JP2009057412A - 多孔性填料ならびにその製造方法および紙 - Google Patents

多孔性填料ならびにその製造方法および紙 Download PDF

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Abstract

【課題】 適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる多孔性填料とその製造方法を提供する。また、嵩高であり、不透明性、表面強度および内部結合強度が高い紙を提供する。
【解決手段】二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量%に対して0.1〜40質量%の屈折率が1.5以上の微小粒子を含有し、比表面積が20〜200m/g、かつ細孔径が0.10〜0.80μmであり、ケイ酸アルカリ水溶液中に屈折率が1.5以上の微小粒子をケイ素含有粒子100質量%に対して0.1〜40質量%添加し、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、中和してケイ素含有粒子を析出させて製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙の嵩高化に用いられる多孔性填料ならびにその製造方法に関し、さらには多孔性填料が配合された紙に関する。
紙は省資源や物流費の削減といった観点、環境保護運動の高まりといった社会的要求等から軽量化が望まれている。しかし、紙を軽量化すると紙厚が減少し、不透明度が下がって裏側の印刷が透けてしまうため、読みにくくなるだけでなく紙の高級感も損なわれるという問題があった。そのため、紙の厚さを維持した上での軽量化、すなわち嵩高化が要求されている。
紙の嵩高化方法としては、例えば、紙の主原料である木材パルプを適宜選択する方法、パルプを叩解、マーセル化処理や酵素処理する方法、抄紙時にかかるウェットプレス圧または平滑化処理の圧力を緩和する方法、界面活性剤などの嵩高剤をパルプに添加する方法などが知られている。
しかしながら、これらの方法では、紙を充分に嵩高にできない上に、嵩高剤を用いた場合には抄紙時に発泡するという問題があった。
そこで、嵩比重が小さい填料を添加する方法が提案されている。例えば、針状、柱状、イガグリ状炭酸カルシウム等のアスペクト比の高い填料を配合する方法(特許文献1参照)、中空の合成有機物カプセルを配合する方法(特許文献2参照)、無定形シリカや無定形シリケート、ゼオライト等の多孔性填料を配合する方法(特許文献3参照)などが提案されている。
しかしながら、針状、柱状、イガグリ状炭酸カルシウム等の様にアスペクト比の高い填料は粒子径が大きくなるほど嵩比重は小さくなるが、このような填料を紙に配合した場合には、抄紙時のシェアや、ロールニップなどの機械的な負荷により凝集構造が破壊されてしまい、充分な嵩高化効果が得られないのが実情である。また、中空プラスチックピグメントなどの中空粒子は優れた嵩高化効果を示すものの、高価であることから汎用性のある印刷用紙への適用は難しい。
多孔性填料は、紙の嵩高化効果に優れる上に、印刷時のインキ成分を吸収する能力が他の填料よりも優れているが、炭酸カルシウムやタルクに比べて紙の不透明性を高める能力が低かった。また、粒度分布がブロードであるため、表面強度が乏しく、粗大粒子に起因する印刷時のパイリングや粉落ちといった問題が生じると共に、微細粒子に起因する繊維間結合強度(内部結合強度)の低下といった問題が生じた。そこで、紙の不透明性を高める方法として、二酸化チタンなどの高屈折率の填料を配合することが提案されている。二酸化チタンは粒子径が0.2〜0.3μmと微小であり、歩留が低くなるため、特許文献4、5では、二酸化チタンと炭酸カルシウムやホワイトカーボンなどとを複合化した複合粒子が提案されている。また、特許文献6には、二酸化ケイ素またはケイ酸塩と軽質炭酸カルシウムとからなり、二酸化ケイ素またはケイ酸塩より軽質炭酸カルシウムが多い複合粒子が提案されている。
また、粗大粒子を除去する方法としては、振動スクリーン等を用いた分級処理や、反応終了後のスラリーを湿式粉砕する方法(特許文献7参照)が提案されている。また、多孔性填料の製造工程中に徹底的に粉砕処理を施すことで、粗大粒子を減らして平均粒子径を小さくしつつ、1μm以下の微細粒子の生成を少なくする方法が開示されている(特許文献8参照)。
特開平10−226974号公報 特開平11−12993号公報 特許第3306860号公報 特開2002−29739号公報 特開平11−107189号公報 特開2003−212539号公報 特開平5−301707号公報 特許第2908253号公報
しかしながら特許文献4、6に記載の複合粒子では、紙の嵩高化効果が不充分である上、分級処理では粗大粒子を除去できるものの、パルプスラリー調製時、抄紙時のプレス処理およびキャレンダー処理時に受けるストレスでの凝集構造の破壊などを防止できず、嵩高効果が不十分である他、分留まりが悪くなってしまう。また特許文献5に記載の複合粒子では、複合化率が低く、複合化されずにスラリー中に残った二酸化チタンは粒径が極めて小さいため抄紙工程において紙中に留まりにくく、白紙の不透明性を十分に確保できなかった。また、特許文献7に記載の湿式粉砕では、粉砕処理によって微細粒子が増加するため、得られた多孔性填料を紙に配合した場合に内部結合強度を確保できなかった。しかも、粉砕によって凝集構造が破壊され、多孔性填料の嵩高性が低下した。特許文献8に記載の方法によれば、嵩高化効果を保持したまま粗大粒子を少なくできるが、湿式粉砕ほどではないにしても、製造工程中の徹底的な粉砕処理により、微細粒子量が増加した。そのため、紙に配合した際の繊維間結合(内部結合強度)が低下した上に、多孔性填料を含む液の粘性が増加した。
本発明は、パルプスラリー調製時およびパルプシート形成時のプレス処理、キャレンダー処理時に受けるストレスでの凝集構造の破壊を防止でき、紙に配合した際の嵩高化効果および白紙不透明性が高く、しかも適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる多孔性填料とその製造方法を提供するものである。また、嵩高であり、不透明性、表面強度および内部結合強度が高い紙を提供するものである。
本発明の多孔性填料は、二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量%に対してコア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子を0.1〜40質量%含有し、比表面積が20〜200m/g、かつ細孔径が0.10〜0.80μmであり、合成の際に得られた該多孔質填料のスラリーの電解質濃度が45〜80g/Lであることを特徴とする。さらには、比表面積が20〜150m/g、かつ細孔径が0.15〜0.80μmであることが好ましい。
本発明の多孔性填料の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液中にコア粒子として屈折率が1.5以上の微小粒子を添加した後、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、中和してケイ素含有粒子を析出させる多孔性填料の製造方法であって、コア粒子となる屈折率が1.5以上である微小粒子の添加量が、ケイ素含有粒子100質量%に対して0.1〜40質量%であり、スラリー中の電解質濃度が45〜80g/Lであることを特徴とする。さらにはコア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子の添加量が、ケイ素含有粒子100質量%に対して0.5〜30質量%であり、スラリー中の電解質濃度が55〜80g/Lであることが好ましい。さらには該微小粒子の屈折率は1.7以上が好ましい。
