JP3744115B2 - オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用塗被紙の製造方法に関し、特にギャップフォーマ型抄紙機で抄紙された原紙を使用して製造されるオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省力化傾向と相まって、抄紙機の高速化への要求はますます高まっている。そして、最新の抄紙機では、塗被紙用原紙の抄紙に際しても1000m/分以上での操業が一般的となっている。
ところで、このような高速化へ移行するにあたって、その抄紙方式、特に抄紙機のワイヤパートの変革が大いに寄与している。
【0003】
即ち、ワイヤパートを具備した抄紙機としては、従来より主として使用されている、上方が自由で下方にのみに長網(抄紙ワイヤ)を通して脱水を行う、所謂長網抄紙機(図1)といわれるもの、次いで長網抄紙機の長網の後半部の上方にループをなすトップワイヤを配置して、その部分では上下で脱水が行われるツインワイヤによる抄紙方式、所謂オントップフォーマ型あるいはハイブリッドフォーマ型抄紙機(図2)が実用化されている。特に、このツインワイヤの開発が抄紙機の高速化を可能とした1つの要因でもある。
しかしながら、ハイブリッドフォーマ型抄紙機の場合であっても、さらに高速化を図ると、トップワイヤより前半、所謂従来の長網部に相当する部分で、相対的にパルプ濃度の低い、初期脱水部分での紙料のジャンピングや乱れが発生し、結果として、得られる紙の地合が極めて劣ったものとなり商品価値が低下する。
【0004】
そこで考案されたのが、ハイブリッドフォーマ型抄紙機におけるトップワイヤからなる脱水ゾーンを、下部のボトムワイヤ部分と同規模に大きくし、つまり従来の長網式のように下方からの脱水機構を殆ど取ることなく、インレットを出た原料が当初から2枚(上下)のワイヤ間に流入し、それらワイヤの両側(外側)へ脱水が推進されるようにした構成を取る、所謂ギャップフォーマ型抄紙機と呼ばれる、ツインワイヤによる脱水機構を取る抄紙機(図3)である。
【0005】
このギャップフォーマ型抄紙機はトップワイヤとボトムワイヤで形成されるギャップ(くさび状の開口部)にインレットより吐出されたパルプスラリーを供給することにより、当初よりパルプスラリーが2枚(上下)のワイヤに挟まれた状態で脱水、紙層が形成されていくので、前記のハイブリッドフォーマ型抄紙機の場合のように原料の乱れを誘発することなく、均一な紙層形成ができるものとして、高く評価されている。
【0006】
一方、このギャップフォーマ(ツインワイヤ)型抄紙機は、原料濃度の低い段階より2枚のワイヤを介して紙層の両側面へ脱水が行われるために、紙(紙層)の層間強度が低下するといった欠点がある。そして、このギャップフォーマ型抄紙機で抄紙された原紙を用いて、オフセット輪転(以後、オフ輪と称す)印刷用塗被紙に仕上げてオフ輪印刷を行なうと、ブリスタが発生し易いといった難点を抱えている。
【0007】
ここに、ブリスタとは、両面塗被紙をオフ輪印刷機にかけて、印刷、熱乾燥する過程で該塗被紙中の水分が急激な加熱により水蒸気化して紙層内部より外へでる際に、その水蒸気圧で紙層内部に亀裂等を生じさせることによって起こる層間剥離現象である。そして、ブリスタは製品価値を著しく低下させる。
【0008】
そこで、このようなギャップフォーマ型抄紙機で得られる原紙特有の欠点を改善するために種々の提案が出されている。例えば特開平4−222288号公報には、ギャップを形成するトップワイヤのフォーミングロールを上下方向に調節可能にし、ハイブリッドフォーマのモードとギャップフォーマのモードを同一抄紙機で使用できるようにして、要求品質に合わせて使い分けるようにして提案がある。
【0009】
しかし、同一の1台の高速抄紙機において、ワイヤ仕様(モード)をいろいろ変更して生産することは、その変更で発生する生産ロス等を考慮すると好ましいこととではない。そこで、ギャップフォーマ型抄紙機の持つ特徴を活かしたままで、一方でオフ輪適性を備えた原紙の製造方法が求められている。
本発明者等は、このギャップフォーマ型抄紙機で抄紙した原紙特性について鋭意研究を行なった結果、該原紙は他のツインワイヤを装備した抄紙機(例えばハイブリット型抄紙機)で抄紙した原紙とは異なる特性を有することを見出した。
【0010】
即ち、ギャップフォーマ型抄紙機とハイブリッドフォーマ型抄紙機によって得られた各々の原紙のZ軸方向(層方向)における微細繊維の分布状態を調べた。その結果、後者の原紙では微細繊維が原紙層の中央部に多く存在するのに対し、前者の原紙では微細繊維が原紙の両側の表面に近い部分に2極化した状態で存在することが分かった。
【0011】
さらに、ギャップフォーマ型抄紙機で得た原紙の両側面に水性塗被組成物(以後、塗料と称す)を塗被、乾燥して塗被層を設けた場合、原紙両面のそれぞれの表面層は極めて通気性の悪い、緻密な層となる。このような塗被紙をオフ輪印刷機にかけて印刷を行うと印刷後、熱乾燥する過程で層内部の水蒸気が逃げ場を失って、所謂ブリスタを発生させることになる。
【0012】
