JP3679729B2 - 動的圧入工法における方向修正制御装置 - Google Patents
動的圧入工法における方向修正制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭打機のように地中に軸心方向の振動を付与することにより、地中に横穴、縦穴等のトンネルを構築する際、先端装置の推進方向を修正するための動的圧入工法における方向修正制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
管を地中に埋設するための工法としては、(1)立坑に設置した元押装置により先端装置をただ単に押圧し、土砂を掘削することなく地中に圧入させる静的圧入工法、(2)先端装置としての掘削機で土砂を掘削すると共に掘削した土砂を排土しながら地中で掘削機を推進させる掘削工法、(3)特開昭60−148997号公報に示す工法で、本出願の図17及び図18に示すように、加振機aを作動させて、先端装置としての振動発生装置bの前部cを加振すると共に、該振動発生装置b周囲の土砂dに振動を与えて流動化させ、立坑eに設置した元押装置fにより押圧することにより土砂を掘削することなく振動発生装置bを圧入するようにした動的圧入工法がある。
【0003】
前記各工法において地中に埋設物等の障害物がある場合には、先端装置の推進方向を修正する必要があり、該先端装置の推進方向を修正する装置としては、特開昭58−222291号公報に示す装置がある。この特開昭58−222291号公報に示す装置は、本出願の図19に示すように、倍力機構として装置の推進方向と平行に伸長する位置決めジャッキgにより主動楔部材hを介して受動楔部材iの楔面を押し、受動楔部材iの前方の穿孔ヘッドj、推進ジャッキkを球軸受mを介して傾斜させ、装置の推進方向を変更して障害物を避けるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き障害物を避けるよう先端装置の推進方向を修正する装置は、主動楔部材hを介して受動楔部材iの楔面を押す位置決めジャッキgのストロークが推進方向に長くなるため、装置の推進方向の全長が長くなり、出発点となる立坑への搬入が困難になると共に、装置の方向制御を行う制御性が悪いという問題があった。
【0005】
こうした問題を解決すべく、本発明者等は、以下に示すような方向修正装置を発明し、既に出願している。
【0006】
図3〜図8は本発明者等が発明した方向修正装置の一例である。
【0007】
前記方向修正装置が適用される管埋設装置は図8に示され、図中、1は先端装置である。
【0008】
先端装置1は、推進方向D1前方側に位置する前部4と、先端装置1の前部4の推進方向D1後方に接続されると共に、推進中に推進方向D1を修正させるための屈曲部5を備えた方向修正装置6を備えており、7は先端装置1において方向修正装置6の推進方向D1後方に配置された挿入管、8は立坑9内に配設されて押圧板10を介し挿入管7の後端を押圧するようにした液圧ジャッキ等の元押装置である。
【0009】
而して、上記管埋設装置においては、元押装置8を伸長させて押圧板10を介し挿入管7を地中に圧入し、挿入管7により先端装置1を押圧することにより先端装置1を推進させるようにしている。
【0010】
又、管埋設装置は、方向修正装置6の屈曲部5により先端装置1の前部4を傾動させ、更に元押装置8を伸長させることにより押圧板10及び挿入管7を介して先端装置1を押圧し、先端装置1の推進方向D1を変更しつつ推進させるようにしている。
【0011】
このような方向修正装置6の詳細は図3〜図6に示されており、方向修正装置6は、屈曲部5を備えた方向修正部11を、前段部の前段円筒部12と後段部の後段円筒部13とにより構成している。
【0012】
前段円筒部12は、先端装置1の前部4に着脱可能な接続部14を介して前方壁15を配し、該前方壁15の推進方向D1後方に、先端装置1の前部4と略同径に形成される第一の外筒16と、該第一の外筒16と同心に形成され且つ推進方向D1後方へ張り出す円筒状の内筒17とを設けてなる構成を有しており、前記内筒17における前方壁15の近傍には、内筒17の軸線上に中心を有する凸状球面座18を形成してあり、該凸状球面座18の表面には、カーボン等の固体潤滑被膜19を形成してある。
【0013】
前記前段円筒部12の推進方向D1後方に位置する後段円筒部13は、前段円筒部12の第一の外筒16と略同径の第二の外筒20を備え、該第二の外筒20の先端には、前段円筒部12の第一の外筒16と内筒17との間に位置し且つ凸状球面座18を推進方向D1の投影面積で広く受ける凹状球面座21を形成しており、前記凸状球面座18に接する凹状球面座21の内周面には凸状球面座18と同様なカーボン等の固体潤滑被膜22を形成し、凹状球面座21の外周面には複数の環状溝23(図3では二本)を設け、該環状溝23には、前段円筒部12の第一の外筒16と後段円筒部13の凹状球面座21との間の隙間から内部に土砂が流入することを防ぐためのU字状のパッキン24を嵌入してある。
【0014】
又、前記凹状球面座21の外周面で環状溝23の推進方向D1後方には、前段円筒部12が傾動した際に前段円筒部12の第一の外筒16における推進方向D1後端が凹状球面座21の外周面に接触しないよう所定の大きさの溝25を形成してある。
【0015】
前記後段円筒部13の第二の外筒20における凹状球面座21の推進方向D1後方には、図3及び図5に示す如く、内筒17における凸状球面座18の回動中心から推進方向D1後方へ最も離れた位置、即ち内筒17の推進方向D1後端に位置するよう四本の液圧ジャッキ26を配設してあり、該四本の液圧ジャッキ26は、内筒17を周方向へ等間隔に囲むと共に、内筒17を径方向に挟み込む二本を一対として構成されている。
【0016】
ここで、内筒17の外周面と液圧ジャッキ26との構造を説明すると、図5に示す如く、内筒17の外周面には接線方向へ延在する複数の平面(図5では四個所)を形成して滑り軸受け板27を配しており、該滑り軸受け板27には、球面座28を備えて首を振れるようにした液圧ジャッキ26の先端部を面接触させるようにしてある。
【0017】
