JP5290494B2 - パーフルオロエラストマー - Google Patents

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Description

本発明は、−10℃よりも低いTg(ガラス転移温度)を有し、広い温度範囲、高温および低温で、機械的および圧縮永久歪の性質がともに改善されたパーフルオロエラストマーに関するものである。
特に、本発明は、−10℃よりも低いTgを有し、-COF末端基が以下に示される方法で検知できない、実質的に-COF末端基を有しないパーフルオロエラストマーに関するものである。本発明のパーフルオロエラストマーは、改善された固有粘度から分かるように改善された分子量を示し、改善された生産性を有する重合方法により得ることができる。
パーフルオロエラストマーが、耐熱および耐薬品性ならびに良好な機械的および圧縮永久歪の性質を併せて有しているために、航空宇宙、石油、石油化学および半導体の産業で特に有用なポリマーであることは周知のことである。しかしながら、これらのポリマーが、広い温度範囲、高温および低温で、改善された上記の性質を併せもつことが必要である。
パーフルオロエラストマーの使用者によって強く要求される、上記の性質を併せもったものを得るために、種々のパーフルオロエラストマーが、先行技術の中で提案されている。しかしながら、先行技術において、パーフルオロエラストマー中の-COF末端基の値は報告されていない。深く研究したのち、本出願人は、もし重合で-COF末端基を有するポリマーが得られるなら、そのパーフルオロエラストマーは高い機械的および弾性の性質を示さないことを見出した。
ガラス転移温度が報告されている種々のパーフルオロエラストマーが、先行技術の中で知られている。しかしながら、先行技術において、低いTgで且つ高温および低温で改善された機械的およびゴム弾性の性質を併せもつものは得られていない。
US特許3,132,123(特許文献1)は、TFEのホモポリマーおよびコポリマーであるパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造を記載している。ホモポリマーは、4,000〜18,000 atmの重合圧力を用いる極端な実験条件で得られる。そこで記載されているビニルエーテルの一般式は、次の:
CF2=CFOR0 F
(ここで、R0 Fは、好ましくは1〜5の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基である)である。本出願人により行われた試験で、このホモポリマーのTgは極めて低くはなく、−6℃程度であることが分かった。
US特許3,450,684(特許文献2)は、式:
CF2=CFO(CF2CFX0O)n'CF2CF2X0
(ここで、X0=F、Cl、CF3、Hであり、n'は1〜20である)
のビニルエーテルに関するものである。UV重合で得られるホモポリマーも報告されている。例示されたコポリマーは、低温での機械的およびゴム弾性の性質で特徴付けられていない。
US特許3,635,926(特許文献3)は、パーフルオロビニルエーテルのTFEとの乳化共重合に関するものである。-COF末端基が存在するとポリマーを不安定にすることが強調されている。同じことが、US特許3,085,083(特許文献4)中、溶媒中でのパーフルオロビニル−エーテルの重合系で、既に報告されていた。
US特許3,817,960(特許文献5)は、式:
CF3O(CF2O)n''CF2CF2OCF=CF2
(ここで、n''は1〜5の間を変化できる)
のパーフルオロビニルエーテルの製造および重合に関するものである。ビニルエーテルの合成は複雑である。上記性質に関する特徴づけデータは報告されていない。
US特許3,896,179(特許文献6)は、「一級の」パーフルオロビニルエーテル異性体、例えばCF3CF2CF2OCF=CF2の、対応する「二級の」より不安定な異性体、例えばCF3(CF3)CFOCF=CF2からの分離に関するものである。後者は、ポリマーの製造および得られたポリマーの劣った性質の点で、望ましくない物質である。
US特許4,487,903(特許文献7)は、式:
CF2=CF(OCF2CFY0)n 0OX2
(ここで、n0は1〜4であり;Y0=F、Cl、CF3、Hであり;X2はC1-C3パーフルオロアルキル、C1-C3ω-ヒドロパーフルオロアルキル、C1-C3ω-クロロパーフルオロアルキルであり得る)
のパーフルオロビニルエーテルを用いるフルオロエラストマーコポリマーの製造に関するものである。このポリマーは、15〜50モル%の範囲のフルオロビニルエーテル単位を含んでいる。該ビニルエーテルは、上記PVE(パーフルオロプロピルビニル−エーテル)およびMVEタイプのパーフルオロビニルエーテルからのものよりも、低温でより高い特性を有するコポリマーを与える。
この特許に、低温で良好な特性を有するためには、二重結合に隣接した側鎖中に少なくとも二つのエーテル結合が存在することが必要であると開示されている。さらに、この特許から、n0の値が4よりも大きいものは、モノマーの精製が困難で、Tgを下げる効果は低い。
そのうえ、記載されているビニルエーテルの反応性は非常に低く、上記用途のための良好なゴム弾性を与えることができる高い分子量を有するポリマーを得ることは困難である。−32℃のTgを有し、31/69重量%のTFE/パーフルオロビニルエーテル(n0=2)コポリマーが例示されている。しかしながら、このポリマーは、非常に長時間の反応(96時間の重合)により得られる。この場合も、硬化エラストマーを特徴付けるデータは記載されていない。
EP 130,052(特許文献8)は、−15℃〜−100℃の範囲のTgを有する非晶質パーフルオロポリマーを与えるパーフルオロビニルポリエーテル(PVPE)の重合を記載している。この特許中に、TFEおよびMVEと、式:
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n'''R0 f'
(ここで、n'''は3〜30であり、R0 f'はパーフロオロアルキルである)
のビニルエーテル(PVPE)とのコポリマーおよびターポリマーが記載されている。精製が困難なために、用いられたビニルエーエルは、異なるn'''値をもったビニルエーテル混合物である。
この特許によると、Tgの低下への顕著な効果は、n'''が3以上、好ましくは4より大きいときに認められる。該特許に記載された重合実施例によると、最終ポリマー塊は、熱および真空下での処理に次いで、全ての未反応モノマー(PVPE)を除くために、フレオン(商標)TFで洗浄されなければならない。実施例から、記載されたモノマー(PVPE)全てについて、反応性が劣っていることが認められる。
US特許4,766,190(特許文献9)は、US特許4,487,903のそれと同様のパーフルオロビニルポリエーテル(PVPE)と、TFEおよび得られるポリマーの機械的性質を増すための低い割合のパーフルオロプロペンとの重合に関するものである。
US特許5,401,818(特許文献10)は、式:
R1 f(OCF2CF2CF2)m'-OCF=CF2
(ここで、R1 fはC1-C3パーフルオロアルキル基であり、m'は1〜4までの整数)
のパーフルオロビニルエーテルおよび低温で改善された性質を有する各コポリマーの製造に関するものである。該パーフルオロビニルエーテルの製造は、7工程により行われ、それらのいくつかは非常に低収率であり、元素状態のF2でのパーフルオロ化も含んでいる。いずれにしても、該パーフルオロビニルエーテルの反応性は低い。
先行技術によって示されるその他の問題点は、パーフルオロビニルエーテルの低い反応性が、反応粗生成物からの未反応モノマーの回収を必要とする(GB 1,514,700(特許文献11))こと、および-C(O)F末端基を有するポリマーの安定性の問題(US特許3,635,926(特許文献12))に関するものである。後者は、ポリマーの安定性を増すために適切な反応物でさらに変換され得る(EP 178,935(特許文献13))。
パーフルオロオキシアルキルビニルエーテルは、さらに、フッ素化ゴムに低温での良好な性質を与えるため、特にガラス転移温度を下げるために用いられる。
パーフルオロオキシアルキレン単位の増加により、コポリマーのTgは下がるが、同時にビニルエーテルの反応性が著しく減少し、良好な性質のポリマーを得るための充分に高い分子量のポリマーを得ることを、困難にまたは不可能にする。さらに、重合粗生成物からまたはポリマー自身から未反応のモノマーを回収するために示された前記問題点は、まだ存在する(US特許4,487,903−EP 130,052)。
パーフルオロメチルビニルエーテルとの非晶質TFEコポリマーは、約0℃または少し低いTgを有する(Maskornik, M.ら"ECD-006 Fluoroelastomer - A high performance engineering material", Soc. Plast Eng. Tech. Pao. (1974), 20, 675-7(非特許文献1))。
MVEホモポリマーに対するTgの外挿値は約−5℃である(J. Macromol. Sci.-Phys., B1(4), 815-830, Dec. 1967(非特許文献2))。
フルオロエラストマーを得るためのビニルエーテルについて記載しているその他の特許も知られている。US特許6,255,536(特許文献14)および WO 99/48,939(特許文献15)を参照。
特許出願EP 1,308,467(特許文献16)は、式CFXA=CXAOCF2ORA(ここで、XA=F、H;RAはC2-C6パーフルオロアルキル、パーフルオロオキシアルキルまたはC5-C6環式(パー)フルオロアルキルである)のフルオロアルコキシビニルエーテルを含むパーフルオロエラストマーについて記載している。