上記の如く、最近の高速抄紙機としては、ツインワイヤ型の抄紙機がその主流となりつつある。しかしながら、ツインワイヤ型抄紙機、特にギャップフォーマ型抄紙機で抄紙した原紙は、前記した如く、相対的に均一な層構成を取ることができるものの、紙層内部の結合強度が弱く、特にオフ輪印刷用塗被紙に仕上げるとブリスタが発生し易く、その改善が強く望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ギャップフォーマ(ツインワイヤ)型抄紙機で抄紙した原紙を用いて、耐ブリスタ適性に優れるオフ輪印刷用塗被紙の製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ギャップフォーマ型抄紙機で抄紙した原紙に、顔料および接着剤を主成分とする水性塗被組成物を塗被、乾燥して仕上げるオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法において、該原紙が、予めその抄紙に際し紙料中にパルプに対し、固形分対比で第4級アンモニウム塩が付加されてなるカチオン変性澱粉が0.3〜2.0重量%内添された紙料を用いて抄紙された原紙であって、さらにその原紙にフィルムメタリングタイプのサイズプレス装置により、接着剤を主成分とする固形分濃度が2〜12重量%の水性液が塗布、乾燥されてなる原紙であることを特徴とするオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、原紙用に用いられるパルプとしては、広葉樹、針葉樹、あるいはケナフ、麻のような非木材をクラフト蒸解、サルファイド蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解等の蒸解法、あるいはそれらの蒸解法と蒸解助剤の組み合わせでパルプ化し、その後酸素漂白、あるいは酸素漂白せずに、塩素、二酸化塩素、ハイポ、過酸化水素、有機過酸化物、オゾン、および任意に酸素あるいは過酸化水素で補強されたアルカリ抽出等を組み合わせた公知の多段漂白が施され、パルプシートのハンター白色度値で80〜90%に晒されたパルプが好適に使用される。さらには、コンピューター用紙、ファクシミリ用紙等のオフィスから回収される上質系古紙や新聞、雑誌等の古紙を解繊、脱墨し、必要に応じて、漂白して得られる脱墨古紙パルプ等が適宜使用できる。
【0016】
上記の如き、各種パルプが適宣選択され、精選機や叩解機等を経て、各種の内添助剤等が適宣パルプに添加されて、紙料(パルプスラリー)が調成された後、前述のギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙される。この時、紙料中に第4級アンモニウム塩を含有するカチオン化剤で変性されたカチオン変性澱粉をパルプ全量に対し、固形分対比で0.3〜2.0重量%内添されていることが、本発明では重要である。
【0017】
ここに、カチオン変性澱粉とは、澱粉にカチオン化剤を添加してカチオン化反応させたもので、強アルカリの存在下で2−ジアルキルアミノエチルクロリドを反応させた第3アミンタイプと、トリメチルアミンやトリエチルアミンなどのトリアルキルアミンとエピクロルヒドリンとの反応物からなるカチオン化剤によりカチオン変性した第4級アンモニウム塩タイプが工業的に多く製造されている。
【0018】
本発明者らは、ギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙する際の紙料中にカチオン性の強い第4級アンモニウム塩タイプのカチオン化剤を使用して、カチオン化されたカチオン変性澱粉を内添して得られる原紙を用いると、後述するようにサイズプレス処理の効果を増大させ、層間強度が効率良く向上せしめられ、該原紙をオフ輪用塗被紙の原紙として使用することにより、極めて優れる耐ブリスタ適性が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
このように耐ブリスタ適性が改善される理由については定かではないが、第4級アンモニウム塩を含有するカチオン変性澱粉が原紙層内に存在することで、後で接着剤を主成分とする水性液で該原紙をサイズプレス処理することで、水性液中の接着剤と原紙中のカチオン変性澱粉とが強力なネットワーク結合を構成し層間強度を極めて効果的に高めるものと推察される。
【0019】
なお、上記特定のカチオン変性澱粉の内添量は、対パルプ当たり固形分対比で0.3〜2.0重量%に特定するものである。因みに、0.3重量%未満の場合には、本発明が所望とする効果が得られず、他方2.0重量%を越えると、ワイヤの目詰りや乾燥ドライヤの汚れを誘発し、操業性を悪化させる懸念があり好ましくない。
【0020】
また、抄紙条件については特に限定されるものではなく、通常の酸性抄紙、あるいは中性抄紙等の条件が適宜適用できる。紙料中には上記特定のカチオン変性澱粉の他に填料としてタルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の鉱物填料が適宜配合される。さらに、一般抄紙分野で使用される各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力向上剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤が必要に応じて添加される。その他、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加される。
【0021】
本発明では、このようにしてギャップフォーマ型抄紙機を用いて得られた原紙に、サイズプレス装置を用いて、ポリアクリルアミド等の合成接着剤や澱粉等の天然接着剤を主成分とするサイズプレス液で、原紙表面処理を施すことで、層間強度を強化し耐ブリスタ適性を付加するものである。
