JP5236292B2 - プラスチック光ファイバケーブル及びこれを用いた信号伝送方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバケーブル及びこれを用いた信号伝送方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナイロン系樹脂からなる被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブルに関するものであって、特に100〜110℃程度の高温環境下における長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブル、及びこの光ファイバケーブルと、発光中心が500nm以上600nm以下の範囲にある可視光発光ダイオードを組み合わせて用いる信号伝送方法に関する。
従来、光ファイバとしては、広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができる石英系光ファイバが幹線系を中心に実用化されているが、この石英系光ファイバは高価で加工性が低い。そのため、より安価で軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有するプラスチック光ファイバ(以下、POFと略する。)が、ライティング用途やセンサー用途、あるいはFA、OA、LAN等の屋内配線用途の分野で実用化されている。
なかでも、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をコア材とし、低屈折率の含フッ素オレフィン系共重合体をクラッド材とするコア−クラッド構造を有するステップインデックス型(SI型)のPOFの外周に被覆層が形成されたPOFケーブルは、高速データ通信が可能で、軽量化や通信システムの低コスト化、電磁ノイズ対策等に優れる観点から自動車内LAN通信用配線として実用化されつつある。
上記のようなPOFケーブルが自動車内において使用される場合、環境温度が100〜110℃付近に達することから、耐熱性に優れることが要求されている。特に、エンジン近傍等のような高温環境下に敷設される場合には、オイルや電解液、ガソリン等の引火性物質が存在するため、耐熱性と同時に耐薬品性に優れることも要求される。そのため、POFケーブルの被覆材として、耐熱性、耐薬品性等に優れるナイロン11やナイロン12、ナイロン6/12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66等のポリアミド系樹脂(ナイロン系樹脂)を用いる技術が数多く提案されている。
例えば、特許文献1(特開平10−319281号公報)、特許文献2(特開平11−242142号公報)には、POFの外周に黒色ポリアミド樹脂からなる一次被覆層と、着色ポリアミド樹脂からなる二次被覆層が形成されたPOFケーブルが提案されており、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン11、ナイロン12が挙げられている。
特許文献3(国際公開01/48526号パンフレット)や特許文献4(特開2003−315638号公報)には、POF素線の外周に、ポリアミド系重合体を含む材料からなる密着層、一次被覆層、二次被覆層を順次形成したPOFケーブルが開示されており、ポリアミド系重合体としてナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12が挙げられている。
特許文献5(特開2003−255202号公報)には、POF素線の外周に、レアメタルベースの無機顔料を含むポリアミド系樹脂からなる被覆層が形成されたPOFケーブルが提案されており、ポリアミド系樹脂としてポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/12、ポリアミド66、ポリアミド66/6が挙げられている。特許文献6(特開2004−226925号公報)には、POF素線の外周に、群青無機顔料を含むポリアミド系樹脂からなる被覆層が形成されたPOFケーブルが提案されており、ポリアミド系樹脂として、ナイロン11,ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66が挙げられている。
特許文献7(特開2000−231045号公報)には、POF素線の外周に、融点が200℃以下のナイロン系樹脂からなる一次被覆層が設けられ、この一次被覆層の外周に酸素指数25以上のナイロン12や塩化ビニル樹脂等からなる二次被覆層が設けられたPOFケーブルが記載されている。
しかしながら、POFケーブルの被覆層の材料にポリアミド系樹脂(ナイロン系樹脂)を用いると次のような問題が生じる。
一般的に、ナイロン12等のポリアミド系樹脂は、工業的にはアミンとカルボン酸の重縮合反応により得られる。しかし、ポリアミド系樹脂の重合は化学平衡反応であるため、生成ポリマー中にポリアミド系樹脂の原料に由来するモノマー、オリゴマーが残存することは避けられない。
本発明者らの検討によれば、上記の特許文献に記載されているようにPOF素線に接するように、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6−12樹脂からなる一次被覆層を設けたり、あるいはこれらのポリアミド系樹脂からなる二次被覆層を設けたPOFケーブルは、100℃以上の高温環境下に長期間放置された場合、POFの伝送損失が著しく増大する現象が見られた。
本発明者らは、この原因についての詳細な解析を行ない、その結果、上記の伝送損失が増大する原因は、これら原料由来の残存モノマーやオリゴマーが、一次被覆層や二次被覆層からPOF素線の内部に溶解・拡散して、POFの伝送損失の増大を引き起こしていることをつき止めた。
さらに、この現象は、クラッド最外層が、テトラフルオロエチレン(TFE)単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂であって、その結晶融解熱がある一定以上の値であるものからなる場合に、この伝送損失の増大が著しいことを見出した。
上記のポリアミド系樹脂原料に由来するモノマーとしては、ポリアミド系樹脂を構成する脂肪族ジアミノ酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、アミノ脂肪族カルボン酸化合物等がある。具体的には、ナイロン11では11−アミノウンデカン酸、ナイロン12では12−アミノドデカン酸、ナイロン6−12ではヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸塩、ナイロン610ではヘキサメチレンジアミンとセバシン酸塩、ナイロン6ではε−アミノカプロン酸、ナイロン66ではヘキサメチレンジアミンとアジピン酸、ナイロン1010では1,10−デカンジアミンと1,12−ドデカンジアミン、ナイロン1012は1,12−デカンジアミンと1,12−ドデカン二酸が挙げられる。さらに、アミノカルボン酸化合物の分子鎖末端が分子内でエステル環化結合して、環内にアミド結合(−CONH−)を有する環状ラクタム化合物も挙げられ、具体的には、ナイロン6ではε−カプロラクタム、ナイロン12ではラウリルラクタムが挙げられる。ここで、原料に由来するモノマーには原料合成時に副生成物として生成した低分子化合物も含まれる。
一方、上記のポリアミド系樹脂原料に由来するオリゴマーとしては、ポリアミド系樹脂製造時の縮重合反応の過程で、前述した原料モノマー(前述の脂肪族ジアミノ酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、アミノ脂肪族カルボン酸化合物等)の2分子以上の分子鎖末端同士が分子間でエステル結合し、分子鎖末端にアミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)の両方、またはどちらか一方の官能基を有する化合物、あるいは、その化合物の分子鎖末端がさらに分子内でエステル環化結合して、環内にアミド結合(−CONH−)を有する環状ラクタム化合物、さらに、上記の化合物の分子間エステル結合した化合物、さらに分子内/分子間で副反応(脱アミノ化反応あるいは脱カルボキシル化反応)を起こし生成した化合物等が挙げられる。
前記モノマーやオリゴマーが直鎖状である場合は、その末端アミノ基が含フッ素オレフィン系重合体と高い親和性を有し、含フッ素オレフィン系重合体からなるクラッド層の内部に留まりやすい。そのため、クラッド材の透明性が低下し、POFケーブルの伝送特性が著しく低下する傾向がある。一方、前記モノマーやオリゴマーが環状ラクタム化合物である場合は、クラッド層の内層側(コアまたは第1クラッド層)の界面付近にまで移行して粒子状構造体を形成しやすい。そのため、コア−クラッド界面、又はクラッドが多層である場合はクラッド−クラッド界面における構造不整が増大し、POFケーブルの伝送特性が著しく低下する傾向がある。
上記オリゴマーは、低分子量である程、POF中への溶解・拡散が起こりやすくなる傾向があり、分子量2000以下ではその影響が特に顕著に表れる。
前述の通りPOFケーブルには耐熱性に優れているが求められており、特に自動車内でPOFケーブルが使用される場合には、105℃環境下において5000時間を超える長期間にわたり伝送損失の増加量が小さいことが要求されている。しかし、上記特許文献に記載されているような従来のPOFケーブルは、高温環境下に長期間置かれると上述した理由によって伝送損失が増大するため、この要求性能を満足することは困難であった。
また、融点が比較的高いナイロン66などのナイロン系樹脂をPOFの外周に被覆する場合は、POFに過剰なストレスが加わり、POFの光学性能を著しく損なってしまう例が報告されている。例えば、特許文献7(特開2000−231045号公報)には、提案された発明に対する比較例(比較例2、比較例8)として、POFの外周に、ナイロン66樹脂からなる一次被覆材を直接形成したPOFケーブルが開示されている。このPOFケーブルにおいては、高融点のポリアミド66樹脂を、高い被覆温度でPOF素線の外周に直接被覆しているために、POFの外形の変化や伝送損失の増大が生じ、高融点のナイロン系樹脂は、POFの被覆材料としては適さない旨が記載されている。
一方、POFの光源として用いられてきた発光ダイオード(LED)について見ると、現在主流である発光中心波長が650nm付近にある発光ダイオード(LED)は、100℃以上での長期間の耐熱性が、今のところ不十分である問題があった。その理由は、このようなLEDはGaAlAs系材料から形成され、そのAl成分の含有量が多いとLED自身の耐熱性が低下する傾向があるためである。
100℃以上での耐熱性が優れた信号伝送システムとして、特許文献8(特開2001−74945号公報)には、発光中心を930〜990nmに有するLEDとノルボルネン系樹脂をコア材とするPOFからなる信号伝送システムが開示されており、特許文献9(特開2001−21737号公報)には、発光中心を750〜850nmに有するLEDとポリカーボネート系樹脂をコア材とするPOFからなる信号伝送システムが開示されている。このような近赤外波長の領域に発光中心を有するLEDは、Al成分の構成比が少ないので、LED自身の100℃以上での耐熱性は優れている。さらに、POFがこのような高温環境下に置かれた場合、一般的な現象として、POF素線部の熱酸化劣化により電子遷移吸収が増大したり、被覆材中に含まれる低分子化合物がPOF素線中に移行することによりレイリー散乱が増大したりするが、近赤外波長領域の伝送損失値にはその影響が及び難い。そのため、上記特許文献に記載された信号伝送質システムでは、100℃以上の高温環境下でも伝送損失の経時的な変化が小さく、十分長期間に渡り伝送損失を安定化させることが可能であった。
しかし、上記特許文献8に記載されているノルボルネン系樹脂をコア材とするPOFの930〜990nmにおける伝送損失は6000dB/km台であり、特許文献9に記載されているポリカーボネート系樹脂をコア材とするPOFの750〜850nmにおける伝送損失は1000dB/km台であり、両特許文献に記載されているPOFの伝送損失は極めて高く、自動車内LAN通信用配線として実用化するには不十分であった。
一方、発光中心波長を600nm以下に有する可視光LEDとしては、InGaN系(発光中心波長505nm、520nm)やPGaN系(発光中心波長565nm)、InGaAlP系(発光中心波長590nm)等が知られおり、LEDの耐熱性を低下させる原因となるAl成分を含まない、或いは含んでも構成比が小さいため、LED自身の100℃以上での耐熱性も十分実用化できるレベルに到達している。さらに、コア材がPMMA樹脂であるPOFは、波長570nm付近に伝送損失の窓(80〜90dB/km)があり、波長650nm付近の窓(約130〜140dB/km)と比較すると、伝送損失値が著しく低いという特徴もある。
しかし、このような波長の短い領域では、POFが100℃以上の高温環境下に置かれた場合、上述した電子遷移吸収やレイリー散乱の増大の影響を受け易いため、POFの伝送損失が増加し易いという問題がある。そのため、自動車内のような高温環境下で、POFと、発光中心が波長500〜600nmの範囲にあるLEDを用いた信号伝送システムを実用化することは難しいと考えられてきた。
本発明の目的は、高温環境下での伝送損失の増加量が小さく長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブル、及びこれを用いた信号伝送方法を提供することにある。
本発明によれば、第1の形態として、コアと該コアの外周に形成された1層または2層以上からなるクラッド層を有するプラスチック光ファイバ素線と、その外周に設けられた被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体
から形成され、
前記クラッド層は、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有し、
前記被覆層は、内側から順に、保護被覆層、光遮断被覆層、及び機能被覆層からなり、
前記機能被覆層は、結晶融点が215℃以上280℃以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成
物からなり、
前記機能被覆層は、メラミンシアヌレートを3質量%以上40質量%の範囲で、又は、臭素原子の含有量が1.5質量%以上30質量%の範囲内となる量の臭素系難燃剤を含有するとともに、有彩色の無機顔料を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含有する、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融点が215℃以上280℃以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成され、
前記光遮断被覆層は、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方のナイロン系樹脂を主成分として含有し、含有されるナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下の範囲にある樹脂組成物から形成され、
前記保護被覆層は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂材料から形成されている、プラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、ナイロン6及びナイロン66の少なくとも一方を主成分とするナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、酸化アンチモンを20質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、プラスチック光ファイバ素線の外径をA(μm)、前記保護被覆層の厚みをa(μm)、前記光遮断被覆層の厚みをb(μm)、前記機能被覆層の厚みをc(μm)とした時、次の式(i)〜(iii)
Figure 0005236292
を満足する、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
あるいは又、本発明によれば、第2の形態として、コアと該コアの外周に形成された1層または2層以上からなるクラッド層を有するプラスチック光ファイバ素線と、その外周に被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体から形成され、
前記クラッド層は、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有し、
前記被覆層は、内側から順に、保護被覆層、光遮断被覆層、及び機能被覆層からなり、
前記機能被覆層は、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融点が240℃以上280℃以下の範囲にあり、且つISO14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で測定した温度T(K)における酸素透過率P(cm・cm/(cm・sec・Pa))が、下記の式(A)
P<8×10−2×exp(−5600/T) (A)
を満たすナイロン系樹脂組成物から形成され、
前記光遮断被覆層は、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方のナイロン系樹脂を主成分として含有し、含有されるナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下の範囲にある樹脂組成物から形成され、
前記保護被覆層は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体、ポリエチレン単位とポリビニルアルコール単位を含有する共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂材料から形成されている、プラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、結晶化度が30%以上55%以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、顕微鏡観察による球晶サイズの平均直径が0.01μm以上40μm以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、ナイロン66を主成分とするナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、結晶化促進剤を0.01質量%以上10質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、臭素含有ポリスチレンを臭素原子の含有量が1.5質量%以上30質量%以下の範囲となるように含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、酸化アンチモンを20質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、前記機能被覆層が、着色剤として無機顔料を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、上記のプラスチック光ファイバケーブルが提供される。
また本発明によれば、上記のプラスチック光ファイバケーブルを、発光中心を波長500nm以上600nm以下の範囲に有する可視光発光ダイオードと組み合わせて信号を伝送することを特徴とする信号伝送方法が提供される。
本発明によれば、高温環境下での伝送損失の増加量が小さく長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブル、及びこれを用いた信号伝送システムを提供することができる。
本発明によるプラスチック光ファイバケーブルを示す断面図である。 プラスチック光ファイバケーブルの被覆層の引抜強度を測定するための装置を示す断面図である。 参考例3の初期及び105℃、5000時間後のPOFケーブルの全波長伝送損失を示す。 実施例90の初期及び105℃、5000時間後のPOFケーブルの全波長伝送損失を示す。 実施例93の初期及び105℃、5000時間後のPOFケーブルの全波長伝送損失を示す。
本発明者らは、高温(あるいは高温高湿)環境下で、プラスチック光ファイバケーブル(以下「POFケーブル」)の伝送損失が増加する原因が、被覆材中に含まれている低分子化合物がプラスチック光ファイバ素線(以下「POF素線」)中に移行してレイリー散乱が増大すること、及びPOFケーブルが放置されている環境中の酸素が被覆材を通過してPOF素線内に浸透、拡散して酸化劣化を引き起こし電子遷移吸収が増大することによることを見出した。そして、POFケーブルの被覆層の構造において、低分子化合物(モノマーやオリゴマー)の移行を阻止することが可能な被覆層(保護被覆層)を設け、さらに被覆層自体にも低分子化合物(モノマーやオリゴマー)の含有量が低い、あるいは低分子化合物を放出しにくい被覆層(光遮断被覆層、機能被覆層)を設けてレイリー散乱の増大を抑制することで、POFの波長650nmの伝送損失の増加を抑制することが可能であることを見出した。