特に、次のパーフルオロアルコキシビニルエーテル:CF2=CFOCF2OCF2CF3(MOVE 1)およびCF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3(MOVE 2)が記載されている。実施例に、該パーフルオロアルコキシビニルエーテルを多くても約40%含むパーフルオロエラストマーが記載されている。TFEとMOVEのパーフルオロエラストマーは、-COF末端基を有する。比較実施例を参照。TFEを60モル%以下含むポリマー組成物を製造するためには、長い重合時間が必要である。工業的観点から、生産性を悪くするので、これは欠点となる。
パーフルオロポリマー中の-COFまたは別のタイプの末端基を除去するかまたは減らすための方法が、先行技術中に記載されている。例えば、特許出願EP 1,256,591(特許文献17)を参照。いったんポリマーが得られ、-COF末端基を除去することは、ある用途、例えば、パーフッ素化非晶質ポリマーが眼への用途に使用されるときに、有利となる。しかしながら、この処理後に、機械的性質は改善せず、それゆえ、技術的問題、すなわち広い温度範囲、高温および低温で、機械的および圧縮永久歪の性質が併せて改善されたパーフルオロエラストマーを入手するという問題は解決されない。
US特許第3,132,123号 US特許第3,450,684号 US特許第3,635,926号 US特許第3,085,083号 US特許第3,817,960号 US特許第3,896,179号 US特許第4,487,903号 EP特許第 130,052号 US特許第4,766,190号 US特許第5,401,818号 GB特許第1,514,700号 US特許第3,635,926号 EP 特許第178,935号 US特許第6,255,536号 WO 99/48,939号 特許出願EP 特許第1,308,467号 特許出願EP 特許第1,256,591号 Maskornik, M.ら"ECD-006 Fluoroelastomer - A high performance engineering material", Soc. Plast Eng. Tech. Pao. (1974), 20, 675-7 J. Macromol. Sci.-Phys., B1(4), 815-830, Dec. 1967
以下の性質:
− −10℃より低い、好ましくは−20℃より低い、より好ましくは−35℃より低い、特に−40℃より低いTg;
− -COF末端基が以下に示される方法で検知できない、実質的に-COF末端基を有しない;
− 固有粘度の高い値により示される改善された分子量;
− 広い温度範囲、高温および低温における、改善された機械的および圧縮永久歪の性質;
− (ポリマー Kg)/(時間×水リッター)で表される、パーフルオロエラストマーを得るための方法の改善された生産性;
を併せもったパーフルオロエラストマーを入手することの必要性が感じられていた。
本出願人が、驚くほど改善された上記の性質を併せもつ、パーフルオロエラストマーを見出したことは、驚嘆すべきことであり、予測できなかったことである。
本発明の目的は、−10℃より低い、好ましくは−20℃より低い、より好ましくは−35℃より低い、特に−40℃より低いガラス転移温度を有し、ここに記載される方法の感度限界よりも低い量の-COF末端基を有する、過酸化物 (peroxidic)ルートにより硬化できるパーフルオロエラストマーである。そのポリマーは、重合の最後に、凍結して凝固させ、次いで解凍することにより単離される。それを、脱イオン水で2回洗浄し、定量になるまで、ストーブ中で乾燥する。
-COF末端基はFT−IR分光分析法で決定され、ここで、厚さ50〜300ミクロンを有するポリマーフィルム上で、4000 cm-1〜400 cm-1の走査が行われ、次いで、フィルムは、飽和アンモニア蒸気中に12時間置かれ、最初のIRスペクトルと同じ条件でIRスペクトルが測定され、無処理試料のスペクトル(最初のスペクトル)シグナルに対して、アンモニア蒸気曝露後の試料スペクトルの対応シグナルを差し引くことにより、二つのスペクトルの「差」スペクトルが得られ、次式:
により標準化され、アンモニア蒸気と反応した末端基に関する光学濃度が測定される。光学濃度は、 M. Piancaらによる"End groups in fluoropolymers"、J. Fluorine Chem. 95 (1999) 71-84(ここに、参考文献として組み込まれる)の73ページ、表1に報告されている吸光係数を用いてmmol/ポリマーkgに変換される。計算された値は、ポリマーのKgに対する末端基-COFのミリモルとして残留-COF末端基の濃度を表す。パーフルオロエラストマーのスペクトルにおいて、COF基に関するバンド(1900〜1830 cm-1)は検知されない。上記方法の感度の限界は、0.05 mmol/Kgである。
具体的には、ポリマー中の-COF末端基の量は、ニコレット(商標) ネクサス FT-IR装置(256走査、解像度2cm-1)を用いて測定される。
本発明の好ましいパーフルオロエラストマーは、一般式:
(式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに同一または異なって、HまたはC1-C5アルキルであり;
Zは、任意に酸素原子を含んでいてもよい、C1-C18直鎖または分枝のアルキレンまたはシクロアルキレン基であり、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化されているか、本出願人の名前のEP 661,304中に記載されているような(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である)
のビス−オレフィンから誘導される単位も含む。
ビス−オレフィンの量は、一般的には、パーフルオロエラストマー構造を構成する上記モノマー単位100モルに対して0.01〜1.0モル%、好ましくは0.03〜0.5モル%、さらに好ましくは0.05〜0.2モルであり、モノマーの全合計は100%である。
式(I)において、Zは、好ましくはC4-C12、さらに好ましくはC4-C8のパーフルオロアルキレン基であり、一方、R1、R2、R3、R4、R5、R6は好ましくは水素である。
Zが(パー)フロオロポリオキシアルキレン基のとき、それは次の:
-CF2CF2O-、-CF2CF(CF3)O-、-CFX1O-(ここで、X1=F、CF3)、-CF2CF2CF2O-、
-CF2-CH2CH2O-、-C3F6O-
から選択される単位を含み得る。
好ましいZは、式:
-(Q)p-CF2O-(CF2CF2O)m(CF2O)n-CF2-(Q)p- (II)
(式中、Qは、C1-C10アルキレンまたはオキシアルキレン基であり、pは0または1であり、mおよびnは、m/n比が0.2〜5であるような数である)を有し、上記(パー)フロオロポリオキシアルキレン基の分子量は、500〜10,000、好ましくは700〜2,000の範囲である。
好ましいQは、-CH2OCH2-、-CH2O(CH2CH2O)sCH2-(ここで、sは1〜3である)から選択される。
式(I)(ここで、Zはアルキレンまたはシクロアルキレン基である)のビス−オレフィンは、例えば、I.L. Knunyantsらによる Izv. Akad. Nauk. SSSR, Ser. Khim., 1964(2), 384-6中に記載されいる方法により製造できる。(パー)フルオロポリオキシアルキレン構造を含むビス−オレフィンは、US特許3,810,817に記載されている。
さらに好ましいビス−オレフィンは、式:
CH2=CH-(CF2)t0-CH=CH2
(ここで、t0は6〜10の整数である)
を有する。
式:
CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2 (b)
のビス−オレフィンが特に好ましい。
本発明のパーフルオロエラストマーは、過酸化物ルートにより硬化する。このために、本発明の硬化性パーフルオロエラストマーは、好ましくはヨウ素および/または臭素を、さらに好ましくはヨウ素を、全ポリマー重量に対して、一般的に0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜2.5重量%含む。ヨウ素原子は、鎖中および/または末端に存在することができる。
鎖に沿ってヨウ素および/または臭素原子を導入するために、フルオロエラストマーの基礎モノマーの共重合が、ヨウ素および/または臭素を含む適切なフッ素化コモノマー(硬化サイトモノマー)とで行われる(US特許4,745,165、US特許4,831,085、US特許4,214,060、EP 683,149参照)。
ヨウ素を含む該フッ素化コモノマーは、例えば次の化合物:
(a)式:
I-Rf-O-CF=CF2 (III)
(ここで、Rfは、任意に塩素および/またはエーテル酸素原子を含んでいてもよい、C1-C12(パー)フルオロアルキレンである)
のヨード(パー)フルオロアルキル−パーフルオロビニルエーテル;例えば、ICF2-O-CF=CF2、ICF2CF2-O−CF=CF2、ICF2CF2CF-0-CF=CF2、CF3CFICF2-O-CF=CF2など;
(b)式:
I-R'f-CF=CF2 (IV)
(ここで、R'fは、任意に塩素原子を含んでいてもよいC1-C12(パー)フルオロアルキレンである)
