JP6386224B2 - 全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池に関する。
無機固体電解質を用い、電極にも有機物を用いない全固体電池は、有機電解液の漏液や有機電解液からのガス発生の心配がないため、安全な電池として期待されている。また、全固体電池は、液系の電池と比較して電池反応以外の副反応が生じることが少ないため、液系の電池に比べて長寿命化が期待できる。
このような全固体電池において、電池反応以外の副反応をより生じさせず、電池の劣化防止を図るため、外部からの水分(水蒸気)侵入を防ぐ必要がある。アルミラミネートパッケージングもコインカシメもいずれも接合部分に樹脂部分があるため、水分の侵入を完全には防げない。また、いずれもケーシングのための電池要素以外の体積が大きくなる。そのため、この体積が大きくなることを防ぎ、かつ確実に水分侵入を防ぐパッケージングが求められている。
例えば特許文献1の図6には、全固体電池の保存特性を向上させるために、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極とに介在する固体電解質とで構成される電池要素を含み、電解質の周りにガラスフリットからなる封止部を有する、全固体電池が記載されている。
特開2007‐80812号公報
しかしながら、本発明者は、特許文献1のような全固体電池では、封止に用いるガラスによって、電極の膨張収縮が阻害され、またガラス層と電池要素との分解反応(電池要素中に含まれる正極層、負極層、固体電解質層の分解反応)により、電池の充放電特性を発揮できないおそれがある、という新たな技術課題を見出した。
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、外部からの水分(水蒸気)侵入を防いで電池の劣化防止が可能で、かつ全固体電池の電極の膨張収縮の阻害を抑制することやガラス層と電池要素との分解反応を抑制することにより、本来の充放電特性を発揮することが可能な、全固体電池を提供することにある。
そこで、本発明者は、正極と負極と固体電解質とを含む電池要素を覆うように、所定の緩衝層を設けることにより、封止に用いるガラス層を設けても、電極の膨張収縮を可能にし、またガラス層と電池要素との分解反応を抑制することにより、長期間充放電性能を維持できることを見出した。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 全固体電池であって、
電池要素と第一の緩衝層とガラス層と導電板を含み、
該電池要素は、正極層と負極層と固体電解質層とを含み、
第一の緩衝層は、該電池要素の周面上の少なくとも一部を被覆し、
該ガラス層は、該電池要素と該第一の緩衝層とが全固体電池外に露出しないように、少なくとも該第一の緩衝層の周面上に設けられ、
該導電板は、該電池要素の両主面上に配置される、
該全固体電池。
(2)該電池要素と該導電板の間に、該電池要素の少なくとも一部を被覆するように、第二の緩衝層を設ける、(1)に記載の全固体電池。
(3)該第一の緩衝層はセラミックスを含む、(1)又は(2)に記載の全固体電池。
(4)該ガラス層のガラスは、ガラス転移点(Tg)が500℃以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の全固体電池。
(5)該ガラス層のガラスは、B、TeO、A(式中、Aは、Al、Bi、Laからなる群より選択される1種以上)及びRnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)成分を含有するガラスである、である、(1)〜(4)のいずれかに記載の全固体電池。
(6)該ガラス層のガラスは、A(式中、Aは、Al、Bi、Laからなる群より選択される1種以上)、RnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)及びD(式中、DはP、Vからなる群より選択される1種以上)成分を含有するガラスである、(1)〜(4)のいずれかに記載の全固体電池。
(7)該導電板は、ステンレス鋼又はCo基合金からなる、(1)〜(6)のいずれかに記載の全固体電池。
(8)該第二の緩衝層の材質が、気孔率が30%以上の、炭素、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金又はアルミニウムである、である、(1)〜(7)のいずれかに記載の全固体電池。
本発明によれば、外部からの水分(水蒸気)侵入を防ぐためにガラス層を設けても、電池要素の膨張収縮を可能にすることやガラス層と電池要素との分解反応を抑制することにより、充放電性能等の電池性能を長期間維持できる、劣化しにくい全固体電池を提供できる。
また、本発明によれば、電池要素が正極層や負極層や固体電解質層をそれぞれ複数積層した積層体であり電極の膨張収縮が大きくなるおそれがある場合でも、この緩衝層とガラス層の構成により、電池要素の膨張収縮の阻害を抑制して長時間充放電性能を維持できる、全固体電池を提供できる。