また、平均粒子径が10〜40μmであることが好ましい。さらには10〜20μmであることが好ましい。
本発明の多孔性填料の製造方法においては、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を2段以上で添加することが好ましい。
その場合には、1段目の鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加では、反応温度を20〜70℃とし、2段目以降では70℃以上とすることが好ましい。
本発明の紙は、上述した多孔性填料を含有することを特徴とする。
本発明の多孔性填料は、パルプスラリー調製時のシェア、パルプシート形成時のプレス圧およびキャレンダー圧による潰れを防止し、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上、白紙不透明性を高くでき、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる。
本発明の多孔性填料の製造方法によれば、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明性を高くでき、しかも紙の表面強度および内部結合強度を高くできる多孔性填料を製造できる。
また、本発明の紙は、嵩高であり、白紙不透明性、表面強度および内部結合強度が高い。
本発明の多孔性填料は、二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、屈折率が1.5以上の微小粒子とを含有するものである。
ここで、ケイ素含有粒子を形成するケイ酸塩とは、一般式xMO・ySiO、xMO・ySiO、xM・ySiOで表される化合物であって、MがAl,Fe,Ca,Mg,Na,K,Ti,Znのいずれかのものである(x,yは任意の正の数値である。)。
屈折率が1.5以上の微小粒子としては、例えば、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
コア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子の含有量は、ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは0.5〜30重量部である。該微小粒子の含有量が前記範囲であることにより、紙の嵩高化に適したものであって、適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有する多孔性填料が得られる。該微小粒子の含有量が0.1質量部未満であると、目的の狭い粒度分布が得られず、紙の表面強度および内部結合強度が不十分となる。また40質量部を超えると、目的の狭い粒度分布が得られないほか、嵩高化効果が不充分になる。なお、コア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子の含有量は、多孔性填料の粉末サンプルを成型錠剤化した後、波長分散型蛍光X線分析装置(スペクトリス株式会社製:PW-2404)を用いて各元素の酸化物量として測定することにより求められる。
コア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子の平均粒子径は0.2〜7.0μmであることが好ましい。該微小粒子の平均粒子径は、サンドグラインダ等の粉砕設備を用いることにより調整できる。その際、ポリアクリル酸塩、ポリカルボン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩などの分散剤を用いることができる。
また、本発明の多孔性填料は、比表面積が20〜200m/g、かつ細孔径が0.10〜0.80μmである必要がある。比表面積が20m/g未満の場合は、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。200m/gを超えると、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、紙に内添した際の嵩高性が不十分となるほか、填料の透明性が向上し、紙に抄き込んだ場合、不透明度が低下する。
また、細孔径が0.10μm未満であれば、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、紙に内添した際の嵩高性が不十分となる。0.80μmを超えると、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。
ここで、比表面積は、ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用いて、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した全細孔の表面積で、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。また細孔径も、ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用いて、積分比表面積曲線から得られるメディアン細孔直径のことである。
本発明の多孔性填料は平均粒子径が10〜40μmであることが好ましい。多孔性填料の平均粒子径が10μm未満であると、紙に配合した際の嵩高効果に乏しく、平均粒子径が40μmを超える場合には、紙面に存在する粗大粒子の脱落に起因して表面強度が低下することがある。さらには10〜20μmであることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、SALD-2000J((株)島津製作所製)を用いて、レーザー回折法により測定し、体積積算で50%となる値のことである。また、多孔性填料の粒度分布としては、標準偏差(σ)が0.350以下であることが好ましく、さらには0.300以下であることが好ましい。このような粒度分布であれば、粗大粒子および微細粒子が共により少なくなり、紙に配合した際に、より優れた表面強度および内部結合強度が得られる。
上記多孔性填料は、ケイ素含有粒子とケイ素含有粒子より少ない特定量のコア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子とを含有しているため、適切な平均粒子径となっている上に、微細粒子と粗大粒子とが共に少ない狭い粒度分布を有する。
また、この多孔性填料を紙に配合した際には、パルプスラリー調製時のシェア、抄紙時のプレス処理およびキャレンダー処理時に受ける圧力での潰れを防止でき、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明性を高くでき、しかも適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる。
本発明の多孔性填料の製造方法について説明する。