前記後段円筒部13の第二の外筒20における複数の液圧ジャッキ26のうち二本の液圧ジャッキ26の間には、内筒17の径方向に向かう二本のストローク検出器29を内筒17の周方向へ位相をずらして略直角に配置し、残りの二本の液圧ジャッキ26の間には、ストローク検出器29と同様に内筒17の径方向に向かう二本の土圧検出器30を内筒17の周方向へ位相をずらして略直角に配置してある。
【0018】
一方、図3及び図4に示す如く、後段円筒部13の推進方向D1後端部、即ち方向修正部11の推進方向D1後端部には、後段円筒部13の第二の外筒20に対し同心状で外径が略同一に形成され且つ推進方向D1後端部に蓋体31が取り付けられた中空の後方筒部32が接続され、該後方筒部32の中空部内には、方向修正部11の前段円筒部12を傾動させるために必要な油圧回路を構成する各種機器及び制御系統を構成する各種機器が収納されるようになっている。
【0019】
前記後方筒部32に収納されている機器は、油圧回路を構成する三位置切換弁である電磁制御弁34、各液圧ジャッキ26に対応する圧力センサ35、地中の土内にベントナイト等の滑材を供給するよう後方筒部32の周方向表面に形成された滑材供給ノズル36、制御系統におけるストローク検出器29用のアンプ、推進方向D1を制御するジャイロ37、発生する磁界により地上で位置を検出させる電磁コイル38、各部材に給電するバッテリ39、及び省配線ユニット等である。又、二本ずつで構成される二対の液圧ジャッキ26は、先端装置1の推進方向D1後方へ延在する管路40を介して、各対に対応するそれぞれの電磁制御弁34に接続されており、それぞれの電磁制御弁34に接続された後述の図6における管路41,42は、送給管路47及び戻り管路48に接続され、該送給管路47及び戻り管路48には、蓋体31に取り付けられ且つ油圧ユニット60へ接続可能なカップラ43,44と、振動発生装置の油圧系へ接続可能なカップラ45,46とが接続されている。
【0020】
前記滑材供給ノズル36には管路49の先端が接続され、該管路49は後方筒部32の中空部を通って後方へ延在し、蓋体31に取り付けられたカップラ50に接続されている。又、管路49の中途位置には分岐部分(図示せず)が設けられており、該分岐部分から後方筒部32の中空部を通って前方側へ延在する管路52は、先端装置1の前部4の油圧系へ着脱可能なカップラ51に接続されている。
【0021】
尚、図4中、53は、前段円筒部12の第一の外筒16における推進方向D1後端に凸設されたキー状の回り止め部材であり、該回り止め部材53は、後段円筒部13の第二の外筒20における推進方向D1先端に設けた切欠き状の案内手段54と係合しており、これにより、推進時に前段円筒部12が円周方向へ回動しないよう動きを規制されている。
【0022】
一方、前記液圧ジャッキ26により前段円筒部12の方向、即ち先端装置1の推進方向D1を変更する油圧回路は図6に示されており、60は油圧ユニット、61は傾動用の油圧回路である。
【0023】
前記油圧ユニット60は地上に設置されており、電動機62により駆動される油圧ポンプ63の吐出側には、中途部に逆止弁64及び可変絞り付逆止弁65を、又、油流れ方向D2下流端にカップラ66を設けた管路67が接続されている。又、前記油圧ユニット60は、油流れ方向D2上流端にカップラ68が接続され且つ油をタンク69に戻すようにした戻り管路70を備え、油圧ポンプ63には、タンク69から油を吸い込むための吸引管路71が接続されている。
【0024】
又、管路67における逆止弁64の油流れ方向D2下流側には、中途部に切換弁72が接続されて一端が戻り管路70に接続された管路73の他端が接続されている。油圧ユニット60の管路67と戻り管路70とをつなぐ管路途中には、管路67側の圧力が設定値を越えた場合に油を戻り管路70側へ逃がすためのリリーフ弁74を設けてある。
【0025】
前記油圧回路61を構成する各機器は後方筒部32内に収納されており、油圧ユニット60のカップラ66と管路75を介して接続し得るようにしたカップラ43には、先端装置1の前部4の油圧ユニット(図示せず)に接続可能なカップラ45へ通じる送給管路47が接続されると共に、油圧ユニット60のカップラ68と管路76を介して接続し得るようにしたカップラ44には、先端装置1の前部4の油圧ユニット(図示せず)に接続可能なカップラ46へ通じる戻り管路48が接続されている。
【0026】
又、送給管路47の中途部には、二つの電磁制御弁34に接続される管路41が接続され、戻り管路48の中途部には、二つの電磁制御弁34に接続される管路42が一本の管路77にまとめられて接続されており、まとめられた一本の管路77には第一の弁としてのリリーフ弁78が設けられている。
【0027】
一方、前記電磁制御弁34には、各液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79へ通じる管路40と接続され且つ途中に可変絞り付逆止弁80を有する管路81が接続されており、可変絞り付逆止弁80は、液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79から戻る油の流量を制御するようになっている。
【0028】
又、前記管路81の管路40に対する接続位置から可変絞り付逆止弁80までの中途部には、逆止弁82を備えた管路83が分岐接続され、該管路83は、一本の管路84にまとめられて第二の弁としてのリリーフ弁85を介し戻り管路48に接続されている。
【0029】
ここで、前記リリーフ弁78は、所定の液圧ジャッキ26が内筒17を押圧することによりそれと対向する液圧ジャッキ26が内筒17によって押圧された際に、対向する戻り側の液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79、管路40、管路81、電磁制御弁34、管路42の一連の流路の圧力がゼロにならないよう所定の圧力に設定されている。
【0030】
前記液圧ジャッキ26を介して前段円筒部12を傾動させる際の制御装置は、図7に示されており、圧力センサ35で検出したそれぞれの液圧ジャッキ26の推力である液圧ジャッキ圧力P1、ストローク検出器29で検出した内筒17延いては前段円筒部12の変位方向X1、土圧検出器30で検出した後段円筒部13の第二の外筒20に作用する土圧力P2は、それぞれ検出信号として地上に設置した制御装置90の演算制御部91へ与え得るようになっている。