全固体電池の一例を示す断面図である。(a)は正面断面図であり、(b)は(a)のA1−A2部の平面断面図である。 第一の緩衝層の配置を説明するための図(平面図)である。 実施例で作製するシートA〜Gに形成される、開口部の模式図である。
以下、必要に応じて図1から図3を参照しながら、本発明の全固体電池及びその製造方法の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
(本発明の全固体電池の基本形態)
図1に示すように、本発明の全固体電池1は、電池要素5と第一の緩衝層4とガラス層3と導電板2とを含む。電池要素5は、正極層と負極層と固体電解質層とを含む。
電池要素5の周面上の少なくとも一部に第一の緩衝層4を被覆するが、電池要素5の周囲全面を被覆してもよい。
好ましくは、更に、電池要素5と導電板2の間に、電池要素5の主面の少なくとも一部を被覆するように、第二の緩衝層6を設ける。
ガラス層3は、電池要素5と第一の緩衝層4とが全固体電池1の外に露出しないように、少なくとも第一の緩衝層4の外側に設けられる。導電板5は、電池要素5の両主面上に配置される。
ここで、電池要素5の主面とは、電池要素の外側の面が、正極層のみの面側又は負極層のみの面側の面をいう。電池要素5の周面とは、電池要素5の主面以外の面をいう。
なお、図1や図2では、コイン型の(円筒状の)全固体電池を示しているが、本発明は、コイン型以外の形態(例えば四角柱のような多角形柱や楕円柱など)に変更して、実施することができる。
(電池要素5について)
本発明の実施態様における電池要素5は、正極層と負極層と固体電解質層とを有し、電池反応に寄与する、電池の基本的な構成体である。固体電解質層は、正極層と負極層の間に配置されている。なお、本明細書では、正極層及び負極層を電極層と総称し、正極活物質及び負極活物質を電極活物質と総称して記載する。
電池要素5は、正極層と負極層と固体電解質層とが1層ずつ積層される形態でもよく、複数の正極層と複数の負極層と複数の固体電解質層とを積層する形態でもよい。
また、電池要素5の厚さは、体積効率(エネルギー密度の向上)の観点から、好ましくは外径の1/1000、より好ましくは1/100、さらに好ましくは1/10を下限とし、強度の観点から、好ましくは外径の1/2倍、より好ましくは1倍、さらに好ましくは2倍を上限とする。
(正極層について)
本発明の実施態様における正極層は、下記正極活物質を含むが、下記固体電解質や、下記導電助剤を含んでいてもよい。正極層に接合される固体電解質層と正極層中の活物質とのイオン(例えばリチウムイオン)伝導パスを良好に形成する為に、正極層に、固体電解質や導電助剤が含まれるのが好ましい。
上記のものを含む正極層の作製は、例えば、電極活物質および導電助剤と共にイオン伝導性の固体電解質の粉末又は焼結後にイオン伝導性を発現する無機固体粉末を混合し、焼結や加圧成形などをすることにより行う。
(負極層について)
本発明の実施態様における負極層は、下記負極活物質を含むが、下記固体電解質や導電助剤を含んでいてもよい。負極層に接合される固体電解質層と負極層中の活物質とのイオン(例えばリチウムイオン)伝導パスを良好に形成する為に、負極層に、イオン伝導助剤として、固体電解質が含まれるのが好ましい。
上記のものを含む負極層の作製は、例えば、電極活物質および導電助剤と共にイオン伝導性の固体電解質の粉末又は焼結後にイオン伝導性を発現する無機固体粉末を混合し、焼結や加圧成形などをすることにより行う。
(電極活物質)
電極活物質のうち正極活物質は、電池要素5の放電容量をより高めるために、イオン(例えばリチウムイオン)を吸蔵し易やすくすることができる物質であることが好ましい。例えば、LiFePO、LiCoPO、LiCoO、LiMnである。
一方で、負極活物質は、電池要素5の放電容量をより高めるために、イオン(例えばリチウムイオン)を吸蔵し易やすくすることができる物質であることが好ましい。例えばLi(PO、LiFe(PO、LiFePO、LiTi12、SiOx(0.25≦x≦2)、CuSnである。
(導電助剤)
本発明の実施態様では、電極層中に形成された狭い電子伝導経路を通じて伝導できる電流量を増大させ、電池要素5の充放電特性を高めるために、正極層を構成する正極材料中又は、負極層を構成する負極材料中に、導電助剤が含まれることが好ましい。
導電助剤として、炭素、並びにNi、Fe、Mn、Co、Mo、Cr、Ag及びCuの少なくとも1種以上からなる金属及びこれらの合金を用いることできる。また、チタン、ステンレス、アルミニウム等の金属や、白金、銀、金、ロジウム等の貴金属を用いてもよい。また、WOやSnOのような金属酸化物を用いてもよい。
(固体電解質層)
固体電解質層は、下記固体電解質を含む層であり、正極層及び負極層の間に介在する、イオン伝導性(例えばリチウムイオン伝導性)を有する層である。
(固体電解質)
電極層や固体電解質層に含まれる固体電解質は、イオン伝導性(例えばリチウムイオン伝導性)を有する材料を用いることができる。例えばNASICON型、β−Fe(SO型、及びペロブスカイト型から選ばれる酸化物の結晶や、LiO−P系ガラスやLiO−P−M’系のガラス(PがSiに置換されたものも含む。M’はAl、B、Y、Scである。)などのリチウムイオン伝導性を有するガラス、を含有する材料が挙げられる。
