JP5277859B2 - 硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスおよび全固体リチウム二次電池 - Google Patents

硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスおよび全固体リチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスおよび全固体リチウム二次電池に関する。
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話等のポータブル機器の開発に伴い、その電源として、小型軽量の二次電池の需要は非常に大きくなっている。二次電池の中でも、特に、リチウム二次電池は、リチウムの原子量が小さく、かつイオン化エネルギーが大きい為、エネルギー密度が高い。従って、このような電池に関する研究が盛んに行われ、現在では、ポータブル機器の電源を始めとする広範囲な用途に用いられている。
このようなリチウム二次電池は、電解質の種類によって、液体電解質を用いたリチウムイオン電池と、高分子固体電解質を用いるリチウムイオンポリマー電池あるいは無機系のリチウムイオン伝導性固体電解質を用いたリチウムイオン電池等に大きく区分できる。
この中で、全固体リチウム二次電池は、図1に示すような構造を有している。即ち、ポリプロピレン樹脂からなる絶縁性円筒管104の中に正極(I)が挿入され、この正極(I)は、正極活物質と固体電解質粉末からなる正極合材103を、金型により約4トン/cm2の圧力で加圧成型し、その際、正極リード板101と電気的接合をした正極集電体102を正極(I)内部に挿入して作成される。
また、負極(II)は、負極活物質と電解質粉末からなる負極合材107を作成し、負極集電体106を挿入し、これを加圧成型して作成される。そして、これらの正極(I)、負極(II)間には、リチウムイオン伝導性固体電解質層108を中間に介在させ、全体を加圧プレスすることで、正極層、電解質層、負極層を一体化して、全固体リチウム二次電池素子が作成される。
この中で、リチウムイオン伝導性固体電解質層108は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質にα−アルミナ(Al23)を混合させることで、母体である硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の持つイオン伝導性が改善される材料を用いる。このような電解質層を用いた全固体リチウム二次電池では、作成した全固体リチウム二次電池の充放電出力の特性が向上することが知られている。
これらの電池素子は、正極(I)、負極(II)が、それぞれの電極端子を兼ねたプレス成型金型で、ポリプロピレン樹脂製の絶縁性円筒管104内に加圧充填されるとともに、正極(I)、負極(II)の短絡を防ぐための絶縁菅を介在させたボルトとナットを用いて強固に締め付けることにより作成される。尚、これらの製造工程は、乾燥不活性ガス雰囲気中、室温領域で処理されている。
また、ここで用いられる硫化物系のリチウムイオン伝導性固体電解質層108は、硫化物系のリチウムイオン伝導性固体電解質が、主に用いられ、これら電解質には結晶質、非晶質が使われている。このような材料を用いて作成した電池は、電池全体が絶縁性円筒管104内に加圧、圧縮され、強固に固められた状態となっており、その結果、電池充放電サイクルの際に生じる電極活物質の体積膨張収縮に伴って生じる電極活物質と電解質粉末の接触界面の接合阻害を回避できる。
従って、その充放電サイクルに伴う電池放電容量の減少は阻止され、優れた特性を示す電池となっている。ここで、絶縁性円筒管104で強固に囲うことのない実用電池の形状を想定した場合、その充放電サイクルサイクルに伴って、電池放電容量が大きく減少する。
また、他の全固体リチウム二次電池として、下記非特許文献1に示すように、蒸着装置やスパッタ装置を用い、正極薄膜、電解質薄膜そして負極薄膜を順次、形成することにより構成する全固体薄膜リチウム二次電池が開示され、その特性として、数千サイクル以上の優れた充放電サイクル特性が得られることが報告されている。この電池では、蒸着により形成された電解質層内が粒界のない薄い一枚の電解質板で出来ているため、電解質内で、可動イオンであるリチウムイオンの移動が電解質粒子の接合粒界の影響を受けることがなく、電極活物質の充放電に伴って生じる体積膨張収縮に対しての粒界接合の阻害が起こりにくい為、充放電サイクル寿命が優れたものとなる。
S. D. Jhones and J. R. Akridge, J. Power Sources, 43−44, 505(1993)
しかしながら、前記した全固体リチウム二次電池では、電解質層および電極層中では固体電解質は、単に電解質粉末粒子が加圧圧縮により、固められただけで、その接触界面は粒界が存在した状態となっているため、その接合力は弱い。特に、全固体リチウム二次電池を高率充電すると、その際に生じる電池内部での電流密度分布の違いにより、電流密度分布の強い部分は、電極体積変化が極めて大となり、電極活物質と電解質粒子接合界面での電子的接合阻害が起こる。
また、この際、負極電極活物質の反応として、リチウム金属の可逆析出反応を利用した電池系では、電解質層内の電解質粉末粒子間の接合粒界にリチウムイオンが樹技状リチウム金属状となって析出する。その結果、こうした全固体リチウム二次電池では、充放電サイクルに伴って、充放電出力電流密度の低下を招き、その容量も暫時、低下する。さらに、析出した樹技状リチウム金属は、電解質粒子間接合界面を広げ、その間に析出することにより、正極と負極との電気的短絡を招く等、種々の課題を有していた。
また、全固体薄膜リチウム二次電池を、実用性に富んだ電池とするには、高容量の電池とする必要があり、これが為には、電極層内のイオン伝導経路を維持しつつ、使用する電極活物質の量を増加させる必要がある。この技術を用い、そのままの形状で電極層を厚くすると、電極抵抗が大きくなる。こうした抵抗を下げるためには、電極堆積時に、電極活物質間にイオン伝導性電解質材料を同時に堆積させる必要があり、堆積時間の増大だけでなく、堆積させる装置に多元蒸着装置等、高価な装置が必要となり、全固体薄膜リチウム二次電池の製造費用も多大となる。このように従来の蒸着方法により電極活物質量を増加させることは、きわめて困難で、高エネルギーを有する実用的なリチウム二次電池を安価に提供することが出来なかった。
こうした課題を解決させるため、用いるリチウムイオン伝導性電解質層に柔軟性を与え、その加工性を改善するために、リチウムイオン伝導性電解質層の構成において、使用電解質粉末に有機高分子バインダを添加し、柔軟性に富んだシート化が種々、検討されてきた。しかし、いずれにしても、作成した固体電解質シート内部では、電解質粒子間の接合界面では粒界が存在しており、これを用いて全固体リチウム二次電池を構成しても、作成した電池の充放電サイクル寿命、特に深い充放電サイクルにおいて、先に述べたような現象、即ち、電池内部での電流密度分布の違いにより、電流密度分布の強い部分は、電極体積変化が極めて大となり、電極活物質と電解質粒子接合界面での電子的接合阻害が起こる。
また、用いる負極電極活物質の反応として、リチウム金属の可逆析出反応を利用した電池系では、電解質層内の電解質粉末粒子間の接合粒界にリチウムイオンが樹技状リチウム金属状となって析出する。その結果、こうした全固体リチウム二次電池では、充放電サイクルに伴って、充放電出力電流密度の低下を招き、その容量も暫時、低下する。さらに、析出した樹技状リチウム金属は、電解質粒子間接合界面を広げ、その間に析出することにより、正極と負極との電気的短絡を招く等、種々の課題を有していた。
また、有機高分子バインダーを添加して作成した固体電解質シートでは、そのリチウムイオン伝導性が、バインダーを添加しない固体電解質単独と比べて、極端に低下する傾向があり、用いるリチウムイオン伝導性固体電解質として、極力イオン伝導性に優れたものを使用する必要があった。
そのため、例えば、Li2S−SiS2,Li2S−SiS2−LiI,Li2S−SiS2−LiBr,Li2S−SiS2−LiCl,Li2S−SiS2−B23−LiI,Li2S−SiS2−P25−LiI,Li2S−B23,Li2S−B23−LiI,Li2S−P25,Li2S−P25−LiI,Li2S−P25−ZmSn(Z=Ge,Zn,Ga),Li2S−GeS2,Li2S−SiS2−Li3PO4,Li2S−SiS2−LixPOy(M=P,Si,Ge,B,Al,Ga,In)系の硫化物リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス、及びこれら成分を含む結晶性のリチウムイオン伝導体、あるいはこれらの混合体からなるリチウムイオン伝導性固体電解質を用いられ、中でも優れたリチウムイオン伝導性を有する材料という観点から、Li2S−B23,Li2S−P25以外の多元系リチウムイオン伝導性固体電解質材料が検討されてきた。
しかし、その多くは、構成材料としてSi、Ge、LiI等、半導体材料もしくはハロゲン化リチウムが含んだものが用いられてきた。
優れたイオン伝導性を示す硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質材料として、Si、Geが含まれた材料が多く、これを全固体リチウム二次電池の電解質として用いると、その充放電反応において、特に負極では、これらSi、Geがリチウムイオンの金属リチウムへの還元が進行する電位近辺で還元を受けるため、リチウムイオン電池の負極活物質として、一般的に用いられているカーボンを用いることが出来ない。従って、負極活物質反応として、リチウムの可逆反応電位より高い材料であるIn等が用いられてきた。
この結果、構成された電池の作動電圧が負極としてカーボンを用いたものに比べ、低くいものとなっていた。即ち、カーボンを負極材料として用いた電池に比べ、コスト的に高くなると共に、作動電圧が低い全固体リチウム二次電池となっていた。
また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質材料として、ヨウ化リチウムが含まれた硫化物系リチウムイオン伝導体を、全固体リチウム二次電池の電解質として用いた場合、その充放電反応において、特に正極では、約3.0V付近でヨウ素の酸化還元反応が進行し、例えば、コバルト酸リチウムを正極活物質として用いた場合の反応(約4.2V)を阻害する。そのため、電位的に高い充放電反応を示す材料が正極活物質として用いることが出来ず、作動電圧の低い全固体リチウム二次電池しか、構成出来なかった。
本発明の発明者らは負極および正極での、こうした問題をなくすため、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質のイオン伝導率として、α−アルミナを種々なる硫化物系リチウムイオン伝導体に添加混合することにより、イオン伝導性を改善することが可能であることを見出し、この電解質を用いた全固体二次電池について研究開発してきた。本発明では、更に、この電解質を成型した際に残存する固体電解質粒子間の粒界を無くすことで、電解質粒子間接合界面での粒界接合問題を改善し、優れた性能を有した実用性に富んだ全固体リチウム二次電池を提供しようとするものである。
本発明は下の形態または適用例として実現することが可能である。
本発明の一態様の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスは、α−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を含むことを特徴とする。
[適用例1]本適用例にかかる硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスは、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質にα−アルミナを含むことを特徴とする。
これによれば、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスは、α−アルミナと硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の混合物からなる材料を加熱溶融し、強急冷することで、ガラス状硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質とする。このことにより、固体電解質ガラスではイオン伝導が無秩序(異方性が無い)であり、これらを用いた粉末成型体からなる固体電解質層のイオン伝導率を、単にこれら材料の混合体からなるものより、より優れた電解質に改善させることができる。
[適用例2]上記適用例にかかる硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスにおいて、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスが、硫化リチウム−硫化燐とα−アルミナ、または硫化リチウム−硫化ホウ素とα−アルミナを含むことが好ましい。
これによれば、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスは、硫化リチウム−硫化燐とα−アルミナ、または硫化リチウム−硫化ホウ素からなる2元系硫化物系リチウムイオン伝導体のイオン伝導率を改善することができるため、全固体リチウム二次電池の作動電圧が高く、また、高率放電が可能な実用性の高い電池を提供できることに繋がる。
[適用例3]本適用例にかかる全固体リチウム二次電池は、α−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを、固体電解質層として用いていることを特徴とする。
[適応例4]本適応例にかかる全固体リチウム二次電池は、硫化リチウム−硫化燐、または、硫化リチウム−硫化ホウ酸、を含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体ガラスを固体電解質層として用いることを特徴とする。
[適応例5]本適応例にかかる全固体リチウム二次電池は、正極層および負極層からなる一対の電極間に上記固体電解質層を介在させた全固体リチウム二次電池素子を用いることを特徴とする。
[適応例6]本適応例にかかる全固体リチウム二次電池は、正極層または負極層のいずれかと、上記固体電解質層とが、一体化成型された全固体リチウム二次電池素子を用いることを特徴とする。
