JP2021004166A - SiCインゴットの製造方法及びSiCインゴット - Google Patents

SiCインゴットの製造方法及びSiCインゴット Download PDF

Info

Publication number
JP2021004166A
JP2021004166A JP2020098609A JP2020098609A JP2021004166A JP 2021004166 A JP2021004166 A JP 2021004166A JP 2020098609 A JP2020098609 A JP 2020098609A JP 2020098609 A JP2020098609 A JP 2020098609A JP 2021004166 A JP2021004166 A JP 2021004166A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
growth
crystal
seed crystal
center
sic ingot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020098609A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7415810B2 (ja
Inventor
陽平 藤川
Yohei Fujikawa
陽平 藤川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Publication of JP2021004166A publication Critical patent/JP2021004166A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7415810B2 publication Critical patent/JP7415810B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】異種多形及び結晶欠陥の発生を抑制できるSiCインゴットの製造方法及びその製造方法で得られるSiCインゴットの提供。【解決手段】第1方向xに2〜6°のオフセット角を有し、第1方向xの第1端10a側に人工欠陥11を有する6インチ以上の種結晶10を準備する準備工程と、種結晶10の第1面10Aに単結晶20を結晶成長する成長工程と、を有し、成長工程において、単結晶20の径は、結晶成長するにつれて種結晶10の径から大きくなり、成長工程は、種結晶10の第1方向xの中心10cにおける成長量h3が8mm未満である成長前半と、成長前半以降の成長後半と、に分けられ、成長後半において、第1方向xの第1端20aにおける成長量h1を、第1方向xにおける第1端20aと反対側の第2端20bにおける成長量h2より小さくする、SiCインゴットの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、SiCインゴットの製造方法及びSiCインゴットに関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きい。また、炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。炭化珪素(SiC)は、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。
半導体等のデバイスには、SiCウェハ上にエピタキシャル膜を形成したSiCエピタキシャルウェハが用いられる。SiCウェハ上に化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)によって設けられたエピタキシャル膜が、SiC半導体デバイスの活性領域となる。SiCウェハは、SiCインゴットを加工して得られる。
SiCインゴットは、昇華再結晶法(以下、昇華法という)等の方法で作製できる。昇華法は、原料から昇華した原料ガスを種結晶上で再結晶化することで、大きな単結晶を得る方法である。高品質なSiCインゴットを得るために、欠陥や異種多形(ポリタイプの異なる結晶が混在すること)を抑制する方法が求められている。
例えば、特許文献1には、c面ファセットと螺旋転位発生領域とを一致させることで、異種多形の発生を抑制できることが記載されている。c面ファセットは、結晶成長面においてc面が露出した部分である。c面ファセットにおける結晶成長は、c面に対してオフセット角を有する部分におけるステップフロー成長と挙動が異なる。c面ファセットでは、異種多形が発生しやすい。異種多形が発生しやすいc面ファセットに螺旋転位を導入することで、異種多形の発生を抑制している。
特許第4924290号公報
しかしながら、SiCインゴットの大口径化に伴い、結晶成長面におけるc面ファセットが生じる位置に変化が生じている。c面ファセットは、結晶成長に伴いSiCインゴットの外周側に向って移行し、人工欠陥に伴う螺旋転位発生領域から外れてしまう場合がある。また結晶成長に伴い、c面ファセットがSiCインゴットの外周側に向って移行しないように、SiCインゴットの凸度を高めると、SiCインゴット内に生じる応力が大きくなり、クラックや基底面転位(c面スリップ)の発生頻度が高まるという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、異種多形及び結晶欠陥の発生を抑制できるSiCインゴットの製造方法及びその製造方法で得られるSiCインゴットを提供することを目的とする。