(電池要素5の作製)
原料組成物から、焼結や加圧成形等により、電極層前駆体、固体電解質層前駆体をそれぞれ作製する。これらの前駆体を積層し、焼成や加圧成形等で各層を接合することにより、電池要素5を作製する。
なお、電極層上に集電体を積層する場合は、薄膜状の金属層を接合しても良く、前駆体から焼成により形成しても良い。電極層自体の電子伝導性が高ければ、集電体はなくても良い。
ここで、電池要素5に含まれる固体電解質、電極活物質及び導電助剤の含有量とこれらの組成は、電池要素5を構成する固体電解質層及び/又は電極層を削り出して、電界放出形透過電子顕微鏡(FE−TEM)に搭載されたエネルギー損出分析装置若しくはX線分析装置、又は電界放出形走査顕微鏡(FE−SEM)に搭載されたX線分析装置を用いて特定することが可能である。このような定量分析や点分析を用いることで、例えば固体電解質の存在の有無やその組成比がわかる。X線分析装置を用いた場合、LiOは直接分析できないため、他の構成成分から電荷を算出することで、LiO含有量を推定する。
(第一の緩衝層4について)
本発明の実施態様における第一の緩衝層4は、電池要素5の周面上の少なくとも一部を又は全部を被覆する層であり、電池要素5とガラス層3の間に設けられる層である。本発明の第一の緩衝層4には、所定の無機粒子を元とする材料(セラミックス等)を用いる。所定の無機粒子を元とする材料とは、電池要素5の膨張収縮を可能にし、電子絶縁性があり、電池要素5との反応性が低い、材料である。電池要素5の膨張収縮を可能にすることが求められるのは、サイクル特性の観点からである。電子絶縁性が求められるのは電気要素5の正極面や負極面に接触するため電極の短絡防止の観点からである。電池要素5との反応性が低いことが求められるのは、ガラス層3と電池要素5の反応(電池要素5中に含まれる正極層、負極層、固体電解質層の分解反応)を防ぐ観点からである。
また、耐水性を上げる上で吸湿性を有する材料や1000℃まで加熱しても放熱あるいは吸熱反応を示さず重量の増減が1%以下である材料を用いるとより好ましい。例えば、ZrO成分、SiO成分、MgO成分、Al成分やCaCO成分を含む材料であり、ZrO成分が95質量%以上含有する材料、SiO成分を95質量%以上含有する材料、Al成分が95質量%以上含有する材料、CaCO成分が95質量%以上含有する材料、ZrO成分が100質量の材料、SiO成分を100質量%以上の材料、Al成分が100質量%の材料、CaCO成分が100質量%の材料も挙げられる。
第一の緩衝層4の材料の形状は、例えば球状、繊維状、中空状の形状であるが、膨張収縮時の体積変化を吸収し、形状の崩れが少ない、繊維状の形状が好ましい。例えば、このような形状の材料として、Al成分及びSiO成分を含有するセラミック繊維や、シリカ繊維、アルミナ繊維、グラスウールの材料が挙げられる。
また、第一の緩衝層4の厚さは、電池要素5の膨張収縮の影響を吸収する観点とガラス層3と電池要素5の反応を抑制する観点から、好ましくは電池要素外径の1/1000、より好ましくは1/100、さらに好ましくは1/50を下限とし、エネルギー密度の観点から、好ましくは1/5、より好ましくは1/10、さらに好ましくは1/20を上限とする。
(第一の緩衝層4の作製法)
電池要素5に塗布するための、第一の緩衝層4に用いるスラリー状の材料を準備する。電池要素5の周面上に、このスラリー状の材料を塗布し、このスラリー状の材料を乾燥させることにより、第一の緩衝層4を作製する。
(ガラス層3について)
本発明の実施態様におけるガラス層3は、全固体電池1への外部からの水分(水蒸気)侵入を防ぐために設けられる層である。ガラス層3に用いるガラスは、ガラスの熱的安定性や化学的安定性を有し、外部からの水分(水蒸気)侵入を防ぎ、かつ粉体状態又はペーストとして扱いやすくする観点から、ガラス転移点(Tg)が500℃以下であるのが好ましく、400℃以下であるのが好ましく、350℃以下であるのが更に好ましい。例えば、酸化物基準のモル%で、所定量のB、TeO、A(式中、Aは、Al、Bi、Laからなる群より選択される1種以上)及びRnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)成分を含有するガラスである(以下Te系ガラスという)や、所定量のA(式中、Aは、Al、Bi、Laからなる群より選択される1種以上)、RnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)及びD(式中、DはP、Vからなる群より選択される1種以上)成分を含有するガラス(以下リン酸系ガラスという)を用いることができる。なお、「酸化物基準」とは、ガラス構成成分の原料として使用される炭酸塩や硝酸塩等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、該生成酸化物の総和を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を標記した組成である。
また、ガラス層3の厚さは、強度と水分透過性および耐久性の観点から、好ましくは0.01mm、より好ましくは0.02mm、さらに好ましくは0.05mmを下限とし、エネルギー密度の観点から、好ましくは0.5mm、より好ましくは0.3mm、さらに好ましくは0.2mmを上限とする。
