JP5003249B2 - 塗工紙の製造方法 - Google Patents
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この表裏差等の問題を解決するため、例えば、金属ロールと弾性ロールで構成されるソフトカレンダーで表面処理する仕上げ工程において、4ニップのソフトカレンダーを使用して、最初の1ニップ目は金属ロール面に塗工紙のワイヤー面側が、ついで2ニップ及び3ニップ目は金属ロール面に塗工紙のフェルト面側が当たるように、次の4ニップ目は再びワイヤー面側が金属ロールに当たるように通紙することによって表裏差がなくなることが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、処理速度1200m/分では、白紙光沢度等の表裏差がなく、また表面皺や荷姿外観に優れるものが得られるが、処理速度が1300m/分以上、特に1500m/分以上では、白紙光沢度が劣り、表裏差が大きくなり、耐ブリスター性等の品質に劣るものであった。
本発明の塗工原紙は、ヘッドボックスから噴射された紙料が2枚のワイヤーに挟まれて走行し、湿紙の両側からほぼ均等に脱水するギャップフォーマ型抄紙機を用いるものであり、特にフォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いることにより、表裏差のない表面性が良好なものが得られ、1300m/分以上の高速の抄紙速度においてより適している。本発明の製造方法におけるフォーミングパートはロールアンドブレード形式のフォーマであり、最初の脱水はバキュームを有したフォーミングロールのラップエリアで行われ、その直後に加圧ブレードモジュールによるブレード脱水が行われる。この機構より従来のフォーマよりも緩慢な脱水が可能となるため、均一な紙層構造や地合を有した紙が得られる。この時に使用されるフォーミングロールはその径が小さいと十分な抱き角度を得ることができず脱水の調整が不十分となるた1500mm以上が望ましい。フォーミングロールやブレードによる脱水機構に加えて、その後段にサクションユニットやハイバキュームサクションボックスなどの脱水装置を適宜用いることでドライネスの調整を行うことができる。
本発明のプレスパートは、シュープレスを用いるものであり、抄紙速度が高速の場合、プレス後水分を鑑みてタンデムタイプのシュープレスを1段以上で処理することが好ましく、より好ましくは2段以上で処理することにより、層間強度、耐ブリスター性が向上する。シュープレスは、ニップ幅が概ね150〜250mmの範囲にあり、処理条件は100KN/m〜1100KN/mが好ましく、より好ましくは500KN/m〜1100KN/mである。
また、前記シュープレスを2基以上使用する場合、ドライヤーパート側のシュープレスにトランスファーベルトが接触するように通紙することが、断紙等が起こりにくく、高速操業性に優れるものである。
塗工原紙のパルプ原料としては、特に限定されるものではなく、機械パルプ(MP)、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、印刷用紙の抄紙原料として一般的に使用されているものであればよく、適宜、これらの1種類または2種類以上を配合して使用される。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプであれば良く、特に限定はない。本発明においては、脱墨パルプが対パルプ30重量%以上においても、表裏差がなく、層間強度が良好であるなどの効果を発揮することができる。
さらに、上記の如く抄造した原紙上に、顔料と接着剤を含有した塗工液を塗工、乾燥して塗工層を設けた後、ソフトカレンダーに通紙して平滑化仕上を行う。
なお、塗工層の形成に先だって、該原紙に2ロールサイズプレスコータ、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ゲートロールコーター等を用いて適宜接着剤等を塗布して表面処理を行う原紙などを用いることも可能である。さらには、塗工前に原紙をオンラインソフトキャレンダを使用して予め平滑化しておくことは、塗工後の塗被層を均一化する上で特に好ましい。
本発明においては、抄紙、塗工及びカレンダー処理を一体化し、連続的に通紙して塗工紙を製造することにより、1300m/分以上の高速での操業性に優れ、塗工紙の表裏差がなく、高平滑な塗工紙を得ることができ、好ましくは1500m/分以上、より好ましくは1600m/分以上で2500m/分程度である。即ち、ギャップフォーマ型抄紙機のプレスパート部にタンデムシュープレスを用いて抄紙した原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工・乾燥して塗工層を1層以上設けた後、ソフトカレンダーに通紙して表面処理する仕上げ工程を連続して行う、1300m/分以上の高速で塗工紙の製造する際、塗工紙のワイヤー面側がフェルト面側より白紙光沢度、平滑度等が高くなり、表面性に表裏差が発生する問題があり、この問題を解決するため、ソフトカレンダーの通紙条件について検討を重ねた。その結果、表裏差をなくすためには少なくとも6ニップが必要であり、かつ最初の1ニップ目は金属ロール面に塗工紙のフェルト面側が、ついで2ニップ及び3ニップ目は金属ロール面に塗工紙のワイヤー面側が当たるように、続いて4ニップ目は再びフェルト面側が金属ロールに当たり、5ニップ目はワイヤー面側が金属ロールに当り、6ニップ目はフェルト面側が金属ロールに当たるように通紙することによって初めて表裏差がなくなることを見出した。
