JP5189156B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、SiC単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくは、欠陥の少ないSiC単結晶を製造することが可能なSiC単結晶の製造方法に関する。
SiC(炭化ケイ素)は、六方晶系の結晶構造を持つ高温型(α型)と、立方晶系の結晶構造を持つ低温型(β型)が知られている。SiCは、Siに比べて、耐熱性が高いだけでなく、広いバンドギャップを持ち、絶縁破壊電界強度が大きいという特徴がある。そのため、SiC単結晶からなる半導体は、Si半導体に代わる次世代パワーデバイスの候補材料として期待されている。特に、α型SiCは、β型SiCよりバンドギャップが広いので、超低電力損失パワーデバイスの半導体材料として注目されている。
α型SiCは、その主要な結晶面として{0001}面(以下、これを「c面」ともいう)と、{0001}面に垂直な{1−100}面及び{11−20}面(以下、これらを総称して「a面」ともいう)とを有している。
従来より、α型SiC単結晶を得る方法として、c面成長法が知られている。ここで、「c面成長法」とは、c面又はc面に対するオフセット角が所定の範囲にある面を成長面として露出させたSiC単結晶を種結晶に用いて、昇華再析出法などの方法により成長面上にSiC単結晶を成長させる方法をいう。
しかしながら、c面成長法により得られる単結晶中には、<0001>方向に平行な方向にマイクロパイプ欠陥(直径数μm〜100μm程度の管状の空隙)やc軸貫通型螺旋転位(以下、単に「螺旋転位」という)などの欠陥が非常に多く発生するという問題があった。
高性能なSiCパワーデバイスを実現するためには、SiC半導体に生じるリーク電流を低減することが必須条件である。SiC単結晶に生じるマイクロパイプ欠陥、螺旋転位などの欠陥は、このリーク電流を増大させる原因と考えられている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、c面からの傾きが約60°〜約120°である面(例えば、{1−100}面、{11−20}面など)を成長面として露出する種結晶を用いて、SiC単結晶を成長させるSiC単結晶の成長方法(以下、このような成長方法を「a面成長法」という)が開示されている。
同文献には、
(1)c面から約60〜120°傾いている結晶面上にSiCを成長させると、その結晶面上に原子積層の配列が現れているため、元の種結晶と同じ種類の多形構造を持つ結晶が容易に成長する点、
(2)このような方法を用いた場合、螺旋転位は発生しない点、及び、
(3)種結晶がc面に滑り面を有する転位を含む場合、この転位は、成長結晶に引き継がれる点、
が記載されている。
また、特許文献2には、{10−10}面を成長面とする種結晶を用いてSiCを成長させ、次いで、得られた単結晶から{0001}ウェハを取り出し、このウェハを種結晶に用いてSiCを成長させるSiC単結晶の成長方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、
(1)マイクロパイプ欠陥の少ないSiC単結晶が得られる点、及び、
(2)アチソン結晶に比べて十分大きな{0001}ウェハが得られるので、これを種結晶として用いることにより、容易に大型の結晶を成長させることができる点、
が記載されている。
また、特許文献3、4には、互いに直交する方向に複数回のa面成長を行った後、最後にc面成長させるSiC単結晶の製造方法が開示されている。
同文献には、
(1)a面成長の繰り返し回数が多くなるほど、成長結晶中の転位密度が指数関数的に減少する点、
(2)a面成長においては、積層欠陥の発生が避けられない点、及び、
(3)最後にc面成長を行うと、マイクロパイプ欠陥及び螺旋転位が発生しないだけでなく、積層欠陥がほとんど存在しないSiC単結晶が得られる点、
が記載されている。
さらに、特許文献5には、{0001}面よりオフセット角度60度以内の面を成長面として有し、成長面上に螺旋転位発生可能領域を有する転位制御種結晶を用いて、SiCを成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法が開示されている。
同文献には、このような転位制御種結晶を用いることにより、c面ファセット内に螺旋転位を確実に形成することができるので、異種多形や異方位結晶の生成を抑制することができる点が記載されている。
a面成長法は、螺旋転位密度の低いSiC単結晶が得られるという利点がある。しかしながら、a面成長法は、c面にほぼ平行な高密度の積層欠陥が生成しやすいという問題がある。SiC単結晶中に積層欠陥が発生すると、積層欠陥を横切る方向の電気抵抗が増大する。そのため、このような積層欠陥を高密度に有するSiC単結晶は、パワーデバイス用の半導体として使用することができない。
一方、a面成長を少なくとも1回以上行った後、c面成長を行うと、螺旋転位及び積層欠陥をほとんど持たないSiC単結晶を作製できると考えられている。
しかしながら、a面成長法により得られた結晶から作製された種結晶は、螺旋転位をほとんど持たない。そのため、c面成長時に成長結晶の表面に形成されるc面ファセット内には、種結晶の多形を成長結晶中に伝達するためのステップ供給源がない。その結果、c面ファセット上に異種多形や異方位結晶が部分的に形成され、それらが進展成長することで成長結晶中に再び螺旋転位がランダムに発生する場合があった。
これに対し、特許文献5に開示されるように、成長の初期から螺旋転位を発生可能な領域を有する転位制御種結晶を作製し、これを用いてSiC単結晶を成長させると、異種多形や異方位結晶の生成を抑制することができる。
しかしながら、その後の詳細な評価により、種結晶中には<0001>方向の螺旋転位が殆ど存在しないにもかかわらず、種結晶と成長結晶の界面から比較的多くの螺旋転位が発生する場合があることがわかった。
一方、成長面のオフセット角が比較的大きい場合には、種結晶と成長結晶の界面から螺旋転位は発生しにくいが、異種多形抑制のために導入した螺旋転位発生領域から、オフセット方向下流方向に伝搬する積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)が発生しやすいことが明らかになった。この現象は、オフセット角が大きいほど顕著であった。また、螺旋転位発生領域に、さらに結晶構造を乱すような処理を加える場合、積層欠陥の発生密度はより高くなることも明らかになった。
以上のように、比較的小さいオフセット角で成長する場合に発生する螺旋転位と、比較的大きいオフセット角で成長する場合に発生する積層欠陥は、二律背反の関係にあり、更なる高品質化の妨げになっていた。
特開平05−262599号公報 特開平08−143396号公報 特開2003−119097号公報 特開2003−321298号公報 特開2004−323348号公報