なお、ギャップフォーマ型抄紙機に付設されて使用されるサイズプレス装置としては、特に限定されるものではないが、1000m/分以上の高速抄紙に適合するような装置であることが必要である。
【0022】
即ち、従来の汎用タイプである、2ロールタイプのサイズプレス装置では1000m/分以上といった高速運転下では、2本のロールで形成されるニップ部にサイズプレス液(以後、水性液と称す)だめを作り、そのニップ部に原紙を通紙することによって行うサイズプレス処理では、水性液の踊り、所謂ボイリングが発生し、実質的に安定した操業を行うことが難しく、また安定した品質を得ることも難しい。
【0023】
また、図4に示す様な、左右3本づつのロールからなるゲートロールサイズプレス機を使用すると、ボイリングの問題は生じないが、塗布量の調製が難しく、所望する液量を塗布できないといった問題がある。
したがって、本発明のように、高速抄紙機に付設して使用するサイズプレス装置としては、図5に示すようなフィルムメタリングタイプの如きサイズプレス装置が操業性、および優れた品質を得る上から好ましく利用される。
【0024】
高速抄紙機およびフィルムメタリングタイプのサイズプレス装置をオンマシン仕様で操業する場合、特にサイズプレス装置に供給される水性液中の接着剤の固形分濃度が重要であり、本発明においては、その濃度を2〜12重量%、好ましくは4〜10重量%に特定するものである。
因みに、固形分濃度が12重量%を越えると、水性液の原紙内部への浸透が十分に行われずに内部層間強度の改善効果が少なく、他方2重量%未満の場合には、水性液の原紙への浸透は促進されるものの、浸透させ得る水性液の量には自ずと限界があり、結果として紙層中の接着剤量が不十分となり、内部層間強度の改善効果が期待できないので好ましくない。また、必要以上に水性液の濃度を低くすると、サイズプレス処理後の原紙の乾燥負荷が大きくなり、高速抄紙においては望ましい実施形態とはいえない。
【0025】
なお、本発明者らの研究によると、水性液中の接着剤(固形分)として、アニオン性ポリアクリルアミドを全接着剤の20重量%以上使用すると、耐ブリスタ適性がより顕著に改善されることが分かった。因みに、20重量%未満では、層間強度の改善効果が小さく、耐ブリスタ適性の改善効果が小さい。
このように、原紙処理にアニオン性ポリアクリルアミドを用いると、耐ブリスタ適性がより効果的に向上する理由については定かではないが、以下のように推察される。
【0026】
即ち、アニオン性ポリアクリルアミドは澱粉と比べると成膜性が低く、水性液の主要接着剤としてサイズプレス処理に供すると、通常の澱粉を用いてサイズプレス処理を行った原紙と比較して、得られる原紙は透気度が低く、一方層間強度はより強くなるためと推定される。なお、ポリアクリルアミドの分子量を特に規定してはいないが、平均分子量が高すぎると、水性液の濃度が12重量%以下であっても、粘度が非常に高くなり過ぎ、原紙への浸透が不十分となり、本発明が所望する耐ブリスタ適性を得ることができなくなる虞れがある。他方、平均分子量が低過ぎると、原紙への浸透は十分に行われるが、接着剤としての強度発現が不十分となり、本発明が所望する層間強度が得られない虞れがある。以上より、本発明におけるアニオン性ポリアクリルアミドの好ましい平均分子量としては、10〜400万程度である。
【0027】
本発明においては、ギャップフォーマ(ツインワイヤ)を装備した高速抄紙機で抄紙された原紙に、同機に装備されたフィルムメタリングタイプのサイズプレス装置を用いて水性液を塗布、乾燥して得られる原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする水性組成物(以後、塗料と称す)を塗工、乾燥することによってオフ輪用塗被紙に仕上げられる。
【0028】
なお、顔料としては、例えばクレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント等の通常の塗被紙用顔料の一種以上が、適宣選択して使用される。とりわけ、オフ輪用塗被紙ということで、通気性の良い顔料等が選択的に使用される。
【0029】
また、接着剤としては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスを、カルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性、あるいはアルカリ非溶解性の重合体ラテックス等が使用される。
【0030】
さらに、上記の如き合成接着剤の他に、例えば酸化澱粉、カチオン変性澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂などの水溶性合成接着剤も適宣選択して併用できる。
なお、必要に応じて、顔料スラリーや塗料中には消泡剤、分散剤、耐水化剤、流動性変性剤、着色剤、あるいは蛍光増白剤等の各種助剤が添加される。
【0031】
原紙へ塗料を塗布する装置としては、例えばブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、サイズプレスコータ等、一般塗被紙の製造に用いられる塗工装置を装備したオンマシンコータあるいはオフマシンコータ仕様になる装置が適宣使用される。そして、塗料の塗布に際しては原紙の両面に一層あるいは多層に分けて塗布、乾燥される。その際の塗料の固形分濃度は、一般に40〜75重量%程度、操業性を考慮すると45〜70重量%で調節され、塗布量は通常片面当たり、乾燥重量で5〜35g/m2 の間で調節される。