本発明の多孔性填料の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液中にコア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子を添加した後、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、中和してケイ素含有粒子を析出させる多孔性填料の製造方法であって、該微小粒子の添加量が、ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量%であり、スラリー中の電解質濃度が45〜80g/Lであることを特徴とする。0.5〜30質量%であればさらに好ましい。さらには該微小粒子の添加量が、ケイ素含有粒子100質量%に対して0.5〜30質量%であり、スラリー中の電解質濃度が55〜80g/Lであることが好ましい。屈折率が1.5以上の微小粒子の平均粒子径は、0.2〜7.0μmであることが好ましい。
ここで、ケイ酸アルカリ水溶液としては特に制限されないが、ケイ酸ナトリウム水溶液またはケイ酸カリウム水溶液が好ましい。ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、多孔性填料が効率的に製造できることから、3〜15%であることが好ましく、ケイ酸アルカリ水溶液がケイ酸ナトリウム水溶液の場合には、SiO/NaOモル比が2.0〜3.4であることが好ましい。
コア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子の添加量は、生成するケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜30質量%になる量である。該微小粒子の添加量が前記範囲であることにより、紙の嵩高化および不透明性付与に適したものであり、また適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有する多孔性填料が得られる。ケイ素含有粒子を析出する際に該微小粒子が存在することにより、該微小粒子を包含しながらケイ素含有粒子の析出が進むものと考えられる。そして、該微小粒子を包含するケイ素含有粒子は粒子径が小さくなる上に、析出時の攪拌によって狭い粒度分布を形成するものと考えられる。なお、該微小粒子の添加量が0.1質量%未満であると、析出時にケイ素含有粒子の核として充分に機能せず、40質量部を超えるとケイ素含有粒子の嵩高性が損なわれる。
屈折率が1.5以上の微小粒子のケイ酸アルカリ水溶液への添加は、ケイ酸アルカリ水溶液を攪拌しながら、その中に該微小粒子を添加することが好ましいが、該微小粒子の水性スラリーに、ケイ酸アルカリ水溶液を添加しても差しつかえない。
また、屈折率が1.5以上の微小粒子は、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加前に全部を一括してケイ酸アルカリ水溶液中に添加してもよいし、複数に分けて添加してもよい。
本発明で用いる鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液において、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、鉱酸の金属塩としては、前記鉱酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、価格、ハンドリングの点で、硫酸、硫酸アルミニウムが好ましく、また、水溶液であることが好ましい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量は、理論必要中和量の95〜150%の範囲であり、得られるスラリーのpHを2.5超10以下の範囲に調整する量であることが好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量が理論必要中和量の95%未満あるいは得られるスラリーのpHが10を超える量である場合には、原料であるケイ酸アルカリ水溶液の無駄が多くなる。一方、理論必要中和量の150%超あるいは得られるスラリーのpHが2.5以下になる量である場合には多孔性填料を濃縮する際に発生するろ液pHが低くなり過ぎ、取り扱いにくくなる。
ケイ素含有粒子の析出時には、攪拌装置により、周速として5〜15m/秒で攪拌することが好ましい。ここで、周速は剪断力の指標となり、周速が速ければ剪断力が大きくなる。周速が5m/秒未満である場合は、剪断力が小さすぎて、屈折率が1.5以上の微小粒子を包含させても、適切な平均粒子径および狭い粒度分布を得ることが困難になることがある。
一方、析出時の周速が15m/秒を超える場合には、剪断力が大きくなりすぎて、多孔性填料の粒子径が小さくなり、紙に配合した際に内部結合強度が低くなることがある上に、負荷電力の増加、設備費の高額化を招く。
攪拌装置としては、アジテータ、ホモミキサ、パイプラインミキサなどの装置が好ましい。なお、ボールミルやサンドグラインダ等の粉砕機を用いることも可能ではあるが、微細粒子の増加やスラリーの増粘といった問題が生じる傾向があるため好ましくない。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液は1段で一括してケイ酸アルカリ水溶液中に添加してもよいが、より良好な粒径分布になることから、2段以上に分割して添加することが好ましい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を2段以上で添加する場合には、特に良好な粒度分布になることから、1段目の反応温度を20〜70℃にし、2段目以降では70℃以上にすることが好ましい。また、1段目では、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を理論必要中和量の10〜50%の範囲にすることが好ましい。
1段目および2段目以降共に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加が終了した後には、必要に応じて、添加時の温度を維持したまま攪拌する熟成工程を有してもよい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を1段で添加する場合には、反応温度を60℃〜当該溶液の沸点にすることが好ましく、75℃〜当該溶液の沸点にすることがより好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
本発明の製造方法では、得られた多孔性填料の凝集性を安定、制御するために、最終反応液の電解質濃度を45〜80g/Lとする必要がある。45g/L未満であれば、コア粒子となる微小粒子とケイ素含有粒子との複合化率が低減してしまい、抄紙した際の成紙は所望の白紙不透明度が得られない。さらには、多孔質填料の比表面積が大きくなりすぎ、あるいは細孔径が小さくなりすぎ、パルプスラリーへ添加後の攪拌によるシェア、紙に内添された後のプレス圧およびキャレンダー処理圧で潰れやすくなる。
80g/Lを超えれば、多孔質填料の粒度分布が悪くなり、微細粒子および粗大粒子が多くなり、紙に内添した際に内部強度および表面強度が弱くなるといった問題が発生する。さらには55〜80g/Lとすることが好ましい。
本発明の電解質濃度とは、反応終了後、200メッシュのフィルター通過スラリー中の電解質濃度の事である。また、電解質濃度を調整するため、電解質物質を適宜添加してもよい。