【0031】
前記前段円筒部12の傾動時における液圧ジャッキ26の選択Sa、液圧ジャッキ26の伸長量LaはCPU等の上位系制御装置92若しくはオペレータより、制御装置90の演算制御部91へ設定し得るようになっており、その他の操作指令C1も制御装置90の演算制御部91へ与え得るようになっている。又、制御装置90の演算制御部91から上位系制御装置92へは、動作状態情報Iを与え得るようになっている。
【0032】
又、上位系制御装置92等から与えられた種々のデータを基に、制御装置90における演算制御部91からは、電磁制御弁34に切換指令V1を与え得るようになっている。尚、図7中、93は制御装置90における演算制御部91からの動作状態データを表示するための表示部である。
【0033】
次に、上記方向修正装置6の作動を説明する。
【0034】
先端装置1の方向を変更する際において、図6に示す油圧回路61のリリーフ弁78、リリーフ弁85は、リリーフ弁78の設定圧をPO1、リリーフ弁85の設定圧をPO2とした場合、常にPO1<PO2となるよう圧力調整が行われており、油圧ユニット60では、油が流通するよう切換弁72が切換わった状態で油圧ポンプ63は電動機62により駆動されており、油圧ポンプ63から吐出された油は、管路67,73、切換弁72、戻り管路70を通ってタンク69へ循環している。
【0035】
又、上位系制御装置92から、先端装置1即ち前段円筒部12の変位方向及び変位量に対応する液圧ジャッキ26の選択Sa、液圧ジャッキ26の伸長量La、その他の操作指令C1等の信号が制御装置90の演算制御部91に与えられている。このため、推進方向D1の変更を開始する操作ボタンをオンにすることにより、制御装置90の演算制御部91からは油圧ユニット60の切換弁72に切換指令が与えられて管路73の油が切換弁72を通過しないように切り換わり、同時に油圧回路61の二つの電磁制御弁34のうち少なくとも一つに切換指令が与えられて、一対の液圧ジャッキ26のうち一方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に他方の管路81を戻り側の管路42に接続するか、或いは他方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に一方の管路81を戻り側の管路42に接続するよう、電磁制御弁34の切換が行われている。
【0036】
このため、二つの電磁制御弁34のうち一方の電磁制御弁34において、一対の液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79に接続された一方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に他方の管路81を戻り側の管路42に接続するよう、切換が行われている場合には、油圧ポンプ63から吐出された油は、管路67,75,47,41を経て電磁制御弁34を通り、管路81から管路40を経て液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79へ導入され、液圧ジャッキ26を伸長させることにより内筒17を押圧しており、同時に、相対する液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79の油は排出され、他方の管路40,81を経て電磁制御弁34を通り、管路42から管路77及びリリーフ弁78を介して、戻り管路48、管路76,70を通り、タンク69に戻される。
【0037】
又、二つの電磁制御弁34のうち一方の電磁制御弁34において、一対の液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79に接続された他方の管路81を送給側の管路41に接続すると共に一方の管路81を戻り側の管路42に接続するよう、切換が行われている場合には、油圧ポンプ63から吐出された油は、管路67,75,47,41を経て電磁制御弁34を通り、上記の場合の他方の管路81から管路40を経て逆側の液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79へ導入され、逆側の液圧ジャッキ26を伸長させることにより内筒17を逆方向に押圧しており、同時に、相対する液圧ジャッキ26のヘッド側液圧室79の油は排出され、上記の場合の一方の管路40,81を経て電磁制御弁34を通り、管路42から管路77及びリリーフ弁78を介して、戻り管路48、管路76,70を通り、タンク69に戻される。
【0038】
更に、二つの電磁制御弁34のうち他方の電磁制御弁34において、他の一対の液圧ジャッキ26が作動する場合には、上記の一方の電磁制御弁34と略同様に作動し、二つの電磁制御弁34を同時に作動させた場合には、互いに直交する方向に配設された二対の液圧ジャッキ26が所要方向へそれぞれ伸縮する形となり、このときの内筒17の押圧方向は二対の液圧ジャッキ26の伸長方向を合わせたものになる。
【0039】
ここで、前記内筒17の傾動角度は、内筒17の周方向へ位相をずらして略直角に配置された二本のストローク検出器29により傾動のデータが検出され、該検出された値を演算することにより求められる。
【0040】
而して、所定の液圧ジャッキ26を所定量で伸長させると、該液圧ジャッキ26は前段円筒部12の内筒17を径方向に押圧し、凸状球面座18の球中心を回動中心として前段円筒部12を所定変位量で傾動させ、先端装置1の前部4を所望方向へ向ける。
【0041】
続いて、先端装置1の推進方向D1を更に変更する際には、圧力センサ35により液圧ジャッキ圧力P1が、又、ストローク検出器29により前段円筒部12の変位方向X1が、更に、土圧検出器30により後段円筒部13の外周面に作用する土圧力P2が、それぞれ検出されて制御装置90における演算制御部91に与えられ、所定の演算が行なわれることにより、切換指令V1により電磁制御弁34が適切な状態に制御される。
【0042】
このため、制御装置90は、傾動時の前段円筒部12の変位方向及び変位量に対応する液圧ジャッキ26の選択Sa、液圧ジャッキ26の伸長量La、その他の操作指令C1を任意に設定すると共に、前述の検出データを基として前段円筒部12の傾動方向を予め設定した所定の状態に制御して傾動を行なうことができる。
