JP4913380B2 - ポリオキシメチレン樹脂製ハードディスクランプ - Google Patents

ポリオキシメチレン樹脂製ハードディスクランプ Download PDF

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Description

本発明は、熱安定性、アウトガス性、導電性、摩擦摩耗性に優れたポリオキシメチレン製ハードディスクランプに関するものである。
ポリオキシメチレン樹脂はバランスのとれた機械的性質と優れた耐摩耗性をもつエンジニアリング樹脂として、各種の機構部品をはじめ、OA機器などに広く用いられている。ポリオキシメチレン樹脂はそれ自身の摺動性能では不十分なため、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、シリコーンなどの低分子の潤滑剤が使用されている。このため、ハロゲン系溶剤(トリクロロエチレン、トリクロロエタン、各種のフロン)、脂肪族・芳香族炭化水素、アルコール類、液化炭酸ガス、界面活性剤を含有する水および純水などで成形品を洗浄するとその摺動性能は著しく損なわれるのが一般的であった。この対応として、本願出願人らは特許文献1にて、ポリオキシメチレン樹脂に高分子潤滑材と必要により潤滑材、無機フィラーからなる組成物を成形したハードディスクランプを提案した。用いた高分子潤滑材のなかには帯電防止性能を有するものも含まれ、体積抵抗率が1×1012Ω・cm程度のものは実現可能であった。しかし、ハードディスクの小型化、大容量化の中で、より体積抵抗の低い材料が求められている。体積低効率の低い材料の開発は導電性カーボンの使用が不可欠であるが、導電性カーボンはポリオキシメチレン樹脂の熱安定性を著しく悪化させるため、熱安定性とアウトガスの要求の厳しいハードディスクランプへの展開は困難であった。
WO03/055945号公報
本発明の課題は、熱安定性とアウトガス性能を損なうことなく導電性を付与し、さらに、摩擦摩耗性に優れたポリオキシメチレン製ハードディスクランプを開発することである。
本発明者らは、種々の導電性カーボン、ナノカーボンを検討した結果、カーボンナノチューブが従来の導電性カーボンと比較して少量の添加量で導電性を付与出来るため、ポリオキシメチレン樹脂の熱安定性を改良出来る事を見出した。更に、カーボンナノチューブと特定の熱安定性能を有するポリオキシメチレン樹脂および必要により分散性改良材用いて、予め混練したマスターバッチとして添加すると熱安定性がさらに大幅に向上することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1.(A)ポリオキシメチレン樹脂100 重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプであって、
(B)カーボンナノチューブが、予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチとして添加し、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練した組成物を成形して得られるハードディスクランプ。
2.さらに(D)高分子潤滑材および(E)潤滑剤の中から選ばれる少なくとも1種を必要により0.1〜20重量部添加することを特徴とする前記1に記載のハードディスク用ランプ。
3.(C)分散性改良材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル基を含有する樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂及びそれらの変性物、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である前記1又は2に記載のハードディスクランプ。
4.前記(D)高分子潤滑材を含み、当該(D)高分子潤滑材が、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネートとポリアルキレンオキサイド及び必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体、ポリアミドエラストマーおよびフッソ系樹脂から選ばれる少なくとも1 種である前記2又は3に記載のハードディスクランプ。
5.前記(E)潤滑剤を含み、当該(E)潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれた少なくとも一種である前記2乃至4のいずれか一に記載のハードディスクランプ。
6.ポリオキシメチレン樹脂組成物が体積抵抗率が10 11 Ω・cm以下である前記1乃至5のいずれか一に記載のハードディスクランプ。
7.ハロゲン系溶剤、脂肪族・芳香族炭化水素、アルコール類、液化炭酸ガス、界面活性剤を含有する水および純水から選ばれる少なくとも1種の溶剤で洗浄した後で使用される前記1乃至6のいずれか一に記載のハードディスクランプ。
8.(A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプの製造方法であって、
予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチを製造し、
得られたマスターバッチを、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練し、得られた組成物を成形して得られる、ハードディスクランプの製造方法。
本発明のポリオキシメチレン樹脂製ハードディスクランプは、熱安定性とアウトガス性能を損なうことなく導電性を付与し、さらに、摩擦摩耗性に優れたものを得ることができる。
本発明の(A)成分に用いられるポリオキシメチレン樹脂はホルムアルデヒド、またはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し、重合体の両末端をエーテル、エステル基により封鎖したホモポリマーをはじめ、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールなどとを共重合させて得られた炭素数2〜8のオキシアルキレン単位をオキシメチレンに対して、0.1〜20モル%を含有するオキシメチレンコポリマーやさらに分岐状分子鎖を有するもの、オキシメチレン単位からなるセグメント50重量%以上と異種セグメント50重量%以下とを含有するオキシメチレンブロックポリマーのうちの少なくとも一種である。オキシメチレンブロックポリマーとしては、特開昭57−31918号公報に示されるポリアルキレングリコールとポリオキシメチレンホモポリマーとのブロックポリマー、国際公開WO01/009213号公報に開示された水素添加ポリブタジエンとオキシメチレンコポリマーのブロックポリマーが好ましい。
また、これらポリオキシメチレン樹脂はその目的によって使い分けすることが出来る。摺動性や剛性の観点からはホモポリマーやコモノマー量の少ないコポリマーの使用が好ましく、熱安定性や耐衝撃性の観点からはコモノマー量の多いコポリマーや水素添加ポリブタジエンとオキシメチレンコポリマーのブロックポリマーの使用が好ましい。本発明の用途には、摺動性と熱安定性のバランスからコモノマー量の少ないコポリマーが最も好ましい。
本発明の(A−1)成分に用いられるポリオキシメチレン共重合体は、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールなどの環状コモノマーを共重合させて得られた炭素数2〜8」のオキシアルキレン単位をオキシメチレンに対して、0.3〜15モル%を含有するオキシメチレン共重合体である。(このポリオキシメチレン共重合体のコモノマーとは前記した環状コモノマーを指し以下に述べる水素添加液状ポリブタジエンは含まない。)さらにポリオキシメチレン共重合体として、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエン残基を有するポリオキシメチレンブロック共重合体の使用も好ましい。
本願のマスターバッチに用いられるポリオキシメチレン共重合体(A−1)は、コモノマーをオキシメチレンユニットに対して、0.3〜15モル%、好ましくは0.4〜5モル%、より好ましくは0.4〜3モル%、さらに好ましくは0.4〜1.5モル%を含有するポリオキシメチレン共重合体である。コモノマー量が多い方が熱安定性に優れるが、摩擦摩耗性は悪化するので、コモノマー量の少ない範囲が好ましい。その場合0.3モル%未満ではマスターバッチの熱安定性が悪化するため好ましくなく、15モル%を超えると前述した様に摩擦摩耗性が悪化するため好ましくない。また、コモノマー成分以外でもポリオキシメチレン共重合体(A−1)の熱安定性得るために、不安定末端の安定化工程において第4級アンモニウム化合物を用いる事が有効である。特に、コモノマーの少ない領域において第4級アンモニウム塩の使用による安定化効果は非常に大きい。
