JP5276068B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、SiC単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくは、欠陥の少ないSiC単結晶を製造することが可能なSiC単結晶の製造方法に関する。
SiC(炭化ケイ素)は、六方晶系の結晶構造を持つ高温型(α型)と、立方晶系の結晶構造を持つ低温型(β型)が知られている。SiCは、Siに比べて、耐熱性が高いだけでなく、広いバンドギャップを持ち、絶縁破壊電界強度が大きいという特徴がある。そのため、SiC単結晶からなる半導体は、Si半導体に代わる次世代パワーデバイスの候補材料として期待されている。特に、α型SiCは、β型SiCよりバンドギャップが広いので、超低電力損失パワーデバイスの半導体材料として注目されている。
α型SiCは、その主要な結晶面として{0001}面(以下、これを「c面」ともいう)と、{0001}面に垂直な{1−100}面及び{11−20}面(以下、これらを総称して「a面」ともいう)とを有している。
従来より、α型SiC単結晶を得る方法として、c面成長法が知られている。ここで、「c面成長法」とは、c面又はc面に対するオフセット角が所定の範囲にある面を成長面として露出させたSiC単結晶を種結晶に用いて、昇華再析出法などの方法により成長面上にSiC単結晶を成長させる方法をいう。
しかしながら、c面成長法により得られる単結晶中には、<0001>方向に平行な方向にマイクロパイプ欠陥(直径数μm〜100μm程度の管状の空隙)やc軸貫通型螺旋転位(以下、単に「螺旋転位」という)などの欠陥が非常に多く発生するという問題があった。
高性能なSiCパワーデバイスを実現するためには、SiC半導体に生じるリーク電流を低減することが必須条件である。SiC単結晶に生じるマイクロパイプ欠陥、螺旋転位などの欠陥は、このリーク電流を増大させる原因と考えられている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、c面からの傾きが約60°〜約120°である面(例えば、{1−100}面、{11−20}面など)を成長面として露出する種結晶を用いて、SiC単結晶を成長させるSiC単結晶の成長方法(以下、このような成長方法を「a面成長法」という)が開示されている。
同文献には、
(1)c面から約60〜120°傾いている結晶面上にSiCを成長させると、その結晶面上に原子積層の配列が現れているため、元の種結晶と同じ種類の多形構造を持つ結晶が容易に成長する点、
(2)このような方法を用いた場合、螺旋転位は発生しない点、及び、
(3)種結晶がc面に滑り面を有する転位を含む場合、この転位は、成長結晶に引き継がれる点、
が記載されている。
また、特許文献2には、{10−10}面を成長面とする種結晶を用いてSiCを成長させ、次いで、得られた単結晶から{0001}ウェハを取り出し、このウェハを種結晶に用いてSiCを成長させるSiC単結晶の成長方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、
(1)マイクロパイプ欠陥の少ないSiC単結晶が得られる点、及び、
(2)アチソン結晶に比べて十分大きな{0001}ウェハが得られるので、これを種結晶として用いることにより、容易に大型の結晶を成長させることができる点、
が記載されている。
また、特許文献3には、互いに直交する方向に複数回のa面成長を行った後、最後にc面成長させるSiC単結晶の製造方法が開示されている。
同文献には、
(1)a面成長の繰り返し回数が多くなるほど、成長結晶中の転位密度が指数関数的に減少する点、
(2)a面成長においては、積層欠陥の発生が避けられない点、及び、
(3)最後にc面成長を行うと、マイクロパイプ欠陥及び螺旋転位が発生しないだけでなく、積層欠陥がほとんど存在しないSiC単結晶が得られる点、
が記載されている。
また、特許文献4には、{0001}面よりオフセット角度60度以内の面を成長面として有し、成長面上に螺旋転位発生可能領域を有する転位制御種結晶を用いて、SiCを成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法が開示されている。
同文献には、このような転位制御種結晶を用いることにより、c面ファセット内に螺旋転位を確実に形成することができるので、異種多形や異方位結晶の生成を抑制することができる点が記載されている。
さらに、特許文献5には、{0001}面から20°以上90°未満傾斜した傾斜面を成長面上に有する炭化珪素単結晶育成用種結晶を切り出し、切り出された種結晶を用いて炭化珪素単結晶インゴットを成長させる成長工程をN回繰り返す場合において、第(n−1)成長工程で使用した種結晶の傾斜面の傾斜方向と、第n成長工程で使用する種結晶の傾斜面の傾斜方向との{0001}面内における角度差が45°以上135°以下である炭化珪素単結晶インゴットの製造方法が開示されている。
同文献には、
(1){0001}面から20°以上90°未満傾斜した傾斜面を成長面とすることにより、マイクロパイプ欠陥や貫通転位が消失し、あるいは、これらが基底面積層欠陥若しくは基底面転位に変換される点、及び、
(2)傾斜面方向を{0001}面内で回転させることにより、基底面転位が種結晶から成長結晶に引き継がれることは、極めて少なくなる点、
が記載されている。
a面成長法は、螺旋転位密度の低いSiC単結晶が得られるという利点がある。しかしながら、a面成長法は、c面にほぼ平行な高密度の積層欠陥が生成しやすいという問題がある。SiC単結晶中に積層欠陥が発生すると、積層欠陥を横切る方向の電気抵抗が増大する。そのため、このような積層欠陥を高密度に有するSiC単結晶は、パワーデバイス用の半導体として使用することができない。
一方、a面成長を少なくとも1回以上行った後、c面成長を行うと、螺旋転位及び積層欠陥をほとんど持たないSiC単結晶を作製できると考えられている。
しかしながら、a面成長法により得られた結晶から作製された種結晶は、螺旋転位をほとんど持たない。そのため、c面成長時に成長結晶の表面に形成されるc面ファセット内には、種結晶の多形を成長結晶中に伝達するためのステップ供給源がない。その結果、c面ファセット上に異種多形や異方位結晶が部分的に形成され、それらが進展成長することで成長結晶中に再び螺旋転位がランダムに発生する場合があった。
これに対し、特許文献4に開示されるように、成長の初期から螺旋転位を発生可能な領域を有する転位制御種結晶を作製し、これを用いてSiC単結晶を成長させると、異種多形や異方位結晶の生成を抑制することができる。
しかしながら、種結晶表面に螺旋転位発生領域を形成すると、螺旋転位の一部が基底面(c面)内の刃状転位に変換され、図17に示すように刃状転位が高品質領域に漏れ出す場合があった。高品質領域に漏れ出した刃状転位の一部は、螺旋転位に変換される。すなわち、刃状転位の漏れ出しは、高品質領域の品質を低下させる原因となる。
特開平05−262599号公報 特開平08−143396号公報 特開2003−119097号公報 特開2004−323348号公報 特開2006−225232号公報
本発明が解決しようとする課題は、マイクロパイプ欠陥、螺旋転位、積層欠陥、異種多形、異方位結晶等の欠陥を生成させるおそれが少なく、かつ均質なSiC単結晶を製造することが可能なSiC単結晶の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、
以下の構成を備えたSiC種結晶を用いて、前記SiC種結晶の表面に新たな結晶を成長させる第1成長工程を備えている。
(1)前記SiC種結晶は、複数個の副成長面からなる主成長面を備えている。
但し、「前記主成長面」とは、前記SiC種結晶の露出面の内、その法線ベクトルが坩堝中心軸原料方向成分を有する面をいう。
(2)前記SiC種結晶の主成長面上にある{0001}面最上位部から前記主成長面の外周に向かう任意の方向の中に、複数個の前記副成長面を有する方向(主方向)が存在する。
(3)前記主方向に沿って、{0001}面最上位部側から外周に向かって存在する前記副成長面を、順次、第1副成長面、第2副成長面、…第n副成長面(n≧2)とする場合、第k副成長面(1≦k≦n−1)のオフセット角θkと第(k+1)副成長面のオフセット角θk+1との間に、θk<θk+1の関係が成り立つ。
SiC種結晶の主成長面のオフセット角を部分的に変化させると、成長結晶内において螺旋転位密度分布を制御することができる。
すなわち、第1副成長面のオフセット角θ1を相対的に小さくすると、第1副成長面上又はその近傍に露出している種結晶中の螺旋転位は、ほぼ成長結晶に引き継がれる。その結果、第1副成長上又はその近傍にあるc面ファセット内に螺旋転位を確実に供給することができる。また、これによって、成長結晶中での異種多形や異方位結晶の発生が抑制される。
一方、第2〜第n副成長面のオフセット角θ2〜θnを相対的に大きくすると、第2〜第n副成長面上に露出している種結晶中の螺旋転位は、成長結晶にそのまま引き継がれる確率が小さくなり、基底面刃状転位に変換されやすくなる。基底面刃状転位は、そのままオフセット方向の下流側に流れやすい性質を持つ。その結果、第n副成長面上又はその近傍にある副成長面上の成長結晶中の螺旋転位密度を低減することができる。
昇華析出法の概念図である。 図2(a)は、SiC種結晶の断面図(図2(b)のB−B'線断面図)である。図2(b)は、SiC種結晶の底面図である。 図3(a)は、SiC種結晶の具体例1の断面図である。図3(b)は、図3(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図4(a)は、SiC種結晶の具体例2の断面図である。図4(b)は、図4(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図5(a)は、SiC種結晶の具体例3の断面図である。図5(b)は、図5(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図6(a)は、SiC種結晶の具体例4の断面図である。図6(b)は、図6(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図7(a)は、SiC種結晶の具体例5の断面図である。図7(b)は、図7(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図8(a)は、SiC種結晶の具体例6の断面図である。図8(b)は、図8(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図9(a)は、SiC種結晶の具体例7の断面図である。図9(b)は、図9(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図10(a)は、SiC種結晶の具体例8の断面図である。図10(b)は、図10(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図11(a)は、SiC種結晶の具体例9の断面図である。図11(b)は、図11(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図12(a)は、SiC種結晶の具体例10の断面図である。図12(b)は、図12(a)に示すSiC種結晶を用いて成長させたSiC単結晶の断面図である。 図13(a)〜図13(d)は、主成長面の形態のバリエーションを示す図である。図13(e)〜図13(g)は、主成長面の加工法の一例を示す図である。 主成長面の形態のバリエーションを示す図である。 繰り返しa面成長法+c面成長法を用いたSiC単結晶の製造方法を示す工程図である。 SiC単結晶のステップフロー成長過程及び異種多形の成長過程を示す模式図である。 螺旋転位発生領域からの転位の漏れ出しを説明するためのSiC単結晶の断面模式図である。 主成長面の形状の一例を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 用語の定義]