本発明が解決しようとする課題は、異種多形の混入が無く、かつ、積層欠陥や螺旋転位などの欠陥が少ない高品質なSiC単結晶を製造することが可能なSiC単結晶の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記SiC単結晶の製造方法は、
SiCからなる第1種結晶を用いて第1SiC単結晶を成長させる第1成長工程と、
得られた第(k−1)SiC単結晶(2≦k≦n)から第k種結晶を切り出し、前記第k種結晶を用いて第kSiC単結晶を再成長させる第k成長工程を(n−1)回(n≧2)繰り返す再成長工程と
を備えている。
(2)前記第1種結晶の成長面のオフセット角θ1は、4°<θ1≦30°である。
(3)(n−1)回(n≧2)の前記第k成長工程の内、少なくとも1回は、前記第k種結晶(2≦k≦n)の成長面のオフセット角θkと前記第(k−1)種結晶の成長面のオフセット角θk-1との間に、θk<θk-1の関係を満たす工程がある。
(4)前記第n種結晶の成長面のオフセット角θnは、θn<θ1である。
(5)前記第k種結晶(1≦k≦n)は、すべてオフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を有する。
第1種結晶を用いて第1SiC単結晶を成長させる場合において、第1種結晶の成長面のオフセット角θ1を相対的に大きくすると、第1種結晶に含まれる螺旋転位が積層欠陥に変換されて成長結晶外に排出される割合が増大する。そのため、螺旋転位密度の高い低品位の単結晶から第1種結晶を切り出した場合であっても、種結晶と比較して相対的に螺旋転位密度の低い第1SiC単結晶が得られる。
次に、得られた第(k−1)SiC単結晶から第k種結晶を切り出し、第k種結晶を用いて第kSiC単結晶を成長させる場合において、第k種結晶の成長面のオフセット角θkを第(k−1)種結晶の成長面のオフセット角θk-1より小さくすると、螺旋転位発生領域からの積層欠陥の発生を抑制することができる。また、直前の高オフセット角成長により積層欠陥のかなりの割合が成長結晶外に排出されているので、残存している積層欠陥から螺旋転位への変換も少ない。
本発明に係るSiC単結晶の製造方法の第1具体例を示す概念図である。 本発明に係るSiC単結晶の製造方法の第2具体例を示す概念図である。 本発明に係るSiC単結晶の製造方法の第3具体例を示す概念図である。 従来のa面成長法+c面成長法(低オフセット角成長)を用いたSiC単結晶の製造方法の一例を示す図である。 低オフセット角成長時の単結晶の成長過程を示す模式図である。 従来のa面成長法+c面成長法(高オフセット角成長)を用いたSiC単結晶の製造方法の一例を示す図である。 高オフセット角成長時の単結晶の成長過程を示す模式図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 用語の定義]
[1.1. 成長面]
「成長面」とは、SiCからなる新たな単結晶を成長させるための種結晶の面をいう。
例えば、昇華析出法を用いてSiC単結晶を製造する場合、低温部に種結晶を配置し、高温部にSiC原料を配置し、高温部で昇華させたSiCガスを種結晶表面に析出させる。この場合、「成長面」とは、SiC種結晶の露出面の内、その法線ベクトルが坩堝中心軸原料方向成分を有する面をいう。「坩堝中心軸原料方向」とは、SiC種結晶から原料に向かう方向であって、坩堝の中心軸に対して平行な方向をいう。換言すれば、「坩堝中心軸原料方向」とは、SiC単結晶のマクロな成長方向を表し、通常は、SiC種結晶の底面又はこれを固定する種結晶台座の底面に対して垂直な方向をいう。
本発明において、種結晶の成長面は、実質的に単一面からなる。
「単一面」とは、後述するオフセット角が一定である面をいう。例えば、種結晶が角板、円板等の板状である場合、「成長面」とは、板の上面をいう。また、種結晶が円錐、角錐等の錐状である場合、「成長面」とは、錐面をいう。
「実質的に単一面」とは、成長面の一部にオフセット角の異なる面(例えば、板の上面の角部を面取りすることにより形成される面)が含まれていても良いことをいう。但し、オフセット角の異なる面の割合が大きくなると、種結晶の加工が煩雑になるので好ましくない。成長面の総面積S0に対する、オフセット角が一定である最大面の面積S1の割合(=S1×100/S0(%))は、具体的には、90%以上が好ましい。
[1.2. オフセット角、オフセット方向]
「成長面のオフセット角」とは、成長面(オフセット角が一定である最大面)の法線ベクトルと、SiC種結晶の{0001}面の法線ベクトルとのなす角をいう。
「オフセット方向」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを成長面上に投影したベクトルの方向をいう。
「オフセット方向の上流側」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを成長面上に投影したベクトルの先端が向いている側をいう。
「オフセット方向の下流側」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを成長面上に投影したベクトルの先端が向いている側とは反対の側をいう。
「オフセット方向の上流側端部」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを成長面上に投影したベクトルの先端が向いている側であって、結晶学的に最上位の{0001}面がある部分をいう。
「オフセット方向の下流側端部」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを成長面上に投影したベクトルの先端が向いている側とは反対の側であって、結晶学的に最下位の{0001}面がある部分をいう。
「{0001}面内におけるオフセット傾斜方向」とは、オフセット方向の下流側端部から上流側端部に向かうベクトルをc面上に投影したときに、投影ベクトルの先端が向いている側をいう。
[2. SiC単結晶の製造方法]
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、第1成長工程と、再成長工程とを備えている。
[2.1. 第1成長工程]
第1成長工程は、第1種結晶を用いて第1SiC単結晶を成長させる工程である。
[2.1.1. 第1種結晶を切り出す単結晶]
成長の最初に用いる第1種結晶を切り出すSiC単結晶の履歴は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、本発明に係る方法は、低品位の種結晶から高品位の単結晶を得る方法であるため、第1種結晶は、必ずしも高品位である必要はない。
第1種結晶を切り出すためのSiC単結晶としては、例えば、
(a)a面成長法により得られ、積層欠陥密度が相対的に高いSiC単結晶、
(b)c面成長法により得られ、螺旋転位密度が相対的に高いSiC単結晶、
(c)繰り返しa面成長法+c面成長法により得られ、欠陥密度が相対的に低いSiC単結晶、
