JP4913380B2 - ポリオキシメチレン樹脂製ハードディスクランプ - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
1.(A)ポリオキシメチレン樹脂100 重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプであって、
(B)カーボンナノチューブが、予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチとして添加し、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練した組成物を成形して得られるハードディスクランプ。
2.さらに(D)高分子潤滑材および(E)潤滑剤の中から選ばれる少なくとも1種を必要により0.1〜20重量部添加することを特徴とする前記1に記載のハードディスク用ランプ。
3.(C)分散性改良材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル基を含有する樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂及びそれらの変性物、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である前記1又は2に記載のハードディスクランプ。
4.前記(D)高分子潤滑材を含み、当該(D)高分子潤滑材が、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネートとポリアルキレンオキサイド及び必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体、ポリアミドエラストマーおよびフッソ系樹脂から選ばれる少なくとも1 種である前記2又は3に記載のハードディスクランプ。
5.前記(E)潤滑剤を含み、当該(E)潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれた少なくとも一種である前記2乃至4のいずれか一に記載のハードディスクランプ。
6.ポリオキシメチレン樹脂組成物が体積抵抗率が10 11 Ω・cm以下である前記1乃至5のいずれか一に記載のハードディスクランプ。
7.ハロゲン系溶剤、脂肪族・芳香族炭化水素、アルコール類、液化炭酸ガス、界面活性剤を含有する水および純水から選ばれる少なくとも1種の溶剤で洗浄した後で使用される前記1乃至6のいずれか一に記載のハードディスクランプ。
8.(A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプの製造方法であって、
予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチを製造し、
得られたマスターバッチを、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練し、得られた組成物を成形して得られる、ハードディスクランプの製造方法。
本発明の(A−1)成分に用いられるポリオキシメチレン共重合体は、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールなどの環状コモノマーを共重合させて得られた炭素数2〜8」のオキシアルキレン単位をオキシメチレンに対して、0.3〜15モル%を含有するオキシメチレン共重合体である。(このポリオキシメチレン共重合体のコモノマーとは前記した環状コモノマーを指し以下に述べる水素添加液状ポリブタジエンは含まない。)さらにポリオキシメチレン共重合体として、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエン残基を有するポリオキシメチレンブロック共重合体の使用も好ましい。
また、本発明で用いるポリオキシメチレン共重合体(A−1)、(A−2)およびポリオキシメチレンホモポリマー(A−3)のメルトフローレイト(ASTM−D1238−57Tの条件で測定)は、0.5〜100g/10分の範囲、好ましくは1.0〜80g/10分、さらに好ましくは3〜60g/10分、より好ましくは5〜60g/10分の範囲である。メルトフローレイトが0.5g/10分以上では成形加工性が良好であり、100g/10分以下では物性が良好である。さらに、(A−1)のメルトフローレイトは(A−2)および(A−3)と同等か高いメルトフローレイトのものがカーボンナノチューブの分散性の点から好ましい。
例えば、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)である。
これらヒンダードフェノール系酸化防止剤のなかでも、トリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。これら酸化防止剤はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部の範囲で用いられる。
(A−1)と(B)成分でマスターバッチとする場合は、(A−1)と(B)をメインフィード口に一括投入して製造することも可能であるが、マスターバッチおよび最終組成物の熱安定性、導電性の観点から、サイドフィード口が2箇所以上あるニ軸押出機を用いて、メインフィード口から(A−1)成分をフィードし、下流にある一箇所以上のサイドフィード口から(B)成分と必要により(A−1)成分をフィードする方法が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、一般式(1)で示すオレフィン系化合物のホモおよび共重合体もしくはその変性体である。
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R2
〔式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシル基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を意味する。〕
ポリマーの場合は重量平均分子量で10,000〜500,000の範囲が好ましく、20,000〜400,000の範囲がより好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールがあげられる。
これらの脂肪酸はヒドロキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。
アルコールとジカルボン酸のエステルはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和の一級アルコールとシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸等のジカルボン酸とのモノエステル、ジエステル及びこれらの混合物である。これらのアルコールとジカルボン酸のエステルの中では、炭素数10以上のアルコールとジカルボン酸とのエステルが好ましい。
第2のグループは、第1のグループと脂肪族アルコールとのエーテル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)等が挙げられる。
例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)等が挙げられる。
これらの分散剤(C)は(A−1)ポリオキシメチレン共重合体、(B)カーボンナノチューブとともに溶融混練して用いられる。これらの分散改良材を用いる場合の配合割合は(A−1)ポリオキシメチレン共重合体に対して、0.1〜20重量%の範囲で、好ましくは0.2〜15重量部であり、さらに好ましくは0.3〜10重量部の範囲である。0.1重量%未満では分散性の加療効果が十分でなく、20重量部を超えると剛性の低下により摩擦摩耗性が悪化するため好ましくない。
(ii)(A−1)成分をメインフィーダーからフィードし、1個所以上のサイドフィーダーから(B)成分、(C)成分と必要により(A−1)成分をフィードする方法
(iii)(C)成分、(B)成分と必要により(A−1)成分をメインフィーダーからフィードし、残りの(A−1)成分を1個所以上のサイドフィーダーからフィードする方法
などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、一般式(1)で示すオレフィン系化合物のホモおよび共重合体もしくはその変性体である。
H2C=C−R3 (2)
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R4
〔式中、R3は水素原子又はメチル基であり、R4 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシル基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を意味する。〕
ポリアミドエラストマーとしては、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエーテルアミドである。ポリエーテルエステルアミドは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとポリエーテルまたはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物とからなるブロック共重合体である。両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは(1)ラクタムの開環重合体、(2)アミノカルボン酸の重縮合体若しくは(3)ジカルボン酸とジアミンの重縮合体であり、(1)のラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。(2)のアミノカルボン酸としてはω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。(3)のジカルボン酸としてはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、イソフタル酸等が挙げられ、またジアミンとしてはヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられる。
ポリエーテルアミドは(1)ポリアミド形成モノマー、(2)アミノ末端基及び/またはカルボキシル基末端を有するポリエーテル、(3)(2)の末端基に実質的等量の脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸および/またはジアミンを出発原料として重縮合により製造される。
(1)ポリアミド形成モノマーとしては、ラクタム、アミノカルボン酸およびジアミンとジカルボン酸との塩が例示される。ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。アミノカルボン酸としてはω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。ジアミンとジカルボン酸との塩の具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−2,4,2−トリメチレヘキサメチレンジアミン、1,3−/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4‘アミノシクロヘキシル)メタン、m−/p−キシリレンジアミンのようなジアミンとシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸のようなジカルボン酸との塩が挙げられる。
(3)脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びダイマー酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等をカップリングあるいはカップリングとそれに続く水素添加によって得られる二量化脂肪酸)が挙げられる。脂肪族、脂環族および芳香族ジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ダイマージアミン(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸のような不飽和脂肪酸の二量体のアミノ化物)が挙げられる。このポリエーテルアミドの製造方法は特開平4−168145号公報に示されている。
フッソ樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンペーフルオロアルコキシビニルエーテルコポリマー(PFA)、ポリクロロテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、低融点エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンペーフルオロアルコキシビニルエーテルコポリマー(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、低融点エチレンテトラフルオロエチレンコポリマーが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が摺動性付与の点で最も好ましい。
本発明の(E)成分に用いられる潤滑剤はアルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール及び平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物の中から選ばれる少なくとも一種である。
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられ、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール等があげられる。
H2C=C−R5 (3)
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R6
(R5、R6は水素、アルキル基、アリール基、エーテル基より選ばれ、各々同一でも異なっていても良い。mは平均重合度で10〜500である。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等であり、アリール基としては、例えばフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ベンジル基、p−ブチルベンジル基、トリル基、キシリル基等がある。またエーテル基としては例えばエチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基等がある。)
これら潤滑剤を用いる場合の配合割合はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。添加量が0.1重量部未満では摺動性の改良効果が不十分であり、20重量部を超えて添加すると、剛性の低下、摩耗量が増加するとともにハクリが悪化するため好ましくない。
本発明のハードディスクランプの体積抵抗率は1011Ω・cm以下である事が好ましく、より好ましくは1010Ω・cm、さらに好ましくは109Ω・cm以下である。