【0043】
一方、図8に示す元押装置8によりトンネルを形成するよう先端装置1を押圧した場合には、先端装置1へ与える推力、先端装置1の径方向にかかる力等を凸状球面座18を介して後段円筒部13の凹状球面座21で受ける。
【0044】
従って、前段円筒部12の傾動に必要な液圧ジャッキ26のストロークの方向を先端装置1の推進方向D1でなく前段円筒部12の内筒17の径方向にするため、先端装置1の推進方向D1の全長を短くでき、結果的に出発点となる立坑9への搬入が容易になると共に、先端装置1の方向制御を行う制御性を良好にすることができる。又、先端装置1へ与える推力を凸状球面座18で支持するため液圧ジャッキ26を小型化し、設置スペースの占有を低減して方向修正装置6内部のスペースを有効利用することができる。
【0045】
又、液圧ジャッキ26が伸長して内筒17と液圧ジャッキ26との接触角が変化した際においても、球面座28及び滑り軸受け板27により液圧ジャッキ26は前段円筒部12の内筒17に対して点接触でなく面接触を維持するため、液圧ジャッキ26及び前段円筒部12の内筒17の周囲面の破損を防止することができる。
【0046】
しかも、前記凸状球面座18と凹状球面座21との摺動面に備えた固体潤滑被膜19,22によりグリス等の給油を不要にするため、凸状球面座18と凹状球面座21に対しオイルシール等の部材を不要にして装置構造を簡易にでき、又、液圧ジャッキ26を凸状球面座18の回動中心から推進方向D1後方へ離れた位置に備えるため、内筒17即ち前段円筒部12を傾動させる傾動モーメントを大きくして前段円筒部12を容易に傾動させることができる。
【0047】
又、前記前段円筒部12は、回り止め部材53により円周方向へ回動することがないため、前段円筒部12及び後段円筒部13の中空部内に収納された配線や配管に捩れが生じることがなく、又、パッキン24により前段円筒部12と後段円筒部13の間から土砂が入ることを防止し、結果的に耐久性を良くすることができる。
【0048】
更に又、前記内筒17に接するストローク検出器29の検出値より屈曲部5における前段円筒部12の傾動角度を検出するため、先端装置1の方向制御を適確に行うことができ、又、液圧ジャッキ26に圧力センサ35を備えて前段円筒部12の傾動により発生するモーメントを検出するため、先端装置1の方向制御を一層適確に行うことができる。
【0049】
又、液圧ジャッキ26を制御する電磁制御弁34を方向修正装置6の内部に備えるため、方向修正装置6の内部で管路40をまとめて、方向修正装置6の外部へ延在する管路を最少限にし、結果的に先端装置1の操作性を良くすることができる。更に又、内筒17の内部に配線、配管を通すことが可能となるため、先端装置1の外部に配線、配管を出すことなく、先端装置1の前部4に必要な電気信号、油、滑材等を供給することができる。
【0050】
以上述べたように、本発明者等が既に発明して出願している方向修正装置6は、小型でしかも耐久性、操作性の良いものとなっている。
【0051】
一方、本発明者等は、前記先端装置1の前部4の構造として、以下に示すような振動発生装置を発明し、やはり既に出願している。
【0052】
上記振動発生装置100の詳細は図9〜図11に示され、図中、101は円筒状の先端部外筒である。先端部外筒101内には、推進方向D1後方以外の部分においては、先端部外筒101における内周との間に所定の間隔の空隙部が形成されるよう、円筒状の先端部内筒102が同心状に嵌入されており、先端部内筒102の推進方向D1後端部は先端部外筒101の推進方向D1後端部に形成した取り付け孔に嵌合、固定されている。先端部内筒102の推進方向D1に対し平行な方向の長さは、先端部外筒101よりも短く、推進方向D1先端部は先端部外筒101内に位置している。
【0053】
先端部外筒101と先端部内筒102との空隙部には、外周が先端部外筒101の内周に対し摺動し、内周が先端部内筒102の外周に対し摺動し得るようにした、円筒状のピストン103が推進方向D1へ往復動し得るよう嵌合されており、ピストン103の推進方向D1先端部は、先端部外筒101よりも推進方向D1前方へ突出している。而して、先端部外筒101及び先端部内筒102並びにピストン103は振動発生装置100の構造体を兼ねている。
【0054】
先端部外筒101の内周後部及び先端部内筒102の外周中途部並びにピストン103の後端により包囲された空隙部には油室104が形成され、ピストン103の後端部側内周段部及び先端部内筒102の先端部側外周段部とにより包囲された空隙部には油室105が形成されている。先端部外筒101には、先端が油室104に開口すると共に後端が先端部外筒101の後面に開口した油路101aが穿設され、先端部内筒102には、先端が油室105に開口すると共に後端が先端部内筒102の後面に開口した油路102aが穿設されている。
【0055】
ピストン103の先端部外筒101から推進方向D1前方へ突出した先端部には、中空円盤状の座106が取付けられており、座106の推進方向D1先端部には交換可能に振動発生装置100の先端ヘッド107が取付けられている。先端ヘッド107は図示例では、推進方向D1前方へ向けて先細り状に絞られた截頭円錐状としてあるが、先端装置1が圧入される土の土質によっては傘形状でなくフラット形状であっても良い。而して、油室104,105に対し油が給排されることにより、先端ヘッド107はピストン103を介し推進方向D1と平行な方向へ往復加振され、土に振動を付与し得るようになっている。又、先端ヘッド107の外径は先端部外筒101の外径よりも僅かに大きく形成されているが、このようにするのは、先端装置1の圧入時に先端部外筒101に過剰な抵抗力が作用しないようにするためである。
【0056】
先端部内筒102の内部空間には、該内部空間に固設される検出器構成要素108aと座106側に支持されたブラケット109に取付けられた検出器構成要素108bとを備えてピストン103の推進方向D1に対する変位量を検出し得るようにした、磁力式のストローク検出器108がピストン103の軸心位置に位置するよう、配設されている。
【0057】