本発明者は、c面ファセットが発生するオフセットの上流側においてのみSiCインゴットの曲率を高めることで、c面ファセットが形成される位置を制御しつつ、SiCインゴット内に生じる応力の増大を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様に係るSiCインゴットの製造方法は、第1方向に2°以上6°以下のオフセット角を有し、第1方向の第1端側に人工欠陥を有する直径6インチ以上の種結晶を準備する準備工程と、前記種結晶の第1面に単結晶を結晶成長させる成長工程と、を有し、前記成長工程において、前記単結晶の径は、結晶成長するにつれて前記種結晶の径から大きくなり、前記成長工程は、前記種結晶の前記第1方向の中心における成長量が8mm未満である成長前半と、前記成長前半以降の成長後半と、に分けられ、前記成長後半において、前記第1方向の第1端における成長量を、前記第1方向における前記第1端と反対側の第2端における成長量より小さくする。
(2)上記態様に係るSiCインゴットの製造方法において、前記成長工程において、前記種結晶を囲む加熱装置の中心を、前記種結晶の中心より前記第2端側にずらしてもよい。
(3)上記態様に係るSiCインゴットの製造方法において、前記成長工程は、前記種結晶を坩堝の設置面に設置する工程と、前記坩堝の壁を介して前記設置面と対向する面に、開口部を有する断熱材を設置する工程と、を有し、前記断熱材の前記開口部の中心は、前記種結晶の中心に対して前記第2端側にずれていてもよい。
(4)第2の態様に係るSiCインゴットは、第1方向に2°以上6°以下のオフセット角を有し、第1方向の第1端側に人工欠陥を有する直径6インチ以上の種結晶と、前記種結晶の第1面に積層された単結晶と、を備え、前記単結晶は、前記種結晶の前記第1面から積層方向に拡径しており、前記単結晶の第1方向の第1端の前記第1面に対する高さは、前記第1端と反対側の第2端の前記第1面に対する高さより1mm以上低い。
(5)上記態様に係るSiCインゴットにおいて、前記単結晶の前記第1方向の中心の前記第1面に対する高さは、前記第1端及び前記第2端の前記第1面に対する高さより高くてもよい。
(6)上記態様に係るSiCインゴットにおいて、前記単結晶の前記第1方向の中心と前記第1端とを繋ぐ曲線の曲率は、前記単結晶の前記第1方向の中心と前記第2端とを繋ぐ曲線の曲率より大きくてもよい。
(7)上記態様に係るSiCインゴットにおいて、前記人工欠陥は、前記種結晶の第1端から前記種結晶の直径の25%以内の位置にあってもよい。
上記態様にかかるSiCインゴットの製造方法は、異種多形及び結晶欠陥の発生を抑制できる。 上記態様にかかるSiCインゴットは、異種多形及び結晶欠陥が少なく、高品質なSiCウェハを効率的に得ることができる。
成長過程のSiCインゴットの断面図である。 成長過程のSiCインゴットの平面図である。 第1の方法を模式的に示す図である。 第1の方法を模式的に示す図である。 第2の方法を模式的に示す図である。 SiCインゴットのx方向の第1端側の要部を拡大した図である。 c面ファセットとその他の部分との結晶成長の違いを示す図である。 c面ファセットに螺旋転位が存在する場合における結晶成長を示す図である。 比較例1に係る成長過程のSiCインゴットの断面図である。 本実施形態に係るSiCインゴットの断面図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
まず方向について定義する。後述する種結晶10から単結晶20へ向かう方向をz方向とし、z方向と直交する面の一方向をx方向とする。x方向は、種結晶10の結晶面が第1面10Aに対して所定のオフセット角で傾く方向である。x方向は、第1方向の一例であり、オフセット方向と言われる場合もある。y方向はx方向及びz方向と直交する方向である。
「SiCインゴットの製造方法」
第1実施形態に係るSiCインゴットの製造方法は、準備工程と成長工程とを有する。図1は、成長過程のSiCインゴット100の断面図である。図2は、成長過程のSiCインゴットの平面図である。図1は、図2におけるA−A面に沿って切断した断面である。SiCインゴット100は、種結晶10の第1面10Aに単結晶20が結晶成長している。
準備工程は、種結晶10を準備する工程である。種結晶10は、6インチ以上のSiCの単結晶である。種結晶10の結晶面は、種結晶10の第1面10Aに対してx方向に所定のオフセット角で傾いている。所定のオフセット角は、例えば2°以上6°以下である。種結晶10は、x方向の第1端10a側に、人工欠陥11を有する。人工欠陥11は、例えば、種結晶10の第1端10aから種結晶10の直径の25%以内の位置にある。人工欠陥11は、種結晶10の第1面10Aに形成される。
人工欠陥11は、その他の部分に対して結晶構造が乱れた部分である。人工欠陥11は、例えば、機械加工、イオン注入等により種結晶10の表面(第1面10A)に形成される。人工欠陥11は、結晶成長の過程において螺旋転位を生み出す発生起点となる。結晶構造が乱れた部分の上に結晶成長を行うと、結晶構造の乱れを解消しながら結晶成長が生じる。例えば、成長方向に平行な<0001>方向の乱れは、<0001>に平行なバーガーズベクトルを持つ螺旋転位やマイクロパイプ、フランク型の積層欠陥等に変換されて解消する。成長方向に垂直な<11−20>方向や<1−100>方向の乱れは、それらの方向にバーガーズベクトルを持つ、貫通刃状転位や基底面転位、ショックレー型の積層欠陥等に変換されて解消する。
