JP5210298B2 - 塗工原紙および塗工紙の製造方法 - Google Patents

塗工原紙および塗工紙の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗工原紙の製造方法、および、塗工原紙を用いる塗工紙の製造方法に関する。また、本発明は、塗工原紙を製造するための紙料の調成方法に関する。特に、本発明は、高速操業時の製造方法に関するものである。
近年、抄紙機の開発、改良が進み、特に、生産性の高さから抄紙機の高速化・広幅化の傾向が顕著である。
抄紙機のワイヤパートに関しては、その脱水能力の向上という観点から、長網型フォーマからオントップ型のツインワイヤフォーマ、更にギャップフォーマへと移行してきた。ギャップフォーマ型抄紙機では、ヘッドボックスから噴出された原料ジェットをすぐに2枚のワイヤで挟み込むため原料ジェット表面の乱れが少なく表面性が良好である。また、ギャップフォーマ型抄紙機では、紙層の両側から脱水し、脱水量を調整しやすいことから、長網型やオントップ型のフォーマに比べて高速での抄紙が可能であり、得られる紙の表裏差が小さいという利点がある。
一方、ギャップフォーマ型抄紙機では、紙料濃度がごく薄い段階から紙層の両側から急激に脱水されるため、紙層中の微細繊維や填料の分布が表層部へと局在し、紙の中層部の微細繊維量が減少する傾向がある。そのため、ギャップフォーマ型抄紙機には、層間強度が低下し、更には、抄紙工程におけるワイヤ上の紙料及び灰分の歩留まりが低いという課題があった。
そのため、ギャップフォーマ型抄紙機で製造された塗工原紙を用いた印刷用塗工紙においては、その層間強度が小さいために、オフセット印刷後、加熱乾燥する際に塗工紙に含まれる水分が蒸発しても、水分が塗工層を通気できないために紙層間で剥離が生じ、塗工層が膨れた現象であるブリスターが発生し、そのため印刷面が荒れるなど、品質上の重大な問題が発生することがある。このため、ギャップフォーマ型抄紙機は、新聞用紙などの製造に限定されていた。
印刷用塗工紙のブリスターを改善するためには、用いる塗工原紙の層間強度を高くする必要がある。一般に、層間強度を向上させるためには抄紙工程においてカチオン化澱粉やポリアクリルアミド等の紙力増強剤を添加する方法が用いられる。しかしながら、紙力増強剤を紙料中へ添加しても、紙力増強剤は微細繊維への定着が高いことから、微細繊維が局在した状態では十分な層間強度を得るための添加量が多くなり、濾水性の悪化や地合を損なうなどの問題がある。特に、高価なポリアクリルアミドはコストアップとなり、また凝集性が強いことから地合を悪化させて印刷品質の低下を招くこととなる。また、カチオン化澱粉の場合はポリアクリルアミドに比べて多くの添加量を必要とすることから濾水性を悪化させ、脱水不良や乾燥負荷の増大、湿紙強度の低下などの問題を引き起こす可能性がある。
また、内添の紙力増強剤の添加に加えて、外添用の紙力増強剤を塗布することにより層間強度を向上させる方法も提案されている(特開平10−280296号公報参照)。しかし、前述したように、ギャップフォーマ型抄紙機で抄造した紙のように微細繊維が紙表層に局在した状態では、紙力増強剤が原紙内部にまで浸透せず、十分な効果が得られない。
近年、この課題を解決するためにハード面で種々の改良が加えられている。従来は初期の脱水過程においてフォーミングシューやフォーミングボード、サクションボックス等の機器により急激に脱水するため、微細繊維や灰分の紙表層への局在が顕著であったが、現在では、いわゆるロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機では、サクションを有したフォーミングロールによる初期脱水とその直後に脱水ブレードを併用することで緩やかに脱水できるようになり、更には加圧式の脱水ブレードによるパルス力で湿紙層にマイクロタービュランスを与えて繊維の分散を促進することで、紙層中の微細繊維や填料の分布を均一化できるようになり、地合も良好なものが得られている。そのため、紙層に極端に弱い部分はなくなり、また、紙料に添加した紙力増強剤は効果的に紙力を向上させることができるため、層間強度が改善されるようになっている。
しかしながら、ロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機では初期脱水を緩やかにできるようになったことで紙層構造は改善されたものの、脱水ブレードにより加圧し湿紙内部へパルスを与えることで湿紙内部の微細繊維や填料が抜け出すため、従来からのギャップフォーマ型抄紙機の課題である紙料歩留まりの低下について大きな改善はなされていない。
このため、歩留まりを向上させる技術として、歩留剤としてカチオン性ポリアクリルアミドの添加後、ベントナイトやコロイダルシリカなどのアニオン性の無機微粒子を添加した上、更にアニオン性のポリマーを添加することで良好な地合を維持したまま微細繊維の高い歩留まりを得るなどの処方が提案されている(WO2001/34910号公報参照)。しかし、高速化、高灰分化、DIPの高配合化が進んでいる状況においては、層間強度、歩留まり、地合について、十分な改善はされていないのが現状である。
ところで、コータについては、近年、抄紙と塗工を一貫して行うことができるオンマシンコータが広く普及している。オンマシンコータはオフマシンコータに比べ設備投資が少なく設置スペースが小さいという利点があり、また、原紙を速やかに塗工できるため生産コストを低減することができる。しかしながら、抄紙と塗工を連続で行うため、断紙が発生した場合、通紙時間が長くなるなど、生産効率の低下が大きくなる。特に、メタリングサイズプレスコータ、ゲートロールコータなどのフィルムトランスファコータを有するオンマシンコータで塗工し、オンラインで連続するブレードコータでさらに塗工する場合、原紙表面の異物による断紙が生じ易い。そのため、ブレードコータを効率良く操業するには異物を出来る限り少なくする必要があり、脱墨パルプなど異物混入の多いパルプの配合が制限されていた。また、断紙を少なくする方法として紙の強度を上げる必要があるため、前述のように強度の出にくいギャップフォーマ型抄紙機の利用が制限されていた。
上記異物の原因物質としては、特に、塗工時に発生する損紙(コートブローク)を離解した原料に含まれる塗工層由来のホワイトピッチ、脱墨パルプ由来の粘着異物、機械パルプ由来のナチュラルピッチが挙げられる。このようなホワイトピッチや粘着異物、ナチュラルピッチを始めとする異物対策として、調成工程において、配合前のコートブローク原料や脱墨パルプ、機械パルプに凝結剤と呼ばれるカチオン性ポリマーを添加することが知られている(特開2005−206978号公報、特開2005−179831号公報、特開2005−133238号公報、特開2004−60084号公報、特開2001−262487号公報、特許第3681655号公報、特開2005−2523号公報)。一般に凝結剤は、ホワイトピッチや粘着異物、ナチュラルピッチ等を始めとするアニオン性コロイド粒子の表面電荷を中和し、アニオン性コロイド粒子を出来るだけ小さい状態で緩やかに繊維に定着させたソフトフロックを形成させて、異物トラブルを軽減させるものと考えられている。
配合前の原料に対する凝結剤の添加方法については、これまで、種々の報告がされている。例えば、古紙パルプに対して、抄紙機の原料調成工程へ流送する前に凝結剤を添加する方法(特開2005−206978号公報)、古紙再生処理工程から配合チェストに流送される前に凝結剤を添加する方法(特開2005−179831号公報、特開2005−133238号公報)、種箱に供給する前の調成工程において複数の紙料に対して凝結剤を添加する方法(特開2004−60084号公報)、雑誌古紙を主体とする配合前の原料にカチオン性水溶性高分子を添加する方法(特開2001−262487号公報)などである。その他にも、配合前の一種以上の製紙原料それぞれにカチオン性水溶性高分子を添加した後、前記製紙原料を含むその他の製紙原料と混合した配合原料に対しカチオン性高分子歩留り剤を添加する方法(特許第3681655号公報)、回収清澄水と塗工損紙の混合物に他のパルプを添加した後の離解工程にてカチオン性高分子を添加する方法(特開2005−2523号公報)などが報告されている。
しかしながら、凝結剤は前述のように繊維との結合が緩やかなソフトフロックを形成させるため、特に、せん断力が強い高速抄紙機では、原料に対して添加した凝結剤の効果が工程を経るにつれ漸減し、定着したコロイド粒子が脱着する問題がある。このため、コロイド粒子の電荷を再度中和するために過剰量の凝結剤の添加や、脱着した粒子を再定着させるための歩留り剤添加量の増加を招き、コスト的に不利になるだけでなく、中途半端に粗粒化した異物と過剰量のカチオン薬品による二次的なデポジットの発生といった障害を生じていた。一般的に、粗粒化した異物に分子量の大きいカチオン薬品を添加すると、粗粒化した異物が紙へ定着し、結果として、紙の欠陥や断紙の増加を招くことが知られている。
また、複数のパルプを含む製紙原料組成物に対して、カチオンポリマーとカチオンモノマーとの混合物を添加する方法が知られている(特開2003−183995号公報)。しかしながら、この方法では、他のパルプや薬品と接触することによるコロイド物質の粗粒化や異物の不安定化が発生した後で凝結剤を添加するため、紙面異物トラブルなどを引き起しやすく、かえって紙の断紙につながることがある。
さらに、抄紙系においてカチオン性の歩留り・濾水向上剤を添加するに際し、多価金属塩およびカチオン性ポリマーの少なくとも一方を、少なくとも2箇所に分割して添加する方法が報告されている(特開2000−282390号公報)。しかし、この方法では、歩留り向上を目的としてカチオン性ポリマーを原料配合後の紙料に添加しているため、寧ろコロイド物質などの粗粒化が積極的に促されることになる。そのため、前述のようなコートブロークや脱墨パルプ、機械パルプに由来するデポジットの発生や断紙などの操業性に関する問題を抑制することはできず、逆にこれらの問題を誘発する場合がある。
また、複数のパルプを含む抄紙原料の調製工程と種箱からワイヤーパートへの供給過程に対して凝結剤を添加する方法が報告されている(特開2006−138044号公報)。この方法では、種箱以降の白水が多量に配合され、固形分濃度が一般的に1.5%未満となっている2次ポンプの後段のスクリーン前に凝結剤を添加し、さらに、スクリーン後に凝集剤を添加している。しかし、この方法でも、前述のようなコートブロークや脱墨パルプ、機械パルプに由来するデポジットの発生や断紙などの操業性に関する問題を抑制することはできず、逆にこれらの問題を誘発する場合がある。
このように、従来の技術では、特に高速抄紙機で製造される塗工原紙を製造する場合、コロイド物質や異物などの粗硫化によるデポジットなどの問題を回避することが出来ず、生産性の低下を十分に克服することが出来なかった。また、これら異物を繊維に定着させるため過剰な歩留り剤の添加が必要となり、その結果、地合や填料分布が不均一になるといった紙品質の低下を招いていた。特に、ギャップフォーマ型抄紙機などの高速抄紙機で製造された塗工原紙から、オンラインで連続してコータを用いて塗工紙を製造する場合、断紙などの操業性の問題を回避することが出来ず、生産性が低下するとともに、紙品質の低下が生じる場合があった。
このような状況に鑑み、本発明は、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて、中性抄紙法により印刷用塗工原紙を抄造する場合において、特に、紙中填料率が高い印刷用塗工原紙を高速条件で抄造する場合であっても、紙料中の微細パルプ繊維や填料などの微細成分のワイヤ上での歩留りを大幅に改善でき、かつ地合、層間強度が良好である印刷用塗工原紙の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、耐ブリスター性などの印刷品質の良好な塗工紙の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、特に高速時の抄紙機の抄紙工程におけるデポジットの発生といった操業性に関する問題を抑制しつつ、高い歩留りと均一な填料分布ならびに良好な地合を持つ塗工原紙の製造方法を提供することも目的とする。また、本発明の課題は、塗工原紙を用いてコータで塗工した場合、断紙などの操業性の問題が発生せず、品質の良好な塗工紙の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の課題は、抄紙機の抄紙工程においてデポジットなどの操業性に関する問題の発生を抑制し、高い歩留りと均一な填料分布ならびに良好な地合を持つ紙を製造するための紙料の調成方法を提供することにもある。