ソフトカレンダーの1〜6ニップ目の金属ロール表面温度は100〜250℃であることが好ましく、より好ましくは100〜200℃である。また、1〜6ニップ目までのカレンダー線圧は100〜600kN/mであることが好ましく、より好ましくは150〜450kN/mである。
(1) 白紙光沢度:JIS P-8142に従い角度75度で測定した。
(2)耐ブリスター性:RI−I型印刷機(明製作所)を用い、東洋インキ製(TKマークV617)を使用し、インキ量0.8cc一定で両面印刷して一昼夜調湿度した後、この試験片を温度140℃に設定した恒温オイルバスに浸し、ブリスターの発生状況を目視判定した。
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(3)高速操業性:プレスパート部での断紙が起こりにくく、塗工時にミストなどの発生がなく、カレンダー時の収縮シワの発生がない高速操業性の適性を評価した。
◎非常に良好、○良好、△やや不良、×不良
[実施例1]
古紙パルプ30部とし、LBKP70部からなるパルプスラリーに填料として軽質炭酸ジャルシウムを紙中灰分が11%になるように添加し、内添紙力剤としてカチオン化澱粉を4部添加して紙料を調整した。この紙料を用いて、抄紙速度が1600m/分のロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機でプレスパートに2基のタンデムシュープレス(プレス線圧1000KN/m、2基目の紙のワイヤー面側にトランスファーベルトが接触)を用いて湿紙を搾水して乾燥した原紙に抄紙して、引き続きオンマシンのロッドメタリングサイズプレスコータを用いて、両面に固形分濃度6%の酸化澱粉溶液を1.6g/m2塗工・乾燥し、45.6g/m2の中質塗工原紙を得た。次に、重質炭酸カルシウム73部及びカオリン27部を含有する顔料100部に対して、接着剤として酸化デンプン4.5部とカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックスを8.2部配合して固形分濃度64%の塗工液を調製し、原紙片面当たり8.3g/m2 を両面に上塗り塗工・乾燥した。
引き続き更に、ショアD硬度91°の樹脂ロールを有する2ロール・6スタックの高温ソフトカレンダーを使用し、1〜6ニップすべてが金属ロール表面温度150℃、線圧400kN/mの条件で連続カレンダー処理した。その際、1〜6ニップで塗工面がF、W、W、F、W、F面側の順に各ニップの金属ロール面に当たるように通紙し、塗工紙を製造した。抄紙、塗工、カレンダー処理を一体化して連続して行ったため、塗工速度、カレンダー速度も1600m/分で行った。
[比較例2]長網式ワイヤーの後部のみツインワイヤーであるハイブリットフォーマーを用いた以外は上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[比較例3]連続カレンダー処理する際、1〜6ニップで塗被面がF、W、W、F、F、W面側の順に各ニップの金属ロール面に当たるように通紙した以外は上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[比較例4]プレス処理する際、4基のロールプレスで1〜4ニップの線圧は70KN/mでプレス処理した以外は上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
Claims (4)
- ギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙した原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工・乾燥して
塗工層を1層以上設けた後、ソフトカレンダーに通紙して表面処理する仕上げ工程を連続して行う塗工紙の製造方法において、抄紙速度が1300m/分以上の抄紙機のプレスパートにシュープレス を用いて湿紙 を搾水、乾燥した原紙に、塗工液を塗工・乾燥して1層以上の塗工層を設けた後、金属ロールと弾性ロールで構成されるソフトカレンダーを6ニップ以上で表面処理する仕上げ工程で、1〜6ニップ目までの金属ロール表面温度が100〜200℃であり、かつ、最初の6ニップの金属ロール面に当たる塗工紙の面がフェルト面側、ワイヤー面側、ワイヤー面側、フェルト面側、ワイヤー面側、フェルト面側の順になるように通紙することを特徴とする塗工紙の製造方法。 - ギャップフォーマ型抄紙機がフォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式であることを特徴とする請求項1に記載の塗工紙の製造方法。
- 前記シュープレスがタンデムシュープレスを1基以上有することを特徴とする請求項1または2に記載の塗工紙の製造方法。
- 原紙上に最初に塗工する装置が、メタリングサイズプレスコータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
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