JP4225929B2 - 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物 - Google Patents

軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物 Download PDF

Info

Publication number
JP4225929B2
JP4225929B2 JP2004027483A JP2004027483A JP4225929B2 JP 4225929 B2 JP4225929 B2 JP 4225929B2 JP 2004027483 A JP2004027483 A JP 2004027483A JP 2004027483 A JP2004027483 A JP 2004027483A JP 4225929 B2 JP4225929 B2 JP 4225929B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcium carbonate
light calcium
silica
composite
silica composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004027483A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005219945A (ja
Inventor
一之 藤田
大 永原
一成 曽我
隆 越智
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paper Industries Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paper Industries Co Ltd filed Critical Nippon Paper Industries Co Ltd
Priority to JP2004027483A priority Critical patent/JP4225929B2/ja
Publication of JP2005219945A publication Critical patent/JP2005219945A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4225929B2 publication Critical patent/JP4225929B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

本発明は、填料や顔料として紙に使用される無機複合粒子に関するものであり、具体的には、軽質炭酸カルシウムとシリカの複合物に関するものである。該軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、軽質炭酸カルシウム由来の高白色度、高い比散乱係数(高不透明性)という性状と、シリカ由来の高吸油量、嵩高という性状を併せ持つ複合物である。本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、これらの性状に加えて、製紙工程中のカレンダー処理やスーパーキャレンダー処理を受けても潰れ難いという性状を有する複合物である。
一般に抄紙を行う場合、その紙質改善を目的として、パルプ繊維以外に填料と呼ばれる無機系微粒子を内添、含有させる場合が多い。填料はその種類により、不透明度、白色度等の光学的性質を改善する効果が高いもの、填料自身の高吸油性による印刷時の裏移りや裏抜けを防止するものなどがある。更に近年では、環境問題や輸送時のコスト削減、紙ユーザーに高級感を感じさせるため、低密度(嵩高)で高不透明度の紙が多く求められるようになり、このような品質を付加できる高性能な填料の開発が望まれている。
現在抄紙に用いられている填料には、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、チョークのように鉱山より採石された石を、そのまま、または過酸化水素等漂白薬品で高白色化した後、分級または粉砕して平均粒子径を調整して用いる天然鉱物型のものと、軽質炭酸カルシウムやケイ酸の非晶質凝集物であるシリカのように、化学反応を経て得られる合成型のものに大別される。この合成型填料は合成反応時または反応後に、分級または粉砕して平均粒子径を調整して用いられることもある。