【0032】
このようにして得られた塗被紙は、一般に印刷適性(例えば、高平滑や高光沢)を付与する目的で、キャレンダに通紙して加圧仕上げが施される。この場合のキャレンダ装置としては、例えばスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトコンパクトキャレンダなどの金属ロールまたは金属ドラムと弾性ロールとの組合せになる各種キャレンダが、オンマシン、あるいはオフマシン仕様の形態で適宣使用される。
【0033】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。なお、得られた塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を下記により実施した。
【0034】
(耐ブリスタ適性評価)
RI印刷機(明製作所)でオフ輪印刷用インキ1ccを展開し、サンプル(塗被紙)の両面に印刷する。印刷したサンプルを加温したシリコンオイルに浸け、発生するブリスタの状態を目視で観察、評価した。
〔評価基準〕
◎ : ブリスタの発生が殆ど認められない。
○ : ブリスタの発生が軽微である。
△ : ブリスタの発生が見られる。
× : ブリスタの発生がひどい。
【0035】
実施例1
(原紙の調製)
LBKP90部、NBKP10部からなるパルプスラリーに填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分が9%になるように添加し、さらに内添サイズ剤として中性サイズ剤(アルキルケテンダイマー=商品名:サイリーンS−94/花王)0.03部、および硫酸アルミニウム0.5部を添加した後、第4級アンモニウム塩を含むカチオン変性澱粉(商品名:アミロファクスT2000/松谷化学)を0.5部(いずれも、固形分として)内添させて紙料を調製した。この紙料を用いて、ギャップフォーマ型抄紙機で抄速1100m/分で抄紙して基紙を得た。この基紙表面(両面)に、図6に示すロッドメタリングタイプのサイズプレス装置を用いて、固形分濃度4%の酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ)の水性液を用いて、固形分で2g/m2 となるようにサイズプレス処理を行い、乾燥して塗工用原紙を得た。このようにして得られた原紙の米坪は55g/m2 であった。
【0036】
(塗料の調製)
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−90/ファイマティック社)30部、カオリン(商品名:アマゾン88/CADAM社製)70部からなる顔料をコーレス分散機を用いて分散し、顔料スラリーを得た。このスラリーにスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN307/住化エイビーエス・ラテックス社)11部、酸化澱粉糊液(商品名:エースA/王子コーンスターチ社)3部(いずれも、固形分として)を混合、分散して固形分濃度60%の塗料を調製した。
【0037】
(両面塗被紙の製造)
上記塗料を用いて、前に調製した原紙に片面当たり乾燥重量で18g/m2 となるようにブレードコーターを用いて両面に塗布、乾燥を行い、乾燥塗被紙を得た。かくして得られた塗被紙を、金属ロールとコットンロールよりなるスーパーキャレンダーに通紙し、オフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0038】
実施例2
実施例1の原紙の調製において、第4級アンモニウム塩を含むカチオン変性澱粉の部数0.5部を1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で2.0g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0039】
実施例3
実施例1の原紙の調製において、サイズプレス用水性液の濃度4%を8%に代えた以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で4.1g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0040】
実施例4
実施例1の原紙の調製において、サイズプレス用水性液に使用した澱粉全量をアニオン性ポリアクリルアミド〔商品名:ポリマセットB(平均分子量:約30万)/荒川化学〕と等量置換した以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で2.1g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0041】
実施例5
実施例1の原紙の調製において、サイズプレス用水性液の組成分として、実施例1で使用した澱粉(エースA/前記)とアニオン性ポリアクリルアミド(ポリマセットB/前記)との固形分比が70:30となるように調製し、かつその固形分濃度を4%に調製した水性液を用いた以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で2.0g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0042】
実施例6