さらに被覆層(機能被覆層)に、酸素透過性が低いナイロン系樹脂組成物を使用して電子遷移吸収の増大を抑制することにより、POFの波長650nmの伝送損失だけではなく、波長600nm以下の伝送損失の増加を抑制することが可能であることも見出した。
以下に、本発明のPOFケーブルの好適な実施の形態について説明する。
[POFケーブルの基本構造]
本発明のPOFケーブルは、図1に示すように、コアと、その外周に形成された1層または2層以上からなるクラッド層を有するPOF素線101と、その外周に、内層側から順に、保護被覆層102、光遮断被覆層103、機能被覆層104からなる被覆層を有する。
前記コアは、ポリメタクリル酸メチル(メタクリル酸メチルの単独重合体)又はメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体からなり、前記クラッド層は、テトラフルオロエチレン単位を含み、且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有する。
前記保護被覆層は、第1の形態では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン単位を主構成単位とするスチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体から選択される少なくとも一種から形成される。第2の形態では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン単位を主構成単位とするスチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体、ポリエチレン単位とポリビニルアルコール単位を含有する共重合体から選択される少なくとも一種から形成される。これらの中でも、ポリブチレンテレフタレート系樹脂が特に好ましい。
前記光遮断被覆層は、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方を主成分とするナイロン系樹脂組成物から形成される。このナイロン系樹脂組成物中に含有されるナイロン系樹脂の原料由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下の範囲にあることが好ましい。このナイロン系樹脂組成物は、遮光剤を含有させて黒色に着色することができる。
前記機能被覆層は、第1の形態では示差走査熱量測定(DSC)による結晶融点が215℃以上280℃以下の範囲、第2の形態では240℃以上280℃以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成される。この機能被覆層は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66から選ばれる少なくとも一種を主成分とするナイロン系樹脂組成物からなることが好ましく、ナイロン6、ナイロン66の少なくとも一種を主成分とするナイロン系樹脂組成物からなることがより好ましい。
この機能被覆層は、POFケーブルの識別性を高めるために有彩色の無機顔料を含有させることができる。また、POFケーブルの難燃性を高めるために臭素系難燃剤、又はメラミンシアヌレートを含有させることができる。
上記臭素系難燃剤は、示差熱・熱重量同時測定法(TG/DTA)で測定した1%質量減少温度が300℃以上である臭素系化合物が好ましく、また、分子量900以上4,000以下であるテトラブロモビスフェノールA誘導体化合物、又は数平均分子量が900以上60,000以下である臭素化ポリスチレン、ポリジブロモスチレン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)から選ばれる少なくとも一種を好適に使用できる。
以下に、本発明のPOFケーブルを構成するPOF素線(コア、クラッド)、光遮断被覆層、保護被覆層、機能被覆層について順次説明する。
[POF素線]
本発明のPOFケーブルでは、POF素線部のコアを構成する材料(コア材)は、100〜105℃付近での長期耐熱性を満足する観点からは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、またはメタクリル酸メチル(MMA)単位と1種類以上のビニル系単量体単位からなる共重合体を用いる。以下、この共重合体とPMMAをPMMA系樹脂と呼ぶ。なかでも、透明性と機械的強度のバランスに優れたPMMAが好ましい。コア材がMMAとビニル系単量体との共重合体である場合には、透明性を十分に確保する点から、MMA単位の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。MMAに対する共重合成分としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等の、POF用コア材の原料としてこれまでに提案されている材料に使用されている成分を適宜選択することができる。
コアの外周に形成されるクラッドは、1層から形成されていてもよいし、2層以上の複数層から形成されてもよい。このクラッドは、コアあるいは内層クラッドの保護材として機能するための機械特性や耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、また、屈曲時の光ロスを十分低減できる程度に低屈折率であるといった光学特性の点から、含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有する。この含フッ素オレフィン系樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)単位を少なくとも有し、結晶融解熱が40mJ/mg以下の含フッ素オレフィン系重合体を用いる。
TFE単位を含む含フッ素オレフィン系重合体としては、TFE単位と、フッ化ビニリデン(VdF)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル(FVE)単位のうちの少なくとも1種とを共重合して得られる共重合体、VdF単位とTFE単位とヘキサフルオロアセトン単位との共重合体、TFE単位とHFP単位とエチレン単位との共重合体等が挙げられるがこれに限定されるものではない。TFEに対する共重合成分としては、コスト、透明性、耐熱性の点から、VdF単位、HFP単位あるいはFVE単位が特に好ましい。
また、TFE単位を含む含フッ素オレフィン系重合体中にVdF単位とHFP単位のうち少なくとも1種類を含む樹脂は、POFの溶融紡糸時の安定性に優れている点で好ましい。
上記のTFE単位を含む含フッ素オレフィン系重合体の具体例としては、VdF単位60〜90質量%とTFE単位10〜40質量%からなる2元共重合体、VdF単位10〜60質量%と、TFE単位20〜70質量%と、HFP単位5〜35質量%とからなる3元共重合体、VdF単位5〜25質量%と、TFE単位50〜80質量%と、FVE単位5〜25質量%からなる3元共重合体、エチレン単位5〜60質量%と、TFE単位25〜70質量%と、HFP単位5〜45質量%とからなる3元共重合体、VdF単位10〜30質量%と、TFE単位40〜80質量%と、HFP単位5〜40質量%と、FVE単位0.1〜15質量%とからなる4元共重合体、TFE単位40〜90質量%と、FVE単位10〜60質量%とからなる2元共重合体、TFE単位30〜75質量%とHFP単位25〜70質量%からなる2元共重合体、等を挙げることができる。
FVE単位としては、下記一般式(1)
Figure 0005236292
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で示される化合物の単位が挙げられる。
上記一般式(1)の中でも、下記の一般式(2)〜(5)
Figure 0005236292
(式中、nは1〜3の整数)
Figure 0005236292
(式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
Figure 0005236292
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
Figure 0005236292
(式中、nは0〜3の整数)
の何れかで表わされる化合物の単位であることが好ましい。
さらに、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCHCF、CF=CFOCHCFCF、CF=CFOCHCFCFCF、CF=CFOCH、CF=CFOCHCH及びCF=CFOCHCHCHからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物の単位は、原料が低コストで得られる点からFVE単位として好ましい。
さらに、本発明においては、クラッド最外層を形成する含フッ素オレフィン系重合体として、結晶融解熱の値が40mJ/mg以下の樹脂を用いることが必要であり、20mJ/mg以下の樹脂が好ましく、15mJ/mg以下の樹脂がより好ましい。結晶融解熱が高すぎると、樹脂の結晶性が高くなり、高温環境下においては樹脂の透明性の低下が起こって、POFケーブルの初期および高温環境下での伝送損失が増大するおそれがある。クラッド最外層を構成する含フッ素オレフィン系重合体として、結晶融解熱が上記の範囲内において、例えば1mJ/mg以上の樹脂を用いることができる。
クラッドが複数層で形成されている場合、その内層側の内層クラッドを形成する樹脂としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体等のPOF用クラッド材として提案されている材料を適宜選択することができる。特にフッ素化メタクリレート系重合体は、屈折率の調整が容易で、良好な透明性及び耐熱性を有しながら、屈曲性及び加工性に優れる重合体であるため好ましい。
上記フッ素化メタクリレート系重合体としては、例えば、良好な透明性及び耐熱性を有しながら、屈曲性及び加工性に優れる重合体として、
下記一般式(6)
Figure 0005236292
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、又はメチル基、R1fは炭素数1〜12のフルオロアルキル基、mは1又は2の整数を示す。)
で表される(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステルの単位(A)15〜90質量%
と、単位(A)の単量体と共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、
屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を用いることができる。
(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステルの単位(A)としては、下記一般式(7)
Figure 0005236292
(式中、Xは水素原子又はメチル基、Yは水素原子又はフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
あるいは、下記一般式(8)
Figure 0005236292
(式中、Xは水素原子又はメチル基を示し、R2f及びR3fは同一又は相異なるフルオロアルキル基、R1は水素原子、メチル基又はフッ素原子を示し、mは1又は2の整数を示す。)
で表される化合物の単位を挙げることができる。
一般式(7)の例として、(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル(3FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(4FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(5FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(6FM)、(メタ)アクリル酸−1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(8FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロブチル)エチル(9FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロヘキシル)エチル(13FM)、(メタ)アクリル酸−1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(16FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロオクチル)エチル(17FM)、(メタ)アクリル酸−1H,1H,11H−(イコサフルオロウンデシル)(20FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロデシル)エチル(21FM)等の、直鎖状フッ素化アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸フッ素化エステルを挙げることができる。一般式(8)の例として、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチルや、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソブチル等の、分岐状フッ素化アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸フッ素化エステル等を挙げることができる。
一方、単位(A)の単量体と共重合可能な単量体の単位(B)として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル;(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸(1−メチルトリシクロヘプチル)、(メタ)アクリル酸(1−メチルヘキサシクロドデシル)等の、脂環式基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸脂環式エステル;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−メチル−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−メチル−γ、γ−メチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン系化合物の単位を挙げることができる。
これらの中から、クラッド材としての透明性や耐熱性を満足するように、1種類以上の化合物を適宜選択すればよい。中でも、(メタ)アクリル酸メチルは、(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステルと共重合することによって、クラッド材の透明性や耐熱性、さらに機械的強度をバランス良く向上させることができる点から好ましい。また、メタアクリル酸の単位を、フッ素化メタクリレート系重合体中に0.5〜5質量%の範囲で含有させることによって、POFのコア材及びクラッド最外層の樹脂の両方に対する密着性を向上できる。
POFに低曲げ損失が要求される場合には、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロオクチル)エチル(17FM)の単位10〜40質量%と、(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル(3FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(4FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(5FM)のうち少なくとも1種類からなる単位40〜90質量%と、メタクリル酸メチルの単位0〜20質量%からなり、屈折率が1.39〜1.43の範囲にある共重合体が好ましい。
POFに高い伝送帯域が要求される場合には、(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル(3FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(4FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(5FM)のうち少なくとも1種類からなる単位15〜30質量%と、メタクリル酸メチルの単位70〜85質量%からなり、屈折率が1.45〜1.475の範囲にある共重合体が好ましい。
尚、前述のようにクラッド層は2層以上の複数層から形成されても良いが、製造コストを低減する観点からは、最外層クラッドとコアの間に内層クラッドとして第1クラッドのみを備え、第1クラッド及びその外周に最外層クラッドとして第2クラッド層を備えた2層構造とすることが好ましい。
クラッドが2層構造からなる場合、コアの屈折率をn、内層側クラッド(第1クラッド)の屈折率をn、最外層クラッド(第2クラッド)の屈折率をnとして、POF屈曲時の曲げ損失を低減する観点から、n、n、nが下記の関係式(iV)
Figure 0005236292
を満たすことが好ましいが、下記の関係式(V)および(Vi)
Figure 0005236292
を満たしていてもよい。なお、本発明における屈折率とは、ナトリウムD線による25℃における屈折率をいう。
[光遮断被覆層]
次に本発明のPOFケーブルを構成する光遮断被覆層について説明する。
本発明のPOFケーブルには、上述したコア−クラッド構造からなるPOF素線の外周に、外光の入射を防止するためカーボンブラック等の遮光剤を含有させたナイロン系樹脂(ポリアミド系樹脂)からなる光遮断被覆層が設けられる。
上記のナイロン系樹脂としては、耐熱性、耐屈曲性、耐薬品性等に優れたナイロン11(単独重合体)、ナイロン12(単独重合体)が適している。ナイロン11、ナイロン12は、被覆工程における成形性が良好で、かつ適度な結晶融点を有しているため、PMMA系樹脂をコア材とするPOFケーブルの伝送性能を低下させることなく容易にPOF素線を被覆することができる。これらの樹脂は、さらに寸法安定性、およびPOF素線との密着性にも優れることから、特にPOFケーブルが自動車内LAN用途として用いられる際に問題となる熱収縮やピストニングの発生を効果的に防止できる点から好ましい。また、自動車内通信用途では、POFケーブルにバッテリー液耐性が要求されるが、ナイロン11、ナイロン12は、ナイロン系樹脂の中でも特に優れたバッテリー液耐性を有することから好ましい。なお、本発明においてPOF素線と光遮断被覆層との密着性という場合、具体的には、POF素線の外周に設けた、後述する保護被覆層と光遮断被覆層との密着性を意味する。
光遮断被覆層は1種のナイロン系樹脂から形成してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。また、必要に応じて、ナイロン系樹脂以外の重合体や化合物を添加して使用することもできる。このように他の重合体や化合物などの他成分を配合する場合には、50質量%未満の範囲内で他成分を添加することが好ましい。他成分が50質量%より多い場合には、ナイロン11、ナイロン12による特性が不十分になるため、バッテリー液耐性が低下したり、POFケーブルの熱寸法安定性が低下する傾向ある。本発明における光遮断被覆層を構成する材料は、ナイロン系樹脂を主成分とし、ナイロン系樹脂成分の含有量(ナイロン11とナイロン12の両方を含有するときは合計含有量)は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
一般的に、ナイロン12等のナイロン系樹脂は、工業的にはアミンとカルボン酸の重縮合反応により得られる。しかし、ナイロン系樹脂の重合は化学平衡反応であるため、生成ポリマー中にナイロン系樹脂の原料に由来するモノマー、オリゴマーが残存することは避けられない。
本発明者らの検討によれば、POF素線に接するように、ナイロン11又はナイロン12からなる一次被覆層を設けたPOFケーブルは、105℃の高温環境下に長期間放置された場合、POFの伝送損失が著しく増大する現象が見られた。
本発明者らは、この原因についての詳細な解析を行い、その結果、上記の伝送損失が増大する原因は、これら原料由来の残存モノマーやオリゴマーが、一次被覆層や二次被覆層からPOF素線の内部に溶解・拡散して、POFの伝送損失の増大を引き起こしていることをつき止めた。