軽質炭酸カルシウムは、生石灰を水中で消和し、生成した水酸化カルシウムのスラリーに、二酸化炭素または炭酸ナトリウムを添加し、炭酸化反応させることで製造されている。この軽質炭酸カルシウムは、反応温度や軽カル濃度、攪拌条件の違いにより、米粒状やいがぐり状、針状、球状、繊維状などの種々の形状をとる。
一方シリカは、アルカリ性であるケイ酸アルカリと、硫酸を代表とする鉱酸との中和反応により製造する方法が一般的である。この方法で製造されたシリカは、アルカリ側から反応が行われたものは沈降法シリカ、酸性側から反応が行われたものはゲル法シリカと呼ばれ、これらシリカは一次粒子が不定形に二次凝集した非晶質結晶であるため、決まった形状を持たないが、これも反応開始温度や攪拌条件、さらに酸添加速度等を変化させることで、吸油量や比表面積等の諸物性が大きく変化することが知られている。この他、四塩化珪素を気層中で燃焼させることにより得られる気層法(無水)シリカや、ケイ酸アルカリのナトリウムイオンをイオン交換樹脂などで水素イオンに置換し、一次粒子が凝集しないような形状にしたコロイダルシリカなどもあるが、これらの方法では、一次粒子が単独で存在する形状をとることに特徴がある。
この軽質炭酸カルシウムとシリカは、いずれも抄紙用の内添填料としては広く普及しているが、それぞれの物性に特徴があり、填料として用いた場合、異なる効果を示す。まず、シリカは、非晶質であるため粒子内に微細な細孔が多数存在し、このため吸油量が高く、填料として用いた場合には、印刷時のインクの裏移りや裏抜けの防止効果が高い。また填料自身が嵩高であるため、他の填料と比較した場合、嵩高な紙を製造することができる。一方、軽質炭酸カルシウムは、その形状や平均粒子径により効果発現の程度が様々であるが、一般的に、光散乱程度を表す比散乱係数はシリカより高く、不透明度改善効果が大きい。また、内添填料として紙に用いた場合、シリカに比べ紙の強度低下は低く、さらに比較的安価であるため、紙へ高配合することも可能である。
このように、軽質炭酸カルシウムは光学的特性の向上効果が高く、シリカは嵩高で、高吸油性のため印刷時の裏移りや裏抜け防止効果が高い、という優れた特徴をもつ。これらの光学的特性向上効果、嵩高効果、高吸油性(裏移り防止効果、裏抜け防止効果)などの性質を兼ね備えた填料を製造することができれば、抄紙において非常に有益であり、その開発が望まれていた。また、同様な性質を有する塗工用の顔料の開発も望まれていた。
ここで、これらの性質を紙に付与するため、軽質炭酸カルシウムとシリカの2種類の填料を紙に配合することが考えられる。しかし、軽質炭酸カルシウムとシリカを配合した場合には、シリカ単独配合時よりも嵩高向上効果が低く、また軽質炭酸カルシウム単独配合時よりも不透明度が低くなることが知られており、問題解決には至っていない。
炭酸カルシウムとシリカとの複合物に関する従来の技術としては、以下の文献がある。
例えば、炭酸カルシウム粒子の核と、該核に化学結合したケイ酸および/またはケイ酸塩の被覆層とからなる複合改質顔料が開示され、炭酸カルシウム粒子表面におけるケイ酸またはケイ酸塩との反応は、炭酸カルシウム粒子を塩酸、硫酸などの無機酸で処理し、表面を活性化し、次いでケイ酸および/またはケイ酸塩の反応成分と反応させることで製造されることが記載されている(特許文献1参照)。しかし、この方法では、炭酸カルシウムを予め無機酸で処理することが必要であり、製造工程が複雑であり、しかもこの無機酸が炭酸カルシウムを分解するという問題がある。
一方、合成シリカを炭酸カルシウム製造時(炭酸化反応時)に加え、合成シリカと炭酸カルシウムを複合化させ、炭酸カルシウムとシリカの特性を併せ持つ粒子の製造方法が提案されている。例えば、炭酸カルシウムの形成工程である炭酸化反応工程において、炭酸カルシウムの結晶核生成後から炭酸化率が95%の間にコロイダルシリカまたは無水シリカを添加し、その後、炭酸化反応を終了させて、炭酸カルシウムの表面に平均粒子径が1nm〜100nmの範囲にあるシリカ微粒子を付着し固定させ、炭酸カルシウム−シリカ複合粒子を製造する方法が記載されている(特許文献2参照)。
また、アラゴナイト質柱状炭酸カルシウムの生成過程である炭酸化反応過程に、一次粒子の平均径が1〜100nmの範囲にある合成シリカ(コロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカ、ホワイトカーボンなど)を共存させることにより、合成シリカ微粒子を長径0.5〜50μm、短径0.05〜5μm、アスペクト比5〜25の範囲にあるアラゴナイト質柱状炭酸カルシウムの表面に、直接、担持固定させ、炭酸カルシウム−シリカ複合粒子を製造する方法が記載されている(特許文献3参照)。