本願のマスターバッチと混練してポリオキシメチレン樹脂組成物として用いられるポリオキシメチレン共重合体(A−2)は基本的には(A−1)と同じものであるが、より低いコモノマー濃度のものも使用可能で、コモノマー量は、オキシメチレンユニットに対して、0.1〜15モル%、好ましくは0.3〜5モル%、より好ましくは0.3〜3モル%、さらに好ましくは0.3〜1.5モル%を含有するポリオキシメチレン共重合体、および、(A−3)ホルムアルデヒド、またはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどを重合し、重合体の両末端をエーテル、エステル基により封鎖したホモポリマーである。
ポリオキシメチレン共重合体(A−2)はコモノマーが0.1モル%未満では熱安定性が充分でないため好ましくなく、15モル%を超えると剛性の低下や摩擦摩耗性が悪化するため好ましくない。また、本願のマスターバッチと混練してポリオキシメチレン樹脂組成物として用いられるポリオキシメチレン共重合体(A−2)、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−3)は、熱安定性に優れたものを用いる必要があり、その目安はマスターバッチと混練り後の組成物で、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上である事が必要で、好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上である。
また、本発明で用いるポリオキシメチレン共重合体(A−1)、(A−2)およびポリオキシメチレンホモポリマー(A−3)のメルトフローレイト(ASTM−D1238−57Tの条件で測定)は、0.5〜100g/10分の範囲、好ましくは1.0〜80g/10分、さらに好ましくは3〜60g/10分、より好ましくは5〜60g/10分の範囲である。メルトフローレイトが0.5g/10分以上では成形加工性が良好であり、100g/10分以下では物性が良好である。さらに、(A−1)のメルトフローレイトは(A−2)および(A−3)と同等か高いメルトフローレイトのものがカーボンナノチューブの分散性の点から好ましい。
本発明のマスターバッチ及びそれを用いた組成物には、従来のポリオキシメチレン樹脂で使用されている安定剤、例えば熱安定剤、耐候(光)安定剤等を単独、またはこれらを組み合わせて用いることが出来る。熱安定剤としては、酸化防止剤、ホルムアルデヒドやぎ酸の捕捉剤およびこれらの併用が効果を発揮する。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
例えば、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)である。
また、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等がある。
これらヒンダードフェノール系酸化防止剤のなかでも、トリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。これら酸化防止剤はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部の範囲で用いられる。
ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤としては、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体、(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、およびカルボン酸塩が挙げられる。(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体としては、ジシアンジアミド、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂(例えばナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等)、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの中では、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミドが好ましく、ポリアミド樹脂とポリ−β−アラニンがさらに好ましい。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部の範囲で用いられる。
(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、およびカルボン酸塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、カルボン酸塩が挙げられる。具体的にはカルシウム塩が最も好ましく、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、および脂肪酸カルシウム塩(ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム等)であり、これら脂肪酸は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。これらの中では、脂肪酸カルシウム塩(ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム等)が好ましい。これらアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、およびカルボン酸塩はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.03〜1重量部、さらに好ましくは0.03〜0.5重量部の範囲で用いられる。
本発明の(B)成分に用いられるカーボンナノチューブは、平均繊維径が1nm〜100nmで平均アスペクト比が5以上のカーボンナノチューブである。より好ましい平均繊維径は3〜80nm、さらに好ましくは5〜70nmである。平均直径が1nm未満では繊維として製造することが困難になる場合があり好ましくなく、平均直径が100nmを超えると所望の導電性を得ることが出来なくない場合があるため好ましくない。また、好ましいアスペクト比は50以上、より好ましいアスペクト比は100以上、さらに好ましくは200以上である。アスペクト比は高い方が導電性付与効果が高いため好ましい。このカーボンナノチューブは平均直径と平均アスペクト比が上記の範囲であれば特に限定されず、例えば気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法などにより得られる単層ナノチューブ、や多層ナノチューブが好ましく使用でき、これらは針状、コイル状、チューブ状などの形態を取る事が出来るが、平均繊維径と平均アスペクト比が上記範囲内であれば使用可能で、またこれらを2種以上使用することも可能である。
これらカーボンナノチューブは、特公表昭62−500943号公報、特公表平2−503334号公報、WO00/040509号公報などに開示されている方法で製造することが出来る。また、カーボンナノチューブは樹脂への密着性、分散性を改良するためにカップリング剤で処理することも可能である。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボロン系化合物、エポキシ化合物などがあげられる。これらの中では、有機シラン系化合物が好ましく、その使用量はカーボンナノチューブに対して0.01〜5重量部が好ましい。
(A−1)と(B)成分でマスターバッチとする場合は、(A−1)と(B)をメインフィード口に一括投入して製造することも可能であるが、マスターバッチおよび最終組成物の熱安定性、導電性の観点から、サイドフィード口が2箇所以上あるニ軸押出機を用いて、メインフィード口から(A−1)成分をフィードし、下流にある一箇所以上のサイドフィード口から(B)成分と必要により(A−1)成分をフィードする方法が好ましい。