以下、Te系ガラスやリン酸塩系ガラスに含有される好ましい成分について説明する。なお、各成分はモル%にて表現する。モル%で表されるガラス組成は全て酸化物基準でのモル%で表されたものである。
まず、Te系ガラスに含有される成分について記載する。
TeO成分はガラス形成酸化物の役割を果たし、ガラスの安定性の向上に寄与し、500℃以下の低いガラス転移点(Tg)とするのにも寄与する成分である。このような観点から、TeO成分の含有量の上限は90%とするのが好ましく、70%とするのがより好ましく、65%とするのが最も好ましく、またTeO成分の含有量の下限は5%とするのが好ましく、15%とするのがより好ましく、20%とするのが最も好ましい。
はガラスの形成酸化物であり、ガラスの安定性の向上に寄与する成分である。500℃以下の低いガラス転移点(Tg)とするのには、Bの含有量の上限は80%とすることが好ましく、60%とすることがより好ましく、50%とすることが最も好ましく、Bの含有量の下限は5%以上とするのが好ましく、8%以上とするのがより好ましく、12%以上とするのが最も好ましい。
Alはガラス安定性の向上に効果があり、特に熱処理においてガラスの安定性を維持するのに寄与する成分である。ガラスの安定性を保つために、Alの含有量の下限は0.1%とするのが好ましく、4%とするのがより好ましく、8%とするのが最も好ましい。しかし、Alの含有量が過剰に多い場合、ガラス転移点(Tg)が高くなると共に結晶化しやすくため、これらを防ぐために、Alの含有量の上限は40%とするのが好ましく、30%とするのがより好ましく、22%とするのが最も好ましい。
ガラスを粉体状態やペースト状態にした後、被覆作業を行うとガラスが結晶化し、被覆作業(ガラス封止層を設ける作業)がしにくい。粉体状態/ペースト状態でも、安定なガラスを維持するためには、酸化物基準のモル%で表されたAl/TeO比は0.1以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.2以上が最も好ましい。しかし、Al/TeO比が大きすぎるとガラス転移点(Tg)が高くなりすぎると共に結晶化しやすくなるため、その上限は1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.7以上が最も好ましい。
Bi成分はガラス形成酸化物の役割を果たし、特に熱処理においてガラスの安定性を維持することと、低Tg化(ガラスの低温処理化)に寄与する成分である。しかし、含有量が多すぎるとガラス安定性が損なわれ、ガラス化しづらくなるとともに化学的耐久性が悪化するおそれがある。よって、Bi量は上限を40%とするのが好ましく、15%とするのがより好ましく、5%とするのが最も好ましい。
La成分は化学的耐久性の向上に寄与するが、含有量が多すぎるとガラス転移点(Tg)も上昇おそれがある。従って、La成分は、上限を30%とするのが好ましく、20%とするのがより好ましく、10%とするのが最も好ましい。また、特に前記効果を充分に得たい場合は下限を0.1%とするのが好ましく、0.2%とするのがより好ましく、0.3%とするのが最も好ましい。
RnO(R=Li,Na,K,Cs)成分はガラス溶解の際にバッチの発泡性を抑え、ガラスの溶融性と安定性の向上、ガラス転移点(Tg)の低減及び400nmでの透過率向上に効果が大きい有用な成分であるが、多く入るとガラスの化学耐久性が悪くなりやすいので、上限を50%とするのが好ましく、45%とするのがさらに好ましい。
次に、リン酸系ガラスに含有される成分について記載する。なお、A(A=Al、Bi、La)成分やRnO(R=Li、Na、K、Cs)成分については、上述の通りである。
成分はガラス骨格を形成する成分であり、ガラスの安定化に寄与する成分である。
成分は低Tg化(ガラスの低温処理化)に寄与する成分である。
ZrO成分は化学的耐久性の向上に寄与する成分である。任意に添加し得る成分であるが、含有量が多すぎるとガラスの溶融性と安定性も低下すると共にガラス転移点(Tg)も大幅に上昇する。従って、ZrO成分の含有量の上限を15%とするのが好ましく、10%とするのがより好ましく、5%とするのが最も好ましい。
ガラスのTgは、JOGIS(日本光学硝子工業会規格)8−2003に則り、熱膨張曲線の低温側と高温側の2つの直線部分を外挿して得られる交点から求める。
なお、ガラス層3に用いられる材料(ガラス粉末)は、十分な耐候性をもち低温で封止処理できる材料であればよい。上述のTe系ガラスやリン酸塩系ガラス以外でも、ガラス層3に用いられる材料として、市販の電子部品気密封止・接着用などに適したガラス粉末を用いることもできる。具体的には、日立化成株式会社製環境適合バナジウム系低融点ガラス「バニーテクト」VP―1175(標準封止条件370℃ 10分)、VP―1176(標準封止条件380℃ 10分)、VP―1177(標準封止条件390℃ 10分)、VP―1179(標準封止条件400℃ 10分)や、旭硝子製低温シール用無鉛フリット KP312AS((標準封止条件430℃ 10分)、旭硝子製ガラスフリットT015を用いても良い。
(ガラス層3の作製法)
第一の緩衝層4に塗布するための、ガラス層3に用いるスラリー状の材料を準備する。スラリーに用いるバインダーは、脱脂温度の点で、アクリルバインダーが最も好ましい。電池要素5と第一の緩衝層4とが全固体電池1外に露出しないように、少なくとも第一の緩衝層4の周面上に、このスラリー状の材料を塗布し、このスラリー状の材料を乾燥後に脱脂・焼成させることにより、ガラス層3を作製する。
(導電板2について)
本発明の実施態様における導電板2は、集電体としての機能を有し、かつ外部からの水分(水蒸気)の侵入を防ぐためのものである。導電板2は、上述の電池要素5の両主面上に配置される。導電板2に用いられる材料としては、導電性と耐水性および耐熱性の観点から、耐熱性を有する例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS410)やCo基合金などの導電性を有した材料、又はグラッシーカーボンや、ガラスにカーボンを高分散させた導電性ガラスや、導電性セラミックスを用いることができる。
導電板2の厚さは、エネルギー密度の観点から重量が軽く薄い方が好ましく、好ましくは0.5mm、より好ましくは0.4mm、さらに好ましくは0.2mmを上限とする。また、強度の観点から、ある程度の厚みがある方が好ましく、導電板2の厚さは、好ましくは0.01mm、より好ましくは0.02mm、さらに好ましくは0.05mmを下限とする。
(第二の緩衝層6について)
本発明の実施態様における第二の緩衝層6は、電池要素5の厚み方向の膨張収縮を可能にして充放電不良防止を図るための部材であり、電池要素5と導電板2の間に、電池要素5の少なくとも一部を被覆するように設ける。
第二の緩衝層6には、集電性の観点から、電子伝導性等を有し、電池要素5の膨張収縮を可能にするような柔軟性を有し、かつガラスを封止する際に変質しない耐熱性を有する材料を用いることができる。例えば、この材料は、気孔率が30%以上の(好ましくは気孔率が40%以上の、更に好ましくは気孔率が50%の)、炭素、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金又はアルミニウムである。具体的には、カーボンフェルト、発泡金属(多孔質金属)又はアルミメッシュからなる材料である。
また、第二の緩衝層6の厚さは、電池要素5の膨張収縮による体積変化を吸収する観点から、好ましくは電池要素5の厚さの1/10000、より好ましくは1/1000、さらに好ましくは1/100を下限とし、エネルギー密度の観点から、好ましくは外径の電池要素5の厚さの1/10倍、より好ましくは、さらに好ましくは1/5を上限とする。
なお、電池要素5の周面方向への膨張収縮が少ない場合は、下記実施例21のように第一の緩衝層4を含まず、電池要素5とガラス層3と導電板2と第二の緩衝層6とを含む全固体電池1を構成することも考えられる。
(固体電解質の準備)
固体電解質として、セラミック電解質とガラス電解質を用いた。
負極スラリー用及び固体電解質ペースト用の固体電解質用セラミック電解質として、Li1.3Al0.1Zr1.80.1Si0.12.912を作製した。原料としてLiCO、ZrO、Al、Y及びSiOの紛体と、HPO溶液とを量論比で混合した後、白金板上にて1480℃で1時間焼成した。焼成した原料の混合物をスタンプミルで200μm以下に粉砕し、φ2mmのYTZボール、エタノールを加え、遊星ボールミルで粉砕した。得られた粉末を乾燥し、1.0μm(D50)のセラミック電解質粉末を得た。
正極スラリー用の固体電解質用セラミック電解質として、Li1.7Al0.4Zr1.80.1Si0.22.812を作製した。原料としてLiCO、ZrO、Al、Y及びSiOの紛体と、HPO溶液とを量論比で混合した後、白金板上にて1480℃で1時間焼成した。焼成した原料の混合物をスタンプミルで200μm以下に粉砕し、φ2mmのYTZボール、エタノールを加え、遊星ボールミルで粉砕した。得られた粉末を乾燥し、1.0μm(D50)のセラミック電解質粉末を得た。
ガラス電解質として、LiO−Al−P系ガラスを作製した。酸化物基準組成で、50mol%のLiOと、6mol%のAlと、44mol%のPとを含有するように原料を秤量して均一に混合した後、坩堝に投入して1250℃で溶解した。熔解したガラスを水中にキャストすることで、ガラス電解質を作製した。この電解質を、スタンプミルと遊星ボールミルを用いて平均粒子径2μm(D50)まで粉砕することで、ガラス電解質粉末を得た。
(正極スラリー・負極スラリー・固体電解質スラリーの作製)
正極スラリーは、正極活物質としてLiFePOを用い、これに上述のセラミック電解質及びガラス電解質と、導電助剤であるアセチレンブラックを表1に示す量で混合し、これにバインダー、分散剤、湿潤材、可塑剤及び溶剤を表2に示す量で加えてボールミルで混合して作製した。
負極スラリーは、負極活物質としてLiTi12を用い、これに上述のセラミック電解質及びガラス電解質と、導電助剤であるアセチレンブラックを表1に示す量で混合し、これにバインダー、分散剤、湿潤材、可塑剤及び溶剤を表2に示す量で加えてボールミルで混合して作製した。