これらの方法はいずれも、合成済みのシリカを炭酸カルシウム製造工程で混合し、炭酸ガスを吹き込み、炭酸カルシウムを析出させ、炭酸カルシウム−シリカ複合粒子を製造する方法となっている。従って、合成済みの軽質炭酸カルシウムのスラリーにケイ酸アルカリ溶液を添加し、この混合スラリーに鉱酸を添加し、最終pHが7〜9まで中和し、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子を得る本発明の製造方法とは異なる方法である。また、特許文献1、2で示されている方法で製造される複合物は、本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物に比べ、吸油性が非常に低い。
また、シリカ粒子により被覆された炭酸カルシウムを填料として0.5〜5重量%含んでおり、さらに、炭酸カルシウム/シリカ粒子の重量比が2.5〜4.0(炭酸カルシウム:シリカ粒子=71:29〜80:20)である中性紙が示されている(特許文献4参照)。一般に、シリカは軽質炭酸カルシウムよりも吸油量が高く、本発明の複合物においても軽質炭酸カルシウム比率が増加するに従って吸油量は低くなる傾向がある。従って、印刷後不透明度はむしろシリカの比率が高いほど有利に働く。このため、特許文献3記載の炭酸カルシウム−シリカ複合物では光学特性向上効果は期待できるが、本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物(炭酸カルシウム:シリカ粒子=30:70〜55:45)に比べ、吸油量向上は小さいと思われ、大幅な印刷後不透明度向上や裏抜け改善は期待できず、更に抄紙機カレンダーにおける処理により潰れやすく、紙を嵩高化する効果が劣る。従って、特許文献4記載の技術は、本発明とは一線を画す。
また、ケイ酸アルカリ水溶液に耐アルカリ微小粒子(二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、尿素ホルマリン、ポリスチレンなど)を添加して分散し、次いで液温を70〜95℃まで昇温し、液温を該温度範囲に保持しながら鉱酸を添加することにより液pHを3〜6.5の範囲に調整し、耐アルカリ微小粒子とシリカとの複合物を製造する方法が記載されている(特許文献5参照)。しかし、この方法において耐アルカリ微小粒子を炭酸カルシウムとした場合、ケイ酸アルカリ水溶液を混合後、鉱酸を添加し、液pHを3〜6.5の酸性とすると、炭酸カルシウムが分解し、複合物の収率が低下すると同時に、炭酸カルシウムの光学特性などが損なわれる問題がある。
特開昭60−072963号公報 特許第3392099号明細書 特開2003-063821号公報 特開2003-020592号公報 特開平11-107189号公報
本発明は、填料や顔料として紙に使用される軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物に関するものである。該軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、軽質炭酸カルシウム由来の高い比散乱係数(高不透明性)という性状と、シリカ由来の高吸油量、嵩高という性状を併せ持つ複合物である。本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、これらの性状に加えて、製紙工程中のカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を受けても潰れ難いという性状を有する複合物である。
本発明が解決しようとする課題は、軽質炭酸カルシウム由来の高い比散乱係数(高不透明性)という性状と、シリカ由来の高吸油量、嵩高という性状を併せ持ち、更に、製紙工程中のカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を受けても潰れ難いという性状を有する、紙用の填料や顔料として使用できる軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の提供にある。
軽質炭酸カルシウムとアルカリ性のケイ酸金属塩水溶液を混合した液に、その煮沸温度以下の温度で、鉱酸を添加し液pHを7〜9として得られる、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物における、軽質炭酸カルシウムとケイ酸との重量比率を30:70〜55:45とする。