さらに、この現象は、クラッド最外層が、テトラフルオロエチレン(TFE)単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂であって、その結晶融解熱がある一定以上の値であるものからなる場合に、この伝送損失の増大が著しいことを見出した。
前述の通りPOFケーブルには耐熱性に優れているが求められており、特に自動車内でPOFケーブルが使用される場合には、105℃環境下において5000時間を超える長期間にわたり伝送損失の増加量が小さいことが要求されている。
本発明のPOFケーブルでは、POFケーブルの長期耐熱性をより高いものとするために、光遮断被覆層が、ナイロン系樹脂を主成分とする材料で形成され、かつこの材料中に含まれるナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下の範囲にある樹脂を用いることが必要である。このモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量は1.3質量%以下の範囲にあることが好ましく、1.0質量%以下の範囲にあることがより好ましく、0.8質量%以下の範囲であれば特に好ましい。光遮断被覆層中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が上記の範囲内であれば、より一層十分な、保護被覆層によるモノマー化合物及びオリゴマー化合物の遮断効果が得られる。光遮断被覆層中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の含有量が多すぎると、特に1.5質量%より多ければ、保護被覆層によるモノマー化合物及びオリゴマー化合物の遮断効果が不十分となる。本発明による保護層によれば、光遮断層中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が、例えば、0.1質量%以上、さらには0.5質量%以上の含有量であってもこれらの化合物を十分に遮断することができる。
光遮断被覆層を構成するナイロン系樹脂中のモノマー化合物は、前述したように、ナイロン系樹脂の原料モノマーである脂肪族ジアミノ酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、アミノ脂肪族カルボン酸化合物等が挙げられ、ナイロン11では11−アミノウンデカン酸、ナイロン12では12−アミノドデカン酸が挙げられる。また、このモノマー化合物には、アミノカルボン酸化合物の分子鎖末端が分子内でエステル環化結合して環内にアミド結合(−CONH−)を有する環状ラクタム化合物などの、ナイロン系樹脂製造時の副生成物も含まれる。このような環状ラクタム化合物としては、ナイロン12ではラウリルラクタムが挙げられる。
光遮断被覆層を構成するナイロン系樹脂中のオリゴマー化合物は、前述したように、ナイロン系樹脂製造時の縮重合反応の過程で、前述した原料モノマー(前述の脂肪族ジアミノ酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、アミノ脂肪族カルボン酸化合物等)の2分子以上の分子鎖末端同士が分子間でエステル結合し、分子鎖末端にアミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)の両方、またはどちらか一方の官能基を有する化合物、あるいは、その化合物の分子鎖末端がさらに分子内でエステル環化結合して環内にアミド結合(−CONH−)を有する環状ラクタム化合物、さらに、上記の化合物の分子間エステル結合した化合物、さらに分子内/分子間で副反応(脱アミノ化反応あるいは脱カルボキシル化反応)を起こし生成した化合物等が挙げられる。
前記モノマーやオリゴマーが直鎖状である場合は、その末端アミノ基が含フッ素オレフィン系重合体と高い親和性を有し、含フッ素オレフィン系重合体からなるクラッド層の内部に留まりやすい。そのため、クラッド材の透明性が低下し、POFケーブルの伝送特性が著しく低下する傾向がある。一方、前記モノマーやオリゴマーが環状ラクタム化合物である場合は、クラッド層の内層側(コアまたは第1クラッド層)の界面付近にまで移行して粒子状構造体を形成しやすい。そのため、POFのコア−クラッド界面、又はクラッドが多層である場合は、クラッド−クラッド界面における構造不整が増大し、POFケーブルの伝送特性が著しく低下する傾向がある。
上記オリゴマーは、低分子量である程、POF素線中への溶解・拡散が起こりやすくなる傾向があり、分子量2000以下ではその影響が特に顕著に表れるため、分子量2000以下のオリゴマー及びモノマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以下の範囲にあることがより好ましく、1.0質量%以下の範囲にあることがさらに好ましく、0.8質量%以下の範囲であれば特に好ましい。
ナイロン系樹脂中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物を低減する方法としては、ナイロン系樹脂の重縮合反応時の温度、水分率、反応系内の原料/生成物濃度を制御する方法や、重合後のナイロン系樹脂を熱水抽出塔に供給して熱水で向流抽出する方法や、溶融したポリアミド樹脂を高温・高真空下で脱モノマー処理する方法など、公知の技術を用いることができる。
上記のようなモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.3質量%以下のナイロン系樹脂としては、例えば、ナイロン12ではダイセル・デグサ社製のDaiamide−L1600、L1640(商品名)、ナイロン11ではアルケマ社のRilsan BMF−0(商品名)等が挙げられる。
[保護被覆層]
本発明のPOFケーブルの特徴の一つは、上述の光遮断被覆層を形成するナイロン系樹脂に含まれる原料由来のモノマー化合物及び/又はオリゴマー化合物がPOF素線に移行することを遮断するため、POF素線と光遮断被覆層の間に保護被覆層を設けたことにある。
このような保護被覆層を形成する樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体、ポリエチレン単位とポリビニルアルコール単位を含有する共重合体から選択される樹脂が好ましい。
保護被覆層を形成する樹脂の、メルトフローインデックス(MI)(温度210℃、荷重5kgf(49N)の条件で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体の量(g))は、5〜200の範囲にあることが好ましい。MIが小さすぎると被覆層形成時の成形安定性が低下したり、クロスヘッド内部でPOF素線にかかる樹脂圧力が高くなり、POFケーブルの光学特性が低下したりするおそれがある。逆にMIが大きすぎると、保護被覆層の機械的強度や厚みの均一性が低下する傾向がある。
以下、本発明のPOFケーブルの保護被覆層に好ましく用いることができる各種樹脂について説明する。
前記保護被覆層を構成する(メタ)アクリル酸メチル系樹脂としては公知のものが使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)や、(メタ)アクリル酸メチルと他の単量体との共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸メチル系樹脂中の(メタ)アクリル酸メチル単位の含有量は、10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸メチル単位の共重合成分としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、さらには下記一般式(9)
Figure 0005236292
(式中、Xは水素原子又はメチル基、Yは水素原子又はフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表される、(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステルが挙げられる。
なお、上記一般式(9)において、含フッ素アルキル基の構造が嵩高くなると共重合時の重合性、共重合体の耐熱性が低下することから、含フッ素アルキル基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
上記一般式(9)で表される(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル(3FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(4FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(5FM)、(メタ)アクリル酸−2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(6FM)、(メタ)アクリル酸−1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(8FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロブチル)エチル(9FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロヘキシル)エチル(13FM)、(メタ)アクリル酸−1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(16FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロオクチル)エチル(17FM)、(メタ)アクリル酸−1H,1H,11H−(イコサフルオロウンデシル)(20FM)、(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロデシル)エチル(21FM)等の、直鎖状フッ素化アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸フッ素化エステルが挙げられ、また、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチルや(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソブチル等の、分岐状フッ素化アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸フッ素化エステル等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸メチル系樹脂は、保護被覆層としての機械的強度と、上述のナイロン系樹脂に含まれるモノマー及びオリゴマーのPOF素線中への溶解・拡散を防止する点から、(メタ)アクリル酸メチル単位70〜95質量%と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位((メタ)アクリル酸n−ブチルや(メタ)アクリル酸エチル等)5〜30質量%とを含む共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸メチル系樹脂が、上記の(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステル単位を含む場合には、保護被覆層としての機械的強度と、上述のナイロン系樹脂に含まれるモノマー及びオリゴマーのPOF素線中への溶解・拡散を防止する点から、(メタ)アクリル酸メチル単位10〜95質量%と(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステル単位5〜90質量%とを含む共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル単位50〜90質量%と(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステル単位10〜50質量%であればより好ましく、(メタ)アクリル酸メチル単位60〜90質量%と(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステル単位10〜40質量%であればさらに好ましい。
上記以外の(メタ)アクリル酸メチル単位の共重合成分としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸(1−メチルトリシクロヘプチル)、(メタ)アクリル酸(1−メチルヘキサシクロドデシル)、メタクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕−デカ−8−イル等のその他の脂環式基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸脂環式エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル;スチレンの他、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン、フルオロスチレン、メチルスチレン等の置換スチレン等の芳香族ビニル化合物等も挙げることができる。
また、保護被覆層を構成する(メタ)アクリル酸メチル系樹脂は、その示差走査型熱量分析計(DSC)で測定したガラス転移温度が70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、光遮断被覆層のナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及び/又はオリゴマー化合物のPOF素線への移行を遮断する効果が不十分となり、POFケーブルの耐熱性の向上が困難になる。
保護被覆層を構成する樹脂としてスチレン単位を主構成単位とするスチレン系樹脂を用いてもよい。ここでスチレン系樹脂とは、樹脂中に80質量%以上のスチレン単位を含む樹脂を指し、スチレンの単独重合体や、スチレン単位を80質量%以上含有する共重合体等が挙げられる。スチレンの単独重合体としては、アタクチックポリスチレンが好ましい。アタクチックポリスチレンは、ガラス転移温度を100℃付近に有する非晶性高分子であり、明確な結晶融点を有さないために比較的低い温度(220℃以下)で、PMMAをコアとするPOF素線に直接被覆することが可能である。一方、アイソタクチックポリスチレンやシンジオタクチックポリスチレンは、結晶融点が240℃以上であり、POF素線の外周に保護被覆層を被覆する時に、高い被覆温度(260℃以上)が必要となる。被覆温度が低いほうが、POF素線への被覆時の影響を抑えることができるため好ましい。尚、スチレン単位の共重合成分としては、上述した(メタ)アクリル酸メチル単位の共重合成分として挙げられた各種単量体成分を用いることができる。
このようなスチレン系樹脂としては、例えば、PSジャパン社製のHF10、NF20、HT52、HF77、679(商品名)、日本ポリスチレン社製の日本ポリスチG120K、G440K、G430(商品名)等の中から選ぶことができる。
保護被覆層を構成する樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いる場合は、フッ化ビニリデン(VdF)単位のみからなる樹脂(フッ化ビニリデン単独重合体:PVDF)でなければならない。市販されているフッ化ビニリデン系樹脂としては、VdF単位70〜90質量%と、TFE単位又はHFP単位10〜30質量%の共重合体、VdF単位15〜50質量%とTFE単位30〜70質量%とHFP単位15〜25質量%の共重合体が知られているが、これらの材料を保護被覆層に用いても、POFケーブルの十分な耐熱性向上効果を得ることができない。
このようなPVDF樹脂としては、例えば、アルケマ社製のKYNAR710、720(商品名)、アウジモント社製のHYLAR−MP10、MP20(商品名)、呉羽化学社製のKFポリマー(商品名)等の中から選ぶことができる。
上述した樹脂から形成された保護被覆層は、光遮断被覆層を構成するナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及び/又はオリゴマー化合物のPOF素線への移行を遮断する機能を十分有しているが、このような保護被覆層を有するPOFケーブルは、POF素線と光遮断被覆層との間の引き抜き強度は30Nより低い。そのため、これらのPOFケーブルは、POFケーブルの末端部分から光遮断被覆層の一部を剥離して、その上にプラグを固定する用途に用いることができる。
一方で、自動車搭載用のPOFケーブルの中には、末端部分の光遮断被覆層を剥離させずに、接着剤やレーザー融着法を用いてプラグを直接POFケーブルの光遮断被覆層の外周に固定する用途があり、この場合、POF素線と光遮断被覆層の間には強い密着性(引き抜き強度)が要求される。
このような強い密着性を発現することが可能な保護被覆層材料としては、ポリブチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
保護被覆層を構成するポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下、PBT樹脂と略する)とは、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)とテレフタル酸のエステル化反応、または1,4−ブタンジオールとテレフタル酸ジメチルのエステル交換反応により得られたビスヒドロキシブチルテレフタレート(BHT)ないしはそのオリゴマーを重縮合して合成された、下記一般式(10)
Figure 0005236292
で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートの単位を主構成単位として含有する重合体のことである。
本発明に適しているPBT樹脂として、より具体的には、上記一般式(10)で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)として含有し、ソフトセグメント単位(非晶相)として、分子量が200〜5000の範囲にある脂肪族ポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)など)と、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチルのうち少なくとも1種類との重縮合で合成された、下記一般式(11)
Figure 0005236292
(式中、pは4〜12の整数、qは2〜20の整数を示す。)
で示される、脂肪族ポリエーテル単位を含有するブロック単位を含有するブロック共重合体であるPBT樹脂が挙げられる。
または、上記一般式(10)で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)として含有し、ソフトセグメント単位(非晶相)としてポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)やポリブチレンアジペート(PBA)のような、下記一般式(12)
Figure 0005236292
で示される脂肪族ポリエステルのブロック単位とを含有するブロック共重合体からなるPBT樹脂が挙げられる。
上記のPBT樹脂の中でも、特に、高温高湿下における、POFケーブルの光学性能や被覆層の引抜強度の耐久性を維持する点で、上記一般式(11)で示される脂肪族ポリエーテル単位を含むブロック単位をソフトセグメント単位として有するPBT樹脂が好適である。特に、オリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートからなるハードセグメント部分(A)(式(10)に示される構造)と、テレフタル酸あるいはテレフタレートと分子量が200〜600の範囲にあるポリテトラメチレングリコール(PTMG)との重縮合体からなるソフトセグメント部分(B)(式(11)においてp=4の場合の構造)とを含むブロック共重合体であるPBT樹脂が、高温高湿下における、POFケーブルの光学性能や被覆層の引抜強度の耐久性に優れていることから好ましい。
さらに、上記PBT樹脂においては、ハードセグメント部分(A)に含まれる1,4−ブチレンテレフタレート単位の総モル数(a)と、ソフトセグメント部分(B)に含まれる1,4−ブチレンテレフタレート単位の総モル数(b)の比(a/b)は、15/85〜30/70の範囲が好ましい。この比(a/b)が小さすぎると、ポリマー主鎖中のエーテル結合単位の数が増えるため、高温高湿下でPBT樹脂が加水分解による劣化を受けやすくなったり、ソフトセグメント含有量が増大するため、材料自体が柔軟で変形を受け易くなるために引抜強度が低下したり、光遮断被覆層を構成するナイロン系樹脂由来のモノマーやオリゴマーを遮断する効果が低下する。逆に、この比(a/b)が大きすぎると、ハードセグメントの含有量が増大するために、結晶融点が高くなり、保護被覆層の被覆安定性が低下したり、被覆工程におけるPOF素線と保護被覆層の間、及び/又は保護被覆層と光遮断被覆層の間の熱融着性が低下したりする傾向がある。この比(a/b)は18/82以上がより好ましく、22/78以上がさらに好ましい。一方、この比は27/73以下がより好ましく、25/75以下がさらに好ましい。