これによれば、α−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを全固体リチウム二次電池の固体電解質層として用いることで、充放電率に優れた性能を有する全固体リチウム二次電池を提供することが可能になる。
[適応例7]本適用例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法は、少なくとも正極層および負極層からなる1対の電極間に、少なくとも適用例1〜適用例3のいずれか一例に記載の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを介在させた全固体リチウム二次電池素子、または少なくとも正極層および負極層のいずれかと、少なくとも適用例1または適用例2のいずれか一例に記載の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層を、加熱、圧縮することにより、全固体リチウム二次電池素子または電極層と電解質層を一体化成型したα−アルミナを含む、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の混合物を加熱溶融する第1の工程と、加熱溶融した上記混合物を急冷する第2の工程と、を有する硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの製造工程を含むことを特徴とする。
[適応例8]本適応例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法は、上記の製造方法に加えて、正極層または負極層のいずれかと、上記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスから生成した電解質ガラス粉末とを、加熱、圧縮することにより、電極層と電解質層を一体化成型した全固体リチウム二次電池素子を形成する第3の工程を含むことを特徴とする。
これによれば、全固体リチウム二次電池の製造方法は、α−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを全固体リチウム二次電池の電解質として用いることで、単にα−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を用いたものと比べ、電池内部抵抗の低い電池を提供することができる。更に、ここで用いる上記の電解質ガラス粉末は、を加熱圧縮することで一枚のガラス板状の電解質層となるため、該層内では、電解質粉末粒子間接合界面が無くなり少なく、イオン伝導率が向上する高いガラス状の固体電解質層を得ることができる。このため、全固体リチウム二次電池の正極、負極からなる一対の電極間に、これら上記の電解質ガラス粉末を層状に介在させ、全固体リチウム二次電池素子の作成に際し、あるいは電極、電解質層を一体化成型する際において、加熱、圧縮工程を附加するよう行うことにより、電池内部において、電解質粉末同士の接合界面において接合粒界が無くなり少なく、イオン伝導性に優れた電解質層と電極層とを備えた一体化成型した全固体リチウム二次電池素子を形成することができ、上記全固体リチウム二次電池素子を用いた提供することができ、優れた充放電サイクル性能を付与させる全固体リチウム二次電池を提供することが可能となる。
[適応例9]上記適用例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法において、上記加熱を行う温度条件は、上記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスのガラス軟化温度領域の範囲内であり、上記加熱を行う時間は上記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの結晶化が進行しない時間範囲で行うことが好ましい。
これによれば、全固体リチウム二次電池の製造方法は、α−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの上記ガラス軟化温度領域で層状にプレス成形することで、容易に粒界の少ないガラス状の上記固体電解質層を作ることができる。このため、上記固体電解質層のイオン伝導率を改善することができる。また、上記電極内部では電極活物質粒子と電解質粒子の接合が円滑となり、優れた充放電サイクル性能を持った全固体リチウム二次電池素子を提供することができ、充放電率に優れた性能を示す全固体リチウム二次電池を提供することが可能になる。
[適応例10]上記適用例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法において、上記加熱を行う温度は、200℃〜300℃であり、上記加熱を行う時間が、5時間以内であることが好ましい。
これによれば、全固体リチウム二次電池は、上記固体電解質層の結晶化を回避させる必要があり、本全固体リチウム二次電池の製造方法において、加熱する温度は、上記層状に介在させた上記電解質ガラス粉末の軟化温度領域であって、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層が結晶化しない時間に亘り、加熱する必要がある。固体電解質ガラスの軟化は、上記固体電解質ガラスのガラス転移温度付近以上で起こる。結晶化が進む温度領域では、その温度が高ければ、高いほど、電解質ガラスの結晶化が進み易くなり、加熱処理時間を短くする必要がある。
上記加熱を行う温度は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層の軟化温度領域の範囲内であって、200℃〜300℃で処理することが好ましい。また、更に硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層が結晶化しない時間に亘り、加熱することが好ましく、その処理時間として、電池製造工程を考えると、5時間以内が望ましい。
このような方法によれば、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層の結晶化を回避し、優れたリチウムイオン伝導性を有するものとすることができる。また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末が軟化した状態となるため、異なる層との接合面における接合を円滑にすることができる。
[適応例11]上記適用例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法において、上記の全固体リチウム二次電池素子を、軟化温度が350℃以下の低融点ガラスにより封止する第4の工程を備えることが好ましい。
これによれば、全固体リチウム二次電池の製造方法は、全固体リチウム二次電池素子の周囲を低融点ガラスにより囲む工程を備えることで、嫌湿性電池である全固体リチウム二次電池の封孔処理も可能となり、全固体リチウム二次電池の製造工程における水分の混入を回避でき、電池性能の低下を防ぐことができる結果、極めて製造に関する工業的価値を高めることになる。
[適応例12]上記適用例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法において、上記低融点ガラスは、V25,ZnO,BaOおよびTeO2の4成分からなるガラスを用いたことが好ましい。
これによれば、全固体リチウム二次電池の製造方法は、低融点ガラスに、V25,ZnO,BaOおよびTeO2の、少なくとも4つの成分からなるものの使用が、全固体リチウム二次電池の加熱圧縮処理工程において、作成した電池の性能を低下させることが少ないため、好適に選定される。
このような方法によれば、低融点ガラスを溶融する際の熱転移による硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層の結晶化を回避でき、該電解質層のイオン伝導率の低下を阻止できる。
[適応例13]上記適用例にかかる全固体リチウム二次電池の製造方法において、上記第1の工程、上記第2の工程、上記第3の工程および上記第4の工程が、乾燥した不活性ガス雰囲気中で連続処理することが好ましい。
これによれば、全固体リチウム二次電池の製造方法は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層、正極層および負極層をそれぞれ形成する各形成工程を備え、各形成工程、一体化する処理工程は、乾燥した不活性ガス雰囲気中で連続して処理する。
このように、本全固体リチウム二次電池は、一対の正電極と負電極、および正電極と負電極間に設けられた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層を有する全固体リチウム二次電池であって、適用例7〜適用例13のいずれか一例の方法により製造されたことを特徴とする。
この全固体リチウム二次電池の作成には、このα−アルミナを含んだ硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを使用し、この電解質ガラス粉末からなる層を、少なくとも正極層と負極層の間に介在させるか、もしくは、少なくとも正極層および負極層の、いずれか1つとを、積層して加熱、圧縮することにより、これらを一体化させている。このことにより、異なる層間の接合界面における接合が密となり、作成した全固体リチウム二次電池の充放電性能において、充放電出力電流密度を大きくすることが可能となる。と同時に、電解質ガラス層内では電解質粉末同士の接合界面を無くすことができる。
その結果、特に、負極電極反応として金属リチウムの可逆析出反応を使用した電池系において、過充電時に生じやすい負極界面での金属リチウムの樹技状析出を阻止できることにつながり、その結果、正極と負極との電気的短絡を回避できる。このような異なる層を加熱、圧縮して一体化する工程は容易であり、且つ、作成した全固体リチウム二次電池の性能において、充放電サイクル寿命に優れた製品を供給することが出来、工業的価値の高い全固体リチウム二次電池の製造を可能とするものである。
以上、α−アルミナを含有した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を用いると、硫化物系リチウムイオン伝導体単味より、優れたリチウムイオン伝導性を有する硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを形成することができる。ここでは、α−アルミナを含有した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の混合物を、加熱溶融し、その融液を強急冷することで硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを製造する。このα−アルミナを含有した硫化物系リチウムイオン伝導性ガラスから生成した電解質ガラス粉末を材料とする固体電解質層と、正極層および負極層の少なくとも1つとを、積層して加熱、圧縮、を行い一体化することにより、異なる層間の界面における接合が密とすることができ、作成した電池の性能において、その充放電出力電流密度が大きくすることができる。
更に、α−アルミナを含有した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質として、Si、Ge、を含まないもの、例えば、Li2S−P25,Li2S−B25等の使用は、全固体リチウム二次電池を構成した場合、負極での反応として、金属リチウムの可逆析出反応を使用することが可能となり、好ましい。
更に、これらはヨウ化リチウム等のハロゲン化物を含まないため、正極での反応として、ハロゲン化物の酸化還元反応の影響を受けないため、高い充放電反応を示す電極活物質の使用が可能となり、より好ましいものとなる。以上のような材料を使用し、作成した電池内部の電解質層内部では電解質粉末粒子間の界面接合は無くなり、特に、負極電極反応として金属リチウムの可逆析出反応を使用した電池系において、過充電時に生じやすい負極界面での金属リチウムの樹技状析出を阻止できることにつながり、その結果、正極と負極との電気的短絡を回避できる。
このような異なる層を加熱、圧縮して一体化する工程は容易であり、且つ、作成した全固体リチウム二次電池の性能において、充放電サイクル寿命に優れた製品を供給することが出来、工業的価値の高い全固体リチウム二次電池の製造を可能とするものとなる。また、本発明で使用した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスは、既に発明者らが提案した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質にα−アルミナを含んだ混合電解質を母材とし、上記混合電解質のガラス化を検討した結果、製造が可能となったものである。開示されたα−アルミナを含んだ上記混合電解質は全てガラス化が可能であり、上記ガラス化された硫化物系リチウムイオン導電性固体電解質を使うことで、優れた電池性能を有する全固体リチウム二次電池の製造を可能としたものである。
[適応例14]本適用例にかかる電極と電解質層との一体化成形方法は、少なくとも正極層および負極層からなる1対の電極間に、少なくとも適用例1〜適用例2のいずれか一例に記載の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスによる固体電解質層を介在させた全固体リチウム二次電池素子を形成するものである。少なくとも正極層および負極層のいずれかと、少なくとも適用例1または適用例2のいずれか一例に記載の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスより生成した電解質ガラス粉末からなる層を、加熱、圧縮することにより、電極層と電解質層を一体化成型した上記全固体リチウム二次電池素子を形成することができる。