(d)繰り返しa面成長法+c面成長法により得られ、a面成長結晶から引き継いだ積層欠陥を相対的に多量に含むSiC単結晶、
(e)螺旋転位発生領域が設けられた種結晶をc面成長させることにより得られ、螺旋転位発生領域から生成した高密度の螺旋転位を含むSiC単結晶、
などがある。
[2.1.2. 第1種結晶のオフセット角θ1
第1種結晶のオフセット角θ1が小さすぎると、種結晶と成長結晶の界面から比較的多くの螺旋転位が発生する場合がある。また、種結晶内の基底面内刃状転位の螺旋転位への変換を抑制するためには、オフセット角θ1は、大きいほどよい。従って、第1種結晶のオフセット角θ1は、θ1>4°である必要がある。θ1は、さらに好ましくは、θ1≧8°である。
一方、オフセット角θ1が大きくなりすぎると、第1種結晶から成長結晶に引き継がれた積層欠陥を成長結晶外に排出するために、より高い成長高さが必要となる。また、オフセット角θ1が大きくなりすぎると、成長結晶中に新たな積層欠陥が発生する場合がある。従って、オフセット角θ1は、θ1≦30°である必要がある。
種結晶を切り出すためのSiC単結晶として相対的に多量の積層欠陥を含むものを用いた場合において、種結晶の切り出し位置やオフセット角θ1によっては、種結晶の成長面に積層欠陥が露出する場合がある。本発明においては、このような種結晶であっても、高品位のSiC単結晶を製造するための第1種結晶として用いることができる。
また、第1種結晶の成長面に積層欠陥が露出する場合、積層欠陥露出領域が、後述する螺旋転位発生領域の外に来るように、第1種結晶を切り出すのが好ましい。すなわち、成長面のオフセット方向下流側に積層欠陥露出領域が来るように、第1種結晶を切り出すのが好ましい。このようにすることによって、成長の初期段階で積層欠陥を成長結晶から排出することができる。
[2.1.3. 螺旋転位発生領域]
第1種結晶は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を有する。
「螺旋転位発生領域」とは、c面ファセット(成長の最先端にあるc面)内に、異種多形の発生を抑制できる程度の高密度の螺旋転位を供給することが可能な領域をいう。
第1種結晶に螺旋転位発生領域を形成する方法としては、具体的には、
(1)螺旋転位を高密度に含む領域を残存させるようにa面成長させる方法(例えば、特許文献5参照)、
(2)SiC種結晶の表面に、結晶構造の乱れを発生させる処理(例えば、機械加工、イオン注入処理、レーザー加工など)を施す方法、
(3)螺旋転位を高度に含む基板をSiC種結晶に接触配置する方法、
(4)種結晶の表面の一部に後退部(へこみ、段差等)を設け、後退部にSiCを予備成長させる方法、
(5)通常のc面成長の繰り返しにおいて、オフセット方向下流側のみオフセット角が大きくなるように種結晶形状を成形し、オフセット方向下流側の螺旋転位のみを積極的に排出する方法、
(6)種結晶保持部の応力緩和や拡大成長などにより徐々に螺旋転位密度を低下させ、高品質化する際に、オフセット方向上流側の螺旋転位密度を一定値以上維持するために、意図的に結晶構造の乱れを発生させる処理を施す方法、
などがある。
これらの中でも、結晶構造を乱す処理(特に、機械加工処理)は、種結晶表面に比較的簡単に螺旋転位発生領域を形成することができるという利点がある。
なお、単結晶から引き継いだ螺旋転位発生領域を持つ場合、必ずしも、種結晶に人工的な処理を施す必要はない。しかしながら、単結晶から引き継いだ螺旋転位の密度が相対的に低い場合(例えば、後述する再成長を繰り返した場合)には、種結晶に人工的な処理を施すのが好ましい。
螺旋転位発生領域の面積は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、螺旋転位発生領域の面積が小さすぎると、c面ファセットの移動領域を十分にカバーできず、c面ファセットに十分な量の螺旋転位を供給するのが困難となる。従って、螺旋転位発生領域の面積は、成長面の面積の2%以上が好ましく、さらに好ましくは、5%以上である。
一方、螺旋転位発生領域の面積が大きくなるほど、c面ファセット内に確実に螺旋転位を供給することはできる。しかしながら、螺旋転位発生領域の面積が大きくなりすぎると、成長結晶全体に占める高品質領域の割合が低下する。従って、螺旋転位発生領域の面積率は、成長面の面積の50%以下が好ましく、さらに好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
[2.1.4. 第1SiC単結晶の成長方法]
SiC単結晶を成長させる方法としては、一般に、昇華析出法、高温溶液析出法、CVD法などが知られている。本発明においては、いずれの方法を用いても良い。特に、昇華析出法は、第1種結晶から第1SiC単結晶を成長させる方法として好適である。
単結晶の製造条件は特に限定されるものではなく、使用する成長方法に応じて、最適な条件を選択すれば良い。
また、c面ファセットの発生位置がオフセット方向上流側になるように制御するには、
(a)種結晶の成長面にオフセット角を設定する(特許文献5参照)、
(b)成長面上のファセットを発生させたい位置の放熱性を向上させる、
(c)ガス濃度を高くする、
などの方法がある。
成長初期のファセットの発生位置の制御には、オフセット角の設定が最も確実である。
[2.2. 再成長工程]
再成長工程は、得られた第(k−1)SiC単結晶(2≦k≦n)から第k種結晶を切り出し、前記第k種結晶を用いて第kSiC単結晶を再成長させる第k成長工程を(n−1)回(n≧2)繰り返す工程である。
[2.2.1. 第k種結晶を切り出す単結晶]
第k種結晶を切り出すSiC単結晶は、直前の成長工程で得られた第(k−1)SiC単結晶である。このような再成長を(n−1)回繰り返すことにより、低品位種結晶から高品位単結晶を製造することができる。
[2.2.2. 第k種結晶のオフセット角θk
積層欠陥と螺旋転位の双方を低減するためには、再成長工程において、少なくとも1回の高オフセット角(θk-1)成長と、これに引き続き少なくとも1回の低オフセット角(θk)成長とを行う必要がある。
すなわち、(n−1)回(n≧2)の第k成長工程の内、少なくとも1回は、第k種結晶(2≦k≦n)の成長面のオフセット角θkと第(k−1)種結晶の成長面のオフセット角θk-1との間に、θk<θk-1の関係を満たす工程がある必要がある。
また、積層欠陥と螺旋転位の双方を高度に低減するためには、再成長工程において、オフセット角θkを段階的に小さくするのが好ましい。すなわち、(n−1)回(n≧2)の前記第k成長工程は、すべてθk<θk-1の関係を満たしているのが好ましい。
(n−1)回の再成長工程において、オフセット角θkを段階的に小さくした場合、必然的に第n種結晶の成長面のオフセット角θnは、θn<θ1となる。
一方、(n−1)回の再成長工程において、少なくとも1回の高オフセット角成長→低オフセット角成長を行った場合、他の工程は、θk>θk-1(すなわち、低オフセット角成長→高オフセット角成長)になっていても良い。しかしながら、このような場合においても、第n種結晶の成長面のオフセット角θnは、θn<θ1とする必要がある。このようにすることによって、最後(n回目)の成長工程において、成長結晶中に積層欠陥が流入するのを抑制することができる。