本願の(A−1)のポリオキシメチレン共重合体と(B)カーボンナノチューブとの配合割合は、(A−1)成分100重量部に対して、(B)成分が0.5〜35重量部の割合であり、(A−1)成分100重量部に対し、(B)成分が2〜30重量部が好ましく、4〜25重量部が更に好ましい。(B)成分が0.5重量部未満では、生産性の改良効果に乏しく、35重量部を超えるとマスターバッチ自身の熱安定性が悪化するため好ましくない。この割合は(C)分散改良剤が加わった系においても同様である。また、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%(オキシメチレンユニットに対し)のポリオキシメチレン共重合体、若しくは(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種とマスターバッチとの配合割合は、(A−2)およびまたは(A−3)100重量部に対し、マスターバッチが0.5〜100重量部の割合が好ましく、1〜50重量部がより好ましい。
本発明の(C)成分に用いられる分散改良剤とはカーボンナノチューブを樹脂中に分散させる分散剤を意味し、ポリオキシメチレン共重合体と混練した場合に10μm以下に分散可能なものであれば特に制限はないが、(1)ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル基を含有する樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂などのポリマー、それらのオリゴマーおよびそれらの変性物、(2)アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール類などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、一般式(1)で示すオレフィン系化合物のホモおよび共重合体もしくはその変性体である。
C=C−R (1)


〔式中、Rは水素原子又はメチル基であり、R は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシル基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を意味する。〕
具体的には、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン−ブテン共重合体、ポリブテン、ポリブタジエンの水添物、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。変性体としては、他のビニル化合物の一種以上をグラフトさせたグラフト共重合体、α,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸等)/またはその酸無水物で(必要により過酸化物を併用して)変性したもの、および、上記オレフィン類と酸無水物を共重合したものが挙げられる。これらポリオレフィン系ポリマーは特に限定はないが、メルトフローレイト(ASTM−D1238−57T)が0.5〜120g/10分の範囲が好ましく、更に好ましくは3〜120g/10分、もっとも好ましくは5〜100g/10分の範囲である。オリゴマーとしては数平均分子量が500〜15,000の範囲が好ましく、より好ましくは1000〜10,000である。これらのオレフィン系ポリマー、オリゴマーが炭素−炭素二重結合を有する場合は熱安定性の観点から慣用の水素添加方法を用いて炭素−炭素二重結合を極力少なくした方がより好ましい。
ポリエーテル成分を有するポリマー、オリゴマーとしては、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド及びこれらの共重合体、ブロック共重合体)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、他の樹脂にポリエーテルをグラフトしたグラフト重合体などのポリマー、オリゴマーである。
ポリマーの場合は重量平均分子量で10,000〜500,000の範囲が好ましく、20,000〜400,000の範囲がより好ましい。
フェノール樹脂としてはフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるが、酸性触媒を用いて反応させたノボラック型とアルカリ触媒を用いて反応させたレジルシノール型が挙げられ、本発明においては何れも使用できるが、特にノボラック型のフェノール樹脂が好ましい。重量平均分子量が100〜10,000の重量平均分子量を有するものが好ましいが特に制限されない。また、フェノール樹脂はパラキシレンあるいはアルキルベンゼンで変性したものが好ましい。さらにフェノール樹脂は一般的に未反応のフェノールを数%含有するが、本発明においては臭いの観点から5%以下が好ましく2%以下がより好ましい。フェノール樹脂はその構造を示すことが難しいので具体例を挙げると、住友デュレズ(株)製のスミライトレジンPR−5−731、PR−53647、PR−54443、PR−54537、PR−51992や旭有機材(株)のフェノールレジンCP−504等(いずれも商品名)が挙げられる。
アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールである。1価アルコールの例としてはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、合成脂肪族アルコールのユニリンアルコールなどの飽和または不飽和アルコールがあげられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールがあげられる。
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。
これらの脂肪酸はヒドロキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
アルコールと脂肪酸のエステルとしては下記に示すアルコールと脂肪酸とのエステルである。アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールであり、例えば1価アルコールの例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和アルコールが挙げられる。
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール等があげられる。
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。
また、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。これら、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステルの中では、炭素数12以上の脂肪酸とアルコールとのエステルが好ましく、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数10以上のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数12〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールとのエステルがさらに好ましい。
アルコールとジカルボン酸のエステルはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和の一級アルコールとシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸等のジカルボン酸とのモノエステル、ジエステル及びこれらの混合物である。これらのアルコールとジカルボン酸のエステルの中では、炭素数10以上のアルコールとジカルボン酸とのエステルが好ましい。
ポリオキシアルキレングリコール化合物としては、3種類の化合物が挙げられる。第1のグループとしては、アルキレングリコールをモノマーとする重縮合物が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックポリマー等が挙げられる。これらの重合モル数の好ましい範囲は5〜1000、より好ましい範囲は10〜500である。
第2のグループは、第1のグループと脂肪族アルコールとのエーテル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)等が挙げられる。
第3のグループは、第1のグループと高級脂肪酸とのエステル化合物である。