上述したような、ケイ酸ナトリウム水溶液に特定量のコア粒子となる屈折率が1.5以上の微小粒子を添加した上で、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加する本発明の多孔性填料の製造方法では、該微小粒子を包含しながらケイ素含有粒子を析出させることができる。このようにして得られた多孔性填料は、適切な平均粒子径となる上に、粗大粒子と微細粒子とが共に少ない、狭い粒度分布を有するため、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる。また上述したようにケイ酸ナトリウム水溶液に特定量の該微小粒子を添加した上で、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量、1段目の反応温度、2段目以降の温度、反応液の電解質濃度を調整することで、比表面積が20〜200m/g、かつ細孔径が0.10〜0.80μmである多孔性填料を得ることができる。このような多孔性填料を紙に配合した際には、嵩高化効果が高く、しかも白紙の不透明性、内部強度および表面強度を高くできる。
本発明の紙は、上記多孔性填料が含まれるものである。また、上記多孔性填料の他にも、必要に応じて、一般に紙に用いられる各種の顔料、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機顔料など、製紙工程に適宜用いられる公知公用の物質が含まれていてもよい。
紙を形成するセルロース繊維原料としては、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、あるいは、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これら単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の紙は、セルロース繊維原料および上記多孔性填料を含む紙料を調製し、その紙料を抄紙することにより得られる。その際使用される抄紙機としては、例えば、長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機などが挙げられる。 紙料中には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用における公知公用の内添助剤を適宜添加できる。
本発明の紙には、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド等の各種表面バインダーや、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等の表面サイズ剤、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の導電剤が塗布または含浸されていてもよい。
上述した本発明の紙は、上記多孔性填料が含まれるものであるから、嵩高であり、不透明性、表面強度および内部結合強度が高い。このような紙は印刷用紙や上質系塗工紙に好適に用いられる。
合成例1
水263部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55、表中では「二酸化チタン」と表記する。)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)220部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.6%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例2
水353部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)1.5部(酸化ケイ素化合物100部に対し0.15部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)174部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例3
水181部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度20.0%、屈折率2.55)190部(酸化ケイ素化合物100部に対し40部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)281部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.4%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例4
水347部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)8.0部(酸化ケイ素化合物100部に対し0.8部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)175部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例5
水100部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)280部(酸化ケイ素化合物100部に対し28部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)249部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.5%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例6
水298部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液710部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)82部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)193部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例7
水233部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液749部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度55℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)69部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)205部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.8%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例8
水263部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が5.7μmに処理した二水石膏分散液(繊維状石膏、吉野石膏株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率1.52、表中では「石膏」と表記する。)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)200部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例9