のヨード−(パー)フルオロオレフィン;例えば、ヨードトリフルオロエチレン、1-ヨード-2,2-ジフルオロエチレン、ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロブテン-1,4-ヨード-パーフルオロブテン-1など;
(c)式:
CHR0=CH-Z0-CH2CHR0-I (V)
(ここで、R0はHまたは-CH3であり、Z0は、任意に一つ以上の酸素原子を含んでいてもよい、C1-C18直鎖または分枝の(パー)フルオロアルキレン基または上記で定義された(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である)
のヨード-(パー)フルオロオレフィン;
から選択され得る。
その他の硬化サイトのヨウ素化コモノマーは、ヨードフルオロアルキルビニルエーテルである(US特許4,745,165およびUS特許4,564,662を参照)。
あるいは、ヨウ素化コモノマーに加えて、パーフルオロエラストマーは、US特許4,501,869に記載されているように、ポリマー製造の間に反応媒体中に添加される適当なヨウ素化連鎖移動剤に由来するヨウ素原子を末端に含み得る。該連鎖移動剤は、式RA f(I)x(ここで、RA fは、任意に塩素原子を含んでいてもよいC1-C12(パー)フルオロアルキル基であり、xは1または2である)を有する。該連鎖移動剤は、例えば、CF2I2、I(CF2)6I、I(CF2)4I、CF2ClI、CF3CFICF2Iなどから選択され得る。
上記のように、ヨウ素化連鎖移動剤の添加により、鎖末端基としてヨウ素が導入されることは、例えば、US特許4,243,770およびUS特許4,943,622を参照。
特許出願EP 407,937により、連鎖移動剤として、アルカリまたはアルカリ土類金属ヨウ化物を用いることも可能である。
ヨウ素を含む連鎖移動剤と共に、酢酸エチル、マロン酸ジエチルなどの先行技術で公知のその他の連鎖移動剤も用いることができる。
パーフルオロエラストマーの末端におけるヨウ素の量は、フルオロエラストマーの重量に対して、一般的に0.001重量%〜3重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。US特許4,035,565およびUS特許4,694,045参照。
さらに、硬化性パーフルオロエラストマーは、ヨウ素との組み合わせの代わりに、臭素も鎖中および末端に含むことができる。鎖中の臭素は公知技術(例えば、US特許4,035,565、US特許4,745,165、EP 199,138を参照)により、末端の臭素はUS特許4,501,869に記載されているようにして導入することができる。
好ましいパーフルオロエラストマーは、鎖中および/または末端にヨウ素原子を含む。
本発明のパーフルオロエラストマーは、パーフルオロエラストマー+半結晶質(パー)フルオロポリマーの混合物の乾燥総重量に対する重量パーセントで、0〜70重量%、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは2〜30重量%の半結晶質(パー)フルオロポリマーを混合物として任意に含んでいてもよい。
半結晶質(パー)フルオロポリマーとは、ガラス転移温度Tgに加えて、少なくとも一つの結晶溶融温度を示す(パー)フルオロポリマーを意味する。
半結晶質(パー)フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)ホモポリマー、または少なくとも一つのエチレンタイプの不飽和を0.01モル%〜10モル%、好ましくは0.05モル%〜7モル%含む一つ以上のモノマーとのTFEコポリマーから構成される。
エチレン不飽和を有する上記コモノマーは、水素化およびフッ素化されたタイプの両方である。これら水素化されたものとして、エチレン、プロピレン、例えばメチルメタアクリレート、(メタ)アクリル酸、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルアクリレートのようなアクリルモノマー、スチレンモノマーが挙げられる。
フッ素化されたコモノマーとして、次のものが挙げられる:
− ヘキサフルオロプロペン(HFP)、ヘキサフルオロイソブテンのようなC3-C8パーフルオロオレフィン;
− ビニルフルオライド(VF)、ビニリデンフルオライド(VDF)、トリフルオロエチレンのようなC2-C8水素化フルオロオレフィン、パーフルオロアルキルエチレンCH2=CH-Rf(ここで、RfはC1-C6パーフルオロアルキルである);
− クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のようなC2-C8クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−フルオロオレフィン;
− CF2=CFORf (パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)(ここで、RfはC1-C6 (パー)フルオロアルキル、例えばCF3、C2F5、C3F7である);
− CF2=CFOX (パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル(ここで、XはC1-C12アルキル、または一つ以上のエーテル基を有するC1-C12オキシアルキルもしくは例えばパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルのようなC1-C12 (パー)フルオロ−オキシアルキルである);フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール。
PAVE、特にパーフルオロメチル−、エチル−、プロピルビニルエーテルおよびフルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソールが、好ましいコモノマーである。
本発明のパーフルオロエラストマーが半結晶質(パー)フルオロポリマーを含むときは、混合はパーフルオロエラストマーラテックスと半結晶質パーフルオロポリマーラテックスとを所望の割合で混合し、次いで得られる混合物をUS特許6,395,834およびUS特許6,310,142に記載されているように、共凝固することによって行われる。
あるいは、半結晶質(パー)フルオロポリマーを重合させ、次いでパーフルオロエラストマーを(パー)フルオロポリマー粒子上で重合させる。このようにしてコア−シェル構造が得られる。
本出願人は、上記の分析方法によれば、重合した後に-COF末端基がパーフルオロポリマー中に実質的に存在しないときには、広い温度範囲、高温および低温の両方で機械的および圧縮永久歪の性質の一番優れた組合せを得られることを見出した。
本発明のさらなる目的は、
− 0.05 mmol/Kgより少ない-COF末端基の量と上記で定義されたTgを有する本発明のパーフルオロエラストマー;
および
− 0.05 mmol/Kgよりも多い-COF末端基の量を含むポリマーから得られるパーフルオロエラスマー;
(但し、本発明のパーフルオロエラストマー量は、組成物中のパーフルオロエラストマーの全重量に対して、少なくとも5〜10重量%、好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは50重量%である)
を含む組成物である。
これらの組成物は、種々の方法で得ることができる。例えば、-COF末端基を与えるモノマーが、本発明の改善された性質を得るための重合で用いられるとき、モノマーの重合の一部は、上記の性質を併せもつものを得るために、実質的に-COF末端基を有しないポリマーの一定量が得られるよう、-COF末端基を与えるモノマーが存在しない状態で行われる。
例えば、-COF末端基を与えるモノマーが存在しない状態で行われる重合により得られるポリマーは、最終ポリマー重量に対して、少なくとも5〜10重量%、好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは50重量%でなければならない。代替方法は、実質的に-COF末端基を有しない本発明のポリマーと-COF末端基を有するポリマーとを上記の割合で混合するものである。
0.05 mmol/Kgよりも高い量の-COF末端基を含むパーフルオロエラストマーは、以下の:
− パーフルオロジオキソール、好ましくは次の式:
(式中、
Y=F、ORf1(ここで、Rf1はC1-C5パーフルオロアルキル、好ましくはRf1はCF3であり;
X1およびX2は、互いに同一か異なって、FおよびCF3から選択され、好ましくはFであり;
Z1はF、Clから選択され、好ましくはFである);
− 式CF2=CFORf(ここで、RfはC3パーフルオロアルキルである)のパーフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF2=CFOXa(ここで、Xaは一つ以上のエーテル基を有するC3-C12パーフルオロオキシアルキル、例えばパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルである)のパーフルオロオキシアルキルビニルエーテル;
− 一般式CFXAI=CXAIOCF2ORAI(A-I)(ここで、RAIはC2-C6直鎖、分枝、またはC5-C6環式のパーフルオロアルキル基、または1〜3の酸素原子を含むC2-C6直鎖または可能ならば分枝のパーフルオロオキシアルキル基であり、XAI=F)のパーフルオロビニルエーテル(MOVE)、一般式:CFXAI=CXAIOCF2OCF2CF2YAI(A-II)(ここで、YAI=F、OCF3)が好ましく、特に(MOVE 1) CF2=CFOCF2OCF2CF3(A-III)および(MOVE 2) CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3(A-IV)が好ましい;