さらに本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリオキシメチレン樹脂で用いられる各種の添加剤、例えば、本願記載以外の潤滑剤、耐衝撃改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを用いることが出来る。
本発明の成形体は、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、ガスアシスト中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、押出成形或いは押出成形法等の成形法で成形され、更に必要により切削加工される。本発明の成形体はハードディスクランプ以外でも、導電性や帯電防止性能を必要とする部品に用いることも可能である。
具体的には、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、ガイド、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、メーター文字車、バックル、ファスナー、プラホック、リール、シャフト、関節、軸、軸受け、ガイド等の摺動部品である。
[使用成分の内容]
A.ポリオキシメチレン樹脂
a−1;熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を80℃に調整し、水+蟻酸=4ppmであるトリオキサンを40モル/hrで、同時に環状ホルマールとして1、3−ジオキソランを0.65モル/hrで重合機に供給し、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解下させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し5×10−5モルになるように、また連鎖移動剤としてメチラール[(CH3O)2CH2]をトリオキサン1モルに対し2×10−3モルになるように連続的にフィードし重合を行った。重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った後、そのポリマーを濾過、洗浄し、濾過洗浄後の粗ポリオキシメチレン共重合体1重量部に対し、第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を窒素の量に換算して20重量ppmになるよう添加し、均一に混合した後120℃で乾燥した。
a−3;a−1の1、3−ジオキソランを0.14モル/hrとした以外A−1と全く同様に実施した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが0.10モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が10分、曲げ弾性率2900MPaでメルトフローレイト9.8g/10分であった。
a−4;a−1の1、3−ジオキソランを2.0モル/hrとした以外A−1と全く同様に実施した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが1.5モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が100分、曲げ弾性率2600MPaでメルトフローレイト9.1g/10分であった。
a−5;a−1の重合後のポリマーを濾過、洗浄した後に、第4級アンモニウム化合物を添加せずに乾燥した以外はA−1と同様に製造した。得られたポリオキメチレン共重合体はコモノマーが0.51モル%(オキシメチレンユニットに対して)含有する、230℃滞留成形によるシルバー発生時間が15分で、曲げ弾性率2750MPaでメルトフローレイト9.8g/10分であった。
a−6;テナック4010(旭化成ケミカルズ(株)製) 230℃滞留成形によるシルバー発生時間が15分で、曲げ弾性率3000MPaでメルトフローレイト8.6g/10分
b−1;平均繊維径10nm、平均長さ10μm(アスペクト比1000)のカーボンナノチューブ。
b−2;ケッチェンブラック EC600JD(ライオン・アクゾ(株)製)
C.分散改良材
c−1;ポリエーテルを含むポリマー メルポールF−220(三洋化成工業(株)製)
c−2;エチレンブテンコポリマー タフマーA70090(三井化学(株))
c−3;PEG(分子量6000)
(1)マスターバッチの熱安定性
実施例及び比較例で得られたマスターバッチのペレットを80℃で3時間乾燥した後、200℃に設定された圧縮成形機を用い厚み3mmの平板を、予熱10分後、10MPaの圧力で10分間加圧圧縮成形を行った。この成形品表面のシルバー発生状態で評価した。
◎;全くシルバーの発生なし。
○;シルバーが成形品表面の1/4未満。
△;シルバーが成形品表面の1/2未満。
×;シルバーが1/2〜全面に発生。
(2)組成物の熱安定性
実施例及び比較例で用いた原料ペレット及びポリオキシメチレン樹脂にマスターバッチを配合した組成物の熱安定性は、ペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度230℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100GN)を用いて、金型温度70℃の条件で滞留成形を行い、成形品表面にシルバーが発生するまでの時間を測定した。
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100E)を用いて、金型温度70℃、冷却時間30秒の条件で物性評価用試験片を成形した。この試験片を用いて下記の試験を行った。
1;引張強度、伸度;ASTM D638に基づいて測定。
2;曲げ弾性率;ASTM D790に基づいて測定。
3;アイゾッド衝撃強度;ASTM D256に基づいて測定。
(4)体積抵抗
体積抵抗測定装置(アドバンテスト(株)製R8340A+R12704B)を用いて、ASTMD991に準拠して測定した。
1;前処理方法;ペレットを100℃に設定された熱風乾燥機で3時間乾燥。
2;測定方法;GC−MS法、試料1.0gをヘリウムガス中で90℃に加熱し、ヘリウムガスを50ml/minでパージし、発生したガスを180分間吸着管に吸着させた。次にこの吸着管をGC−MS(ヒューレットパッカード社製、GC−5890+MSD−5972A)にセットし脱着させ、非極性カラムを用い基準物質にヘキサデカンを用いてアウトガスを測定した。
(6)対金属摺動性
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された1オンス成形機(東洋機械金属(株)製 TI−30G)で金型温度70℃、冷却時間20秒の条件で、厚さ3mmの平板を成形し試験片とした。この試験片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製 AFT−15MS型)を用いて荷重19.6N、線速度30mm/sec、往復距離20mm、および環境温度23℃の条件で5,000回往復し、摩擦係数と摩耗量を測定した。相手材料としては、SUS304試験片(直径5mmの球)を用いた。
(A−1)成分のポリオキシメチレン樹脂(a−1)を4500g/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、下流に設けられたサイドフィード口(1)から(b−1)成分のカーボンナノチューブを500g/hrでフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。サイドフィード口(1)では(a−1)成分は溶融状態にあることを確認した。また、サイドフィード口(1)の下流にはベント口を設け真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて評価を行い、結果を表1に示す。