さらに、上記PBT樹脂の結晶融点は、155℃以上205℃以下の範囲にあることが好ましい。結晶融点が低すぎると、モノマーやオリゴマーのPOF素線への移行を遮断する機能が不十分となるおそれがある。一方、結晶融点が高すぎると、後述するような共押出被覆装置を用いて、POF素線の外周に保護被覆層を設ける際の成形安定性が低下するおそれがある。PBT樹脂の結晶融点は195℃以下がより好ましく、185℃以下がさらに好ましい。またPBT樹脂の結晶融点は165℃以上がより好ましく、175℃以上がさらに好ましい。
さらに、上記PBT樹脂は、JIS K7215規格に準じて測定したショアD硬度が38〜65の範囲にあることが好ましい。ショアD硬度が低すぎると、高温での流動性が高くなる傾向があるため、被覆安定性が低下したり、材料自体が柔軟で変形しやすくなったりする傾向があるため、POF素線と光遮断被覆層との間の引き抜き強度が低下する。ショアD硬度が高すぎると、被覆工程における、POF素線と保護被覆層の間、及び/又は保護被覆層と光遮断被覆層の間の熱融着性が低下するため、POF素線と光遮断被覆層との間の引き抜き強度が低下する。このショアD硬度は40以上がより好ましく、45以上がさらに好ましい。また、このショアD硬度は60以下がより好ましく、55以下がさらに好ましい。
このようなPBT樹脂の結晶融点やショアD硬度は、上記ハードセグメント単位と上記ソフトセグメント単位の構成比や各々の分子量、あるいは重合体全体の分子量を調整することによって調整できる。
このようなPBT樹脂としては、例えば、東レ・デュポン社製のハイトレル(Hytrel)2551、2474、4047、4057、4767(商品名)や、ポリプラスチック社製のDYURANEX 400LP(商品名)、帝人化成社製のヌーベラン4400シリーズ(商品名)、東洋紡社製のペルプレンSタイプ、Pタイプ(P150M)(商品名)、三菱化学社製のプリマロイBシリーズ(商品名)等の中から選ぶことができる。
上記のようなPBT樹脂を保護被覆層に用いることによって、POF素線と光遮断被覆層との間の引き抜き強度を30N以上とすることが可能となり、POFケーブルが高温環境下に置かれた時のピストニングの発生をより一層抑制できる。また、POFケーブルの一端にプラグを固定し、プラグを介して他の機器等と接続した後に振動などの機械的作用を受けた際に、POF素線と光遮断被覆層との密着性が不十分な場合には、POF素線に過剰な力が作用してPOF素線が破断し易くなるが、このような破断も防止できる。
その他に、強密着効果を発現することが可能な保護被覆層を構成する樹脂としては、ポリエチレン単位とポリビニルアルコール単位を含有する共重合体(以下、EVAL共重合体と略する)がある。このEVAL共重合体は、エチレン単位とビニルアルコール単位の含有量比が、エチレン単位20〜70モル%、ビニルアルコール単位30〜80モル%の範囲にある共重合体が好ましい。特に、共重合体の結晶融点が195℃以下、より好ましくは180℃以下の範囲にあり、210℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが25〜80g/10分の範囲にあるものが、上述のナイロン系樹脂に含まれるモノマー及びオリゴマーのPOF素線中への溶解および拡散を防止する効果に優れるとともに、POFケーブルの成形安定性に優れる点から好ましい。
また、EVAL共重合体は酸素遮断性が高いことから、高温環境下におけるPOF素線の酸化劣化による伝送損失の増大も抑制できる。
EVAL共重合体としては、例えば、クラレ社製のエバールE105、G156、F104、FP104、EP105、EU105(商品名)等が挙げられる。
以上のような各種樹脂を、本発明のPOFケーブルの保護被覆層を構成する好ましい材料として挙げることができるが、上記保護被覆層には、POF素線への外光の入射を防止するために、光遮断被覆層と同様に、カーボンブラック等の遮光剤を含有させてもよく、十分な光遮断効果を得るために、保護被覆層の本来目的とする効果を損なわない範囲で、例えば0.1質量%以上含有させてもよい。
上記のようなPBT樹脂を保護被覆層に用いることによって、POF素線と光遮断被覆層との間の引き抜き強度を30N以上とすることが可能となり、POFケーブルが高温環境下に置かれた時のピストニングの発生をより一層抑制できる。また、POFケーブルの一端にプラグを固定し、プラグを介して他の機器等と接続した後に振動などの機械的作用を受けた際に、POF素線と光遮断被覆層との密着性が不十分な場合には、POF素線に過剰な力が作用してPOF素線が破断し易くなるが、このような破断も防止できる。
[機能被覆層]
本発明のPOFケーブルの特徴の一つは、光遮断被覆層の外周に、特定の範囲にある結晶融点を持つナイロン系樹脂組成物からなる被覆層を設けて、POFケーブルが高温環境下で使用される場合のレイリー散乱の増大を抑制すること、あるいは特定の範囲にある酸素透過性を持つナイロン系樹脂組成物からなる機能被覆層を設けて、POFケーブルが高温環境下で使用される場合の電子遷移吸収の増大を抑制することにある。
この機能被覆層は、着色することによりPOFケーブルに識別性を付与することができる。また、この機能被覆層に難燃剤を含有させることにより、POFケーブルに難燃性を付与することができる。さらに、この機能被覆層は、特定の結晶融点を持つナイロン系樹脂組成物から形成されるため、ナイロン系樹脂の原料由来のモノマーやオリゴマーに起因する耐熱性低下を抑えることができ、加えて、被覆層の高温環境下での機械的保護性能を高めることができる。
機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物は、ナイロン系樹脂を主成分として含有する樹脂組成物、すなわちナイロン系樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物を意味し、ナイロン系樹脂の含有量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。ナイロン系樹脂を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することにより、上記の耐熱性低下の抑制や、耐熱寸法安定性、機械的強度、耐薬品性の十分なPOFケーブルを得ることができる。ナイロン系樹脂と混合される樹脂は、本発明における機能被覆層に求められる特性を損なわない範囲内で、POF素線の被覆材として一般に用いられている熱可塑性樹脂を用いることができる。
先述したように、ナイロン系樹脂の重合は化学平衡反応であるため、ポリマー中にナイロン系樹脂原料に由来するモノマーやオリゴマーが残存することは避けられない。本発明者らの検討結果によれば、光遮断被覆層の外周に、ある種のナイロン系樹脂を機能被覆層として設けたPOFケーブルは、100℃以上の高温環境下に長期間放置された場合、機能被覆層中の残存モノマーやオリゴマーが、光遮断被覆層や保護被覆層を透過してPOF素線の内部に溶解・拡散し、レイリー散乱の増大を引き起こすことが解った。
一方、上述した、POF素線の外周に保護被覆層および光遮断被覆層を形成したPOFケーブル(一次被覆ケーブル)は、波長650nm付近における伝送損失だけを見れば、105℃環境下においても長期間にわたり安定である。しかし、波長が600nmより短い波長領域においてはPOFケーブルの伝送損失の増大が大きく、500〜600nmの波長領域での信号伝送に用いることは困難であった。本発明者らの検討結果によれば、酸素が、光遮断被覆層や保護被覆層を透過してPOF素線の内部に溶解・拡散し、酸化劣化による電子遷移吸収の増大を引き起こすことが解った。
すなわち、高温環境下におけるPOFケーブルの伝送損失の増大は、上述のレイリー散乱および電子遷移吸収の増大が原因であることが解った。
そこで、本発明者らは、機能被覆層に使用してもPOFケーブル(一次被覆ケーブル)の耐熱性を損なわないナイロン系樹脂組成物に関して鋭意検討を行った結果、結晶融点が特定の範囲にあるナイロン系樹脂組成物を用いることにより、105℃の高温環境下において、波長650nmの伝送損失の増大を抑制できることを見出した。また、結晶融点と酸素透過性が特定の範囲にあるナイロン系樹脂組成物を用いることにより、105℃の高温環境下において、波長650nmの伝送特性を損なわずに、波長600nm以下の伝送損失の増大を著しく抑制できることを見出した。
すなわち本発明者らは、第1の解決手段として、機能被覆層中の残存モノマーやオリゴマーが原因のレイリー散乱に由来するこの問題は、機能被覆層を構成する材料として、215℃以上280℃以下の範囲内に結晶融点を持つナイロン系樹脂組成物を用いることによって解決できることを見出した。
ナイロン系樹脂においては、Brill転移温度と呼ばれる温度が存在することが知られている。このBrill転移温度においては、Brill転移と呼ばれる現象、すなわちポリマー主鎖のメチレンーアミド基間のねじれ運動が活発となり、アミド基の水素結合は保持されつつも、メチレン鎖のコンフォメーションの揺らぎや規則性の乱れを伴った大きな運動がおこりはじめる現象が起こり始める(Polymer,44(2003)、p6407−6417)。
Brill転移現象は、約40℃の温度範囲にわたって発現する現象であり、そのピーク最大値の温度がBrill転移温度と呼ばれている。ナイロン12(融点約180℃)のBrill転移温度は約140〜150℃付近、ナイロン6−12(融点約155〜160℃)のBrill転移温度は約120〜130℃付近に存在することが知られている。本発明者らの検討によれば、機能性被覆層の材料として、ナイロン12やナイロン6−12を含有するナイロン系樹脂組成物を用いた場合、POFケーブルが100℃の環境下に長期間放置された場合、ナイロン12やナイロン6−12中に含まれるナイロン樹脂由来の残存モノマーや残存オリゴマーがPOF素線中に移行して、光伝送性能が著しく低下することが判明した。そこで、本発明者らは、このナイロン12やナイロン6−12では、Brill転移温度は約120〜145℃付近に存在することから、残存モノマーや残存オリゴマーのブリーディングが起こりやすいと考え、より高いBrill転移温度を有するナイロン系樹脂組成物を機能性被覆層の材料として用いれば、この問題は改善できると考えた。
しかし、Brill転移温度は測定に特別な装置を使用するため、容易に測定できる指標値ではない。そこで本発明者らは、比較的容易に測定可能な指標値として、示差操作型熱量分析計(DSC)により測定する結晶融解温度(結晶融点)を用いることを検討した。その結果、機能性被覆層に用いるナイロン系樹脂の結晶融点をある温度範囲に設定することにより、POFケーブルの耐久性能を十分なものにできることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち、機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の結晶融点が215℃より低ければ、POFケーブルが100℃以上の環境下に長期間おかれた場合、機能被覆層を構成するナイロン系樹脂の原料に由来する残存モノマーやオリゴマーが機能被覆層からブリードアウトしてPOF素線に移行する現象を、保護被覆層を設けていても抑制できないおそれがある。一方、結晶融点が280℃より高ければ、機能被覆層を被覆形成する温度を高く設定しなければならないため、特に300℃以上に設定すると、PMMAやMMAを主成分とする共重合体からなるコアを有するPOF素線や、ナイロン11やナイロン12等の比較的融点の低いナイロン系樹脂からなる光遮断被覆層が熱変形しやすくなり、POFケーブルの光学特性や熱収縮特性が損なわれる可能性がある。機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の結晶融点は225℃以上が好ましく、235℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましい。また、この結晶融点は、275℃以下が好ましく、270℃以下がより好ましい。
結晶融点が215℃以上280℃以下であるナイロン系樹脂組成物に含有されるナイロン系樹脂としては、ナイロン6(単独重合体)、ナイロン66(単独重合体)、ナイロン610(共重合体)、ナイロン6/66(共重合体)から選ばれる1種、または2種以上の混合物類を挙げることができる。中でも、ナイロン6(融点225℃、Bril温度の最大値は約195℃、Polymer,42(2001)、p10119〜10132)、ナイロン66(融点265℃、Bril温度の最大値は約150〜160℃、Polymer,42(2001)、p10119〜10132)は、成形材料として安価な製品が容易に入手できることから特に好ましい。
一方、第2の解決手段として、本発明者らは、酸素による酸化劣化が原因の電子遷移吸収に由来する問題は、この機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物として、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融点が240℃以上280℃以下であり、且つISO14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で測定した温度T(K)における酸素透過率P(cm・cm/(cm・sec・Pa))が、下記の式(A)
P<8×10−2×exp(−5600/T) (A)
を満たすナイロン系樹脂組成物を用いることによって解決できることを見出した。
なお、ここで式(A)が成立する温度T(K)の範囲は、283K(10℃)以上333K(60℃)以下であることが好ましい。高分子材料の酸素透過率は、温度に対してアレニウス依存性を有することが良く知られており、さらにガラス転移温度の前後において、アレニウス依存性が変化する。本発明のナイロン66樹脂組成物のガラス転移温度は、温度55〜65℃に存在している。従って、温度T(K)の上限は333K(60℃)であることが好ましい。一方、下限は、酸素透過率の測定精度の点から283K(10℃)であることが好ましい。
特に、本発明者らの検討によれば、機能被覆層のナイロン66樹脂組成物の酸素透過率が、T=296K(23℃)を式(A)、及び後述の式(B)、(C)、(D)に代入して得られる具体的数値より小さい条件を満たすことにより、POFケーブルの105℃での耐熱性向上効果(特に波長600nm以下)が得ることができる。
機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の結晶融点が240℃以上であれば、POFケーブルが105℃の環境下に長期間おかれた場合、より一層優れた105℃での耐熱性向上効果(特に波長600nm以下)が得られる。一方、この結晶融点が280℃より高いと、機能被覆層を被覆形成する温度を高く設定しなければならないため(特に300℃以上に設定すると)、PMMAやMMAを主成分とする共重合体からなるコアを有するPOF素線や、ナイロン11やナイロン12等の比較的融点の低いナイロン系樹脂からなる光遮断被覆層が熱変形しやすくなり、POFケーブルの光学特性や熱収縮特性が損なわれる可能性がある。したがって、機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の結晶融点は240℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましい。また、この結晶融点は、280℃以下が好ましく、275℃以下がより好ましく、270℃以下がさらに好ましい。
結晶融点が240℃以上280℃以下であるナイロン系樹脂組成物に含有されるナイロン系樹脂としては、具体的には、ナイロン66(単独重合体)、または後述するようなナイロン66を主成分とするナイロン系樹脂組成物を挙げることができる。ナイロン66は、結晶融点265℃、温度23℃における酸素透過率は、P=約3×10−10〜4×10−10cm・cm/(cm・sec・Pa)、温度105℃における酸素透過率は、P=約1×10−8〜2×10−8cm・cm/(cm・sec・Pa)である。ここで、主成分とするとは、ナイロン系樹脂組成物の全体量を100質量%とした時、ナイロン66を50質量%以上含有することを意味し、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
機能被覆層に用いられるナイロン6の製造方法については、特に限定されるものではない。工業的には、例えば次のように製造される。ε―カプロラクタムをメルターで溶融した後に、調整槽内で少量の水や、場合によっては重合度調整剤等の添加剤を添加して、ε−カプロラクタムを加水分解により開環して6−アミノカプロン酸を得る。さらに溶融状態で縮重合を行い、次いで熱水抽出塔において、ポリマー中に含まれるラクタムモノマーやオリゴマーを熱水を用いて向流抽出し、その後、真空中または不活性ガス雰囲気中において100℃前後で水分を除去(乾燥)する。
機能被覆層に用いられるナイロン66の製造方法については、特に限定されるものではない。工業的には、次のように製造される。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の混合水溶液(AH塩水溶液)に重合度調節剤を添加した後に、加圧高温化にした重合層内で重縮合反応によりポリマーを形成する。その後、適当な方法を用いて系内の水蒸気、水分を除去する。
機能被覆層に含まれるナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量については、一般的に工業化されているナイロン系樹脂の含有レベルにあれば、本発明によるPOFケーブルは十分な耐熱性を得ることができる。機能被覆層中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量は15質量%以下の範囲にあることが好ましく、10質量%以下の範囲にあることがより好ましく、5.0質量%以下の範囲であれば特に好ましい。これらの化合物の合計含有量の下限については特に制限はない。機能被覆層中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が上記の範囲内であれば、より十分な耐熱性を有するPOFケーブルが得られる。例えば、機能被覆層中のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が、0.1質量%以上、あるいは0.5質量%以上、さらには1質量%以上であっても十分な耐熱性を有するPOFケーブルを得ることができる。
なお、ナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物とは、前述の光遮断被覆層の説明において記載した通りであるが、具体的にはナイロン6の場合、モノマーとはε−カプロラクタム、オリゴマーとはε−カプロラクタムの4量体以下の環状オリゴマー及び鎖状オリゴマーを意味し、ナイロン66の場合、モノマーとはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸、オリゴマーとはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸からなる縮合化合物の4量体以下の環状オリゴマー及び鎖状オリゴマーを意味する。
ナイロン6としては、宇部興産社製のUBEナイロン1011B、1015B、1022B、1018SE(商品名)や、東レ社製のアミランCM1007、CM1017、CM1021、CM1026、CM1014(商品名)、BASF社製のUltramid8200、8202、8270、B27、B3K、B3S、8232G(商品名)、EMS社製のGRILON BSシリーズ、BZシリーズ、BRZシリーズ(商品名)を挙げることができる。
ナイロン66としては、宇部興産社製のUBEナイロン2015B、2020B、2026B(商品名)や、東レ社製のアミランCM3007、CM3001−N、CM3006、CM3301、CM3304、CM3004(商品名)、旭化成社製のレオナ1200S,1300S、1500、1700(商品名)や、BASF社製のUltramid 1000、1003、A3、N322、A3X2G5(商品名)、EMS社製のGRILON ASシリーズ、AZシリーズ、AR、ATシリーズ(商品名)、DuPont社製のZytel 101、103、42A、408(商品名)を挙げることができる。
また、ナイロン610としては、東レ社製のアミランCM2001、CM2006(商品名)を挙げることができる。ナイロン6/66としては、BASF社製のUltramid C3U、C33、C40(商品名)を挙げることができる。
上述した第1の解決手段によるPOFケーブルの波長650nmの伝送損失値は、105℃の高温環境下でも、長期間にわたり安定である。