これによれば、上記の電極電解質層の一体化成形方法は、α−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを全固体リチウム二次電池の電解質として用いることで、単にα−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を用いたものと比べ、電池内部抵抗の低い電池を提供することができる。更に、ここで用いるから生成した電解質ガラス粉末は、を加熱圧縮することで一枚のガラス板状の電解質層となるため、該層内では電解質粉末粒子間接合界面が無くなり、イオン伝導率が向上する一枚のガラス状の固体電解質層を得られる。このため、上記の電極と電解質層との一体化成形方法は、全固体リチウム二次電池の正極、負極からなる一対の電極間に、これら上記の電解質ガラス粉末を層状に介在させ、全固体リチウム二次電池素子の作成に際し、あるいは電極、電解質層を一体化成型する際において、加熱圧縮工程を附加することにより、電池内部において、電解質粉末同士の接合界面において接合粒界が無くなり、イオン伝導性に優れた固体電解質ガラスによる固体電解質層を備えた全固体リチウム二次電池素子を形成することができる。全固体リチウム二次電池を提供することができに上記全固体リチウム二次電池を用いることにより、優れた充放電サイクル性能を付与させることが可能となる。
[適応例15]上記適用例にかかる電極と電解質層との一体化成形方法において、上記加熱を行う温度条件は、上記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスのガラス軟化温度領域の範囲内であり、上記加熱を行う時間は上記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの結晶化が進行しない時間範囲で行うことが好ましい。
これによれば、上記の電極と電解質層との一体化成形方法は、α−アルミナを含有させた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度領域で層状にプレス成形することで、容易に該電解質層内に粒界の無い板状ガラスの固体電解質層を作ることができる。このため、該電解質層のイオン伝導率を改善することができる。従って、全固体リチウム二次電池の正極、負極からなる一対の電極間に、これら電解質ガラス粉末を層状に介在させた全固体リチウム二次電池素子を作成するに際し、あるいは電極、電解質層を一体化成型する際において、該硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末の軟化温度領域で加熱、圧縮することで、電解質層内に粒界のない接合層とさせることができ、また、電極内部では電極活物質粒子と電解質粒子の接合が円滑となり、優れた充放電サイクル性能を持った全固体リチウム二次電池を提供することになり、また、充放電率に優れた性能を示す全固体リチウム二次電池を提供することが可能になる。
[適応例16]上記適用例にかかる電極と電解質層との一体化成形方法において、上記加熱を行う温度は、200℃〜300℃であり、上記加熱を行う時間は、5時間以内とすることが好ましい。
これによれば、電極と電解質層との一体化成形方法は、全固体リチウム二次電池素子内部の固体電解質層の結晶化を回避させる必要があり、上記加熱を行う温度は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層の軟化温度領域であるが、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層が結晶化しない時間に亘り、加熱する必要がある。固体電解質ガラスの軟化は、上記固体電解質ガラスのガラス転移温度付近以上で起こる。結晶化が進む温度領域では、その温度が高ければ、高いほど、電解質ガラスの結晶化が進み易くなり、加熱処理時間を短くする必要がある。
その上記加熱する温度は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層の軟化温度領域であって、200℃から300℃で処理するあることが好ましい。また、更に硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末層が結晶化しない時間に亘り、加熱することが好ましく、上記加熱を行う時間としては、電池製造工程を考えると、5時間以内が望ましい。
このような方法によれば、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの結晶化を回避し、優れたリチウムイオン伝導性を有するものとすることができる。また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス粉末が軟化した状態となるため、異なる層との接合面における接合を円滑にすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、全固体リチウム二次電池の製造方法を詳細に説明する。先ず、全固体リチウム二次電池の電解質層として用いる硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの作成方法ついて実施形態1を用い説明する。
(実施形態1)
本実施形態1で用いる硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質にα−アルミナを含んでなるガラス状電解質であり、母体となるリチウムイオン伝導性固体電解質は、例えば、Li2S−SiS2,Li2S−SiS2−LiI,Li2S−SiS2−LiBr,Li2S−SiS2−LiCl,Li2S−SiS2−B23−LiI,Li2S−SiS2−P25−LiI,Li2S−B23,Li2S−B23−LiI,Li2S−P25,Li2S−P25−LiI,Li2S−P25−ZmSn(Z=Ge,Zn,Ga),Li2S−GeS2,Li2S−SiS2−Li3PO4,Li2S−SiS2−LixPOy(M=P,Si,Ge,B,Al,Ga,In)系の硫化物リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス、及びこれら成分を含む結晶性のリチウムイオン伝導体、あるいはこれらの混合体からなるリチウムイオン伝導性固体電解質が選ばれる。
次に、これら母体となる硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質に絶縁性微粒子である、10μm以下の粒径を有するα−アルミナを混合して用いる。ここで用いるα−アルミナは、高真空中において250℃で5時間加熱し、その表面に吸着していると思われる水分を除去し用いた。
これらを所定量秤量し、上記、硫化物系リチウムイオン伝導体に加えた混合物を調合し、調合した混合物を、更に遊星ボールミルにより混合微粉砕化した。ここで用いた遊星ボールミルのポットは、アルミナ製であり、その中に入れるボールは、直径5mmおよび10mmのアルミナ製ボールを使用した。
次に、これら硫化物リチウムイオン伝導性固体電解質および調合したα−アルミナを用いてガラス化するに際しては、次の2通りの手法が適用される。
即ち、(1)調合したα−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質粉末をグラッシーカーボン坩堝に充填し、これを石英管内に真空封入する。この真空アンプルを電気炉内に挿入し、約850℃で約3時間、加温溶融した。その後、真空アンプルを氷水中に挿入し、グラッシーカーボン坩堝内の融液を強急冷することで、α−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを得た。
また、別のガラス化手法として、(2)調合したα−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質粉末をグラッシーカーボン坩堝に充填した後、この坩堝をグローブボックスに接続した電気炉内の石英管内に、乾燥アルゴンガス通気しながら挿入し、坩堝を約850℃で約3時間、加温し、α−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質粉末を溶融した。その後、この坩堝を石英管から取り出し、坩堝内の融液をグローブボックス中に設けたステンレス製のツインローラーに注ぐことで、溶融物を強急冷することで硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを作ることができる。
この融液の強急冷に当たっては、溶融状態から軟化温度領域に入り、この状態では柔軟性を持った板状となりながら、この過程を経由したあと、ガラス転移温度以下に到達し、一枚の堅い板状ガラスとなり、所望の硫化物リチウムイオン伝導性ガラスを得ることができる。
これらのツインローラーによるガラス化工程は全て、乾燥アルゴン雰囲気のドライボックスに付設した電気炉を使用するとともに、試料の準備工程は全てドライボックス中で処理した。こうして作成した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を粉砕し、その粉末を用い、これを直径1cmの円筒を有したアルミナ製成型金型に充填し、この金型を作成した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度(約200℃〜320℃)に加温しながら、約2トン/cm2の圧力で加圧成型した。
ここで、用いた成型用雄金型は金メッキを施したステンレス製のものを用いた。成型物を室温に冷却した後、その圧力下で、そのイオン伝導率を測定した。
以下に、本実施形態1の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを、更に詳細に説明するために、実施例を用いて説明する。
(実施例1)
ここでは、出発母材となる、硫化物系リチウムイオン伝導体としてLi2S−SiS2−Li3PO4からなるリチウムイオン伝導性ガラスを用い、上記(1)に記載した方法で、絶縁性部粒子としてα−アルミナを7%の重量比で混合した新しい硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを構成した。
得られた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを遊星ボールミルで、平均粒径が約7μmに粉砕し、得た固体電解質粉末を、イオン伝導率測定セルを兼ねた直径1cmの円筒を有したアルミナ製成型治具に充填し、2トン/cm2の圧力で加圧成型した。この加圧に際しては、治具を硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度領域(約200℃〜320℃)に加温(加温時間2時間以内で処理)しながら、加圧成型した。
ここで、用いた成型用雄金型は金メッキを施したステンレス製のものを用いた。続いて、加圧状態を維持しながら、測定セルが室温に冷却した後、そのイオン伝導率を測定した。またイオン伝導率測定後、測定セルから中の固体電解質ペレットを取り出すと、加熱温度が200℃から320℃以下の温度で作成したペレットは、全て薄茶色の透明なディスクとなって得られた。即ち、電解質層内では粒界接合の無い一枚の透明の板状リチウムイオン伝導性ガラスとなっており、180℃および350℃で作成したものは電解質が不透明白色状態を示していた。
この作成した電解質について、そのイオン伝導度を測定すると、200℃から320℃以下の加温範囲内で処理して得た透明な板状となったものでは、測定時に加圧する圧力が2トン/cm2と低い圧力に係わらず、そのイオン伝導率は1.7×10-3S/cm2以上の優れた値を示した。
一方、350℃で加熱圧縮して作成した白色の不透明な電解質では、0.95×10-4S/cm2を示し、極めてイオン伝導率の低下が著しいことが分かった。しかし、180℃で加温圧縮して得た白色不透明の電解質層では、1.1×10-3S/cm2を示した。
これは、350℃の処理では、電解質粉末が結晶化した為によるものであり、180℃での処理では、電解質粉末は軟化せず、単に電解質ガラス粉末を弱い圧力で圧縮しただけで、一枚の粒界の無いガラス板にはならなかったと考えられた。
これに対し、従来の電解質であるα−アルミナを単に実施例1で用いた電解質母材に混合して得た電解質粉末を、2トン/cm2の圧力で成型すると、そのイオン伝導率は0.9×10-3S/cm2を示し、成型圧力を4トン/cm2の圧力以上で成型することで、2.5×10-3S/cm2を示すようになった。
即ち、このことはイオン伝導率として、電解質粉末に4トン/cm2以上の圧力を掛けなければ得られない値で、しかも、作成した電解質成型体の色は白色のディスクとなっており、そこでは電解質粉末粒子同士の粒界接合が解消されず、不透明な白色を呈していた。
得られた特性を総合して図10に示した。この結果から、α−アルミナを単に混合して得た電解質粉末を用いると、4トン/cm2以上の圧力を掛け、その圧力を維持しなければ、全固体リチウム二次電池内の電解質層として、実用的電池性能を有したものとならないのに反し、本発明の電解質ガラス粉末を用い、電解質層を構成すると、容易に実用的な電解質層が可能となると言える。
(実施例2)
ここでは、実施例1で用いた電解質ガラスの加熱、圧縮成型における、加熱温度と時間の関係を調べるため、電解質ガラス成型体を同様に作成し、その伝導率を測定すると共に、その外観を調べた。但し、ここで用いた成型圧力は実施例1と同様、2トン/cm2とした。
得られた結果を総合して図11に示した。この結果、加熱温度として、180℃〜350℃の温度範囲で加熱圧縮すると、処理時間が6時間以内では、全てのガラス成型体について、そのイオン伝導率が1×10-3S/cm2以上を示していることが判った。但し、処理温度が300℃で、処理時間が5時間を超えるとこの温度領域では、イオン伝導率の若干の低下が認められている。
処理温度としては200℃から300℃の温度範囲で、処理時間としては5時間以内が望ましいことが判明した。180℃では電解質成型体の外観として不透明な白色を呈していたことから、電解質層内には粒界接合の存在した状況と考えられ、好ましい状態でない。
(実施例3)
ここでは、出発母材となる、硫化物系リチウムイオン伝導体としてLi2S−Ge22−P25からなるリチウムイオン伝導性ガラスを用い、上記(1)に記載した方法で、絶縁性部粒子としてα−アルミナを7%の重量比で混合した新しい硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを同様に構成した。
得られた硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス(以下、電解質ガラスともいう)を遊星ボールミルで、平均粒径が約7μmに粉砕した固体電解質粉末を、イオン伝導率測定セルを兼ねた直径1cmの円筒を有したアルミナ製成型金型に充填し、この金型を作成した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度(約220℃)に加温(加温時間2時間以内で処理)、約2トン/cm2の圧力で加圧成型した。
ここで、用いた成型用雄金型は金メッキを施したステンレス製のものを用いた。続いて、加圧状態を維持しながら、測定セルが室温に冷却した後、そのイオン伝導率を測定した。またイオン伝導率測定後、測定セルから中の固体電解質ペレットを取り出すと、上記固体電解質ペレットは薄茶色の透明なディスクとなっていた。この事例でも、電解質層内では粒界接合の無い一枚の板状リチウムイオン伝導性ガラスとなっていることが判明した。
作成した電解質ガラスのイオン伝導度の測定結果は、測定時に加圧する圧力が2トン/cm2と低い圧力に係わらず、そのイオン伝導率は3.3×10-3S/cm2と優れた値を示した。これに対し、従来のα−アルミナを母剤に単に混合して得た電解質粉末を同じようにイオン伝導率を測定し、比較すると、この値はイオン伝導率測定用セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けなければ得られない値であった。
即ち、α−アルミナを単に混合して得た電解質粉末では、測定セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けることにより、約3.0×10-3S/cm2となる。これは従来の電解質層を成型するに際し、この圧力以上掛けなければ、電解質内部では粒界接合の影響を受けるものであることが判った。しかも、測定後、セル内の電解質成型体を取り出すと、薄茶色の不透明なディスクが得られた。即ち、成型体内部では、電解質粉末粒子同士の粒界接合が解消されず、薄茶色の不透明な状態を呈していたと思われた。
(実施例4)
ここでは、出発母材となる、硫化物系リチウムイオン伝導体としてLi2S−P25からなるリチウムイオン伝導性ガラスを用い、上記(1)に記載した方法で、絶縁性部粒子としてα−アルミナを7%の重量比で混合した新しい硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを構成した。
得られた電解質ガラスを遊星ボールミルで、平均粒径が約7μmに粉砕し、この粉末を、イオン伝導率測定セルを兼ねた直径1cmの円筒を有したアルミナ製成型金型に充填し、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度領域(約220℃)に加温(加温時間2時間以内で処理)しながら、約2トン/cm2の圧力で加圧成型した。
ここで、用いた成型用雄金型は金メッキを施したステンレス製のものを用いた。続いて、加圧状態を維持しながら、測定セルを室温に冷却させ後、そのイオン伝導率を測定した。またイオン伝導率測定後、測定セルから中の固体電解質ペレットを取り出すと、上記固体電解質ペレットは薄茶色の透明な茶褐色のディスクとなって得られた。この事例でも、電解質層内では粒界接合の無い一枚の板状リチウムイオン伝導性ガラスとなっていることが判明した。
この作成した電解質ガラスのイオン伝導度を測定した結果、測定時に加圧する圧力が2トン/cm2と低い圧力に係わらず、そのイオン伝導率は0.85×10-3S/cmで、極めて優れた値を示した。これに対し、従来のα−アルミナを、この母剤に単に混合して得た電解質粉末を同じようにイオン伝導率を測定し、比較すると、この値はイオン伝導率測定用セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けなければ得られない値であることが判明した。
即ち、α−アルミナを単に混合して得た電解質粉末を用いると、測定セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けなければ、約0.7×10-3S/cm2とならず、これは従来の電解質層を成型するに際し、この圧力以上掛けなければ、電解質内部では粒界接合の影響を受けるものであることが判った。しかも、測定後、セル内の電解質成型体を取り出すと、茶褐色色の不透明なディスクが得られた。即ち、成型体内部では、電解質粉末粒子同士の粒界接合が解消されず、茶褐色の不透明な状態を呈していたと思われた。
(実施例5)
ここでは出発母材となる、硫化物系リチウムイオン伝導体としてLi2S−P25−LiIからなるリチウムイオン伝導性ガラスを用い、上記(1)に記載した方法で、絶縁性部粒子としてα−アルミナを7%の重量比で混合した新しい硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを構成した。
得られた電解質ガラスを遊星ボールミルで、平均粒径が約7μmに粉砕し、この粉末を、イオン伝導率測定セルを兼ねた直径1cmの円筒を有したアルミナ製成型金型に充填し、作成した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度(約220℃)に加温(加温時間2時間以内で処理)しながら、約2トン/cm2の圧力で加圧成型した。
ここで、用いた成型用雄金型は金メッキを施したステンレス製のものを用いた。続いて、加圧状態を維持しながら、測定セルを室温に冷却させた後、そのイオン伝導率を測定した。またイオン伝導率測定後、測定セルから中の固体電解質ペレットを取り出すと、上記固体電解質ペレットは茶黒色の透明なディスクが得られた。この事例でも、電解質層内では粒界接合の無い一枚の板状リチウムイオン伝導性ガラスとなっていることが判明した。
作成した電解質ガラスのイオン伝導度の測定結果、測定時に加圧する圧力が2トン/cm2と低い圧力に係わらず、そのイオン伝導率は1.1×10-3S/cmで、極めて優れた値を示した。一方、従来のα−アルミナを、この母剤に単に混合して得た電解質粉末を同じようにイオン伝導率を測定し、比較すると、この値はイオン伝導率測定用セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けなければ得られない値であることが判明した。
即ち、α−アルミナを単に混合して得た電解質粉末を用いると、測定セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けねば、このイオン伝導率に近い、約0.85×10-3S/cm2とならなかった。これは従来の電解質層を成型するに際し、この圧力以上の圧力を掛け無ければ、電解質内部では粒界接合の影響を受ける材料であることが判った。しかも、測定後、セル内の電解質成型体を取り出すと、濃い茶色の不透明なディスクが得られた。即ち、成型体内部では、電解質粉末粒子同士の粒界接合が解消されず、茶黒色の不透明な状態を呈していたと思われた。
(実施例6)
ここでは、出発母材となる、硫化物系リチウムイオン伝導体としてLi2S−B23からなるリチウムイオン伝導性ガラスを用い、上記(1)に記載した方法で、絶縁性部粒子としてα−アルミナを5%の重量比で混合した新しい硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを構成した。
得られた電解質ガラスを遊星ボールミルで、平均粒径が約7μmに粉砕し、これをイオン伝導率測定セルを兼ねた直径1cmの円筒を有したアルミナ製成型金型に充填し、作成した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度(約220℃)に金型を加温(加温時間2時間以内で処理)、約2トン/cm2の圧力で加圧成型した。ここで、用いた成型用雄金型は金メッキを施したステンレス製のものを用いた。続いて、加圧状態を維持しながら、測定セルを室温に冷却した後、そのイオン伝導率を測定した。またイオン伝導率測定後、測定セルから中の固体電解質ペレットを取り出すと、上記固体電位質ペレットは茶色の透明なディスクとなっていた。この事例でも、電解質層内では粒界接合の無い一枚の板状リチウムイオン伝導性ガラスとなっていることが判明した。
作成した電解質ガラスのイオン伝導度の測定結果は、測定時に加圧する圧力が2トン/cm2と低い圧力に係わらず、そのイオン伝導率は1.0×10-3S/cmで、極めて優れた値を示した。これに対し、従来のα−アルミナを、この母剤に単に混合して得た電解質粉末を同じようにイオン伝導率を測定し、比較すると、この値はイオン伝導率測定用セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けなければ得られない値であることが判明した。
即ち、α−アルミナを単に混合して得た電解質粉末を用いると、測定セルに4トン/cm2以上の圧力を掛けることで、約0.9×10-3S/cm2となった。これは従来の電解質層を成型するに際し、この圧力以上掛け無ければ、電解質内部では粒界接合の影響を受けるものであることが判った。しかも、測定後、セル内の電解質成型体を取り出すと、薄茶色の不透明なディスクが得られた。即ち、成型体内部では、電解質粉末粒子同士の粒界接合が解消されず、茶色の不透明な状態を呈していたと思われた。
本実施例では、Li2S−SiS2−Li3PO4,Li2S−GeS2−P25,Li2S−P25,Li2S−P25−LiI、Li2S−B23の5種の硫化物リチウムイオン伝導性固体電解質を用い、これらにα−Al23を加えた材料を合成し、その溶融温度域まで加温し、その融液を強急冷することで、ガラス化が可能であることが判明した。
これらの現象は、本具体例で用いた硫化物リチウムイオン伝導体に限定されるものでなく、硫化物リチウムイオン伝導体にα−アルミナを混合した全ての材料に対して共通して、ガラス化が可能となることは、容易に推定されるものである。また、それぞれのイオン伝導度を測定した結果から、その値が粉末状の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を成型したものと全く異なり、強い圧力で加圧しなくても、形成されている電解質層が一枚のガラス状となっているため、電解質粉末粒界接合問題がなくなり、そのイオン伝導度が向上することが判った。
以上のように、上記した実施例1から実施例6の結果と、ガラス化しない電解質についての、イオン伝導率測定のための印加圧力の影響結果から判るように、α−Al23を硫化物リチウムイオン伝導体への混合した全ての硫化物リチウムイオン伝導体を、溶融温度域まで加温し、その融液を強急冷することで、ガラス化が可能であり、これにより、イオン伝導率が、電解質中に粒界がないため改善されたものと言えることが判明した。
また、α−アルミナを単に混合して得た電解質粉末を用いると、4トン/cm2以上の圧力を掛け、その圧力を維持しなければ、全固体リチウム二次電池内の電解質層として、実用的電池性能を有したものとならないことから、全固体リチウム二次電池では、その電池素子の外周を強く圧縮状態としなければ、優れた充放電サイクル性能を有しなくなると考えられ、これに反し、本発明の電解質ガラス粉末を用い、粒界接合のない電解質層を構成し、用いると、容易に実用的な全固体リチウム二次電池となると言える。
<全固体リチウム二次電池>
次に、こうして得た新しい硫化物リチウムイオン伝導性ガラスを備える本実施形態2の全固体リチウム二次電池について説明する。
(実施形態2)
この全固体リチウム二次電池は、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを層状に形成した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を備える。
図2は、本実施形態の全固体リチウム二次電池の縦断面図である。この図2に示す全固体リチウム二次電池素子は、正極(I)、負極(II)間に新規硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層(以下、電解質層という)8を介在させて構成されるが、その際、介在させる電解質層8は、正極(I)および負極(II)を覆う様に形成されており、且つ、正極リード板1、負極リード板5は、電解質層8と同等もしくは、より大なる構造の形態とする。更に、この電池素子のほぼ全体(全周)を被覆するように設けられた電池シール部として、絶縁性のシール部10で、正電極端子9および負電極端子4間を隔離し、封孔されている。
以下では、まず、正極(I)と負極(II)と電解質層8とを有する電池素子(電池要素)について説明するが、本実施形態では、正極(I)および負極(II)の構成は、殆ど同様の構成も可能なため、正極(I)を代表として図3を用いて説明する。
正極(I)は、電極材料として、電極活物質粒子と固体電解質粉末、必要に応じて、カーボン等の導電剤を混合した正電極合材3、(負極(II)は、負電極合材7)を用いる。この正電極合材3、負電極合材7は、導電性網材のような空隙を有する正極集電体2、負極集電体6に充填されて用いられる。
この際、正極集電体2、負極集電体6としては電流の均一化と内部抵抗を低下させるための目的で電子導電性を付与する効果だけでなく、電池の充放電に際し起こる電極の膨張収縮現象に対しての補強役割を持たせる作用を有し、正極リード板1および負極リード板5に固着し電気的な接合を行うことは、より好ましい。
正極集電体2及び正極リード板1の構成材料としては、例えば、Cu、Ni、Ti、SUSのような電子伝導性金属材料、ポリカーボネートのような硬質樹脂材料、アルミナ、ガラスのようなセラミックス等の絶縁性材料を用いることができるが、全固体リチウム二次電池素子の電解質ガラスの軟化温度に加熱圧縮する際の温度に耐える必要があり、また、絶縁性材料を用いる場合は、その表面に導電性薄膜を付加して用いることは好ましい。
ここで使用する集電体構造を図4に示した。図中401は、所望の寸法サイズの正極リード板1、負極リード板5に同等サイズの金属の網材からなる正極集電体2、負極集電体6をスポット溶接したものである。図中402は正極リード板1、負極リード板5の寸法より小さい正極集電体2、負極集電体6をスポット溶接したものである。また、図中403,404は、構成しようとする電極層の外周部に機械的強度を付加するために、集電体構造401および集電体構造402に規制部11を設けた構造材であり、絶縁性材料または導電性を有する材料を使用することが可能であり、電解質層8で兼ねることもできる。電極作成には、これら各種集電体構造のものから、電池構造に応じて、適宜選択し使用した。
ここで、正極集電体2、負極集電体6として用いた金属の網材は、その構成材料や目的等によっても若干異なるが、平面視において開孔部割合が、25%〜90%程度であるのが好ましく、70%〜85%程度であるのがより好ましい。更にその平均厚さが、10μm〜400μm程度であるのが好ましく、50μm〜300μm程度であるのがより好ましい。