例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)等が挙げられる。
これらの分散剤(C)は(A−1)ポリオキシメチレン共重合体、(B)カーボンナノチューブとともに溶融混練して用いられる。これらの分散改良材を用いる場合の配合割合は(A−1)ポリオキシメチレン共重合体に対して、0.1〜20重量%の範囲で、好ましくは0.2〜15重量部であり、さらに好ましくは0.3〜10重量部の範囲である。0.1重量%未満では分散性の加療効果が十分でなく、20重量部を超えると剛性の低下により摩擦摩耗性が悪化するため好ましくない。
(C)分散改良剤を添加する方法としては、メインフィーダーと1箇所以上のサイドフィーダーを持つ、ニ軸押出機をベースに考えると(i)(A−1)成分と(C)成分をメインフィーダーからフィードし、1個所以上のサイドフィーダーから(B)成分をフィードする方法、
(ii)(A−1)成分をメインフィーダーからフィードし、1個所以上のサイドフィーダーから(B)成分、(C)成分と必要により(A−1)成分をフィードする方法
(iii)(C)成分、(B)成分と必要により(A−1)成分をメインフィーダーからフィードし、残りの(A−1)成分を1個所以上のサイドフィーダーからフィードする方法
などが挙げられる。
本発明の(C)高分子潤滑剤は、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイド及び必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体、ポリアミドエラストマーおよびフッソ樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
ポリオレフィン樹脂としては、一般式(1)で示すオレフィン系化合物のホモおよび共重合体もしくはその変性体である。
C=C−R (2)


〔式中、Rは水素原子又はメチル基であり、R は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシル基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を意味する。〕
具体的には、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン−ブテン共重合体、ポリブテン、ポリブタジエンの水添物、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。変性体としては、他のビニル化合物の一種以上をグラフトさせたグラフト共重合体、α,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸等)/またはその酸無水物で(必要により過酸化物を併用して)変性したもの、および、上記オレフィン類と酸無水物を共重合したものが挙げられる。これらポリオレフィン系ポリマーは特に限定はないが、メルトフローレイト(ASTM−D1238−57T)が0.5〜120g/10分の範囲が好ましく、更に好ましくは3〜120g/10分、もっとも好ましくは5〜100g/10分の範囲である。メルトフローレイトが0.5g/10分未満では、低温での摩擦摩耗性能が低下するため好ましくなく、120g/10分を超えると成形品にハクリが生じる場合があるため好ましくない。
イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドおよび必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体としては、反応器として押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いて、イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイド及び必要により低分子ジオール化合物を溶融混練することで得られる。この際、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトンおよびトルエンなどの溶媒やジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ラウレートなどの有機金属化合物やトリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン類などのウレタン化触媒を用いることも可能である。詳細は特開平7−316421号公報や特開平8−92476号公報に記載されている。
イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドおよび必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体に用いられるイソシアネート化合物としてはトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、ヘキサメチレンジジイソシアネートの環状3量体などから選ばれる少なくとも一種であり、これらの中ではトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジソシアネートが好ましく、さらにトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジソシアネートがより好ましい。
ポリアルキレンオキサイドとしては、重合度が4〜1000の範囲のポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレングリコール、ポリ−1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも一種であり、好ましい重合度は10〜500の範囲である。必要により用いられる低分子ジオール化合物はエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、重合度4未満のポリアルキレンオキサイド(ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレングリコール、ポリ1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールなど)を用いることも可能であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドおよび必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体の分子量はクロロホルムを溶媒として、ゲルパーメーションクロマトグラフで測定したポリスチレン換算分子量で10000〜500000の範囲が好ましく、20000〜300000の範囲がより好ましい。分子量が10000未満では成形品にハクリが生じるため好ましくなく、分子量が500000を超えると表面外観が悪化するとともに摺動性能も悪化するため好ましくない。
ポリアミドエラストマーとしては、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエーテルアミドである。ポリエーテルエステルアミドは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとポリエーテルまたはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物とからなるブロック共重合体である。両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは(1)ラクタムの開環重合体、(2)アミノカルボン酸の重縮合体若しくは(3)ジカルボン酸とジアミンの重縮合体であり、(1)のラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。(2)のアミノカルボン酸としてはω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。(3)のジカルボン酸としてはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、イソフタル酸等が挙げられ、またジアミンとしてはヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられる。