成長工程は、種結晶10の第1面10Aに単結晶20を結晶成長させる工程である。成長工程では、単結晶20の径(直径)を、結晶成長するにつれて種結晶10の径(直径)から大きくする。結晶径は、例えば、昇華法において単結晶20に至る昇華ガスの流れを、テーパー部材等により制御すると、拡大する。結晶成長後の単結晶20の径は、例えば、種結晶10の径より2mm以上大きくする。
成長工程は、成長前半と、成長後半とに分けられる。成長前半は、種結晶10のx方向の中心10cにおける成長量h3が8mm未満までの成長を指す。成長後半は、種結晶10のx方向の中心10cにおける成長量h3が8mm以上の成長を指す。中心10cは、x方向の中心線c1と第1面10Aとの交点であり、種結晶10の第1面10Aにおけるx方向の中心である。成長量h3は、成長工程において単結晶20のx方向の中心20cから種結晶10の第1面10Aに下した垂線の高さである。ここで、中心20cは、x方向の中心線c1と結晶成長面20Aとの交点である。成長前半は結晶成長の初期であり、結晶成長が安定化していない。成長後半は、結晶成長が安定化し、成長空間の条件を整えることで結晶成長を制御できる。
本実施形態に係るSiCインゴットの製造方法では、成長後半において、単結晶20の第1端20aにおける成長量h1を、第2端20bにおける成長量h2より小さくする。第1端20aは、単結晶20の人工欠陥11が設けられた側のx方向の端部である。第2端20bは、x方向において単結晶20の第1端20aと反対側の端部である。単結晶20の結晶成長面20Aと側面20Bとが連続的に繋がり、第1端20a及び第2端20bを明確に定義できない場合は、z方向からの平面視で、最外端となる位置から1mm内側に入った位置を第1端20a、第2端20bとする。
第1端20aにおける成長量h1と第2端20bにおける成長量h2との差Δhは、好ましくは1.0mm以上であり、より好ましくは1.5mm以上であり、さらに好ましくは2.0mm以上である。
第1端20aにおける成長量h1を、第2端20bにおける成長量h2より小さくする方法は、特に限定されるものではないが、様々な方法がある。以下、いくつかの方法を例示する。
まず第1の方法について説明する。図3及び図4は、第1の方法を模式的に示す図である。SiCインゴットは、例えば、昇華法により製造される。図3及び図4に示す製造装置は、坩堝30と回転台40と加熱装置50とを有する。
坩堝30は、内部に種結晶10及び原料31を設置できる。種結晶10は、原料31と対向する位置に設置される。単結晶20は、原料31が昇華し、種結晶10の第1面10Aで再結晶化することで得られる。坩堝30は、回転台40に支持され、回転台40が回転することで回転する。加熱装置50は、坩堝30の周囲を囲む。
第1の方法では、種結晶10を囲む加熱装置50の中心を、種結晶10の中心より第2端20b側にずらす。すなわち、加熱装置50の中心線c2を種結晶10の中心線c1より第2端20b側にずらす。加熱装置50の中心線c2は、z方向から見た際に加熱装置50で囲まれる領域の中心軸である。単結晶20は、等温面に沿って結晶成長する。等温面は、加熱装置50の中心線c2を基準にx方向及びy方向にほぼ対称になる。加熱装置50の中心線c2と種結晶10の中心線c1とをずらすと、結晶成長面20Aの近傍における等温面は、中心線c1に対して非対称となる。その結果、加熱装置50の中心線c2に近い第2端20b側の結晶成長が、第1端20aにおける結晶成長より促進され、第1端20aにおける成長量h1が、第2端20bにおける成長量h2より小さくなる。
図3は、第1の方法の一例であり、坩堝30の中心に種結晶10を設置し、坩堝30ごと種結晶10の中心線c1を加熱装置50の中心線c2に対してずらしている。図4は、第1の方法の別の例であり、種結晶10を設置する位置を坩堝30の中心からずらすことで、種結晶10の中心線c1を加熱装置50の中心線c2に対してずらしている。
次いで、第2の方法について説明する。図5は、第2の方法を模式的に示す図である。図5(a)は、第2の方法における製造装置の斜視図であり、図5(b)は第2の方法における製造装置の断面図である。
図5に示す製造装置は、坩堝30と断熱材60とを有する。坩堝30の周囲は、図3及び図4と同様に、加熱装置で囲まれている。まず第1の方法と同様に、坩堝30の内部に種結晶10を設置する。種結晶10は、坩堝30の中心(加熱装置の中心線と重なる位置)に設置する。次いで、坩堝30に断熱材60を設置する。断熱材60は、坩堝30内部における種結晶10が設置された設置面30Aと坩堝30の壁を介して対向する位置に設置する。断熱材60は、開口部60Aを有する。開口部60Aの中心は、種結晶10の中心に対して第2端20b側にずれている。すなわち、開口部60Aの中心線c3は、種結晶10の中心線c1に対して第2端20b側にずれている。
第1の方法でも記載のように、単結晶20は、等温面に沿って結晶成長する。種結晶10の中心線c1に対して非対称な開口部60Aを有する断熱材60を坩堝30に設置すると、坩堝30内の等温面が中心線c1に対して非対称となる。その結果、開口部60Aの中心線c3に近い第2端20b側の結晶成長が、第1端20aにおける結晶成長より促進され、第1端20aにおける成長量h1が、第2端20bにおける成長量h2より小さくなる。
またこの他、単結晶20に至るガスの流れを制御するテーパー部材の形状を、中心線c1に対して非対称にしてもよいし、種結晶10が設置される台座の一部を加工して種結晶10の第1面10Aと原料31との距離をx方向の位置によって変えてもよい。