本実施形態の電極では、正極集電体2、負極集電体6のほぼ全面を覆うように、正電極合材3、負電極合材7が正極集電体2、負極集電体6に充填されている。
また、ここで用いる正極リード板1および負極リード板5の厚みは、300μm〜500μm程度が好ましい。正電極合材3、負電極合材7としては、例えば、電極活物質を単独、または電極活物質と固体電解質材料とを含んでいる混合物(電極合材)、さらには必要に応じてカーボン等の導電性付与材を混合して用いることができる。
正電極合材3、負電極合材7として、電極活物質と固体電解質材料とを含んでいる混合物を用いることにより、正極(I)または負極(II)を構成する電極活物質と電解質ガラス粉末粒子とのイオン伝導性接合界面の増大により、その界面接合力の密着性の向上を図ることができる。その結果、電極と電解質層8との間におけるイオンの授受が円滑に行われるようになり、全固体リチウム二次電池の特性(充放電特性)を、より向上させることができる。
本実施形態で用いる正極活物質は、コバルト酸リチウム(LixCoO2)、ニッケル酸リチウム(LixNiO2)、リチウムコバルト酸ニッケル(LiCo0.3Ni0.72)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、チタン酸リチウム(Li4/3Ti5/34)、リチウムマンガン酸化合物(LiMyMn2-y4;M=Cr,Co,Ni)、リチウム燐酸鉄およびその化合物(Li1-xFePO4,Li1-xFe0.5Mn0.5PO4)であるオリビン化合物等の遷移金属酸化物材料、TiS2,VS2,FeS,Me・MoS8(MeはLi,Ti,Cu,Sb,Sn,Pb,Ni等の遷移金属)のような硫化物系カルコゲン化物、TiO2,Cr38,V25,MnO2,CoO2等のような金属酸化物を骨格としたリチウム金属酸化物等が挙げられる。
また、負極活物質としては、カーボン、およびリチウム、インジウム、アルミニウム、のような金属材料およびこれら金属とリチウムからなる合金を、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら電極活物質と新規固体電解質ガラス材料を混合して用いる場合、新規固体電解質ガラス材料は、後述する電解質層8と同種(同一)であっても異なっていてもよいが、同種(特に同一)であるのが好ましい。これにより、正極(I)と電解質層8との間でのイオンの移動をより円滑に行うことができるとともに、さらなる密着性の向上を図ることができる。
また、電極活物質と固体電解質ガラス材料との混合比は、特に限定されないが、重量比で、4:6〜9:1程度が好ましく、5:5〜8:2程度であるのがより好ましい。
また、電極活物質としては、20μm以下の粒状(粉状)のものが好適に用いられる。こうした粒状の電極合材を用いることにより、正極集電体2、負極集電体6の空隙部内に正電極合材3、負電極合材7をより容易かつ確実に充填することができる。
この正電極合材3、負電極合材7の層の平均厚さは、30μm以上500μm以下であるのが好ましく、50μm以上300μm以下であるのが、より好ましい。これは正電極合材3、負電極合材7の厚さが30μm以下では、電極内の活物質への電子伝導のネットワーク経路が少なくなり、出力電流が少なくなるとともに、500μm以上では、電解質層8に接触する電極界面からのイオン伝導経路が永くなる結果、電極内部抵抗が大きくなり、出力電流が少なくなる。従って、全固体二次電池の充放電性能を高くするためには、電極としての厚さに最適厚みが存在するものとなる。
次に、正極(I)、負極(II)の集電体構成例について説明する。その構成を図4に示す。用いる正極集電体2、負極集電体6は正極リード板1または負極リード板5に電気的に接続されたもので、正極集電体2または負極集電体6は、電子伝導性を有する網材を用いてもよい。
また、例えば、凹凸を有するプレス成型体板またはエッチングによる成型体板を用いることで、正極リード板1または負極リード板5と集電体とを兼ねた形状としても良い。403,404は電極の外周部分に補強体として規制部11を備えたもので、上記した補強体は、絶縁性材料または導電性を有する材料を使用でき、電解質層8で兼ねることもできる。
尚、正極(I)、および負極(II)の構成において、図4に示す基材の種類は、それぞれ正極(I)、と負極(II)で用いたものと、同一であっても異なってもよい。また、本実施形態では、これらの正極(I)および負極(II)の間に、少なくとも一つ以上の電極全体を覆うように接触した電解質層8が設けられている。本実施形態では、この電解質層8は、新規固体電解質ガラス粉末を加圧成型し、それを加熱圧縮し板状ガラスとして作成される。
この新規固体電解質ガラス粒子の平均粒径としては、特に限定されないが、1μm〜20μm程度であるのが好ましく、1μm〜10μm程度であるのがより好ましい。かかるサイズの固体電解質粒子を用いることは、最終的に全固体リチウム二次電池素子を構成する電解質ガラスの軟化温度に加温、圧縮する際、固体電解質ガラス粒子同士の接触が改善され、また電極内では電極活物質と電解質ガラス粒子の接合面積を増大させることができ、リチウムイオンの移動経路を十分に確保することができ、電池素子およびそれを用いて作成した積層二次電池の特性をより向上させることができる。
また、電解質層8の平均厚さとしては、10μm〜500μm程度であるのが好ましく、30μm〜300μm程度であるのがより好ましい。
以上のように本実施形態では、この電解質層8が、上述した正極(I)および負極(II)の周囲を覆った状態で電池素子が構成されている。これにより、電極活物質およびカーボン等の導電材料が混合されている正電極合材3、負電極合材7を使用し作成した電極では電極活物質及び導電材料が電極から脱落し、電解質層8周辺の端面を汚染しない。
即ち、正電極(I)、負電極(II)間を短絡させるという現象を皆無とすることができる。この電極からの活物質の脱離による電極間の短絡は構成する電池素子の電解質層の厚みが薄いほど多発するものとなる。その結果、薄い電極群、電解質群よりなる素電池を複数用い構成される積層電池では、構成内部電池素子に不良電池素子が1つでもあれば、積層電池を構成することが出来ない為、より一層、本実施形態の効果が得られるものとなり好ましい。
また、本実施形態で用いる、正極集電体2、負極集電体6および正極リード板1、負極リード板5は、リード板表面に凹凸を有しているものを用いることもでき、かかる構成のリード板を用いることにより、凹凸部に前述した正電極合材3、負電極合材7を充填する空隙を備えた機能を発揮させることができる。その結果、正極リード板1、負極リード板5が、正極集電体2、負極集電体6の使用を省略できるという利点も得られる。
この際、凹凸における凹部および凸部の横断面形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、長方形、正方形、菱形等の四角形、五角形、六角形、八角形のような多角形、不定形等のいずれもよい。また、正極リード板1、負極リード板5の表面に、横断面形状が異なる2種類以上の凹凸が混在していても構わない。
正極リード板1、負極リード板5における凹部が占める面積の割合は、その平面視において、25%〜90%程度であるのが好ましく、50%〜85%程度であるのがより好ましい。
また、正極リード板1、負極リード板5における凸部は、その平均高さが、50μm〜400μm程度であるのが好ましく、100μm〜200μm程度であるのがより好ましい。
凹部および凸部の割合および寸法をかかる範囲内とすることにより、凹凸部に集電体としての機能をより確実に発揮させることができる。
次に、図5には別の構造の全固体リチウム二次電池、電池素子を電池容器19内に設置した構造のものを示した。ここでは、電池素子が有する正極(I)、および、負極(II)には、充放電を行うための正極電極端子12、負極電極端子15が、導電性を有する接続リード13,16を介して、正極リード板1、負極リード板5と接続されている。
各正極電極端子12、負極電極端子15は予め電池容器蓋20に設置したハーメチック電極端子14,17を介し接続しておき、一方、電池容器19内に、絶縁性の固定材を充填したものの中に、これを挿入し、電池容器蓋20と電池容器19の接合部21をシーム溶接あるいはパッキング材で封孔したものである。従って、正極リード板1、負極リード板5は固定部18を貫通した構成となっている。
この固定部18は正電極、負電極の周辺に具備された規制部11にも接触して設置されており、規制部11と同等の働きを有しており、電池の充放電に於ける面方向の延び縮を規制(維持)する機能を有する。即ち、正極(I)および、負極(II)の面方向{正極(I)から負極(II)に向かう方向に対してほぼ垂直をなす方向}への拡大を規制する機能を有し、それに付随して起こる正極、負極間に介在する電解質層8の面方向への拡大をも規制し、電解質、電極の接合界面の電子的接合阻害を阻止する作用を与えるものである。
一般に、電池素子では、充放電に伴って電極活物質の結晶構造が立体的に変形(伸縮)する。そのため、例えば、電極に規制部11を設けない従来型の構成および従来から用いられている硫化物リチウムイオン伝導体を用いた全固体リチウム二次電池では、電池の充放電の際に生じる電極活物質の結晶構造が立体的に変形(変化)する。これに対しては、正極(I)および、負極(II)は、厚さ方向でなく面方向に大きく変形(伸縮)する。
その結果、正極(I)および、負極(II)は電解質層8からはみ出し部分が形成される。当然、正極、負極の間に存在する電解質層8も面方向に引き延ばされる(あるいは逆の反応時には伸縮して)ことになる。これに伴って、かかる部分では、電極活物質への電子的接合あるいはイオン伝導経路を切断する接合阻害が生じることに起因して、電池素子の充放電に伴って電流が流れにくくなる。
即ち、当該部分から、電極活物質と電解質との接触界面に剥離が生じ、電子的接合あるいはイオン伝導経路が破壊される。この現象は、二次電池ヘの充放電を繰り返すことにより、徐々に進行し、結果として、二次電池においては、電池容量が徐々に低下し、ついには二次電池の充放電が困難となる。
これに対して、本実施形態の電池素子では、正極(I)および、負極(II)の面方向への拡大を規制する機能を持たし、それに付随して起こる電解質層8の面方向への拡大を規制する機能を有する規制部11および固定部18を設けた構成が、より好ましく適用できる。これにより、二次電池の作製時や充放電時において、二次電池の形状をできる限り初期形状に近い状態で維持すること、すなわち正極(I)および負極(II)、電解質層8の面方向への拡大が規制されて、上記の不都合を防止することができる。その結果、充放電サイクルの経過(複数回の充放電)によっても、電池容量の低下を防止することができる。
この規制部11は、電子伝導性材料および絶縁性材料のいずれも、電池反応に影響を与えない不活性な材料で構成される。かかる構成とすることにより、正極(I)および負極(II)間の短絡を確実に防止することができる。
この絶縁性材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のような各種樹脂材料、各種ガラス材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂および低融点ガラスのうちの1種または2種以上を組み合わせて構成しても良い。ただし、用いる材料としては全固体リチウム二次電池素子の電解質ガラスの軟化温度に加熱圧縮する際の温度に耐える必要のあるものが選択される必要がある。
これらの材料を用いることにより、規制部11をより容易に形成することができる。また、機械的強度の高い規制部11を得やすいことからも好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体およびポリアミド等やホットメルト樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびフェノール系樹脂等が挙げられる。また、光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂およびビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
また、規制部11は、その構成材料や目的等によっても若干異なるが、その平均厚さ(特に、その側面の平均厚さ)が、30μm〜500μm程度であるのが好ましく、50μm〜300μm程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、正極(I)および負極(II)、電解質層8の面方向への拡大を確実に防止して、規制部11としての機能を確実に発揮させることができる。
次に、上述したような部材を用いて、全固体リチウム二次電池を作成する工程について説明する。
全固体リチウム二次電池を作成する従来の工程は、例えば、図6における金型を用い、下部雄成形型600を挿入した状態で、図4の集電体構造401に示す集電体構造の正極リード板1、負極リード板5側を下部金型に接するように成形金型602の円筒孔603内に挿入する。その後、円筒孔603に正電極合材3、負電極合材7を充填し、正電極合材3、負電極合材7を平面化した後、上部雄成形型601を挿入し、予備的に加圧成形した。これを取り出し、正電極と負電極とした。
続いて、図7の金型を用いて電解質層と電極層を一体化成型した。
これには、先ず、図7で示した金型を用い、(i):この円筒孔703Aに電解質粉末705Aを挿入し、平滑化した後[この状態では電解質層は(図8の801)の状態となる]。
次に、(ii):上部雄成形型として電解質層に電極充填用空間部位を形成するための凸部を備えた上部雄成形型706Aを挿入し、弱い力で加圧する[この状態では電解質層は(図8の802)の状態となる]。
続いて、(iii):この上部雄成形型706Aを抜き、出来た電解質層の凹面に、既に作成しておいた電極(正極または負極)を電極活物質面が電解質層に接する様に挿入し、上部雄成形型701Aにより、予備的に加圧成型する[この状態では電解質層と電極層(正極)は一体化され、(図8の803)の状態となる]。
続いて、この金型を上下、逆転させ、(iv):(i)〜(iii)の工程と同じようにして処理を行うことにより、(図8の804)の状態とし、最後に(v):では(図8の805)の状態とすることで、本発明の電池素子を構成する。