積層欠陥の少ない単結晶を得るためには、θnは、小さいほどよい。θnは、具体的には、θn≦15°が好ましい。θnは、さらに好ましくは、θn≦8°、さらに好ましくは、θn≦4°である。特に、θn≦4°とすると、螺旋転位発生領域からの積層欠陥の発生は、ほとんどない。
第k種結晶のオフセット角θkが相対的に小さい場合において、第k種結晶の切り出し位置やオフセット角θkによっては、第k種結晶の成長面に第(k−1)種結晶から第(k−1)SiC単結晶に引き継がれた積層欠陥が露出する場合がある。成長面に積層欠陥が露出している種結晶を用いて低オフセット角成長を行うと、露出している積層欠陥が螺旋転位に変換されやすくなる。
具体的には、第k成長工程(2≦k≦n)は、第k種結晶の成長面のオフセット角θkが4°以下になる場合において、第k種結晶の成長面上に第(k−1)種結晶から第(k−1)SiC単結晶に引き継がれた積層欠陥が露出しないように、第(k−1)SiC単結晶から第k種結晶を切り出すのが好ましい。
[2.2.3. Δθn
高オフセット角成長→低オフセット角成長を行うことによって、螺旋転位と積層欠陥の双方を同時に低減するためには、θnとθ1との差Δθn(=θn−θ1)は、大きいほどよい。具体的には、Δθnは、Δθn≦−2°が好ましい。Δθnは、さらに好ましくは、Δθn≦−4°である。
[2.2.4. 螺旋転位発生領域]
第k種結晶は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を有する。螺旋転位発生領域の詳細については、第1種結晶と同様であるので、説明を省略する。
[2.1.5. 第kSiC単結晶の成長方法]
第kSiC単結晶の成長方法の詳細については、第1SiC単結晶の成長方法と同様であるので、説明を省略する。
[2.2.6. 第k種結晶の切り出し方向]
螺旋転位と積層欠陥の双方を同時に低減するためには、{0001}面に対して垂直方向から見たときに、第k種結晶のオフセット方向上流側及び下流側と、第(k−1)種結晶のオフセット方向上流側及び下流側とがほぼ一致するように、第k種結晶を順次、切り出すのが好ましい。オフセット傾斜方向の差が大きくなるほど、第(k−1)種結晶から第(k−1)SiC単結晶に引き継がれた積層欠陥が第k種結晶の成長面上に露出する割合が大きくなる。
すなわち、(n−1)回(n≧2)の第k成長工程は、すべて第k種結晶(2≦k≦n)のc面内におけるオフセット傾斜方向が、第(k−1)種結晶のc面内におけるオフセット傾斜方向に対して、±45°の範囲にあるのが好ましい。
また、(n−1)回(n≧2)の第k成長工程は、すべて第k種結晶(2≦k≦n)のc面内におけるオフセット傾斜方向が、第(k−1)種結晶のc面内におけるオフセット傾斜方向に対して、±30°の範囲にあるのが好ましい。
さらに、(n−1)回(n≧2)の第k成長工程は、すべて第k種結晶(2≦k≦n)のc面内におけるオフセット傾斜方向が、第(k−1)種結晶のc面内におけるオフセット傾斜方向に対して、±10°の範囲にあるのが好ましい。
[3. 具体例]
[3.1. 第1具体例]
図1に、本発明に係るSiC単結晶の製造方法の第1具体例の概念図を示す。
図1(a)に、第1種結晶の断面模式図を示す。図1(a)に示す第1種結晶10は、種結晶の底面と{0001}面が非平行である、いわゆる「オフセット基板」であり、オフセット角θ1が相対的に大きい高オフセット角基板である。また、第1種結晶10は、a面成長結晶から切り出された板状の種結晶(a面成長基板)である。そのため、第1種結晶10は、{0001}面とほぼ平行な積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)を相対的に多量に含んでいる。さらに、第1種結晶10は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域が形成されている。
このような第1種結晶10を用いて1回目の成長(第1成長工程)を行うと、図1(b)に示すように、第1SiC単結晶(成長結晶)12が得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
しかしながら、高オフセット角成長を行う場合において、第1種結晶10の表面に螺旋転位発生領域(人工欠陥部)を形成すると、人工欠陥部から高密度の積層欠陥が発生する。また、第1種結晶10内に初めから存在していた積層欠陥もまた、成長結晶内に伝搬し、成長結晶外に排出される。すなわち、第1SiC単結晶12は、相対的に多量の積層欠陥を含んでいる。
次に、第1SiC単結晶12から、θ2<θ1となるように、かつ、オフセット傾斜方向がほぼ一致するように、第2種結晶10aを切り出す。図1(c)に、切り出された第2種結晶10aの断面模式図を示す。図1(c)に示す第2種結晶10aは、オフセット角θ2が相対的に小さい低オフセット角基板である。また、第1SiC単結晶12の成長高さ、第2種結晶10aの切り出し位置等を最適化すると、図1(c)に示すように、第1SiC単結晶12内に伝搬した積層欠陥が成長面上に露出していない第2種結晶10aが得られる。さらに、第2種結晶10aは、オフセット方向上流側端部に、第1SiC単結晶12から引き継いだ高密度の螺旋転位を含んでいる。そのため、切り出された第2種結晶10aをそのまま用いても良いが、図1(c)に示す例においては、オフセット方向上流側端部に、さらに結晶格子に歪みを与える処理を施している。
このような第2種結晶10aを用いて2回目の成長(第2成長工程)を行うと、図1(d)に示すように、第2SiC単結晶12aが得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
また、第2種結晶10aの表面に人工欠陥部を形成した場合であっても、オフセット角θ2が小さいために、人工欠陥部から発生した螺旋転位の一部が積層欠陥に変換され、オフセット方向の下流側に向かって流れ出すこともない。さらに、第1成長工程において、積層欠陥の大半が成長結晶外に排出されているので、オフセット方向の下流側にある高品質領域に露出している積層欠陥は少ない。そのため、種結晶と成長結晶の界面から螺旋転位が発生する確率も低い。
[3.2. 第2具体例]
図2に、本発明に係るSiC単結晶の製造方法の第2具体例の概念図を示す。
図2(a)に、第1種結晶の断面模式図を示す。図2(a)に示す第1種結晶20は、種結晶の底面と{0001}面が非平行である、いわゆる「オフセット基板」であり、オフセット角θ1が相対的に大きい高オフセット角基板である。また、第1種結晶20は、a面成長結晶から切り出された板状の種結晶(a面成長基板)である。そのため、第1種結晶20は、{0001}面とほぼ平行な積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)を相対的に多量に含んでいる。さらに、第1種結晶20は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域が形成されている。