そして、本発明者らは、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて印刷用塗工原紙を抄造する場合に、歩留り改善、及び塗工原紙としての品質向上について鋭意研究した結果、歩留り向上剤として超高分子量のカチオン性ポリアクリルアミド系物質の使用により、紙層中の微細繊維や填料の分布を均一なまま、良好な地合を維持しつつ、歩留まりが改善でき、層間強度が良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明を実施することにより、紙の地合を良好に維持しながら、高い歩留りや層間強度を達成することができる。特に抄紙速度が速く、紙中填料率が高い印刷用塗工原紙の抄造に本発明を適用すると発明の効果が大きい。
また、本発明者らは、紙力剤としてカチオン化澱粉を使用し、歩留まり向上剤としてカチオン性ポリアクリルアミド系物質とアニオン性の微粒子をその順に添加することにより、濾水性や地合を良好に維持しつつ高い層間強度を付与し、紙料の歩留まりも改善できることを見出した。ここで、カチオン化澱粉の添加の順番は、特に限定されないが、歩留り向上剤の前に添加するのが好ましい。また、この印刷用塗工原紙に顔料と接着剤を含有する塗工層液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法によれば、耐ブリスター性などの印刷品質の良好な塗工紙を得ることができる。特に抄紙速度が高速で紙中填料率が高い印刷用塗工原紙の抄造に本発明を適用すると、発明の効果が大きい。また、この塗工原紙に顔料と接着剤を含有する塗工層液を塗工した印刷用塗工紙の製造方法においても、塗工速度が速く、耐ブリスター性などの印刷品質の良好な塗工紙を得ることができる。
さらに、本発明者らは、遊離しているコロイド粒子や異物の粗粒化やデポジット化を防ぎ、かつ、高い歩留りと均一な填料分布ならびに良好な地合を得られる抄紙方法について鋭意研究した結果、抄紙機の調成工程において凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙原料と、複数の原料を配合後の固形分濃度が1.5%以上の紙料とに多段添加することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明を実施することにより、コロイド粒子や異物を微細な状態で繊維に定着させ、さらに高いせん断力が負荷された後も、再分散し難く、かつ、分散した粒子を速やかに再定着させることができる。また、本発明において、凝結剤添加後に歩留り剤を添加すると歩留効果が十分に発揮されるため、高い歩留りと均一な填料分布ならびに良好な地合を達成でき、紙の地合を良好に維持しながら、高い層間強度や紙料歩留まりを得ることができる。
本発明は、抄紙速度が特に高速である場合において、ギャップフォーマ型抄紙機またはツインワイヤー型抄紙機を使用する場合、該抄紙機にメタリングサイズプレスコータ、ゲートローコータなどのフィルムトランスファロールコータを備えたオンマシンコータにて塗工する場合、更にフィルムトランスファロールコータを備えたオンマシンコータに続いてオンラインのブレードコータなどで塗工液を塗工する場合などに、特に好適であり、紙面の欠陥や断紙などのトラブルが少なく良好な品質の塗工原紙及び塗工紙を得ることができる。
図1は、本発明における凝結剤の添加方法の一態様を示す概略図である。
発明を実施するための形態
本発明は、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて、中性抄紙法により塗工原紙を製造する方法である。
従来の比較的高速な抄紙機に適用されるギャップフォーマ型抄紙機を用いて高速条件で印刷用塗工原紙を抄造する場合、脱水が紙層の両側から行われるために紙面の表裏差は良好となるが、微細成分の紙表層部への局在化や歩留りの低下による操業の不安定化といった問題がある。
この問題を改良した紙層中の微細成分を均一化できるロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機においても、微細繊維の歩留まりの低下が大きくなると、脱水のバランスが調整できないために紙層中の微細成分の局在化が起こり、表面性の表裏差拡大といった問題を引き起こす。
一般に、紙料の歩留まりは、抄紙機の抄紙速度が高速、紙中填料率が高い、坪量が低いほど低下する傾向にあるが、現在の紙の製造方法は、高速、高灰分、低坪量化する傾向にあり、印刷用塗工紙原紙も同様である。
従って、本発明の印刷用塗工原紙の製造方法は、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法であり、好ましくは抄紙速度が高速の上記ロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法であり、更に好ましくは、紙中填料率が高く、印刷用塗工原紙を抄造する抄紙速度が高速の上記ロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法である。
本発明は、高速抄紙に適用するとその効果が大きく、好適である。本発明において高速とは1000m/分以上であり、好ましくは1200m/分以上、より好ましくは1300m/分以上である。本発明を適用して得られる効果が大きいことから、本発明は、1500m/分以上での抄紙に特に適し、さらに1600m/分以上、また2500m/分程度での抄紙に適する。
カチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤
本発明は、極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上、好ましくは1200万以上の直鎖または分岐型のカチオン性ポリアクリルアミド(PAM)系物質を歩留まり向上剤として紙料に添加して抄紙する。本発明のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤の分子量は、1500万以上であれば、後述するアニオン性微粒子を併用しなくても、地合、層間強度が優れた塗工原紙を高い歩留りで製造することができ、好適である。
本発明の製造方法で使用するカチオン性ポリアクリルアミド系物質の形態は、エマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特に限定はないが、印刷用塗工原紙の紙料には塗被液由来のアニオン性物質が多く含まれるためにそのカチオン要求量は極めて高いので、歩留りを高める観点からカチオン電荷密度は高いほうが良く、具体的には1.0 meq/g以上が好ましく、1.5 meq/g以上がより好ましく、2.0 meq/g以上がさらに好ましい。カチオン電荷密度が10.0 meq/gを超える場合は系内電荷バランスが陽転する可能性があるため不適である。
抄紙機前処理工程では、パルプ原料と内添抄紙薬品をミキサーで混合した紙料に、ファンポンプの前でフレッシュな填料が添加され、均一混合されるのが通常である。従って、カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加場所は、この填料添加後〜抄紙機ストックインレット前の間が好ましい。また、後述するアニオン性微粒子と併用する場合には、アニオン性微粒子を後で添加することも踏まえて、本発明のカチオン性ポリアクリルアミド歩留まり向上剤の添加場所は、填料添加後〜一次スクリーン前の間が好ましい。
歩留剤として添加する該カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加量は、紙料の性状や抄紙速度に応じて適宜決定されるので一概には言えないが、通常は、紙料固形分重量に対して50〜750ppmであり、50〜600ppmが好ましく、100〜600ppmがより好ましく、100〜500ppmが更に好ましい。該カチオン性高分子物質の添加量が50ppm未満であると、印刷用塗工原紙の地合は良好であるが、微細成分の充分な歩留りが得られない。750ppmを超えて添加すると、微細成分の歩留りは高くなるが、地合が悪化し、地合ムラに起因する印刷ムラなどの印刷不良の問題が発生する。
1つの態様において、本発明は、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて、中性抄紙法により塗工原紙を抄造する方法であって、歩留まり向上剤として極限粘度法による重量平均分子量が1500万以上のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を紙料に添加して抄紙することを特徴とする印刷用塗工原紙の製造方法である。
また別の態様において、本発明は、抄紙速度が1300m/分以上である上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
さらに別の態様において、本発明は、印刷用塗工原紙の紙中灰分が10%以上である上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
また他の態様において、本発明は、原料パルプに20%以上の脱墨パルプ(DIP)が含まれる上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
さらに他の態様において、本発明は、ギャップフォーマ型抄紙機のプレスパートにシュープレスを用いることを特徴とする上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
また別の観点からは、本発明は、上記方法により得られた印刷用塗工原紙に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法である。
カチオン化澱粉とアニオン性微粒子の併用
本発明においては、歩留まり向上剤として、上述のカチオン性ポリアクリルアミド系物質に加えて、少なくとの一種類以上のアニオン性微粒子を併用し、さらに、紙力剤としてカチオン化澱粉を用いると、良好な歩留まりと地合が得られるため好適である。ここで、本発明において、カチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤とアニオン性微粒子歩留り向上剤とを併用する場合には、カチオン性ポリアクリルアミド系物質を添加した後に、アニオン性微粒子を添加することが好ましい。
したがって、1つの態様において、本発明の印刷用塗工原紙の製造方法は、紙力剤としてカチオン化澱粉を紙料に添加し、前記カチオン性ポリアクリルアミド系物質の前記添加後にアニオン性微粒子を添加することを含む。
本発明の製造方法においては、紙力向上剤としてカチオン化澱粉を使用することが好ましい。カチオン化澱粉は、3級アミン系、4級アンモニウム系であっても構わない。該カチオン化澱粉の電荷密度は特には限定されないが、塗工液由来のアニオン性物質が多く含まれることが多く、そのカチオン要求量は極めて高いので、カチオン電荷密度が低いと良好な紙力向上効果が期待されない。具体的には0.1 meq/g以上が好ましく、0.15 meq/g以上がより好ましい。
紙力向上剤として添加する該カチオン化澱粉の添加量は、求められる塗工紙の品質や紙料の性状、抄造条件に応じて適宜決定されるので一概には言えないが、通常は、紙料固形分重量に対して0.1〜3.0%であり、0.3〜3.0%が好ましく、0.3〜2.0%がより好ましい。該カチオン化澱粉の添加量が0.1%未満であると、印刷用塗工原紙として十分な層間強度が得られない。3.0%を超えて添加すると、層間強度は高くなるが、ワイヤ上での濾水性やプレスでの搾水性が悪化し、脱水不良や乾燥負荷の増大といった問題が発生する。
本発明に使用する歩留まり向上剤のアニオン性微粒子としては、ベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機系の微粒子と、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子が挙げられ、一種以上のアニオン性微粒子を使用できる。好ましい無機系の微粒子としては、ベントナイトかコロイダルシリカである。有機系の微粒子としては、アクリル酸とアクリルアミドの共重合物が好ましい。また、無機系の微粒子と有機系の微粒子を併用する場合においてもベントナイトもしくはコロイダルシリカが好ましく、この場合の有機系の微粒子としてもアクリル酸とアクリルアミドの共重合物が好ましい。
アニオン性微粒子の添加位置は、上記カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加後が好ましく、上記カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加後〜抄紙機ストックインレット前の間がより好ましい。アニオン性微粒子として、無機系の微粒子と有機系の微粒子を併用する場合の添加位置は、同時添加、もしくは別添加でも構わないが、好ましくは、無機系の微粒子を添加した後に、有機系の微粒子を添加する方が良い。