この工程では、正電極、負電極共に、その周囲が電解質層で囲まれた構成としたが、片側の電極と電解質層を一体化したものを用いても良い。この構造では、後で述べるこれら一体化成型物を、更に加熱圧縮一体化する際、負極活物質として耐熱性の低い、リチウム、インジウム等を圧着、貼り付けした電池素子を作成する時に用いられる。
以上、これらの工程で用いた加圧成形のための圧力は1トン/cm2以上であるのが好ましく、2トン/cm2であるのがより好ましい。これにより、正電極合材3、負電極合材7を好適に圧縮できるとともに、正極集電体2、負極集電体6(図4参照)が備える空隙部内に正電極合材3、負電極合材7を確実に充填することができ、後続する加熱圧縮による一体化をより確実とする。
この際、全固体リチウム二次電池の製造に用いられる各種成形用金型は、金属製に限定されず、例えば、樹脂製、セラミックス製であってもよい。
次に、本発明の全固体リチウム二次電池を製造するための製造方法について、更に詳細に図9のフローチャートを用い順次説明する。
<A>電極形成工程901
先ず、予め、図4に示した電極作成に必要な正極集電体2、負極集電体6を準備する。
(i)電極作成工程:図6の円筒孔603に、正極集電体2、負極集電体6として正極リード板1、負極リード板5が下部雄成形型600上に接するように配置し、正電極合材3および負電極合材7を充填する。この充填した正電極合材3、負電極合材7を平面化した後、上部雄成形型601を用い、加圧成形することで正電極と負電極を作成する。これを金型より抜き出すことで、本発明用電池の電極(図3−1)を作成する。
<B>電解質一体化接合工程902
次に、電解質層作成用金型として、電極作成に用いた円筒孔603より内径の大きい成形型(図7参照)を用意し、この成形型が備える円筒孔703A内に、下部雄成形型700Aを挿入した状態で、円筒孔703A内に電解質粉末705Aを充填する。
次いで、円筒孔703A内の電解質層に電極形状が形成可能な凹凸部を形成するため、電極挿入部となる突起部707Aを有する上部雄成形型706Aを挿入し、これを予備的に加圧成形することで、電極を挿入可能な部位を備えた電解質層を形成する。
その後、上部雄成形型706Aを取り出し、電解質層に形成された電極挿入部分に、<A>電極形成工程901の工程で作成した電極(例えば正極)を挿入し、突起部のない上部雄成形型701Aを挿入し、予備加圧成型することで、正極の周囲が電解質層で覆われた電解質層と電極(正極)が一体化する(図8の803)を作成することができる。
<C>電池素子作成工程903
次に、正極と電解質層が一体化した成型体を取り出すことなく、成形金型(図7参照)を上下反転させた後、上になった下部雄成形型700Aを一度取り出し、円筒孔703A内の電解質層面に、再び、電極形状が形成可能な突起部707Aを有する上部雄成形型706Aを挿入し、予備的に加圧成形することで、電極(負極)を挿入可能な部位を備えた電解質層を形成する。
続いて、上部雄成形型706Aを取り出し、この部位に予め作成した末端電極(負極)を挿入し、突起部のない下部雄成形型700Aを挿入し、所定の圧力で加圧成型することで、正極層および負極層の周囲が電解質層で覆われた単電池素子(図8の805)となる素電池を作成することができる。
この工程での成型は電解質が軟化する温度域に加熱しながら行った。従って、加える圧力は、1トン/cm2程度で良く、2トン/cm2以上であるのがより好ましい。これにより、電池素子が十分に圧縮され、また、電池素子内での正極(I)、負極(II)の周囲を電解質層で完全に覆うことが出来、その接合強度あるいは界面接合を確実とする。
この結果、作成した電池素子内での正極と負極との間の短絡を確実に阻止するとともに、電池性能の一定した電池作成が可能となる。
また、これらの工程で用いた成型用雌金型702Aの円筒孔703Aの内面には、形成される電池素子の離型性を向上させるための離型剤を付与しておいてもよい。
<D>電池シール化工程904
この工程を図2の電池素子を用い説明する。
<C>電池素子作成工程903で得た電池素子を図7の金型より、更に大きい金型を用意し、その内部に正電極端子9を設置した後、その上に挿入する。
続いて、挿入した電池素子の周囲に軟化温度が350℃以下の低融点ガラスフリットを充填した後、負電極端子4を挿入し、全体を加圧することで、電池素子の電極端子の間の周囲に低融点ガラスフリットが充填した状態の電池素子を作成する。
この状態にした電池素子を、加圧下の元、低融点ガラスフリットが軟化溶融する温度に加熱し、電池素子全体を封孔シールする(シール部10)。ここで用いる低融点ガラスとしては、軟化温度が200℃〜350℃以下の範囲のものを選択した。
このような低融点ガラスとしては、PbO−B23−SiO2−Al23系の鉛ガラス、その他、鉛を含まない低融点ガラスも、この軟化温度範囲の封孔シール材として使用可能である。しかし、酸化鉛が有ると、これが負極電極界面でこの材料が電気的に接触していると、容易に還元が進む、また更に、これらは電池内部に存在する硫化物系リチウムイオン伝導体に含まれる硫黄成分と化学的に反応しやすい為、電池を長期に渡って使用するには、V25,ZnO,BaOおよびTeO2の4つの成分からなる無鉛低融点ガラスの使用は、軟化温度が320℃近辺にあり、好ましく用いることができる。
この封孔シール材を使用するに際しては、このように電池全体は220℃付近に加熱しながら、5時間以内で全体を圧縮処理すること、さらには、電池封じ部位を局部的に加熱しても、内部の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを結晶化させる温度には到達しないため、使用可能である。
これにより、内部に存在する硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス層内の電解質ガラス粒子間の粒界を無くすことが可能となる。更に、電極内部での電解質粒子と電極活物質粒子間の界面接合を滑らかとする作用があり、接合界面でのイオン伝導経路が良好となり、電池出力特性が向上させる効果が期待できる。
このような効果を得るために、60%以上の硬化状態となるまで減圧加熱状態を維持し、その後、減圧を解除し(必要に応じて、加圧接合しても良い)封孔しても良い。また、上記した無鉛低融点ガラスを更に、好適に使用するために、これらのガラスに微量の鉛材料を加えることで融点を低下させても良い。また、これら材料の熱膨張を調整するために、使用するガラスフリット内にフィラーとして、β−ユークリプタイト、チタン酸鉛、コージェライトなどを加え、使用しても良い。
<E>電池封孔工程905
この工程は、電池構成として図5の構造のものを作成するに際し行われる。ここでは電池容器19および電池容器蓋20の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、真鍮、ステンレススティール等各種金属材料や各種樹脂材料、各種セラミックス材料、各種ガラス材料、金属と各種樹脂からなるコンポジット材料等が挙げられるが、電解質ガラスの軟化処理温度に耐える材料を選定する必要があることは云うまでもない。
この工程では、<D>電池シール化工程904で作成した電池素子の正極リード板1、負極リード板5と正極電極端子12、負極電極端子15を電池容器蓋20に設けられたハーメチック電極端子14,17を介し、予め接合しておく。この状態にしたものを予め溶融させたホットメルトが存在する容器内に挿入し、電池容器19を冷却した後、電池容器蓋20と電池容器19の間の接合部21にパッキングを介在させ、プレス封孔によりシールした。
以下に、本発明の全固体リチウムイオン二次電池を詳細に説明するために、具体的実施例を用いて説明する。
(実施例7)
ここでは、本発明によるところの電池構成(図2参照)、即ち、一対の電極間に両方の電極を電解質層で覆った形状の電池素子を作成した。
先ず、図6の円筒孔603に、集電体として正極リード板1または負極リード板5と正極集電体2または負極集電体6とを接合したものを用意し、正極リード板1または負極リード板5が下部雄成形型600上に接するように配置し、正電極合材3または負電極合材7を充填する。
続いて、この充填した正電極合材3、負電極合材7を平面化した後、上部雄成形型601を用い、加圧成形することで電極(例えば正極)を作成する。これを金型より抜き出すことで、本発明用電池の電極(図3−1参照)を構成する。
ここでは、正極活物質としてコバルト酸リチウム、電解質としてLi2S,SiS2,Li3PO4からなる3元系硫化物リチウムイオン伝導性ガラスを母剤とし、これにα−アルミナを5%加えたイオン伝導度が3.2×10-3S/cm2の新規硫化物リチウムイオン伝導体をガラス粉末にしたものを用い、これらを7:3の重量比で混合してなる正極合材を、直径16mm、厚さ、約250μmの正極を作成した。
電解質層には同一電解質を用い、直径18mm、厚さ300μmとした。また負極活物質としてはカーボン粉末(粒径、5μm)を用い、これを電解質と重量比で5:5の割合で混合した合剤を作成し、直径16mm、厚さ、150μmの負極を作成した。ここで用いた集電体材料である網材は100μmで、リード板は厚さ50μmのチタン薄膜を用いた為、電極総厚としてはリード板の厚さが附加される。
次に、電極・電解質層一体化用金型として、電極作成に用いた金型(図6参照)の円筒孔603より内径の大きい成形型(図7参照)を用意する。この成形型が備える円筒孔703A内に、下部雄成形型700Aを挿入した状態で、円筒孔703A内に先ず電解質粉末705Aを充填する。
続いて、円筒孔703A内に電極形状が形成可能な突起部707Aを有する上部雄成形型706Aを挿入し、予備的に加圧成形することで、電極を挿入可能な部位を備えた電解質層を形成する。
その後、上部雄成形型706Aを取り出し、電解質層に形成された電極挿入部分に、すでに作成した電極(例えば正極)を挿入し、突起部のない上部雄成形型701Aを挿入し、予備加圧成型することで、正極の周囲が電解質層で覆われた電解質層と電極(正極)を一体化する(図8の803の状態)。
次に、正極と電解質層が一体化した成型体を取り出すことなく、成形金型(図7参照)を上下反転させた後、上になった下部雄成形型700Aを一度取り出し、円筒孔703A内の電解質層面に、電極形状が形成可能な突起部707Aを有する上部雄成形型706Aを挿入し、予備的に加圧成形することで、電極(負極)を挿入可能な部位を備えた電解質層を形成する。
次に、この部位に予め作成した末端電極(負極)を挿入し、下部雄成形型700Aを挿入し、所定の圧力(ここでは、3トン/cm2)で加圧成型することで、正極層および負極層の周囲が電解質層で覆われた単電池素子(図8の805の状態)を作成した。
こうして作成した電池素子を図7の金型より、更に大きい金型を用意しておき、これを用い、その内部に正電極端子9を設置した後、その上に電池素子の正極側が接触するように挿入する。
続いて、挿入した電池素子の周囲に軟化温度が400℃以下の低融点ガラスフリット[V25−ZnO−BaO−TeO2の4成分からなる低融点ガラス、YEV8−4103、(株)ヤマト電子製]を充填した後、負電極端子4を挿入し、全体を2トン/cm2の圧力で加圧することで、電池素子の電極端子の間の周囲に低融点ガラスフリット(シール部10)が充填された電池素子ができる。
これをそのままの状態で約310℃で、1時間加熱圧縮した後、これを冷却させ、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成した。
この作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.2Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、放電の電圧が約4.0Vから3.5Vにおいて平坦性があり、3.5V放電終了で、約115mAh/grの放電容量が得られ、これらの電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値を示すことが判った。
また、その充放電サイクル性能として、約250サイクルを経過した後も、初期容量の90%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、優れた充放電サイクル特性を示す全固体薄膜電池と同じ様な特性が得られたと考えられる。
(比較実験1)
実施例7の効果を調べるため、ここでは、電池構成材料を全く同じものを使用し、先ず、正電極端子9、負電極端子4が存在していない電池素子(図8−805)を加圧一体化成型した。その際、使用した圧力は、実施例7より強い4トン/cm2の圧力で成型した。
こうして作成した電池素子の両端に正電極端子9、負電極端子4を接触させ、その周囲をエポキシ樹脂で絶縁接着して、従来方法による全固体リチウム二次電池を作成し、その電池の充放電サイクル特性を実施例7と同様な条件で調べた。
その結果、初期充放電容量は本発明の電池と変わらないものが得られた。しかし、充放電サイクルの経過に伴い、従来の方法で作成した電池では、充放電容量が暫時低下し、100サイクル経過時には、初期容量の約65%に低下した。
この低下は、電池内部での電極層内の粒界接合および電極層内の電解質粒界面が充放電サイクルに伴って、破壊され、電池内部抵抗の増大を引き起こすために生じたと考えられた。
(実施例8)
ここでは、電池素子を実施例7において用いた電解質(α−Al23,Li2S,SiS2,Li3PO4)の代わりに、α−アルミナを5%含有した硫化物系リチウムイオン伝導体(Li2S−GeS2−P25)からなる新規結晶質硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを用いた以外、実施例7と全く同様にして全固体リチウム二次電池を作成した。
こうして作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.2Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、実施例7と殆ど同様で、放電の電圧が約4.0Vから3.5Vにおいて平坦性があり、3.0V放電終了で、約113mAh/grの放電容量が得られ、これらの電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値を示す電池となっていることが判明した。
また、その充放電サイクル性能として、約250サイクルを経過した後も、初期容量の90%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されている、優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