SiC単結晶を成長させる方法としては、一般に、昇華析出法、高温溶液析出法、CVD法などが知られている。本発明においては、いずれの方法を用いても良い。特に、昇華析出法は、種結晶からSiC単結晶を成長させる方法として好適である。「昇華析出法」とは、低温側に種結晶を配置し、高温部で昇華させたSiCガスを種結晶表面で析出させる方法をいう。以下、用語の定義に際しては、昇華析出法を中心に説明するが、本発明は、昇華析出法以外の成長方法(例えば、CVD法)についても適用できる。
図1に、昇華析出法の概念図を示す。また、図2に、SiC種結晶の底面図(図2(b))、及び、そのB−B’線断面図(図2(a))を示す。
昇華析出法において、SiC種結晶12は、坩堝14内の一端に設置され、SiCからなる原料16は、坩堝14の他端に設置される。SiC種結晶12は、適当な種結晶台座18を介して、坩堝14の一端に固定される。なお、図1に示す例において、SiC種結晶12は、坩堝14の上部に固定されているが、SiC種結晶12と原料16の位置を上下逆転させても良い。このような状態で原料16を昇華させると、SiC種結晶12の表面に新たな結晶を成長させることができる。
[1.1. 主成長面]
「主成長面」とは、SiC種結晶12の露出面の内、その法線ベクトルaが坩堝中心軸原料方向成分を有する面をいう。昇華析出法において「坩堝中心軸原料方向」とは、図1に示すように、SiC種結晶12から原料16に向かう方向であって、坩堝14の中心軸に対して平行な方向をいう。換言すれば、「坩堝中心軸原料方向」とは、SiC単結晶のマクロな成長方向を表し、通常は、SiC種結晶12の底面又はこれを固定する種結晶台座18の底面に対して垂直な方向をいう。
図1に示す例おいて、SiC種結晶12は、X12面、X23面、X34面、X45面、X56面、及び、X61面の6つの面を持つ。これらの内、種結晶台座18と接しているX61面以外の面は、坩堝14内の雰囲気に曝されている露出面である。
ベクトルa1〜a5は、それぞれ、X12面〜X56面の法線ベクトルを表す。ベクトルpは、SiC種結晶12の{0001}面の法線ベクトルを表す。ベクトルqは、坩堝中心軸原料方向に対して平行なベクトルを表す。
図1に示す例において、X12面及びX56面は、それぞれ、その法線ベクトルa1及びa5がベクトルqに対して垂直であり、法線ベクトルa1及びa5は、坩堝中心軸原料方向成分を持たない。従って、図1に示す例の場合、「主成長面」とは、X23面+X34面+X45面をいう。
[1.2. 副成長面]
「副成長面」とは、主成長面を構成する個々の面をいう。副成長面は、平面であっても良く、あるいは、曲面であっても良い。
SiC種結晶12の断面を見たときに、主成長面が有限個の直線(平面)で構成されている場合、「副成長面の個数」とは、直線の個数をいう。図1に示す例の場合、SiC種結晶12の主成長面は、X23面、X34面、及び、X45面の3つの副成長面からなる。
一方、SiC種結晶12の断面を見たときに、主成長面の全部又は一部が曲線(曲面)で構成されている場合、曲線部分は、微少直線(微少平面)からなる無限個の副成長面の集合体と定義する。
[1.3. オフセット角θ、オフセット方向]
「オフセット角θ」とは、副成長面の法線ベクトルaと、SiC種結晶12の{0001}面の法線ベクトルpとのなす角をいう。図1に示す例において、θ1及びθ2は、それぞれ、X34面及びX45面のオフセット角を表す。また、本発明においては、後述するように、θ1<θ2になっている。
「オフセット方向」とは、{0001}面の法線ベクトルpを副成長面上に投影したベクトルbの方向をいう。図1に示す例において、ベクトルb3及びb4は、それぞれ、{0001}面の法線ベクトルpを、それぞれ、X34面及びX45面上に投影したベクトルを表す。
「オフセット方向の上流(上位)側」とは、ベクトルbの先端が向いている側を言う。
「オフセット方向の下流(下位)側」とは、ベクトルbの先端が向いている向きとは反対向きの側をいう。
[1.4. 副成長面傾斜角α]
「副成長面傾斜角α」とは、坩堝中心軸原料方向ベクトルqと副成長面の法線ベクトルaとのなす角をいう。
図1に示す例において、α'、α1、及び、α2は、それぞれ、X23面〜X45面の副成長面傾斜角を表す。
[1.5. 第1〜第n副成長面]
本発明において、SiC種結晶は、主成長面が複数個の副成長面で構成されており、SiC種結晶の主成長面上にある{0001}面最上位部から主成長面の外周に向かう任意の方向の中に、複数個の副成長面を有する方向(主方向)が存在する。主方向に沿って、{0001}面最上位部側から外周に向かって存在する副成長面を、順次、第1副成長面、第2副成長面、…第n副成長面(n≧2)と定義する。
すなわち、「第1副成長面」とは、主成長面を構成する副成長面の内、
(a){0001}面最上位部側に位置する副成長面であり、かつ、
(b)後述するオフセット角の条件を満たす第2副成長面が隣接して存在する副成長面、
をいう。
「{0001}面の最上位部」とは、SiC種結晶12を構成する{0001}面の内、主成長面内のオフセット方向上流側の最先端にある{0001}面をいう。
例えば、SiC種結晶12の先端が2つの平面からなる折れ面である場合、あるいは、SiC種結晶12の先端が錐面である場合、SiC種結晶12の断面を見たときに、最先端にある{0001}面は、点で表される。この場合、「{0001}面の最上位部」とは、その点をいう。
第1副成長面は、主成長面の端部にあっても良く、あるいは、主成長面の内側にあっても良い。
「{0001}面の最下位部」とは、SiC種結晶を構成する{0001}面の内、主成長面内のオフセット方向下流側の最先端、つまり、{0001}面最上位部とは結晶学的に最も離れた位置に存在する{0001}面をいう。
また、SiC種結晶12は、図1のX12面やX56面のように、法線ベクトルが坩堝中心軸方向成分を持たない、あるいは副成長面傾斜角αが80°以上で、坩堝中心軸原料方向の幅が1mm以上である露出面を有するのが好ましい。これがないと、種結晶12周辺部における種結晶台座18との接着部分が薄くなりすぎ、種結晶12裏面での局所的昇華−再析出により発生するいわゆるマイクロ欠陥の成長方向への進展により、成長結晶の周辺部の結晶品質が低下してしまう。
図1に示す例の場合、{0001}面の最上位部はX3点であり、X3点から主成長面の外周に向かう方向の内、X5点に向かう方向は、複数個の副成長面X34+X45を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って、{0001}面最上位部から外周のX5点に向かって存在する副成長面の内、{0001}面の最上位部を含む副成長面は、X34面である。よって、この場合の第1副成長面とは、X34面をいう。
また、第2副成長面とは、X34面に対し、{0001}面最上位部から外周のX5点に向かう側に存在する副成長面、すなわち、X45面をいう。
[1.6. {0001}面傾斜角β]
「{0001}面傾斜角β」とは、坩堝中心軸原料方向ベクトルpと、SiC種結晶の{0001}面法線ベクトルpとのなす角をいう。
[1.7. 投影面]
「投影面」とは、主成長面又は副成長面を坩堝中心軸原料方向に垂直な平面に投影した面をいう。
「投影面積」とは、投影面の面積をいう。
図2に示す例において、SiC種結晶12は円板状であるため、主成長面の投影面は、円となる。また、SiC種結晶12の底面を見たときに、主成長面は、3個の平面(副成長面)で構成され、X34面の投影面は、ほぼ台形(ハッチング領域)になっている。
[2. SiC種結晶]
本発明において、SiC種結晶には、少なくとも以下の条件を備えたものを用いる。
(1)SiC種結晶は、複数個の副成長面からなる主成長面を備えている。
(2)前記SiC種結晶の主成長面上にある{0001}面最上位部から前記主成長面の外周に向かう任意の方向の中に、複数個の前記副成長面を有する方向(主方向)が存在する。
(3)前記主方向に沿って、{0001}面最上位部側から外周に向かって存在する前記副成長面を、順次、第1副成長面、第2副成長面、…第n副成長面(n≧2)とする場合、第k副成長面(1≦k≦n−1)のオフセット角θkと第(k+1)副成長面のオフセット角θk+1との間に、θk<θk+1の関係が成り立つ。
[2.1. 結晶構造]
α型SiCは、六方晶系に属し、その主要な結晶面としてc面({0001}面)と、c面に垂直なa面({1−100}面又は{11−20}面)とを有している。c面の上に新たなc面を積層する場合、3通りの積層方法がある。そのため、α型SiCは、2層1周期となるようにc面が積層した2H型、4層1周期となるようにc面が積層した4H型、6層1周期となるようにc面が積層した6H型などの多くの多形があることが知られている。
本発明において、SiC種結晶を構成するα型SiCの多形の種類は、特に限定されるものではなく、あらゆる多形に対して、本発明を適用することができる。
[2.2. 副成長面]
主成長面は、複数個の副成長面を備えている。主成長面は、平面からなる有限個の副成長面で構成されていても良く、あるいは、副成長面の全部又は一部が曲面(すなわち、無限個の微少平面)で構成されていても良い。種結晶の加工を容易化するためには、主成長面は、平面からなる有限個の副成長面で構成されているのが好ましい。
[2.3. オフセット角θ]
本発明において、SiC種結晶は、{0001}面最上位部から主成長面の外周に向かう任意の方向の中に、複数個の副成長面を有する方向(主方向)が存在する。また、主方向に沿って、{0001}面最上位部側から外周に向かって存在する副成長面を、順次、第1副成長面、第2副成長面、…第n副成長面(n≧2)とする場合、第k副成長面(1≦k≦n−1)のオフセット角θkと第(k+1)副成長面のオフセット角θk+1との間に、θk<θk+1の関係が成り立つ。
すなわち、本発明で使用されるSiC種結晶は、第1副成長面のオフセット角θ1が最も小さく、主方向に沿って、{0001}面最上位部側から外周に向かうにつれて、オフセット角θが段階的又は連続的に大きくなっている。この点が、従来とは異なる。
各副成長面のオフセット角θは、後述するSiC種結晶中の螺旋転位密度や螺旋転位発生領域の有無などに応じて、最適な値を選択するのが好ましい。
図18に、主成長面の形状の一例を示す。なお、図18(a)〜(c)において、それぞれ、下図は底面図であり、上図はそのB−B'線断面図である。
図18(a)に示す種結晶は、オフセット基板のほぼ中央に{0001}面最上位部がある。また、{0001}面最上位部から主成長面の外周に向けた任意の方向の中に、少なくとも2個の副成長面を備える方向(主方向:図18(a)中、黒塗りの太矢印で表示)を有する。主方向の外周端は、{0001}面最下位部ではない。主方向に存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面が第1副成長面であり、外周側に存在する副成長面が第2副成長面である。このような形状を有する種結晶を用いると、第2副成長面上に成長する成長結晶の螺旋転位密度を低減したり、第2副成長面上に成長する結晶中への積層欠陥の流入が抑制されるという利点がある。