本発明者らは、さらに、波長600nm以下の伝送損失の増加を抑制するために、機能被覆層のナイロン系樹脂組成物に関する検討を続けたところ、第2の解決手段として、酸素透過性が特定の範囲にあるナイロン系樹脂組成物を用いることにより、105℃の高温環境下において、波長650nmの伝送特性を損なうことなく、600nmより短い波長領域においてPOFケーブルの伝送損失の増大を著しく抑制できることを見出した。
機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物は、その酸素透過性として、ISO14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で測定した温度T(K)における絶乾状態の酸素透過率P(cm・cm/(cm・sec・Pa))が、下記の式(A)
P<8×10−2×exp(−5600/T) (A)
を満たすものを用いる。
酸素透過率(P)の値が、上記式(A)の右辺の値より高くなると、POFケーブルが105℃の高温環境下に長期間置かれた場合、POFが置いてある環境中の酸素が、光遮断被覆層および保護被覆層を透過して、POF素線の内部に溶解・拡散して、POF素線が酸化劣化を受ける傾向が大きくなる。その結果、POF素線のコア部やクラッド部における電子遷移吸収が増大して、波長600nm以下の伝送損失が増大する。酸素透過率(P)の値が、上記式(A)を満たせば、POFの波長600nm以下の伝送損失の増大を抑えることができる。
機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物の酸素透過率(P)は、波長600nm以下の伝送損失の増大を抑制する点から、下記の式(B)
P<8×10−2×exp(−5800/T) (B)
を満たすことがより好ましく、
下記の式(C)
P<8×10−2×exp(−6000/T) (C)
を満たすことがさらに好ましく、
下記の式(D)
P<8×10−2×exp(−6300/T) (D)
を満たすことが、特に好ましい。
ナイロン系樹脂組成物の酸素透過率を低くするための方法としては、結晶化度を一定の範囲に制御する方法や、球晶サイズを一定の範囲に制御する方法を用いることが好ましい。
機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物の結晶化度は30%以上55%以下の範囲にあることが好ましい。結晶化度をこのような範囲に制御することにより、所望の酸素透過率を有するナイロン系樹脂組成物を得やすくなる。結晶化度が小さすぎると、POFケーブルが高温下で処理された際に後結晶化が発生するため、POFケーブルの寸法変化が生じたり、所望の酸素透過率が得られないため、105℃の環境下に長期間置かれた場合に、波長600nm以下の伝送損失の増加を抑制することが困難になったりする。結晶化度が大きすぎると、POFケーブルの曲げ弾性率が高くなるため、POFケーブルが取り扱い難くなったり、POFケーブルをボビンに巻き取って長期間保管しておくと巻き癖が付き易くなったりする等の問題が生じる。機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物の結晶化度の好ましい範囲の下限側は35%以上がより好ましく、上限側は50%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましい。
なお、結晶化度(X)とは、密度から下記一般式に従って算出するものとする。
結晶化度(X)=(ds−da)/(dc−da)
(da:非晶質の密度、dc:結晶質の密度、ds:試料の密度)。
本発明において、機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物は、顕微鏡観察による球晶サイズの平均直径が0.01μm以上40μm以下の範囲にあることが好ましい。
ここで、球晶サイズは、POFケーブルの機能被覆層から超薄切片を作製し、その切片を顕微鏡で観察し、球晶の写真を撮影した後、画像解析装置で球晶の直径の数平均を算出して得られる値である。
球晶サイズが小さすぎると、POFケーブルの機械的強度(特に、引っ張り強度)が低下する傾向がある。また、球晶サイズが大きすぎると、所望の酸素透過率が得られないため、POFケーブルが105℃の環境下に長期間置かれた場合に波長600nm以下の伝送損失が増加したり、POFケーブルの耐熱寸法安定性が損なわれたりする傾向がある。この球晶サイズ(平均直径)の好ましい範囲の下限側は1.0μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、上限側は30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、10μm以下が特に好ましい。
ナイロン66の結晶化度や球晶サイズを一定の範囲に制御する方法としては、製造時の成形温度や冷却速度等を適当な範囲に制御する等の方法を挙げることができる。しかし、POFケーブルの性能を損なわずに製造することが可能な条件範囲では、所望する結晶化度や球晶サイズに制御することが困難である。そこで、本発明のPOFケーブルでは、機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物に結晶化促進剤(造核剤)や、後述する特定の難燃剤を含有させることが好ましく、これにより、球晶サイズを小さくしたり、結晶化度を上げたりすることができる。
結晶化促進剤としては、POF素線中に移行して、POFケーブルの光学性能に影響を与えない化合物が好ましい。このような結晶化促進剤としては、酸化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物や、タルク、シリカ、グラファイト、炭化珪素等の無機微粒子、ナイロン6T、ナイロン66/6Tなどの高融点ポリアミドを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物中の結晶化促進剤の含有量は、POFケーブルの105℃での耐熱性を損なわない範囲で適宜設定することができるが、ナイロン系樹脂組成物100質量%に対し、0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.05〜5質量%の範囲がより好ましく、0.3〜3質量%の範囲がさらに好ましい。
[機能被覆層の着色剤]
本発明のPOFケーブルでは、機能被覆層に、識別するための着色剤として、有彩色の無機顔料を含有させることが好ましい。
一般的に、熱可塑性樹脂の着色剤としては、有機系色素と無機顔料が用いられている。しかし、本発明者らの検討によれば、機能被覆層に有機系色素を含有させたPOFケーブルが100℃以上の高温環境下に長期間置かれた場合、これらの有機色素が、光遮断被覆層と保護被覆層を通過してPOF素線中に移行して、伝送損失の著しい増大を引き起こすことが判明した。一方、無機顔料を用いた場合には、このような移行現象は見られず、POFケーブルが100℃以上の高温環境下で長期間置かれた場合でも、伝送損失に影響がないことを明らかにした。
さらに、機能被覆層の材料にナイロン66樹脂組成物を用いる場合には、特定の着色剤を添加したり、後述する難燃剤と特定の着色剤を組み合わせて添加したりすることにより、機能被覆層の材料の結晶化度を高めたり、球晶サイズを小さくしたりして、酸素透過性を制御することができる。これにより、POFケーブルが高温環境下で使用される場合に波長650nmの伝送特性を安定に維持できるばかりでなく、波長600nm以下の伝送損失の増大を著しく抑制できることも明らかにした。
機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の全体を100質量%とした時に、含まれる有彩色の無機顔料の含有量は0.1質量%以上、10質量%以下の範囲にあることが好ましい。無機顔料の含有量が少なすぎると着色効果が不十分であり、鮮やかな色合いを出すことが困難にある。またこの含有量が多すぎると、被覆材の機械的強度が低下して、耐摩耗性や耐接傷性が低下するおそれがある。無機顔料の含有量は0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、無機顔料の含有量は7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
無機顔料として、例えば、緑色が要求される場合にはセリウムまたはランタンのうち少なくとも1つを含むレアメタル系化合物や、青色の場合には群青、紺青、黄色の場合は黄酸化鉄、赤色の場合は弁柄(三酸化二鉄)、白色の場合は酸化チタン、タルク、カオリン、黒色の場合はカーボンブラック、黒色酸化鉄等を挙げることができる。なかでも、群青、紺青、酸化鉄、弁柄、酸化チタン、レアメタル系化合物、カーボンブラックから選択される少なくとも一種の着色剤を好適に用いることができる。
[機能被覆層の難燃剤]
POFケーブルに難燃性が要求される場合には、機能被覆層に難燃剤を含有させることができる。この場合、本発明のPOFケーブルでは、PMMA系樹脂からなるPOF素線、保護被覆層、光遮断被覆層には難燃剤を含ませないことが好ましく、また各々の被覆層の材料は自己消化性を有さない点から、機能被覆層に難燃機能を担わせることが好ましい。
一般的にナイロン系樹脂に用いられる難燃剤としては、リン系化合物、臭素系化合物、塩素系化合物、トリアジン系化合物、水和金属系化合物が良く知られており、様々な用途で利用されている。
しかし、本発明者らの検討によれば、ある種の難燃剤は、POFケーブルが100℃以上の高温環境下に長期間置かれた場合に、光遮断被覆層と保護被覆層を通過してPOF素線に移行して、伝送損失の著しい増大を引き起こしたり、被覆材自体の劣化を引き起こしたり、あるいは十分な難燃性を達成するにはかなりの高配合量が必要となることから被覆層の機械的強度が著しく低下することが判明した。
本発明者らは、このような問題を解決できる難燃剤の探索・検討を行った結果、メラミンシアヌレート若しくは高分子量タイプの臭素系難燃剤を単独で、又は高分子量タイプの臭素系難燃剤と酸化アンチモンを併用して、ナイロン系樹脂に対して特定の範囲内の量を添加して用いることが、本発明のPOFケーブルに最適であることを見出した。
すなわち、機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の全体を100質量%とする時、メラミンシアヌレートを3質量%以上40質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。この含有量が少なすぎると所望の難燃性の向上効果が得られない傾向にあり、多すぎると樹脂の流動性が低下したり、POFケーブルの曲げ弾性率が高くなるため取り扱い性が低下したり、あるいはPOFケーブル表面の平滑性が低下する傾向がある。この含有量は5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、この含有量は30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
ナイロン66樹脂を用いた場合のように押出成形の温度が270℃以上となるときは、メラミンシアヌレートは熱分解するおそれがあるため、臭素系難燃剤が適している。
機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の全体を100質量%とする時、臭素系難燃剤を樹脂組成物中の臭素原子含有量が1.5〜30質量%の範囲となる量、及び酸化アンチモンを0〜20質量%の範囲の量で含有させることが好ましい。臭素原子の含有量が少なすぎると、POFケーブルに十分な難燃性を付与することが困難であり、多すぎると、POFケーブルの耐摩耗性や機械的強度が低下したり、POFケーブルの曲げ弾性率が高くなるすぎて取り扱い性が低下したりするなどの恐れがある。臭素原子の含有量は5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。また、臭素原子の含有量は25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
臭素系難燃剤は単独で使用しても難燃性の向上効果が得られるが、酸化アンチモンと併用することにより、さらに難燃性を高めることができる。酸化アンチモンは、POFケーブルが高温環境下に長期間置かれた場合でもPOF素線へ移行することがないため、本発明のPOFケーブルに適している。このような酸化アンチモンとしては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンを挙げることができるが、低価格という点から五酸化アンチモンが好ましい。酸化アンチモンの含有量は、機能被覆層を構成するナイロン系樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、臭素原子含有量が1.5〜30質量%の範囲となる量の臭素系難燃剤に対して、酸化アンチモンを20質量%以下となるように添加することが好ましい。酸化アンチモンの含有量が多すぎると、POFケーブルの耐摩耗性や機械的強度が低下したり、あるいはPOFケーブルの曲げ弾性率が高くなるすぎて取り扱い性が低下するなどの恐れがある。酸化アンチモンの含有量は15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また臭素系難燃剤と酸化アンチモンを併用する場合には、臭素系難燃剤と酸化アンチモンの質量比(臭素系難燃剤/酸化アンチモン)を1/1以上、4/1以下の範囲となるように設定することが好ましい。この質量比が高すぎると、酸化アンチモンを添加したことによる難燃化の相乗効果は不十分であり、この質量比が低すぎると、酸化アンチモンを過剰に添加していることになり、難燃性の著しい向上は見られない一方で、POFケーブルの耐摩耗性や機械的強度が低下したり、あるいはPOFケーブルの曲げ弾性率が高くなるおそれがある。臭素系難燃剤と酸化アンチモンの質量比は1.5/1以上がより好ましく、2/1以上がさらに好ましい。また、この質量比は3/1以下がより好ましく、2.5/1以下がさらに好ましい。
三酸化アンチモンは、日本精鉱社製のPATOXシリーズ(CZ等)、STOXシリーズ(商品名)、鈴裕化学社製のFCP AT−3、AT−3CN(商品名)等を挙げることができ、五酸化アンチモンは、日産化学社製のサンエポック(商品名)を挙げることができる。
本発明のPOFケーブルでは、機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物として、ナイロン6及びナイロン66のうち少なくとも一方を主成分とするものが好ましいが、ナイロン6に対しては、メラアミンシアヌレート若しくは高分子量タイプの臭素系難燃剤を単独、又は高分子量タイプの臭素系難燃剤と酸化アンチモンを併用して用いることが好ましい。ナイロン66に対しては、高分子量タイプの臭素系難燃剤を単独で用いるか、又は高分子量タイプの臭素系難燃剤と酸化アンチモンを併用することが好ましい。
また本発明のPOFケーブルに用いられる上記臭素系難燃剤は、TG/DATで測定した1%質量減少温度が300℃以上であるものが好ましい。先述したように、本発明のPOFケーブルにおいて機能被覆層を形成するナイロン系樹脂組成物の結晶融点は、215℃以上280℃以下であることが好ましく、特にナイロン6樹脂(融点約225℃)、又はナイロン66樹脂(融点約265℃)が特に好ましい。ところがこのようなナイロン系樹脂組成物の成形加工温度は通常230℃以上(ナイロン6樹脂の場合は240℃以上、ナイロン66樹脂の場合は280℃以上)である。このような成形加工温度においては、1%質量減少温度が300℃より低い場合、上記臭素系難燃剤の熱分解が起こり始める恐れがあり、POFケーブルの難燃性が低下したり、POFケーブルの耐熱性が低下したりする恐れがある。
また本発明のPOFケーブルに用いられる臭素系難燃剤は、ナイロン系樹脂への分散性が良好であるという観点から、テトラブロモビスフェノールA誘導体化合物、臭素化ポリスチレン、ポリジブロモスチレン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましい。
このような臭素系難燃剤の中でも、重量平均分子量が900以上4,000以下の範囲にあるテトラブロモビスフェノールA誘導体化合物、並びに数平均分子量が900以上60,000以下の範囲にある臭素化ポリスチレン、ポリジブロモスチレン及びポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)から選ばれる少なくとも一種が特に好ましい。尚、ここで数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算分子量のMn及びMwを意味する。
上記臭素系難燃剤の分子量が小さすぎると、POFケーブルが100℃以上の高温環境下に長期間置かれた場合、機能被覆層の材料が上述したように高融点であっても、臭素系難燃剤が、機能被覆層からブリードアウトして、光遮断被覆層と保護被覆層を通過してPOF素線に移行して伝送損失の著しい増大を引き起こしたり、あるいはPOFケーブルの機能被覆層の表面に臭素系難燃剤がブリードアウトしてPOFケーブルの難燃性が低下したりするおそれがある。
上記臭素系難燃剤の分子量が大きすぎると、臭素系難燃剤の流動性や、ナイロン系樹脂組成物中への溶解性・分散性が低下することにより、POFケーブルの難燃性や機械的強度が低下したり、ケーブルの外観が損なわれたりする傾向がある。
テトラブロモビスフェノールA誘導体化合物の分子量は2000以上がより好ましく、また、3000以下がより好ましい。一方、臭素化ポリスチレン、ポリジブロモスチレン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)の分子量は1万以上がより好ましく、2万以上がさらに好ましく、3万以上が特に好ましい。また、この分子量は、5万以下がより好ましく、4万以下が特に好ましい。
分子量が900以上であるテトラブロモビスフェノールA(以下、「TBA」と略する
)の誘導体化合物としては、下記一般式(13)
Figure 0005236292
(nは、1〜4の整数)
で示される、TBAと1,2−ジブロモエタンとのオリゴマー化合物(TBA−EDB)を挙げることができる。例えば、帝人化成社製のファイヤーガード3000、3100(
商品名)が挙げられる。
あるいは、下記一般式(14)
Figure 0005236292
(nは、3〜5の整数)
あるいは、下記一般式(15)
Figure 0005236292
(nは、3〜5の整数)
で示される、両端末端をベンゼン又はトリブロモベンゼンで封止したTBA−カーボネートオリゴマー化合物(TBA−PC)を挙げることができる。例えば、帝人化成社製のファイヤーガード7000、7500、8500(商品名)、GLC社製のBC−52、BC−58等が挙げられる。
あるいは、下記一般式(16)
Figure 0005236292
(nは、0〜4の整数)
で示される、両末端をトリブロモフェノール又はエポキシ基で封止したTBA−エポキシオリゴマー化合物(TBA−EPO)を挙げることができる。例えば、ブロモケム・ファーイースト社製のF−2001、2200、2016、2300、2300H、2310、2400、2400H、3020(商品名)、坂本薬品社製のSR−T5000(商品名)、マナック社製のT3040、T5000、T20000(商品名)等が挙げられる。
臭素化ポリスチレン(BrPS)又はポリジブロモスチレン(PDBS)としては、下記一般式(17)
Figure 0005236292
(ポリジブロモスチレンの場合はm=2、臭素化ポリスチレンの場合はm=2〜5。nは
整数)
で示される分子量900〜60,000の化合物を挙げることができる。例えば、ブロモ
ケム社製のFR−803P(商品名)、アルベマール社製のSAYTEX−HP−7010、HP−3010、PYROCHEK−68PB(商品名)、GLC社製のPB−411、PBDS−80、PBS−64HW、CP−411(商品名)、マナック社製のプラセフテイ−1200(商品名)が挙げられる。
ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)(PPBBA)としては、下記一般式(18)
Figure 0005236292
(nは整数)
で示される分子量900〜60,000の化合物を挙げることができる。例えば、ブロモ
ケム・ファーイースト社製のFR−1025(商品名)が挙げられる。
[POFケーブルの構造]
次に、本発明のPOFケーブルを構成する各層の厚みについて説明する。
本発明では、コア−クラッド構造を有するPOF素線の外径をA(μm)、保護被覆層の厚みをa(μm)、光遮断被覆層の厚みをb(μm)、機能被覆層の厚みをc(μm)とした時、保護被覆層が、ナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物に対する遮断効果をより十分に発現してPOFケーブルの耐熱安定性をより良好なものとする点から、a,b,cの値を下記の式を満たす範囲に設定することが好ましい。
900≦A≦1100
1.5≦b/a≦30
5.5≦(b+c)/a≦70
