JP7038756B2 - SiCウェハ及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

SiCウェハ及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、SiCウェハ及び半導体デバイスの製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きい、バンドギャップが3倍大きい、また、熱伝導率が3倍程度高いという優れた特性を有する。そのためSiCは、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。近年、上記のような半導体デバイスにSiCウェハが用いられるようになっている。
SiCエピタキシャルウェハは、SiCエピタキシャル膜を形成する基板としてSiCインゴットから加工したSiCウェハを用い、通常、この上に化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)によってSiC半導体デバイスの活性領域となるSiCエピタキシャル膜を成長させることによって製造する。
またSiCインゴットは、SiCシードを成長させて得る。SiCインゴットは、欠陥や異種多形の少ない高品質なものが求められており、その成長起点となるSiCシードは、欠陥や異種多形を制御できるものが求められている。
以前は、貫通螺旋転位、貫通刃状転位、基底面転位等の転位は10個/cm以上と無数に存在していた。またキラー欠陥となるこれらのマイクロパイプを無くしていくことが主な課題であった。しかしながら、近年の技術向上により、マイクロパイプはほぼ存在せず、転位についても10個/cm以下のSiCウェハを作製することが可能となってきた。特に螺旋転位については、a面成長を繰り返すRAF法(repeated a-face method)等の手法で作製したシードを用いて結晶成長を行うことで、螺旋転位密度が10個/cm以下のSiCウェハが得られることも確認されている(非特許文献1)。しかしながら、螺旋転位密度が極めて小さくなることにより、異種多形発生という別の問題が生じている。
多形とは、SiCの結晶構造の違いを意味する。SiCは、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiC等の多形を有している。これらの多形はc面方向(<0001>方向)から見た際の最表面構造としては、違いがない。そのため、c面方向に結晶成長する際に異なる多形(異種多形)に変化するという問題がある。
これに対し、a面方向(<11-20>方向)から見た際の最表面構造として、多形は違いを有する。そのため、a面方向への成長では、このような多形の違いを引き継ぐことができる。すなわち、a面方向への成長では異種多形が発生しにくい。
そこで、成長面をc面からわずかにずれた面とし、異種多形の発生を抑制することが行われている。成長面をc面からずらすことにより、原子ステップ(原子面の段差)からの横方向の成長(ステップフロー成長)が起こり、多形が保存される。
しかしながら、結晶成長を進めるにつれ、結晶の最表面の一部には、必ずc面と平行な面が表出する。c面と平行で、成長面に表出した部分をc面ファセットと言う。c面ファセットは、c面と平行なため結晶成長の様式が異なる。成長後のSiC単結晶内において、異なる成長様式で成長した部分をファセット成長領域という。
c面ファセットにおける結晶成長は、c面方向への結晶成長である。そのため、上述のように螺旋転位密度が極めて少ないSiC単結晶上に結晶成長を行うと、島状成長が起こり、多形を引き継ぐことができずに異種多形が発生してしまう。
一方で、c面ファセットに螺旋転位が存在する又は成長直後に螺旋転位に変換される螺旋転位発生起点が存在すると、螺旋転位を起点とした螺旋成長が生じる。螺旋成長では、螺旋部がステップを形成するため、a面方向への成長を可能とし、多形を引き継ぐことができる。
すなわち、多形を維持するためにc面ファセットにはある程度の螺旋転位又は螺旋転位発生起点が必要であり、そのための手法が求められている。
例えば、特許文献1には、{0001}面よりオフセット角度60度以内の面を成長面として有し、成長面上に螺旋転位発生可能領域を有する転位制御種結晶を用いて、SiCを成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法が開示されている。
特許文献1に記載の螺旋転位発生領域を有する転位制御種結晶を用いた炭化ケイ素単結晶の製造方法を用いることにより、c面ファセット内に螺旋転位を確実に形成することができ、異種多形や異方位結晶の生成を抑制することができる。
また特許文献2には、種結晶の成長端面が所定の曲率を持つ凸形状を有することで、成長過程において渦巻き成長を行うc面ファセット領域を形成することが記載されている。
特開2004-323348号公報 特許第5171571号公報
Yasushi Urakami et al.,Materials Science Forum(2012),717-720,9
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、以下の3つの問題を解決することができない。第1の問題は「極めて螺旋転位密度が小さいシードを用いて結晶成長させる場合に、異種多形の発生を十分抑制することができない」という問題であり、第2の問題は「導入した螺旋転位が、最終製品の半導体デバイスの品質劣化の原因となる」という問題であり、第3の問題は「低コスト化を目指して長尺成長させた際に、異種多形を十分抑制できない」という問題である。
特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、成長の初期段階に形成されるファセット成長領域内に螺旋転位を確実に入れることはできないと考え、異種多形が発生しうるファセット成長領域の面積をできるだけ小さくすること(点、または線)で、成長初期の異種多形防止を試みていた。この場合、ファセット成長領域が徐々に広がり螺旋転位が導入されるまでの間に異種多形が発生しなければ、異種多形のない成長が実施できる。しかし、成長の極初期段階で異種多形はどうしてもある確率で発生してしまう。すなわち、上述の第1の問題を解決することができない。
第1の問題に対する対策として、極めて高密度(数千個/cm~)に螺旋転位をファセット成長領域内に導入することが考えられる。高密度の螺旋転位が導入されれば、成長初期における異種多形発生確率を減らすことができる。しかしながら、高密度な螺旋転位を導入すると、転位がオフセット下流方向に流出し、多数の欠陥を生み出す。すなわち、上述の第2の問題が生じる。
また第1の問題と第2の問題を同時に解決するために、c面ファセットに導入する螺旋転位の最適密度を見出すということも考えられる。しかしながら、最適密度を見出したとしても、SiCインゴットの長尺化に対応し得ないという第3の問題がある。螺旋転位は、結晶成長が進むにつれて異符号の螺旋転位が互いに引き合い結合して消滅したり、基底面の欠陥に変換されたりするため、結晶成長と共に螺旋転位密度が少なくなる。すなわち、成長初期の螺旋転位密度が最適であったとしても、成長後半には螺旋転位密度が充分でなく異種多形が生じるという問題が生じる。これと反対に、成長後半に最適条件となるように螺旋転位密度に設定すると、成長初期の螺旋転位密度が高すぎて、第2の問題が生じてしまう。