固体電解質スラリーは、上述のセラミック電解質及びガラス電解質を表1に示す量で混合し、これにバインダー、分散剤、湿潤材、可塑剤及び溶剤を表2に示す量で加えてボールミルで混合して作製した。
なお、表2記載のDOSは、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルである。
Figure 0006386224
Figure 0006386224
表1と2に記載の正極スラリーを塗工機で塗布し、厚さ80μm、幅18cm、長さ5mのシートを作製し、そのシートを12cm角に裁断することにより正極シートを作製した。
表1と2に記載の負極スラリーを塗工機で塗布し、厚さ80μm、幅18cm、長さ5mのシートを作製し、そのシートを12cm角に裁断することにより負極シートを作製した。
表1と2に記載の固体電解質スラリーを塗工機で塗布し、厚さ30μm、幅18cm、長さ5mのシートを作製し、そのシートを12cm角に裁断することにより固体電解質シートを作製した。
このうち、正極シート及び負極シートに、レーザ加工機(パナソニック電工SUNX社製、型番LPV−15U)を用いてレーザを照射し、直径1mmの円形の開口を有する開口部を形成した。図3(c)に示すように開口部を形成した正極シートをシートCとして7枚準備し、図3(a)に示すように開口部を形成した負極シートをシートAとして7枚準備した。このとき、正極シートと負極シートで、異なる位置に開口部を形成するようにした。また、図3(d)に示すように開口部を形成しない正極シートをシートDとして1枚準備し、図3(b)に示すように開口部を形成しない負極シートをシートBとして1枚準備した。
他方で、固体電解質シートにも、レーザ加工機を用いてレーザを照射し、正極シート及び負極シートのうち少なくとも一方の開口部の中心と重なる位置に、直径0.8mmの円形の開口を有する開口部を形成した。このとき、図3(g)に示すように正極シートの開口部の中心と重なる位置のみに開口部を形成した固体電解質シートをシートGとして1枚準備し、図3(f)に示すように負極シートの開口部の中心と重なる位置のみに開口部を形成した固体電解質シートをシートFとして1枚準備し、図3(e)に示すように両方の位置に開口部を形成した固体電解質シートをシートEとして13枚準備した。
シートA〜Gに形成する開口部の模式図を図3に示す。
次いで、枚葉式積層機(アルファーシステム株式会社製)を用いて、正極シート、正極シート、固体電解質シート、負極シート、固体電解質シート及び正極シートの順で交互に積層した。より具体的には、シートD、シートF、シートA、シートE、シートC及びシートCを順に積層した後、シートE、シートA、シートE、シートC及びシートCの順で6回繰り返して積層し、その後シートG及びシートBを順に積層した。このとき、2枚の正極シートの共通する位置にある開口部と、その開口部に隣接する固体電解質シートにある開口部を重ね合せるとともに、負極シートの開口部とそれに隣接する固体電解質シートにある開口部を重ね合せた。
このとき、離形処理後のシート外寸は15cm角になるようにし、各層を積層するごとに仮積層を行い、最後に本積層として2段階のプレスを行った。仮積層は常圧で行い、100kPaのプレス圧で行った。次いで、真空脱気を行い、シート中の気泡を取り除いた。その後に行われる本積層は250kPaのプレス圧で行いシート積層体を得た。
このシート積層体を直径11mmでくり抜き、窒素雰囲気中で3時間にわたり400℃で脱脂した。その後、成形型に入れて上型を乗せ、油圧プレスで2000kg/cmの圧力を掛けながら600℃まで2℃/secの昇温速度で加熱し、600℃に到達した後に圧力を開放して室温まで放冷した。外周0.75mmを#800の砥石で研磨し、直径9.5mmの電池要素5を得た。得られた電池要素5についての構成を表3と表4に示す。
Figure 0006386224
Figure 0006386224
(第一の緩衝層4に用いるためのスラリー(スラリーA)の準備)
電池要素5の周面上に第一の緩衝層4を配置するため、第一の緩衝層4に用いるためのスラリーを、以下のように準備した。調合は300ccポリプロピレン容器で行った。下記表4に示した緩衝層材料(AlTOMBO(登録商標)、SiO又はCaCO)60g、バインダー10g(互応化学工業株式会社製、KFA−611)、溶剤(互応化学工業株式会社製、テキサノール)20g、分散剤1g(BYK製、DISPERBYK180)を加え、可塑剤(互応化学工業製、DOA)0.5g、Φ10mmのYTZボール100gを入れて、泡とり錬太郎(THINKY社製、ARV−200)を用いて1000rpmにて5分間混練を3セット実施後、YTZボールを分離し、100Torr、1000rpmにて5分間脱泡し、第一の緩衝層4に用いるためのスラリーを完成させた。なお、上述のTOMBOは、ニチアス株式会社製ファインフレックス(登録商標)バルクファイバー(No.5200−Z(Al34質量%、SiO50質量%及びZrO16質量%))である。
(導電板2の準備)
マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS316L)を準備した。大きさ(φ)は9.6mm、厚さは0.15mmである。