b/aが小さすぎると、POF素線と光遮断被覆層との間の引抜強度が低下したり、POFケーブルの機械的特性や、自動車内用途で要求されるバッテリー液耐性、ピストニングが低下したりする恐れがある。b/aが大きすぎると、保護被覆層が薄くなるため、光遮断被覆層や機能被覆層に含まれるナイロン系樹脂に由来する残存モノマーやオリゴマーの移行を保護被覆層で遮蔽できなくなる恐れがある。より好ましい範囲は、2.0≦b/a≦10であり、さらに好ましい範囲は、3.0≦b/a≦5である。
機能被覆層の厚み(c)と光遮断被覆層の厚み(b)の合計の厚みと保護被覆層の厚み(a)と関係は、5.5≦(b+c)/a≦70を満たすことが好ましい。(b+c)/aが小さすぎると、POF素線と光遮断被覆層との間の引抜強度が低下したり、POFケーブルの機械的特性や、自動車内用途で要求されるバッテリー液耐性、ピストニングが低下したりする恐れがある。(b+c)/aが大きすぎると、保護被覆層が薄くなるため、光遮断被覆層や機能被覆層に含まれるナイロン系樹脂に由来する残存モノマーやオリゴマーの移行を保護被覆層で遮蔽できなくなる恐れがある。より好ましい範囲は、8.0≦(b+c)/a≦40であり、さらに好ましい範囲は、9.5≦(b+c)/a≦10である。
また、POF素線の外径を900〜1100μmとする時の、保護被覆層の厚みa(μm)、光遮断被覆層の厚みb(μm)、機能被覆層の厚みc(μm)については、10≦a≦100、140≦b≦300、200≦a+b≦350、500≦a+b+c≦660、の関係を満たすことが好ましい。
保護被覆層の厚みaが小さすぎると、残存モノマーやオリゴマーを遮断する効果が不十分であり、逆に大きすぎると、POF素線と光遮断被覆層の間の引き抜き強度が低下したり、ピストニングが大きくなる傾向がある。
光遮断被覆層の厚みbが小さすぎると、POFケーブルの耐薬品性が低下する恐れがあり、逆に大きすぎると、保護被覆層による、光遮断被覆層に由来する残存モノマーやオリゴマーに対する遮断効果が不十分になる恐れがある。
保護被覆層の厚みと光遮断被覆層の厚みの合計(a+b)については、小さすぎると、ナイロン11又はナイロン12からなる層の厚みが小さいためにPOFケーブルの耐溶剤性が低下する恐れがあり、逆に大きすぎると、後述するように、保護被覆層と光遮断被覆層を、POF素線の外周に、1つのクロスへッドを用いて同時被覆する場合に、POF素線が熱による劣化を受けやすくなる恐れがある。
被覆層全体の厚み(a+b+c)については、小さすぎると、自動車内における振動や、高温多湿な環境からPOF素線を保護する効果等、各層による効果が不十分になるおそれがある。逆に大きすぎると、POFケーブルの曲げ弾性が大きくなり、ケーブル加工時の取り扱い性が低下する。
[POFケーブルの製造方法]
次に、本発明のPOFケーブルを製造する方法、すなわちPOF素線の外周に保護被覆層、光遮断被覆層、機能被覆層を形成する方法について、いくつかの実施形態を挙げて説明する。これらの製造方法は、使用する材料の流動特性や、装置の仕様によって適宜使い分ければよい。
第一の方法による製造は次の通りに行うことができる。
まず、コアと、その外周に形成される少なくとも1層以上のクラッドと、さらにその外周に形成される保護被覆層とを複合紡糸して、POF素線と保護被覆層を一体形成する。その後に、その保護被覆層の外周に、クロスヘッドダイを備えた被覆装置を用いて光遮断被覆層を形成し、POF一次ケーブルを得る。その後、別のクロスヘッドダイを備えた被覆装置を用いて、そのPOF一次ケーブルの外周に機能被覆層を形成する。
この方法は、POF素線に保護被覆層を厚み50μm以下で設ける場合に好適である。この場合、保護被覆層として用いる樹脂の、日本工業規格JIS K7210に準拠して測定したメルトフローインデックス(MI)(温度210℃、荷重5kgf(49N)の条件で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体の量(g))は、小さすぎると被覆層形成時の成形安定性が低下したり、クロスヘッド内部でPOF素線にかかる樹脂圧力が高くなり、POFケーブルの光学特性が低下したりするおそれがある。逆にMIが大きすぎると、保護被覆層の機械的強度が低下する傾向がある。これらの点を考慮すると、保護被覆層を形成する樹脂のMIの範囲は5〜200が好ましく、20〜100がより好ましく、40〜50がさらに好ましい。また、コア、クラッド、保護被覆層を形成する材料のMIをそれぞれ、MI1、MI2、MI3として、下記一般式(Vii)
Figure 0005236292
の関係を満たしていることが、複合紡糸時の安定性が良好となることから好ましい。
その際、複合紡糸時の紡糸温度は200℃〜260℃の範囲が好ましく、220℃〜240℃の範囲がより好ましい。また、クロスヘッドダイの温度は190℃〜230℃の範囲が好ましく、200℃〜220℃の範囲がより好ましい。
第二の方法による製造は次の通りに行うことができる。
まず、コアと、その外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドからなるPOF素線を複合紡糸により形成する。その後に、クロスヘッドダイを備えた被覆装置を用いて、そのPOF素線の外周に保護被覆層と光遮断被覆層とを同時に共押し出しにより被覆してPOF一次ケーブルを得る。その後、別のクロスヘッドダイを備えた被覆装置を用いて、そのPOF一次ケーブルの外周に機能被覆層を形成する。
通常、POF素線にタフネスを持たせることを目的として、加熱延伸操作を施すことが行なわれている。しかし、POF素線の構成材料(コア材およびクラッド材の樹脂)のガラス転移温度及び/又は融点より、保護被覆層のガラス転移温度及び/又は融点が高い場合に、POF素線と保護被覆層を一体化した状態で延伸すると、保護被覆層がPOF素線の伸張に追随できず損傷する恐れがある。このような場合に、第2の方法は好適である。例えば、POFのコア材がポリメタクリル酸メチルから形成され、保護被覆層がPBT樹脂やPVDF樹脂から形成される場合を挙げることができる。この場合、保護被覆層に用いる樹脂のメルトフローインデックス(MI3)(温度210℃、荷重5kgf(49N)の条件で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体の量(g))は、小さすぎると樹脂の粘度が高くなるため被覆層形成時の成形安定性が低下したり、POF素線の外周に保護被覆層と光遮断被覆層を同時に共押出しにより被覆する場合にクロスヘッド内部でPOF素線にかかる樹脂圧力が高くなり、POF素線が損傷するおそれがある。逆にMI3が大きすぎると、ある一定以下の均一な厚みで保護被覆層を設けることが困難となる傾向や、POFケーブルを屈曲性した時に、保護被覆層が破断する傾向がある。これらの点を考慮すると、MI3の範囲は20〜200が好ましく、30〜150がより好ましく、50〜100がさらに好ましい。また、保護被覆層を形成する材料のメルトフローインデックス(MI3)と光遮断被覆層を形成する材料のメルトフローインデックス(MI4)との関係は、下記式(Viii)
Figure 0005236292
を満たしていることが、共押し出し時の安定性が良好なことから好ましい。
その際、共押し出し時の紡糸温度は200℃〜260℃の範囲が好ましく、220℃〜240℃の範囲がより好ましい。また、クロスヘッドダイの温度は210℃〜240℃の範囲が好ましく、215℃〜225℃がより好ましい。
保護被覆層を構成する樹脂のメルトフローインデックス(MI3)を上述した数値範囲に設定するために、POFケーブルの性能を損なわない範囲で、樹脂の分子量を調整したり、樹脂に適当な溶融粘度調整剤を添加したりすることができる。
[POFケーブルを用いた信号伝送方法]
次に、本発明のPOFケーブルを用いた信号伝送システムについて説明する。
上述したように、発光中心波長が650nm付近にある可視光LEDは、POFの光源として広く用いられているが、100℃以上での耐熱性が不十分という問題があった。その理由として、このようなLEDは、GaAlAs系材料から形成され、Al成分の構成比が多いために酸化されやすいことが挙げられる。
これに対して、発光中心波長を600nm以下に有する可視光LEDとしては、InGaN系(発光中心波長505nm、520nm)やPGaN系(発光中心波長565nm)、InGaAlP系(発光中心波長590nm)等が知られているが、LEDの耐熱性を低下させる原因となるAl成分を含まない、或いは含んでも含有量が小さいため、LED自身の100℃以上での耐熱性も十分実用化できるレベルに到達している。
一方、上述したように本発明のPOFケーブルは、POF素線の外周部に、特定の材料から構成される保護被覆層、遮断被覆層、機能被覆層を有することによって、100℃以上の高温環境下において、波長600nm以下の波長領域でも、POFの伝送損失の増大が著しく抑制される。
これにより、本発明のPOFケーブルと、発光中心を波長500nm以上600nm以下の範囲に有する可視光LEDとを組み合わせることによって、自動車内通信分野などの100℃以上での長期耐熱性が要求される分野でも、良好な信号伝送が可能となった。
このような可視光LEDとしては、発光中心を波長520nm近辺に有するInGaN系LED、発光中心を波長565nm近辺に有するPGaN系LED、発光中心を波長590nm近辺に有するAlGaInP系LEDから選ばれるLEDを用いることができるが特に限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
本発明の各実施例に対して実施した各種の評価は、下記に記載の評価方法に従って行った。各実施例のPOFケーブルの構成および評価結果を比較例とともに各表に示した。
[結晶融解熱(△H)及び結晶融点(Tm)の測定]
示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル社製、商品名:DSC−220)を使用して測定を行った。サンプルを、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して5分間保持して溶融させた後、10℃/分で0℃まで降温して、再度昇温速度10℃/分で昇温、5分間保持、10℃/分で降温を行い、この時の結晶融解熱(△H)を求めた。また、結晶融解ピークの最大点を結晶融点とした。
[屈折率の測定]
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、室温23℃におけるナトリウムD線の屈折率(23)を測定した。
[メルトフローインデックスの測定]
メルトフローインデックス(MI)は、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。210℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体量を測定した。
[ナイロン系樹脂中の低分子化合物(モノマー化合物およびオリゴマー化合物)の定量分析および定性分析方法]
ナイロン系樹脂のペレット50gとメタノール100mlを300mlナスフラスコに入れ24時間、攪拌しながら還流した。還流後のメタノールをビーカーに移し、新たなメタノールをナスフラスコに入れて更に24時間還流を行った。還流後、抽出したメタノール溶液の合計200mlを乾固させ、得られた乾固物の質量(Xg)を測定した。
この乾固物について、質量分析計(MS)(日本電子(株)製、商品名:SX−102)、熱抽出GC−MS(Agilent社製、商品名:HP5890/5972)による定性分析を行った。
また、この乾固物をメタノールに再度適当量溶解し、分取型サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(日本分析工業(株)製、商品名:LC−10)により、乾固物を分子量別に分けて採取した。さらに、採取物に対して、核磁気共鳴スペクトル測定(NMR)(日本電子(株)製、商品名:EX−270)による定性分析を行った。
なお、ナイロン系樹脂のペレット中に含まれる低分子化合物の含有量(モノマー化合物とオリゴマー化合物の合計含有量)は下記式(iX)により算出した。
Figure 0005236292
[結晶化度(X)の測定]
25℃に管理された恒温水槽にn−ヘプタンと四塩化炭素からなる密度勾配管を作製し、試料を5mm×5mm程度の大きさにサンプリングして投入し、24時間後に読み取り、それにより密度dsを測定した。次いで、この密度dsを用いて、結晶化度(X)を下記一般式に従って算出した。
結晶化度(X)=(ds−da)/(dc−da)
(ここで、da:非晶質の密度、dc:結晶質の密度、ds:試料の密度)
ds、dcの値はX線回折法や赤外線スペクトルから求めた。ナイロン66の場合、da=1.09、dc=1.24を用いた。
[球晶サイズの測定]
POFケーブルの機能被覆層からミクロトームで超薄切片を切り出し、その切片を偏光顕微鏡で観察し、球晶の写真を撮影した後、画像解析装置で球晶の直径を20点測定して数平均を算出して、これを球晶サイズとした。
[伝送損失の測定]
初期(熱処理前)のPOFケーブル及びPOF素線、並びに105℃のオーブン内で5000時間熱処理を行った後のPOFケーブル及びPOF素線について、励振NA=0.1の光を用い、25−1mのカットバック法により、波長520nm、570nm、650nmにおける伝送損失を測定した。
[全波長伝送損失スペクトルの測定]
初期(熱処理前)のPOFケーブル、及び105℃で5000時間熱処理を行った後のPOFケーブルについて、励振NA=0.1の光を用い、25−1mのカットバック法により、測定波長400nm〜710nmの範囲で全波長伝送損失スペクトルを測定した。
[酸素透過率の測定]
ISO14663−2:1999(Annex C)に定められた方法に従って、以下のようにして被覆材料の酸素透過率を測定した。
機能被覆層を形成するためのナイロン系樹脂組成物を、圧縮成形機により加熱下に圧縮成形し、厚さ100μmのフィルム状試験片を作製し、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名:OXTRAN(登録商標))を用い、温度23℃、湿度0%RHの条件下で酸素透過率[cm・cm/(cm・sec・Pa)]を測定した。
[被覆層の引抜強度の測定]
POF素線と光遮断被覆層との間の引抜強度は、図2に示すように、POFケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、POFケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、POFケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、POFケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の光遮断被覆層を剥離したPOFケーブルを用意し、POFケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。次に、治具12に形成されている保持室13内にPOFケーブルの被覆部分4を収容し、POFケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、POFケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
次に、POFケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/minでチャック8を移動させて治具12を引っ張り、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引き抜き応力と、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引き抜き方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり引抜強度とした。
[難燃剤の1%質量減少温度の測定]
示差熱分析装置(TG/DTA)(セイコーインスツル社製、商品名:TG/DTA 6300)を使用して熱分解の1%質量減少温度を測定した。難燃剤を、室温から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、質量が1質量%減少する時の温度(℃)を求めた。
[難燃性試験]
難燃性試験は、DIN72551−5に準拠するに測定方法に基づいて行った。
なお、この測定方法は、電線用の難燃性測定法であるDIN72551−5を、光ファイバケーブルの難燃性を測定するために、次のように変更したものである。
すなわち、この測定法においては、燃焼時または燃焼後の電線を斜め45°に維持することが必要とされている。しかし、光ファイバケーブルは電線とは異なり、光ファイバが燃焼した際に光ファイバケーブルをこのような斜め45°に維持することが困難である。よって、光ファイバケーブルを燃焼時または燃焼後に斜め45°に維持するために、光ファイバケーブルの周囲に螺旋状に一対の銅線を、互いが交差するように巻き付けた状態で難燃性を測定する。この銅線としては直径0.7mmφのものを用い、螺旋周期は光ファイバケーブルの長手方向に20mm周期とする。
また、難燃性試験の合否の判定基準は、光ファイバケーブルにバーナーの炎を7秒間あてて着火した後、この炎を試料から遠ざけ、30秒以内に炎が消えたものを可とし、消えなかったものを不可とする。このような試験を10本のサンプルに対して行って、可の本数が8本以上である場合を「○」とし、それ未満の場合を「△」とした。併せて、30秒以内に炎が消えたものの本数を記録した。
[POFケーブル表面の外観評価]
POF二次ケーブル表面の外観を観察して、ケーブル表面の外観の判定を、次のように行なった。
◎:POFケーブルの表面の外観は円滑である、
○:POFケーブルの表面の外観は円滑だが、表面になだらかな凸凹が観察される、
△:POFケーブルの表面に著しい凸凹が観察される、
×:POFケーブルの表面に著しい凸凹及び樹脂劣化物が観察される。
[POFケーブルの断面形状の評価]
POF一次ケーブル断面を光学顕微鏡で観察した。
[POFケーブルの曲げ弾性率の測定]
POF二次ケーブルを2つの固定点で固定し、ケーブル曲げ具を用いてPOFケーブルを中心軸に対して垂直に押圧した。固定点の間隔は15mmとした。押圧時、POFケーブルは、曲率半径5mmの円弧形状となった。ケーブル曲げ具が押圧開始から1mm変位したときのケーブル曲げ具にかかる応力(N)を測定し、曲げ弾性率(N/mm)とした。この結果から、二次ケーブルの曲げ弾性率の判定を、次のように行なった。
◎:曲げ弾性率が、10N以上16N以内、
○:曲げ弾性率が、6N以上10N未満、又は、16Nを超え20N以内、
△:曲げ弾性率が6N未満、又は、曲げ弾性率が20N超過。
曲げ弾性率が低すぎると、POFケーブルが軟らかくなるため、取り扱いの最中にPOFケーブルがねじれやすくなる。逆に、曲げ弾性率が高すぎると、POFケーブルが固くなるため、取り扱い性が低下したり、POFケーブルを専用ボビンに巻き取った状態での保管の際に、POFケーブルに“巻き癖”が付きやすくなったりする。
[参考例1]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として3FM/17FM/MMA/MAA(組成比で51/31/17/1(質量%))からなる共重合体(屈折率1.416〜1.417)、第2クラッド材としてVdF/TFE/HFP(組成比で43/48/9(質量%)、屈折率1.375、結晶融解熱(△H)14mJ/mg)からなる共重合体をそれぞれ用いた(「MAA」はメタクリル酸を示す)。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、各クラッドの厚みが10μmで直径が1mmのPOF素線を得た。
得られたPOF素線の伝送損失は134dB/kmと良好であり、耐熱試験後の伝送損失も175dB/kmと良好であった。
作製したPOF素線の外周に、保護被覆層としてPBT樹脂(東レ・デュポン社、商品名:ハイトレル(Hytrel)4767)、光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した、市販のナイロン12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)を、210℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、保護被覆層(厚み40μm)、および光遮断被覆層(厚み210μm)を有する外径1.5mmのPOF一次ケーブルを得た。
得られたPOF一次ケーブルは、初期の伝送損失が135dB/kmと良好であり、耐熱試験後の伝送損失も185dB/kmと良好であった。POF素線と光遮断被覆層との間の引抜強度は46Nであった。