このような第1種結晶20を用いて1回目の成長(第1成長工程)を行うと、図2(b)に示すように、第1SiC単結晶22が得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
しかしながら、高オフセット角成長を行う場合において、第1種結晶20の表面に螺旋転位発生領域(人工欠陥部)を形成すると、人工欠陥部から高密度の積層欠陥が発生する。また、第1種結晶20内に初めから存在していた積層欠陥もまた、成長結晶内に伝搬し、成長結晶外に排出される。すなわち、第1SiC単結晶22は、相対的に多量の積層欠陥を含んでいる。
次に、第1SiC単結晶22から、θ2<θ1となるように、かつ、オフセット傾斜方向がほぼ一致するように、第2種結晶20aを切り出す。図2(c)に、切り出された第2種結晶20aの断面模式図を示す。図2(c)に示す第2種結晶20aは、オフセット角θ2が中程度の中オフセット角基板である。また、第1SiC単結晶22の成長高さ、第2種結晶20aの切り出し位置等によっては、図2(c)に示すように、第1SiC単結晶22内に伝搬した積層欠陥が成長面上に露出している第2種結晶20aが得られる。さらに、第2種結晶20aは、オフセット方向上流側端部に、第1SiC単結晶12から引き継いだ高密度の螺旋転位を含んでいる。そのため、図2(c)に示す例においては、切り出された第2種結晶20aをそのまま用いている。
このような第2種結晶20aを用いて2回目の成長(第2成長工程)を行うと、図2(d)に示すように、第2SiC単結晶22aが得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
また、第2種結晶20aの表面に人工欠陥部を形成しない場合であっても、オフセット角θ2が比較的大きいために、螺旋転位発生領域から発生した螺旋転位の一部が積層欠陥に変換され、オフセット方向の下流側に向かって流れ出す。さらに、第2種結晶20aの表面に露出している積層欠陥の大半は、成長結晶外に排出されるが、その一部は、螺旋転位に変換され、成長結晶中に伝搬する。
次に、第2SiC単結晶22aから、θ3<θ2となるように、かつ、オフセット傾斜方向がほぼ一致するように、第3種結晶20bを切り出す。図2(e)に、切り出された第3種結晶20bの断面模式図を示す。図2(e)に示す第3種結晶20bは、オフセット角θ3が相対的に小さい低オフセット角基板である。また、第2SiC単結晶22aの成長高さ、第3種結晶20bの切り出し位置等によっては、図2(e)に示すように、第2SiC単結晶22a内に伝搬した積層欠陥が成長面上に露出していない第3種結晶20bが得られる。さらに、第3種結晶20bは、オフセット方向上流側端部に、第2SiC単結晶22aから引き継いだ高密度の螺旋転位を含んでいる。そのため、図2(e)に示す例においては、切り出された第3種結晶20bをそのまま用いている。
このような第3種結晶20bを用いて3回目の成長(第3成長工程)を行うと、図2(f)に示すように、第3SiC単結晶22bが得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
また、第3種結晶20bのオフセット角θ3が小さいために、螺旋転位発生領域から発生した螺旋転位の一部が積層欠陥に変換され、オフセット方向の下流側に向かって流れ出すこともない。さらに、第2成長工程において、積層欠陥の大半が成長結晶外に排出されているので、オフセット方向の下流側にある高品質領域に露出している積層欠陥は少ない。そのため、第2SiC単結晶22aの成長中に高品質領域に発生した螺旋転位は成長結晶中に伝搬するが、種結晶と成長結晶の界面から新たに螺旋転位が発生する確率は低い。
[3.3. 第3具体例]
図3に、本発明に係るSiC単結晶の製造方法の第3具体例の概念図を示す。
図3(a)に、第1種結晶の断面模式図を示す。図3(a)に示す第1種結晶30は、種結晶の底面と{0001}面が平行である、いわゆる「オンセット基板」であるが、オフセット角θ1が相対的に大きい高オフセット角基板でもある。また、第1種結晶30は、a面成長結晶から切り出された錐状の種結晶(a面成長基板)である。そのため、第1種結晶30は、{0001}面とほぼ平行な積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)を相対的に多量に含んでいる。さらに、第1種結晶30は、オフセット方向上流側端部(すなわち、錐面の頂部)に螺旋転位発生領域(人工欠陥部)が形成されている。
このような第1種結晶30を用いて1回目の成長(第1成長工程)を行うと、図3(b)に示すように、第1SiC単結晶32が得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
しかしながら、高オフセット角成長を行う場合において、第1種結晶30の表面に螺旋転位発生領域(人工欠陥部)を形成すると、人工欠陥部から高密度の積層欠陥が発生する。また、第1種結晶30内に初めから存在していた積層欠陥もまた、成長結晶内に伝搬し、成長結晶外に排出される。すなわち、第1SiC単結晶32は、相対的に多量の積層欠陥を含んでいる。
次に、第1SiC単結晶32から、θ2<θ1となるように、かつ、オフセット傾斜方向がほぼ一致するように、第2種結晶30aを切り出す。図3(c)に、切り出された第2種結晶30aの断面模式図を示す。図3(c)に示す第2種結晶30aは、オフセット角θ2が相対的に小さい低オフセット角基板である。また、第1SiC単結晶32の成長高さ、第2種結晶30aの切り出し位置等を最適化すると、図3(c)に示すように、第1SiC単結晶32内に伝搬した積層欠陥が成長面上に露出していない第2種結晶30aが得られる。さらに、第2種結晶30aは、オフセット方向上流側端部に、第1SiC単結晶32から引き継いだ高密度の螺旋転位を含んでいる。そのため、図3(c)に示す例においては、切り出された第2種結晶30aをそのまま用いている。
このような第2種結晶30aを用いて2回目の成長(第2成長工程)を行うと、図3(d)に示すように、第2SiC単結晶32aが得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
また、第2種結晶30aのオフセット角θ2が小さいために、螺旋転位発生領域から発生した螺旋転位の一部が積層欠陥に変換され、オフセット方向の下流側に向かって流れ出すこともない。さらに、第1成長工程において、積層欠陥の大半が成長結晶外に排出されているので、オフセット方向の下流側にある高品質領域に露出している積層欠陥は少ない。そのため、種結晶と成長結晶の界面から螺旋転位が発生する確率も低い。
[3. SiC単結晶の製造方法の作用]
[3.1. 低オフセット角成長]