コア粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径を3.8μmに処理したドロマイト分散液(ドロマイト、吉澤石灰工業株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率1.50、表中では「ドロマイト」と表記する。)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を用いたほかは合成例8と同様にして多孔性填料の析出を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例10
コア粒子として、平均粒子径2.1μmのギブサイト分散液(C100、日本軽金属株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率1.58、表中では「ギブサイト」と表記する。)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を用いたほかは合成例8と同様にして多孔性填料の析出を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例11
水366部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液743部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)10部(酸化ケイ素化合物100部に対し1部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度40℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)62部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)188部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例12
水60部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液434部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)300部(酸化ケイ素化合物100部に対し30部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度65℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)82部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)247部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度6.9%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例13
水181部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径を6.8μmに処理した非晶質シリカ分散液(トクシールUSA、株式会社トクヤマ製、固形分濃度5.0%、屈折率1.46、表中では「非晶質シリカ」と表記する。)190部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)200部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例14
水353部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)1.5部(酸化ケイ素化合物100部に対し0.08部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)174部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例15
水66部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度15%、屈折率2.55)317部(酸化ケイ素化合物100部に対し50部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)74部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)308部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.4%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例16
水208部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液578部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)10.0部(酸化ケイ素化合物100部に対し1部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)57部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)193部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度7.2%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例17
水872部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液102部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)92部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)183部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例18
水933部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液32部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)100部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)99部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)176部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.7%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例19
水45部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液686部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度20.0%、屈折率2.55)47.5部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度65℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)59部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)215部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度7.2%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例20