このようにこれら3つの問題は、互いにトレードオフの関係にあり、すべてを同時に満たすことができないという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、3つの問題を同時に解決できるSiCシード、SiCインゴット及びSiCウェハを提供することを目的とする。
本発明者らは、SiCウェハから半導体デバイスを作製する際に、SiCウェハを分断しチップ化する点に注目した。そして、螺旋転位をチップ化する際のダイシングラインに沿って導入することで、切断後に得られる半導体デバイス内の実質的な品質を高めることができることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様に係るSiCシードは、{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも2°未満である初期ファセット形成面を備え、少なくとも前記初期ファセット形成面に、第1の方向に延在する第1の螺旋転位発生ラインを有する。
(2)上記(1)に記載のSiCシードにおいて、{0001}面に対し2°以上20°以下のオフセット角を有する主面をさらに有してもよい。
(3)上記(1)または(2)のいずれかに記載のSiCシードにおいて、前記第1の螺旋転位発生ラインが複数あり、複数の前記第1の螺旋転位発生ラインが、所定の間隔で周期的に配列していてもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のSiCシードにおいて、前記第1の方向が、{1-100}面と平行な方向または{11-20}面と平行な方向のいずれかであってもよい。
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のSiCシードにおいて、前記初期ファセット形成面に、第1の方向と交差する第2の方向に延在する第2の螺旋転位発生ラインをさらに有してもよい。
(6)上記(5)に記載のSiCシードにおいて、前記第2の方向が、前記第1の方向と直交していてもよい。
(7)上記(5)または(6)のいずれかに記載のSiCシードにおいて、前記第2の螺旋転位発生ラインが複数あり、複数の前記第2の螺旋転位発生ラインが、所定の間隔で周期的に配列していてもよい。
(8)上記(1)~(7)のいずれか一つに記載のSiCシードにおいて、前記第1の螺旋転位発生ライン及び/または前記第2の螺旋転位発生ラインの占める面積率が50%以下であってもよい。
(9)本発明の一態様に係るSiCインゴットは、上記(1)~(8)のいずれか一つに記載のSiCシードと、前記SiC単結晶シード上に成長した成長部と、を備え、前記成長部は、前記SiCシードの前記初期ファセット形成面から成長方向全域に渡ってファセット成長領域を有し、前記ファセット成長領域が、前記第1の螺旋転位発生ラインからSiCの成長方向に延在する第1の螺旋転位密集部を有する。
(10)上記(9)に記載のSiCインゴットにおいて、前記SiCシードが、第1の方向と交差する第2の方向に延在する第2の螺旋転位発生ラインを有し、前記ファセット成長領域が、前記第2の螺旋転位発生領域からSiCの成長方向に延在する第2の螺旋転位密集部を有してもよい。
(11)上記(9)又は(10)のいずれかに記載のSiCインゴットにおいて、前記ファセット成長領域の最表面のc面ファセットと、前記SiCシードの初期ファセット形成面と、が、前記c面ファセットに対して直交する方向から平面視した際に、少なくとも一部で重なっていてもよい。
(12)上記(9)~(11)のいずれか一つに記載のSiCインゴットにおいて、前記成長部のc軸方向の厚みが30mm以上であってもよい。
(13)本発明の一態様に係るSiCウェハは、少なくとも一部にファセット成長痕を有し、前記ファセット成長痕は、第1の方向に延在する第1の螺旋転位密集ラインを有する。
(14)上記(13)に記載のSiCウェハにおいて、前記第1の螺旋転位密集ラインが複数あり、複数の前記第1の螺旋転位密集ラインが、所定の間隔で周期的に配列していてもよい。
(15)上記(13)又は(14)のいずれかに記載のSiCウェハにおいて、前記第1の方向が、{1-100}面と平行な方向または{11-20}面と平行な方向であってもよい。
(16)上記(13)~(15)のいずれか一つに記載のSiCウェハにおいて、前記ファセット成長痕が、第1の方向と交差する第2の方向に延在する第2の螺旋転位密集ラインをさらに有してもよい。
(17)上記(16)に記載のSiCウェハにおいて、前記第2の方向が、前記第1の方向と直交してもよい。
(18)上記(16)または(17)のいずれかに記載のSiCウェハにおいて、前記第2の螺旋転位密集ラインが複数あり、複数の前記第2の螺旋転位密集ラインが、所定の間隔で周期的に配列していてもよい。
(19)上記(13)~(18)のいずれか一つに記載のSiCウェハにおいて、前記第1の螺旋転位密集ライン及び/または前記第2の螺旋転位密集ラインの占める面積率が50%以下であってもよい。
(20)上記(13)~(19)のいずれか一つに記載のSiCウェハにおいて、ダイシング予定領域と、ダイシング予定領域に囲まれたデバイス作製領域と、前記ダイシング予定領域と前記デバイス作製領域とに挟まれた外周領域を有し、前記ダイシング予定領域の少なくとも一部は、前記第1の螺旋転位密集ラインと一致し、前記外周領域は、前記デバイス作製領域よりも螺旋転位密度が大きくてもよい。
(21)本発明の一態様に係る半導体デバイスは、デバイスとして駆動するアクティブ領域と、前記アクティブ領域を囲む外周領域を有し、前記外周領域の螺旋転位密度は、前記アクティブ領域の螺旋転位密度よりも大きい。
(22)本発明の一態様に係る半導体デバイスの製造方法は、上記(13)~(20)のいずれか一つに記載のSiCウェハを準備する工程と、前記SiCウェハの第1の螺旋転位密集ライン及び/または第2の螺旋転位密集ラインに沿って、前記SiCウェハを分断する工程と、を有する。
本発明の一態様に係るSiCシードは、所定の位置に螺旋転位発生ラインを有する。そのため、所定の位置に螺旋転位密集ラインを有するSiCウェハを得ることができる。このSiCウェハの螺旋転位密集ラインに沿ってダイシングを行うことで、欠陥及び異種多形の存在比率の少ない半導体デバイスを得ることができる。
本発明の一態様に係るSiCシードの一部を平面視した模式図である。 図1のSiCシードの一部をA-A’面で切断した切断面である。 本発明の一態様に係るSiCシードの一部を拡大して平面視し、主面と初期ファセット形成面の{0001}面に対する傾き方向と傾斜角θを示した模式図である。 SiCシードから結晶成長したSiCインゴットの断面を模式的に示したものであり、ステップフロー成長領域とファセット成長領域の界面の拡大した写真を同時に示したものである。 本発明の一態様に係るSiCシードの初期ファセット形成面を作製する前後の平面模式図と立体模式図である。 (a)はステップフロー成長を模式的に示した図であり、(b)はファセット成長を模式的に示した図であり、(c)は螺旋転位を有する場合のファセット成長を模式的に示した図である。 SiCシードから成長したSiCインゴットの成長前後の状態を模式的に示した図であり、(a)はSiCシートのファセット形成面から結晶成長したファセット成長領域の断面を模式的に示したものであり、(b)は初期ファセット形成面の一部を拡大した平面模式図であり、(c)はc面ファセットの一部を拡大した平面模式図である。 本発明の一態様に係るSiCシードの変形例の一部を平面視した模式図である。 本発明の一態様に係るSiCシードの変形例の一部を平面視した模式図である。 本発明の一態様に係るSiCシードの変形例の一部を平面視した模式図である。 本発明の一態様に係るSiCインゴットの一部の断面を模式的に示した図である。 図11のB-B’面でSiCインゴットを切断した切断面のファセット成長領域付近を模式的に示した図である。 本発明の一態様に係るSiCウェハの平面模式図である。 本発明の一態様に係るSiCウェハの一部を拡大した平面模式図である。