歩留まり剤として添加する該アニオン性微粒子の添加量も、カチオン性ポリアクリルアミド同様に紙料や抄紙条件に応じて適宜決定される。通常は、紙料固形分重量に対して300〜3000ppmであり、400〜2500ppmが好ましく、500〜2000ppmが更に好ましい。この添加量は無機系の微粒子と有機系の微粒子を併用する場合も同様であり、その場合には無機系の微粒子と有機系の微粒子を合計した総添加量となる。この際、無機系の微粒子と有機系の微粒子の比率は20:1〜2:1が好ましく、10:1〜3:1が更に好ましい。アニオン性微粒子の添加量が300ppm未満であると、内添紙力向上剤として添加したカチオン化澱粉により低下した濾水性の改善効果が小さく、3000ppmを超えて添加してもこれ以上の改善効果は期待されない。
1つの態様において、本発明は、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型の抄紙機を用いて中性抄紙法により印刷用塗工原紙を抄造する方法であって、紙料に、紙力剤としてカチオン化澱粉を使用し、歩留まり向上剤としてカチオン性のポリアクリルアミド系物質を添加した後に、アニオン性の微粒子を添加することを特徴とする印刷用塗工原紙の製造方法である。
また別の態様において、本発明は、抄紙速度が1300m/分以上である上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
さらに別の態様において、本発明は、前記カチオン性のポリアクリルアミド系物質の極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上である上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
また他の態様において、本発明は、塗工原紙の紙中填料率が10固形分重量%以上である上記印刷用塗工紙の製造方法である。
さらに他の態様において、本発明は、原料パルプに20重量%以上の脱墨パルプが含まれる上記印刷用塗工原紙の製造方法である。
また別の観点からは、本発明は、上記方法により得られた印刷用塗工原紙に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法である。
凝結剤
好ましい態様において、本発明の塗工原紙の製造方法においては、凝結剤を使用することができ、凝結剤によって歩留りを高めることができる。本発明において、例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウムなどの無機凝結剤や、ポリアミンやポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリDADMAC(ジアリルジメチルアンモニウムクロリドホモポリマー)、ポリDADMACとアクリルアミドの共重合物などの有機凝結剤を添加しても良い。
本発明の好ましい態様において、凝結剤を多段添加することができ、凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することが好ましい。
ここで、本発明においては、配合前の各種原料を製紙原料または原料と呼び、配合前の各種パルプは原料の1種である。また、各種原料を配合した後の混合物の総称を、紙料と呼ぶ。したがって、本発明における紙料は、パルプに加え填料や薬品等を含んでよい。さらに、本発明においては、種箱以降に白水または用水が配合され固形分濃度が1.5%未満となった紙料混合物を、インレット原料と呼ぶことがある。なお、本発明においては、配合前の製紙原料を原料系、各種原料を配合した混合物を紙料系と呼ぶことがある。
本発明においては、凝結剤が、少なくとも、各種原料(原料系)と原料配合後の紙料(紙料系)とに添加され、原料配合後の紙料の固形分濃度は1.5%以上である。このように凝結剤を添加することによって、コロイド粒子を微細な状態で繊維に定着させ、経時にて生じるコロイド粒子の脱着を防ぐことができる。なお、本発明においては凝結剤が多段添加されるが、添加回数に特に制限はない。
本発明において添加する凝結剤の種類には特に制限はないが、電荷中和という点から、電荷密度が3.0 meq./g以上で重量平均分子量が30万以上の凝結剤を使用することが好ましく、特にアクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩からなる共重合ポリマーやポリビニルアミン誘導体を使用することが好ましい。同一の凝結剤を分割して用いても良いが、各原料に添加する凝結剤の種類を変えても良いし、2種以上の凝結剤を同一原料に添加しても良い。経済性および作業性という点では、同一の凝結剤を用いることが好ましく、より効果を高めるためには、コートブロークやDIPに添加する場合は、重量平均分子量が100万以上の凝結剤を添加することが好ましく、機械パルプに添加する場合には電荷密度が5.0 meq./g以上であることが好ましい。同様に配合後の紙料への凝結剤の添加についても、複数の場所に同一の凝結剤を分割して添加しても良く、2種類以上の凝結剤を複数の場所または同一の場所に添加しても良い。原料と紙料にそれぞれ添加される凝結剤についても、同一の凝結剤を分割することもできるが、2種類以上の凝結剤を別個または混合して添加しても良い。
本発明の凝結剤としては、ポリエチレンイミンおよび第三級および/または四級アンモニウム基を含む改質ポリエチレンイミン、ポリアルキレンイミン、ジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロヒドリン重合体、並びにジアルキルジアリル第四級アンモニウムモノマー、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドおよびジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類とエピハロヒドリンからなる重合体、ポリビニルアミンおよびビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混合物などのカチオン性のポリマーに加え、前記ポリマーの分子内にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン基を共重合したカチオンリッチな両イオン性ポリマー、カチオン性ポリマーとアニオン性または両イオン性ポリマーとの混合物などが挙げられる。
一般に、凝結剤は、ホワイトピッチや粘着異物、ナチュラルピッチ等を始めとするアニオン性コロイド粒子の表面電荷を中和し、アニオン性コロイド粒子を出来るだけ小さい状態で緩やかに繊維に定着させ、いわゆるソフトフロックを形成させて異物トラブルを軽減させると考えられている。凝結剤と対照的な内添薬品として、歩留り剤や濾水向上剤と呼ばれるカチオン性ポリマーが知られているが、歩留り剤は、コロイド粒子などを凝集させて粗大粒子とし、これを繊維に強固に結びつけた凝集塊(ハードフロックと呼ばれる)を形成させるとされている。
凝結剤の効果は、カチオン要求量および濁度を指標として評価することができる。カチオン要求量とは、アニオン性コロイド粒子を中和するために必要なカチオン電荷の量を意味し、これによって、ホワイトピッチや粘着異物、ナチュラルピッチ等を始めとするアニオン性コロイド粒子の中和の程度を評価することができる。また、粒子の量は、濁度として評価することができる。すなわち、凝結剤が、アニオン性コロイド粒子の電荷を中和し、効率良く繊維に定着させているかどうかを、カチオン要求量および濁度の低減率(カット率)を基に評価することができる。
本発明において、凝結剤は、少なくとも、配合前の製紙原料の一種以上に添加される。製紙原料としては、パルプ、填料、薬品などがある。パルプとしては、針葉樹または広葉樹クラフトパルプ(NKPまたはLKP)、新聞古紙や雑誌古紙、チラシ古紙などの選別または無選別古紙、トナー印刷物などを含むオフィス系古紙、ノーカーボン・感熱紙などを含む情報記録用紙の回収紙などを単独あるいは混合して離解、除塵、脱墨、洗浄又は脱水を経たパルプ(本発明では脱墨パルプ:DIPと呼ぶ)、針葉樹または広葉樹の砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等の機械パルプ、塗工紙や塗工原紙、その他の紙を含む損紙を離解してなるコートブローク、および、これらの2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。各原料の完成直前に凝結剤を添加しタンクまたはチェストにて攪拌保持することが望ましいが、原料が配合チェストへ送られる流送過程の配管やポンプの入口または出口など他の原料と接触する前であれば、配合チェスト直前に添加されても良い。
また、本発明において、凝結剤は、少なくとも、複数の原料を配合した後の紙料であって固形分濃度が1.5%以上である紙料に添加される。添加する紙料の固形分濃度は、より好ましくは1.8%以上、さらに好ましくは2.0%以上であり、4.0%以下が好ましい。この紙料は各種パルプおよび填料および内添薬品を含みうる。
凝結剤の紙料系への添加場所は、具体的には、配合チェスト以降から、種箱後に白水または用水により紙料が希釈される前までに添加することができる。凝結剤は、紙料に対して、チェストやポンプの入口または出口などに添加することができ、これらチェストやポンプが複数存在する場合は、複数の場所に添加することができる。
図1に、本発明における凝結剤の添加方法の一態様を示す。図1において、1〜4は、それぞれ、広葉樹または針葉樹クラフトパルプ、脱墨パルプ、機械パルプ、コートブロークの完成パルプを貯留するタンクまたはチェストである。各種原料はポンプで流送され、配合チェストにて填料、薬品などと混合される。混合された紙料は、チェストおよび種箱ならびにスクリーンやクリーナーなど必要とされる設備を経て、抄紙機インレットに供給される。本発明の製造方法においては、インレット中の紙料がワイヤー上に噴射され、湿紙が形成され、乾燥工程を経て塗工原紙が製造される。
したがって、本発明において、製紙原料への凝結剤の添加は、製紙原料を貯留するタンクやチェストあるいはそれにつながる配管などにおいて行うことができる。また、紙料に対する凝結剤の添加は、配合チェスト、配合チェストより下流の各種チェスト、種箱、およびそれにつながる配管などにおいて行うことができる。
凝結剤の添加量としては、凝結剤に含まれる水を除いた有効成分添加量として、対象とするスラリーの固形分に対する添加量の合計が50〜3000ppmであることが望ましい。50ppmより少ない添加量では、原料と紙料に分割添加する際の個々の添加量が少なすぎて、十分な定着効果を得ることができない。一方、3000ppmより多い添加量では、コスト的に不利になる。また、単一の添加場所においては、過剰なカチオンによる過凝集を避けるため、2000ppm以下で添加することが好ましい。
原料に添加する際の凝結剤添加量は、50〜1500ppmであることが好ましく、より好ましくは100〜1000ppmである。紙料に添加する際の凝結剤添加量は、100ppm〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは200ppm〜800ppmである。
凝結剤を添加する原料の濃度としては、2.5%以上5%未満であることがより好ましい。原料の濃度が2.5%未満である場合は、使用される白水中に含まれるコロイド物質の中和に凝結剤が多量に消費されてしまい、原料に含まれるコロイド物質を微細な状態で効率的に繊維に定着させることが難しくなり、また、その後の配合紙料の濃度が低くなり、濃度調整幅が小さくなるため操業が不安定になる。一方、原料濃度が5%以上である場合、凝結剤と原料の混合が不十分となり、また、局所的に凝結剤が作用することで過度の凝集による異物の粗大化が生じ易くなる。
一方、凝結剤を添加する紙料の濃度としては1.5%以上4%未満であることが好ましく、1.8%以上であることがより好ましく、2%以上であることがさらに好ましい。1.5%未満である場合は、特にインレット周りで循環している白水の割合が多くなり、この中に含まれている既に粗大化した大きな異物を繊維に定着してしまうため、結果として紙面の欠陥や断紙などのトラブルを増加させる。4%以上である場合は原料添加と同様に混合が不十分となり、効果を十分に発揮できない。
本発明は、特に原料としてDIPに凝結剤を添加し、配合後の紙料に凝結剤を添加することで、微細粘着異物由来の異物による断紙や紙面欠陥を低減することができ、この効果は紙料としてのDIP配合率が10%以上である場合に特に顕著となる。
また、本発明を用いることで、特に機械パルプを配合した塗工原紙の生産を安定に実施することができる。機械パルプにはアニオントラッシュの代表的物質である樹脂酸や脂肪酸などの有機酸が含まれている。これらの有機酸とDIPやコートブローク中のカルシウムイオン、内添填料である炭酸カルシウムなどが反応し、有機酸カルシウム塩を形成すると、粘潮性が高くなるためデポジット問題を引き起す。したがって、機械パルプに凝結剤を添加し、これらの有機酸をブロックした上で、上記原料と配合し、再度、凝結剤で定着させることによってデポジット問題を軽減し、断紙などの発生を低減することができる。DIPやKPに比べとして測定される機械パルプのアニオントラッシュ含有量は、指標として測定されるカチオン要求量でDIPやKPの5〜20倍であり、本発明の効果は、紙料としての機械パルプ配合率が5%以上である場合に特に顕著となる。