本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、高白色度、高比散乱係数(高不透明性)、高吸油度、嵩高の性状を有する。更に、製紙工程中のカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を受けても潰れ難いという性状を有し、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を含有する紙はより嵩高(低密度)となる。
本発明の紙用の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の製造では、まず軽質炭酸カルシウムを水中に分散させる。この軽質炭酸カルシウムの結晶形態はカルサイト、アラゴナイトのいずれでも良く、また形状についても針状、柱状、紡錘状、球状、立方体状、ロゼッタ型のいずれでも良い。この中でも特にロゼッタ型のカルサイト系の軽質炭酸カルシウムを用いた場合に、特に優れた嵩高、不透明度改善効果が高い軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が得られる。なお、ロゼッタ型とは、紡錘状の軽質炭酸カルシウム一次粒子がいがくり状に凝集した形状を指し、他の軽質炭酸カルシウムより高い比表面積と吸油性を示す特徴がある(図1参照)。また、軽質炭酸カルシウムは粉砕処理を施して使用しても良い。
この軽質炭酸カルシウムの反応原液中濃度は、後述の軽質炭酸カルシウムとケイ酸の配合比率が重要であるため、ケイ酸濃度の影響も加味しなくてはならないが、1〜20固形分重量%が好ましい。1%未満の低濃度であると1バッチ当たりの生産量が少なく、生産性に問題がある。また、20%を超える高濃度とすると分散性が悪く、また軽質炭酸カルシウム量と比例して、反応に用いるケイ酸アルカリの濃度が高くなるため、反応時の粘度が上昇し、操業性に問題がある。
ついで、この軽質炭酸カルシウムのスラリーに、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ溶液中に溶解した形のケイ酸を加える。一般的に工業用に用いられるものは、ケイ酸ソーダ(ナトリウム)もしくはケイ酸カリウムであるが、本発明である複合物を形成するためには、ケイ酸とアルカリのモル比はいずれでも良い。3号ケイ酸はSiO2:Na2O=3〜3.4:1程度のモル比のものであるが、一般に入手しやすく、好適に使用される。軽質炭酸カルシウムとケイ酸アルカリとの仕込重量比は、生成する軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物中の炭酸カルシウムとシリカの重量比が目標とする範囲に入るように仕込む。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の炭酸カルシウムとシリカの重量比は、CaCO3/SiO2=30/70〜55/45である。
このスラリーをアジテータ、ホモミキサー、ミキサー等で攪拌、分散させるが、これは軽質炭酸カルシウムが水に十分に分散し、軽質炭酸カルシウムの粒子が極端に凝集してなければ問題なく、特に時間やアジテーションの強さ等の制限はない。
次に、酸を用いた中和反応を行う。この場合、酸は鉱酸ならいずれでも良く、さらには鉱酸中に硫酸バンドや硫酸マグネシウムのような酸性金属塩を含む酸でも使用できる。工業的には硫酸、塩酸等の比較的安価に購入できる酸が好ましい。高濃度の酸を用いた場合、酸による中和時の攪拌が不十分であると、高濃度の酸の添加により部分的にpHの低い部分ができ、軽質炭酸カルシウムが分解するため、酸添加口でホモミキサー等を用いた強攪拌を行う必要がある。一方、あまりに希薄な酸を用いると、酸添加により全体的な容量が極端に増えてしまうので好ましくない。この面からも、0.05N以上の濃度の酸を用いることが適当である。鉱酸または酸性金属塩水溶液の添加は、アルカリ性であるケイ酸金属塩水溶液と軽質炭酸カルシウムとの混合物の沸点以下の温度で行う。この中和処理によりケイ酸分を析出させ、非晶質ケイ酸を形成し、これが軽質炭酸カルシウム粒子の表面を被覆する。
さらに、この酸添加は数回に分けて行っても良い。酸添加後、熟成を行っても良い。なお、熟成とは酸添加を一時中止し、攪拌のみを施し放置しておくことを指す。この熟成中中に強攪拌や粉砕を行い、粒子の形態をコントロールすることも可能である。