以下、本発明の一態様について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。
以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[SiCシード]
図1は、本発明の一態様に係るSiCシードの一部を平面視した模式図である。図2は、図1のSiCシードの一部をA-A’面で切断した切断面である。図1は初期ファセット形成面20を中心に円状に囲んだ一定領域のみを図示する。
SiCシード100は、主面10と初期ファセット形成面20とを有する。また初期ファセット形成面20を作製するために切り欠いた副成長面30を有してもよい。主面10は、{0001}面に対し2°以上20°以下のオフセット角を有する。初期ファセット形成面20は、{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満である。初期ファセット形成面20には、螺旋転位発生ライン21が形成されている。螺旋転位発生ライン21は、第1の方向に延在する第1の螺旋転位発生ライン21aと第1の方向と直交する第2の螺旋転位発生ライン21bとからなる。
ここで、「螺旋転位発生ライン」は、複数の螺旋転位発生起点がライン状に存在する領域を意味する。また螺旋転位発生起点とは、結晶成長の過程において螺旋転位になりうる発生起点をいう。たとえば、SiCシードに最初から存在する螺旋転位は、c面方向にそのまま引き継がれていく貫通転位であるため、通常そのまま成長結晶に引き継がれる。そのため、SiCシードに最初から存在する螺旋転位は、螺旋転位発生起点である。
SiCシードの表面に何らかの処理を施すことによっても螺旋転位発生起点を人工的に作製することもできる。例えば、機械加工、イオン注入などによって表面に結晶構造が乱れた層を作成すると、成長過程においてそこから螺旋転位が発生する。これは、結晶構造が乱れた層上に整った結晶構造のものが成長するには、その乱れを何らかの形で吸収しなければならないためである。例えば、成長方向に平行な<0001>方向の乱れは、<0001>に平行なバーガースベクトルを持つ螺旋転位やマイクロパイプ、フランク型の積層欠陥等に、成長方向に垂直な<11-20>方向や<1-100>方向の乱れは、それらの方向にバーガースベクトルを持つ、貫通刃状転位や基底面転位、ショックレー型の積層欠陥等に変換されることで吸収されると考えられる。
また以下において、「オフセット上流側」とは、ステップフロー成長の起点となる側を意味する。具体的に例示すると、図1の-X方向がオフセット上流側に対応し、+X方向がオフセット下流側に対応する。
(主面)
主面10は、{0001}面に対し2°以上20°以下のオフセット角を有する面である。すなわち、図2の一点鎖線で示すように、主面10に対し、{0001}面は傾きを有している。そのため、SiCシード100を図2の+Z方向に結晶成長させる際に、主面10はステップフロー成長することができる。
主面10の{0001}面に対するオフセット角は、2°以上20°以下であり、3°以上9°以下であることが好ましい。オフセット角が小さすぎると、オフセット下流に欠陥が流れにくい。欠陥がオフセット下流(図2の+X方向)に流れず、同一の箇所に留まると、成長中に欠陥が減りにくいという問題がある。またオフセット角が小さすぎると、成長形状にわずかなずれが生じた場合に、想定外の箇所にファセットが発生してしまうという問題もある。ファセット成長領域では、異種多形発生リスクが高まる。
一方、オフセット角が大きすぎると、温度勾配により、c面が滑る方向({0001}面に平行な方向)に応力がかかり、基底面転位が発生しやすくなるという問題がある。また半導体デバイス等を作製する際に用いるSiCウェハのオフセット角(通常、4°以下)との差が大きくなる。そのため、SiCインゴットからSiCウェハを斜めに切り出す必要があり、得られるSiCウェハの取れ数が少なくなる。
ここで、SiCシードは、自身が核となり結晶成長することでSiCインゴットを作製する。そのため、SiCシードにおいて、結晶成長の状態を考慮する必要がある。上述でも簡単に説明したが、「ファセット」及び「ファセット成長領域」はSiCシードが、結晶成長する際に生じる面及び部分を意味する。より厳密には、「ファセット」とは、結晶の幾何学的規則性に沿って原子的なスケールでみて平坦な結晶面であり、結晶成長の際に成長機構の違いから平坦な面として現れる面をいう。例えば、{0001}面ファセット(c面ファセット)とは、{0001}面と平行な面であり、結晶成長の際には平面として現れる。また「ファセット成長領域」とは、成長過程のSiCインゴットの最表面にファセットが形成された部分の集合体からなる領域をいう。ファセット成長領域は、ステップフロー成長するその他の領域と比べて、その成長機構の違いから不純物濃度が異なる。そのため、成長後の結晶からファセット成長領域を判別することもできる。
(副成長面、初期ファセット形成面)
「副成長面」とは、成長方向に向いた面のうち、最も面積の広い主面を除いた面のことをいう。「初期ファセット形成面」とは、副成長面の一例であり、{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満のものである。初期ファセット形成面20以外の副成長面30は、必須のものではない。
ここで「{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満」ということについて説明する。図3は、本発明の一態様に係るSiCシードの一部を拡大して平面視し、主面と初期ファセット形成面の{0001}面に対する傾き方向と傾斜角θを示した模式図である。
初期ファセット形成面20が{0001}面に対して傾斜する方向は、図3(a)の矢印で示すように、いずれの方向でもよい。例えば図3(b)は、図3(a)の±X方向に初期ファセット形成面が{0001}面に対して傾いた場合であり、図3(c)は、図3(a)の±Y方向に初期ファセット形成面が{0001}面に対して傾いた場合を模式的に示した図である。傾斜角θは、図3(b)及び図3(c)で示すように、{0001}面と初期ファセット形成面20とが交差する内角を意味する。
初期ファセット形成面20が、{0001}面と略平行であると、初期ファセット形成面20直上での結晶成長は、ステップフロー成長することができず、ファセットが形成される。初期ファセット形成面内は{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満であれば、湾曲面、凹凸面でもよい。初期ファセット形成面20を有することで、ファセットが形成される位置を制御することができる。