から選択されるコモノマーを含む。
本発明の好ましい硬化性パーフルオロエラストマーは、次のモノマー(モルパーセントで)含む:
A)式:
CF2=CFOCF2OCF3 (a)
のモノマーを1%〜100%、好ましくは5%〜100%
B)少なくとも一つのエチレンタイプの不飽和を有する一つ以上のパーフッ素
化コモノマーを0%〜99%、好ましくは0%〜95%
モノマーのモルパーセントの合計は100%である(但し、コモノマーB)がTFEであるか、またはコモノマーB)の混合物がTFEを含むとき、そのTFE量はポリマーがゴム弾性であるような量でなければならないし、-COF末端基の量は上記のとおりである)。
該パーフルオロエラストマーは、好ましくは一つのビス−オレフィンを含む。
より具体的には、ポリマー中の-COF末端基の量は、ニコレット(商標)ネクサスFT-IR装置(256走査、分解能2 cm-1)を用いて測定される。
本発明のゴム弾性ポリマーは、結晶部分が実質的に存在しないので、DSC(示差走査熱量計)で融解ピークを示さないポリマーである。
コポリマーが、TFEを除いた他のコモノマー(B)を含まないとき、式(a)のモノマーの量は、一般的にゴム弾性ポリマーを得るために約15モル%よりも高い量である。
コモノマーB)は、次の:
− C2-C8パーフルオレフィン、例えばTFE、ヘキサフルオロプロペンのような;
− 式CF2=CFORf(ここで、RfはC1-C2パーフルオロアルキル、好ましくはRf=CF3である)のパーフルオロアルキルビニルエーテル
から選択される。
テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはパーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)が好ましいコモノマーB)である。
好ましい組成物(モル%で)は次のようなものであり、モノマーのモルパーセントの合計は100%であり、さらに好ましくは該組成物はビス−オレフィンを含む:
式(a)のモノマー:100%;
好ましくは式(a)のモノマー:99.0%〜99.99%、式(b)のビス−オレフィン1%〜0.01%;さらに好ましくは式(a)のモノマー:99.90〜99.99%、式(b)のビス−オレフィン0.1〜0.01%;
式(a)のモノマー:15〜40%、TFE:60〜85%;好ましくは式(a)のモノマー:18〜30%、TFE:69〜81.99%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
式(a)のモノマー:40〜99%、TFE:1〜60%;好ましくは式(a)のモノマー:39〜98.99%、TFE:1〜60%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
式(a)のモノマー:5〜40%、MVE:5〜30%、TFE:50〜85%;好ましくは式(a)のモノマー:5〜40%、MVE:5〜30%、TFE:50〜85%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
式(a)のモノマー:40〜99%、MVE:5〜30%、TFE:1〜60%;好ましくは式(a)のモノマー:40〜99%、MVE:5〜30%、TFE:1〜60%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%。
上記のように、本発明のパーフルオロエラストマーは、改善された上記の性質を併せもつことを示す。
本発明のパーフルオロエラストマーは、 例えばTR10およびTR70の値(ASTM D 1329)で示されるように、低温で良好な弾性の挙動を示す。
本発明のパーフルオロエラストマーは、−10℃よりも低いTgを有する先行技術のパーフルオロエラストマーと同じTgのもので比較され、改善された機械的および圧縮永久歪の性質ならびに高温でより高い耐性を示す。
パーフルオロメチルビニルエーテルをベースとしたパーフルオロエラストマー(非常に大量に売られているパーフルオロエラストマー)との比較により、本発明のパーフルオロエラストマーは、TR値で明らかなように、より低いTgおよび低温で改善された性質を示す。
本出願人が、本発明のパーフルオロエラストマーが、高い重合速度論をもって得られるので、高い分子量を有するホモポリマーおよびコポリマーを得ることが可能であることを見出したことは、予想されなかったことであり、驚嘆すべきことである。
本発明のパーフルオロエラストマーは高収率で得られるので、重合の最後に未反応モノマーの回収が無用となる。このことは、未反応モノマーの高額な回収方法を不要とするので、製造プラントを単純にする。
本発明のパーフルオロエラストマーの製造は、US特許4,789,717およびUS特許4,864,006に従い、パーフルオロポリオキシアルキレンのエマルジョン、分散体またはマイクロエマルジョンの存在下、水性エマルジョン中でのモノマーの重合により行われる。好ましい合成は、パーフルオロポリオキシアルキレン・マイクロエマルジョンの存在下に行われる。
先行技術で周知の方法により、例えばアルカリもしくはアンモニウムのパースルフェート、パーホスフェート、パーボレートまたはパーカーボネートのようなラジカル開始剤が、任意に、鉄、銅もしくは銀の塩またはその他の酸化され易い金属と組み合わせて用いられる。
反応媒体中に、種々の界面活性剤が任意に存在していてもよく、中でも式:
R3 f-Xk -M+
(ここで、R3 fは、C5-C16(パー)フルオロアルキル鎖または(パー)フルオロポリオキシアルキル鎖であり、Xk -は−COO-または−SO3 -であり、M+は、H+、NH4 +またはアルカリ金属イオンから選択される)
のフッ素化界面活性剤が特に好ましい。
最も一般的に用いられるものの中で、我々は、アンモニウムパーフルオロオクタノエート、末端に一つ以上のカルボキシ基をもった(パー)フルオロポリオキシアルキレンなどを思い出す。US特許4,990,283およびUS特許4,864,006を参照。
重合反応は、一般的に25℃〜150℃の温度で、大気圧〜10 MPaの圧力下で行われる。
ヨウ素および/または臭素を含む連鎖移動剤の代わりに、または組み合わせて、酢酸エチル、マロン酸ジエチル、エタンなどの先行技術で公知の他の連鎖移動剤が用いられ得る。
上記のように、本発明のパーフルオロエラストマーは、過酸化物ルートにより硬化する。
過酸化物による硬化において、好ましいパーフルオロエラストマーは、高分子の鎖中および/または末端に、ヨウ素および/または臭素原子を含む。
硬化配合物に次の成分が加えられる:
− 加熱によりラジカルを発生することができるパーオキサイド、例えば、ジアルキルパーオキサイド、特にジ-terブチル-パーオキサイドおよび2,5-ジメチル-2,5-ジ(terブチルパーオキシ)ヘキサン;例えばジクミルパーオキサイドのようなジアルキルアリールパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、ジterブチルパーベンゾエート;ジ[1,3-ジメチル-3-(terブチルパーオキシ)ブチル]-カーボネート。その他の過酸化物の系は、例えば欧州特許出願EP 136,596およびEP 410,351に記載されている。パーオキサイドの量は、ポリマーに対して、一般的に0.5重量%〜10重量%、好ましくは0.6重量%〜4重量%である;
− ポリマーに対して、一般的に0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の量の硬化剤;それらの中で、式(I)のビス−オレフィン;トリアリル-シアヌレート、トリアリル-イソシヌレート(TAIC)、トリス-(ジアリルアミン)-s-トリアジン;トリアリルホスファイト;N,N-ジアリル-アクリルアミド;N,N,N',N'-テトラアリル-マロンアミド;トリ-ビニル-イソシアヌレート;および4,6-トリ-ビニル-メチルトリシロキサンなどが一般的に用いられる。
TAICおよび式:
CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2
のビス−オレフィンが特に好ましい;
任意に、
− ポリマーに対して、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%の量の金属化合物、それらは例えば、Mg、Zn、CaまたはPbのような二価の金属酸化物または水酸化物から選択され、任意にステアレート、ベンゾエート、カーボネート、オキサレートのような弱酸塩またはBa、Na、K、Pb、Caのホスファイトと組み合わせてもよい;
− 無機充填剤、粉状の半結晶質フルオロポリマー、顔料、抗酸化剤、安定化剤などのような他の慣用の添加物。
本発明の任意の成分である半結晶質(パー)フルオロポリマーは、本発明のパーフルオロエラストマーについて記載された上記のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン重合法により製造される。
本発明のポリマーに用いられる式(a) CF3OCF2OCF=CF2のモノマーは、次の工程を含む合成法によって製造され得る。
I フロオロホルメートCF3OCOFの取得;
II 式:
CF3OCF2OCFACF2A' (V)
のフルオロハロゲンエーテルを得るために、フロオロホルメートCF3OCOFの、液相中 での、元素状態のフッ素および式:
CAF=CA'F (IV)
を有するオレフィン化合物との反応
(式中、AおよびA'は、互いに同じか異なって、H、ClまたはBrである(但し、両方がH とはなりえない));