上記ポリアミド形成用モノマーとして例示したものは2種以上を併用しても良い。両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは、炭素数4〜20の酸成分を分子量調整剤として使用し、これの存在下に上記ポリアミド形成モノマーを常法により開環重合あるいは重縮合させることによって得られる。炭素数4〜20のジカルボン酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、3−スルホイソフタルナトリウム、3−スルホイソフタル酸カリウム等のイソフタル酸アルカリ金属塩である。かかるポリアミドの数平均分子量は、300〜15000、好ましくは500〜5000である。
一方ポリエーテルブロック単位としては、(1)炭素数2〜4の開環されたアルキレンオキサイドを構成単位とするポリアルキレンオキサイドと(2)ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物である。(1)炭素数2〜4の開環されたアルキレンオキサイドを構成単位とするポリアルキレンオキサイドは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(1,2ブチレンオキサイド)、ポリ(1,4−ブチレンオキサイド)、ポリ(テトラメチレンオキサイド)またはこれらの混合物若しくは共重合体である。(2)ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物はビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)および4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン)等が挙げられ、このビスフェノール類にアルキレンオキサイドを付加させることにより得られる。またアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドが好ましく、他のアルキレンオキサイドを併用することも出来るが、他のアルキレンオキサイドはエチレンオキサイドの10重量%以下が好ましい。かかるポリエーテルまたはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物ポリエーテルブロック単位の分子量は200〜8000、好ましくは500〜3000である。
この、ポリエーテルエステルアミドは、特開昭59−191752号公報、特開平7−10989号公報に示されている方法で製造できる。
ポリエーテルアミドは(1)ポリアミド形成モノマー、(2)アミノ末端基及び/またはカルボキシル基末端を有するポリエーテル、(3)(2)の末端基に実質的等量の脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸および/またはジアミンを出発原料として重縮合により製造される。
(1)ポリアミド形成モノマーとしては、ラクタム、アミノカルボン酸およびジアミンとジカルボン酸との塩が例示される。ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。アミノカルボン酸としてはω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。ジアミンとジカルボン酸との塩の具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−2,4,2−トリメチレヘキサメチレンジアミン、1,3−/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4‘アミノシクロヘキシル)メタン、m−/p−キシリレンジアミンのようなジアミンとシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸のようなジカルボン酸との塩が挙げられる。
(2)アミノ末端基またはカルボキシル末端基を有するポリエーテルとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのポリエーテル形成性モノマーから生成されるポリエーテルの末端にアミノ基、カルボキシル基を導入したものが用いられ、具体例としてはポリオキシメチレンアミノプロピルエーテル、ポリオキシプロピルアミン、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン、末端カルボキシポリオキシエチレン(ポリオキシアルキレン部分はnは2〜60)などが挙げられる。
(3)脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びダイマー酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等をカップリングあるいはカップリングとそれに続く水素添加によって得られる二量化脂肪酸)が挙げられる。脂肪族、脂環族および芳香族ジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ダイマージアミン(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸のような不飽和脂肪酸の二量体のアミノ化物)が挙げられる。このポリエーテルアミドの製造方法は特開平4−168145号公報に示されている。
かくして得られるポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドの分子量は、本発明の目的からは特に制限されるものではないが、一般的には1000〜100000、好ましくは5000から70000、さらに好ましくは10000〜50000である。1000未満では耐衝撃が十分でなく、100000を超えるとポリオキシメチレン樹脂への分散が不良となるため好ましくない。
フッソ樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンペーフルオロアルコキシビニルエーテルコポリマー(PFA)、ポリクロロテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、低融点エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンペーフルオロアルコキシビニルエーテルコポリマー(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、低融点エチレンテトラフルオロエチレンコポリマーが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が摺動性付与の点で最も好ましい。
これら高分子潤滑剤を用いる場合の配合割合はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.2〜15量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部である。添加量が0.1重量部未満では摺動性の改良効果が不十分であり、20重量部を超えて添加しても摺動性の改良効果の増加が認められず、成形品のハクリや剛性の低下が認められため好ましくない。
本発明の(E)成分に用いられる潤滑剤はアルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール及び平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物の中から選ばれる少なくとも一種である。
アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールである。1価アルコールの例としてはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコールなどの飽和または不飽和アルコールがあげられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールがあげられる。
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられ、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
アルコールと脂肪酸のエステルとしては下記に示すアルコールと脂肪酸とのエステルである。アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールであり、例えば1価アルコールの例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和アルコールが挙げられる。