図4に、従来のa面成長法+c面成長法(低オフセット角成長)を用いたSiC単結晶の製造方法の一例を示す。
図4(a)に、第1種結晶の断面模式図を示す。図4(a)に示す第1種結晶40は、種結晶の底面と{0001}面が非平行である、いわゆる「オフセット基板」であり、オフセット角θ1が相対的に小さい低オフセット角基板である。また、第1種結晶40は、a面成長結晶から切り出された板状の種結晶(a面成長基板)である。そのため、第1種結晶40は、{0001}面とほぼ平行な積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)を相対的に多量に含んでいる。さらに、第1種結晶40は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域(人工欠陥部)が形成されている。
このような第1種結晶40を用いて1回目の成長を行うと、図4(b)に示すように、第1SiC単結晶42が得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
しかしながら、低オフセット角成長を行う場合において、種結晶中には<0001>方向の螺旋転位が殆ど存在しないにも拘わらず、種結晶と成長結晶の界面から比較的多くの螺旋転位が発生する場合があった。
次に、第1SiC単結晶42から、θ2=θ1となるように、かつ、オフセット傾斜方向がほぼ一致するように、第2種結晶40aを切り出す。図4(c)に、切り出された第2種結晶40aの断面模式図を示す。図4(c)に示す第2種結晶10aは、オフセット角θ2が相対的に小さい低オフセット角基板である。また、第2種結晶40aは、オフセット方向上流側端部に、第1SiC単結晶12から引き継いだ高密度の螺旋転位を含んでいる。
このような第2種結晶40aを用いて2回目の成長を行うと、図4(d)に示すように、第2SiC単結晶42aが得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
しかしながら、1回目の成長時に高品質領域で生成した螺旋転位は、そのまま成長結晶中に承継される。そのため、従来のa面成長法+c面成長法(低オフセット角成長)では、螺旋転位密度の低減に限界があった。
低オフセット角成長において、種結晶中に螺旋転位が殆ど存在しないにもかかわらず、種結晶と成長結晶の界面から螺旋転位が発生するのは、以下の理由によると考えられる。
図5に、低オフセット角成長時の単結晶の成長過程を示す。c面成長においては、c面のステップにSiCが順次析出することによって成長が進む。そのため、図5(a)に示すように、低オフセット角成長時には、あるc面のステップとその上に形成されるc面のステップとの間の距離(テラス幅)が広い。また、結晶内に積層欠陥がある場合、積層欠陥の先端は、幅の広いテラスの表面に露出する。
このような種結晶を用いてc面成長を行うと、図5(b)に示すように、テラス上において積層欠陥のステップ端部が螺旋状に回り込む。さらに成長が進むと、図5(c)に示すように、積層欠陥のステップと後続のステップとが合体する。さらに成長が進むと、図5(d)に示すように、積層欠陥の結晶面と後続(上位)の結晶面が等位になり、結晶面が螺旋状構造になる。すなわち、積層欠陥が螺旋転位に変換される。
[3.2. 高オフセット角成長]
図6に、従来のa面成長法+c面成長法(高オフセット角成長)を用いたSiC単結晶の製造方法の一例を示す。
図6(a)に、第1種結晶の断面模式図を示す。図6(a)に示す第1種結晶50は、種結晶の底面と{0001}面が非平行である、いわゆる「オフセット基板」であり、オフセット角θ1が相対的に大きい高オフセット角基板である。また、第1種結晶50は、a面成長結晶から切り出された板状の種結晶(a面成長基板)である。そのため、第1種結晶50は、{0001}面とほぼ平行な積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)を相対的に多量に含んでいる。さらに、第1種結晶50は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域(人工欠陥部)が形成されている。
このような第1種結晶50を用いて1回目の成長を行うと、図6(b)に示すように、第1SiC単結晶52が得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。また、高オフセット角成長を行うと、種結晶と成長結晶の界面からの螺旋転位の発生も抑制することができる。
しかしながら、高オフセット角成長を行うと、種結晶内部から積層欠陥が成長結晶中に伝搬するだけでなく、異種多形抑制のために導入した螺旋転位発生領域から、オフセット方向下流側に伝搬する積層欠陥(基底面内刃状転位を含む)が発生しやすい。この現象は、オフセット角が大きいほど顕著であった。
次に、第1SiC単結晶52から、θ2=θ1となるように、かつ、オフセット傾斜方向がほぼ一致するように、第2種結晶50aを切り出す。図6(c)に、切り出された第2種結晶50aの断面模式図を示す。また、図6(c’)に、切り出された種結晶のオフセット方向上流側端部に結晶格子に歪みを与える処理を施した第2種結晶50bの断面模式図を示す。第2種結晶50a及び50bは、いずれも、オフセット角θ2が相対的に大きい高オフセット角基板である。また、第2種結晶50a及び50bは、いずれも、オフセット方向上流側端部に、第1SiC単結晶52から引き継いだ高密度の螺旋転位を含んでいる。
このような第2種結晶50a、50bを用いて2回目の成長を行うと、図6(d)、図6(d’)に示すように、第2SiC単結晶52a、52bが得られる。この時、螺旋転位発生領域から相対的に高密度の螺旋転位が発生し、これがc面ファセット内に供給される。その結果、c面ファセット内の螺旋転位が不足することに起因する異種多形の発生を抑制することができる。
しかしながら、2回目の成長時に高オフセット角成長を行うと、螺旋転位発生領域から、再度、オフセット方向下流側に伝搬する積層欠陥が発生しやすい。また、螺旋転位発生領域に結晶構造を乱すような処理を加える場合、積層欠陥の発生密度は、より高くなる。そのため、従来のa面成長法+c面成長法(高オフセット角成長)では、積層欠陥密度の低減に限界があった。
高オフセット角成長において、積層欠陥が発生しやすいのは、以下の理由によると考えられる。
図7に、高オフセット角成長時の単結晶の成長過程を示す。図7(a)に示すように、高オフセット角成長時においては、テラス幅が狭い。また、結晶内に積層欠陥がある場合、積層欠陥の先端は、幅の狭いテラスの表面に露出する。
このような種結晶を用いてc面成長を行うと、図7(b)に示すように、ステップ端部が進展する。しかしながら、テラス幅が狭いために、テラス上において積層欠陥のステップ端部が螺旋状に回り込むことができない。そのため、図7(c)〜図7(d)に示すように、さらに成長が進んでも、積層欠陥が螺旋転位に変換されることなく、積層欠陥のまま成長結晶中に伝搬する。
[3.3. 高オフセット角成長→低オフセット角成長]