フッ素化反応の温度は、-120℃〜-20℃の範囲、好ましくは-100℃〜-40℃の範囲であ る;任意に、液体でかつ反応条件下で不活性なパーハロゲン化溶媒の存在下に反応を 行ってもよい;フッ素は、任意に窒素またはヘリウムのような不活性ガスで希釈され 得る。
III AおよびA'がハロゲンのときは脱ハロゲン化により、AまたはA'のうちの一つが水素 で、もう一方がハロゲンのときは脱ハロゲン化水素によって、フルオロハロゲンエー テル(V)から置換基AおよびA'の除去;
工程IのフロオロホルメートCF3OCOFは、80℃〜250℃、好ましくは120℃〜230℃、さらに好ましくは150℃〜200℃の範囲の温度に維持された反応容器中、CF3OF(フルオロオキシパーフルオロメタン)とCOとを気相での熱反応させることによって、高い変換率と選択性で製造することができる。
用いられる脱ハロゲン化または脱ハロゲン化水素反応は、先行技術で周知である。
CF3OF/COのモル比は、0.1〜10の間、好ましくは0.2〜5の間、さらに好ましくは0.5〜2の間である。
工程IIで任意に用いられるパーハロゲン化溶媒は、好ましくはフッ素および/または塩素を含む有機化合物であり、鎖中に一つ以上の酸素原子および/または末端基としてアミノ基を任意に含んでいてもよい。
パーハロゲン化溶媒がパーフッ素化溶媒であるとき、それは例えばパーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアミンまたはこれらの混合物から選択され得る。
工程IのCF3OCOFを含む反応混合物は、混合物の構成成分を分離することなく、工程IIの反応用の別の反応器に直接供給され得る。CF3OFから出発する工程Iのモノマーを得るための工程は、特に単純で効率的な結果であった。上記のように、CF3OFの変換とCF3OCOFへの選択性は高い(実施例を参照)。
工程Iにおいて、反応温度を80℃〜250℃の範囲で高めることにより、変換が増大し、同時に高い選択性が実質的に維持される。
あるいは、工程IのCF3OCOFは、冷却される石英のさや型ケースに入れられ、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜50℃の温度の反応混合物中に浸けられる水銀高圧UVランプを備えた反応器中に、上記の二つの反応物を供給することによる、液相中の光化学ルートにより製造され得る。
光化学ルートによるフルオロホルメートの製造反応は、選択性が高く、気相で行われる同じ反応に比較して、より高収率で得られることが見出された。
光化学的なルートによる反応は、反応条件下で液体で、不活性なパーフッ素化溶媒の存在下に行われる。
好ましいパーフッ素化溶媒は、パーフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、パーフッ素化4級アミンまたはそれらの混合物から選択される。
CF3OFの変換が定量的でないとき、反応器から出る気流は、未反応のCOおよびCF3OFと共に反応生成物から形成される混合物を含んでいる。CF3OFは、気流を、例えばCFCl=CFClのようなフッ素化オレフィンを含む冷却トラップの中を通すことにより除去でき、次いで分別蒸留により、CF3OCOFが分離される。
あるいは、工程Iで製造される反応生成物を含むガス状の反応混合物は、フルオロホルメートを凝縮するために冷却され、そして反応器中にリサイクルすることができるCF3OFおよびCOを分離する。
好ましい工程Iは、フルオロオキシパーフルオロメタンと一酸化炭素を80℃〜250℃の温度で反応させることにより行われる。
工程Iで使用される好ましい反応器は、ガラス、例えばPTFE、PFAのような不活性なパーフッ素化プラスチック、例えばAISI 316のような合金、好ましくはガラスまたはパーフッ素化プラスチックでコーティングされた合金から作られる。より好ましくは、ガラスまたはフッ素化プラスチックが材料と使用される。
上記のように、本発明のパーフルオロエラストマーは、高温での機械的性質、特に弾性率、破断応力および破断点伸び;圧縮永久歪で示されるようなゴム弾性;および熱耐性が併せて改善されることを示すとともに、低温においてでさえも上記の性質が併せて改善されていることを示す。
本発明のパーフルオロエラストマーは、-10℃よりも低ひ温度から300℃までの温度で、機械的性質およびゴム弾性の性質が改善された工業製品を得るために使用できる。
以下に示す実施例は、本発明の目的を限定するものではない。
実施例
分析方法
ポリマーTgの測定
Tgは、ASTM D 3418法に従ったDSC分析により測定された。実施例に報告されたTg値は、中間値Tgである。
固有粘度の測定
固有粘度は、30℃の温度で、パーフルオロヘプタン中で測定された。
-COF極性末端基の測定
重合の最後に、ポリマーが底に沈殿するスラリーが得られるまで、-20℃で冷凍して凝固させ、次いで室温で解凍することによりポリマーが単離される。それは、脱イオン水で二回洗浄され、定量になるまで(約12時間)、ストーブ中90℃で乾燥される。-COF末端基は、ニコレット(商標)ネクサスFT-IR装置(256走査、解像度2 cm-1)を用いたFT-IR分光分析法によって測定される、ここで、厚さ50〜300ミクロンを有するポリマーフィルム上で、4000 cm-1〜400 cm-1の走査が最初に行われ、次いで、フィルムは、飽和アンモニア蒸気中に12時間置かれ、最後に、最初のIRスペクトルと同じ条件でIRスペクトルが測定され、無処理試料のスペクトル(最初のスペクトル)シグナルに対して、アンモニア蒸気曝露後の試料スペクトルの対応シグナルを差し引くことにより、二つのスペクトルの「差」スペクトルが得られ、次式:
により標準化される。アンモニア蒸気と反応した末端基に関する光学濃度が測定される。光学濃度は、M. Piancaらによる報告の"End groups in fluoropolymers"、J. Fluorine Chem. 95 (1999) 71-84(ここに、参考文献として組み込まれる)の73ページ、表1に報告されているように、215 リッター/(mol × cm)に等しい、1884 cm-1での-COF 基のモル吸光係数を用いて、mmol/ポリマーkgに変換される。計算された値は、ポリマーのKgに対する末端基-COFのミリモルとして残留-COF末端基の濃度を表す。本パーフルオロエラストマーのスペクトルにおいて、COF基に関するバンド(1900〜1830 cm-1)は検知されず、上記方法の感度の限界は、0.05 mmol/Kgである。
ムーニー粘度の測定
ムーニー粘度(121℃で1+10' )は、ASTM D 1646法により測定された。
圧縮永久歪の測定
圧縮永久歪は、ASTM D 395法により決定された。
TRの測定
TR試験は、ASTM D 1329法により測定された。
実施例A
ガラス反応器中、170℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
内径55.6 mm、長さ510 mmを有し、6×6ガラス・ラッシヒリング(フリーな内部容量842 ml)で充填され、電気抵抗によるサーモスタットを保持した管状のガラス反応器が用いられる。
US特許4,400,872に記載されたようにして合成されたCF3OFの気流(1.5リッター/時間)と同時にCO気流(1.5リッター/時間)が、反応器中に5時間、170℃の温度を維持して供給される。反応器から出てくる気流は、絶えずオンライン・ガスクロマトグラフ分析により分析される。
反応器から出てくる気流は、COを除き、CFCl=CFCl(A 1112)の15gを含む-110℃に維持されたトラップ中で濃縮され、残留CF3OFはオレフィンと反応してCF3OCFClCF2Clを与える。
生じた混合物の分別蒸留後に、99.8%の純度でCF3OCOFが33.9 g(供給されたCF3OFに対するモル収率76.5%)、CF3OCFClCF2Clが12.3 g、COF2が3.4 g得られる。
供給されたCF3OFを基に計算して、変換率は84.5%、選択性は90%である。
実施例B
PTFE反応器中、170℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
内径4 mm、長さ13.2 mのPTFE管状サーモスタット付き反応器が使用される。
CF3OFの気流(1.5リッター/時間)およびCOの気流(2.0リッター/時間)を同時に、170℃の温度に維持された反応器中に供給する。
反応器から出てくる気流はガスクロマトグラフィーで分析され、次のモル組成:CF3OF(7.3%)、CF3OCOF(54.2%)、COF2(9.1%)およびCO(29.4%)を有する。
実施例C
PTFE反応器中、120℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
120℃の温度に維持された、実施例Bで使用されたのと同じ反応器に、CF3OFの気流(1.5リッター/時間)およびCOの気流(2.0リッター/時間)を同時に6時間供給する。反応器から出てくる気流はガスクロマトグラフィーで分析され、過剰なCOは除外して、次のモル組成:CF3OF(86.7%)、CF3OCOF(13.3%)を有する。
反応器から出てくる気流は、COを除き、A 1112(50 g)を含む-110℃に維持されたトラップ中で濃縮され、残留CF3OFはオレフィンと反応する。
生じた混合物の分別蒸留後に、99%の純度でCF3OCOFが6.8 g得られる。
変換されたCF3OFを基に計算して、選択性は98%である。変換率は13.0%である。
実施例D
AISI 316反応器中、170℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