先端ヘッド107のテーパ面には、該テーパ面に沿うよう先端ヘッド107径方向外方へ吐出されたベントナイト等の滑材を地中の土内に供給するための複数の滑材供給ノズル110が、円周方向へ一定間隔で設けられており、滑材供給ノズル110には滑材供給管111が接続されている。又、先端ヘッド107先端の軸心部には、先端装置1が圧入される際の土圧を検出するための土圧検出器112が取付けられており、先端ヘッド107の内部空間には、先端ヘッド107を加振する際の加速度を検出するための加速度検出器113が配置されている。
【0058】
先端部外筒101の推進方向D1後端部には、先端部外筒101に対し同心状で且つ外径が略同一に形成されしかも推進方向D1後端部に蓋体114が取付けられた中空状の後部筒体115が接続され、後部筒体115の中空部内には、先端ヘッド107を推進方向D1と平行な方向へ振動させるのに必要な油圧回路の各種機器及び制御系統の各種機器が収納されるようになっている。
【0059】
後部筒体115に収納されている機器は油圧回路を構成するサーボ式の電磁制御弁116、アキュムレータ117,118、制御系統におけるストローク検出器108用のアンプ、加速度検出器113用のアンプ、省配線ユニット等である。又、油路101a,102aには管路119,120の先端が接続されると共に、管路119,120は後部筒体115内を通って先端装置1の推進方向D1後方へ延在しており、管路119はサーボ式の電磁制御弁116に接続されている。更に電磁制御弁116に接続された後述の図12における管路141,143の後端は蓋体114に取付けられたカップラ121,122に接続されており、管路120は管路141の中途部に接続されている。
【0060】
尚、管路120は図12の仮想線に示すように電磁制御弁116に接続するようにしても良い。
【0061】
滑材供給ノズル110には、管路123の先端が接続され、管路123はピストン103及び先端部内筒102並びに後部筒体115の各中空部を通って後方へ延在し、その後端は合流して蓋体114に取付けられたカップラ124に接続されている。
【0062】
図9及び図11中、125は先端部内筒102の先端部に推進方向D1と平行に延在するよう固設した断面チャンネル状の案内手段102bにより案内し得るよう、ピストン103の内周に凸設されたキー状の回り止め部材で、ピストン103の推進方向D1と平行な方向への前後進時にピストン103が円周方向へ回動しないようになっている。
【0063】
ピストン103を介して先端ヘッド107を加振し或いは前進させるための油圧回路図は図12に示されており、126は油圧ユニット、127は加振用の油圧回路である。
【0064】
油圧ユニット126は地上に設置されており、電動機128により駆動される油圧ポンプ129の吐出側には、中途部に逆止弁130及び可変絞り付逆止弁137を、又、油流れ方向D3先端にカップラ131を接続された管路132が接続されている。又、油圧ユニット126は油流れ方向D3後端にカップラ133を接続されると共に油をタンク134に戻すようにした戻り管路135を備え、油圧ポンプ129には、タンク134から吸込まれた油が送給される吸引管路136が接続されている。
【0065】
又、管路132における逆止弁130の油流れ方向D3下流側には、中途部に切換弁138が接続されて一端が戻り管路135に接続された管路139の他端が接続されている。油圧ユニット126の機器のうち140は安全弁である。
【0066】
油圧回路127を構成する各機器は後部筒体115内に収納されており、油流れ方向D3先端を電磁制御弁116に接続された管路141の後端には、管路142を介して油圧ユニット126のカップラ131と連結し得るようにしたカップラ121が接続されている。又、管路141のアキュムレータ117接続位置よりも油流れ方向D3下流側には、油室104,105へ送給される油の圧力を補償するためのアキュムレータ117が接続されている。
【0067】
油流れ方向D3後端を電磁制御弁116に接続された戻り管路143の先端には、戻り管路144を介して油圧ユニット126のカップラ133と連結し得るようにしたカップラ122が接続され、戻り管路143の中途部には、戻り管路143を流れる油に脈動が生じるのを防止するためのアキュムレータ118が接続されている。
【0068】
管路141のアキュムレータ117接続部よりも油流れ方向D3上流側部分と戻り管路143の中途部とを接続する管路154には、安全弁145が接続され、管路119の中途部と戻り管路143のアキュムレータ118接続部よりも油流れ方向D3上流側に接続した管路146には安全弁147が接続されている。油圧回路127中、148は図示してないシール部から漏洩した油を受けるよう、後部筒体115内に設置されたドレンタンクである。
【0069】
ピストン103を介して先端ヘッド107を加振する際の制御装置は図13に示されており、土圧検出器112で検出した、先端ヘッド107に作用する土圧力P3、加速度検出器113で検出した先端ヘッド107加振時の加速度α、ストローク検出器108で検出したピストン103延いては先端ヘッド107の推進方向D1と平行な方向の変位量L、圧力検出器149で検出した油室104内の油圧力P4は検出信号として地上に設置した制御装置90の演算制御部91へ与え得るようになっている。
【0070】
先端ヘッド107の加振時における振動周波数fo、先端ヘッド107の加振時における変位量Lo、変位振幅Ca、先端装置1が地中に圧入される際の推力F(荷重W)、荷重振幅Waは加振条件としてCPU等の上位系制御装置92若しくはオペレータより、制御装置90の演算制御部91へ設定し得るようになっており、制御モード切換指令C2、その他の操作指令C3も制御装置90の演算制御部91へ与え得るようになっている。又、制御装置90の演算制御部91から上位系制御装置92へは、動作状態情報Iを与え得るようになっている。
【0071】
又、上位系制御装置92等から与えられた種々のデータを基に、制御装置90における演算制御部91からは、電磁制御弁116に切換指令V2を与え得るようになっている。図13中、93は制御装置90における演算制御部91からの動作状態データを表示するための表示部である。
【0072】
次に、上記振動発生装置100の作動を図14及び図15をも参照しつつ説明する。