また単結晶20のx方向の中心20cにおける単結晶20の成長量h3は、第1端20a及び第2端20bにおける成長量h1、h2より大きくすることが好ましい。結晶成長面20Aが凸状になり、欠陥の発生を抑制できる。
また単結晶20の中心20cにおける成長量h3は、好ましくは第1端20aにおける成長量h1より2%以上大きくし、より好ましくは第1端20aにおける成長量h1より5%以上12%以下だけ大きくする。単結晶20の中心20cにおける成長量h3は、好ましくは第2端20bにおける成長量h2より1%以上大きくし、より好ましくは第2端20bにおける成長量h2より4%以上11%以下だけ大きくする。第1端20a、第2端20b及び中心20cの成長量h1、h2、h3を制御することで、結晶成長面20Aの形状を制御できる。単結晶20の各点における成長量h1、h2、h3は、結晶成長面20A近傍の等温面を制御することで調整できる。
また単結晶20の中心20cと第1端20aとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率は、単結晶20の中心20cと第2端20bとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率より大きくすることが好ましい。第1端20aにおける接線と中心20cにおける接線との差角をΔα、第2端20bにおける接線と中心20cにおける接線との差角をΔβ、オフセット角をθとした際に、Δαはθ<Δα<2θを満たすことが好ましく、Δβは0≦Δβ<Δαを満たすことが好ましい。ここで、各点における接線は、第1端20a又は第2端20bと中心20cとの高低差を真円の円弧に近似した場合における円弧の各点における接線である。
単結晶20の中心20cと第1端20aとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率は、結晶成長過程におけるc面ファセットの位置に影響を及ぼす。中心20cと第1端20aとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率が所定の範囲にあると、結晶成長過程においてc面ファセットが単結晶20の内部に移動することを抑制できる。単結晶20の中心20cと第2端20bとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率は、第2端20bの近傍における単結晶20の内部に生じる応力の大きさに影響を及ぼす。単結晶20の中心20cと第2端20bとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率が大きいと、単結晶20の内部に生じる応力が大きくなり、c面スリップ等により基底面転位が発生しやすくなる。基底面転位は、第1端20a近傍より第2端20b近傍で生じやすい。
本実施形態に係るSiCインゴットの製造方法によれば、結晶成長過程においてc面ファセットが、人工欠陥11に伴う螺旋転位発生箇所22の内部に生じ、異種多形の発生を抑制できる。また本実施形態に係るSiCインゴットの製造方法によれば、結晶成長面20Aが過度に湾曲することがなく、クラックや基底面転位(c面スリップ)の発生を抑制できる。
まずc面ファセットについて説明する。図6は、SiCインゴット100のx方向の第1端10a側の要部を拡大した図である。単結晶20は、種結晶10上に成長している。種結晶10及び単結晶20の結晶面CSは、オフセット角θで第1面10Aに対してx方向に傾いている。単結晶20の結晶成長面20Aは、z方向に凸状に形成される。結晶成長面20Aがz方向に凸状の場合、結晶成長面20Aの一部は結晶面CSと平行になる。結晶成長面20Aにおいて、結晶面CSと平行な面がc面ファセットFである。c面ファセットFは結晶面CSと平行であり、c面((0001)面)が露出しているとも言える。単結晶20内において、c面ファセットが形成された位置は、軌跡21として確認できる。
c面ファセットFは、結晶成長面20Aのc面ファセットF以外の部分と結晶成長の挙動が異なる。図7は、c面ファセットFとその他の部分との結晶成長の違いを示す図である。図7(a)は、ステップフロー成長する部分における結晶成長を示す図であり、図7(b)はc面ファセットFにおける結晶成長を示す図である。
図7(a)に示すように、c面ファセットF以外の結晶成長面20Aでは、ステップフロー成長が生じる。ステップフロー成長は、a面方向(<11−20>方向)に結晶が成長する。単結晶20は、a面方向に結晶が成長することで、全体としてz方向に成長する。ステップフロー成長は、a面の情報を引き継いで結晶成長する。
SiCは、3C−SiC、4H−SiC、6H−SiC等の多形を有する。多形は、c面方向(<0001>方向)から見た際の最表面構造に違いはないが、a面方向(<11−20>方向)から見た構造は異なる。ステップフロー成長は、a面方向に結晶が成長するため、多形が生じにくい。
これに対し、図7(b)に示すようにc面ファセットFは、c面が露出している。c面ファセットFでは、c面方向に結晶が島状成長する。上述のように、SiCの多形はc面方向では区別できず、c面方向に結晶が成長する際にどの結晶構造となるかは確定しない。そのためc面ファセットFでは、多形が発生しやすくなる。
次いで、c面ファセットFと人工欠陥11に伴う螺旋転位発生箇所22とが重なると異種多形が抑制される理由について説明する。図8は、c面ファセットFに螺旋転位SDが存在する場合における結晶成長を示す図である。