図18(b)に示す種結晶は、オフセット基板の中央より左側に{0001}面最上位部がある。また、主方向(図18(b)中、黒塗りの太矢印で表示)は、{0001}面最上位部から主成長面の外周部までの距離が最も大きくなる方向である。主方向の外周端は、{0001}面最下位部ではない。主方向に存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面が第1副成長面であり、外周側に存在する副成長面が第2副成長面である。このような形状を有する種結晶を用いると、第2副成長面の面積が大きくなるので、高品質領域が増大するという利点がある。
図18(c)に示す種結晶は、オフセット基板の中央より左側に{0001}面最上位部がある。また、主方向(図18(c)中、黒塗りの太矢印で表示)は、{0001}面最上位部から{0001}面最下位部に向かう方向である。主方向に存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面が第1副成長面であり、外周側に存在する副成長面が第2副成長面である。このような形状を有する種結晶を用いると、種結晶の必要厚さが小さくなるという利点がある。
[2.3.1. オフセット角θ1
第1副成長面及びその近傍にある副成長面は、SiC種結晶中に存在する螺旋転位又は螺旋転位発生領域で発生させた螺旋転位をc面ファセット(成長の最先端にあるc面)に供給する機能を持つ。第1副成長面のオフセット角θ1が大きくなるほど、第1副成長面上に露出している螺旋転位が基底面刃状転位に変換されやすくなる。その結果、c面ファセット内に導入される螺旋転位が不足し、異種多形や異方位結晶を生成させる原因となる場合がある。
また、螺旋転位から変換された基底面内刃状転位は、オフセット方向の下流側に向かって流れるが、その一部は、途中で螺旋転位に再度変換される場合がある。その結果、成長結晶の高品質領域に螺旋転位が導入される場合がある。特に、螺旋転位密度の低い種結晶に螺旋転位発生領域を形成した場合、螺旋転位の漏れ出しにより高品質領域の螺旋転位密度が増大する場合がある。
最適なオフセット角θ1は、SiC種結晶中の螺旋転位密度や螺旋転位発生領域の有無等に応じて、最適な値を選択する。
例えば、SiC種結晶の螺旋転位密度が相対的に高い場合、オフセット角θ1は、20°以下が好ましい。オフセット角θ1は、さらに好ましくは15°以下、さらに好ましくは10°以下である。
一方、SiC種結晶中の螺旋転位密度が低い場合(例えば、a面成長を繰り返した単結晶から種結晶を切り出す場合)、あるいは、第1副成長面又はその近傍に螺旋転位発生領域を形成する場合には、第1副成長面又はその近傍にある螺旋転位が高品質領域に流れ出すのを抑制するのが好ましい。そのためには、オフセット角θ1は、4°以下が好ましい。
オフセット角θ1が20°以上になると、図17に示すように、螺旋転位の多くが基底面内刃状転位に変化される。その結果、c面ファセット形成部の螺旋転位密度が低下し、異種多形が発生しやすくなる。螺旋転位密度が数千個/cm2の結晶では、螺旋転位がかなりの割合で結晶成長中に消失しても、c面ファセット形成部近傍にいくらかの螺旋転位が残存するので、異種多形が発生しない。一方、螺旋転位密度が数百個/cm2以下の結晶では、c面ファセット形成部に残存する螺旋転位が異種多形を抑制するには不十分になり、異種多形が発生しやすくなる。
[2.3.2. オフセット角θn
第n副成長面及びその近傍にある副成長面は、SiC種結晶に存在する螺旋転位を基底面内刃状転位に変換し、成長結晶外に排出させる機能を持つ。第n副成長面のオフセット角θnが大きくなるほど、第n副成長面に露出している螺旋転位が基底面内刃状転位となって排出されやすくなる。
一方、オフセット角θnが大きくなりすぎると、螺旋転位から変化した基底面内刃状転位を成長結晶外に排出するためには、より大きな成長高さが必要となる。その結果、成長結晶中に積層欠陥が残存する確率が高くなる。
最適なオフセット角θnは、SiC種結晶中の螺旋転位密度や螺旋転位発生領域の有無等に応じて、最適な値を選択する。
例えば、SiC種結晶の螺旋転位密度が相対的に高い場合、オフセット角θnは、20°以上70°以下が好ましく、さらに好ましくは20°以上50°以下である。
一方、SiC種結晶の螺旋転位密度が相対的に低い場合(例えば、a面成長を繰り返した単結晶から種結晶を切り出す場合)、オフセット角θnは、4°以上30°以下が好ましい。
[2.3.3. オフセット角の差Δθn、θk
上述したように、第1副成長面及びその近傍にある副成長面の機能は、第n副成長面及びその近傍にある副成長面の機能とは異なっている。従って、第1副成長面のオフセット角θ1と第n副成長面のオフセット角θnの差(Δθn=θn−θ1)が小さいと、成長面内において、螺旋転位密度分布を制御することが困難となる。高品質の成長結晶を得るためには、Δθnは、2°以上が好ましい。Δθnは、さらに好ましくは、4°以上である。
一方、Δθnが大きくなりすぎると、成長面の高低差が大きくなることで十分な成長高さの成長結晶が得られない。従って、Δθnは、50°以下が好ましい。Δθnは、さらに好ましくは、40°以下である。
また、第k副成長面のオフセット角θkと、第(k−1)副成長面のオフセット角θk-1の差(Δθk=θk−θk-1)が大きいと、亜粒界が生じやすくなる。従って、Δθkは、30°以下が好ましい。
θ1及びΔθnは、SiC種結晶の螺旋転位密度に応じて、最適な値を選択するのが好ましい。
例えば、SiC種結晶の螺旋転位密度が1000個/cm2以上である場合、θ1=20°とし、Δθn=+10〜50°とするのが好ましい。
また、SiC種結晶の螺旋転位密度が100〜1000個/cm2である場合、θ1=10〜20°とし、Δθn=+10〜40°とするのが好ましい。
また、SiC種結晶の螺旋転位密度が10〜100個/cm2である場合、θ1=4〜8°とし、Δθn=+4〜30°とするのが好ましい。
また、SiC種結晶の螺旋転位密度が1〜10個/cm2である場合、θ1=2〜4°とし、Δθn=+2〜30°とするのが好ましい。
[2.3.4. 低オフセット角領域の面積率]
c面ファセットに確実に螺旋転位を供給するためには、第1副成長面及びその近傍にある副成長面(低オフセット角領域)は、相対的にオフセット角θを小さくするのが好ましい。
一方、低オフセット角領域では、螺旋転位がそのまま成長結晶に引き継がれる確率が高い。従って、成長結晶の螺旋転位密度を低減するためには、低オフセット各領域の面積を小さくするのが好ましい。
具体的には、主成長面の投影面積S1に対する、オフセット角θが20°以下である副成長面の投影面積の総和S3の割合(=S3×100/S1)は、50%以下が好ましい。
好ましくは、主成長面の投影面積S1に対する、オフセット角θが10°以下である副成長面の投影面積の総和S3の割合(=S3×100/S1)は、50%以下である。
さらに好ましくは、主成長面の投影面積S1に対する、オフセット角θが4°以下である副成長面の投影面積の総和S3の割合(=S3×100/S1)は、50%以下である。
[2.4. 副成長面傾斜角α]
SiC種結晶は、複数の副成長面を持つ。例えば、種結晶の断面が錐状であるオンセット基板の場合、各副成長面の副成長面傾斜角αが大きくなりすぎると、錐の底角が大きくなる。その結果、種結晶を切り出し準備する際に、{0001}面の面積(錐の底面の面積)が大幅に小さくなる。また、副成長面傾斜角αが大きくなりすぎると、SiC種結晶の先端部と底面との間の温度差が大きくなる。昇華析出法においては、温度差の大きい部分で優先的に析出が起こる。そのため、副成長面傾斜角αが大きすぎると、横方向の成長が優先的に起こり、種結晶に対し十分な成長高さを有する成長結晶が得られない。
十分な成長高さを確保するためには、主成長面の投影面積S1に対する、副成長面傾斜角αが30°以下である副成長面の投影面積の総和(S2)の割合(=S2×100/S1)は、50%以上が好ましい。
[2.5.{0001}面傾斜角β]
一般に、{0001}面傾斜角βが大きくなるほど、SiC種結晶内の螺旋転位が基底面内刃状転位に変換される確率が高くなる。しかしながら、{0001}面傾斜角βが大きくなるほど、変換された基底面内刃状転位を成長結晶から排出するのにより大きな成長高さが必要になる。また、種結晶の{0001}面最上部より結晶学的に上位の部分にある成長結晶中においても、新たに積層欠陥が発生しやすくなる。
従って、{0001}面傾斜角βは、30°以下が好ましい。
[2.6. 螺旋転位密度]
SiC種結晶の螺旋転位密度は、種結晶を切り出す単結晶の履歴によって決まる。一般に、c面成長法により得られた単結晶から種結晶を切り出す場合、切り出された種結晶の螺旋転位密度は、相対的に高い。この種の種結晶の螺旋転位密度は、通常、1000個/cm2以上である。
一方、成長面のオフセット角が60°〜90°の範囲になるように切り出した種結晶を用いて成長させた単結晶(すなわち、a面成長法により得られた単結晶)から種結晶を切り出す場合、切り出された種結晶には螺旋転位がほとんどない。
本発明において、SiC種結晶の螺旋転位密度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて、任意に選択することができる。但し、SiC種結晶の螺旋転位密度に応じて、オフセット角θ、副成長面傾斜角α、{0001}面傾斜角β、後述する螺旋転位発生領域の面積率などを選択するのが好ましい。
[2.7. 螺旋転位発生領域]
SiC種結晶の螺旋転位密度が相対的に高い場合、種結晶からc面ファセット内に螺旋転位を供給することができる。一方、SiC種結晶の螺旋転位密度が相対的に低い場合(例えば、a面成長させた単結晶から種結晶を切り出した場合)、c面ファセット内の螺旋転位が不足し、異種多形や異方位結晶が生成しやすくなる。また、SiC種結晶の螺旋転位密度が相対的に高い場合であっても、主成長面の形状等や、螺旋転位の局所的な分布によっては、c面ファセット内の螺旋転位が不足する場合がある。このような場合には、低オフセット角領域に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい。
[2.7.1. 螺旋転位発生領域の具体例]
「螺旋転位発生領域」とは、SiC種結晶よりも高密度に螺旋転位を発生可能な領域をいう。
SiC種結晶に螺旋転位発生領域を形成する方法としては、具体的には、
(1)螺旋転位を高密度に含む領域を残存させるようにa面成長させる方法(例えば、特許文献4参照)、
(2)SiC種結晶の表面に、結晶構造の乱れを発生させる処理(例えば、機械加工、イオン注入処理、レーザー加工など)を施す方法、
(3)螺旋転位を高度に含む基板をSiC種結晶に接触配置する方法、
(4)種結晶の表面の一部に後退部(へこみ、段差等)を設け、後退部にSiCを予備成長させる方法、
などがある。
[2.7.2. 螺旋転位発生領域を形成する種結晶の螺旋転位密度]
螺旋転位発生領域は、c面ファセットに螺旋転位を供給するためのものである。従って、種結晶の螺旋転位密度が高い場合には、螺旋転位発生領域を必ずしも形成する必要はない。一方、種結晶の螺旋転位密度が低い場合には、c面ファセット内の螺旋転位が不足し、異種多形が発生する確率が高くなる。従って、種結晶の螺旋転位密度が低い場合には、螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい。
具体的には、成長面のオフセット角が60°〜90°の範囲になるように切り出した種結晶を用いて成長させた単結晶(すなわち、a面成長法により得られた単結晶)から種結晶を切り出す場合、種結晶に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい。
[2.7.3. 螺旋転位発生領域を形成する副成長面のオフセット角]