【0073】
振動発生装置100を備えた先端装置1を動的圧入する際には、ピストン103は、最大ストロークの中間であるニュートラル位置に停止しており、図12に示す油圧回路127の安全弁145,147は、安全弁145の設定圧をPO3、安全弁147の設定圧をPO4とした場合、PO3>PO4となるよう圧力調整が行われている。
【0074】
又、油圧ユニット126では、油が流通するよう切換弁138が切換った状態で油圧ポンプ129は電動機128により駆動されており、油圧ポンプ129から吐出された油は、管路132,139、切換弁138、戻り管路135を通ってタンク134へ循環している。
【0075】
又、上位系制御装置92からは、先端ヘッド107の振動周波数fo、変位量Lo、変位振幅Ca、先端ヘッド107に発生させる推力F(荷重W)、荷重振幅Wa、制御モード切換指令C2、その他の操作指令C3等が制御装置90における演算制御部91に与えられている。このため、運転開始の操作ボタンをオンにすることにより、制御装置90の演算制御部91からは油圧ユニット126の切換弁138に切換指令が与えられて管路139の油が切換弁138を通過しないように切り換わり、又、振動周波数foにより定まる時間間隔で電磁制御弁116に切換指令V2が与えられ、電磁制御弁116は管路141と119が連通するか、或いは管路119と戻り管路143が連通するよう、交互に切り換わる。
【0076】
このため、電磁制御弁116において管路141,119が連通するよう切り換わっている場合には、油圧ポンプ129から吐出された油は、管路132,142,141を経て電磁制御弁116を通り、管路119から油路101aを経て油室104へ導入され、油室105内の油は排出されて、油路102aから、管路120,141、電磁制御弁116、管路119、油路101aを通り油室104へ循環する。従って、ピストン103は推進方向D1へ向けて所定の量だけ前進する。
【0077】
又、電磁制御弁116において管路119と戻り管路143が連通するよう切換っている場合には、油圧ポンプ129から吐出された油は、管路132,142,141を通り、管路120から油路102aを経て油室105へ導入され、油室104内の油は、油路101aから、管路119、電磁制御弁116、戻り管路143,144,135を経てタンク134へ戻る。従って、ピストン103は推進方向D1と逆方向へ所定の量だけ後退する。
【0078】
而して、ピストン103を推進方向D1と平行な方向へ所定の振動周波数、振幅、推力で往復加振することにより、先端ヘッド107は推進方向D1と平行な方向へ上述の条件で加振され、先端ヘッド107の加振により先端ヘッド107周辺の土に振動が加えられる。このため、土が流動化して剪断抵抗が減少し、その結果、図6に示す元押装置8により先端装置1を押圧した場合、先端装置1は容易且つ確実にしかも迅速に土内に圧入されて先端装置1によりトンネルが形成されると共に、同様に挿入管7の敷設も容易且つ確実にしかも迅速に行なわれる。
【0079】
この振動及び圧入の際、滑材は滑材供給管111を送給されて滑材供給ノズル110から先端ヘッド107の前面に先端ヘッド107のテーパ面に沿うよう噴射される。このため、先端ヘッド107前面の土の流動性が向上し、先端装置1の圧入はより一層円滑に行なわれる。
【0080】
先端装置1の圧入時には、ストローク検出器108によりピストン103延いては先端ヘッド107の変位量Lが、又、土圧検出器112により先端ヘッド107の前面に作用する土圧力P3が、更に、加速度検出器113により往復加振の際の先端ヘッド107の加速度αが、更に又、圧力検出器149により油室104内の油圧力P4が、それぞれ検出されて制御装置90における演算制御部91に与えられ、所定の演算が行なわれて、電磁制御弁116へ与えられる切換指令V2が所定の状態に制御される。
【0081】
このため、加振時のピストン103の振動周波数fo、変位量Lo、変位振幅Ca、推力F(荷重W)、荷重振幅Waを任意に設定すると共に、前述の検出データを基として先端ヘッド107の加振時の振幅、先端ヘッド107に作用させる推力を予め設定した所定の状態に制御しつつ、先端装置1の圧入を行なうことができる。制御としてはフィードバック制御が採用されている。
【0082】
図14には上記した例の制御により実際に発生する、時間と先端ヘッド107の変位量Lとの関係が図示され、図15には上記した例の制御により実際に発生する、時間とピストン103に作用する推力Fr(先端ヘッド107に掛る荷重Wr)との関係が図示されている。
【0083】
上記した例では、先端部外筒101及び先端部内筒102並びにピストン103は先端装置1の構造体を兼ねているため耐荷重が大きく且つ油室104の面積を広くできるため、先端部外筒101と略直径の同じ先端ヘッド107に大きな静的な前面抵抗が作用しても、この前面抵抗に打勝つ十分大きい推力を発生させることができる。
【0084】
先端部内筒102及びピストン103は中空の円筒状であるため、中空部を配線や配管を通すスペースとして利用することができる。回り止め部材125が設けてあるため、ピストン103は先端部外筒101や先端部内筒102に対し回動することがなく、従って、中空部内に収納された配線や配管に捩れが生じることもない。
【0085】
又、この例では、加振時の振動周波数fo、変位量Lo、変位振幅Ca、推力F(荷重W)、荷重振幅Waを任意に設定した状態に制御するために、図13に示す如き各種の制御機器を備えており、従って、確実で信頼性の高い圧入作業を行なうことができる。
【0086】
先端部外筒101の後部に接続された後部筒体115内には、油圧機器として電磁制御弁116、アキュムレータ117,118が収納されているため、油室104,105に導入される油の切換えの応答性が向上し、先端ヘッド107を加振する際の振幅の変更も容易に行なうことができる。
【0087】
又、圧入時には先端ヘッド107に設けた滑材供給ノズル110から滑材を土中に供給するようにしているため、土の流動性が向上する。
【0088】
更に、ピストン103の推進方向D1と平行な方向の位置を制御することができるため、ピストン103を元押装置8と同様に推進機構としても使用することができる。