実施例1の原紙の調製において、サイズプレス用水性液の組成分として、実施例1で使用した澱粉(エースA/前記)とアニオン性ポリアクリルアミド(ポリマセットB/前記)との固形分比が90:10となるように調製し、かつその固形分濃度を4%に調製した水性液を用いた以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で1.9g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0043】
比較例1
実施例1の原紙の調製において、第4級アンモニウム塩を含むカチオン変性澱粉を第3級アミン型カチオン変性澱粉(商品名:エースK―100/王子コーンスターチ)に代えた以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で2.0g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0044】
比較例2
実施例1の原紙の調製において、カチオン変性澱粉の部数0.5部を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で1.9g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0045】
比較例3
実施例1の原紙の調製において、カチオン変性澱粉の部数0.5部を2.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で2.1g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。なお、比較例3での塗被紙の耐ブリスタ適性は良好であるが、抄紙時のワイヤー目詰まりがひどく、操業性に難点を抱える(注)。
【0046】
比較例4
実施例1の原紙の調製において、サイズプレス用水性液の濃度4%を1%に代えた以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で0.4g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0047】
比較例5
実施例1の原紙の調製において、サイズプレス用水性液の濃度4%を15%に代えた以外は、実施例1と同様にしてオフ輪印刷用塗被紙に仕上げた。なお、この時のサイズプレス水性液の塗布量は固形分で7.8g/m2 (両面)であった。このようにして得たオフ輪印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
表1の結果から明らかなように、本発明に係る方法によると、ギャップフォーマ型抄紙機で得られる原紙の欠点である耐ブリスタ適性が極めて効果的に改善され、印刷作業性に優れるオフ輪印刷用塗被紙が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の長網抄紙機の概略構成図である。
【図2】通常のハイブリッドフォーマ抄紙機の概略構成図である。
【図3】通常のギャップフォーマ抄紙機の概略構成図である。
【図4】通常のゲートロールサイズプレス機の概略構成図である。
【図5】通常のフィルムメタリングサイズプレス機の概略構成図である。
【図6】ロッドメタリングサイズプレス機の概略構成図である。
【符号の説明】
1 ヘッドボックス
2 フォーミングボード
3 サクションホイル
4 ボトムワイヤー
5 トップワイヤー
6 サクションボックス
7 原紙
8 サイズ液供給口
9 アプリケーターロール
10 インナーロール
11 アウターロール
12 トップロール
13 ボトムロール
14 塗膜形成部
15 アプリケーター
16 溝付きロッド
Claims (2)
- ギャップフォーマ型抄紙機で抄紙した原紙に、顔料および接着剤を主成分とする水性塗被組成物を塗被、乾燥して仕上げるオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法において、該原紙が、予めその抄紙に際し紙料中にパルプに対し、固形分対比で第4級アンモニウム塩が付加されてなるカチオン変性澱粉が0.3〜2.0重量%内添された紙料を用いて抄紙された原紙であって、さらにその原紙にフィルムメタリングタイプのサイズプレス装置により、接着剤を主成分とする固形分濃度が2〜12重量%の水性液が塗布、乾燥されてなる原紙であることを特徴とするオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法。
- 水性液中の接着剤固形分の20〜100重量%が、アニオン性ポリアクリルアミドである請求項1記載のオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08493097A JP3744115B2 (ja) | 1997-04-03 | 1997-04-03 | オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08493097A JP3744115B2 (ja) | 1997-04-03 | 1997-04-03 | オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法 |
Publications (2)
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