例えば、SiCシードが、初期ファセット形成面を有さず直方体形状である場合に、SiCシード上に結晶成長を行うと以下のような問題が生じる。SiCシードが、直方体形状の場合、オフセットの最上流(SiCシードの-X方向)の角付近にファセットが形成される。これは、オフセットの最上流の角付近以外は、ステップフロー成長を行うためである。上述の角のような点にファセットが形成される場合、成長状態によらずファセットの形成される位置を一定にすることが難しく、成長に伴いファセットが形成される位置が変移していくことがある。すなわち、初期ファセット形成面を有さないとファセットが形成される位置を十分制御することができない。
次いで、初期ファセット形成面20が、{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満であれば、その直上にファセットが形成されることについて説明する。
図4は、SiCシード100から結晶成長したSiCインゴット200の断面を模式的に示したものであり、ステップフロー成長領域220とファセット成長領域210の界面の拡大した写真を同時に示したものである。ファセット成長領域210は、図示網掛け部であり、ステップフロー成長領域220はその他の部分である。
SiCインゴット200は、SiCシード100を種として+Z方向に結晶成長することで得られる。ファセット成長領域210は、ステップフロー成長領域220とその成長機構に違いがあり、不純物濃度が異なる。そのため、図4の拡大写真で示すように、写真からもファセット成長領域210とステップフロー成長領域220は判別することができる。図4において結晶成長方向(+Z方向)に略垂直な方向(±X方向)に見える色調の異なる界面は、不純物であるNの流量を変えることによって形成されたある時間における成長界面210a、220aである。また一般にファセット成長領域の成長界面210aは直線状であり、ステップフロー成長領域の成長界面220aは曲線状である。
ここで、ファセット成長領域210の成長界面210aとステップフロー成長領域220の成長界面220aの境界に注目する。ファセット成長領域210の成長界面210aとステップフロー成長領域220の成長界面220aは、その境界部で折れ曲がっている。すなわち、ファセット成長領域210の成長界面210aの延長線とステップフロー成長領域220の成長界面220aは、角度φを成して交差している。ファセット成長領域210は、上述のように成長過程においてSiCインゴットの最表面にファセットを有している。すなわち、ファセット成長領域210の成長界面210aは、成長過程におけるSiCインゴットの最表面に対応するため{0001}面と平行である。
そのため、ステップフロー成長領域220の成長界面220aは、{0001}面と角度φだけずれていると換言することができる。つまり、{0001}面に対し角度φ以上ずれた領域では、その結晶成長はステップフロー成長となる。このことは、逆の視点から考えると、{0001}面との角度ずれが絶対値でφ未満の領域は、ファセットを形成しながら成長をするということを示している。この角度φは、図4で示すように、結晶成長後のSiCインゴット200の断面を確認すると、最大でも2°である。したがって、初期ファセット形成面20が、{0001}面との角度ずれが何れの方向にも絶対値で2°未満であれば、その直上にファセットが形成される。換言すると、{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満の初期ファセット形成面20を設けることで、SiC単結晶インゴットを成長する過程において、初期ファセット形成面20の直上にファセットを形成することができる。
初期ファセット形成面20は、SiC単結晶の頂部の一部を切り欠いた頂面である。
図5は、本発明の一態様に係るSiCシードの初期ファセット形成面を作製する前後の平面模式図と立体模式図である。図5(a)~(d)において、図示上側が平面模式図であり、図示下側が立体模式図である。また図示左側が初期ファセット形成面の作製前であり、図示右側が初期ファセット形成面の作製後である。
例えば、図5(a)に示すように、直方状のSiCシードの隣接する二つの角を切り欠き、この切り欠きにより形成された2つの副成長面30と主面10で形成される頂部を{0001}面と略平行に切り欠くことで初期ファセット形成面20Aを作製してもよい。
他にも、図5(b)~図5(d)で示すように初期ファセット形成面20を作製してもよい。図5(b)は、SiCシードを円錐状に加工した後、さらにこの頂部を{0001}面と略平行に切り欠くことで初期ファセット形成面20Bを作製したものである。
図5(c)は、直方状のSiCシードの角を切り欠き、この切り欠きにより形成された1つの副成長面30と主面10で形成される角部を{0001}面と略平行に切り欠くことで初期ファセット形成面20Cを作製したものである。
図5(d)は、直方状のSiCシードの主面10とシード側面とで形成される角部を{0001}面と略平行に切り欠くことで初期ファセット形成面20Dを作製したものである。
(螺旋転位発生ライン)
螺旋転位発生ライン21は、複数の螺旋転位発生起点がライン状に存在する領域を意味する。図1では、螺旋転位発生ライン21として、第1の方向に延在する第1の螺旋転位発生ライン21a及び第1の方向と直交する第2の方向に延在する第2の螺旋転位発生ライン21bを図示している。
初期ファセット形成面20が、螺旋転位発生ラインを有すると、SiCシード100を用いて結晶成長を行う際に、異種多形及び結晶転位の流出に伴う欠陥が結晶内部に発生することを抑制することができる。
ここで、図6を用いて結晶成長の違いを説明すると同時に、螺旋転位発生起点22を有することで、異種多形の発生及び結晶転位の流出に伴う欠陥の発生を抑制することができることについて説明する。
図6(a)はステップフロー成長を模式的に示した図であり、(b)はファセット成長を模式的に示した図であり、(c)は螺旋転位を有する場合のファセット成長を模式的に示した図である。図6における点線は、{0001}面を示す。すなわち図6(a)の結晶成長面(SiCシード100の+Z側の面)は、{0001}面に対しオフセット角を有しており、主面10に対応する。一方、図6(b)及び(c)の結晶成長面(SiCシード100の+Z側の面)は、{0001}面と平行であり、初期ファセット形成面20に対応する。
SiCは、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiC等の多形を有しており、これらの多形はc面方向(<0001>方向)から見た際の最表面構造に違いがない。そのため、c面方向に結晶成長する際に異なる多形(異種多形)に変化しやすい。これに対し、a面方向(<11-20>方向)から見た際の最表面構造は違いを有しており、a面方向への成長では、このような多形の違いを引き継ぐことができる。
図6(a)に示すように、ステップフロー成長は、a面方向に結晶が成長しながら、SiCシード100全体として+Z方向に成長する。すなわち、a面からの情報を引き継いだ形で結晶成長が行われるため、多形の違いを引き継ぐことができる。一方、図6(b)に示すように、結晶成長面が{0001}面と平行な場合は、c面方向に結晶が島状成長しながら、SiCシード100全体として+Z方向に成長する。c面からは多形の情報を得ることができないため、多形の違いを引き継ぐことができず、異種多形が発生する。
これに対し、図6(c)は結晶成長面に螺旋転位23を有する。図6(c)において螺旋転位23が無いと、図6(b)と同様に島状成長を行うため、異種多形の発生は抑制できない。しかしながら、螺旋転位23を有すると、螺旋転位23の螺旋部がステップを形成するため、a面方向への成長を可能とし、多形を引き継ぐことができる。図6(c)では螺旋転位発生起点22の一例である螺旋転位23を用いて説明したが、螺旋転位23以外の螺旋転位発生起点22を有する場合でも、螺旋転位発生起点22は結晶成長直後に螺旋転位23を生み出すため、同様のことが言える。また螺旋転位発生ラインは、螺旋転位発生起点の集合体であるため、螺旋転位発生ラインについても同様のことが言える。
次いで、螺旋転位発生起点をライン状にし、螺旋転位発生ラインとしていることについて説明する。
大きなバーガースベクトルを有する螺旋転位はマイクロパイプとなり、最終デバイスの品質を劣化させる原因の一つとなる。
そのため、通常螺旋転位を設けた初期ファセット形成面20から結晶成長したファセット成長領域は、半導体デバイスとして用いない。
これに対し螺旋転位発生起点をライン状に配置し、結晶成長を行うと、SiCインゴット及びSiCウェハに形成される螺旋転位もライン状に整列する。すなわち、螺旋転位の一部がマイクロパイプとなっていたとしても、マイクロパイプはライン状に並ぶこととなる。そのため、SiCウェハから半導体デバイスを得るダイシング工程において、この螺旋転位が密集したラインに沿って切断すると、半導体デバイス内にマイクロパイプ等の欠陥が含まれることを避けることができる。また螺旋転位によって異種多形の発生も抑制されるため、半導体デバイス内に異種多形や異種多形起因欠陥が発生することを抑制することもできる。
つまり、螺旋転位発生起点を任意に配置するのではなく、半導体デバイス作製工程におけるダイシングラインに沿うようにライン状に設けることで、得られる半導体デバイスの品質を高めることができる。
また螺旋転位が密集したライン(以下、「螺旋転位密集ライン」という)をダイシングラインと一致させることは、SiCインゴットを長尺化した際における半導体デバイスの高品質化にも繋がる。
図7は、SiCシードから成長したSiCインゴットの成長前後の状態を模式的に示した図であり、図7(a)はSiCシート100のファセット形成面20から結晶成長したファセット成長領域210の断面を模式的に示したものであり、図7(b)は初期ファセット形成面20の一部を拡大した平面模式図であり、図7(c)はc面ファセット210bの一部を拡大した平面模式図である。
図7(a)に示すように、初期ファセット形成面20の螺旋転位発生起点22から生じた螺旋転位は、SiC単結晶の結晶成長が進むにつれて異符号の螺旋転位が互いに引き合い結合して消滅したり、基底面の欠陥に変換されたりする。そのため、初期ファセット形成面20に導入される螺旋転位発生起点の数が充分多くないと、図7(a)で示す結晶成長後半において充分な数の螺旋転位23を維持することができなくなる。螺旋転位23の数が充分でないと、SiCインゴット200の成長後半において異種多形の発生確率が高くなるという問題が生じる。これに対し、成長後半の異種多形の発生を抑制するために、螺旋転位発生起点22の数を増やすと、成長初期において螺旋転位が半導体デバイスの品質に影響を及ぼすマイクロパイプ等の欠陥になる可能性が高まるという問題が生じる。
これに対し、図7(b)に示すように、螺旋転位発生起点22を螺旋転位発生ライン21としてライン状に設ける場合は、螺旋転位発生ライン21内に高密度に螺旋転位発生起点22を導入することができる。螺旋転位発生起点22の数が充分多いため、図7(c)に示すようにc面ファセット210bでも充分な数の螺旋転位23を維持することができる。その結果、SiC単結晶を長尺成長させても異種多形の発生を抑制し続けることができる。また高密度な螺旋転位23の一部がマイクロパイプになったとしても、ダイシングライン状に欠陥が生じることとなり、半導体デバイスの品質への影響を避けることができる。
螺旋転位発生起点22は、主面10よりオフセット上流側に存在することが好ましい。すなわち、初期ファセット形成面20は、主面10よりオフセット上流に存在することが好ましい。図6(a)で示したように、ステップフロー成長は、a面方向に結晶が成長しながら、SiCシード100全体として+Z方向に成長する。そのため、オフセット上流側の情報は、オフセット下流側に伝わりやすい。したがって、オフセット上流側に螺旋転位発生起点22を有する初期ファセット形成面20を設け、異種多形の発生及び結晶転位の流出に伴う欠陥の発生を抑制することができれば、オフセット下流側での発生も同時に抑制することにつながる。すなわち、主面10上に結晶成長することで得られる高品質領域に、螺旋転位や異種多形等が流れることを抑制し、より高品質なSiCインゴットを作製することができる。
螺旋転位発生ライン22を構成する第1の螺旋転位発生ライン21aと第2の螺旋転位発生ライン21bは互いに直交することが好ましい。半導体デバイスとしてチップ化する際には、SiCウェハを矩形に分断することが多い。そのため第1の螺旋転位発生ライン21aと第2の螺旋転位発生ラインが直交していると、高品質な半導体デバイスの取れ数を多くすることができる。
第1の螺旋転位発生ライン21aが延在する第1の方向は、{1-100}面と平行な方向または{11-20}面と平行な方向のいずれかであることが好ましく、オフセット成長方向に対して垂直であることが好ましい。
面方位に合せて螺旋転位発生ライン21が存在すれば、ダイシングラインの設定が容易になると共に、ダイシングによるチップ化が容易になる。また第1の螺旋転位発生ライン21aがオフセット成長方向に対して垂直に配置されていると、成長方向全面において異種多形の発生を避けることができる。
SiCシード100における螺旋転位発生ライン21の占める面積率は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。螺旋転位発生ライン21は、ダイシング工程において切断される部分である。そのため、この部分の面積率がSiCシード100に対して高いと、半導体デバイスとして利用できる割合が少なくなるか、作成した半導体デバイスの特性が悪化する。
螺旋転位発生ライン21の占める面積率は、「螺旋転位発生ラインの幅×長さの総和」で定義する。ここで実際には、螺旋転位発生ライン21は、複数の螺旋転位発生起点が密集し、ライン状に見えるものである。そのため、螺旋転位発生ラインの「幅」及び「長さ」は実際には測定できるものではない。そこで螺旋転位発生ラインの「幅」及び「長さ」は、本明細書において以下のように定義する。
まず「幅」は、螺旋転位発生起点の密度分布から求める。螺旋転位発生ラインの延在方向と直交する方向に螺旋転位発生起点の密度分布を測定し、最大の螺旋転位発生起点密度に対し1/10となる点を結んだ幅とする。この幅は、螺旋転位発生起点を設ける方法によって異なるが、例えば機械加工により人工的に螺旋転位発生起点を設ける場合は、100μm程度となる。この100μmという幅は、一般的なダイシングの幅とも一致し、半導体デバイスの取れ効率の観点から好ましい面積率を設定している趣旨とも一致する。
一方で、「長さ」は、以下のような手順で求める。隣接する螺旋転位発生起点同士の距離が0.25cm以下の場合、それらを繋ぎ、螺旋転位発生ラインが延在していると判定する。これは、螺旋転位発生起点が4個/cm以上の頻度で存在すれば、充分に異種多形の発生を抑制できるためである。そして、螺旋転位発生ラインの一方の終端から他方の終端に向けて、螺旋転位発生ラインの延在方向と平行な垂線を下し、この長さを螺旋転位発生ラインの長さとする。