【0089】
以上述べたように、本発明者等が既に発明して出願している振動発生装置100は、実際に動的入工法に適用することのできる、小型でしかも操作性、作業性の良いものとなっており、従って、小口径管の敷設作業を容易且つ能率よく行なうことができる。
【0090】
ところで、前述の如き振動発生装置100を用いた動的圧入工法に、方向修正装置6による方向修正制御を組み合わせて曲線推進を行う場合、単に動的圧入工法と方向修正制御とを組み合わせただけでは、図16に示されるように、元押装置8からの推力Fと動的圧入による前面抵抗F’との合力F1と、側面土圧により作用する横方向荷重F2とのバランスにより推進曲線が決定されるため、例えば、土質が軟らかいところでは前記側面土圧により作用する横方向荷重が小さくなり、曲がりが少なくなってしまうといったように、土質によっては意図した推進曲線になりにくい場合があり、方向修正制御精度を高めることができなくなる可能性があった。
【0091】
本発明は、斯かる実情に鑑み、土質によらず意図した推進曲線を得ることができ、方向修正制御精度の向上を図り得る動的圧入工法における方向修正制御装置を提供しようとするものである。
【0092】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先端装置を屈曲部で中折れさせる方向修正手段と、先端装置の先端ヘッドを推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与える振動発生手段と、先端装置の屈曲部より先端側を推進方向へ伸縮させる複推進手段とを備えた動的圧入工法における方向修正制御装置において、
前記振動発生手段と複推進手段とを、先端装置の先端ヘッドを推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与えつつ推進方向へ押圧可能な振動発生装置により構成したことを特徴とする動的圧入工法における方向修正制御装置にかかるものである。
【0093】
【0094】
【0095】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0096】
前述の如く、先端装置を屈曲部で中折れさせた状態で、先端装置の先端ヘッドを推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与え、先端装置の屈曲部より先端側を伸長させ所要量だけ複推進させた後、先端装置を元押ししつつ前記複推進させた先端装置の屈曲部より先端側が同期して収縮していくようにすることにより、先端装置の推進方向を変更しつつ推進させるようにすると、単に動的圧入工法と方向修正制御とを組み合わせたのとは異なり、側面土圧により作用する横方向荷重が小さくなる土質の軟らかいところにおいても、複推進によって推進された先端装置の前方部分に追従するように後方部分が推進される形となるため、曲がりが少なくなってしまうといったようなことが避けられ、土質によらず意図した推進曲線が得られ、方向修正制御精度を高めることが可能となる。
【0097】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0098】
図1は本発明を実施する形態の第一の例であって、図中、図3〜図16と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図3〜図16に示すのものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1に示す如く、先端装置1に、該先端装置1を屈曲部5で中折れさせる方向修正手段としての方向修正装置6と、先端装置1の先端ヘッド107を推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与える振動発生手段としての振動発生装置100と、先端装置1の屈曲部5より先端側を推進方向D1へ伸縮させる複推進手段としての複推進機構160とを搭載し、先端装置1を方向修正装置6により屈曲部5で中折れさせた状態で、先端装置1の先端ヘッド107を振動発生装置100により推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与え、複推進機構160により先端装置1の屈曲部5より先端側を伸長させ所要量だけ複推進させた後、元押装置8を伸長させて先端装置1を押圧しつつ複推進機構160が同期して収縮していくようにすることにより、先端装置1の推進方向D1を変更しつつ推進させるよう構成した点にある。
【0099】
本図示例の場合、前記振動発生手段としての振動発生装置100は、先端装置1の先端ヘッド107を推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与えつつ推進方向D1へ押圧可能な機能を有しており、複推進手段としての複推進機構160を兼用させてある。
【0100】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0101】
先ず、図1(a)に示す如く、先端装置1を方向修正装置6により屈曲部5で中折れさせた状態で、先端装置1の先端ヘッド107を振動発生装置100により推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与える。
【0102】
続いて、図1(b)に示す如く、複推進機構160を兼ねる振動発生装置100により先端装置1の先端ヘッド107を伸長させ所要量だけ複推進させる。このとき、先端装置1の先端ヘッド107は、振動発生装置100により推進方向と平行な方向へ加振してもしなくてもよい。
【0103】
この後、図1(c)に示す如く、元押装置8を伸長させて先端装置1を押圧しつつ複推進機構160を兼ねる振動発生装置100が同期して収縮していくようにすることにより、先端装置1の推進方向D1を変更しつつ推進させる。尚、元押装置8を伸長させて先端装置1を押圧する際には、複推進機構160を兼ねる振動発生装置100を積極的に縮めるか或いはフリーな状態とすることにより、該振動発生装置100が元押しの速度と同期して収縮していくようにすることができる。
【0104】