次に、上記酸添加によるスラリーの中和はpH=7〜9を目標に行う。析出してきたケイ酸分により軽質炭酸カルシウムが被覆されていくが、酸性側(pH7未満)にすると、軽質炭酸カルシウムが分解してしまう。一方、pHが高い(9.0超)状態で中和を終了すると、ケイ酸分の析出が十分に行われず、スラリー中に未反応のケイ酸分が残り、ケイ酸分のロスが多くなり、工業的に好ましくない。そのため、目標pHは7〜9で中和を終了させる。
このようにして、製造された軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物は、軽質炭酸カルシウム粒子表面をシリカが被覆した懸濁液の状態となる。この懸濁液のまま抄紙工程等に使用しても良いが、生産規模が小規模の場合にはろ紙やメンブランフィルタ等のろ過設備、中規模以上の場合にはベルトフィルタやドラムフィルタ等を用いたろ過、または遠心分離機を用いた遠心分離を行うことによって固液分離を行い、中和反応で生成した余分な副生成物である塩を極力取り除いたほうが好ましい。これは、余分な塩が残存していると、抄紙工程においてこの塩が難溶性の金属塩(例えば、硫酸カルシウム)に変化し、これを原因としたスケーリングの問題を発生するおそれがあるためである。さらにこの固液分離を行った固形分濃度10〜50%のケーキ状複合物を、水またはエタノールにより再分散後、再び固液分離を行い、さらに余分なケイ酸や副生成物である塩を取り除いても良い。
得られた軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物は、目的粒子径より大きい粗粒物を取り除くため、振動篩やスクリーンを用いて、100μm以上の粒子を除去する。
本発明の軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径の調整は、前述のように、熟成中に強攪拌や粉砕を行うことにより粒子の形態をコントロールすることも可能であるが、中和反応終了後または反応終了後の固液分離したものを、湿式粉砕機を用いて、目的の平均粒子径に調整しても良い。また、この組み合わせにより平均粒子径を調整しても良い。
粗大粒子を除去した後、あるいは粗大粒子除去後さらに強撹拌や粉砕処理を施した軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径は、その用途が紙用の填料である場合には、30μm以下が良く、20μm以下が好ましく、10μm以下が更に好ましい。
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれ等の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の%、部は各々重量%、重量部を表す。本発明における軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物の各特性値と、これを填料として配合した紙の紙質の測定方法を下記に示した。
(1)吸油量:JIS K5101の方法による。
(2)粒度分布測定:軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物のスラリーを分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2重量%を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機(使用機器:マルバーン社製マスターサイザーS型)を使用して粒度測定し、平均粒子径を求めた。
(3)紙の不透明度、嵩高率の測定:熊谷理機工業株式会社製の配向性抄紙機により、抄紙原料としてLBKPスラリーを用い、各実施例において得られた軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物のスラリーを填料として、その添加率を対パルプ5、10、15%として坪量60g/m2になるように抄造して、プレスにより脱水後、送風乾燥機にて乾燥し、各添加率のシートサンプルを作製した。このシートサンプルをJIS P8138に準じ、色差計(村上色彩研究所製)を用い、不透明度を測定した。また嵩高率は、このシートサンプルの紙厚を測定し、下記の式に従い算出した。各シートサンプルを525℃にて焼成し灰分量を測定し、紙中填料率と不透明度、紙中填料率と嵩高率の関係図を描いた。この図から、紙中填料率7%時の不透明度および嵩高率を求めた。また、前記シートサンプルを線圧を変えてカレンダー処理(処理温度65℃、2ニップ)し、紙中填料率7%時、かつ平滑度100sec.時の不透明度および嵩高率を求めた。