螺旋転位発生領域は、c面ファセットに螺旋転位を供給するものであるため、第1副成長面及びその近傍に形成される。具体的には、螺旋転位発生領域は、主成長面の内、オフセット角θが20°以下である領域のいずれかに形成するのが好ましい。螺旋転位発生領域からの螺旋転位の漏れ出しを抑制するためには、螺旋転位発生領域は、オフセット角θが4°以下である領域のいずれかに形成するのが好ましい。
特に、種結晶の螺旋転位密度が低い場合(例えば、a面成長法により得られた単結晶から切り出された種結晶の場合)、螺旋転位発生領域は、主成長面の内、オフセット角θが4°以下である領域のいずれかに形成するのが好ましい。
さらに、種結晶の螺旋転位密度が低い場合、種結晶中から成長結晶に引き継がれる螺旋転位の絶対数は少ない。すなわち、高オフセット角領域においては、種結晶中の螺旋転位を基底面内刃状転位に変換し、成長結晶外に排出させる必要性に乏しい。一方、高オフセット角領域のオフセット角が小さくなりすぎると、成長が進むにつれて低オフセット角領域上に形成されるc面ファセットが拡大し、c面ファセットが螺旋転位発生領域上から外れた部分においてステップ供給源が不足してしまい、異種多形を発生させる原因となる。
従って、螺旋転位発生領域を形成する場合において、種結晶の螺旋転位密度が低いときには、螺旋転位発生領域を形成していない第n副成長面のオフセット角θnは、4°以上30°以下が好ましい。
[2.7.4. 螺旋転位発生領域の面積率]
種結晶表面に螺旋転位発生領域を形成すると、c面ファセットに確実に螺旋転位を供給できるという利点がある。しかしながら、螺旋転位発生領域上に成長した結晶中の螺旋転位密度は、種結晶より高い。そのため、螺旋転位発生領域の面積率が大きくなりすぎると、成長結晶中に占める高品質領域の割合が低下する。
歩留まりを向上させるためには、主成長面の投影面積S1に対する、螺旋転位発生領域の投影面積S4の割合(=S4×100/S1)は、50%以下が好ましい。螺旋転位発生領域の面積率はc面ファセットの移動領域をカバーしていれば良く、その面積率は、さらに好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下である。
一方、螺旋転位発生領域の面積率が小さくなりすぎると、c面ファセットの移動領域を十分にカバーできず、c面ファセットに十分な量の螺旋転位を供給するのが困難となる。従って、螺旋転位発生領域の面積率は、2%以上が好ましい。螺旋転位発生領域の面積率は、さらに好ましくは、5%以上である。
螺旋転位発生領域は、1個の副成長面上に形成されていても良く、あるいは、2個以上の副成長面にまたがって形成されていても良い。
第1副成長面が相対的に面積の大きい平面である場合、第1副成長面の全面に螺旋転位発生領域が形成されていても良く、あるいは、第1副成長面の内側に形成されていても良い。オフセット角が4°以下の副成長面の内側に螺旋転位発生領域を形成すると、螺旋転位発生領域からの螺旋転位の漏れを抑制できるという利点がある。
[3.SiC単結晶の製造方法]
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、第1成長工程と、第2成長工程とを備えている。
[3.1.第1成長工程]
第1成長工程は、上述した条件を備えたSiC種結晶を用いて、SiC種結晶の表面に新たな結晶を成長させる工程を備である。昇華析出法を用いて結晶を成長させる場合、図1に示すように、上述した条件を備えたSiC種結晶12を坩堝14内の一端に設置し、坩堝14内の他端にSiCからなる原料16を設置し、原料16を昇華させ、SiC種結晶12の表面に新たな結晶を成長させる。
昇華析出法においては、原料16を高温にし、SiC種結晶12の温度を原料16より僅かに低くする。原料16及びSiC種結晶12の温度(成長温度)は、特に限定されるものではなく、新たな結晶が効率よく成長する温度であれば良い。
また、成長時間も特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。昇華析出法以外の方法(例えば、ガス法(CVD法))を用いる場合も同様であり、新たな結晶が効率よく成長するように、成長条件を選択するのが好ましい。
異種多形の発生を抑制し、螺旋転位の少ないSiC単結晶を成長させるためには、c面ファセット内に確実に螺旋転位を導入する必要がある。
c面ファセットの発生位置を制御するには、
(1)種結晶の成長面にオフセット角を設定する、
(2)c面ファセットを発生させたい位置の放熱性を向上させる、
(3)ガス濃度を高くする、
などの方法がある。成長初期のc面ファセットの発生位置制御には、オフセット角の設定が最も確実である。
本発明において、SiC種結晶には、c面ファセットが形成される第1副成長面のオフセット角θ1が相対的に小さいものを用いている。そのため、第1副成長面又はその近傍にある副成長面に露出している螺旋転位や螺旋転位発生領域から発生する螺旋転位は、そのまま成長結晶に引き継がれやすい。その結果、c面ファセット内に螺旋転位を確実に導入することができる。
[3.2.第2成長工程]
第2成長工程は、第1成長工程で得られたSiC単結晶から、本発明に係るSiC種結晶12を新たに切り出し、新たに切り出されたSiC種結晶12を用いて、SiC単結晶を成長させる再成長工程を少なくとも1回以上繰り返す工程である。
第2成長工程の成長温度及び成長時間の詳細については、第1成長工程と同様であるので、説明を省略する。
第1成長工程のみによっても、螺旋転位を低減することができるが、再成長工程を少なくとも1回以上繰り返すと、螺旋転位をさらに低減することができる。一般に、再成長工程の繰り返し回数が多くなるほど、螺旋転位密度を低減することができる。但し、a軸方向に成長した結晶のように、螺旋転位が殆どない種結晶を用いる場合では、再成長工程の繰り返しは、螺旋転位の増加を抑制する効果がある。
通常、デバイス作製に用いられる基板のオフセット角は8°以下であるので、第1成長工程のオフセット角がこれより大きいと、基板の取り出し枚数が少なくなる。そのため、最終的には成長のオフセット角をデバイス作製用基板のオフセット角と同等にして成長する方が歩留まりが向上する。
よって、第1成長工程のオフセット角が大きい場合、第2成長工程は、m回目の再成長工程で用いたSiC種結晶12の第n副成長面のオフセット角θ(m)nを、前述(段落番号「0038」)の各螺旋転位密度範囲に対するオフセット角設定値に従って、(m−1)回目の再成長工程で用いたSiC種結晶12の第n副成長面のオフセット角θ(m-1)nに比べ、成長毎又は段階的(複数の成長回数でオフセット角を一定に保持し、ある程度螺旋転位密度が低下した時点で、オフセット角を小さくする)にデバイス作製に用いられる基板のオフセット角に近づけていく方向に小さくしていくのが好ましい。この時、第1副成長面のオフセット角θ(m)1は、第n副成長面のオフセット角θ(m)nの低減と同様に、成長毎又は段階的にθ(m-1)1に比べて小さくしても良く、θ(m)nとは独立して小さくしても良く、あるいは既に十分に小さくしている場合には、一定値に維持しても良い。
さらに、種結晶の螺旋転位密度が高い場合には、第2成長工程の、m回目の再成長工程のオフセット方向({0001}面最上位部と{0001}面最下位部が点である場合:{0001}面最上位部と{0001}面最下位部とを結ぶ線分に平行な平均的オフセット方向とする。{0001}面最上位部と{0001}面最下位部の一方が線である場合:第1副成長面のオフセット方向とする。)を、(m−1)回目の再成長工程のオフセット方向に対し、{0001}面内において45°〜135°の範囲にすると効率的に螺旋転位密度を小さくすることができる。
再成長を繰り返す場合において、第1副成長面のオフセット方向を{0001}面内において回転させると、成長結晶内に存在する螺旋転位から変換した基底面内刃状転位が、次の成長において成長結晶中に引き継がれにくくなるからである。
この時、オンセット基板を用いる場合ではc面ファセット形成位置となる第1副成長面の{0001}面最上位部の位置を移動する必要はないが、オフセット基板を用いた場合では、第1副成長面の{0001}面最上位部の位置を成長毎に変えることになる。そのため、第1副成長面内の螺旋転位密度が、ある程度(異種多形抑制に必要な程度)まで低下した時点で、オフセット方向は{0001}面内において回転させない方が好ましい。
[4.具体例]
[4.1. 具体例1]
図3(a)に、SiC種結晶の具体例1の断面図を示す。図3(b)に、SiC種結晶12aを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図3(a)において、SiC種結晶12aは、断面が矩形で、左上角に傾斜面X23が設けられている。また、SiC種結晶12aは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X2点である。X23面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X34面の副成長面傾斜角α2は、ゼロである。X4点は、主成長面外周の内、X2点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX45面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X15面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面である。また、{0001}面最上位部X2点から主成長面外周のX4点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X23面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X34面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12aは、螺旋転位をほとんど含まない。そのため、X23面の表面には、螺旋転位発生領域(図3(a)中、太線で表示)が形成されている。
a面成長結晶のように螺旋転位をほとんど含まない種結晶を用いて成長させる場合、図3(a)に示すように、c面ファセット内に螺旋転位を導入して異種多形の発生を抑制するために、第1副成長面X23に螺旋転位発生領域を設ける必要がある。この場合、第1副成長面X23と、螺旋転位発生領域を設けない第2副成長面X34との間では、螺旋転位の密度差が極めて大きくなる。そのため、螺旋転位発生領域からの転位の漏れ出しの割合が僅かであっても、第2副成長面X34上にある高品質側の螺旋転位密度の増加率は大きくなる。よって、螺旋転位発生領域からの転位の漏れ出しを完全に抑制するのが好ましい。
螺旋転位発生領域が形成される第1副成長面X23のオフセット角θ1が小さくなるほど、螺旋転位から基底面刃状転位に変換する割合は小さくなる。具体的には、オフセット角θ1が20°以下であれば、図3(b)に示すように、螺旋転位発生領域上の螺旋転位の大部分は、そのまま成長結晶中に伝搬する。
しかしながら、螺旋転位発生領域の螺旋転位密度が高い場合、高品質部への漏れ出し量が少ないとしても、種結晶の{0001}面下位側(高品質側)にはもともと螺旋転位がないため、{0001}面上位部からの転位の漏れ出しは無視できない。漏れ出しを完全に抑制するためには、螺旋転位発生領域のオフセット角θ1は、4°以下が好ましい。
一方、第2副成長面のオフセット角θ2が大きくなりすぎると、積層欠陥の排出のための成長高さが高くなる。従って、オフセット角θ2は、15°以下が好ましい。
[4.2. 具体例2]