PBT樹脂の、ソフトセグメント部分(B)を構成するポリテトラメチレングリコール(PTMG)単位の分子量は430であり、ハードセグメント部分(A)に含まれるポリブチレンテレフタレート単位の総モル数(a)と、ソフトセグメント部分(B)に含まれるポリブチレンテレフタレート単位の総モル数(b)の比(a/b)は25/75であり、ショアD硬度は47、融点は199℃、メルトフローインデックスは22g/10分であった。
光遮断被覆層のナイロン12樹脂に含まれるモノマーおよびオリゴマーの含有量は、1.18質量%であった。抽出後のメタノール溶液から得られた採取物の定性分析を行ったところ、抽出物は、ナイロン12樹脂の原料であるモノマー単量体(12−アミノドデカン酸およびω−ラウロラクタム)及びこのモノマーの二量体、三量体、四量体、さらにそれ以上の多量体(アミノ脂肪族カルボン酸化合物と環状ラクタム化合物)であった。
[実施例1]
参考例1で作製した外径1.5mmのPOF一次ケーブルの外周に、機能被覆層を形成した。この機能被覆層の材料には、ナイロン6樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン1011FB)を83.5質量%、臭素化ポリスチレン(アルベマール社製、商品名:HP−3010、GPCで測定したポリスチレン換算分子量50,000)を10質量%、五酸化アンチモン(日産化学社製、商品名:サンエポック)を5質量%、群青を1.5質量%の比率で配合したナイロン6樹脂組成物(臭素原子の含有量6.8質量%)を用いた。この樹脂組成物を、240℃に設定したクロスヘッドダイを備えたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、機能被覆層(厚み400μm)を有する外径2.3mmのPOF二次ケーブルを得た。ナイロン6樹脂に含まれるモノマーおよびオリゴマーの含有量は9.0質量%であった。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、初期の伝送損失が135dB/km、耐熱試験後の伝送損失が200dB/kmであり、耐熱性は良好であった。
なお、POF素線の外径A=1000(μm)、保護被覆層の厚みa=40(μm)、光遮断被覆層の厚みb=210(μm)、機能被覆層の厚みc=400(μm)であることから、b/a=5.25、(b+c)/a=15.25であった。
[実施例2]
参考例1で作製した外径1.5mmのPOF一次ケーブルの外周に、機能被覆層を形成した。この機能被覆層の材料には、ナイロン6樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン1011FB)を85質量%、メラミンシアヌレート(日産化学社製、商品名:MC−4000)を15質量%、群青を1.5質量%の比率で配合したナイロン6樹脂組成物を用いた。この樹脂組成物を、240℃に設定したクロスヘッドダイを備えたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、機能被覆層(厚み400μm)を有する外径2.3mmのPOF二次ケーブルを得た。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、初期の伝送損失が135dB/km、耐熱試験後の伝送損失が198dB/kmであり、耐熱性は良好であった。
[比較例1〜2]
参考例1で作製した直径が1mmのPOF素線の外周に、光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した、市販のナイロン12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)を、210℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、光遮断被覆層(厚み250μm)を有する外径1.5mmのPOF一次ケーブルを得た。
次いで、比較例1及び比較例2として、得られたPOF一次ケーブルの外周に、実施例1及び実施例2でそれぞれ機能被覆層に用いたナイロン6樹脂組成物を、240℃に設定したクロスヘッドダイを備えたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、機能被覆層(厚み400μm)を有する外径2.3mmのPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、いずれも初期の伝送損失が133dB/kmと良好な伝送特性を示したが、耐熱試験後の伝送損失が1000dB/kmを超え、耐熱性が著しく劣っていた。また、POF素線と光遮断被覆層との間の引抜強度は35Nであった。
[実施例3]
保護被覆層の厚みを80μm、光遮断被覆層の厚みを170μmとした以外は参考例1と同様にして外径1.5mmのPOF一次ケーブルを得た。得られたPOF一次ケーブルの外周に、実施例1と同様にして機能被覆層を被覆し、外径2.3mmのPOF二次ケーブルを得た。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、初期の伝送損失が132dB/km、耐熱試験後の伝送損失が190dB/kmであり、耐熱性は良好であった。
なお、POF素線の外径A=1000(μm)、保護被覆層の厚みa=80(μm)、光遮断被覆層の厚みb=170(μm)、機能被覆層の厚みc=400(μm)であることから、b/a=2.13、(b+c)/a=7.13であった。
[実施例4〜7]
保護被覆層を、表1−1に示すメルトフローインデックス(MI)をもつPBT樹脂でそれぞれ形成した以外は、実施例3と同様にしてそれぞれ実施例4〜7のPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。PBT樹脂のMIが低い実施例4(MI=3)、及びPBT樹脂のMIが高い実施例7(MI=230)のPOF一次ケーブルの断面形状については保護被覆層の厚みが不均一であるが、適度なMIを持つPBT樹脂を使用した実施例5及び6(MI=30、180)は、保護被覆層の厚みが均一であった。また、いずれのPOF二次ケーブルにおいても、初期の伝送損失は小さく、良好な伝送特性を示したが、耐熱試験後の伝送損失は、保護被覆層の厚みが不均一である実施例4及び実施例7では245〜250dB/kmとやや高かった。
[実施例8〜12]
保護被覆層を、表1−1に示すPBT樹脂でそれぞれ形成した以外は、実施例3と同様にしてそれぞれ実施例8〜12のPOF二次ケーブルを作製した。なお、実施例10で用いたPBT樹脂は、東レ・デュポン社、商品名:ハイトレル(Hytrel)4047である。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。PBT樹脂のa/b比、ショアD硬度、および融点が比較的高い実施例12については、保護被覆層の厚みが不均一であり、実施例8〜11に対して伝送損失が大きく、また引抜強度が低かった。
[実施例13]
光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した、市販のナイロン11樹脂(アルケマ社製、商品名:Rilsan BMF−0、モノマーおよびオリゴマーの合計含有量が0.95質量%)を用いた以外は、実施例3と同様にしてPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、初期の伝送損失が135dB/km、耐熱試験後の伝送損失が180dB/kmであり、耐熱性は良好であった。
[比較例3]
光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した、市販のナイロン12樹脂(EMS昭和電工社製、商品名:Grilamide L16A、モノマーおよびオリゴマーの合計含有量が1.69質量%)を用いた以外は、実施例3と同様にしてPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、初期の伝送損失が133dB/kmと良好な伝送特性を示したが、耐熱試験後の伝送損失が850dB/kmと大きく、耐熱性が著しく劣っていた。
[比較例4〜5]
光遮断被覆層に、市販のナイロン12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)及び市販のナイロン6−12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−N1901)を用いた以外は、実施例3と同様にして、それぞれ比較例4及び比較例5のPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、いずれも初期の伝送損失が133dB/kmと良好な伝送特性を示したが、耐熱試験後の伝送損失が1000dB/kmを超え、耐熱性が著しく劣っていた。
[実施例14〜15、比較例6]
POF素線の第2クラッドに、表1−1に記載した含フッ素オレフィン系樹脂を用いた以外は、参考例1と同様にしてPOF素線を作製した。得られたPOF素線のそれぞれに、実施例3と同様にして、保護被覆層、光遮断被覆層、機能被覆層を被覆して、POF二次ケーブルを作製した。表中の「PFPVE」はパーフルオロペンタフオロプロピルビニルエーテル(CF=CFOCHCFCF)を示す。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表2に記載した。結晶融解熱(△H)が40mJ/mg以下である実施例14及び15のPOF二次ケーブルは、初期の伝送損失が133dB/km、耐熱試験後の伝送損失が200dB/km以下であり、耐熱性は良好であった。これらに対して、結晶融解熱(△H)が40mJ/mgより大きい比較例6では、耐熱試験後の伝送損失が1000dB/km以上と大きく、耐熱性が著しく劣っていた。
[実施例16〜20]
保護被覆層の厚みa、光遮断被覆層の厚みb、及び機能被覆層の厚みcをそれぞれ表3に記載した通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表3に記載した。表3には、実施例1及び実施例3の評価結果も合わせて記載した。保護被覆層の厚みが薄くなり、比b/aが大きくなるほど、POF素線と光遮断被覆層との間の引抜強度は大きくなるが、POF二次ケーブルの耐熱試験後の伝送損失は増加する傾向があった。
[実施例21〜25]
実施例3と同様にして作製した外径1.5mmのPOF一次ケーブルの外周に、機能被覆層として、ナイロン6樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン1011FB)とメラミンシアヌレート(日産化学社製、商品名:MC−4000)と群青を表4−1に記載した配合比で混合して得られたナイロン6樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして外径2.3mmのPOF二次ケーブルを得た。表中の「PA6」はナイロン6樹脂、「MCN」はメラミンシアヌレートを示す。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表4−2に示す。得られたPOF二次ケーブルは、初期及び耐熱試験後の伝送損失がともに小さく、耐熱性は良好であった。しかし、機能被覆層中のメラミンシアヌレートの含有量が少ないほどPOF二次ケーブルの難燃性が低かった。一方、メラミンシアヌレートの含有量が多くなるほど、難燃性は向上するが、POF二次ケーブルの曲げ弾性率は大きくなり、ケーブル取り扱い性は低下する傾向があった。
[実施例26〜31]
実施例3と同様にして作製した外径1.5mmのPOF一次ケーブルの外周に、機能被覆層として、ナイロン6樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン1011FB)と臭素化ポリスチレン(アルベマール社製、商品名:HP−3010)と群青を表4−1に記載した配合比で混合して得られたナイロン6樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして外径2.3mmのPOF二次ケーブルを得た。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表4−2に示す。得られたPOF二次ケーブルは、初期及び耐熱試験後の伝送損失がともに小さく、耐熱性は良好であった。しかし、機能被覆層中の臭素化ポリスチレンの含有量が少ないほどPOF二次ケーブルの難燃性が低かった。一方、臭素化ポリスチレンの含有量が多くなるほど、難燃性は向上するが、POF二次ケーブルの曲げ弾性率は大きくなり、ケーブルの取り扱い性が低下する傾向があった。
[実施例32]
機能被覆層に用いる難燃剤として、1%質量減少温度が300℃未満の臭素化ポリスチレンを用いた以外は、実施例27と同様にしてPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表4−2に記載した。得られたPOF二次ケーブルは、耐熱試験後の伝送損失、及び難燃性が、1%質量減少温度が300℃以上の臭素化ポリスチレンを用いた実施例27に対して劣っていた。
[実施例33〜38、比較例7〜10]
機能被覆層の着色剤として、表4−1に記載した無機顔料(実施例33〜38)及び有機色素(比較例7〜10)を用いた以外は、実施例3と同様にして外径2.3mmのPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表4−2に記載した。着色剤に無機顔料を用いたPOF二次ケーブルは、初期及び耐熱試験後の伝送損失がともに小さく、耐熱性は良好であった(実施例33〜38)。しかし、着色剤に有機色素を用いたPOFケーブルは、耐熱試験後の伝送損失が1000dB/kmを超え、耐熱性が劣っていた(比較例7〜10)。
[実施例39〜59]
機能被覆層に用いる難燃剤および着色剤として、分子量が異なる臭素化ポリスチレン及び群青(実施例33〜59)、TBA−PC及び弁柄(実施例44〜49)、ポリジブロモスチレン及び紺青(実施例50〜54)、PPBBA及び群青(実施例55〜59)を表4−1及び表5−1に記載した配合比でそれぞれ使用した以外は、実施例3と同様にしてPOF二次ケーブルを作製した。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表4−2及び表5−1に記載した。1%質量減少温度が300℃未満の難燃剤を使用する場合や分子量が低い難燃剤を使用する場合は、POF二次ケーブルの耐熱試験後の伝送損失はやや高くなり、耐熱性が比較的低く、また難燃性も相対的に低かった。一方、分子量が高い難燃剤を使用する場合は、POF二次ケーブルの表面の外観が損なわれたり、ケーブルの曲げ弾性率が大きくなりケーブル取り扱い性が低下する傾向があった。
[実施例60〜89、比較例11〜14]
機能被覆層として、ナイロン66樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)と、表5−1に記載した各種難燃剤、難燃助剤(五酸化アンチモン)、表5−1に記載した各種着色剤を、表5−1に記載した配合比で混合して得られたナイロン66樹脂組成物を用い、クロスヘッドダイを280℃に設定した以外は、実施例3と同様にして外径2.3mmのPOF二次ケーブルを得た。ナイロン66樹脂に含まれるモノマーおよびオリゴマーの含有量は8.5質量%であった。
得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表5−2に記載した。これらの実施例において得られたPOF二次ケーブルは、初期及び耐熱試験後の伝送損失がともに小さく、耐熱性は良好であった。しかし、機能被覆層中の着色剤に有機色素を使用した比較例11〜14では、POF二次ケーブルの耐熱試験後の伝送損失の増大が著しかった。着色剤に無機顔料を使用した実施例において、分子量が低い難燃剤を用いた場合は、POF二次ケーブルの耐熱試験後の伝送損失はやや高くなり、耐熱性が比較的低く、また難燃性が相対的に低かった。一方、分子量が高い難燃剤を使用する場合は、POF二次ケーブルの表面の外観が損なわれたり、ケーブルの曲げ弾性率が大きくなりケーブル取り扱い性が低下する傾向があった。また、難燃剤の含有量が多いほど、難燃性は向上するが、POF二次ケーブルの曲げ弾性率は大きくなり、ケーブルの取り扱い性が低下する傾向があった。
[参考例2]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として3FM/17FM/MMA/MAA(組成比で51/31/17/1(質量%))からなる共重合体(屈折率1.416〜1.417)、第2クラッド材としてVdF/TFE/HFP(組成比で43/48/9(質量%)、屈折率1.375、結晶融解熱(△H)14mJ/mg)からなる共重合体をそれぞれ用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、各クラッドの厚みが10μmで直径が1mmのPOF素線を得た(表1及び表2中では「POF(A)」と略する)。得られたPOF素線の波長650nmの伝送損失は130dB/kmと良好であった。
作製したPOF素線の外周に、光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した、市販のナイロン12(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)を、210℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、光遮断被覆層(厚み250μm)を有する外径1.50mmのPOF一次ケーブルを得た。
得られたPOF一次ケーブルは、波長650nmの初期の伝送損失が134dB/kmと良好であった。しかし、耐熱試験後の伝送損失は560dB/kmと光伝送性能に低下が見られた。また、耐熱試験後の波長520nm及び波長570nmの伝送損失は、それぞれ1000dB/km以上、980dB/kmであり、初期の伝送損失に対して著しく増加した。
光遮断被覆層のナイロン12に含まれるモノマーおよびオリゴマーの合計含有量は、1.18質量%であった。抽出後のメタノール溶液から得られた採取物の定性分析を行ったところ、抽出物は、ナイロン12の原料であるモノマー単量体(12−アミノドデカン酸およびω−ラウロラクタム)及びこのモノマーの二量体、三量体、四量体、さらにそれ以上の多量体(アミノ脂肪族カルボン酸化合物と環状ラクタム化合物)であった。
[参考例3]
参考例2で作製したPOF素線(POF(A))の外周に、保護被覆層としてポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂(東レ・デュポン社、商品名:ハイトレル(Hytrel)4047)、光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した、市販のナイロン12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)を設けた以外は、参考例1と同様にして、保護被覆層(厚み40μm)、および光遮断被覆層(厚み215μm)を有する外径1.51mmのPOF一次ケーブルを得た。
なお、ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、そのソフトセグメント部分(B)を構成するポリテトラメチレングリコール単位の分子量が430、当該樹脂のハードセグメント部分(A)に含まれるポリブチレンテレフタレート単位の総モル数(a)と、当該樹脂のソフトセグメント部分(B)に含まれるポリブチレンテレフタレート単位の総モル数(b)の比(a/b)が25/75、ショアD硬度が47、融点が199℃、メルトフローインデックス(210℃、荷重5kg(49N))が22g/10分であった。
得られたPOF一次ケーブルは、波長650nmの初期の伝送損失が134dB/kmと良好であった。さらに、耐熱試験後の伝送損失は185nmと良好であった。また、耐熱試験後の波長520nm及び波長570nmの伝送損失は、それぞれ1000dB/km以上、460dB/kmであった。
得られたPOF一次ケーブルを105℃に5000時間放置した時の伝送損失スペクトルを、初期の場合と比較して図3に示す。短波長側の伝送損失が著しく増大していることがわかる。
[実施例90]
参考例3で作製した外径1.51mmのPOF一次ケーブルの外周に、機能被覆層として、ナイロン66樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)を、280℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、機能被覆層(厚み400μm)を有する外径2.31mmのPOF二次ケーブルを得た。
得られたPOF二次ケーブルは、波長650nmの初期の伝送損失が136dB/kmと良好であり、耐熱試験後の伝送損失も205dB/kmと良好であった。また、耐熱試験後の波長520nm及び波長570nmの伝送損失は、それぞれ1000dB/km以上、662dB/kmであった。
得られたPOF二次ケーブルを105℃に5000時間放置した時の伝送損失スペクトルを、初期の場合と比較して図4に示す。短波長側の伝送損失が著しく増大していることがわかる。