水997部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液20部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)50部(酸化ケイ素化合物100部に対し10部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)92部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)169部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度5.8%の多孔性填料スラリーを得た。
合成例21
水157部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液525部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ330部、コア粒子として、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン分散液(B−101、日本タルク株式会社製、固形分濃度9.5%、屈折率2.55)5.0部(酸化ケイ素化合物100部に対し0.5部)を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)57部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)192部を40分かけて攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離し、濃度7.9%の多孔性填料スラリーを得た。
上記合成例1〜21で得られた多孔性填料スラリーを前記レーザー回折散乱式粒度分布計で測定した。またスラリーの一部をろ過・洗浄した後、再ろ過処理を施し、ケーキを105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置によるコア粒子質量割合の測定に供した。該多孔質填料合成の際の全硫酸添加量(中和比率%)、および該多孔性填料スラリーの50%体積積算値の粒子径、電解質濃度、pH、および多孔性填料の比表面積、細孔径、コア粒子の質量割合を表1.2に示す。
Figure 2009057412
Figure 2009057412
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」のことである。
実施例1
LBKP75部(フリーネス420ml/CSF)、NBKP25部(フリーネス450ml/CSF)を含むパルプスラリーに、填料として合成例1に示す多孔性填料を、原紙中に5.0質量%含まれるように添加した。さらに、パルプ(LBKPとNBKP)100部に対して、内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902、荒川化学社製)0.01部(固形分換算)および硫酸アルミニウム0.5部(固形分換算)をそれぞれ添加して紙料を調製した。そして、この試料を用いて抄紙し、両面に、下記塗被液(1)を片面当たりの乾燥塗工量が0.9g/mとなるように、ゲートロールコーターで塗工、水分が5.0%になるように乾燥し、塗被層を形成して、ソフトニップカレンダ条件を調整、通紙して、王研平滑度30秒、紙厚み105μm(坪量68g/m)の上質印刷用紙を得た。
[塗被液の調製(1)]
酸化澱粉(商品名:エースA)、固形分濃度8.0%の塗被液(1)を調製した。
実施例2
下記塗被液(2)を片面当たりの乾燥塗工量が1.25g/mとなるように、ゲートロールコーターで塗工、水分が5.0%になるように乾燥し、塗被層を形成した以外は、実施例1と同様にして、王研平滑度30秒、紙厚み105μm(坪量69g/m)の上質印刷用紙を得た。
[塗被液の調製(2)]
軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業社製)100部、酸化澱粉(商品名:エースA)100部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマテックスPA2327、日本エイアンドエル社製)20部からなる固形分濃度30%の顔料分散液を調製した。
実施例3
下記塗被液(3)を片面当たりの乾燥塗工量が1.25g/mとなるように、ゲートロールコーターで塗工、水分が5.0%になるように乾燥し、塗被層を形成して、ソフトニップカレンダ条件を調整、通紙して、王研平滑度が30秒、紙厚みが105μm(坪量68g/m)の上質印刷用紙を得た。
[塗被液の調製(3)]
レーザー式光回折散乱方式により測定した平均粒子径d50が4.58μm、沈降方式により測定した平均粒子径d50が0.46μm、d50/d50が10.0であるデラミネーテッドカオリンA(商品名:Contour1500、イメリス社製)20部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)80部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)100部、スチレン−ブタジエン共重合体(商品名;T−2635R、日本合成ゴム株式会社製)20部からなる固形分濃度20%の顔料分散液を調製した。
実施例4
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例2で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例5
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例3で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例6
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例4で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例7
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例5で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例8
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例6で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例9
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例7で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例10
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例8で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例11