螺旋転位発生起点22は、SiCシードに初期から備えられた螺旋転位であることがもっとも望ましい。螺旋転位発生起点22がSiCシード100に初期から備えられた螺旋転位であれば、成長過程において、螺旋転位23の数の増減や、位置の変化等を抑制することができる。SiCシード100に初期から備えられた1つの螺旋転位は、貫通転位であるため、成長過程においても1つの螺旋転位として機能する。これに対して、螺旋転位発生起点22が、例えば結晶の歪み等であると、成長過程において複数の螺旋転位を発生させる場合がある等、螺旋転位の数の増減や、位置の変化等を生み出すおそれがある。これらのSiCシードに初期から備えられた螺旋転位以外の螺旋転位発生起点を導入する場合でも、導入密度や導入強度を操作することで、初期に発生する螺旋転位の数と位置を操作できる。しかしながら、SiCシードに初期から備えられた螺旋転位そのものを利用すれば、導入密度や導入強度等を操作しなくても、確実に成長過程においても螺旋転位を導入することができる。
(変形例)
以上、本発明の一態様に係るSiCシードについて図面を参照して説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更を加えることができる。
例えば、図1では、第1の螺旋転位発生ライン21aと第2の螺旋転位発生ライン21bのそれぞれが周期的に配列し、格子状の螺旋転位発生ライン21を構成している場合を例に説明したが、螺旋転位発生ライン21は、この態様に限られない。
例えば図8に示すように、螺旋転位発生ライン21が、第2の螺旋転位発生ライン21bを有さず、第1の方向に延在する第1の螺旋転位発生ライン21aのみからなる場合でもよい。この場合、第1の方向と直交する第2の方向へのダイシングは任意の位置で行うことができる。
また図9に示すように、螺旋転位発生ライン21が各1本の第1の螺旋転位発生ライン21a及び第2の螺旋転位発生ライン21bからなる場合でもよい。この場合、チップ化される半導体デバイスの角が、螺旋転位発生ライン21の交差する部分になるように切断される。
また図10に示すように、螺旋転位発生ライン21によって囲まれる領域25のサイズが大きい場合は、螺旋転位発生ライン21と別に領域25の中に、僅かに螺旋転位発生起点22を導入してもよい。領域25の中に螺旋転位発生ライン21と別に螺旋転位発生起点22を導入すると、領域25のサイズが大きくても充分に異種多形の発生を抑制することができる。一方、領域25内に螺旋転位発生起点22を導入すると、半導体デバイスの中にマイクロパイプが導入される可能性はある。しかしながら、螺旋転位発生起点22の導入量が僅かであれば、その可能性を十分低くすることができる。
この他にも、螺旋転位発生ライン21によって囲まれる領域の形状を正方形状ではなく、長方形状等にしてもよい。
また例えば、図1では主面20を有する場合について説明したが、オフセット角を有する主面を有さず、全面初期ファセット形成面となるSiCシードを用いてもよい。またオフセット角を有する主面に対して、初期ファセット形成面の占める面積率が大きいSiCシードを用いてもよい。
主面が無い又は主面の面積率が小さい場合でも、初期ファセット形成面内に十分に螺旋転位発生起点を設けることができれば、異種多形は十分に抑制することができる。また初期ファセット形成面上にSiCをオン成長させると、第1の螺旋転位発生ラインの位置を制御しやすくなる。
上述のように、本発明の一態様に係るSiCシードは、螺旋転位発生起点が集合した螺旋転位発生ラインを有する。そのため、本発明の一態様に係るSiCシードを用いることで、SiC単結晶を結晶成長させる際に、異種多形の発生を抑制することができる。また螺旋転位発生起点がライン状に配列していることで、半導体デバイスを切り出す前のSiCウェハにおけるマイクロパイプ等の欠陥をライン状に配列させることができる。すなわち、このラインに沿って半導体デバイスを切り出すことで、異種多形及び欠陥の少ない高品質な半導体デバイスを得ることができる。
(SiCインゴット)
図11は、本発明の一態様に係るSiCインゴットの一部の断面を模式的に示した図である。また図12は、図11のB-B’面でSiCインゴットを切断した切断面のファセット成長領域付近を模式的に示した図である。
SiCインゴット200は、前述のSiCシード100から成長したものである。SiCインゴット200は、SiCシード100の初期ファセット形成面20からSiCの成長方向全域に渡って、ファセット成長領域210を有する。ここで、「SiCの成長方向全域」とは、SiCインゴット200を成長させる際の、成長初期から成長が終了するまでと言う意味であり、図11で示すSiCシード100の表面から、ファセット成長領域210の最表面のc面ファセット210bに至るまで、結晶成長方向にファセット成長領域が途切れないことを意味する。
初期ファセット成長領域210は、螺旋転位密集部211を有する。螺旋転位密集部とは、螺旋転位発生ライン21によって初期ファセット210内に導入された螺旋転位の集合体である。ここで密集とは、4個/cm以上の頻度で存在すれば、密集と定義する。
螺旋転位密集部211は、SiCシード100における螺旋転位発生ライン21からSiCの成長方向(c面方向に垂直な方向)に延在している。螺旋転位発生ライン21が第1の螺旋転位発生ライン21a及び第2の螺旋転位発生ライン21bからなる場合は、螺旋転位密集部211も第1の螺旋転位密集部211aと第2の螺旋転位密集部211bからなる。
初期ファセット成長領域210が、SiCの成長方向全域に渡って延在する螺旋転位密集部211を有するということは、SiCの成長過程で異種多形の発生が好適に抑制されていることを意味する。すなわち、初期ファセット成長領域210内に螺旋転位密集部211を有するSiCインゴットは、異種多形及び結晶欠陥等が少ないものとなる。
c面ファセット210bに対して直交する方向から平面視した際に、SiCシード100の初期ファセット形成面20と、ファセット成長領域210の最表面のc面ファセット210bとが、少なくとも一部で重なっていることが好ましい。成長前後における2つの面が互いにこの関係を満たしていると、ファセット成長領域210が制御された所定の位置に配置されていることとなる。成長過程で、ファセット成長領域210がオフセット下流側に移動してしまうと、SiCシード100に設けた螺旋転位発生ラインの形状が崩れることがある。螺旋転位発生ラインは、SiCウェハをチップ化する際のダイシングラインに合せて設定しているため、形状が崩れると半導体デバイスの取れ数が減少してしまう。
SiCインゴット200のSiCシード100から成長した部分の厚みは、30mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。上述のように、SiCインゴット200の長尺化には、螺旋転位を導入することに伴う異種多形の抑制と、螺旋転位を導入することに伴うマイクロパイプの発生を両立することが極めて難しい。しかしながら、螺旋転位発生部211がダイシングラインに沿って形成されていることで、任意の密度で螺旋転位を導入することができ、SiCインゴット200の長尺化を成すことができる。
上述のように、本発明の一態様に係るSiCインゴット200は、半導体デバイスに影響を及ぼさない所定の位置に螺旋転位が配設されている。そのため、長尺のSiCインゴットを得ることができる。またこのSiCインゴットを用いることで、高品質な半導体デバイスが得ることができる。
(SiCウェハ)
図13は、本発明の一態様に係るSiCウェハの平面模式図である。SiCウェハ300は、ファセット成長痕310を有する。SiCウェハ300は、上述のSiCインゴット200を切断したものである。