前述のような操作をすると、単に動的圧入工法と方向修正制御とを組み合わせたのとは異なり、側面土圧により作用する横方向荷重が小さくなる土質の軟らかいところにおいても、複推進によって推進された先端装置1の前方部分に追従するように後方部分が推進される形となるため、曲がりが少なくなってしまうといったようなことが避けられ、土質によらず意図した推進曲線が得られ、方向修正制御精度を高めることが可能となる。
【0105】
こうして、土質によらず意図した推進曲線を得ることができ、方向修正制御精度の向上を図り得る。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
図2は本発明を実施する形態の第二の例であって、図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、複推進機構160を兼ねる振動発生装置100そのものを傾動自在に支持して方向修正装置6の作動により首振り可能とし、先端装置1の屈曲部5を先端側に形成したものである。尚、本図示例の場合、振動発生装置100に作用するスラスト荷重は、該振動発生装置100から後方へ延ばした伝達部材を介して凹状球面座で受けるようにしてある。
【0114】
図2に示す第二の例においては、図2(a)に示す如く、先端装置1を方向修正装置6により屈曲部5で中折れさせた状態で、先端装置1の先端ヘッド107を振動発生装置100により推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与える。
【0115】
続いて、図2(b)に示す如く、複推進機構160を兼ねる振動発生装置100により先端装置1の先端ヘッド107を伸長させ所要量だけ複推進させる。このとき、先端装置1の先端ヘッド107は、振動発生装置100により推進方向と平行な方向へ加振してもしなくてもよい。
【0116】
この後、図2(c)に示す如く、元押装置8を伸長させて先端装置1を押圧しつつ複推進機構160を兼ねる振動発生装置100が同期して収縮していくようにすることにより、先端装置1の推進方向D1を変更しつつ推進させる。尚、元押装置8を伸長させて先端装置1を押圧する際には、複推進機構160を兼ねる振動発生装置100を積極的に縮めるか或いはフリーな状態とすることにより、該振動発生装置100が元押しの速度と同期して収縮していくようにすることができる。
【0117】
図2(a)〜(c)に示すような操作をすると、前述と同様、単に動的圧入工法と方向修正制御とを組み合わせたのとは異なり、側面土圧により作用する横方向荷重が小さくなる土質の軟らかいところにおいても、複推進によって推進された先端装置1の前方部分に追従するように後方部分が推進される形となるため、曲がりが少なくなってしまうといったようなことが避けられ、土質によらず意図した推進曲線が得られ、方向修正制御精度を高めることが可能となる。
【0118】
こうして、図2に示す第二の例の場合も、図1に示す第一の例の場合と同様、土質によらず意図した推進曲線を得ることができ、方向修正制御精度の向上を図り得る。
【0119】
尚、本発明の動的圧入工法における方向修正制御装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0120】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1記載の動的圧入工法における方向修正制御装置によれば、土質によらず意図した推進曲線を得ることができ、方向修正制御精度の向上を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する形態の第一の例の作動図である。
【図2】 本発明を実施する形態の第二の例の作動図である。
【図3】 本発明者等が既に発明している方向修正装置の一例の縦断面図である。
【図4】 本発明者等が既に発明している方向修正装置の一例の平面図である。
【図5】 図3のV−V方向矢視図である。
【図6】 本発明者等が既に発明している方向修正装置に適用する油圧回路図である。
【図7】 本発明者等が既に発明している方向修正装置に適用する制御系統図である。
【図8】 図3に示す方向修正装置を適用した管埋設装置の概要を示す側面図である。
【図9】 本発明者等が既に発明している振動発生装置の一例の縦断面図である。
【図10】 図9のX−X方向矢視図である。
【図11】 図9のXI−XI方向矢視図である。
【図12】 本発明者等が既に発明している振動発生装置に適用する油圧回路図である。
【図13】 本発明者等が既に発明している振動発生装置に適用する制御系統図である。
【図14】 図13に示す制御装置により制御を行なう先端ヘッドの変位量の経時的な変化を示すグラフである。
【図15】 図13に示す制御装置により制御を行なうピストンに作用する推力、即ち先端ヘッドに掛る荷重の経時的な変化を示すグラフである。
【図16】 元押装置からの推力と動的圧入による前面抵抗との合力と、側面土圧により作用する横方向荷重とを示す側面図である。
【図17】 従来の圧入工法に使用する振動発生装置の概要を示す側面図である。
【図18】 図17に示す振動発生装置を適用した管埋設装置の概要を示す側面図である。
【図19】 従来の方向修正方法に使用する方向修正装置の概要を示す側面図である。
【符号の説明】
1 先端装置
4 前部
5 屈曲部
6 方向修正装置(方向修正手段)
7 挿入管
8 元押装置
9 立坑
100 振動発生装置(振動発生手段)
107 先端ヘッド
160 複推進機構(複推進手段)
D1 推進方向
Claims (1)
- 先端装置を屈曲部で中折れさせる方向修正手段と、先端装置の先端ヘッドを推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与える振動発生手段と、先端装置の屈曲部より先端側を推進方向へ伸縮させる複推進手段とを備えた動的圧入工法における方向修正制御装置において、
前記振動発生手段と複推進手段とを、先端装置の先端ヘッドを推進方向と平行な方向へ加振して地中に振動を与えつつ推進方向へ押圧可能な振動発生装置により構成したことを特徴とする動的圧入工法における方向修正制御装置。
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