実施例1の(a−1)成分に変えて、表−1に示す成分を使用する以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
実施例1の(b−1)成分をメインフィード口にフィードする以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
実施例1の(a−1)成分に加えて表−1に示す(C)分散改良材(c−1〜3)成分をメインフィード口から250g/hrでフィードする以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
参考例7の(c−3)成分をサイドフィード口(1)から添加することに変更する以外は参考例7と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
参考例1、参考例6の(b−1)成分を(b−2)成分に変える以外は参考例1、参考例6と全く同様に実施した、結果を表1に示す。
(A−1)成分のポリオキシメチレン樹脂(a−1)を4900g/hr、(b−1)を100g/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行い、下流に設けたベント口から真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。結果を表1に示す。
(A−2)成分のポリオキシメチレン樹脂として(a−1)を80重量部、実施例1で作ったマスターバッチ(MB1)を20重量部の割合で均一に混合し、10kg/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。サイドフィード口(1)、サイドフィード口(2)は閉止し、サイドフィード口(2)の下流にはベント口を設け真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて評価を行い、結果を表2に示す。
実施例1のマスターバッチ(MB1)を表2に示す成分に変更する以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例1のマスターバッチ(MB1)成分を表2に示す成分と量にする以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例1の(A−2)成分を表2に示す成分にする以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
(A−2)成分のポリオキシメチレン樹脂として(a−1)を80重量部、実施例1で作ったマスターバッチ(MB1)を20重量部、および潤滑剤(c−1)を1重量部の割合で均一に混合し、10kg/hrで、200℃に設定されたL/D=42の25mmφ二軸押出機のメインフィード口にフィードし、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。サイドフィード口(1)、サイドフィード口(2)は閉止し、サイドフィード口(2)の下流にはベント口を設け真空脱気を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて評価を行い、結果を表2に示す。
実施例10の(c−1)成分を(c−2)成分に変更する以外は実施例10と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
参考例13のカーボンマスターバッチ(MB13)を用いそのまま物性測定を行った。結果を表2に示す。
Claims (8)
- (A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプであって、
(B)カーボンナノチューブが、予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチとして添加し、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練した組成物を成形して得られるハードディスクランプ。 - さらに(D)高分子潤滑材および(E)潤滑剤の中から選ばれる少なくとも1種を必要により0.1〜20重量部添加することを特徴とする請求項1に記載のハードディスクランプ。
- (C)分散性改良材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル基を含有する樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂及びそれらの変性物、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のハードディスクランプ。
- 前記(D)高分子潤滑材を含み、当該(D)高分子潤滑材が、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネートとポリアルキレンオキサイド及び必要により低分子ジオール化合物を重合して得られる重合体、ポリアミドエラストマーおよびフッソ系樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3に記載のハードディスクランプ。
- 前記(E)潤滑剤を含み、当該(E)潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリアルキレングリコール類および平均重合度が10〜500のオレフィン化合物から選ばれた少なくとも一種である請求項2乃至4のいずれか一項に記載のハードディスクランプ。
- ポリオキシメチレン樹脂組成物が体積抵抗率が10 11 Ω・cm以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のハードディスクランプ。
- ハロゲン系溶剤、脂肪族・芳香族炭化水素、アルコール類、液化炭酸ガス、界面活性剤を含有する水および純水から選ばれる少なくとも1種の溶剤で洗浄した後で使用される請求項1乃至6のいずれか一項に記載のハードディスクランプ。
- (A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)平均径が3〜80nmでL/Dが50以上であるカーボンナノチューブ0.1〜15重量部とからなり、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が7分以上であるポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるハードディスクランプの製造方法であって、
予め、(A−1)コモノマー量0.3〜15モル%であり、かつ、230℃で滞留成形した時のシルバー発生時間が20分以上であるポリオキシメチレン樹脂共重合体100重量部とカーボンナノチューブ0.5〜35重量部及び必要により(C)分散性改良材0.1〜20重量部とを溶融混練したマスターバッチを製造し、
得られたマスターバッチを、(A−2)コモノマー量0.1〜15モル%のポリオキシメチレン共重合体、(A−3)末端の安定化されたポリオキシメチレンホモポリマーから選ばれる少なくとも一種と溶融混練し、得られた組成物を成形して得られる、ハードディスクランプの製造方法。
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