さらに、本発明は、コートブロークを製紙原料として用いる抄紙方法に好適に適用することができる。塗工原紙を製造する際に生じる損紙を再離解したコートブロークには、ラテックスなどの疎水性の微粒子が含まれていることから、特にコートブロークに対して本発明を適用することにより、良好な操業性を得ることができる。好ましいコートブロークの配合率としては、紙料に占める割合が1%以上50%未満であることが好ましく、特に40%未満であることが好ましい。また、ブローク配合率をできるだけ一定とすることで、効果を安定して得ることができる。
塗工紙を得る好ましい方法としては、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法があり、あるいは、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて、さらにブレードコータなどを用いて塗工する製造方法があり、特に抄紙および塗工速度が高速の場合に好適に用いる製造方法がである。また、本発明は、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産する場合、更に仕上げ工程もオンラインで生産する場合、より効果を発揮するものである。
さらに、本発明では、配合後の紙料に対してカチオン性多価金属塩を添加した後に凝結剤を添加することができる。この態様によると、各種原料から流入するアニオントラッシュを効果的に中和し、脱着したコロイド物質の再定着を促進するための凝結剤の効果を増幅することができる。カチオン性多価金属塩としては、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、塩化アルミニウム、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などが挙げられる。これら金属塩の添加率に特に制限は無いが、紙料の固形分に対して純分で3%以下とすることが好ましく、2%以下とすることが特に好ましい。3%より高くなる場合は、pHの変動が大きくなりやすく操業が不安定になるため不適である。
本発明において歩留り剤を使用する場合、これに限定されるものではないが、凝結剤を添加した後に、高分子ポリマーからなる歩留り剤を添加することが好ましい。凝結剤添加後に歩留り剤を添加すると、歩留効果が十分に発揮され、良好な地合と填料分布を持つ紙が得られるためである。高分子ポリマーからなる歩留り剤は、カチオン性ポリアクリルアミド系物質や、同物質に加えて、少なくとも一種以上のカチオン性の凝結剤を併用するいわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りシステムでもよく、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機微粒子やアクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する歩留りシステムであってもよい。特に単独または組合せで使用するカチオン性ポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上、好ましくは1200万以上の直鎖または分岐型である場合、良好な歩留りを得ることができ、さらに、1500万以上3000万未満の上記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) 凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することを特徴とする塗工原紙の製造方法。
(2) 前記固形分濃度1.5%以上の紙料への凝結剤の添加が、一種以上の製紙原料を配合した後から種箱以降の白水または用水で希釈される前までに行われることを特徴とする(1)に記載の塗工原紙の製造方法。
(3) 抄紙ワイヤーの速度が1200m/分以上の抄紙機を用いて、凝結剤の総有効成分添加量が、紙料固形分に対して50〜3000ppmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の塗工原紙の製造方法。
(4) フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ形式の抄紙機を用いて、中性抄紙法により抄紙することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の塗工原紙の製造方法。
(5) オンマシンコータを備えた抄紙機を用いて、凝結剤の一部が、配合前のコートブローク原料に添加されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の塗工原紙の製造方法。
(6) 配合される紙料中に10%以上の脱墨パルプが含まれることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の塗工原紙の製造方法。
(7) 凝結剤を、少なくとも、コートブローク原料と、該コートブローク原料を含む一種以上の製紙原料を配合した後にカチオン性多価金属塩を添加した紙料とに添加することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の塗工原紙の製造方法。
(8) オンマシンコータを備えた抄紙機を用いて、塗工原紙を得た後、顔料と接着剤を含有する塗工液をブレードコータにより塗工することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
(9) 凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することを特徴とする紙料の調成方法。
製紙原料
本発明で製造される印刷用塗工原紙のパルプ原料としては、特に限定されるものではなく、機械パルプ(MP)、脱墨パルプ(DIP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、印刷用紙の抄紙原料として一般的に使用されているものであればよく、適宜、これらの1種類または2種類以上を配合して使用される。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプであれば良く、特に限定はない。本発明においては、脱墨パルプが対パルプ20重量%以上、あるいは30重量%以上、更には50重量%以上配合しても、地合、歩留まり、層間強度を向上する効果を発揮することができる。
本発明で使用される填料は公知のものを任意に使用でき、一般に無機填料および有機填料と呼ばれる粒子、または、その混合物を使用することができる。具体的には、無機填料として、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、タルク、ステアリン酸亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体など)、二酸化チタン、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウム、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料、および、再生する過程でシリカや炭酸カルシウムと複合体を形成した無機填料などが挙げられる。なお、炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、特開2003−212539号公報や特開2005−219945号公報に記載の複合物を例示できる。炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が好ましく使用される。有機填料としては、メラミン系樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド複合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デンプン、未糊化デンプンなどが挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組合せでも構わない。
本発明で製造される印刷用塗工原紙の紙中填料率は1〜40固形分重量%が好ましく、5〜35固形分重量%がさらに好ましい。抄紙においては紙中填料率が高いほど歩留りは低下する。従って、紙中填料率が高い印刷用塗工原紙の製造に本発明を適用したほうが本発明の効果が大きい。この観点から、紙中填料率は10〜40固形分重量%が好ましく、12〜35固形分重量%が更に好ましい。
中性抄紙
本発明の中性抄紙は、好ましくは、pH6.0〜9.0、より好ましくは7.0〜8.5で行われる。本発明は中性抄紙であることから、特に填料として炭酸カルシウムを内添することが好ましい。炭酸カルシウムにより、低コストでありながら、高白色度、高不透明度の塗工原紙を得ることができる。
内添薬品
内添薬品としては、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、濾水性向上剤、染料、サイズ剤などの薬品を必要に応じて使用しても良い。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉が挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。また、カチオン性や両イオン性、アニオン性の変性澱粉なども使用できる。サイズ剤としては、ロジンエマルション、スチレン/アクリル共重合体、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。その他にも、濾水性向上剤、着色剤、染料、蛍光染料などの従来から使用されている内添薬品、さらに紙を嵩高化(低密度化)するための紙用嵩高剤などを使用することができる。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。
紙用嵩高剤を具体的に化合物で例示すると、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミドアミンなどが挙げられ、特に限定は無い。嵩高剤の使用により紙力が低下する傾向があるため、嵩高剤を含む紙料に本発明を適用すると紙力維持の観点から好適である。
抄紙機
本発明の製造方法におけるフォーミングパートはロールアンドブレード形式のギャップフォーマであり、最初の脱水はバキュームを有したフォーミングロールのラップエリアで行われ、その直後に加圧ブレードモジュールによるブレード脱水が行われる。この機構より従来のフォーマよりも緩慢な脱水が可能となるため、均一な紙層構造や地合を有した紙が得られる。この時に使用されるフォーミングロールはその径が小さいと十分な抱き角度を得ることができず脱水の調整が不十分となるため1500 mm以上が望ましい。フォーミングロールやブレードによる脱水機構に加えて、その後段にサクションユニットやハイバキュームサクションボックスなどの脱水装置を適宜用いることでドライネスの調整を行うことができる。ブレード圧等の脱水条件としては特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
本発明の製造方法におけるプレスパートは、シュープレスを用いることが好ましく、抄紙速度が高速の場合、より好ましくは2段以上で処理することによりプレス後のドライネスを向上できることから、層間強度や裂断長などの強度が向上する。本発明のシュープレスはニップ幅が概ね150〜250mmの範囲にあってよく、回転駆動するプレスロールと油圧で押し上げる加圧シューの間を通紙させるもので、フェルトと加圧シューの間にスリーブを走行させるタイプであってよい。プレス圧はプレス出口水分や表裏差を加味して適宜調整でき、好ましくは400〜1200kN/mであり、更に好ましくは1000〜1200kN/mである。
抄紙機プレドライヤー、アフタードライヤーも公用の装置を用いることができ、乾燥条件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
本発明においては、本発明の塗工原紙の表面処理として、必要に応じてデンプンを主体とするクリアー塗工液を塗工することで、原紙の表面性改善に加えて、接着剤の浸透による層間強度を向上することができる。この時に使用する塗被装置としては、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータ、ゲートロールコータ、2ロールサイズプレスが使用できるが、特に高速時における層間強度向上の点からロッドメタリングサイズプレスコータを使用することが好ましい。
クリアー塗工液の主成分として使用するデンプンとしては、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、エーテル化澱粉(湿式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉、乾式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉等)などの変性澱粉が使用され、塗工量は、原紙片面当たり0.5〜3.0g/m2が好ましい。クリアー塗工液の澱粉の含有量は、固形分で50重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%である。
塗工原紙
本発明の製造方法により抄造される印刷用塗工原紙の地合は、光透過光変動法による地合指数で、12.0以下であることが好ましく、10.5以下がより好ましく、7.0以下が特に好ましい。なお、地合指数は値が小さいほど、紙の紙合が良好である。また、地合指数で0.5の差は、肉眼でも地合の差として認識できるものである。
印刷用塗工原紙の坪量についても限定はないが、通常20〜80g/m2であり、好ましくは25〜60g/m2であり、より好ましくは25〜50g/m2で、より効果を発揮するものである。
塗工紙
本発明は、上述のようにして得た塗工原紙を用いて塗工紙を製造する方法にも関する。1つの態様においては、本発明は、本発明により得られた塗工原紙に塗工液を塗工することを含む、印刷用塗工紙の製造方法である。
本発明による塗工紙を得る好ましい方法の一つとしては、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法であり、より好ましくは抄紙速度が高速のオンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法であり、さらに好ましくは、紙中填料率が高く、印刷用塗工紙を抄造する抄紙速度が高速のオンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法である。というのも、本発明によれば、コートブロークなどを製紙原料としても操業性の低下を招かないため、本発明は、オンマシンコーターを備える抄紙機への適用に好適である。
また、顔料と接着剤を主成分とする下塗り顔料塗工液に使用する顔料については、重質炭酸カルシウムが主に使用されるが、要求品質に応じて軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、プラスチックピグメント、二酸化チタン等を併用する。また、顔料塗工液に使用する接着剤としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系等の各種共重合体エマルジョン及びポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体等の合成系接着剤、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン等を用いる。本発明の顔料塗工液には分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗被紙用顔料に配合される各種助剤を使用しても良い。
下塗り顔料塗工液の塗工量は、原紙の片面当たり固形分で0.7〜10.0g/m2の範囲で塗工するのが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0g/m2、2〜5g/m2の範囲で塗工するのが最も好ましい。0.7g/m2より少ない量の塗被は装置上の限界から困難であり、塗工液濃度を下げた場合には、塗工液の原紙内部への浸透が大きくなり表面性が低下しやすい。10g/m2より多い量を塗工する場合は、塗被液濃度を高くする必要があり、装置上塗被量のコントロールがしにくい。下塗り塗工後乾燥された塗被紙は、上塗り顔料塗工液の塗布前にソフトカレンダー等によるプレカレンダ処理を施しても良い。
本発明において、上塗り顔料塗工液の顔料、接着剤組成、配合量、塗被量等は特に限定されず、一般に使用される顔料、接着剤で良い。塗工液濃度は55〜70%が好ましく、塗被量は通常片面当たり固形分で6〜20g/m2が好ましく、6〜14g/m2がより好ましい。上塗り塗被装置は、特に限定されないが、通常ファウンテンブレード、あるいはロールアプリケーションブレードが用いられ、オフのコーターでもオンマシンコータでも構わない。
上塗り顔料塗工液を塗工後乾燥された塗工紙は、通常のごとくスーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ工程により光沢付けがなされる。カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定はなく、金属ロールから成る通常のカレンダーやソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公用の装置を適宜選定し、印刷用紙の品質目標値に応じて、これらの装置の制御可能な範囲内で条件を設定すれば良い。
本発明の塗工紙を得る好ましい方法としては、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法があり、あるいは、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて、さらにブレードコータなどを用いて塗工する製造方法があり、特に抄紙および塗工速度が高速の場合に好適に用いる製造方法である。また、本発明は、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産する場合、更に仕上げ工程もオンラインで生産する場合、より効果を発揮するものである。
また、本発明の製造方法により得られる印刷用塗工紙は、耐ブリスター性などの印刷品質に優れるものである。塗工紙の坪量についても限定はないが、通常30〜120g/m2であり、好ましくは35〜100g/m2であり、より好ましくは40〜80g/m2で、より効果を発揮するものである。また、本発明は、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産する場合により効果を発揮するものである。
また、本発明で製造される印刷用塗工原紙を用いて製造された塗工紙は、オフセット印刷用、グラビア印刷用などの各種印刷用途などに好適に使用できる。
紙料の調成
また、別の観点からは、本発明は、紙料の調成方法である。すなわち、本発明は、凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することを特徴とする、紙料の調成方法。本発明によって調成した紙料は、特に、塗工原紙及び塗工紙の製造に好適に使用できる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、当然のことながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。
以下の実験例に用いた測定項目の測定方法を次に示す。
<測定方法>
(1)歩留りの測定方法
ストックインレット原料とワイヤを抜け落ちた白水(ワイヤ下白水と記述する)について、それぞれ固形分濃度と灰分濃度を測定した。灰分は、ストックインレット原料とワイヤ白水について、その固形分を525℃で灰化して測定した。
下記式(1)により紙料歩留りを、下記式(2)により灰分歩留りを測定した。
・紙料歩留り=100×(A−B)/A 計算式(1)
A:ストックインレット原料の固形分濃度(g/l)
B:ワイヤ白水の固形分濃度(g/l)
・灰分歩留り=100×(C−D)/C 計算式(2)
C:ストックインレット原料の灰分濃度(g/l)
D:ワイヤ白水の灰分濃度(g/l)
(2)紙の地合の測定方法
紙の地合は野村商事(株)製の地合計FMT−III(光透過光変動法)により評価した。なお、測定値が小さい程、地合は良好であることを示す。
(3)紙の層間強度の測定方法
L&W ZD Tensile Tester SE 155(Lorentzen&Wettre社製)で、層間強度を測定した。
(4)紙の表面粗さの測定方法
JIS P8151に準じて、MESSMER製のパーカープリント・サーフ試験機により表面粗さを測定した。なお、測定値が小さい程、表面粗さが小さい(平滑である)ことを示す。
(5)印刷評価
オフセット輪転印刷機(4色、東芝製 B2T600)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製造社製 レオエコー SOY M)を用いて印刷速度500rpm、乾燥時の紙面温度120℃で印刷した。得られた印刷物の墨単色50%網点部について印刷再現性を以下の基準で目視評価した(○:良好、△:やや劣る、×:劣る)。更に、4色ベタ部についてブリスターの発生の有無を確認した(○:ブリスター発生なし、△:ブリスターの発生ほとんどなし。×:ブリスター発生)。
実験1
<印刷用塗工原紙の抄造>
(1)抄紙機:ロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機、もしくはブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機。
(2)パルプ原料配合:広葉樹クラフトパルプ(濾水度CSF=350ml)50%、針葉樹クラフトパルプ(濾水度CSF=600ml)20%、脱墨パルプ(濾水度CSF=240ml)30%
(3)紙中填料率(紙中灰分):ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm)を使用し、目標の紙中灰分となるように添加量を適宜調整した。
[実施例1]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用合成紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当たり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が2,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ソマール株式会社製リアライザーR300、カチオン電荷密度1.96meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加し、タンデムシュープレスを2基有し、フォーミングロール径が1600mmであるロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,600m/分で坪量44g/m2、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を作成した。
[実施例2]
実施例1の歩留まり剤の添加率を200ppmとした以外は、実施例1と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[実施例3]
実施例2の歩留まり剤を極限年度法による重量平均分子量が1,500万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(栗田工業株式会社製ハイホールダーH722)に変えた以外は、実施例2と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[比較例1]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用合成紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当たり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加し、フォーミングロール径が1,600mmであるロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,600m/分で坪量44g/m2、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。
[比較例2]
比較例1の歩留まり剤の添加率を500ppmとした以外は、比較例1と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[比較例3]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用合成紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当たり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加し、フォーミングロール径が1,600mmであるロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,600m/分で坪量44g/m2、紙中灰分5%の印刷用塗工原紙を得た。
[比較例4]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用合成紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当たり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加し、フォーミングロール径が1,600mmであるロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,000m/分で坪量44g/m2、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。
[比較例5]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用合成紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当たり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が2,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ソマール株式会社製、リアライザーR300、カチオン電荷密度1.96meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加し、ブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,400m/分で坪量44g/m2、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。
Figure 0005210298
Figure 0005210298
表1に結果を示す。実施例のカチオンPAM系歩留まり向上剤を用いると、比較例の歩留り向上剤を用いた場合よりも、紙料歩留りと灰分歩留りが優れており、地合も良好であった。また、本発明の実施品は、微細成分の歩留まりが高いことから層間強度が向上している。
一方、カチオンPAM系歩留まり向上剤の分子量が小さいと、紙料歩留りと灰分歩留りが低すぎるために、紙中の微細成分の歩留まりが低いことから紙力増強剤の効果が低減し、層間強度が低下している(比較例1〜4)。さらに、長期連続操業した場合には歩留が低いことから白水系に汚れが蓄積し、紙面欠陥などのトラブルが多くなるため、効率良い操業はも困難であった。さらにまた、比較例1においては、微細成分の歩留まりが著しく低下し、表裏差が大きくなっている。
また、比較例5ではブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いているが、脱水能力が低いために、抄速は1400m/分に留まっている。また、紙力剤を添加しているにも関わらず、層間強度が低くなっているが、これは紙層中の灰分が局在化しているためと考えられる。
<印刷用塗工紙の製造>
(1)下塗り用塗工液:重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)、ハイドロカーボ90)100部に対して、分散剤(東亜合成(株)、アロンT−40)を0.3部添加し、カウレス分散機を用いて水に分散した後、接着剤としてリン酸エステル化デンプン15部、スチレン・ブタジエン系ラテックス3部を配合し、固形分濃度48%の下塗り顔料塗工液を調製した。
(2)上塗り用塗工液:上記重質炭酸カルシウムを70部、カオリン30部に対して、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤0.3部を添加し、カウレス分散機を用いて水に分散し、接着剤としてリン酸エステル化デンプン5部とスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを10部配合し、固形分濃度65%の上塗り顔料塗工液を調製した。
[実施例4]
実施例1で作成した印刷用塗工原紙にロッドメタリングサイズプレスコータを用いて下塗り用塗工液を片面あたり3g/m2両面塗工し、更にブレードコータを用いて上塗り用塗工液を片面あたり8g/m2両面塗工した。表面処理として、金属ロール表面温度150℃、線圧300kg/cm、カレンダーニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。本実施例においては、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて、抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産した。
[実施例5]
実施例3で作成した印刷用塗工原紙を用いた以外は実施例4と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例6]
比較例1で作成した印刷用塗工原紙にロッドメタリングサイズプレスコータを用いて下塗り用塗工液を片面あたり3g/m2両面塗布し、更にブレードコータを用いて上塗り用塗工液を片面あたり8g/m2両面塗布した。表面処理として、金属ロール表面温度150℃、線圧300kg/cm、カレンダーニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を作成した。
Figure 0005210298
表2に実験結果を示す。いずれのサンプルも、下塗り顔料塗工液を塗布したため原紙と比較して層間強度が向上したものの、比較例6は、印刷結果においてブリスターが発生した。原紙の強度が低いことに起因するものと考えられる。
本発明を実施することにより、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて高速、高灰分条件において中性抄紙法により印刷用塗工原紙の製造を行う場合に、良好な地合及び層間強度を有した印刷用塗工原紙の製造を安定して行うことができ、長期連続抄造が可能となり、また、塗工紙にも効果を発揮することができる。従って、本発明の効果は極めて大きい。本発明は、実施例4、5のように、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産し、更に仕上げ工程もオンラインで生産する場合、より効果を発揮するものである。
実験2
<印刷用塗工原紙の抄造>
(1)抄紙機:フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機。
(2)パルプ原料配合:広葉樹クラフトパルプ(濾水度CSF=350ml)50%、針葉樹クラフトパルプ(濾水度CSF=600ml)20%、脱墨パルプ(濾水度CSF=240ml)30%
(3)紙中填料率:ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(平均粒子径3.5μm)を使用し、目標の紙中灰分となるように添加量を適宜調整した。
[実施例6]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用紙力向上剤のカチオン化澱粉(日本NSC社製、Cato304)を紙料固形分重量当たり0.25%添加し、合成紙力剤(ハリマ化成社製、EX288)を紙料固形分あたり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が1,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm添加し、その後、アニオン性の無機系微粒子であるベントナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分重量当たり1000ppm添加し、フォーミングロール径が1600mmであるロールアンドブレードフォーマー形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,600m/分で原紙坪量37g/m2、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。
[実施例7]
実施例6のアニオン性の無機系微粒子をコロイダルシリカ(エカケミカルス社製、NP442)とした以外は、実施例6と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[実施例8]
実施例6のアニオン性の微粒子として、有機系微粒子の架橋ポリアクリルアミド(チバスペシャルティケミカルズ社製、パーコールM8)を追加した以外は、実施例6と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[実施例9]
実施例6の歩留剤を極限粘度法による重量平均分子量が2,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ソマール株式会社製R−300)とした以外は、実施例6と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[実施例10]
実施例6の歩留剤を極限粘度法による重量平均分子量が2,000万であり、分岐型であるカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ソマール株式会社製R−101)とした以外は、実施例6と同様に印刷用塗工原紙を得た。
[比較例7]
実施例6において、歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、アニオン性の無機微粒子であるベントナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を添加しなかった以外は、実施例6と同様にして印刷用塗工原紙を得た。
[比較例8]
実施例6において、カチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、DP7833)を添加しなかった以外は、実施例6と同様にして印刷用塗工原紙を得た。
[比較例9]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用紙力向上剤のカチオン化澱粉(日本NSC社製、Cato304)を紙料固形分重量当たり0.25%添加し、合成紙力剤(ハリマ化成社製、EX288)を紙料固形分あたり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が1,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm添加し、その後、アニオン性の無機系微粒子であるベントナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分重量当たり1000ppm添加し、ブレードフォーマー形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,300m/分で原紙坪量37g/m2、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。
Figure 0005210298
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表3に結果を示す。本発明の実施例は、紙の地合を良好に維持しながら、高い層間強度や紙料歩留まりを得ることができ、長期操業性も良好であった。
また、歩留まり向上剤としてカチオンPAM(分子量1000万)とアニオン性微粒子を併用すると、歩留まりが向上した。そのため、歩留まり向上剤としてカチオンPAMとアニオン性微粒子を併用すると、白水濃度の上昇が抑制でき、系内が汚染されにくくなるため、長期に渡る連続した操業が容易である。
さらに、ブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いる比較例9では、抄速が1300m/分と低く、歩留まりは良好であるものの、地合は悪くなっている。
<印刷用塗工紙の製造>
(4)顔料塗工液の作成
・下塗り用塗工液:重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)、ハイドロカーボ90)100部に対して、分散剤(東亜合成(株)、アロンT−40)を0.3部添加し、カウレス分散機を用いて水に分散した後、接着剤としてリン酸エステル化デンプン15部、スチレン・ブタジエン系ラテックス3部を配合し、固形分濃度48%の下塗り顔料塗工液を調製した。
・上塗り用塗工液:上記重質炭酸カルシウムを70部、カオリン30部に対して、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤0.3部を添加し、カウレス分散機を用いて水に分散し、接着剤としてリン酸エステル化デンプン5部とスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを10部配合し、固形分濃度65%の上塗り顔料塗工液を調製した。
[実施例11]
パルプと填料を混合した紙料に、内添用紙力向上剤のカチオン化澱粉(製、Cato304)を紙料固形分重量当たり0.25%添加し、合成紙力剤(ハリマ化成社製、EX288)を紙料固形分あたり0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子量が1,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm添加し、その後、アニオン性の無機微粒子であるベントナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分重量当たり1000ppm添加し、フォーミングロール径が1600mmであるロールアンドブレードフォーマー形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄造された抄紙速度1,600m/分で原紙坪量37g/m2、原紙の紙中灰分15%の塗工原紙に、ロッドメタリングサイズプレスコータを用いて下塗り用塗工液を片面あたり3g/m2両面塗工し、更にブレードコータを用いて上塗り用塗工液を片面あたり8g/m2両面塗工した。表面処理として、金属ロール表面温度150℃、線圧300kg/cm、カレンダーニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。本実施例においては、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて、抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産した。
[実施例12]
実施例9で得た塗工原紙を用いた以外は実施例11と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例13]
実施例10で得た塗工原紙を用いた以外は実施例11と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例10]
実施例8において、歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、アニオン性の無機微粒子であるベントナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を添加しなかった以外は、実施例11と同様に印刷用塗工紙を得た。
Figure 0005210298
表4に結果を示す。歩留まり向上剤としてカチオンPAMとアニオン性微粒子を併用すると、耐ブリスター性が向上した。また、本発明は、上記実施例のように、オンマシンコータを備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生産し、更に仕上げ工程もオンラインで生産する場合、より効果を発揮するものである。
実験3:ダイナミックドレネージジャーによる紙料の評価
<測定方法>
(1)カチオン要求量の測定方法
紙料の200メッシュワイヤーのろ液について、流動電位法に基づく粒子荷電測定装置(Muteck PCD-02)にて、電荷を中和するまでに必要とした1/1000規定のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液の量を元に、カチオン要求量を測定した。カチオン要求量のカット率は下記の式により求めた。
・カチオン要求量カット率=100×(A−B)/A
A:凝結剤添加前のカチオン要求量
B:凝結剤添加後のカチオン要求量
(2)濁度の測定方法
紙料を濾紙(Whatman #41)で濾過したろ液について、吸光光度計にて吸光度を測定し、ホルマジン標準液を用いて作成した検量線を基に濁度を算出した。濁度のカット率はカチオン要求量のカット率と同様に凝結剤添加前後の濁度より求めた。
[実験例A1]
DBP(ドライブロークパルプ、固形分濃度3.5%)に対して凝結剤ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド(DADMAC/AA、片山ナルコ社製N7527)を300ppm添加し、5分間ラボ撹拌機で緩やかに撹拌した。凝結剤を添加したDBP、NBKP(針葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:600ml)、LBKP(広葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:350ml)と、填料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム:平均粒子径3.5μm)とを、DBP30%、NBKP20%、LBKP40%、填料10%の割合で配合し、水で固形分濃度2.5%に調整して、配合紙料を調成した。
配合した紙料を攪拌機の回転数を1600rpmとしたDDJ(ダイナミックドレネージジャー)にとり、10秒後に凝結剤を200ppm添加し、180秒間攪拌したまま保持した後、濁度およびカチオン要求量を測定した。これらの結果を元に、凝結剤を添加せずにDDJで10秒攪拌しただけの配合紙料(コントロール)の濁度およびカチオン要求量からのカット率を求めた。
[実験例A2]
DIP(脱墨パルプ、濾水度CSF:240ml、固形分濃度3.5%)に対しても凝結剤DADMAC/AAを500ppm添加し、紙料構成をDBP30%、NKP20%、LKP30%、DIP10%、填料10%とした以外は、実験例A1と同様にして紙料を調成した。
[実験例A3]
DIP(脱墨パルプ、濾水度CSF:240ml、固形分濃度3.5%)に対して凝結剤DADMAC/AAを500ppm添加し、GP(砕木パルプ、濾水度CSF:80ml、固形分濃度3.2%)に対して凝結剤DADMAC/AAを1000ppm添加し、紙料構成をDBP30%、NKP20%、LKP25%、DIP10%、GP5%、填料10%とした以外は、実験例A1と同様にして紙料を調成した。
[実験例B1]
DBPに対する凝結剤DADMAC/AAの添加率を1000ppmとし、配合紙料への凝結剤添加を行わなかった以外は、実験例A1と同様にして紙料を調成した。
[実験例B2]
DBPに対する凝結剤DADMAC/AAの添加率を1000ppmとし、配合紙料への凝結剤添加を行わなかった以外は、実験例A2と同様にして紙料を調成した。
[実験例B3]
DBPに対する凝結剤DADMAC/AAの添加率を1000ppmとし、配合紙料への凝結剤添加を行わなかった以外は、実験例A3と同様にして紙料を調成した。
Figure 0005210298
表5に実験結果を示す。実験例A1と実験例B1とを比較すると、原料のDBPと、原料を配合した配合紙料との両方に凝結剤を添加した場合、DBPのみに凝結剤を添加した場合よりも、ほぼ同程度の総凝結剤添加率であるにも関わらず、濁度およびカチオン要求量のカット率が高くなった。これは、抄紙機でのデポジット問題や紙面の欠陥の原因となるホワイトピッチと呼ばれるアニオン性のコロイド粒子が効率良く繊維に定着されていることを示すものであり、この紙料に歩留り剤を添加すると歩留り剤が効果を十分に発揮することができ、結果として高い歩留りを得ることができると考えられる。
同様に、実験例A2と実験例B2、および、実験例A3と実験例B3の結果より、原料および配合紙料へ凝結剤を2段添加すると、原料のみに凝結剤を添加するよりも、濁度およびカチオン要求量のカット率が高くなり、特にDIPを10%配合した系やGPを5%配合した系では、多段添加の効果が顕著であった。
実験4
<塗工原紙の評価>
塗工原紙の欠陥数は、オンライン欠陥検出器(KP83WY26-NVPDFi、オムロン社製)を用いて、巻取りの枠あたりの欠陥数の平均値を示した。
填料分布、地合係数、および層間強度は、巻取り中央部より採取した原紙をサンプルとして評価した。填料分布は、バーンアウト試験によって確認し、目視により3段階評価を行った(○:良好、△:偏りがある、×:偏りがひどい)。地合係数は、地合計FMT-III(光透過光変動法)を用いて測定した。地合係数は、値が小さいほど、地合が良好であることを示す。層間強度は、L&WZD Tensile Tester SE155(Lorentzen&Wettre社製)を用いて測定した。
<塗工紙の評価>
塗工原紙を塗料で塗工した後の塗工紙について、画像解析法に基づいて0.05mm以上の紙面ダート個数をSpecScan2000(アポジーテクノロジー社製)を用いて測定した。
オフセット輪転印刷機(B2T600、4色、東芝製)にて、オフ輪印刷用インキ(レオエコー SOY M、東洋インキ製造社製)を用いて印刷速度500rpm、乾燥時の紙面温度120℃で印刷した。得られた印刷物の墨単色50%網点部について、印刷再現性を目視評価した(○:良好、△:やや劣る、×:劣る)。
<顔料塗工液の作成>
・下塗り用塗工液:重質炭酸カルシウム(ハイドロカーボ90、白石カルシウム(株))100部に対して、分散剤(アロンT−40、東亜合成(株))を0.3部添加し、カウレス分散機を用いて水に分散した後、接着剤としてリン酸エステル化デンプン15部、スチレン・ブタジエン系ラテックス3部を配合し、固形分濃度48%の下塗り顔料塗工液を調製した。
・上塗り用塗工液:上記重質炭酸カルシウムを70部、カオリン30部に対して、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤0.3部を添加し、カウレス分散機を用いて水に分散し、接着剤としてリン酸エステル化デンプン5部とスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを10部配合し、固形分濃度65%の上塗り顔料塗工液を調製した。
[実施例14]
凝結剤DADMAC/AA(片山ナルコ社製N7527)を、DBP(ドライブロークパルプ、固形分濃度3.8%)に対して500ppm、DIP(脱墨パルプ、濾水度CSF:240ml、固形分濃度3.4%)に対して800ppm添加した。凝結剤を添加したDBPおよび凝結剤を添加したDIPを含む原料を、DBP30%、NBKP(針葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:600ml)15%、LBKP(広葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:350ml)15%、DIP40%の割合で配合チェストにて混合し、紙料(固形分濃度3.0%)とした。また、配合チェストにて同時にカチオン化澱粉(Cato304、日本エヌエスシー社製)を0.2%添加し、さらに染料を添加した。
その後、ミキシングチェスト入口にて硫酸バンドを1.0%添加し、ミキシングチェスト出口にて固形分濃度が2.9%である紙料に凝結剤DADMAC/AA(片山ナルコ社製N7527)を400ppm添加した。ミキシングチェストの後のマシンチェストにて紙力剤(ハリマ化成社製EX280A)を0.1%添加した。その後にサイズ剤として中性ロジンおよび填料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム:平均粒子径3.5μm、)を添加し、さらにスクリーン手前にて、極限粘度法による重量平均分子量が2,000万である歩留り剤(ソマール社製リアライザーR-300)を300ppm添加し、白水で原料を固形分濃度1.5%未満に希釈した状態の紙料(固形分濃度0.8%)を調製した。
この紙料をインレットモジュールより噴射し、ロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機にて、抄紙速度1600m/分で抄紙して塗工原紙(坪量40.7g/m2、紙中灰分12%)を得た。
得られた塗工原紙について、ロッドメタリングサイズプレスコータを用いて下塗り用塗工液を片面あたり3g/m2両面塗工し、さらにブレードコータを用いて上塗り用塗工液を片面あたり8g/m2両面塗工した。塗工速度は1600m/分であった。表面処理として、金属ロール表面温度150℃、線圧300 kg/cm、カレンダニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。
[比較例11]
歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシングチェストへの凝結剤添加を行わなかった以外は、実施例14と同様にして塗工原紙および塗工紙を得た。
[比較例12]
歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシングチェスト出口での凝結剤添加を行わず、1次ファンポンプ入口にてインレット原料(紙料の固形分濃度0.8%)へ凝結剤を400ppm添加した以外は、実施例14と同様にして塗工紙および塗工原紙を得た。
[比較例13]
歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、DBPおよびDIPへの凝結剤添加を行わず、1次ファンポンプ入口にてインレット原料へ凝結剤を400ppmした以外は、実施例14と同様にして塗工紙および塗工原紙を得た。
Figure 0005210298
Figure 0005210298
表6に実験結果を示す。DBPおよびDIPに凝結剤を添加するとともに、各種原料を配合後のミキシングチェストでさらに凝結剤を添加した実施例14は、濁度およびカチオン要求量が低く、歩留りが高くなった。また、実施例14の塗工原紙は、欠陥数が著しく少なく、地合および填料分布も良好であり、結果として高い層間強度を得ることができる。この原紙を塗工した塗工紙は、紙面のダートが少なく、印刷再現性も優れていた。
また、凝結剤を多段添加すると、DBPおよびDIPのみに凝結剤を添加した場合と比較して、ストックインレットのカチオン要求量と濁度が低く、結果として紙料歩留りが高くなっている。さらに、凝結剤の多段添加により、原紙の欠陥が少なくなり、塗工後の塗工紙の紙面ダート個数が減少した。
さらに、比較例12に示すように、DBPおよびDIPに凝結剤を添加した後、白水で希釈した後の1次ポンプ入口にて凝結剤を添加した場合、ストックインレットのカチオン要求量や濁度の低減という面では実施例14よりも優れており歩留りも高い傾向にあるものの、原紙の欠陥として比較的大きい欠陥が増加した。これは、原料系で定着された異物のもととなるコロイド物質が、その後の紙料配合工程から多量の白水で希釈されるインレット紙料に至るまでに、再分散した後、徐々に粗大化し、粗大化した異物が1次ポンプで添加した凝結剤によって繊維に定着されたためと考えられる。また、凝集力が強くなり過ぎて地合と填料分布の悪化を招き、結果として層間強度も低下した。さらに、塗工紙についても紙面のダートが多く、印刷再現性が実施例14に比べて劣っていた。
さらにまた、比較例13に示すように、原料に凝結剤を添加せずに、ミキシングチェストおよび1次ポンプ入口にて凝結剤を添加した場合、比較例12と同様に、ストックインレットのカチオン要求量や濁度の低減という面では実施例14よりも優れており歩留りも高い傾向にあるものの、原紙の欠陥が比較例12以上に増加した。これは、異物のもととなるコロイド物質が、微細な状態で繊維に定着されることなく、硫酸バンドやカチオン化澱粉などカチオン薬品の添加により不安定化して粗大化し、非常に大きな異物となって凝結剤によって効率良く紙に抄き込まれたためと考えられる。また、凝集力が強くなり過ぎて地合と填料分布の悪化を招き、結果として層間強度も低下していた。また、塗工紙についても紙面のダートが多く、印刷再現性も実施例14に比べて劣っていた。
以上のように、凝結剤を多段添加することにより、ギャップフォーマ型抄紙機を用いる高速抄紙において、デポジットの発生といった操業性に関する問題を抑制し、高い歩留りと均一な填料分布ならびに良好な地合を持つ塗工原紙を製造することができ、また、それらの塗工原紙を用いてコータで塗工した場合、品質の良好な塗工紙を得ることができる。
[実施例15]
DBP(ドライブロークパルプ、固形分濃度2.8%)に対して凝結剤としてポリビニルアミン(BASF社製カチオファストVSH)を500ppm添加し、TMP(サーモメカニカルパルプ、濾水度CSF:130ml、固形分濃度3.4%)およびGP(砕木パルプ、濾水度CSF:80ml、固形分濃度3.5%)に凝結剤として改質ポリエチレンイミン(BASF社製カチオファストSF)をそれぞれ800ppm、1200ppm添加した。凝結剤を添加したDBPおよびTMP、GP、ならびに他の原料を、DBP20%、NBKP(針葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:80ml)20%、LBKP(広葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:380ml)30%、TMP15%、GP15%の割合で配合チェストにて混合し、紙料(固形分濃度約3.0%)とした。また、配合チェストにて同時にカチオン化澱粉(日本エヌエスシー社製Cato304)を1.0%添加し、さらに染料を添加した。
その後、ミキシングチェスト入口にて硫酸バンドを0.8%添加し、ミキシングチェスト出口にて凝結剤を460ppm添加した。ミキシングチェストの後のマシンチェストにて紙力剤(星光PMC社製DS4304)を0.2%添加した。その後に白水で1.5%未満にまで希釈した紙料にサイズ剤としてAKDおよび填料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム:平均粒子径3.5μm)を添加し、極限粘度法による重量平均分子量が1,000万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm添加し、その後、アニオン性の無機微粒子であるベントナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分重量当たり1000ppm添加した。
この紙料を、ストックインレットよりツインワイヤー抄紙機にて抄紙速度1200m/分で抄紙して、塗工原紙(坪量38.1g/m2、紙中灰分15%)を得た。
得られた塗工原紙を、連続してロッドメタリングサイズプレスコータを用いて下塗り用塗工液を片面あたり2g/m2両面塗工し、さらにブレードコータを用いて上塗り用塗工液を片面あたり9g/m2両面塗工した。塗工速度は1200m/分であった。表面処理として、金属ロール表面温度150℃、線圧350kg/cm、カレンダニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダ処理を行い、印刷用塗工紙を得た。
[比較例14]
歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシングチェスト出口への凝結剤の添加を行わなかった以外は、実施例15と同様にして塗工紙を得た。
Figure 0005210298
表7に実験結果を示す。凝結剤を多段添加することにより、インレットの濁度およびカチオン要求量が低くなり、デポジットや欠陥の原因物質であるアニオン性のコロイド物質が効率良く繊維に定着していると考えられる。また、コータ部での断紙の発生しにくさについて三段階評価(○:良好、△:やや不良、×:不良)したところ、実施例15は断紙が発生しにくく、歩留まりおよびコート紙面の欠陥が優れていた。
このように、凝結剤を多段添加することにより、オンマシンコータでの欠陥や断紙を少なくすることができる。
[実施例16]
DBPおよびDIP(濾水度CSF:380ml)に対して凝結剤DADMAC/AA(片山ナルコ社製N7527)をそれぞれ400ppmおよび200ppm添加し、TMP(濾水度CSF:130ml)に凝結剤として改質ポリエチレンイミン(BASF社製カチオファストSF)を800ppm添加した。凝結剤添加後のDBPおよびDIP、TMP、ならびに他の原料を、DBP20%、NBKP(濾水度CSF:580ml)20%、LBKP(濾水度CSF:380ml)20%、DIP30%、TMP10%の割合で配合チェストにて混合し、紙料とした。また、配合チェストにて同時にカチオン化澱粉(日本エヌエスシー社製Cato315)を1.0%添加し、さらに染料を添加した。
その後、ミキシングチェスト入口に硫酸バンドを0.8%添加し、ミキシングチェスト出口にて凝結剤を360ppm添加した。ミキシングチェストの後のマシンチェストにて紙力剤(星光PMC社製DS4304)を0.2%添加した。その後に白水で原料を1.5%未満に希釈した状態でサイズ剤としてAKDおよび填料(軽質炭酸カルシウム)を添加し、分子量が2,000万である歩留り剤(ソマール社製リアライザーR-300)を400ppm添加して紙料を調製した。
調製した紙料を用い、ストックインレットより、ロールアンドブレードフォーマ型式のギャップフォーマ抄紙機にて、抄紙速度1600m/分で抄紙して、得られた塗工原紙(坪量45.2g/m2、紙中灰分16%)、を、オンラインで連続してロッドメタリングサイズプレスコータを用いて下塗り用塗工液を片面あたり3g/m2両面塗工し、さらにブレードコータを用いて上塗り用塗工液を片面あたり10g/m2両面塗工した。塗工速度は1600m/分である。そして更にオンラインで連続して、金属ロール表面温度150℃、線圧450kg/cm、カレンダニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。
[比較例15]
歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平均分子量が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシングチェストへの凝結剤添加を行わなかった以外は、実施例16と同様にして塗工原紙および塗工紙を得た。
Figure 0005210298
表8に結果を示す。凝結剤を多段添加することにより、インレットの濁度およびカチオン要求量が低くなり、デポジットや欠陥の原因物質であるアニオン性のコロイド物質が効率良く繊維に定着していると考えられる。また、断紙の発生しにくさについて三段階評価(○:良好、△:やや不良、×:不良)したところ、実施例16は断紙が発生しにくく、歩留まりも高かった。このように、凝結剤を多段添加することにより、抄紙機での断紙を少なくすることができる。
凝結剤を多段添加することにより、特に高速時において、抄紙機の抄紙工程においてデポジットなどの操業性に関する問題の発生を低減し、高い歩留りと均一な填料分布ならびに良好な地合を持つ塗工原紙を製造することができる。また、本発明の塗工原紙を用いてコータで塗工した場合、断紙などの操業性に関する問題が発生せず、品質の良好な塗工紙を製造することができる。

Claims (13)

  1. フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて、中性抄紙法により塗工原紙を製造する方法であって、
    歩留まり向上剤として極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を紙料に添加して抄紙することを含み、
    配合前の一種以上のパルプと、製紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の紙料とに、有機凝結剤を添加することを含む、上記方法。
  2. 紙力剤として、カチオン化澱粉を紙料に添加し、歩留り向上剤として、前記カチオン性ポリアクリルアミド系物質の前記添加後に、アニオン性微粒子を添加することを含む、請求項に記載の方法。
  3. 前記固形分濃度1.5%以上の紙料への凝結剤の添加が、一種以上の製紙原料を配合した後から種箱以降の白水または用水で希釈される前までに行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記凝結剤の添加後に前記歩留り向上剤が添加される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 前記原料パルプの1つとしてコートブロークを使用し、前記凝結剤が該コートブロークに添加される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  6. 前記固形分濃度1.5%以上の紙料へ前記凝結剤を添加する前に、カチオン性多価金属塩を紙料に添加することを含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  7. 抄紙速度が1300m/分以上である、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. 印刷用塗工原紙の紙中填料率が10重量%以上である、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  9. 紙料に配合される原料パルプに20重量%以上の脱墨パルプ(DIP)が含まれる、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  10. 前記抄紙機が、プレスパートにシュープレスを備える、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  11. 前記抄紙機が、オンマシンコータを備える、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法で製造した印刷用塗工原紙に顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工することを含む、印刷用塗工紙の製造方法。
  13. 前記塗工液が、ブレードコータにより塗工される、請求項12に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
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