】
例えばφ200mm以下小口径管の埋設の場合、油圧ホース4の外径は21mm以下に制限され、内径は更に耐圧他の理由から13mm以下となる。このときの各圧力損失は、0.09MPa/ホース10m、0.018MPa/口金2個、0.08MPa/カプラ2個となり、合計0.188MPa/10mになる。故に100m推進すると圧力損失は油の戻り分を加えて約4MPa/100mに達する。
【0016】
これは、油圧油供給量が22.5L/分で、油圧モーター3の回転数が30rpmの場合であるが、油圧油供給量を増して回転数を上げると圧力損失は更に大きくなり、最初からこの数値を油圧ポンプの吐出圧として設定すると油圧モーターの許容圧力を超える場合が出てくることとなる。
【0017】
また、これだけ大きな圧力変化を生じるということは、施工の際の運転条件が刻々に変化し安定した推進作業をするためには多大の注意を絶えず払う必要があることを意味する。
【0018】
一方、検出信号用ケーブル24はこの手の小口径推進機の場合、通常14芯のケーブルが用いられており、先導管内部に設置されたポジションセンサー、ピッチング計、傾斜計、捻じれ計、ローリング計、先端圧力計、ターゲット用等々の信号を送信(一部に受信含む)しているが、14芯全てを使用している訳ではなく予備用の空線部分がある。故に、本発明の差圧計7または圧力計(図示せず)からの信号をこの既設検出用ケーブル24の空線を使用することにより、埋設管内の空間部分に新たなケーブルを敷設することなく送信することができる。
【0019】
次に実施の形態の作用を図2参照して説明する。図2は、本発明を構成するシステムの一例を示しており、先導管内の差圧計7は、油圧モーター3の油圧油供給側及び排出側に分岐管を設けて取り付けられており、検出信号用ケーブル24にて立坑外に据え付けられている油圧ユニット5の制御盤9と繋がっている。
【0020】
尚、油圧ポンプ6から吐出の油圧油は油圧モーター3の正転逆転を掌る方向切替弁10を経由して、埋設距離に従いカプラ12にて継足された吐出ライン4aを通り、油圧モーター3に供給され、油圧モーター3からの排出及びドレン排出はそれぞれ排出ライン4b及びドレンライン4cを経て油圧ユニット5に戻る。
【0021】
この時、油圧モーター3へ供給された油圧と排出部の油圧との差圧が差圧計7にて検出され、それを変換機8にて電気信号に変え送信し、検出信号用ケーブル24経て、立坑外に据え付けられている油圧ユニット5の制御盤9にて受信するよう構成されている。
【0022】
受信された差圧が予め設定した値にたえず収斂するよう、油圧ポンプ6から方向切替弁10を経て供給される油圧油の供給圧を、リリーフ弁11の開度(即ち開度を小さくしていくと供給圧は高くなり、開度を大きくすると供給圧は低くなる)にて自動制御するよう構成されている。
【0023】
また、別方として図示しないが差圧計ではなく、油圧モーター3の入口に圧力計を取付けた圧力信号の場合、この圧力と油圧ポンプ6の吐出圧力との差がラインの差圧であり、この差圧の2倍(戻りラインの差圧を合わせたもの)+油圧モーター3の設定圧力が、吐出圧になるよう自動制御する構成とすることにより差圧計7の場合と同じになる。
【0024】
【発明の効果】
小口径管の場合、管内は排土用のケーシングや泥水のパイプが設置され先端のターゲットを測量する空間も必要でホースやカプラは大きく出来ないがこの方式により
▲1▼長距離になっても油圧モーターへの供給と排出との油圧油の差圧が一定に保たれるので油圧モーターの許容圧力内で安定した掘削能力が確保できる。
▲2▼掘削条件に合わせて油圧モーターの回転数を変えながら施工しても油圧モーターへの供給と排出との油圧油の差圧が一定に保たれるので土質の変化に合わせて所望の掘削ができる。
▲3▼先導管に順次継足される埋設管の管内配管やカプラを現状のまま使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】推進装置全体図
【図2】本発明の回路構成概念図
【符号の説明】
1 先導管
2 カッタヘッド
3 油圧モーター
4 油圧配管
4a 吐出ライン
4b 排出ライン
4c ドレンライン
5 油圧ユニット
6 油圧ポンプ
7 差圧計
8 変換機
9 制御盤
10 方向切替弁
11 リリーフ弁
12 カプラ
19 推進機
20 送排泥管
21 ピンチ弁用エアホース
22 掘削補助剤(滑剤等)供給配管
23 泥水用水配管
24 検出信号用ケーブル
25 駆動管径用信号ケーブル
26 掘削進路補正用のターゲット

Claims (3)

  1. 先導管内に油圧モーターを搭載した小口径推進機の油圧制御方法として、油圧モーターの油供給側及び排出側に分岐管を設けて差圧計を取り付け、この差圧計からの情報を電気信号に変換電送し、油圧ユニットにて受信すると共に、この受信信号に基いて油圧ポンプの油圧油供給圧力を制御する構成としたことにより、油圧モーターの供給圧と排出圧との差を一定に保つことを特徴とする小口径推進機の油圧モーター制御方法。
  2. 先導管内に油圧モーターを搭載した小口径推進機の油圧制御装置として、油圧モーターの油供給側及び排出側に分岐管を設けて差圧計を取り付け、この差圧計からの情報を電気信号に変換電送し、油圧ユニットにて受信すると共に、この受信信号に基いて油圧ポンプの油圧油供給圧力を制御する構成としたことにより、油圧モーターの供給圧と排出圧との差を一定に保つことを特徴とする小口径推進機の油圧モーター制御装置。
  3. 先導管内に油圧モーターを搭載した小口径推進機の油圧制御装置として、油圧モーターの供給側に圧力計を取り付け、この圧力計からの情報を電気信号に変換電送し、油圧ユニットにて受信すると共に、油圧ユニット内の油圧ポンプ吐出側の圧力信号から前記油圧モーターの油供給側に圧力を差し引き2倍することにより差圧を求め、この値に油圧モーター所定供給圧力を加えた圧力に油圧ポンプの供給圧力を合わせるよう制御することにより、油圧モーターの供給圧と排出圧との差を一定に保つことを特徴とする小口径推進機の油圧モーター制御装置。
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