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例9で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例12
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例10で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例13
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例11で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
実施例14
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例12で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例1
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例13で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例2
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例14で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例3
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例15で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例4
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例16で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例5
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例17で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例6
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例18で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例7
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例19で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例8
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例20で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
比較例9
実施例1において用いた合成例1で得られた多孔質填料の代わりに、合成例21で得られた多孔質填料を用いること以外は、実施例1と同一条件で成紙を得た。
各実施例及び比較例の紙について、以下のように評価した。評価結果を表に示す。
・紙の密度:JIS P 8118により測定した。
・灰分:JIS P 8251に基づき525℃で灰化した。
・不透明度:JIS P 8149に従って測定した。
・内部結合強度:J.TAPPI No.18−2に従い測定した。
・印刷強度:RI印刷機(明製作所製)にてオフセットインキT13を用いて測定し、その結果を評価表示した。
◎:強度が高く、実用上問題なく、品質も優れている。
○:強度が高く、実用上問題ない。
△:強度がやや劣り、実用上問題ある。
×:強度が著しく劣り、実用上問題であり、品質も著しく劣っている。
Figure 2009057412
Figure 2009057412
プレス圧およびキャレンダー圧による潰れを防止し、紙に配合した際の、嵩高性に優れ、また内部強度、表面強度、白紙不透明度にも優れる多孔性填料およびその製造方法。
ケイ素含有粒子と特定量のコア粒子となる微小粒子とを含有し、特定の製法で製造された合成例1〜15の多孔性填料は、パルプスラリーに添加、紙を形成する際の、パルプスラリー調製時のシェアおよびプレス圧およびキャレンダー圧による潰れを防止し、紙形成時の嵩高化効果が高い上に、白紙での不透明性を高くできた。また、適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできた。
これに対し、コア粒子の屈折率が1.5以下である合成例13の多孔性填料は白紙不透明度効果が低く、満足する印刷面が得られなかった。
コア粒子となる微小粒子の含有量が少ない合成例14の多孔性填料は、内部結合強度、表面強度で満足する結果が得られなかった。
コア粒子となる微小粒子が40質量部を超える合成例15の多孔性填料は、嵩高効果、内部結合強度、表面強度が不足していた。
比表面積が20m/g未満の合成例16の多孔質填料は、内部結合強度、表面強度が不足していた。
比表面積が200m/gを超える合成例17の多孔質填料は、嵩高効果、白紙不透明度効果が不足していた。
細孔径が0.10μm未満の合成例18の多孔質填料は、嵩高効果が不足していた。
細孔径が0.80μmを超える合成例19の多孔質填料は、表面強度が不足していた。
合成後のスラリー中の電解質濃度が45未満の合成例20の多孔質填料は、嵩高効果が不足しているほか、微小粒子含有量が少なく不透明度が不足していた。
合成後のスラリー中の電解質濃度が80を超える合成例21の多孔質填料は、内部結合強度、表面強度が不足していた。

Claims (5)

  1. 屈折率が1.5以上であるコア粒子と、該コア粒子の周囲に付着した酸化ケイ素化合物を有する多孔質填料であって、該コア粒子の質量割合が酸化ケイ素化合物100質量%に対して0.1〜40質量%であり、比表面積が20〜200m/g、かつ平均細孔径が0.10〜0.80μmであり、合成の際に得られた該多孔質填料のスラリーの電解質濃度が45〜80g/Lであることを特徴とする多孔性填料。
  2. 平均粒子径が10〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質填料。
  3. 屈折率が1.5以上であるコア粒子と該コア粒子の周囲に付着した酸化ケイ素化合物とを有する多孔性填料を分散媒中に含む多孔性填料スラリーであって、コア粒子の質量割合が酸化ケイ素化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であり、電解質濃度が45〜80g/Lであることを特徴とする多孔性填料スラリー。
  4. ケイ酸アルカリ水溶液中に屈折率が1.5以上であるコア粒子を添加した後、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加することによる中和反応にて、ケイ素含有粒子を析出させる多孔性填料の製造方法であって、該コア粒子の添加量が、ケイ素含有粒子100質量%に対して0.1〜40質量%であり、スラリー中の電解質濃度が45〜80g/Lであることを特徴とする多孔質填料の製造方法。
  5. 請求項1または2記載の多孔質填料を含有することを特徴とする紙。
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