螺旋転位SDは、螺旋状の欠陥である。螺旋転位の周りを一回りすると、格子面が螺旋階段のように1格子面だけ上がる又は下がる。結晶表面に露出した螺旋転位SDの近傍は、表面にステップがみられる。結晶は、螺旋転位SDの近傍において渦巻き成長する。渦巻き成長は、a面方向に結晶が成長するため、多形が生じにくい。
螺旋転位発生箇所22は、螺旋転位SDが発生しやすい部分である。螺旋転位発生箇所22においては、人工欠陥11による結晶構造の乱れを解消しようとするため、螺旋転位SDが発生する。螺旋転位発生箇所22とc面ファセットFとの位置が重なると、c面ファセットFに螺旋転位SDが存在する可能性が高く、異種多形の発生を抑制できる。
また本実施形態に係るSiCインゴットの製造方法によれば、結晶成長過程においてc面ファセットFが、螺旋転位発生箇所22の内部に生じる理由を説明する。
図9は、比較例1に係る成長過程のSiCインゴットの断面図である。図9に示すSiCインゴット101は、単結晶25の形状が図1と異なる。単結晶25は、第1端25aと第2端25bのz方向の高さ位置が等しく、第1端25aにおける成長量h1と第2端25bにおける成長量h2とが等しい。
SiCインゴットの径が大きくなり、かつ、第1端25aと第2端25bのz方向の高さ位置が等しいと、結晶成長面25Aの湾曲量が小さくなる。結晶成長面25Aの湾曲量が小さいと、c面ファセットが形成される位置は、第1端25aに近づいていく。単結晶25が種結晶10に対して拡径している場合、z方向からの平面視で人工欠陥11より外側に単結晶(拡径部)が形成される。拡径部は、螺旋転位発生箇所22より外側に位置する。拡径部では螺旋転位が発生しにくいため、拡径部にc面ファセットが形成されると、異種多形が発生しやすくなる。
これに対し、本実施形態に係るSiCインゴットの製造方法は、単結晶20の第1端20aにおける成長量h1を、第2端20bにおける成長量h2より小さくする。その結果、単結晶20の中心20cと第1端20aとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率が、単結晶20の中心20cと第2端20bとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率より大きくなり、c面ファセットが拡径部に至ることを抑制できる。また単結晶20の中心20cと第2端20bとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率を、単結晶20の中心20cと第1端20aとを繋ぐ結晶成長面20Aの曲率より小さくすることで、結晶成長面20Aが過度に湾曲し単結晶20内に大きな応力が生じることを抑制でき、クラックや基底面転位(c面スリップ)の発生を抑制できる。
「SiCインゴット」
図10は、本実施形態に係るSiCインゴットの断面図である。図10に示すSiCインゴット102は、種結晶10と単結晶90とを有する。図10に示すSiCインゴット102は、図1に示すSiCインゴット100を最後まで結晶成長させたものである。
単結晶90の第1端90aの高さH1は、第2端90bの高さH2より低い。第1端90aの高さH1は、第2端90bの高さH2より1.0mm以上低く、好ましくは1.5mm以上低く、より好ましくは2.0mm以上低い。
また単結晶90のx方向の中心90cにおける高さH3は、第1端90a及び第2端90bにおける高さH1、H2より高いことが好ましい。
また中心90cの高さH3は、好ましくは第1端90aの高さH1より2%以上高く、より好ましくは第1端90aの高さH1より5%以上12%以下高い。中心20cの高さH3は、好ましくは第2端90bの高さH2より1%以上高く、より好ましくは第2端90bの高さH2より4%以上11%以下高い。
また中心90cと第1端90aとを繋ぐ第1面90Aの曲率は、中心90cと第2端90bとを繋ぐ第1面90Aの曲率より大きくすることが好ましい。第1端90aにおける接線と中心90cにおける接線との差角をΔα、第2端90bにおける接線と中心90cにおける接線との差角をΔβ、オフセット角をθとした際に、Δαはθ<Δα<2θを満たすことが好ましく、Δβは0≦Δβ<Δαを満たすことが好ましい。ここで、各点における接線は、第1端90a又は第2端90bと中心90cとの高低差を真円の円弧に近似した場合における円弧の各点における接線である。
本実施形態に係るSiCインゴット102は、c面ファセットが形成された軌跡91と螺旋転位発生箇所92とが重なっている。したがって、単結晶20内に多形を有さず、多形を起点に+x方向に繋がる欠陥が抑制されている。したがって、本実施形態に係るSiCインゴット102は、異種多形及び結晶欠陥が少なく、高品質なSiCウェハを効率的に得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態の一例について詳述したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内にお
いて、種々の変形・変更が可能である。
10 種結晶
10a、20a、25a、90a 第1端
10c、20c、25c、90c 中心
10A、90A 第1面
11 人工欠陥
20、25、90 単結晶
20A、25A、90A 結晶成長面
20b、25b、90b 第2端
20B 側面
21、91 軌跡
22、92 螺旋転位発生箇所
30 坩堝
30A 設置面
31 原料
40 回転台
50 加熱装置
60 断熱材
60A 開口部
100、101、102 SiCインゴット
c1、c2、c3 中心線
CS 結晶面
F c面ファセット
h1、h2、h3 成長量
SD 螺旋転位