図4(a)に、SiC種結晶の具体例2の断面図を示す。図4(b)に、SiC種結晶12bを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図4(a)において、SiC種結晶12bは、断面が矩形で、左上角に傾斜角の異なる2つの傾斜面X23、X34が設けられている。また、SiC種結晶12bは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X3点である。X34面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X45面の副成長面傾斜角α2は、ゼロである。X5点は、主成長面外周の内、X3点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX56面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X16面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34+X45面である。また、{0001}面最上位部X3点から主成長面外周のX5点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X34面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X45面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12bは、螺旋転位をほとんど含まない。そのため、X23面及びX34面の表面には、螺旋転位発生領域(図4(a)中、太線で表示)が形成されている。
坩堝14の構造によっては、成長初期に種結晶の径方向に結晶が成長する。そのため、{0001}面最上位部が主成長面の端部にある場合、成長中の{0001}面最上位部(c面ファセット)が種結晶上から外れ、一時的に螺旋転位密度が減少し、異種多形が発生することがある。
これに対し、SiC種結晶12bは、{0001}面最上位部X3が主成長面の内側になるように、傾斜面X23、X34が設けられている。そのため、これを用いて成長させると、図4(b)に示すように、成長結晶が径方向に拡大しても、c面ファセットが高密度の螺旋転位領域から外れるおそれが少ない。その結果、一時的な螺旋転位密度の低下に起因する異種多形の発生を抑制することができる。
[4.3. 具体例3]
図5(a)に、SiC種結晶の具体例3の断面図を示す。図5(b)に、SiC種結晶12cを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図5(a)において、SiC種結晶12cは、原料側の面が傾斜角の異なる2つの傾斜面X23、X34からなる。また、SiC種結晶12cは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X2点である。X23面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X34面の副成長面傾斜角α2は、α2>0である。X4点は、主成長面外周の内、X2点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX45面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X15面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面である。また、{0001}面最上位部X2点から主成長面外周のX4点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X23面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X34面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12cは、螺旋転位をほとんど含まない。そのため、X23面の表面には、螺旋転位発生領域(図5(a)中、太線で表示)が形成されている。
SiC種結晶12cは、α2>0であるため、第2副成長面X34のオフセット角θ2が図3(a)に示すSiC種結晶12aのθ2より大きくなっている。その結果、第2副成長面X34上に螺旋転位が露出している場合には、基底面内刃状転位により変換されやすくなる。また、これによって、第2副成長面X34からの新たな螺旋転位の発生も、より抑制しやすくなる。
[4.4. 具体例4]
図6(a)に、SiC種結晶の具体例4の断面図を示す。図6(b)に、SiC種結晶12dを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図6(a)において、SiC種結晶12dは、原料側の面が傾斜角の異なる3つの傾斜面X23、X34、X45からなる。また、SiC種結晶12dは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X3点である。X34面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X45面の副成長面傾斜角α2は、α2>0である。X5点は、主成長面外周の内、X3点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX56面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X16面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34+X45面である。また、{0001}面最上位部X3点から主成長面外周のX5点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X34面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X45面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12dは、螺旋転位をほとんど含まない。そのため、X23面及びX34面の表面には、螺旋転位発生領域(図6(a)中、太線で表示)が形成されている。
SiC種結晶12dは、{0001}面最上位部X3が主成長面の内側になるように、傾斜面X23、X34が設けられている。そのため、これを用いて成長させると、図6(b)に示すように、成長結晶が径方向に拡大しても、c面ファセットが高密度の螺旋転位領域から外れるおそれが少ない。その結果、一時的な螺旋転位密度の低下に起因する異種多形の発生を抑制することができる。
また、SiC種結晶12dは、α2>0であるため、第2副成長面X34のオフセット角θ2が図4(a)に示すSiC種結晶12bのθ2より大きくなっている。その結果、第2副成長面X45上に螺旋転位が露出している場合には、基底面内刃状転位により変換されやすくなる。また、これによって、第2副成長面X45からの新たな螺旋転位の発生も、より抑制しやすくなる。
[4.5. 具体例5]
図7(a)に、SiC種結晶の具体例5の断面図を示す。図7(b)に、SiC種結晶12eを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図7(a)において、SiC種結晶12eは、原料側の面が傾斜角の異なる4つの傾斜面X23、X34、X45、X56からなる。また、SiC種結晶12eは、{0001}面傾斜角β=0である、いわゆるオンセット基板である。{0001}面最上位部は、X4点である。X45面の副成長面傾斜角α1は、α1=θ1になっている。また、X56面の副成長面傾斜角α2は、α2=θ2である。X23面及びX34面は、それぞれ、X45面及びX56面と等価である。なお、以下にX45面及びX56面について主に説明するが、X23面及びX34面についてもこれらと同様である。X6点は、主成長面外周の内、X4点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX67面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X17面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面+X45面+X56面である。また、{0001}面最上位部X4点から主成長面外周のX6点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X45面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X56面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12eは、螺旋転位をほとんど含まない。そのため、X3面及びX45面の表面には、螺旋転位発生領域(図7(a)中、太線で表示)が形成されている。
SiC種結晶12eは、ベクトルpとベクトルqの方向が同じオンセット基板であるため、主成長面の中央部に螺旋転位発生領域を設けている。このようなSiC単結晶12eを用いて結晶を成長させると、図7(b)に示すように、螺旋転位発生領域中の螺旋転位が成長結晶中に引き継がれる。これにより、ファセット内に螺旋転位が供給され、異種多形の発生を抑制できる。また、第1副成長面X45のオフセット角θ1は小さいので、螺旋転位発生領域からの基底面内刃状転位の漏れ出しは抑制される。一方、第2副成長面X56のオフセット角θ2は、相対的に大きいので、種結晶中に螺旋転位が存在する場合には、これを基底面内刃状転位として成長結晶外に排出することができる。また、第2副成長面X56からの新たな螺旋転位の発生も抑制することができる。
[4.6. 具体例6]
図8(a)に、SiC種結晶の具体例6の断面図を示す。図8(b)に、SiC種結晶12fを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図8(a)において、SiC種結晶12fは、断面が矩形で、左上角に傾斜面X23が設けられている。また、SiC種結晶12fは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X2点である。X23面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X34面の副成長面傾斜角α2は、ゼロである。X4点は、主成長面外周の内、X2点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX45面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X15面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面である。また、{0001}面最上位部X2点から主成長面外周のX4点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X23面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X34面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12fは、所定量の螺旋転位を含むため、X23面の表面には、螺旋転位発生領域が形成されていない。
螺旋転位密度が数百個/cm2以上の結晶を種結晶に用いる場合には、少なくとも第1副成長面X23のオフセット角θ1を大幅に小さくする必要はなく、概ね20°以下に設定すればよい。これは、第1副成長面X23から転位が漏れ出しても、第2副成長面X34のオフセット角θ2がより大きいために、螺旋転位を成長結晶外に排出しやすいためである。