内径4 mm、長さ11.3 mのAISI 316管状サーモスタット付き反応器が使用される。
CF3OFの気流(1.5リッター/時間)およびCOの気流(1.5リッター/時間)を同時に、170℃の温度に維持された反応器中に6時間供給する。反応器から出てくる気流は、A 1112(30 g)を含む-110℃に維持されたトラップ中で濃縮される。
トラップ中の成分の分別蒸留後に、99%の純度でCF3OCOFが31.2 g、フルオロハロゲンエーテルが31.8 gおよびCOF2が3.7 g得られる。変換率は66.6%で、選択性は86.5%である。
実施例E
光化学反応によるCF3OCOFの製造
撹拌装置および光源150 W、光学経路1 cmのUVランプ Hanau TQ 150を備えた300 mlの円柱状ガラス反応器に、パーフルオロポリエーテル ガルデン(商標) LS-165(500 g)を供給する。次いで、He(3.0リッター/時間)で希釈されたCF3OF(2.0リッター/時間)およびCO(2.0リッター/時間)を、同時に、5時間供給する。
反応器から出てくる気体は、A 1112(30 g)を含む-110℃に維持されたトラップ中で濃縮される。濃縮された混合物の分別蒸留後に、純度99%でCF3OCOF(22.9 g)、フルオロハロゲンエーテルCF3OCFClCF2Cl(41.8 g)、COF2(5.8 g)、トリフルオロメチルカーボネート(5.4 g)が得られる。
CF3OF変換率は60.5%である。選択性は63.6%である。
実施例F
CF3OCOFと元素状態のフッ素および式CFCl=CFClのフロオロオレフィンとの反応に続くフルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化反応による式(a)のモノマーの取得
CFCl=CFCl(A 1112)(20 g)、実施例Aで得られたCF3OCOF(30 g)をガラス反応器(50 ml)中に移す。生じた溶液を-100℃に維持し、窒素で希釈されたフッ素を、1リッター/時間の流速でバブルする。
反応の終了時の物質収支は92%であり、反応粗生成物(52 g)の19F-NMR分析は、フルオロホルメートの変換率が54%であり、フルオロハロゲンエーテルCF3OCF2OCFClCF2Clを与える選択性が93%であることを示す。未反応のフルオロホルメートは、撹拌下に水を加えることにより、反応粗生成物から除かれる。それを25℃にし、有機相を回収し、MgSO4で乾燥する。混合物をろ過し、得られた残留物を蒸留し、74℃での分別沸騰により、純度99%のフルオロハロゲンエーテルに相当する化合物(31.8 g)を回収する。
フルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化は、機械的撹拌装置、温度計、滴下ロート、蒸留カラムおよび-78℃のトラップ装置を備えたフラスコ(1リッター)を用いて行う。ジメチルホルムアミド(DMF)(450 ml)、亜鉛末(62 g)およびZnCl2(8.3 g)をフラスコ中に供給する。懸濁液の温度を80℃にし、前の反応により単離されたフルオロハロゲンエーテル(150 g)を加える。添加終了後、混合物を1時間反応させる。最後には温度が120℃になるまで徐々に上がり、さらに1時間反応させる。最後に、それを取りはずし純度99%(沸点23℃)の式(a) CF3OCF2OCF=CF2(106 g)のモノマーを回収する。
実施例1
マイクロエマルジョンの製造
次の成分を、以下に示される量で混合して、マイクロエマルジョン(1リッター)を得る。
− 式:CF2ClO(CF2-CF(CF3)O)n(CF2O)mCF2COOH(ここで、n/m = 10)の、平均分子量600で、酸末端基を有するパーフルオロポリオキシアルキレン(220.7 ml);
− 30容積%のNH3水溶液(220.7 ml);
− 脱イオン水(427.6 ml);
− 式:CF3O(CF2-CF(CF3)O)n(CF2O)mCF3(ここで、n/m = 20)の、平均分子量450を有するガルデン(商標) D02(131 ml)。
実施例2
式(a)のモノマーのホモポリマー
脱イオン水(0.03 L)、実施例1のマイクロエマルジョン(1.5 ml)および式(a)のモノマー(12 g)を、磁気撹拌装置を備えたガラスオートクレーブ(0.1 L)中をオイルポンプで真空にした後に、順次導入する。オートクレーブを42℃に加熱する。次いで、アンモニウムパースルフェート(0.1 g)を導入する。反応器を42℃で170時間維持し、次いで冷却する。得られたラテックスを排出する。ラテックスを冷凍して凝固させ、次いで解凍する。この方法で、ポリマーを水相から分離し、脱イオン水で二回洗浄し、ストーブ中、100℃で8時間乾燥する。
供給した式(a)のモノマーの92%の変換率に等しいポリマー(約11 g)を得る。ポリマーのTgは−39.4℃である。パーフルオロヘプタン(ガルデン(R) D80)中、30℃で測定した固有粘度は、30.5 cc/gに等しい値である。IR分析により、ポリマー中の-COF末端基は、方法の感度限界以下であることが分かる。
式(a)のモノマーの約69%の変換率は、より短い重合時間で得られる。
実施例3
式(a)のモノマー/TFE(モル%比、63/37)のコポリマー
脱イオン水(20 ml)、実施例1で調製されたマイクロエマルジョン(1 ml)を、磁気撹拌装置を備えた金属オクレーブ(42 ml) 中をオイルポンプで真空にした後に、順次導入する。式(a)のモノマー(10 g)を加え、オートクレーブを80℃に加熱する。圧力が1.0 MPaになるまで、TFEを反応器に導入する。次いで、アンモニウムパースルフェート(4 mg)を導入する。0.01MPaに等しい圧力の低下ごとにTFEを添加して、反応圧力を一定に維持する。
4時間後に反応は終了する。得られたラテックスを排出する。ラテックスを、冷凍して凝固させ、次いで解凍する。この方法で、ポリマーを水相から分離し、脱イオン水で二回洗浄し、ストーブ中、90℃で4時間乾燥する。供給された式(a)のモノマーの43%に等しいポリマー(5.3 g)を得る。ポリマーのTgは−42.5℃(中間値)および−48.4℃(開始値)である。パーフルオロヘプタン(ガルデン(R) D80)中、30℃で測定した固有粘度は、17.0 cc/gに等しい値である。
NMR分析によりポリマーの組成を測定したところ、式(a)のモノマーを63モル%含む。IR分析により、ポリマー中の-COF末端基は、方法の感度限界以下であることが分かる。
実施例4(比較)
MOVE 1/TFE(モル%比、23/77)のコポリマー
脱イオン水(20 ml)、実施例1で調製したマイクロエマルジョン(1 ml)を、オイルポンプで真空にされた磁気撹拌装置を備えた金属オクレーブ(42 ml)中に、順次導入する。MOVE 1(10 g)を加え、オートクレーブを80℃に加熱する。圧力が1.0 MPaになるまで、TFEを反応器に導入する。次いで、アンモニウムパースルフェート(4 mg)を導入する。0.01MPaに等しい圧力の低下ごとに、TFEを添加して、反応圧力を一定に維持する。
4時間後に反応は終了する。得られたラテックスを排出する。ラテックスを冷凍して凝固させ、次いで解凍する。この方法で、ポリマーを水相から分離し、脱イオン水で二回洗浄し、ストーブ中、90℃で4時間乾燥する。供給したMOVE 1の量の18%の変換率でポリマー(4.0 g)を得る。ポリマーのTgは−21.0℃(中間値)および−31℃(開始値)である。パーフルオロヘプタン(ガルデン(R) D80)中、30℃で測定した固有粘度は、17.0 cc/gに等しい値である。
NMR分析により、ポリマーはMOVE 1を23モル%含む組成物であると決定される。IR分析により、ポリマー中の-COF末端基は、0.25 mmol/kgに等しいと決定される。
実施例5
式(a)のモノマー/HFPのコポリマー
脱イオン水(20 ml)、実施例1で調製したマイクロエマルジョン(1 ml)を、オイルポンプで真空にされた磁気撹拌装置を備えた金属オクレーブ(42 ml)中に、順次導入する。式(a)のモノマー(9 g)を加え、オートクレーブを80℃に加熱する。圧力が1.5 MPaになるまで、HFPを反応器に導入する。次いで、アンモニウムパースルフェート(4 mg)を導入する。0.01MPaに等しい圧力の低下ごとに、HFPを添加して、反応圧力を一定に維持する。
4時間後に反応は終了する。得られたラテックスを排出する。ラテックスを、冷凍して凝固させ、次いで解凍する。この方法で、ポリマーを水相から分離し、脱イオン水で二回洗浄し、ストーブ中、90℃で4時間乾燥する。ポリマー(0.5 g)を得る。IR分析により、得られたポリマーは、少量のHFP(<5モル%)を含む、式(a)のモノマーをベースとするコポリマーであることが確認される。
実施例6(比較)
MOVE 1/HFPのコポリマー
脱イオン水(20 ml)、実施例1で調製したマイクロエマルジョン(1 ml)を、オイルポンプで真空にされた磁気撹拌装置付きの金属オクレーブ(42 ml)中に順次導入する。MOVE 1(9 g)を加え、オートクレーブを80℃に加熱する。圧力が1.5 MPaになるまで、HFPを反応器に導入する。次いで、アンモニウムパースルフェート(4 mg)を導入する。
4時間後に反応は終了する。反応器の内容物を排出し、次いで冷凍して凝固させ解凍する。ポリマーの存在は認められない。その結果、採用された条件では、MOVE 1はHFPと重合できない。
実施例7(比較)
MOVE 1のホモポリマー