ファセット成長痕310は、SiCインゴットのファセット成長領域210をc面と平行に切断した切断面に対応する。そのため、ファセット成長痕310は、螺旋転位密集ライン311を有する。図13では、螺旋転位密集ライン311は、第1の方向に延在する第1の螺旋転位密集ライン311a、及び、第1の方向と直交する第2の方向に延在する第2の螺旋転位密集ライン311bからなる。
螺旋転位密集ライン311は、前述の螺旋転位発生ライン21から成長したものであり、螺旋転位発生部211をc面と平行な面で切断したものである。そのため、螺旋転位密集ライン311は、図13の態様に限られず、螺旋転位発生ライン21と同様の態様をとることができる。すなわち、図7~図10等に示すような構成とすることができる。
SiCウェハ300における螺旋転位密集ライン311の占める面積率は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。ダイシング工程においては、螺旋転位密集ライン311に沿って切断を行う。そのため、この部分の面積率がSiCウェハ300に対して高いと、半導体デバイスとして利用できる割合が少なくなるか、作製した半導体デバイスの特性が悪化する。ここで、螺旋転位密集ラインの面積率は、上述の螺旋転位発生ラインと同様の定義で算出することができる。
半導体デバイスを作製する際のダイシングは、螺旋転位密集ライン311に沿って行う。そのため、本発明の一態様に係るSiCウェハを用いることで、高品質な半導体デバイスを得ることができる。
また図14は、本発明の一態様に係るSiCウェハの一部を拡大した平面模式図である。図14に示すように、SiCウェハ300には、ダイシング予定領域321と、ダイシング予定領域321に囲まれたデバイス作製領域323と、ダイシング予定領域321とデバイス作製領域323とに挟まれた外周領域322を有する。ダイシング予定領域321は、ダイシング予定ライン321aを中心に幅を持つ領域である。
上述の第1の螺旋転位密集ライン311a及び第2の螺旋転位密集ライン311bの幅は、隣接するデバイス作製領域323間の幅d2より狭いことが好ましく、ダイシング予定領域321の幅より狭いことがより好ましい。螺旋転位密集ラインの幅は、上述の螺旋転位発生ラインと同様の定義で求める。
ダイシング予定領域321はダイシング工程で除去されるため、螺旋転位密集ラインの幅がダイシング予定領域321の幅d1より狭いと、チップ化された半導体デバイス内に螺旋転位が含まれることを避けることができる。
また螺旋転位密集ラインの幅が、隣接するデバイス作製領域323間の幅d2より狭い場合は、外周領域322の一部に螺旋転位が導入されることとなる。しかしながら、外周領域はデバイス駆動時に強い電界は加わらず、デバイスとして駆動するアクティブ領域ではない。そのため外周領域に螺旋転位が導入されていても、得られる半導体デバイスは好適に駆動することができる。
すなわち、螺旋転位密度は、デバイス作製領域323、外周領域322、ダイシング予定領域の順で小さくなっていることが好ましい。
図14に示すSiCウェハから切り出された半導体デバイスは、デバイスとして駆動するアクティブ領域と、アクティブ領域を囲む外周領域を有する。半導体デバイスにおけるアクティブ領域は、図14に示すデバイス作製領域323に対応し、半導体デバイスにおける外周領域は、図14に示す外周領域322に対応する。この際、外周領域の螺旋転位密度は、アクティブ領域の螺旋転位密度以下である。アクティブ領域の螺旋転位密度が少ないことで、半導体デバイスの高品質化、長寿命化を実現することができる。
(半導体デバイスの製造方法)
本発明の一態様に係る半導体デバイスの製造方法は、所定のSiCウェハを準備する工程と、SiCウェハの螺旋転位密集ラインに沿ってSiCウェハを分断する工程と、を有する。
<SiCウェハの準備工程>
SiCウェハは、SiCシードから成長したSiCインゴットを切断することで得ることができる。そのため、まずSiCシードの製造工程について説明する。
まず、SiCシードを、既に結晶成長により作製した別のSiC単結晶からワイヤーソー等により切り出す。このSiCシードを切り出すSiC単結晶は、欠陥等の少ない高品質なものであることが好ましい。基礎となるSiC単結晶の品質が高ければ、SiCシードも高品質となる。SiCシードが高品質であれば、そのSiCシードを結晶成長させて得られるSiCインゴット、SiCウェハの品質を高めることができる。
ここで、欠陥(螺旋転位を含む)の極めて少ない高品質なSiC単結晶は、RAF法等によって得ることができる。RAF法により得られた高品質なSiC単結晶をスライスすることにより、高品質なSiCシードを作製することができる。このとき、SiC単結晶からスライスするSiCシードの角度を調整することで、{0001}面に対し2°以上20°以下のオフセット角を有する主面を形成することができる。
次いで、スライスされたSiCシードの一部をさらに切り欠くことにより、副成長面を形成する。副成長面を形成する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
次いで、{0001}面に対する傾斜角θが何れの方向にも絶対値で2°未満である初期ファセット形成面を形成する。初期ファセット形成面は、副成長面と同様に、SiC単結晶の一部を切り欠くことにより形成することができる。初期ファセット形成面の{0001}面との角度ずれ等は、X線トポグラフィーで結晶面を確認した上で、初期ファセット形成面を切り欠くことで、調整することができる。また、SiC単結晶内に、螺旋転位発生起点となる螺旋転位が十分に存在することがX線トポグラフィー等で確認できた際には、それらの螺旋転位が含まれるように初期ファセット形成面を切り欠くことが好ましい。
そして切り欠くことで形成された初期ファセット形成面に螺旋転位発生ラインを設ける。螺旋転位発生ラインを設ける方法としては、例えば、機械加工、イオン注入、レーザーマーキング加工などによって表面に結晶構造が乱れた層を作製することができる。これらの結晶構造が乱れた層上に、整った結晶構造を成長させるためには、その乱れを何らかの形で吸収しなければならない。そのため、螺旋転位発生ラインを構成する螺旋転位発生起点は、結晶成長の段階で螺旋転位となる。
また初期ファセット形成面に、化学処理をさらに施すことが好ましい。初期ファセット形成面に化学処理を施すと、非常に微小なステップが初期ファセット形成面に形成される。初期ファセット形成面がステップを有すると、結晶成長の初期の段階から初期ファセット形成面の一部はステップフロー成長を行うことが可能となり、より異種多形の発生及び結晶転位の流出に伴う欠陥の発生を抑制することができる。
螺旋転位発生ラインが形成されたSiCシードを用いてSiCインゴットを作製する。SiCインゴットは、SiCシード上にSiCをエピタキシャル成長させることで、得ることができる。
SiCインゴットを作製する際には、成長段階での等温面が、初期ファセット形成面と平行な面に対する傾斜角δが何れの方向にも絶対値で2°未満であるとなるように結晶成長させることが好ましい。
等温面を初期ファセット形成面と平行な面に対する傾斜角δが何れの方向にも絶対値で2°未満であるとなるように、制御すると、SiCインゴットのファセット成長領域の位置を制御することができる。これは、SiCの結晶成長面の形状は、基本的には、等温面とほぼ同一の形状となるためである。