Claims (7)

  1. 第1方向に2°以上6°以下のオフセット角を有し、第1方向の第1端側に人工欠陥を
    有する直径6インチ以上の種結晶を準備する準備工程と、
    前記種結晶の第1面に単結晶を結晶成長させる成長工程と、を有し、
    前記成長工程において、前記単結晶の径は、結晶成長するにつれて前記種結晶の径から
    大きくなり、
    前記成長工程は、前記種結晶の前記第1方向の中心における成長量が8mm未満である
    成長前半と、前記成長前半以降の成長後半と、に分けられ、
    前記成長後半において、前記第1方向の第1端における成長量を、前記第1方向におけ
    る前記第1端と反対側の第2端における成長量より小さくする、SiCインゴットの製造
    方法。
  2. 前記成長工程において、前記種結晶を囲む加熱装置の中心を、前記種結晶の中心より前
    記第2端側にずらす、請求項1に記載のSiCインゴットの製造方法。
  3. 前記成長工程は、
    前記種結晶を坩堝の設置面に設置する工程と、
    前記坩堝の壁を介して前記設置面と対向する面に、開口部を有する断熱材を設置する工程と、を有し、
    前記断熱材の前記開口部の中心は、前記種結晶の中心に対して前記第2端側にずれてい
    る、請求項1又は2に記載のSiCインゴットの製造方法。
  4. 第1方向に2°以上6°以下のオフセット角を有し、第1方向の第1端側に人工欠陥を
    有する直径6インチ以上の種結晶と、
    前記種結晶の第1面に積層された単結晶と、を備え、
    前記単結晶は、前記種結晶の前記第1面から積層方向に拡径しており、
    前記単結晶の第1方向の第1端の前記第1面に対する高さは、前記第1端と反対側の第
    2端の前記第1面に対する高さより1mm以上低い、SiCインゴット。
  5. 前記単結晶の前記第1方向の中心の前記第1面に対する高さは、前記第1端及び前記第
    2端の前記第1面に対する高さより高い、請求項4に記載のSiCインゴット。
  6. 前記単結晶の前記第1方向の中心と前記第1端とを繋ぐ曲線の曲率は、前記単結晶の前
    記第1方向の中心と前記第2端とを繋ぐ曲線の曲率より大きい、請求項4又は5に記載の
    SiCインゴット。
  7. 前記人工欠陥は、前記種結晶の第1端から前記種結晶の直径の25%以内の位置にある
    、請求項4〜6のいずれか一項に記載のSiCインゴット。
JP2020098609A 2019-06-26 2020-06-05 SiCインゴットの製造方法及びSiCインゴット Active JP7415810B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019118708 2019-06-26
JP2019118708 2019-06-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021004166A true JP2021004166A (ja) 2021-01-14
JP7415810B2 JP7415810B2 (ja) 2024-01-17

Family

ID=74097760

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020098609A Active JP7415810B2 (ja) 2019-06-26 2020-06-05 SiCインゴットの製造方法及びSiCインゴット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7415810B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4924290B2 (ja) 2007-08-28 2012-04-25 株式会社デンソー 炭化珪素単結晶の製造装置およびその製造方法
JP6722578B2 (ja) 2016-12-26 2020-07-15 昭和電工株式会社 SiCウェハの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7415810B2 (ja) 2024-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101936007B1 (ko) 탄화규소 단결정의 제조 방법 및 탄화규소 단결정 기판
JP5276068B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
US10837123B2 (en) Method of manufacturing SiC ingot
EP1895573A1 (en) Silicon carbide single-crystal wafer and process for producing the same
JP2019189499A (ja) SiC単結晶成長装置およびSiC単結晶の成長方法
JP5012655B2 (ja) 単結晶成長装置
US20230268177A1 (en) SiC EPITAXIAL WAFER AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME
JP2010076967A (ja) 炭化ケイ素基板の製造方法および炭化ケイ素基板
JP2021050112A (ja) 炭化珪素単結晶ウェハ及び炭化珪素単結晶インゴットの製造方法
JP6583989B2 (ja) SiC単結晶シード、SiCインゴット、SiC単結晶シードの製造方法及びSiC単結晶インゴットの製造方法
JP5397503B2 (ja) 単結晶成長装置
JP7415810B2 (ja) SiCインゴットの製造方法及びSiCインゴット
CN109952393B (zh) SiC单晶复合体和SiC锭
JP6986960B2 (ja) 炭化珪素単結晶インゴット、炭化珪素単結晶の製造方法
JP7005122B2 (ja) SiCシード及びSiCインゴット
JP7038756B2 (ja) SiCウェハ及び半導体デバイスの製造方法
CN110088363B (zh) SiC锭的制造方法
WO2018105317A1 (ja) シリコン単結晶製造方法及びシリコン単結晶ウェーハ
JP2023127894A (ja) 炭化珪素単結晶およびその製造方法
JP2017119596A (ja) SiC単結晶接合体、SiC単結晶接合体の製造方法、SiCインゴットの製造方法及びSiCウェハの製造方法
EP3604631A1 (en) Method for manufacturing group iii-nitride semiconductor substrate, group iii-nitride semiconductor substrate, and bulk crystal
JP2024081427A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法および炭化珪素単結晶
CN117822109A (zh) 碳化硅单晶的制造方法和碳化硅单晶锭
JP2010241619A (ja) 炭化ケイ素単結晶の製造方法
JP2017088416A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221220

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230131

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20230201

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231218

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7415810

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151