第2副成長面X34上の成長結晶中の螺旋転位密度を効率的に低減するためには、第2副成長面X34のオフセット角θ2は、20°以上の範囲において、より大きい方が良い。一方、主成長面内において極端にオフセット角の異なる領域を設けると、その境界部において亜粒界が形成されることがある。
例えば、螺旋転位密度が高い種結晶を用いて大幅に螺旋転位を低減する場合、θ1を20°とし、θ2は、種結晶の厚みの範囲と、亜粒界発生までの限界を考慮し、可能な限り大きくするのが好ましい。
一方、螺旋転位密度が低い結晶を種結晶に用いて少しずつ螺旋転位を低減する場合、又は、突発的に発生する螺旋転位を相殺し、品質維持を目的とする場合、θ1を比較的小さくし、θ2を20°以下にするのが好ましい。
このようなSiC種結晶12fを用いて結晶を成長させると、図8(b)に示すように、低オフセット角領域では、種結晶の螺旋転位がそのまま成長結晶に伝搬する。これによりファセット内に螺旋転位が供給され、異種多形の発生を抑制できる。一方、高オフセット角領域では、螺旋転位が基底面刃状転位に変換され、成長結晶外に排出されやすい。その結果、成長結晶中の螺旋転位密度が減少する。このような成長を複数回繰り返すと、ファセット部の螺旋転位密度が高く、高品質領域の螺旋転位密度が低い転位制御種結晶を作ることができる。
[4.7. 具体例7]
図9(a)に、SiC種結晶の具体例7の断面図を示す。図9(b)に、SiC種結晶12gを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図9(a)において、SiC種結晶12gは、断面が矩形で、左上角に傾斜角の異なる2つの傾斜面X23、X34面が設けられている。また、SiC種結晶12gは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X3点である。X34面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X45面の副成長面傾斜角α2は、ゼロである。X5点は、主成長面外周の内、X3点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX56面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X16面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面+X45面である。また、{0001}面最上位部X3点から主成長面外周のX5点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X34面であり、これが第1副成長面となる。第2副成長面は、X45面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12fは、所定量の螺旋転位を含むため、X34面の表面及びその近傍には、螺旋転位発生領域が形成されていない。
このようなSiC種結晶12gを用いて結晶を成長させると、図9(b)に示すように、低オフセット角領域では、種結晶の螺旋転位がそのまま成長結晶に伝搬する。これによりファセット内に螺旋転位が供給され、異種多形の発生を抑制できる。一方、高オフセット角領域では、螺旋転位が基底面刃状転位に変換され、成長結晶外に排出されやすい。その結果、成長結晶中の螺旋転位密度が減少する。このような成長を複数回繰り返すと、ファセット部の螺旋転位密度が高く、高品質領域の螺旋転位密度が低い転位制御種結晶を作ることができる。
また、SiC種結晶12gは、{0001}面最上位部X3が主成長面の内側になるように、傾斜面X23、X34が設けられている。そのため、これを用いて成長させると、図9(b)に示すように、成長結晶が径方向に拡大しても、c面ファセットが高密度の螺旋転位領域から外れるおそれが少ない。その結果、一時的な螺旋転位密度の低下に起因する異種多形の発生を抑制することができる。
[4.8. 具体例8]
図10(a)に、SiC種結晶の具体例8の断面図を示す。図10(b)に、SiC種結晶12hを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図10(a)において、SiC種結晶12hは、原料側の面が傾斜角の異なる2つの傾斜面X23、X34からなる。また、SiC種結晶12hは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X2点である。X23面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X34面の副成長面傾斜角α2は、α2>0である。X4点は、主成長面外周の内、X2点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX45面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X15面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面である。また、{0001}面最上位部X2点から主成長面外周のX4点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X2面であり、これが、第1副成長面である。第2副成長面は、X34面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12hは、所定量の螺旋転位を含むため、X23面の表面には、螺旋転位発生領域が形成されていない。
SiC種結晶12hは、α2>0であるため、第2副成長面X34のオフセット角θ2が図8(a)に示すSiC種結晶12fのθ2より大きくなっている。その結果、第2副成長面X34上に露出している螺旋転位が基底面内刃状転位により変換されやすくなる。また、これによって、第2副成長面X34からの螺旋転位の発生も、より抑制しやすくなる。
[4.9. 具体例9]
図11(a)に、SiC種結晶の具体例9の断面図を示す。図11(b)に、SiC種結晶12iを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図11(a)において、SiC種結晶12iは、原料側の面が傾斜角の異なる3つの傾斜面X23、X34、X45からなる。また、SiC種結晶12iは、{0001}面傾斜角β>0である、いわゆるオフセット基板である。{0001}面最上位部は、X3点である。X34面の副成長面傾斜角α1は、α1≦βになっている。また、X45面の副成長面傾斜角α2は、α2>0である。X5点は、主成長面外周の内、X3点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX56面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X16面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34面+X45面である。また、{0001}面最上位部X3点から主成長面外周のX5点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X34面であり、これが、第1副成長面である。第2副成長面は、X45面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12iは、所定量の螺旋転位を含むため、X34面の表面及びその近傍には、螺旋転位発生領域が形成されていない。
SiC種結晶12iは、α2>0であるため、第2副成長面X34のオフセット角θ2が図9(a)に示すSiC種結晶12gのθ2より大きくなっている。その結果、第2副成長面X45上に露出している螺旋転位が基底面内刃状転位に変換されやすくなる。また、これによって、第2副成長面X45からの螺旋転位の発生を抑制することができる。
また、SiC種結晶12iは、{0001}面最上位部X3が主成長面の内側になるように、傾斜面X23、X34が設けられている。そのため、これを用いて成長させると、図11(b)に示すように、成長結晶が径方向に拡大しても、c面ファセットが螺旋転位領域から外れるおそれが少ない。その結果、一時的な螺旋転位密度の低下に起因する異種多形の発生を抑制することができる。
[4.10. 具体例10]
図12(a)に、SiC種結晶の具体例10の断面図を示す。図12(b)に、SiC種結晶12jを用いて成長させたSiC単結晶の断面図を示す。
図12(a)において、SiC種結晶12jは、原料側の面が傾斜角の異なる4つの傾斜面X23、X34、X45、X56からなる。また、SiC種結晶12jは、{0001}面傾斜角β=0である、いわゆるオンセット基板である。{0001}面最上位部は、X4点である。X45面の副成長面傾斜角α1は、α1=θ1になっている。また、X56面の副成長面傾斜角α2は、α2=θ2である。X23面及びX34面は、それぞれ、X45面及びX56面と等価である。なお、以下にX45面及びX56面について主に説明するが、X23面及びX34面についてもこれらと同様である。X6点は、主成長面外周の内、X4点からの距離が最も長い点であると同時に、{0001}面最下位部でもある。
12面及びX67面は、その法線ベクトルが、それぞれベクトルqと垂直である。また、X17面は、坩堝14又は種結晶台座18に接する面である。従って、主成長面は、X23面+X34+X45面+X56面である。また、{0001}面最上位部X4点から主成長面外周のX6点に向かう方向は、複数個の副成長面を有する方向(主方向)となる。主方向に沿って存在する副成長面の内、{0001}面最上位部を含む副成長面は、X45面であり、これが、第1副成長面である。第2副成長面は、X56面であり、θ1<θ2になっている。
SiC種結晶12iは、所定量の螺旋転位を含むため、X3面及びX45面の表面には、螺旋転位発生領域が形成されていない。
SiC種結晶12jは、ベクトルpとベクトルqの方向が同じオンセット基板である。このようなSiC単結晶12jを用いて結晶を成長させると、図12(b)に示すように、X34面及びX45面上の螺旋転位が成長結晶中に引き継がれる。これによりファセット内に螺旋転位が供給され、異種多形の発生を抑制できる。一方、第2副成長面X56のオフセット角θ2は、相対的に大きいので、種結晶中に存在する螺旋転位を基底面内刃状転位として成長結晶外に排出することができる。
[4.11. 具体例11]
図13(a)〜図13(d)に、主成長面の形態のバリエーション(種結晶の底面図)を示す。また、図13(e)〜図13(g)に、主成長面の加工法の一例を示す。
図13(a)は、主成長面が平面で構成されている例である。この場合、低オフセット角領域(ハッチングを施した領域)及び高オフセット角領域(ハッチングを施していない領域)は、いずれも3平面で構成されている。
図13(b)は、同じく、主成長面が平面で構成されている例である。この場合、低オフセット角領域(ハッチングを施した領域)は3平面で構成され、高オフセット角領域(ハッチングを施していない領域)は、6平面で構成されている。
種結晶がオンセット基板である場合、{0001}面最上位部は、図13(a)及び図13(b)中の白丸の位置となる。また、{0001}面最下位部は、図13(a)及び図13(b)中の黒丸の位置となる。
主成長面が平面で構成される種結晶は、図13(e)に示すように、種結晶をz軸周りに段階的に回転させ、かつ、種結晶をx軸又はy軸周りに段階的に回転させながら、研削砥石で結晶の表面を研削することにより製造することができる。
主成長面を構成する平面の数が多くなるほど、加工に手間がかかる。しかしながら、種結晶の周囲の高低差を小さくすることで、種結晶周辺部の成長速度を一定にすることができる。
図13(c)は、主成長面が曲面で構成されている例である。この場合、低オフセット角領域(ハッチングを施した領域)及び高オフセット角領域(ハッチングを施してない領域)は、いずれも1曲面で構成されている。
図13(d)は、同じく、主成長面が曲面で構成されている例である。この場合、低オフセット領域(ハッチングを施した領域)及び高オフセット角領域(ハッチングを施していない領域)には、明瞭な境界がなく、主成長面全体が1曲面で構成されている。
種結晶がオンセット基板である場合、{0001}面最上位部は、図13(c)及び図13(d)中の白丸の位置となる。また、{0001}面最下位部は、基板の外周全部(図13(c)及び図13(d)中、太線で表示)となる。
主成長面が複数個の曲面で構成される種結晶は、図13(f)に示すように、種結晶をz軸周りに連続的に回転させ、かつ、種結晶をx軸又はy軸周りに段階的に回転させながら、研削砥石で結晶の表面を研削することにより製造することができる。
また、主成長面が1個の曲面で構成される種結晶は、図13(g)に示すように、種結晶をz軸周りに連続的に回転させ、かつ、種結晶をx軸又はy軸周りに連続的に回転させながら、研削砥石で結晶の表面を研削することにより製造することができる。
主成長面を曲面で構成すると、種結晶周辺部の高低差をなくすことができる。また、3次元的な曲面加工は加工装置が複雑になり、表面のダメージを除去する処理(例えば、エッチング処理、犠牲酸化など)が必要になる。しかしながら、亜粒界形成防止としては、理想的な形状である。
なお、図13には、円形の種結晶を例として図示したが、このような加工方法は、方形の種結晶にも適用できる。
[4.11. 具体例12]
図14に、主成長面の形態のバリエーション(種結晶の底面図)を示す。図14(a)〜図14(c)は、簡略化されているが、主成長面は平面又は曲面のいずれで構成されていても良く、主成長面の加工方法には種々の方法(図13参照)を用いることができる。
図14(a)の種結晶は、低オフセット角領域(ハッチング領域)が主成長面の中央にあり、{0001}面最上位部(白丸で表示)が主成長面の中央にあり、{0001}面最下位部(黒丸で表示)が主成長面の周辺部の1箇所になっている。{0001}面傾斜角βがβ>0であり、かつ、主成長面の中心部を凸形状にした場合に、この様な構成になりうる。
図14(b)の種結晶は、低オフセット角領域(ハッチング領域)が主成長面の中心より外側にあり、{0001}面最上位部(白丸で表示)が低オフセット角領域の中心より外側にあり、{0001}面最下位部(黒丸で表示)が主成長面の周辺部の1箇所になっている。{0001}面傾斜角βがβ>0であれば、このような構成になりうる。
図14(c)の種結晶は、低オフセット角領域(ハッチング領域)が主成長面の中央にあり、{0001}面最上位部(白丸で表示)が低オフセット角領域の端部に位置し、{0001}面最下位部が種結晶の周囲全体(太線で表示)になっている。これは、種結晶がオンセット基板である場合において、低オフセット角領域を1つの平面にし、坩堝中心軸原料方向に対して垂直な面から傾けると、このような構成になる。
上述したいずれの場合においても、低オフセット各領域では、他の部分よりも螺旋転位がそのまま成長結晶に引き継がれやすい。その結果、螺旋転位の分布形成と異種多形抑制効果が認められる。
[5. SiC単結晶の製造方法の作用]
図15に、繰り返しa面成長法+c面成長法を用いたSiC単結晶の製造方法の工程図を示す。
一般に、c面成長法により得られるSiC単結晶70は、c軸とほぼ並行な方向に多数の螺旋転位72が導入されている(図15(a))。このようなSiC単結晶70から、a面を成長面とする種結晶74aを切り出すと、成長面には、部分的に螺旋転位72a、72a…が露出する(図15(b))。
このような種結晶74aを用いて、SiCをa面成長させると、螺旋転位をほとんど含まないSiC単結晶76aが得られる(図15(c))。しかしながら、得られたSiC単結晶76aは、部分的露出した螺旋転位72aなどから成長した多数の積層欠陥78、78…や基底面内の転位(積層欠陥の端部や、その他の基底面内の転位(図示せず))を含んでいる。
次に、得られたSiC単結晶76aから、前回の成長面として用いたa面に対してほぼ90°傾いたa面を成長面とする種結晶74bを切り出すと、成長面には、部分的に積層欠陥78、78…が露出する(図15(d))。
このような種結晶74bを用いて、SiCをa面成長させると、前回のa面成長と同様に、螺旋転位をほとんど含まないSiC単結晶76bが得られる(図15(e))。しかも、得られたSiC単結晶76bの基底面内の転位(積層欠陥78の端部や、その他の基底面内の転位(図示せず))の密度は、直前のa面成長後に比べて低くなっている。
所定回数のa面成長を繰り返した後、SiC単結晶76b(又は76a)から、c面に対するオフセット角が所定の範囲にある成長面を持つ種結晶74cを切り出す(図15(f))。この場合、成長面の表面には、積層欠陥78、78…が露出している。
このような種結晶74cを用いて、SiCをc面成長させると、成長面に露出した露出した積層欠陥78、78…が、c面とほぼ並行に成長し、やがて成長中のSiC単結晶76cの側面に抜ける。それ以降は、螺旋転位密度及び積層欠陥密度の低い健全な単結晶が成長する(図15(g))。
しかしながら、a面成長を繰り返したSiC単結晶から切り出した種結晶74cを用いた場合であっても、螺旋転位が発生することがある。これは、以下の理由によると考えられる。
すなわち、図16(a)〜(c)に示すように、SiC単結晶の成長においては、成長の最先端であるc面ファセット内に、種結晶の多形(例えば、4H−SiC)を成長方向に引き継ぐ働きをする螺旋転位が存在している必要がある。
しかしながら、図16(d)〜(f)に示すように、螺旋転位を含まない高品質な種結晶を用いた場合、c面ファセット内に成長基点となる螺旋転位がない。その結果、多くの場合、成長途中で異種多形(例えば、6H−SiC)が発生する。異種多形が発生すると、4H−SiCとの間に歪みが発生し、螺旋転位を発生させる原因となる。また、これによって、成長結晶全体の品質が著しく低下する。
この問題を解決するために、a面成長を繰り返した後、c面成長させる際に、種結晶のオフセット方向上流部に螺旋転位発生領域を形成する方法が提案され、異種多形の混入がなく、従来に比べて転位密度が極めて低い結晶を成長できるようになった。しかしながら、螺旋転位密度を低減した種結晶に螺旋転位発生領域を形成すると、螺旋転位発生領域から成長結晶の高品質領域に螺旋転位が漏れ出す場合がある。これは、螺旋転位発生領域の欠陥や螺旋転位の一部が基底面内刃状転位に変換され、基底面内刃状転位が高品質領域に漏れ出し、再び螺旋転位に再変換されるためである。
この基底面内刃状転位の漏れ出しは、オフセット角が大きいほど多くなる。従って、オフセット角を小さくすれば、基底面内刃状転位の漏れ出しを抑制することができる。
しかしながら、オフセット角を小さくすると、成長に伴い、ファセットが成長結晶の中心方向に拡大しやすくなる。螺旋転位発生領域上から外れたファセットの部分においては、ステップ供給源である螺旋転位が不足し、異種多形が発生しやすくなる。これを避けるために、螺旋転位発生領域を大きくすると、異種多形は発生しにくくなるが、高品質領域が縮小する。
これに対し、SiC種結晶の主成長面のオフセット角を部分的に変化させると、成長結晶内において、螺旋転位や基底面内刃状転位の漏れ出しを抑制したり、螺旋転位密度分布を制御することができる。
すなわち、第1副成長面のオフセット角θ1を相対的に小さくすると、第1副成長面上又はその近傍に露出している種結晶中の螺旋転位は、ほぼ成長結晶に引き継がれる。その結果、第1副成長上又はその近傍にあるc面ファセット内に螺旋転位を確実に供給することができ、これによって、成長結晶中での異種多形や異方位結晶の発生が抑制される。また、オフセット角θ1をより小さくすることで、螺旋転位や基底面内刃状転位の漏れ出しをほぼ完全に抑制できる。
一方、第2〜第n副成長面のオフセット角θ2〜θnを相対的に大きくすると、第2〜第n副成長面上に露出している種結晶中の螺旋転位は、成長結晶にそのまま引き継がれる確率が小さくなり、基底面刃状転位に変換されやすくなる。基底面刃状転位は、そのままオフセット方向の下流側に流れやすい性質を持つ。その結果、第n副成長面上又はその近傍にある副成長面上の成長結晶中の螺旋転位密度を低減することができる。また、新たな螺旋転位の発生を抑制しやすくなる。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. SiC種結晶の作製]
a面成長を繰り返すことで、転位密度を低減し、螺旋転位もほとんど含まないSiC単結晶を作製した。このSiC単結晶から、図3(a)に示すSiC種結晶12aを作製した。θ1、θ2、螺旋転位発生領域(X23面)の面積率S4/S1を下記のように設定した。
(1)θ1=4°、θ2=15°、S4/S1=10%
(2)θ1=4°、θ2=10°、S4/S1=20%
(3)θ1=4°、θ2= 8°、S4/S1=20%
(4)θ1=2°、θ2=15°、S4/S1=10%
(5)θ1=2°、θ2= 6°、S4/S1=30%
(6)θ1=2°、θ2= 4°、S4/S1=30%
[1.2. SiC単結晶の作製]
得られたSiC種結晶を用いて、SiC単結晶の成長を行った。
[2. 結果]
主成長面の大部分のオフセット角が大きいので、c面ファセットは、螺旋転位発生領域上に維持され、異種多形は発生しなかった。成長終了後、成長結晶の断面を切り出し、X線トポグラフにより結晶中の転位の挙動を調べた。その結果、螺旋転位発生領域からの基底面刃状転位の漏れ出しが抑制され、{0001}面最下位側の成長結晶には、螺旋転位がほとんど含まれていないことがわかった。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
[1.1. SiC種結晶の作製]
a面成長を繰り返すことで、転位密度を低減し、螺旋転位もほとんど含まないSiC単結晶を作製した。このSiC単結晶から、図7(a)に示すSiC種結晶12eを作製した。θ1、θ2、螺旋転位発生領域(X34面+X45面)の面積率S4/S1を以下のように設定した。
(1)θ1=4°、θ2=15°、S4/S1=10%
(2)θ1=4°、θ2=10°、S4/S1=20%
(3)θ1=4°、θ2= 8°、S4/S1=20%
[1.2. SiC単結晶の作製]
得られたSiC種結晶を用いて、SiC単結晶の成長を行った。
[2. 結果]
主成長面の大部分のオフセット角が大きいので、c面ファセットは、螺旋転位発生領域上に維持され、異種多形は発生しなかった。成長終了後、成長結晶の断面を切り出し、X線トポグラフにより結晶中の転位の挙動を調べた。その結果、螺旋転位発生領域からの基底面刃状転位の漏れ出しが抑制され、{0001}面最下位側の成長結晶には、螺旋転位がほとんど含まれていないことがわかった。
(実施例3)
[1. 試料の作製]
[1.1. SiC種結晶の作製]
螺旋転位密度nsがおよそ10、100又は1000個/cm2であるSiC単結晶から、図8(a)に示すSiC種結晶12fを作製した。θ1、θ2、低オフセット角領域(X23面)の面積率S3/S1を以下のように設定した。
(1) ns=1000個/cm2、θ1=20°、θ2=50°、S3/S1= 5%
(2) ns=1000個/cm2、θ1=20°、θ2=40°、S3/S1= 5%