上述したように、螺旋転位密度の低い種結晶を用いてc面成長させる場合において、低オフセット角成長を行うと、種結晶と成長結晶の界面から螺旋転位が発生する場合がある。一方、c面成長時に高オフセット角成長を行うと、螺旋転位発生領域から積層欠陥が発生する場合がある。
これに対し、c面成長を繰り返す場合において、段階的に種結晶のオフセット角を小さくしていくと、成長結晶の螺旋転位密度と積層欠陥密度を同時に低減することができる。
すなわち、まず、a面成長後の初回のc面成長時に種結晶の成長面のオフセット角を比較的大きくすると、図7に示すように、種結晶の基底面内刃状転位が螺旋転位に変換しにくくなる。その結果、積層欠陥は、そのままオフセット方向下流側に流れ、成長結晶外に排出される。この効果は、オフセット角が大きくなるほど、大きくなる。その際、螺旋転位発生領域からも基底面内刃状転位を含む積層欠陥が発生する場合がある。発生した積層欠陥は、同様にオフセット方向下流側に伝搬し、成長結晶外に排出される。
この時、螺旋転位発生領域から発生する基底面内刃状転位は比較的高密度であるため、一部が螺旋転位に変換することもあるが、低オフセット角成長時に種結晶と成長結晶の界面から発生する螺旋転位に比べて、その発生量は少ない。
次に、高オフセット角成長を行った後、成長結晶からオフセット角が相対的に小さくなるように種結晶を切り出し、これを用いて単結晶を成長させると、螺旋転位発生領域から成長結晶中に流れ込む積層欠陥の密度を低減することができる。この効果は、オフセット角を小さくするほど、大きくなる。また、螺旋転位発生領域に新たに結晶構造を乱す処理を加える場合においても、オフセット角が十分に小さいと、積層欠陥は発生しにくい。
このように、a面成長後のc面成長時に比較的大きいオフセット角で成長させた後、オフセット角の小さい結晶を取り出し、これを種結晶として成長させると、螺旋転位と積層欠陥の両方を低減することができる。
なお、種結晶の大きさ(円形の場合は直径)に比べ、十分な成長高さの成長結晶が得られる場合には、オフセット角を一度に小さくしても成長結晶から初回の種結晶と同等の大きさの種結晶を切り出すことができる。
一方、十分な成長高さが得られない場合に、オフセット角が大きく異なる種結晶を取り出そうとすると、成長結晶から新たに取り出す次の成長用の種結晶の大きさは小さくなる。このような場合には、図2に示すように、段階的に徐々にオフセット角を小さくすることで、種結晶の大きさを維持できる。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
図1に示す方法を用いて、SiC単結晶の成長を行った。すなわち、a面成長させたSiC単結晶からθ1=8°の基板(第1種結晶)を2枚切り出した。各第1種結晶のオフセット方向上流側端部には、螺旋転位発生領域を形成した。これらを用いて、それぞれ、単結晶を成長させた(第1成長工程)。
次に、得られた結晶の1つから、第1種結晶のオフセット傾斜方向と同一のオフセット傾斜方向になるように、かつ、十分に第1種結晶から離れ、積層欠陥が排出されている領域から、θ2=4°の基板(第2種結晶)を切り出した。これを用いて、単結晶を成長させた(第2成長工程)。
[2. 試験方法]
第1成長工程後の単結晶及び第2成長工程後の単結晶から、それぞれ、成長方向とオフセット方向の両方に平行な面を持つX線トポグラフ評価用試料を作製した。得られた試料を用いて、トポグラフ像を得た。
[3. 結果]
第1成長工程後の単結晶において、種結晶−成長結晶界面から発生する螺旋転位は、ほとんど観察されなかった。一方、螺旋転位発生領域からオフセット方向下流側に伝搬する積層欠陥が確認された。
第2成長工程後の単結晶において、種結晶−成長結晶界面からの螺旋転位の発生はなく、螺旋転位発生領域からオフセット方向下流側へ伝搬する積層欠陥もほとんど無かった。第2成長工程後の単結晶の螺旋転位発生領域以外での螺旋転位密度を測定した結果、数個/cm2であった。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
図2に示す方法を用いて、SiC単結晶の成長を行った。すなわち、a面成長させたSiC単結晶からθ1=8°の基板(第1種結晶)を3枚切り出した。各第1種結晶のオフセット方向上流側端部には、螺旋転位発生領域を形成した。これらを用いて、それぞれ、単結晶を成長させた(第1成長工程)。
次に、得られた結晶の2つから、それぞれ、第1種結晶のオフセット傾斜方向と同一のオフセット傾斜方向になるように、かつ、なるべく第1種結晶から離れ、積層欠陥が排出されている領域が広くなるように、θ2=6°の基板(第2種結晶)を切り出した。これらを用いて、単結晶を成長させた(第2成長工程)。
さらに、第2成長工程で得られた単結晶の1つから、第2種結晶のオフセット方向と同一のオフセット方向となるように、かつ、十分に第2種結晶から離れ、積層欠陥が排出されている領域から、θ3=4°の基板(第3種結晶)を切り出した。これを用いて、単結晶を成長させた(第3成長工程)。
[2. 試験方法]
第1成長工程〜第3成長工程後の単結晶から、それぞれ、成長方向とオフセット方向の両方に平行な面を持つX線トポグラフ評価用試料を作製した。得られた試料を用いて、トポグラフ像を得た。
[3. 結果]
第1成長工程後の単結晶において、種結晶−成長結晶界面から発生する螺旋転位は、ほとんど観察されなかった。一方、螺旋転位発生領域からオフセット方向下流側に伝搬する積層欠陥が観察された。また、成長結晶の成長高さが十分でないことから、積層欠陥が完全に排出されていないことも明らかになった。
第2成長工程後の単結晶において、第2種結晶表面の内、積層欠陥が排出されている領域では、種結晶−成長結晶界面からの螺旋転位の発生はなかった。一方、種結晶のオフセット方向下流側における積層欠陥が残存した領域においては、種結晶−成長結晶界面からの螺旋転位の発生が僅かに認められた。また、オフセット方向上流側の螺旋転位発生領域から、低密度は積層欠陥の伝搬が観察された。
第3成長工程後の単結晶において、第2成長工程で発生したオフセット方向下流側の螺旋転位は、そのまま成長結晶に伝搬したが、種結晶−成長結晶界面からの新たな螺旋転位の発生はなかった。また、螺旋転位発生領域からオフセット方向下流側へ伝搬する積層欠陥もほとんど無かった。第3成長工程後の単結晶の螺旋転位発生領域以外での螺旋転位密度を測定した結果、第2種結晶の積層欠陥が残存した領域上に相当する部分で若干高くなったが、その他の領域では数個/cm2であった。
(実施例3)
[1. 試料の作製]
図3に示す方法を用いて、SiC単結晶の成長を行った。すなわち、a面成長させたSiC単結晶からθ1=8°、かつ、オフセット方向上流側端部が基板の中央となるように、錐形のオンセット基板(第1種結晶)を2枚切り出した。各第1種結晶のオフセット方向端部(基板の中央部)には、オフセット方向上流側端部を含むように螺旋転位発生領域を形成した。これらを用いて、それぞれ、単結晶を成長させた(第1成長工程)。