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール等があげられる。
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられ、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。これら、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステルの中では、炭素数12以上の脂肪酸とアルコールとのエステルが好ましく、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数10以上のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数12〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールとのエステルがさらに好ましい。
アルコールとジカルボン酸のエステルは、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和の一級アルコールとシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸等のジカルボン酸とのモノエステル、ジエステル及びこれらの混合物である。これらのアルコールとジカルボン酸のエステルの中では、炭素数10以上のアルコールとジカルボン酸とのエステルが好ましい。
ポリオキシアルキレングリコール化合物としては、3種類の化合物が挙げられる。第1のグループとしては、アルキレングリコールをモノマーとする重縮合物が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックポリマー等が挙げられる。これらの重合モル数の好ましい範囲は5〜1000、より好ましい範囲は10〜500である。第2のグループは、第1のグループと脂肪族アルコールとのエーテル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)等が挙げられる。第3のグループは、第1のグループと高級脂肪酸とのエステル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)等が挙げられる。
平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物とは以下の式(3)で示される化合物である。
C=C−R (3)


(R、Rは水素、アルキル基、アリール基、エーテル基より選ばれ、各々同一でも異なっていても良い。mは平均重合度で10〜500である。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等であり、アリール基としては、例えばフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ベンジル基、p−ブチルベンジル基、トリル基、キシリル基等がある。またエーテル基としては例えばエチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基等がある。)
具体的にオレフィン化合物を構成するモノマーとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等で表されるオレフィン系モノマー、またはアレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン等で表されるジオレフィン系モノマーがある。これらオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマーの2種以上を共重合して得られる化合物であってもかまわない。オレフィン化合物がジオレフィン系モノマーを重合して得られる化合物である場合は熱安定性向上の観点から慣用の水素添加法を用いて炭素−炭素不飽和結合を極力少なくしたオレフィン化合物を用いる方が好ましい。
オレフィン化合物を構成するオレフィン単位の平均重合度nは10〜500の間にある必要があり、好ましくは15〜300の範囲であり、さらに好ましくは15〜100の範囲である。平均重合度nが10より小さい場合は長期の摺動特性が低下すると共に金型汚染性へも悪影響を与えるため好ましくない。nが500より大きい場合は、初期の摺動特性が大きく低下するため好ましくない。
これら潤滑剤を用いる場合の配合割合はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。添加量が0.1重量部未満では摺動性の改良効果が不十分であり、20重量部を超えて添加すると、剛性の低下、摩耗量が増加するとともにハクリが悪化するため好ましくない。
本発明における(C)成分と(D)、(E)成分は重複しているものがあるが、(C)成分はカーボンナノチューブを分散する目的で使用され、(D)、(E)成分は摩擦摩耗性の改良を目的としているためである。もちろん(C)成分として添加したものは摩擦摩耗性改良効果は当然持っているので、摩擦摩耗レベルが充分であれば新たに添加する必要がないのは当然であり、目的を達すれば、いずれの段階で添加するかは制約を受けるものではない。
本発明のハードディスクランプの体積抵抗率は1011Ω・cm以下である事が好ましく、より好ましくは1010Ω・cm、さらに好ましくは10Ω・cm以下である。
本発明の樹脂組成物には、無機充填材を併用することが可能である。この無機充填材としては、平均粒子径10μm以下の針状、粒子状、板状の充填剤が用いられる。針状充填剤としては、チタン酸カリ、酸化亜鉛、酸化チタン等のウイスカー、針状ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、微小径ガラス繊維、微小径炭素繊維等であり、粉子状充填剤としては、黒鉛、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラス粉、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等があげられる。板状充填剤としてはマイカがあげられる。これらの充填剤は1種又は2種以上を併用して使用することが可能である。
これら無機充填材は表面処理されていないものが好ましいが、表面処理されたものの使用も可能である。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が使用できる。具体的にはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
さらに本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリオキシメチレン樹脂で用いられる各種の添加剤、例えば、本願記載以外の潤滑剤、耐衝撃改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを用いることが出来る。
本発明のポリオキシメチレン樹脂とカーボンナノチューブとのマスターバッチの製造は、操作性の面から二軸押出機を用いる事が好ましく、マスターバッチとポリオキシメチレンとの混練はニーダー、ロールミル、単軸出機、二軸押出機、多軸押出機が使用可能であるが、操作性の面で単軸押出機、二軸押出機が好ましい。このときの加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換や一段及び多段ベントで脱気することが好ましい。
本発明の成形体は、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、ガスアシスト中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、押出成形或いは押出成形法等の成形法で成形され、更に必要により切削加工される。本発明の成形体はハードディスクランプ以外でも、導電性や帯電防止性能を必要とする部品に用いることも可能である。
具体的には、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、ガイド、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、メーター文字車、バックル、ファスナー、プラホック、リール、シャフト、関節、軸、軸受け、ガイド等の摺動部品である。