(3) ns=1000個/cm2、θ1=20°、θ2=30°、S3/S1=10%
(4) ns= 100個/cm2、θ1=10°、θ2=30°、S3/S1=10%
(5) ns= 100個/cm2、θ1=10°、θ2=20°、S3/S1=10%
(6) ns= 100個/cm2、θ1= 8°、θ2=30°、S3/S1=10%
(7) ns= 100個/cm2、θ1= 8°、θ2=12°、S3/S1=10%
(8) ns= 10個/cm2、θ1= 4°、θ2=20°、S3/S1=10%
(9) ns= 10個/cm2、θ1= 4°、θ2= 8°、S3/S1=20%
(10)ns= 10個/cm2、θ1= 2°、θ2=20°、S3/S1=10%
(11)ns= 10個/cm2、θ1= 2°、θ2= 8°、S3/S1=20%
[1.2. SiC単結晶の作製]
得られたSiC種結晶を用いて、SiC単結晶の成長を行った。
[2. 結果]
低オフセット角領域にc面ファセットが維持され、異種多形の発生を抑制しながら結晶を成長させることができた。成長終了後、成長結晶の断面を切り出し、X線トポグラフにより結晶中の転位の挙動を調べた。その結果、種結晶中の螺旋転位の内、高オフセット角領域側の螺旋転位は、その内の一定割合が{0001}面下流側への基底面刃状転位に変換され、成長結晶外に排出されることが分かった。変換割合は、この領域のオフセット角が大きいほど高くなった。
一方、低オフセット角領域の螺旋転位の変換割合は、高オフセット角領域に比べて大幅に小さかった。繰り返し成長する過程において、成長後に成長結晶中の螺旋転位密度を測定し、得られた螺旋転位密度によってオフセット角の大きさを設定すると、より効率的に螺旋転位を低減することができた。
(実施例4)
[1. 試料の作製]
[1.1. SiC種結晶の作製]
螺旋転位密度nsがおよそ10、100又は1000個/cm2であるSiC単結晶から、図12(a)に示すSiC種結晶12jを作製した。θ1、θ2、低オフセット角領域(X34面+X45面)の面積率S3/S1を以下のように設定した。
(1)ns=1000個/cm2、θ1=20°、θ2=40°、S3/S1= 5%
(2)ns= 100個/cm2、θ1=10°、θ2=20°、S3/S1=10%
(3)ns= 10個/cm2、θ1= 4°、θ2=20°、S3/S1=10%
(4)ns= 10個/cm2、θ1= 2°、θ2=20°、S3/S1=10%
[1.2. SiC単結晶の作製]
得られたSiC種結晶を用いて、SiC単結晶の成長を行った。
[2. 結果]
低オフセット角領域にc面ファセットが維持され、異種多形の発生を抑制しながら結晶を成長させることができた。成長終了後、成長結晶の断面を切り出し、X線トポグラフにより結晶中の転位の挙動を調べた。その結果、種結晶中の螺旋転位の内、高オフセット角領域側の螺旋転位は、その内の一定割合が{0001}面下流側への基底面刃状転位に変換され、成長結晶外に排出されることが分かった。変換割合は、この領域のオフセット角が大きいほど高くなった。
一方、低オフセット各領域の螺旋転位の変換割合は、高オフセット角領域に比べて大幅に小さかった。これにより、異種多形が抑制されたと考えられる。
(比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. SiC種結晶の作製]
a面成長を繰り返すことで、転位密度を低減し、螺旋転位もほとんど含まないSiC単結晶を作製した。このSiC単結晶から一定のオフセット角θ=8°のSiC種結晶を作製し、成長面の20%の領域に螺旋転位発生領域を設けた。
[1.2. SiC単結晶の作製]
得られた種結晶を用いて、SiC単結晶の成長を行った。
[2. 結果]
主成長面の大部分のオフセット角が大きいので、c面ファセットは螺旋転位発生領域上に維持され、異種多形は発生しなかった。成長結晶の断面を切り出し、X線トポグラフにより結晶中の転位の挙動を調べた。その結果、螺旋転位発生領域から{0001}面最下位側の成長結晶に基底面刃状転位が漏れ出し、これから螺旋転位に再変換しているものが存在しているのが確認された。
(比較例2)
[1. 試料の作製]
[1.1. SiC種結晶の作製]
螺旋転位密度が100個/cm2であるSiC単結晶から一定のオフセット角θ=30°のSiC種結晶を作製した。
[1.2. SiC単結晶の作製]
得られた種結晶を用いて、SiC単結晶の成長を行った。
[2. 結果]
主成長面の大部分のオフセット角が大きいので、c面ファセットは成長結晶の端部に維持されたが、異種多形が発生することがあり、その場合に成長結晶表面にはマイクロパイプが多く観察された。成長結晶の断面を切り出し、X線トポグラフにより結晶中の転位の挙動を調べた。その結果、種結晶内の螺旋転位の一定割合が、基底面内刃状転位に変換されているのが確認された。また、オフセット方向上流部において、螺旋転位の密度が局所的に少ない領域があり、そこを起点として異種多形が発生していることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、超低電力損失パワーデバイスの半導体材料として使用することが可能なSiC単結晶の製造方法として用いることができる。
12 SiC種結晶
14 坩堝
16 原料

Claims (19)

  1. 以下の構成を備えたSiC種結晶を用いて、前記SiC種結晶の表面に新たな結晶を成長させる第1成長工程を備えたSiC単結晶の製造方法。
    (1)前記SiC種結晶は、複数個の副成長面からなる主成長面を備えている。
    但し、「前記主成長面」とは、前記SiC種結晶の露出面の内、その法線ベクトルが坩堝中心軸原料方向成分を有する面をいう。
    (2)前記SiC種結晶の主成長面上にある{0001}面最上位部から前記主成長面の外周に向かう任意の方向の中に、複数個の前記副成長面を有する方向(主方向)が存在する。
    (3)前記主方向に沿って、{0001}面最上位部側から外周に向かって存在する前記副成長面を、順次、第1副成長面、第2副成長面、…第n副成長面(n≧2)とする場合、第k副成長面(1≦k≦n−1)のオフセット角θkと第(k+1)副成長面のオフセット角θk+1との間に、θk<θk+1の関係が成り立つ。
  2. 前記主方向は、{0001}面最上位部から前記主成長面の外周部までの距離が最も大きくなる方向である請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記主方向は、{0001}面最上位部から{0001}面最下位部に向かう方向である請求項1又は2に記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. 前記第1副成長面のオフセット角θ1は、20°以下である請求項1から3までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  5. 前記第n副成長面のオフセット角θnは、20°以上70°以下である請求項1から4までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  6. 前記坩堝中心軸原料方向ベクトルと、前記SiC種結晶の{0001}面法線ベクトルとのなす角を{0001}面傾斜角βと定義した場合において、
    前記{0001}面傾斜角βは、30°以下である請求項1から5までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  7. 前記主成長面又は前記副成長面を前記坩堝中心軸原料方向に垂直な平面に投影した面積を投影面積と定義し、坩堝中心軸方向ベクトルと前記副成長面の法線ベクトルとのなす角を副成長面傾斜角αと定義した場合において、
    前記主成長面の投影面積S1に対する、前記副成長面傾斜角αが30°以下である前記副成長面の投影面積の総和(S2)の割合(=S2×100/S1)は、50%以上である請求項1から6までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  8. 前記主成長面又は前記副成長面を前記坩堝中心軸原料方向に垂直な平面に投影した面積を投影面積と定義した場合において、
    前記主成長面の投影面積S1に対する、オフセット角θが20°以下である前記副成長面の投影面積の総和S3の割合(=S3×100/S1)は、50%以下である請求項1から7までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  9. 前記主成長面は、平面からなる有限個の前記副成長面で構成されている請求項1から8までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  10. 前記第1副成長面のオフセット角θ1と前記第n副成長面のオフセット角θとの差は、2°以上である請求項1から9までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  11. 前記第k副成長面のオフセット角θkと、前記第(k−1)副成長面のオフセット角θk-1との差は、30°以下である請求項1から10までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  12. 前記主成長面の内、オフセット角が20°以下である領域のいずれかに、前記SiC種結晶よりも高密度に螺旋転位を発生可能な螺旋転位発生領域を有する請求項1から11までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  13. 前記主成長面又は前記螺旋転位発生領域を前記坩堝中心軸原料方向に垂直な平面に投影した面積を投影面積と定義した場合において、
    前記主成長面の投影面積S1に対する、前記螺旋転位発生領域の投影面積S4の割合(=S4×100/S1)は、50%以下である請求項12に記載のSiC単結晶の製造方法。
  14. 前記螺旋転位発生領域は、前記主成長面の内、オフセット角が4°以下である領域に形成されている請求項12又は13に記載のSiC単結晶の製造方法。
  15. 前記SiC種結晶は、成長面のオフセット角が60°から90°の範囲になるように切り出した種結晶を用いて成長させた単結晶から切り出されている請求項12から14までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  16. 前記SiC種結晶は、前記第n副成長面のオフセット角θnが4°以上30°以下である請求項15に記載のSiC単結晶の製造方法。
  17. 前記第1成長工程で得られたSiC単結晶から、請求項1から16までのいずれかに記載のSiC種結晶を新たに切り出し、新たに切り出された前記SiC種結晶を用いて、SiC単結晶を成長させる再成長工程を1回以上繰り返す第2成長工程をさらに備えた請求項1から16までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  18. 前記第2成長工程は、m回目の前記再成長工程で用いた前記SiC種結晶の第n副成長面のオフセット角θ(m)nを、(m−1)回目の前記再成長工程で用いた前記SiC種結晶の第n副成長面のオフセット角θ(m-1)nに比べて小さくする請求項17に記載のSiC単結晶の製造方法。
  19. 前記第2成長工程は、m回目の前記再成長工程の前記第1副成長面のオフセット方向が、(m−1)回目の前記再成長工程のオフセット方向に対し、{0001}面内において45°〜135°の範囲にある請求項17又は18に記載のSiC単結晶の製造方法。
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