次に、得られた結晶の1つから、第1種結晶から離れ、積層欠陥が排出されている領域から、θ2=4°、かつ、オフセット方向上流側端部が基板の中央にくるような、錐形のオンセット基板を切り出した。これを用いて、単結晶を成長させた(第2成長工程)。
[2. 試験方法]
第1成長工程〜第2成長工程後の単結晶から、それぞれ、成長方向とオフセット方向の両方に平行な面を持つX線トポグラフ評価用試料を作製した。得られた試料を用いて、トポグラフ像を得た。
[3. 結果]
第1成長工程後の単結晶において、種結晶−成長結晶界面から発生する螺旋転位は、ほとんど観察されなかった。一方、螺旋転位発生領域からオフセット方向下流側に伝搬する積層欠陥が観察された。
第2成長工程後の単結晶において、種結晶−成長結晶界面からの新たな螺旋転位の発生はなく、螺旋転位発生領域からオフセット方向下流側へ伝搬する積層欠陥もほとんど無かった。第3成長工程後の単結晶の螺旋転位発生領域以外での螺旋転位密度を測定した結果、数個/cm2であった。
(比較例1)
[1. 試料の作製]
a面成長させたSiC単結晶からθ1=4°の基板(第1種結晶)を切り出した。種結晶のオフセット方向上流側端部には、螺旋転位発生領域を形成した。これを用いて、単結晶を成長させた。以下、θ1=4°の基板の切り出し及び単結晶の成長を複数回繰り返した。
[2. 試験方法]
実施例1と同様にして、トポグラフ像を得た。
[3. 結果]
1回目の成長時に、種結晶−成長結晶界面から螺旋転位が多く発生した。発生した螺旋転位は、2回目以降の成長時に承継された。成長結晶中の螺旋転位発生領域以外での螺旋転位密度を測定した結果、数十個/cm2であった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、超低電力損失パワーデバイスの半導体材料として使用することが可能なSiC単結晶の製造方法として用いることができる。

Claims (13)

  1. 以下の構成を備えたSiC単結晶の製造方法。
    (1)前記SiC単結晶の製造方法は、
    SiCからなる第1種結晶を用いて第1SiC単結晶を成長させる第1成長工程と、
    得られた第(k−1)SiC単結晶(2≦k≦n)から第k種結晶を切り出し、前記第k種結晶を用いて第kSiC単結晶を再成長させる第k成長工程を(n−1)回(n≧2)繰り返す再成長工程と
    を備えている。
    (2)前記第1種結晶の成長面のオフセット角θ1は、4°<θ1≦30°である。
    (3)(n−1)回(n≧2)の前記第k成長工程の内、少なくとも1回は、前記第k種結晶(2≦k≦n)の成長面のオフセット角θkと前記第(k−1)種結晶の成長面のオフセット角θk-1との間に、θk<θk-1の関係を満たす工程がある。
    (4)前記第n種結晶の成長面のオフセット角θnは、θn<θ1である。
    (5)前記第k種結晶(1≦k≦n)は、すべてオフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を有する。
    但し、「成長面のオフセット角」とは、前記成長面の法線ベクトルと、前記SiC種結晶の{0001}面の法線ベクトルとのなす角をいう。前記成長面の一部に前記オフセット角の異なる面が含まれているときは、「成長面のオフセット角」とは、前記オフセット角が一定である最大面のオフセット角をいう。
    「オフセット方向上流側端部」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを前記成長面上に投影したベクトルの先端が向いている側であって、結晶学的に最上位の{0001}面がある部分をいう。
  2. 前記θnと前記θ1との差Δθn(=θn−θ1)は、Δθn≦−2°である請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記θnと前記θ1との差Δθn(=θn−θ1)は、Δθn≦−4°である請求項1又は2に記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. θn≦15°である請求項1から3までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  5. θn≦8°である請求項1から4までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  6. θn≦4°である請求項1から5までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  7. θ1≧8°である請求項1から6までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  8. (n−1)回(n≧2)の前記第k成長工程は、すべて前記第k種結晶(2≦k≦n)のc面内におけるオフセット傾斜方向が、前記第(k−1)種結晶の{0001}面内におけるオフセット傾斜方向に対して、±45°の範囲にある請求項1から7までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
    但し、「{0001}面内におけるオフセット傾斜方向」とは、オフセット方向の下流側端部から上流側端部に向かうベクトルをc面上に投影したときに、投影ベクトルの先端が向いている側をいう。
    「オフセット方向の下流側端部」とは、{0001}面の成長方向側の法線ベクトルを成長面上に投影したベクトルの先端が向いている側とは反対の側であって、結晶学的に最下位の{0001}面がある部分をいう。
  9. (n−1)回(n≧2)の前記第k成長工程は、すべてθk<θk-1の関係を満たす請求項1から8までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  10. n=2である請求項1から9までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  11. 前記第k成長工程(2≦k≦n)は、前記第k種結晶の成長面のオフセット角θkが4°以下の場合において、前記第k種結晶の前記成長面上に前記第(k−1)種結晶から前記第(k−1)SiC単結晶に引き継がれた積層欠陥が露出しないように、前記第(k−1)SiC単結晶から前記第k種結晶を切り出すものである請求項1から10までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  12. 前記螺旋転位発生領域は、前記成長面に結晶構造を乱す処理を施すことにより形成されたものである請求項1から11までのいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
  13. 前記結晶構造を乱す処理は、機械加工処理である請求項12に記載のSiC単結晶の製造方法。
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