(比較実験2)
実施例8の効果を調べるため、ここでは、電池構成材料を全く同じものを使用し、先ず、正電極端子9、負電極端子4が存在していない電池素子(図8の805)を加圧一体化成型した。その際、使用した圧力は、実施例7より強い4トン/cm2の圧力で成型した。
こうして作成した電池素子の両端に正電極端子9、負電極端子4を接触させ、その周囲をエポキシ樹脂で絶縁接着して、従来方法による全固体リチウム二次電池を作成し、その電池の充放電サイクル特性を実施例7と同様な条件で調べた。
その結果、初期充放電容量は本発明の電池と変わらないものが得られた。しかし、充放電サイクルの経過に伴い、従来の方法で作成した電池では、充放電容量が暫時低下し、100サイクル経過時には、初期容量の約77%に低下することが判明した。
この低下は、電池内部での電極層内の粒界接合および電極層内の電解質粒界面が充放電サイクルに伴って、破壊され、電池内部抵抗の増大を引き起こすために生じたと考えられた。
(実施例9)
ここでは電池素子の電解質としてα−アルミナを5%含有した硫化物系リチウムイオン伝導体(Li2S−P25)からなる新規硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを用いた以外、全く同様にして全固体リチウム二次電池を作成した。
こうして作成した電池の充放電サイクル特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.2Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、実施例7と殆ど同様で、放電の電圧が約4.0Vから3.5Vにおいて平坦性があり、3.0V放電終了で、約120mAh/grの放電容量が得られ、これらの電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値の約100%に近い値を示す電池となっていることが判明した。
また、その充放電サイクル性能として、約270サイクルを経過した後も、初期容量の95%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されている、優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
(比較実験3)
実施例9の効果を調べるため、ここでは、電池構成材料を全く同じものを使用し、先ず、正電極端子9、負電極端子4が存在していない電池素子(図8の805)を加圧一体化成型した。その際、使用した圧力は、実施例7より強い4トン/cm2の圧力で成型した。
こうして作成した電池素子の両端に正電極端子9、負電極端子4を接触させ、その周囲をエポキシ樹脂で絶縁接着して、従来方法による全固体リチウム二次電池を作成し、その電池の充放電サイクル特性を実施例7と同様な条件で調べた。
その結果、初期充放電容量は本発明の電池と変わらないものが得られた。しかし、充放電サイクルの経過に伴い、従来の方法で作成した電池では、充放電容量が暫時低下し、95サイクル経過時には、初期容量の約75%に低下することが判明した。
この低下は、電池内部での電極層内の粒界接合および電極層内の電解質粒界面が充放電サイクルに伴って、破壊され、電池内部抵抗の増大を引き起こすために生じたと考えられた。
(実施例10)
ここでは、電池素子を実施例7において用いた電解質(α−Al23,Li2S,SiS2,Li3PO4)の代わりに、α−アルミナを5%含有した硫化物系リチウムイオン伝導体(Li2S−B23)からなる新規結晶質硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスを用いた以外、実施例7と全く同様にして全固体リチウム二次電池を作成した。
こうして作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.2Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、実施例7と殆ど同様で、放電の電圧が約4.0Vから3.5Vにおいて平坦性があり、3.0V放電終了で、約108mAh/grの放電容量が得られ、これらの電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値を示す電池となっていることが判明した。
また、その充放電サイクル性能として、約220サイクルを経過した後も、初期容量の92%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されている、優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
(比較実験4)
実施例10の効果を調べるため、ここでは、電池構成材料を全く同じものを使用し、先ず、正電極端子9、負電極端子4が存在していない電池素子(図8−805)を加圧一体化成型した。その際、使用した圧力は、実施例7より強い4トン/cm2の圧力で成型した。
こうして作成した電池素子の両端に正電極端子9、負電極端子4を接触させ、その周囲をエポキシ樹脂で絶縁接着して、従来方法による全固体リチウム二次電池を作成し、その電池の充放電サイクル特性を実施例7と同様な条件で調べた。
その結果、初期充放電容量は本発明の電池と変わらないものが得られた。しかし、充放電サイクルの経過に伴い、従来の方法で作成した電池では、充放電容量が暫時低下し、120サイクル経過時には、初期容量の約70%に低下することが判明した。
この低下は、電池内部での電極層内の粒界接合および電極層内の電解質粒界面が充放電サイクルに伴って、破壊され、電池内部抵抗の増大を引き起こすために生じたと考えられた。
(実施例11)
ここでは実施例7〜実施例10で作成した電池を60℃の高温槽において、4.2Vの連続電圧印加試験を行った。
その結果、実施例9および実施例10の電池を除く、全ての電池で内部短絡が生じ、電池としての機能を発揮しなくなった。
この現象は、実施例7および実施例8で用いられている電池の固体リチウムイオン伝導性電解質中にはSi,Geが含まれており、これが、電池充電時において、還元され、電子的伝導性を電解質が持つようになったためと考えられた。
(実施例12)
ここでは、実施例7で使用した電池の負極活物質として、カーボンの代わりにインジウム粉末を用いて作成した以外は、全く同様にして電池を作成した。
この作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.0Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、放電の電圧が約3.7Vから3.0Vにおいて平坦性があり、2.5Vとなった時点で、放電を終了させた。その結果、約117mAh/grの放電容量が得られた。この電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値を示していた。また、その充放電サイクル性能として、約150サイクルを経過した後も、初期容量の90%以上を維持することが判明した。
この状況は固体電解質層が1枚の粒開のない状態となっているため,又,電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されてきた優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
また、この電池の試験として、60℃の高温層内で4.0Vの電圧を連続二ヶ月間、過充電した結果、その終了後の電池についての充放電性能には、何ら異常は認められなかった。
(実施例13)
ここでは、実施例8で使用した電池の負極活物質として、カーボンの代わりにインジウム粉末を用いて作成した以外は、全く同様にして電池を作成した。
この作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.0Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、放電の電圧が約3.7Vから3.0Vにおいて平坦性があり、2.5V放電終了で、約108mAh/grの放電容量が得られ、これらの電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値を示していた。
また、その充放電サイクル性能として、約150サイクルを経過した後も、初期容量の89%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されている、優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
また、60℃の高温層内で4.0Vの電圧を連続二ヶ月間、過充電試験を行った結果、その終了後の電池についての充放電性能には、何ら異常は認められなかった。
(実施例14)
ここでは、実施例9で使用した負極活物質として、カーボンの代わりにインジウム粉末を用いて作成した以外は、全く同様にして電池を作成した。
この作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.0Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、放電の電圧が約3.7Vから3.0Vにおいて平坦性があり、2.5V放電終了で、約113mAh/grの放電容量が得られ、この電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値を示した。また、その充放電サイクル性能として、約160サイクルを経過した後も、初期容量の85%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されている、優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
また、60℃の高温層内で4.0Vの電圧を連続二ヶ月間、過充電試験を行った結果、その終了後の電池についての充放電性能には、何ら異常は認められなかった。
(実施例15)
ここでは、実施例9で使用した電池の負極活物質として、カーボンの代わりにAl粉末(平均粒径:20μm)を用いて作成した以外は、全く同様にして電池を作成した。
この作成した電池の特性を調べるため、該電地を500μA/cm2の定電流で充電、充電電圧が4.0Vに到達した後、電流が30μAとなった時点で、充電を停止し、充電停止時間、30分を経て、同一電流値で放電を開始した。
得られた結果は、放電の電圧が約4.0Vから3.5Vにおいて平坦性があり、3.0V放電終了で、約123mAh/grの放電容量が得られ、これらの電池容量は、ほぼコバルト酸リチウムの理論値に近い値であることが判った。
また、その充放電サイクル性能として、約210サイクルを経過した後も、初期容量の92%以上を維持することが判明した。この状況は固体電解質層が一枚の粒界のない状態となっているため、また、電池素子全体の周囲が電解質ガラスで覆われている結果、全固体薄膜電池で示されている、優れた充放電サイクル特性と同じ特性を与えるようになったと考えられる。
また、60℃の高温層内で4.0Vの電圧を連続二ヶ月間、過充電試験を行った結果、その終了後の電池についての充放電性能には、何ら異常は認められなかった。
(実施例16)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子の加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加熱圧縮温度を350℃とし、処理時間は30分間以内で電池を作成した。作成した電池についての充放電を実施例9と同様にして、行った。
その結果、初期放電容量として、27mAh/grが得られた。これは理論容量の約22%で、この放電容量の低下は、電池内部の電解質ガラスが結晶化し、このことにより、電池内部抵抗が増大した結果、充電が十分に出来なくなったためと思われた。
(実施例17)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子の加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件320℃、処理時間を5.0で、加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電を実施例9と同様にして、行った。
その結果、初期放電容量として、113mAh/grが得られた。これは理論容量の約94%で、殆ど理論容量を示していることが判った。
(実施例18)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子の加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件320℃、処理時間を6.0で、加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電を実施例9と同様にして行った。
その結果、所期放電容量として、89mAh/grが得られた。これは理論容量の約74%で、殆ど理論容量を示していることが判った。
(実施例19)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件300℃、処理時間を2時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、115mAh/grが得られた。これは理論容量の約96%で、殆ど理論容量を示していることが判った。
(実施例20)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件300℃、処理時間を5時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、110mAh/grが得られた。これは理論容量の約92%で、殆ど理論容量を示していることが判った。
(実施例21)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件300℃、処理時間を6時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、98mAh/grが得られた。これは理論容量の約81%で、殆ど理論容量を示していることが判った。