脱イオン水(0.03 L)、実施例1のマイクロエマルジョン(1.5 ml)およびMOVE 1(9 g)を、オイルポンプで真空にされた磁気撹拌装置付きのガラスオートクレーブ(0.1 L)中に順次導入する。オートクレーブを42℃に加熱する。次いで、アンモニウムパースルフェート(0.1 g)を導入する。反応を42℃で170時間維持し、次いで冷却する。
得られたラテックスを排出する。ラテックスを、冷凍して凝固させ、次いで解凍する。この方法で、ポリマーを水相から分離し、脱イオン水で二回洗浄し、ストーブ中、100℃で8時間乾燥する。
供給したMOVE 1の69%の変換率に等しいポリマー(約6.2 g)が得られる。ポリマーのTgは−31.6℃である。パーフルオロヘプタン(ガルデン(R) D80)中、30℃で測定した固有粘度は、16.5 cc/gに等しい値である。IR分析によると、ポリマー中の-COF末端基は0.35 mmol/kgである。
実施例8
式(a)のモノマー/TFE(モル%比 64/36)のビス−オレフィンを含むコポリマー
脱イオン水(20 ml)、実施例1で調製したマイクロエマルジョン(1 ml)を、オイルポンプで真空にされた磁気撹拌装置付きの金属オクレーブ(42 ml)中に、順次導入する。式(a)のモノマー(10 g)を加え、オートクレーブを80℃に加熱する。ガルデン D02(0.1 g)に溶解した式CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2 のオレフィン(0.01 g)を導入し、反応器の圧力をTFEにより1.0 MPaにする。次いで、アンモニウムパースルフェート(4 mg)を導入する。0.01MPaに等しい圧力の低下ごとに、TFEを添加して、反応圧力を一定に維持する。
4時間後に反応は終了する。得られたラテックスを排出する。ラテックスを冷凍して凝固させ、次いで解凍する。この方法で、ポリマーを水相から分離し、脱イオン水で二回洗浄し、ストーブ中、90℃で4時間乾燥する。供給した式(a)のモノマーの45%の変換率に等しいポリマー(5.5 g)を得る。ポリマーのTgは−44.0℃(中間値)および−50.0℃(開始値)である。パーフルオロヘプタン(ガルデン(R) D80)中、30℃で測定した固有粘度は、45.0 cc/gに等しい値である。
NMR分析により、ポリマーは、式(a)のモノマーを64モル%含む組成物であると決定される。IR分析により、ポリマー中の-COF末端基は、方法の感度限界以下であることが分かる。
本発明の実施例2、3、5および8ならびに比較実施例4、6および7に対するコメント
モノマー(a)のホモポリマー(実施例2)は、MOVE 1のホモポリマー(実施例7比較)よりも改善された次の性質:
− より高い固有粘度、それゆえにより高い分子量;
− -COF末端基の不存在;
− より低いTg;
を示す。
その他のコモノマーとの重合において、モノマー(a)は、MOVE 1よりずっと高い反応性を示す。同様の重合条件下、コモノマーとしてTFEを用いたとき、実施例3ではモノマー(a)を63モル%含むポリマー得られ、比較実施例4ではコポリマー中のMOVE 1の含量は23モル%である。
同様の重合条件下、コモノマーとしてHFPを用いたとき(実施例5参照)、HFPの含量が<5モル%であるモノマー(a)のコポリマーが得られ、比較実施例6では、コポリマーは形成されもしなかった。
モノマー(a)を含むコポリマーの特異な性質は、Tg値によっても示される。実施例3および8のモノマー(a)とTFEとのコポリマーは、それぞれ−42.5℃および−44.0℃のTgを示す。これらのTg値は、モノマー(a)のホモポリマー(実施例2)およびコモノマーTFEのホモポリマーのTgよりも低いことに注目しなければならない。
実施例9
モノマー(a)/TFE(モル比 31/69)のコポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5 L)中に、排気後、脱イオン水(3.5 L)および実施例1のようにして得られたパーフルオロポリオキシアルキレンマイクロエマルジョン(35 ml)を導入した。次いで、オートクレーブを70℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、70モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)と30モル%のモノマー(a)のモノマー混合物を、圧力が0.7 MPaになるように供給した。次いで、そのオートクレーブ中に、開始剤としてアンモニウムパースルフェート(APS)(0.5 g)、ポリマー連鎖移動剤として1,4-ジヨードパーフルオロブタン(C4F8I2)(3.29 g)、式CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2のビス−オレフィン(1.5 g)を導入した。ビス−オレフィンの添加は、重合の開始からモノマー変換の5%増加ごとに、各々0.075 gに20等分に分割して行った。重合の間中、60モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)と40モル%のモノマー(a)により形成された混合物を供給することにより、0.7 MPaの一定圧力に維持した。モノマーの変換率100%に相当する210分間の反応の後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出した。このようにして得られたラテックスを、アルミニウムスルフェート(ラテックスの各リッターに対してAl2(SO4)3の6 g)の溶液で凝固し、オーブン中、90℃で16時間乾燥する。ポリマー(594 g)を得る。
熱C6F6中に溶解されたポリマーの19F-NMR分析により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントは31.2%であることが分かった。DSCにより決定されるTgは、−31.2℃である。ASTM D 1646法により決定されるムーニー粘度(ML(121℃で1+10') )は12 MUである。機械的性質を表1に示す。
実施例10
モノマー(a)/TFE(モル比 47/53)のコモノマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5 L)中に、排気後、脱イオン水(3.5 L)および実施例1のようにして得られたパーフルオロポリオキシアルキレンマイクロエマルジョン(35 ml)を導入した。次いで、オートクレーブを70℃まで加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、38モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)と62モル%のモノマー(a)のモノマー混合物を、圧力が0.7 MPaになるように供給した。次いで、そのオートクレーブ中に、開始剤としてアンモニウムパースルフェート(APS)(0.5 g)、ポリマー連鎖移動剤として1,4-ジヨードパーフルオロブタン(C4F8I2)(3.29 g)、式CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2のビス−オレフィン(1.5 g)を導入した。ビス−オレフィンの添加は、重合の開始からモノマー変換の5%増加ごとに、各々0.075 gに20等分に分割して行った。重合の間中、60モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)と40モル%のモノマー(a)により形成される混合物を供給することにより、0.7 MPaの一定圧力に維持した。モノマーの変換率100%に相当する278分間の反応の後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出した。そのようにして得られたラテックスを実施例9のようにして凝固させた。ポリマー(574 g)を得た。
熱C6F6中に溶解されたポリマーの19F-NMR分析により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントは47%であることが分かった。DSCにより決定されるTgは、−37.8℃である。ASTM D 1646法により決定されるムーニー粘度(ML(121℃で1+10') )は6 MUである。機械的性質を表1に示す。
実施例11
モノマー(a)/TFE(モル比 78/22)のコポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5 L)中に、排気後、脱イオン水(3.5 L)および実施例1のようにして得られたパーフルオロポリオキシアルキレンマイクロエマルジョン(35 ml)を導入した。次いで、オートクレーブを60℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、20モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)と80モル%のモノマー(a)のモノマー混合物を、圧力が0.5 MPaになるように供給した。次いで、そのオートクレーブ中に、開始剤としてアンモニウムパースルフェート(APS)(3.5 g)、ポリマー連鎖移動剤として1,4-ジヨードパーフルオロブタン(C4F8I2)(1.24 g)、式CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2のビス−オレフィン(1.5 g)を導入した。ビス−オレフィンの添加は、重合の開始からモノマー変換の5%増加ごとに、各々0.075 gに20等分に分割して行った。重合の間中、22モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)と78モル%のモノマー(a)により形成される混合物を供給することにより、0.5 MPaの一定圧力に維持した。モノマーの変換率100%に相当する240分間の反応の後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出した。そのようにして得られたラテックスを実施例9のようにして凝固させた。ポリマー(130 g)を得た。