[実施例91]
機能被覆層として、ナイロン66(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)を98質量%、群青を2.0質量%の比率で配合したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。
得られたPOF二次ケーブルは、波長650nmの初期の伝送損失が136dB/km、耐熱試験後の伝送損失が197dB/kmと良好であった。また、耐熱試験後の波長520nm及び波長570nmの伝送損失は、それぞれ1000dB/km以上、506dB/kmであった。
[実施例92]
機能被覆層として、ナイロン66(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)を85質量%、臭素化ポリスチレン(アルベマール社製、商品名:HP−3010、GPCで測定したポリスチレン換算分子量50,000、臭素原子の含有量は68.5質量%)を10質量%、五酸化アンチモン(日産化学社製、商品名:サンエポック)を5質量%の比率で配合したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。
なお、この機能被覆層中の臭素原子の含有量は6.85質量%に相当する。
得られたPOF二次ケーブルは、波長650nmの初期の伝送損失が134dB/km、耐熱試験後の伝送損失が187dB/kmと良好であった。また、耐熱試験後の波長520nm及び波長570nmの伝送損失は、それぞれ1000dB/km以上、351dB/kmであった。
[実施例93]
機能被覆層として、ナイロン66(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)を83質量%、臭素化ポリスチレン(アルベマール社製、商品名:HP−3010、GPCで測定したポリスチレン換算分子量50,000)を10質量%、五酸化アンチモン(日産化学社製、商品名:サンエポック)を5質量%、群青を2.0質量%の比率で配合したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。
得られたPOF二次ケーブルは、波長650nmの初期の伝送損失が134dB/km、耐熱試験後の伝送損失が140dB/kmと非常に良好であった。さらに、耐熱試験後の波長520nm及び波長570nmの伝送損失は、それぞれ165dB/km以上、104dB/kmと非常に良好であった。
得られたPOF二次ケーブルを105℃に5000時間放置した時の伝送損失スペクトルを、初期の場合と比較して図5に示す。短波長側の伝送損失の増加は、図3(参考例3、POF一次ケーブル)や図4(実施例90)と比較すると著しく抑制されていることがわかる。
[実施例94]
光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した市販のナイロン11(アルケマ社製、商品名:Rilsan BMF−0、モノマーおよびオリゴマーの合計含有量が0.95質量%)を用い、機能被覆層として、ナイロン66(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)を98質量%、ナイロン66の結晶化促進剤として酸化アルミニウムを2質量%の比率で配合したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[実施例95]
機能被覆層として、ナイロン66(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)を94質量%、ナイロン66の結晶化促進剤としてタルクを2質量%、弁柄を4質量%の比率で配合したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例94と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[実施例96〜99]
保護被覆層として表7に記載した材料を用い、機能被覆層として表7に記載したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[実施例100〜101、比較例15]
POF素線の第1クラッド及び第2クラッドを表6に記載した材料(実施例100はPOF(B)、実施例101はPOF(C)、比較例15はPOF(D))を用いた以外は、参考例2と同様の方法で、各クラッドの厚みが10μmで直径が1mmのPOF素線を得た。
次に、これらのPOF素線の外周に、保護被覆層及び機能被覆層として表7に記載した材料を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[実施例102]
光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した市販のナイロン11樹脂(アルケマ社製、商品名:Rilsan BMF−0、モノマーおよびオリゴマーの合計含有量が0.95質量%)を用い、機能被覆層として、表7に記載したナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[比較例16]
光遮断被覆層として、カーボンブラックを1質量%添加した市販のナイロン12樹脂(EMS昭和電工社製、商品名:Grilamide L16A、モノマーおよびオリゴマーの合計含有量が1.69質量%)を用いた以外は、実施例93と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[比較例17]
保護被覆層を設けなかった以外は、実施例93と同様の方法でPOF二次ケーブルを得た。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[比較例18〜19]
機能被覆層として、着色材に有機色素であるフタロシアニン系化合物(比較例18)、アンスラキノン系化合物(比較例19)を用いた表7に記載のナイロン66樹脂組成物を用いた以外は、実施例90と同様の方法でPOF二次ケーブルを作製した。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[比較例20〜21]
参考例3で作製したPOF一次ケーブルの外周に、機能被覆層として、比較例20では市販のナイロン12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)を、比較例21では表7に記載したナイロン12樹脂組成物を、220℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置で被覆し、機能被覆層(厚み400μm)を有する外径2.30mmのPOF二次ケーブルを作製した。得られたPOF二次ケーブルの評価結果を表8に記載した。
[実施例103]
実施例93で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を565nm付近に持つPGaN系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用い、初期だけでなく、105℃環境下に5000時間放置した後でも、安定に信号を送れることを確認した。
[実施例104]
実施例93で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を520nm付近に持つInGaN系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用い、初期だけでなく、105℃環境下に5000時間放置した後でも、安定に信号を送れることを確認した。
[実施例105]
実施例93で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を590nm付近に持つAlGaInP系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用い、初期だけでなく、105℃環境下に5000時間放置した後でも、安定に信号を送れることを確認した。
[実施例106]
実施例97で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を565nm付近に持つPGaN系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用い、初期だけでなく、105℃環境下に5000時間放置した後でも、安定に信号を送れることを確認した。
[実施例107]
実施例98で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を590nm付近に持つAlGaInP系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用い、初期だけでなく、105℃環境下に5000時間放置した後でも、安定に信号を送れることを確認した。
[実施例108]
実施例101で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を520nm付近に持つInGaN系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用い、初期だけでなく、105℃環境下に5000時間放置した後でも、安定に信号を送れることを確認した。
[比較例22]
比較例18で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を565nm付近に持つPGaN系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用いた。初期には安定に信号を送れたが、105℃環境下に5000時間放置した後では、安定に信号を送ることができなかった。
[比較例23]
比較例21で作製したPOF二次ケーブルの端部に、発光中心を565nm付近に持つPGaN系のLEDを取り付けて、信号伝送用ケーブルとして用いた。初期には安定に信号を送れたが、105℃環境下に5000時間放置した後では、安定に信号を送ることができなかった。
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
Figure 0005236292
明細書および表中の略号は下記の化合物を示す。
VdF:フッ化ビニリデン、
TFE:テトラフルオロエチレン、
HFP:ヘキサフルオロプロピレン、
PFPVE:パーフルオロペンタフオロプロピルビニルエーテル(CF=CFOCHCFCF)、
MMA:メタクリル酸メチル、
MAA:メタクリル酸、
3FM:メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、
17FM:メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、
PBT樹脂:ポリブチレンテレフタレート系樹脂(表7のPBT樹脂は、東レ・デュポン社、商品名:ハイトレル(Hytrel)4047) PSt系樹脂:ポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製、商品名:日本ポリスチG120K)、 アクリル系樹脂:MMAとブチルアクリレート(BA)の共重合体(組成比80/20、三菱レイヨン社製)、 PVdF:ポリフッ化ビニリデン樹脂(アルケマ社、商品名:KYNAR710)、
EVAL樹脂:エチレン−ビニルアルコール共重合体(組成比32/68mol%、クラレ社製、商品名:エバールF104)、
PA12(a):ナイロン12(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−L1640)、
PA12(b):ナイロン12(EMS昭和電工製、商品名:Grilamide L16A)、
PA11:ナイロン11(アルケマ社製、商品名:Rilsan BMF−0)、
PA6−12:ナイロン6−12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド−N1901)、
PA6:ナイロン6樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン1011FB)、
PA66:ナイロン66樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン2015B)、
MCN:メラミンシアヌレート(日産化学社製、商品名:MC−4000)、
BrPS:臭素化ポリスチレン(表7のBrPSは、アルベマール社製、商品名:HP−3010)、
PDBS:ポリジブロモスチレン、
AnOx:五酸化アンチモン(日産化学社製、商品名:サンエポック)、
TBA−PC:テトラブロモビスフェノールA−カーボネートオリゴマー化合物、
PPBBA:ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、
CB:カーボンブラック
PhCy:フタロシアニン系化合物(着色剤):(チバ・スペシャリテイー・ケミカルズ社製、商品名:IRGALITE Blue−GBP)、
PL:ペリレン系化合物(着色剤):(クラリアント社製、商品名:PV−Fast Orange GRL)、
AQ:アンスラキノン系化合物(着色剤):(バイエル社製、商品名:Pigment Yellow 193)、
BI:ベンズイミダゾロン系化合物(着色剤):(バイエル社製、商品名:Pigment Red 176)。

Claims (13)

  1. コアと該コアの外周に形成された1層または2層以上からなるクラッド層を有するプラスチック光ファイバ素線と、その外周に設けられた被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
    前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体から形成され、
    前記クラッド層は、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有し、
    前記被覆層は、内側から順に、保護被覆層、光遮断被覆層、及び機能被覆層からなり、
    前記機能被覆層は、メラミンシアヌレートを3質量%以上40質量%以下の範囲で、又は、臭素原子の含有量が1.5質量%以上30質量%以下の範囲となる量の臭素系難燃剤を含有するとともに、有彩色の無機顔料を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含有する、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融点が215℃以上280℃以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成され、
    前記光遮断被覆層は、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方のナイロン系樹脂を主成分として含有し、含有されるナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下の範囲にある樹脂組成物から形成され、
    前記保護被覆層は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂材料から形成されている、プラスチック光ファイバケーブル。
  2. 前記機能被覆層は、ナイロン6及びナイロン66の少なくとも一方を主成分とするナイロン樹脂組成物から形成されている、請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  3. 前記機能被覆層は、酸化アンチモンを20質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項1又は2に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  4. プラスチック光ファイバ素線の外径をA(μm)、前記保護被覆層の厚みをa(μm)、前記光遮断被覆層の厚みをb(μm)、前記機能被覆層の厚みをc(μm)とした時、次の式(i)〜(iii)
    Figure 0005236292
    を満足する、請求項1から3のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  5. コアと該コアの外周に形成された1層または2層以上からなるクラッド層を有するプラスチック光ファイバ素線と、その外周に被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
    前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体から形成され、
    前記クラッド層は、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有し、
    前記被覆層は、内側から順に、保護被覆層、光遮断被覆層、及び機能被覆層からなり、
    前記機能被覆層は、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融点が240℃以上280℃以下の範囲にあり、且つISO14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で測定した温度T(K)における酸素透過率P(cm・cm/(cm・sec・Pa))が、下記の式(A)
    P<8×10−2×exp(−5600/T) (A)
    を満たすナイロン系樹脂組成物から形成され、
    前記光遮断被覆層は、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方のナイロン系樹脂を主成分として含有し、含有されるナイロン系樹脂由来のモノマー化合物及びオリゴマー化合物の合計含有量が1.5質量%以下の範囲にある樹脂組成物から形成され、
    前記保護被覆層は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニリデン単独重合体、ポリエチレン単位とポリビニルアルコール単位を含有する共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂材料から形成されている、プラスチック光ファイバケーブル。
  6. 前記機能被覆層は、結晶化度が30%以上55%以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  7. 前記機能被覆層は、顕微鏡観察による球晶サイズの平均直径が0.01μm以上40μm以下の範囲にあるナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5又は6に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  8. 前記機能被覆層は、ナイロン66を主成分とするナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5から7のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  9. 前記機能被覆層は、結晶化促進剤を0.01質量%以上10質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5から8のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  10. 前記機能被覆層は、臭素含有ポリスチレンを臭素原子の含有量が1.5質量%以上30質量%以下の範囲となるように含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5から9のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  11. 前記機能被覆層は、酸化アンチモンを20質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5から10のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  12. 前記機能被覆層は、着色剤として無機顔料を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含有するナイロン系樹脂組成物から形成されている、請求項5から11のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のプラスチック光ファイバケーブルを、発光中心を波長500nm以上600nm以下の範囲に有する可視光発光ダイオードと組み合わせて信号を伝送することを特徴とする信号伝送方法。
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