(実施例22)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件250℃、処理時間を5.0時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、113mAh/grが得られた。これは理論容量の約94%で、理論容量に近い値を示していることが判った。
(実施例23)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件220℃、処理時間を5.0時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、119mAh/grが得られた。これは理論容量の約99%で、理論容量となっていることが判った。
(実施例24)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件200℃、処理時間を4.0時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、121mAh/grが得られた。これは理論容量の約99%で、理論容量となっていることが判った。
(実施例25)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件200℃、処理時間を6.0時間とした。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、117mAh/grが得られた。これは理論容量の約98%で、理論容量となっていることが判った。
(実施例26)
ここでは、実施例9の電池作成に当たって、用いた電池素子を加温、圧縮条件を種々、変えた以外、全く同様の構成で全固体リチウム二次電池を作成した。
実施例9では310℃、1時間処理したが、本実施例では加温条件180℃、処理時間を4.0時間で加熱圧縮処理することで電池を作成した。
作成した電池についての充放電試験を実施例9と同様にして行った。
その結果、初期放電容量として、118mAh/grが得られた。これは理論容量の約98%を示すことが判った。しかし、この電池では実施例16から実施例24の電池と異なり、充放電サイクル特性において、充放電容量の著しい低下が認められ、95サイクルの充放電時において、その容量が70%程度に低下した。
以上、実施例16から実施例26で得られた結果を図11に示した。この図11では処理時間と処理温度条件により、作成した電池の初期充放電サイクル試験で得られた放電容量をmAh/grで示した。
この結果から判るように、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラスの軟化温度領域である約200℃〜300℃の温度範囲では、処理時間が5時間以上経過させても、その放電容量変化は余り大きくなく、処理温度が300℃以上になると、処理時間の影響が大きく現れることが判った。処理温度が320℃近辺では、処理時間が6時間で約74%の放電容量となり、350℃では処理時間が0.5時間で約22%の放電容量となることが判明した。これらの処理時間、処理温度は、全固体リチウム二次電池内の固体電解質ガラスの結晶化が進むことにより、電池内部抵抗が増大することにより、充分に充電反応が行われにくくなったためと考えられた。以上の結果、電池全体を加熱圧縮する条件としては、200℃から320℃の温度範囲で、且つ処理時間として5時間以内であれば、電池作成工程上、望ましいことが判明した。
(実施例27)
実施例7から実施例26で作成した電池では、電池素子の周囲に軟化温度が320℃以下の低融点ガラスフリット[YEV8−4103(株)ヤマト電子製]を用いて、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成したが、ここでは、低融点ガラスとして、[V25−ZnO−BaO−TeO2の4成分からなる低融点ガラス、YEV8−3111(株)ヤマト電子製]を用い、実施例7と全く同様にして、全固体リチウム二次電池を作成した。
作成した全固体リチウム二次電池について、実施例7同様の充放電試験および連続二ヶ月の過充電試験を行った所、殆ど、同じ特性を示すことが判った。
(実施例28)
実施例7から実施例26で作成した電池では、電池素子の周囲に軟化温度が320℃以下の低融点ガラスフリット[YEV8−4103(株)ヤマト電子製]を用いて、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成したが、ここでは、低融点ガラスとして、[V25−ZnO−BaO−TeO2の4成分からなる低融点ガラス、YEV8−3102(株)ヤマト電子製]を用い、実施例7と全く同様にして、全固体リチウム二次電池を作成した。
作成した全固体リチウム二次電池について、実施例7と同様の充放電試験および連続二ヶ月の過充電試験を行った所、殆ど、同じ特性を示すことが判った。
(実施例29)
実施例7から実施例26で作成した電池では、電池素子の周囲に軟化温度が320℃以下の低融点ガラスフリット[YEV8−4103(株)ヤマト電子製]を用いて、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成したが、ここでは、低融点ガラスとして、[V25−ZnO−BaO−TeO2の4成分からなる低融点ガラス、YEV8−3302(株)ヤマト電子製]を用い、実施例7と全く同様にして、全固体リチウム二次電池を作成した。
作成した全固体リチウム二次電池について、実施例7と同様の充放電試験および連続二ヶ月の過充電試験を行った所、殆ど、同じ特性を示すことが判った。
(実施例30)
実施例7から実施例26で作成した電池では、電池素子の周囲に軟化温度が320℃以下の低融点ガラスフリット[YEV8−4103(株)ヤマト電子製]を用いて、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成したが、ここでは、低融点ガラスとして、[V25−ZnO−BaO−TeO2の4成分からなる低融点ガラス、YEV8−3118(株)ヤマト電子製]を用い、実施例7と全く同様にして、全固体リチウム二次電池を作成した。
作成した全固体リチウム二次電池について、実施例7と同様の充放電試験および連続二ヶ月の過充電試験を行った所、殆ど、同じ特性を示すことが判った。
(実施例31)
実施例7から実施例26で作成した電池では、電池素子の周囲に軟化温度が320℃以下の低融点ガラスフリットを用いて、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成したが、ここでは、低融点ガラスとして、PbO−B23−SiO2−Al23系のICパッケージ用封着鉛ガラス(ガラスコードNo.LS−0803)を用い、加熱圧縮処理条件として、360℃、30分とした以外、実施例7と全く同様にして、全固体リチウム二次電池を作成した。
作成した全固体リチウム二次電池について、実施例7同様の充放電試験および連続二ヶ月の過充電試験を行った所、初期放電容量として、99mAh/grが得られ、理論容量83%の放電性能を与えた。しかし、60℃過充電試験の結果では、66mAh/grを示し、初期放電容量が理論容量の55%となることが判った。これは、電池シール材として使用した低融点ガラスの中に、電気化学的に還元を受けやすい酸化鉛が存在しているため、これが還元され、シール部分が電子伝導性を持つようになり、充放電特性が低下したものと推定された。
(実施例32)
実施例7から実施例26で作成した電池では、電池素子の周囲に軟化温度が320℃以下の低融点ガラスフリットを用いて、図2に示した構造の全固体リチウム二次電池を作成したが、ここでは、低融点ガラスとして、PbO−B23−SiO2−Al23系のICパッケージ用封着鉛ガラス(ガラスコードNo.LS−1101)を用い、加熱圧縮処理条件として、360℃、30分とした以外、実施例7と全く同様にして、全固体リチウム二次電池を作成した。作成した全固体リチウム二次電池について、実施例7同様の充放電試験および連続二ヶ月の過充電試験を行った所、初期放電容量として、102mAh/grが得られ、理論容量85%の放電性能を与えた。しかし、60℃過充電試験の結果では、初期放電容量68mAh/grを示し、理論容量の57%を示すことが判った。これは、電池シール材として使用した低融点ガラスの中に、電気化学的に還元を受けやすい酸化鉛が存在しているため、これが還元され、シール部分が若干、電子伝導性を持つようになり、充放電特性が低下したものと推定された。
以上、全固体リチウム二次電池をシールするために、使用する低融点ガラス材料としては、電気化学的にも還元を受け易い鉛を含まなく、且つ、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質中の硫黄成分と反応が進みにくい材料を選定する必要があることが判明した。
この条件としてV25−ZnO−BaO−TeO2の4成分からなる低融点ガラスの使用は好適なものであることが判った。図12には各種低融点ガラスの特性を参考のために添付した。
以上、総合すると、種々なる硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を使用した本発明の全固体リチウム二次電池では、電池内部に存在する電解質を軟化する温度に加温し、全体を圧縮することで、優れた電池性能、特に充放電サイクル寿命における、充放電容量の低下を阻止することが判った。この加温温度としては200℃から320℃の温度範囲が望ましく、また、その処理時間は処理温度が高くなると、短くする必要があるが、2時間以内で処理することが望ましいと言える。また、この加熱圧縮工程は、電極内部で、電極活物質粒子と電解質粒子の接合界面が密となり、その界面接合が改善される結果、電池充放電時において、リチウムイオンの授受が円滑となり、高率充放電が可能となることは、当然予想される効果となる。
また、作成する電池の作動電圧の高いものを得るには、負極活物質としてリチウムイオンの可逆析出反応またはカーボンリチウムの反応を用いることが望ましいが、このような負極活物質材料を用いると、電解質中にSi,Ge等の半導体が存在れば、これらが充電中に還元され、特に連続した過充電状態において、電解質層が電子伝導性を有するようになり、好ましくないことが判った。硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質としてSi,Geを含まない電解質として、Li2S−B23あるいはLi2S−P25の二元系電解質が知られているが、これらは単独ではイオン伝導率が2×10-4S/cm2と低く、実用的で無かった。しかし、この硫化物系リチウムイオン伝導体にα−アルミナを混合すること、また、これらをガラス化したものでは、約2×10-3S/cm2を示し、実用的な電解質となることが判明した。電解質中に存在するα−アルミナはリチウムイオンの酸化還元反応が起こる電位では、何ら電池反応を阻害しないことは実施例15の電池における負極活物質としてAlを使用しても、なんら充放電性能に影響と与えないことからも実証されており、このガラス状電解質の電池への応用は極めて、優れた電池性能を有する製品を提供できるものとなり、工業的価値の高いものとなる。
従来の全固体リチウム二次電池の試験セルの構想。 本発明の全固体リチウム二次電池の基本構成面図。 本発明の電池に用いる電極集電体構造図。 本発明で用いた電極構成図。 本発明の他の電池構成図。 電極成型用金型の構成面。 本発明の電池素子作成用金型図面。 本発明電池素子の作成フローチャート。 電池作成工程のフローチャート。 加熱温度、時間による、イオン伝導率(S/cm2)への影響を示す図。 加熱処理温度と時間による、初期放電容量(mAh/gr)への影響を示す図。 各種低融点ガラスの持つ諸特性を示す図。
符号の説明
(I)…正極、(II)…負極、1…正極リード板、2…正極集電体、3…正電極合材、4…負電極端子、5…負極リード板、6…負極集電体、7…負電極合材、8…電解質層、9…正電極端子、10…シール部。

Claims (6)

  1. α−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を含み、
    前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が、硫化リチウム−硫化燐、または、硫化リチウム−硫化ホウ酸、を含み、
    前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質にα−アルミナを前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質に対して重量比で5%以上7%以下の割合で混合したことを特徴とする硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス。
  2. 前記α−アルミナは、粒径10μm以下の粒状をなしている請求項1に記載の硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質ガラス。
  3. α−アルミナを含む硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を含み、
    前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が、硫化リチウム−硫化燐、または、硫化リチウム−硫化ホウ酸、を含み、
    前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質にα−アルミナを前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質に対して重量比で5%以上7%以下の割合で混合したことを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  4. 前記α−アルミナは、粒径10μm以下の粒状をなしている請求項3に記載の全固体リチウム二次電池。
  5. 正極層および負極層からなる一対の電極間に前記固体電解質層を介在させた全固体リチウム二次電池素子を用いたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の全固体リチウム二次電池。
  6. 前記全固体リチウム二次電子素子は、前記正極層または前記負極層のいずれかと、前記固体電解質層とが、一体化成型されたものであることを特徴とする請求項5に記載の全固体リチウム二次電池。
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