(ガラス層3に用いるためのスラリー(スラリーB)の準備)
電池要素5や第一の緩衝層4の外周側面にガラス層3を配置するため、ガラス層3に用いるためのスラリーを、以下のように準備した。
下記表5に示す酸化物基準のモル%で表されたに示す組成比となるように、硼酸、メタリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタリン酸リチウム、リン酸リチウム、酸化ジルコニウム、二酸化テルルなどのガラス原料バッチを調合した。ガラス原料バッチはアルミナるつぼ、石英るつぼ、金るつぼ、又は白金坩堝へ充填し、電気炉により750℃〜1300℃の温度で30分から4時間加熱溶融した。溶融したガラスは板上に成形し、徐冷した。作製したガラスは、スタンプミルとアルミナ乳鉢を用いて平均粒子径で50μmまで粉砕した。
Figure 0006386224
調合は300ccポリプロピレン容器で行った。表3に示したガラス又は市販のガラス(旭硝子製のKP312AS(Tgが280℃)若しくはT015(Tgが320℃))を60g、バインダー20g(互応化学製、KFA−611)、溶剤20g(互応化学製、テキサノール)、分散剤1g(BYK製、DISPERBYK180)、可塑剤(互応化学製、DOA)を加え、Φ10mmのYTZボール100gを入れて、泡とり錬太郎(THINKY社製、ARV−200)を用いて1000rpmにて5分間混練を3セット実施後、YTZボールを分離し、100Torr、1000rpmにて5分間脱泡してスラリーとした。
(第二の緩衝層6に用いるための材料の準備)
カーボンフェルト、発泡金属(多孔質金属)又はアルミメッシュからなる材料を準備して、第二の緩衝層として準備した。大きさ(φ)は9.6mm、厚さは0.15mmである。
(全固体電池1の作製)
表6に示す材質および配置、図2に示す配置にて、導電板2、第二の緩衝層6、電池要素5、第二の緩衝層6、導電板2の順で挟み、導電板2上の両面から500gの加重をかけて固定した。
この固定後、電池要素5の周面上に、上述のスラリーAを塗布し、スラリーの乾燥処理(100℃、10分間)を行い、第一の緩衝層4を設けた。
この乾燥処理後、該第一の緩衝層4や電池要素5の周面上に上述のスラリーBを塗布し、スラリーの乾燥処理(100℃、10分間)を行い、ガラス層3を設けた。
この乾燥後、導電板上の上面から500gの加重をかけ、窒素雰囲気で350℃まで昇温後、1時間保持し、露点0℃のドライエアーに切り替えて4時間脱脂した。
脱脂後、430℃まで昇温し、10分間かけて、ガラス層3を軟化させた後、降温し、ケーシングし、全固体電池1を得た。
なお、以下表6記載の実施例21として、第一の緩衝層4を設けない例を作製した。
Figure 0006386224
表6の標記について説明する。周面配置とは電池要素5の周面に第一の緩衝層4を設ける配置をいい、主面配置とは電池要素5の主面に第二の緩衝層6を設ける配置をいう。ここで、電池要素5の主面とは、電池要素の外側の面が、正極層のみの面側又は負極層のみの面側の面をいう。電池要素5の周面とは、電池要素5の主面以外の面をいう。
周面配置については、「全周」は第一の緩衝層を全周設けたことを示し、「1/2(a、b)」は第一の緩衝層4を全周のうち図2に示すaとbの位置に設けたことを示し、「1/2(a、c)」は第一の緩衝層4を全周のうち図2に示すaとcの位置に設けたことを示し、「なし」は第一の緩衝層4を設けていないことを示す。主面の配置については、「両面」は第二の緩衝層6を両主面に設けた例を示し、「上面」は第二の緩衝層6を上面のみ設けた例を示す。「上面」とは、主面であって電池要素5の開口部を形成しない正極シートが設けられた側の面をいう。
(全固体電池の評価)
実施例について、コイン電池評価治具(アスカ電子製)を用い、下側に正極、上側に負極を配置して、電池性能の評価をした。セットしたコイン評価治具は、加速試験のため恒温恒湿槽内に入れ、60℃、湿度80%下にて、交流テスターであるLCRメータ(日置電機、3522−50)による抵抗測定と充放電試験を行った。充放電レートは1/10C(10時間で電極活物質を全て使う充放電電流)と定電流充電、定電流放電とし、充電時カットオフ電圧は2.8V、放電時カットオフ電圧は0.3Vとした。評価結果(充放電試験、サイクル試験結果)を以下表7に示す。
(比較例1)
比較例1として、電池要素5のみの例を作製した。この電池要素5の構成は、上述の実施例と同じである。電池要素5を、100℃真空乾燥1時間乾燥後、コイン電池評価治具(アスカ電子製)を用い、下側に正極面、上側に負極面を配置して集電を取った。セットしたコイン評価治具は、加速試験のため恒温恒湿槽内に入れ、60℃、湿度80%下にてLCRメータによる抵抗測定と充放電試験を行った。充放電レートは1/10Cと定電流充電、定電流放電とし、充電時カットオフ電圧は2.8V、放電時カットオフ電圧は0.3Vとした。評価結果(充放電試験、サイクル試験結果)を以下表7に示す。
(比較例2)