熱C6F6中に溶解されたポリマーの19F-NMR分析により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントは85%であることが分かった。DSCにより決定されるTgは−41.8℃である。ASTM D 1646法により決定されるムーニー粘度(ML(121℃で1+10') )は5 MUである。
実施例12
モノマー(a)/TFE/MVE(モル比 22/68/10)のターポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5 L)中に、排気後、脱イオン水(3.5 L)および実施例1のようにして得られたパーフルオロポリオキシアルキレンマイクロエマルジョン(35 ml)を導入した。次いで、オートクレーブを70℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、42モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)、31モル%のモノマー(a)、27%のメチルビニルエーテル(MVE)のモノマー混合物を、圧力が0.9 MPaになるように供給した。次いで、そのオートクレーブ中に、開始剤としてアンモニウムパースルフェート(APS)(0.5 g)、ポリマー連鎖移動剤として1,4-ジヨードパーフルオロブタン(C4F8I2)(3.70 g)、式CH2=CH-(CF2)6-CH=CH2のビス−オレフィン(1.8 g)を導入した。ビス−オレフィンの添加は、重合の開始からモノマー変換の5%増加ごとに、各々0.090 gに20等分に分割して行った。重合の間中、59モル%のテトラフルオロエチレン(TFE)、24モル%のモノマー(a)、17モル%のメチルビニルエーテル(MVE)により形成される混合物を供給することにより、0.9 MPaの一定圧力に維持した。モノマーの変換率100%に相当する249分間の反応の後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出した。
このようにして得られたラテックスを実施例9のようにして凝固させた。ポリマー(514 g)を得た。
熱C6F6中に溶解されたポリマーの19F-NMR分析により、モノマー(a)のモルパーセントは22.6%、TFEは67.6%、MVEは9.8%であることが分かった。DSCにより決定されるTgは−22.9℃である。ASTM D 1646法により決定されるムーニー粘度(ML(121℃で1+10') )は29 MUである。機械的性質を表1に示す。
実施例9〜12に対するコメント
本出願人が、ポリマー中のモノマー(a)の含量が、22モル%〜78モル%に分布する、実施例9〜12で示されたモノマー(a)の融通性を見出したことは予想されなかったことである。比較例のように、MOVE 1では、そのような広い範囲の組成を有するポリマーの製造はできない。

Claims (14)

  1. 次のモノマー(モルパーセントで):
    A) 式:
    CF2=CFOCF2OCF3 (a)
    のモノマーを1%〜100%;
    B) 少なくとも一つのエチレンタイプの不飽和を有する一つ以上のパーフッ素化コモノマーを0%〜99%;
    を含み、モノマーのモルパーセントの合計は100%であり(但し、コモノマーB)がTFEであるか、またはコモノマーB)の混合物がTFEを含むとき、そのTFEの量はポリマーがゴム弾性であるような量でなければならない)、
    さらに、一般式:
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに同一または異なって、HまたはC1-C5アルキルであり;Zは、酸素原子を含んでいてもよく、かつ少なくとも部分的にフッ素化されているC1-C18直鎖または分枝のアルキレンまたはシクロアルキレン基である)
    のビス−オレフィンから誘導される単位を、基本的なパーフルオロエラストマー構造を構成するモノマー単位100モルに対して、0.01〜1.0モル%で、モノマーの全合計が100%で含んでもよい、
    −10℃より低いガラス転移温度を有し、ポリマー中の-COF末端基が0.05 mmol/Kg以下である、過酸化物ルートで硬化し得るパーフルオロエラストマー。
  2. 式(I)において、ZがC4-C12のパーフルオロアルキレン基であり、R 1 、R2、R3、R4、R5、R6が水素であ、請求項1に記載の硬化性パーフルオロエラストマー。
  3. ビス−オレフィンが、式:
    CH2=CH-(CF2)t0-CH=CH2
    (ここで、t0は6〜10の整数である)
    を有する、請求項2に記載の硬化性パーフルオロエラストマー。
  4. ヨウ素および/または臭素を、全ポリマー重量に対して、0.001〜5重量%の量で含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載の硬化性パーフルオロエラストマー。
  5. パーフルオロエラストマー+半結晶質(パー)フルオロポリマーの混合物の乾燥総重量に対する重量パーセントで、0〜70重量%の半結晶質(パー)フルオロポリマーがそれに混合された、請求項1〜4のいずれか1つに記載の硬化性パーフルオロエラストマーを含む組成物。
  6. − 請求項1〜4のいずれか1つに記載のパーフルオロエラストマー、および
    − 0.05 mmol/Kgよりも多い量の-COF末端基を含むポリマーから得られるパーフルオロエラストマー;
    を含み、請求項1〜4のいずれか1つに記載のパーフルオロエラストマーの量が、パーフルオロエラストマーの全重量に対して、少なくとも5〜10重量%である組成物。
  7. 次のモノマー(モルパーセントで):
    A) 式:
    CF2=CFOCF2OCF3 (a)
    のモノマーを5%〜100%
    B) 少なくとも一つのエチレンタイプの不飽和を有する一つ以上のパーフッ素化コモノマーを0%〜95%;
    を含み、モノマーのモルパーセントの合計は100%である(但し、コモノマーB)がTFEであるか、またはコモノマーB)の混合物がTFEを含むとき、そのTFEの量はポリマーがゴム弾性であるような量でなければならない)、請求項1〜4のいずれか1つに記載の硬化性パーフルオロエラストマー。
  8. コポリマーが、TFEの他にコモノマーB)を含まないとき、式(a)のモノマーの量が15モル%よりも多い量である、請求項7に記載のパーフルオロエラストマー。
  9. コモノマーB)が、次の:
    − C2-C8パーフルオロオレフィン;
    − 式CF2=CFORf(ここで、RfはC1-C2パーフルオロアルキルである)のパーフルオロアルキルビニルエーテル;
    から選択される、請求項1〜4、7および8のいずれか1つに記載のパーフルオロエラストマー。
  10. コモノマーB)が、テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはパーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)である、請求項9に記載のパーフルオロエラストマー。
  11. モノマーのモルパーセントの合計が100%であり、モルパーセントで表して、以下のモノマー組成:
    − 式(a)のモノマー:100%;または式(a)のモノマー:99.0%〜99.99%、式(b)のビス−オレフィン1%〜0.01%;
    − 式(a)のモノマー:15〜40%、TFE:60〜85%;または式(a)のモノマー:18〜30%、TFE:69〜81.99%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
    − 式(a)のモノマー:40〜99%、TFE:1〜60%;または式(a)のモノマー:39〜98.99%、TFE:1〜60%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
    − 式(a)のモノマー:5〜40%、MVE:5〜30%、TFE:50〜85%;または式(a)のモノマー:5〜40%、MVE:5〜30%、TFE:50〜85%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
    − 式(a)のモノマー:40〜99%、MVE:5〜30%、TFE:1〜60%;または式(a)のモノマー:40〜99%、MVE:5〜30%、TFE:1〜60%、式(b)のビス−オレフィン1〜0.01%;
    のいずれかを有する、請求項1〜4および7〜10のいずれか1つに記載のパーフルオロエラストマー。
  12. 請求項1〜11のいずれか1つによる硬化パーフルオロエラストマー。
  13. 請求項12に記載のパーフルオロエラストマーを用いて得られる製品。
  14. 改善された機械的およびゴム弾性の性質を有し、-10℃より低い温度から300℃までの温度で使用可能な製品を得るための、請求項1〜11のいずれか1つに記載のパーフルオロエラストマーの使用。
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