SiCの結晶成長は、SiCシードの状態から始まる。SiCシードは、初期ファセット形成面を有するため、成長の極初期のファセットは初期ファセット形成面の直上に形成される。そして、結晶成長時の等温面を初期ファセット形成面と略平行になるように制御すると、結晶成長の各段階で得られるファセットは、初期ファセット形成面の直上から大きくずれずに形成される。すなわち、結晶成長の各段階でファセットの位置を制御しておけば、結晶成長後のSiCインゴットのファセット成長領域が作製される位置を所定の位置に限定することができる。その結果、SiCインゴットの最表面のc面ファセットと初期ファセットとが、c面ファセットに対して直交する方向から平面視した際に、重なることとなる。
ここで、結晶成長時の等温面を維持することは、例えば二つの技術を組み合わせることにより実現することができる。一つは、ルツボ外側のヒータや断熱材の配置を調整することにより微小に凸な等温面を作り出す技術であり、もう一つは、成長中にルツボを移動し、その等温面と成長面高さを一致させる技術である。高温領域と低温領域の間に断熱材を設けると、その位置から下は凸の温度分布になり、位置関係で凸度を調整できる。各時間における成長面高さは同条件の成長の結果から類推することができるため、成長面高さが上記の断熱材に対して相対的に同じ高さになるように調節しながら成長すれば、等温面の角度を維持することができる。
そして得られたSiCインゴットをワイヤーソー等で切断することで、SiCウェハが形成される。SiCウェハは、SiCシード及びSiCインゴットの成長履歴を有するため、ファセット成長痕を有し、ファセット成長痕には螺旋転位密集ラインが形成されている。
得られたSiCウェハを用いて半導体デバイスを形成する。半導体デバイスの製造工程は公知の方法を用いることができる。一般的には、SiCウェハ上に複数の半導体デバイスを作製後に、チップ化を行うが、順番を逆にしてもよい。
半導体デバイスをチップ化するダイシング工程では、螺旋転位密集ラインに沿って分断する。螺旋転位密集ラインは、マイクロパイプ等の欠陥が含まれている可能性が高い。しかしながら、この部分を分断するため、得られる半導体デバイスは高品質なものとなる。
なお、螺旋転位密集ラインの幅が、ダイシング工程における分断ラインの幅より広い場合、得られる半導体デバイスは、デバイス外周部の欠陥密度が中央部に対して相対的に高いものとなる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、本発明では{0001}面のうち(000-1)面(C面)について主に記載しているが、本発明はそれに限定されるものではなく、(0001)面(Si面)についても同様に適用できる。
なお、結晶学的に、(0001)及び{0001}は結晶面を示す。これらの違いは、{0001}面は等価な対称性を持つ面を含むため、(0001)面および(000-1)面のいずれも含む。一方<0001>は結晶方向を示す。
10…主面、20,20A,20B,20C,20D…初期ファセット形成面、21…螺旋転位発生ライン、21a…第1の螺旋転位発生ライン、21b…第2の螺旋転位発生ライン、22…螺旋転位発生起点、23…螺旋転位、30…副成長面、100…SiCシード、200…SiCインゴット、210…ファセット成長領域、210a…成長界面、210b…c面ファセット、211…螺旋転位密集部、211a…第1の螺旋転位密集部、211b…第2の螺旋転位密集部、220…ステップフロー成長領域、220a…成長界面、300…SiCウェハ、311…螺旋転位密集ライン、311a…第1の螺旋転位密集ライン、311b…第2の螺旋転位密集ライン、321…ダイシング予定領域、321a…ダイシング予定ライン、322…外周領域、323…デバイス作製領域

Claims (13)

  1. 少なくとも一部にファセット成長痕を有し、
    前記ファセット成長痕は、ダイシングラインに沿って第1の方向に延在し、且つ前記ファセット成長痕内に位置する第1の螺旋転位密集ラインを有し、
    前記第1の螺旋転位密集ラインにおいて、隣接する螺旋転位同士の距離が0.25cm以下であり、
    前記第1の螺旋転位密集ライン以外の領域では、隣接する螺旋転位同士の距離が0.25cmより大きい、SiCウェハ。
  2. 前記第1の螺旋転位密集ラインが複数あり、
    複数の前記第1の螺旋転位密集ラインが、所定の間隔で周期的に配列している請求項1に記載のSiCウェハ。
  3. 前記第1の方向が、{1-100}面と平行な方向または{11-20}面と平行な方向である請求項1又は2に記載のSiCウェハ。
  4. 前記ファセット成長痕が、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在し、且つ前記ファセット成長痕内に位置する第2の螺旋転位密集ラインをさらに有し、
    前記第2の螺旋転位密集ラインにおいて、隣接する螺旋転位同士の距離が0.25cm以下であり、
    前記第2の螺旋転位密集ライン以外の領域では、隣接する螺旋転位同士の距離が0.25cmより大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  5. 前記第2の方向が、前記第1の方向と直交する請求項4に記載のSiCウェハ。
  6. 前記第2の螺旋転位密集ラインが複数あり、
    複数の前記第2の螺旋転位密集ラインが、所定の間隔で周期的に配列している請求項4または5に記載のSiCウェハ。
  7. SiCウェハにおける前記第1の螺旋転位密集ラインの占める面積率が50%以下である請求項1~6のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  8. SiCウェハにおける前記第2の螺旋転位密集ラインの占める面積率が50%以下である請求項4~のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  9. 前記第1の螺旋転位密集ラインにおける螺旋転位の密度が4個/cm以上である請求項1~8のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  10. 前記第2の螺旋転位密集ラインにおける螺旋転位の密度が4個/cm以上である請求項4~6、8のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  11. ダイシング予定領域と、
    前記ダイシング予定領域に囲まれたデバイス作製領域と、
    前記ダイシング予定領域と前記デバイス作製領域とに挟まれた外周領域と、を有し、
    前記ダイシング予定領域の少なくとも一部は、前記第1の螺旋転位密集ラインと一致し、
    前記外周領域は、前記デバイス作製領域よりも螺旋転位密度が大きい請求項1~10のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  12. 前記ファセット成長痕は、{0001}面に対する傾斜角が2°未満の領域の切断面である、請求項1~11のいずれか一項に記載のSiCウェハ。
  13. 請求項1~11のいずれか一項に記載のSiCウェハを準備する工程と、
    前記SiCウェハの第1の螺旋転位密集ライン及び/または第2の螺旋転位密集ラインに沿って、前記SiCウェハを分断する工程と、を有する半導体デバイスの製造方法。
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