比較例2として、電池要素5にアルミラミネートパッケージをした例を作製した。電池要素5を100℃真空乾燥1時間乾燥させた。パッケージングは露点−50℃のドライルームにて実施した。タブフィルムとアルミラミネートフィルム、銅箔、アルミ箔で作製したセルホルダーを用いて、セルを真空状態でパッケージングした。なお、負極側を銅箔(集電体)、正極側をアルミ箔(集電体)とした。クリップで止め、加速試験のため恒温恒湿槽内に入れ、60℃、湿度80%下にてLCRメータによる抵抗測定と充放電試験を行った。充放電レートは1/10Cと定電流充電、定電流放電とし、充電時カットオフ電圧は2.8V、放電時カットオフ電圧は0.3Vとした。評価結果(充放電試験、サイクル試験結果)を以下表7に示す。
(比較例3)
比較例3として、電池要素5にコインカシメを施した例を作製した。電池要素5を100℃真空乾燥1時間乾燥させた。パッケージングは露点−50℃のドライルームにて実施した。正極側と負極側にそれぞれカーボンペーパーの緩衝層を設けた上で、カシメ型のΦ15mmの金属製コインケース(SUS310製)に入れてカシメにて密封した。コイン評価治具を用いてコインケースの集電をとった。セットしたコイン評価治具は、加速試験のため恒温恒湿槽内に入れ、60℃、湿度80%下にてLCRメータによる抵抗測定と充放電試験を行った。評価結果(充放電試験、サイクル試験結果)を以下表7に示す。
Figure 0006386224
(評価結果の考察)
実施例21を除いたいずれの実施例も100サイクル容量維持率は高くなった。比較例1では、ケースが無いため、重量が軽く高いエネルギー密度を示したが、サイクル劣化が激しく100サイクルで3%となった。比較例1については、露点50℃以下のドライルーム内で実施した充放電試験でのサイクル維持率は100%であったため、この劣化は、湿度の影響であると考えられる。一方、実施例では、湿度の影響による劣化を抑制できていることを示している。
また、緩衝層の材質に吸湿能力のあるCaCOを用いた実施例9のサイクル劣化が最も低い。このことからも、全固体電池においても湿度の影響が強いことがわかる。本評価でも、微量水分が混入しているため、電池形成後にも水分を除去、又は形成中に水分混入できる吸湿能力のある材料が、第一の緩衝層4の材質として、より有効であることが確認できた。
放電容量は比較例3と実施例7が最も高かった。実施例7については、側面緩衝層に反応性の低いZrOが添加されている材料を用いたことと、緩衝効果が高い繊維状構造を用いたことにより、シールによる放電容量低下が抑制できるものと考えられる。抵抗については、比較例3とアルミメッシュを用いた実施例17が最も低かった、集電が良くとれているためと考えられる。電池のエネルギー密度、サイクル特性などを総合すると、実施例13が最も高い性能を示した。
1 全固体電池
2 導電板
3 ガラス層
4 第一の緩衝層
5 電池要素
6 第二の緩衝層

Claims (6)

  1. 全固体電池であって、
    電池要素と導電板と第一の緩衝層とガラス層とを含み、
    該電池要素は、正極層と負極層と固体電解質層とを含み、
    該導電板は、該電池要素の外側の面が、正極層のみの面側または負極層のみの面側の面である両主面上に配置され、
    第一の緩衝層は、該電池要素の膨張収縮を可能にし、電子絶縁性があるセラミックスを含み、球状、繊維状、中空状の少なくともいずれか一つの形状を有し、該電池要素の主面以外の面である周面上の少なくとも一部を被覆し、
    該ガラス層は、該電池要素と該第一の緩衝層とが全固体電池外に露出しないように、少なくとも該第一の緩衝層の周面上に設けられ、
    第二の緩衝層は、該電池要素と該導電板の間に、該電池要素の少なくとも一部を被覆するように設けられ、該電池要素の膨張収縮を可能にし、電子伝導性を有する、気孔率が少なくとも30%の、カーボン材料と金属材料の少なくともいずれか一つの材料を含む
    ことを特徴とする、全固体電池。
  2. 該ガラス層のガラスは、ガラス転移点(Tg)が500℃以下である、請求項1に記載の全固体電池。
  3. 該ガラス層のガラスは、B、TeO、A(式中、Aは、Al、Bi、Laからなる群より選択される1種以上)及びRnO(式中、RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)成分を含有するガラスである、請求項1又は2のいずれかに記載の全固体電池。
  4. 該ガラス層のガラスは、A(式中、Aは、Al、Bi、Laからなる群より選択される1種以上)、RnO(RnはLi、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される1種以上)及びD(式中、DはP、Vからなる群より選択される1種以上)成分を含有するガラスである、請求項1又は2のいずれかに記載の全固体電池。
  5. 該導電板は、ステンレス鋼又はCo基合金からなる、請求項1〜のいずれかに記載の全固体電池。
  6. 該第二の緩衝層が、気孔率が30%以上の、炭素、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金又はアルミニウムである、請求項1〜のいずれかに記載の全固体電池。
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