嵩高率=(1−サンプル密度/填料無添加品の密度)×100

なお、填料無配合のシートの密度は、カレンダー未処理で0.572g/cm3、カレンダー処理した場合の平滑度100sec.時の密度は0.812g/cm3であった。
[実施例1]
反応容器(12L)中に市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、SMI社製、平均粒子径2.4μm)603gを水に分散し、ここにSiO2濃度18.0wt/wt%、Na2O濃度6.1wt/wt%のケイ酸ソーダ溶液を3400g加えた後、水を加え、全量を12Lとした。この混合スラリーをラボ用アジテータで十分に攪拌しながら加熱し、85℃とした。このスラリーに、ロータリーポンプも用いて10%硫酸溶液をにより加えた。なお、この硫酸添加口付近が十分攪拌されるように、添加はホモミキサーの攪拌羽根直下とした。このように添加された硫酸が十分に分散される条件のもと、温度一定で、硫酸添加後の最終pHは8.0、全硫酸添加時間は240分間となるように、一定速度で硫酸を添加した。このスラリーは100メッシュ篩で粗粒分を分離した後、No.2のろ紙を用いて吸引ろ過し、さらに固形分濃度約10%に再分散し、平均粒子径、手抄き分析用サンプルとした。吸油量、BET比表面積用サンプルは吸引ろ過後のサンプルをエタノール中に約10%となるよう再分散した後、ろ過、105℃の乾燥機にて乾燥をおこない、粉体サンプルとした後に測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2]
反応に使用する市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを、262gを用いた以外は、実施例1と同様に製造した。選られた複合物は物性を測定評価し、結果を表1に示した。
[実施例3]
反応に使用する軽質炭酸カルシウムを、紡錘状軽カル(奥多摩工業製、TP121、平均粒子径1.2μm)とした以外は、実施例1と同様に製造した。選られた複合物は物性を測定評価し、結果を表1に示した。
[実施例4]
市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、SMI社製)を、平均粒径1.5μmまでサンドグラインダーにて粉砕したものを、反応に使用した以外は、実施例1と同様に製造した。選られた複合物は物性を測定評価し、結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1に記載した市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、SMI社製)を複合化せずそのまま用いた。この物性を測定評価し、結果を表1に示した。
[比較例2]
反応に使用した市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、SMI社製)を、150g用いた以外は、実施例1と同様に製造した。選られた複合物は物性を測定評価し、結果を表1に示した。
[比較例3]
反応に軽質炭酸カルシウムを用いなかった以外は、実施例1と同様に製造した。選られたシリカは物性を測定評価し、結果を表1に示した。
[比較例4]
市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、SMI社製)と、市販の沈降法シリカであるローディアジャパン社Tixolex17(平均粒子径5.2μm)を、固形分重量比で50:50混合して用いた。この物性を測定評価し、結果を表1に示した。
Figure 0004225929
実施例1〜4と比較例1、4との比較から、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の吸油量は、軽質炭酸カルシウムのみよりも高く、シリカのもよりも低くなることがわかる。また、実施例1、2と比較例1〜4から、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物中の炭酸カルシウム重量比率が高くなるほど、吸油量が低下することがわかる。このことから、本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、原料である軽質炭酸カルシウムよりも吸油量を高めることができ、印刷時の裏移りや裏抜け改善の効果が期待できる。
軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を填料として配合した紙の特徴は次の通りである。実施例1〜4の不透明度は、カレンダー未処理紙、カレンダー処理した平滑度100sec.の紙のいずれも比較例1と比較例3との間にあるが、むしろ核である軽質炭酸カルシウムの不透明度に近い値である。また、実施例1〜4の嵩高率は、カレンダー処理紙、カレンダー処理した平滑度100sec.の紙のいずれも比較例1、4よりも高いことから、シート形成後の密度が低く、カレンダー処理しても、その低密度化の特徴は維持されることがわかる。
このように、本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は吸油度に優れ、この複合物を填料として配合した紙は、不透明度が高く、顕著に嵩高になることがわかる。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を顔料として含有する塗工紙においても同様な効果が期待できる。
ロゼット型軽質炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

  1. 紡錘状の一次粒子がいがぐり状に凝集したロゼッタ型カルサイト結晶である軽質炭酸カルシウムとアルカリ性のケイ酸金属塩水溶液を混合した液に、その煮沸温度以下の温度で、鉱酸を添加し液pHを7〜9として得られる、軽質炭酸カルシウムの表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物であって、該複合物中の軽質炭酸カルシウムとケイ酸との重量比率が30:70〜55:45であり、平均粒子径が1〜10μmである、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物。
  2. 請求項1に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物である紙用填料。
  3. 軽質炭酸カルシウムの表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物であって、該複合物中の軽質炭酸カルシウムとケイ酸との重量比率が30:70〜55:45であり、平均粒子径が1〜10μmである軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の製造方法であって、
    紡錘状の一次粒子がいがぐり状に凝集したロゼッタ型カルサイト結晶である軽質炭酸カルシウムとアルカリ性のケイ酸金属塩水溶液を混合すること、
    混合した液にその煮沸温度以下の温度で鉱酸を添加して液pHを7〜9とすること、
    粗大粒子を除去すること、
    を含んでなる上記製造方法。
JP2004027483A 2004-02-04 2004-02-04 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物 Expired - Fee Related JP4225929B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004027483A JP4225929B2 (ja) 2004-02-04 2004-02-04 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004027483A JP4225929B2 (ja) 2004-02-04 2004-02-04 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005219945A JP2005219945A (ja) 2005-08-18
JP4225929B2 true JP4225929B2 (ja) 2009-02-18