これらの摺動性部品が使用される記録装置とは、VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラおよびデジタルカメラ、カセットプレイヤー、DAT、LD(LaserDisk)、MD(Mini Disk )、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(DigitalVerstile Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM(Random Access Memory )、DVD−Audio、DVDマルチを含む〕、その他の光デイスクドライブ、MFD、MOおよびハードディスクドライブさらにはこれらのコンボタイプのドライブである。これらの記録装置は近年小型化高集積化とともに密閉される構造になって来ている。このため、部品に付着するゴミ、油脂分、不揮発性溶剤、記録媒体に影響を与える物質などを排除するため、部品を溶剤で洗浄してから使用する場合が生じている。この典型的なものがハードディスクであり、これに使用される部品は溶剤洗浄が行われており、ランプ材料も溶剤洗浄を行った後に使用されている。また、溶剤洗浄後に使用される摺動部品としては、服装やカバン等で使用されるバックルやファスナー等も挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。はじめに、実施例および比較例で使用する成分の内容と評価方法を以下に示す。
[使用成分の内容]
A.ポリオキシメチレン樹脂
a−1;熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を80℃に調整し、水+蟻酸=4ppmであるトリオキサンを40モル/hrで、同時に環状ホルマールとして1、3−ジオキソランを0.65モル/hrで重合機に供給し、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解下させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し5×10−5モルになるように、また連鎖移動剤としてメチラール[(CHO)CH]をトリオキサン1モルに対し2×10−3モルになるように連続的にフィードし重合を行った。重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った後、そのポリマーを濾過、洗浄し、濾過洗浄後の粗ポリオキシメチレン共重合体1重量部に対し、第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を窒素の量に換算して20重量ppmになるよう添加し、均一に混合した後120℃で乾燥した。
次に、サイドフィード口、液添加ライン付き二軸押出機(設定温度200℃に設定)を用いて、上記乾燥粗ポリオキシメチレン共重合体100重量部をメインフィード口からフィードし、溶融しているポリオキシメチレン共重合体へ2重量%のトリエチルアミン水溶液を5重量部の割合でフィードし、不安定末端部分を分解した後、後段に設けられたベントから−0.07MPaで脱気され、さらにベントの後段に設けられたサイドフィード口より、酸化防止剤としてトリエチレングリコールービス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を添加し、ポリアミド66を0.025重量部を添加し溶融混練を行い、押出機ダイス部よりストランドとして押し出されペレタイズされた。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが0.51モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が60分で、曲げ弾性率2750MPaでメルトフローレイト9.0g/10分であった。
a−2;a−1の1、3−ジオキソランを0.42モル/hrとした以外A−1と全く同様に実施した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが0.31モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が30分、曲げ弾性率2800MPaでメルトフローレイト9.1g/10分であった。
a−3;a−1の1、3−ジオキソランを0.14モル/hrとした以外A−1と全く同様に実施した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが0.10モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が10分、曲げ弾性率2900MPaでメルトフローレイト9.8g/10分であった。
a−4;a−1の1、3−ジオキソランを2.0モル/hrとした以外A−1と全く同様に実施した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが1.5モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が100分、曲げ弾性率2600MPaでメルトフローレイト9.1g/10分であった。
a−5;a−1の重合後のポリマーを濾過、洗浄した後に、第4級アンモニウム化合物を添加せずに乾燥した以外はA−1と同様に製造した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが0.51モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が15分で、曲げ弾性率2750MPaでメルトフローレイト9.8g/10分であった。
a−6;テナック4010(旭化成ケミカルズ(株)製) 230℃滞留成形によるシルバー発生時間が15分で、曲げ弾性率3000MPaでメルトフローレイト8.6g/10分
B.カーボンナノチューブ
b−1;平均繊維径10nm、平均長さ10μm(アスペクト比1000)のカーボンナノチューブ。
b−2;ケッチェンブラック EC600JD(ライオン・アクゾ(株)製)
C.分散改良材
c−1;ポリエーテルを含むポリマー メルポールF−220(三洋化成工業(株)製)
c−2;エチレンブテンコポリマー タフマーA70090(三井化学(株))
c−3;PEG(分子量6000)
[評価方法]
(1)マスターバッチの熱安定性
実施例及び比較例で得られたマスターバッチのペレットを80℃で3時間乾燥した後、200℃に設定された圧縮成形機を用い厚み3mmの平板を、予熱10分後、10MPaの圧力で10分間加圧圧縮成形を行った。この成形品表面のシルバー発生状態で評価した。
◎;全くシルバーの発生なし。
○;シルバーが成形品表面の1/4未満。
△;シルバーが成形品表面の1/2未満。
×;シルバーが1/2〜全面に発生。
(2)組成物の熱安定性
実施例及び比較例で用いた原料ペレット及びポリオキシメチレン樹脂にマスターバッチを配合した組成物の熱安定性は、ペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度230℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100GN)を用いて、金型温度70℃の条件で滞留成形を行い、成形品表面にシルバーが発生するまでの時間を測定した。
(3)物性評価
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100E)を用いて、金型温度70℃、冷却時間30秒の条件で物性評価用試験片を成形した。この試験片を用いて下記の試験を行った。
1;引張強度、伸度;ASTM D638に基づいて測定。
2;曲げ弾性率;ASTM D790に基づいて測定。
3;アイゾッド衝撃強度;ASTM D256に基づいて測定。
(4)体積抵抗
体積抵抗測定装置(アドバンテスト(株)製R8340A+R12704B)を用いて、ASTMD991に準拠して測定した。
(5)アウトガス
1;前処理方法;ペレットを100℃に設定された熱風乾燥機で3時間乾燥。
2;測定方法;GC−MS法、試料1.0gをヘリウムガス中で90℃に加熱し、ヘリウムガスを50ml/minでパージし、発生したガスを180分間吸着管に吸着させた。次にこの吸着管をGC−MS(ヒューレットパッカード社製、GC−5890+MSD−5972A)にセットし脱着させ、非極性カラムを用い基準物質にヘキサデカンを用いてアウトガスを測定した。
(6)対金属摺動性
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された1オンス成形機(東洋機械金属(株)製 TI−30G)で金型温度70℃、冷却時間20秒の条件で、厚さ3mmの平板を成形し試験片とした。この試験片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製 AFT−15MS型)を用いて荷重19.6N、線速度30mm/sec、往復距離20mm、および環境温度23℃の条件で5,000回往復し、摩擦係数と摩耗量を測定した。相手材料としては、SUS304試験片(直径5mmの球)を用いた。
[参考例1]
(A−1)成分のポリオキシメチレン樹脂(a−1)を4500g/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、下流に設けられたサイドフィード口(1)から(b−1)成分のカーボンナノチューブを500g/hrでフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。サイドフィード口(1)では(a−1)成分は溶融状態にあることを確認した。また、サイドフィード口(1)の下流にはベント口を設け真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて評価を行い、結果を表1に示す。
[参考例2〜5]
実施例1の(a−1)成分に変えて、表−1に示す成分を使用する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
[参考例6]
実施例1の(b−1)成分をメインフィード口にフィードする以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
[参考例7〜9]
実施例1の(a−1)成分に加えて表−1に示す(C)分散改良材(c−1〜3)成分をメインフィード口から250g/hrでフィードする以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
[参考例10]
参考例7の(c−3)成分をサイドフィード口(1)から添加することに変更する以外は参考例7と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
[参考例11,12]
参考例1、参考例6の(b−1)成分を(b−2)成分に変える以外は参考例1、参考例6と全く同様に実施した、結果を表1に示す。
[参考例13]
(A−1)成分のポリオキシメチレン樹脂(a−1)を4900g/hr、(b−1)を100g/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行い、下流に設けたベント口から真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。結果を表1に示す。
[実施例1]
(A−2)成分のポリオキシメチレン樹脂として(a−1)を80重量部、実施例1で作ったマスターバッチ(MB1)を20重量部の割合で均一に混合し、10kg/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。サイドフィード口(1)、サイドフィード口(2)は閉止し、サイドフィード口(2)の下流にはベント口を設け真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて評価を行い、結果を表2に示す。
[実施例2、3][比較例1〜3]
実施例1のマスターバッチ(MB1)を表2に示す成分に変更する以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
[実施例5〜8]
実施例1のマスターバッチ(MB1)成分を表2に示す成分と量にする以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例1の(A−2)成分を表2に示す成分にする以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
[実施例10]
(A−2)成分のポリオキシメチレン樹脂として(a−1)を80重量部、実施例1で作ったマスターバッチ(MB1)を20重量部、および潤滑剤(c−1)を1重量部の割合で均一に混合し、10kg/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。サイドフィード口(1)、サイドフィード口(2)は閉止し、サイドフィード口(2)の下流にはベント口を設け真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて評価を行い、結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例10の(c−1)成分を(c−2)成分に変更する以外は実施例10と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
[比較例4]
参考例13のカーボンマスターバッチ(MB13)を用いそのまま物性測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004913380
Figure 0004913380
本発明の熱安定性とアウトガスの改良されたポリオキシメチレン樹脂製ハードディスクランプを提供する物であり、その他の分野においても有用な材料である。

Claims (8)

  1. (A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプであって、
    (B)カーボンナノチューブが、予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチとして添加し、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練した組成物を成形して得られるハードディスクランプ。
  2. さらに(D)高分子潤滑材および(E)潤滑剤の中から選ばれる少なくとも1種を必要により0.1〜20重量部添加することを特徴とする請求項1に記載のハードディスクランプ。
  3. (C)分散性改良材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル基を含有する樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂及びそれらの変性物、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のハードディスクランプ。
  4. 前記(D)高分子潤滑材を含み、当該(D)高分子潤滑材が、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネートとポリアルキレンオキサイド及び必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体、ポリアミドエラストマーおよびフッソ系樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3に記載のハードディスクランプ。
  5. 前記(E)潤滑剤を含み、当該(E)潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれた少なくとも一種である請求項2乃至4のいずれか一項に記載のハードディスクランプ。
  6. ポリオキシメチレン樹脂組成物が体積抵抗率が10 11 Ω・cm以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のハードディスクランプ。
  7. ロゲン系溶剤、脂肪族・芳香族炭化水素、アルコール類、液化炭酸ガス、界面活性剤を含有する水および純水から選ばれる少なくとも1種の溶剤で洗浄した後で使用される請求項1乃至6のいずれか一項に記載のハードディスクランプ。
  8. (A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプの製造方法であって、
    予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチを製造し、
    得られたマスターバッチを、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練し、得られた組成物を成形して得られる、ハードディスクランプの製造方法。
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