Family

ID=34995876

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004027483A Expired - Fee Related JP4225929B2 (ja) 2004-02-04 2004-02-04 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4225929B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4989065B2 (ja) * 2005-12-01 2012-08-01 日本製紙株式会社 印刷用塗工紙の製造方法
JP5003139B2 (ja) * 2006-01-19 2012-08-15 王子製紙株式会社 紙用多孔性填料とその製造方法ならび紙用多孔性填料スラリーおよび紙
JP2008156773A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Daio Paper Corp 塗工板紙及びその製造方法
CA2684593C (en) 2007-03-30 2013-10-15 Nippon Paper Industries Co., Ltd. Methods for producing coating base papers and coated papers
CA2697109C (en) 2007-07-26 2012-12-04 Harima Chemicals, Inc. Papermaking internal sizing agent and use thereof
JP5702590B2 (ja) * 2010-12-07 2015-04-15 大王製紙株式会社 複合粒子、複合粒子内添紙及び塗工紙
ES2837441T3 (es) 2017-12-12 2021-06-30 Imertech Sas Preparación de carbonatos de calcio recubiertos de sílice con superficie y mesoporosidad incrementadas y cubiertas huecas de sílice obtenidas a partir de ellos

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005219945A (ja) 2005-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6623555B1 (en) Composite precipitated calcium carbonate/silicon compound pigment and method of making same
JP3898007B2 (ja) 無機粒子・シリカ複合粒子の凝集体である填料を添加した填料内添嵩高紙の製造方法
JP6114252B2 (ja) 吸着性が改善された粒子表面を有する炭酸カルシウム材料の製造方法
JP4575293B2 (ja) 球状炭酸カルシウム及びその製造方法
JP5341518B2 (ja) 紙塗工液の製造方法及びその方法で得た紙塗工液を塗被した塗工紙
WO2002002462A1 (fr) Particules composites de dioxyde de titane-carbonate de calcium
JP4263864B2 (ja) 製紙用新規複合物及びその合成方法
AU649721B2 (en) Precipitated calcium carbonate
JP4225929B2 (ja) 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物
JP4796282B2 (ja) 低密度印刷用紙
JP3982027B2 (ja) 複合粒子の製造方法
JP4233478B2 (ja) 中性新聞印刷用紙
JP4903493B2 (ja) 複合粒子の製造方法
JPH05178606A (ja) 製紙用水和ケイ酸の製造方法
JP4834958B2 (ja) シリカ粒子及びシリカ粒子内添紙
WO2000078874A1 (en) Pigment materials and their preparation and use
JP4074445B2 (ja) 複合粒子の製造方法
JP4339392B2 (ja) 製紙用新規複合物及びその合成方法
JPH09156919A (ja) チタニアとシリカの複合粒子及びその製造方法
JPH0818827B2 (ja) 紡錘状炭酸カルシウムの製造方法
JP3872610B2 (ja) 炭酸カルシウムの製造方法
JPH0583680B2 (ja)
JP2003137548A (ja) 酸化チタン−炭酸カルシウム複合粒子の製造方法
JPH05221626A (ja) 複合酸化物の製造方法
JP2009057412A (ja) 多孔性填料ならびにその製造方法および紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051007

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20080314

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080805

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080822

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081027

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081125

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4225929

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141205

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees