JP5422884B2 - 水和ケイ酸の製造方法及び紙 - Google Patents

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Description

本発明は、紙の嵩高化に用いられる水和ケイ酸の製造方法に関する。また、水和ケイ酸が配合された紙に関する。
紙は省資源や物流費の削減といった観点、環境保護運動の高まりといった社会的要求等から軽量化が望まれている。しかし、紙を軽量化すると紙厚が減少し、不透明度が下がって裏側の印刷が透けてしまうため、読みにくくなるだけでなく紙の高級感も損なわれるという問題があった。そのため、紙の厚さを維持した上での軽量化、すなわち嵩高化が要求されている。
紙の嵩高化方法としては、例えば、紙の主原料である木材パルプを適宜選択する方法、パルプを叩解、マーセル化処理や酵素処理する方法、抄紙時にかかるウェットプレス圧または平滑化処理の圧力を緩和する方法、界面活性剤などの嵩高剤をパルプに添加する方法などが知られている。
しかしながら、これらの方法では、紙を充分に嵩高にできない上に、嵩高剤を用いた場合には抄紙時に発泡するという問題があった。
そこで、嵩比重が小さい填料を添加する方法が提案されている。例えば、針状、柱状、イガグリ状炭酸カルシウム等のアスペクト比の高い填料を配合する方法(特許文献1参照)、中空の合成有機物カプセルを配合する方法(特許文献2参照)、無定形シリカや無定形シリケート、ゼオライト等の多孔性填料を配合する方法(特許文献3参照)などが提案されている。
しかしながら、針状、柱状、イガグリ状炭酸カルシウム等の様にアスペクト比の高い填料は粒子径が大きくなるほど嵩比重は小さくなるが、このような填料を紙に配合した場合には、抄紙時のシェアや、ロールニップなどの機械的な負荷により凝集構造が破壊されてしまい、充分な嵩高化効果が得られないのが実情である。また、中空プラスチックピグメントなどの中空粒子は優れた嵩高化効果を示すものの、高価であることから汎用性のある印刷用紙への適用は難しい。
多孔性填料は、紙の嵩高化効果に優れる上に、印刷時のインキ成分を吸収する能力が他の填料よりも優れているが、炭酸カルシウムやタルクに比べて紙の不透明性を高める能力が低かった。また、粒度分布がブロードであるため、表面強度が乏しく、粗大粒子に起因する印刷時のパイリングや粉落ちといった問題が生じると共に、微細粒子に起因する繊維間結合強度(内部結合強度)の低下といった問題が生じた。そこで、紙の不透明性を高める方法として、二酸化チタンなどの高屈折率の填料を配合することが提案されている。二酸化チタンは粒子径が0.2〜0.3μmと微小であり、歩留が低くなるため、特許文献4では、二酸化チタンと炭酸カルシウムやホワイトカーボンなどとを複合化した複合粒子が提案されている。また、特許文献5には、二酸化ケイ素またはケイ酸塩と軽質炭酸カルシウムとからなり、二酸化ケイ素またはケイ酸塩より軽質炭酸カルシウムが多い複合粒子が提案されている。
また、粗大粒子を除去する方法としては、振動スクリーン等を用いた分級処理や、反応終了後のスラリーを湿式粉砕する方法(特許文献6参照)が提案されている。また、水和ケイ酸塩の製造工程中に徹底的に粉砕処理を施すことで、粗大粒子を減らして平均粒子径を小さくしつつ、1μm以下の微細粒子の生成を少なくする方法が開示されている(特許文献7参照)。
しかしながら、特許文献4に記載の複合粒子では、二酸化チタンが他の填料に比べて高価であるため、汎用性の高い印刷用紙ではコスト面から二酸化チタンの使用量に限界があり、白紙の不透明性を十分に確保できなかった。特許文献5に記載の複合粒子では、紙の嵩高化効果が不充分であった。
また、分級処理では、粗大粒子を除去できるものの、パルプスラリー調製時、抄紙時のプレス処理およびキャレンダー処理時に受けるストレスでの凝集構造の破壊などを防止できず、嵩高効果が不十分である他、分留まりが悪くなってしまう。また、特許文献6に記載の湿式粉砕では、粉砕処理によって微細粒子が増加するため、得られた水和ケイ酸塩を紙に配合した場合に内部結合強度を確保できなかった。しかも、粉砕によって凝集構造が破壊され、水和ケイ酸塩の嵩高性が低下した。特許文献7に記載の方法によれば、嵩高化効果を保持したまま粗大粒子を少なくできるが、湿式粉砕ほどではないにしても、製造工程中の徹底的な粉砕処理により、微細粒子量が増加した。そのため、紙に配合した際の繊維間結合(内部結合強度)が低下した上に、水和ケイ酸塩を含む液の粘性が増加した。
特開平10−226974号公報 特開平11−12993号公報 特開平10−226982号公報 特開2002−29739号公報 特開2003−212539号公報 特開平5−301707号公報 特開平8−91820号公報
本発明は、パルプスラリー調製時およびパルプシート形成時のプレス処理、キャレンダー処理時に受けるストレスでの凝集構造の破壊を防止でき、紙に配合した際の嵩高化効果および白紙不透明性が高く、しかも適切な平均粒子径を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる水和ケイ酸とその製造方法を提供するものである。また、嵩高であり、不透明性、表面強度および内部結合強度が高い紙を提供するものである。
本発明の水和ケイ酸は、比表面積が15〜160m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が4cc/g未満、かつ細孔径が0.10〜0.80μmであることを特徴とする。さらには、比表面積が40〜120m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が3.5cc/g未満、かつ細孔径が0.15〜0.50μmであることが好ましい。
本発明の水和ケイ酸の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液中に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、中和して酸化ケイ素化合物を析出させる水和ケイ酸の製造方法であって、スラリー中の電解質濃度が35〜80g/Lであることを特徴とする。さらにはスラリー中の電解質濃度が64〜80g/Lであることが好ましい。
また、平均粒子径が10〜40μmであることが好ましく、さらには10〜30μmであることが好ましい。
本発明の水和ケイ酸の製造方法においては、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を2段以上で添加することが好ましい。
その場合には、1段目の鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加では、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を20〜70℃とし、2段目以降では70℃以上とすることが好ましい。
本発明の紙は、上述した水和ケイ酸を含有することを特徴とする。
本発明の水和ケイ酸は、パルプスラリー調製時のシェア、パルプシート形成時のプレス圧およびキャレンダー圧による潰れを防止し、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上、白紙不透明性を高くでき、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる。
本発明の水和ケイ酸の製造方法によれば、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明性を高くでき、しかも紙の表面強度および内部結合強度を高くできる水和ケイ酸を製造できる。
また、本発明の紙は、嵩高であり、白紙不透明性、表面強度および内部結合強度が高い。
水和ケイ酸
本発明の水和ケイ酸は、比表面積が15〜160m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が4cc/g未満、かつ細孔径が0.10〜0.80μmである必要があり、さらには比表面積が40〜120m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が3.5cc/g未満、かつ細孔径が0.15〜0.50μmであることが好ましい。比表面積が15m/g未満の場合は、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。160m/gを超えると、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、紙に内添した際の嵩高性が不十分となるほか、填料の透明性が向上し、紙に抄き込んだ場合、不透明度が低下する。
細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が4cc/g以上の場合は、インク吸収性という点では良好ではあるが、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、紙に内添した際の嵩高性が不十分となるほか、填料の透明性が向上し、紙に抄き込んだ場合、不透明度が低下する。
同、積算容量が1.5cc/gより小さいと嵩が出ないという問題があるため、1.5cc/g以上、4cc/g未満が好ましい。
また、細孔径が0.10μm未満であれば、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、紙に内添した際の嵩高性が不十分となるほか、填料の透明性が向上し、紙に抄き込んだ場合、不透明度が低下する。0.80μmを超えると、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。
ここで、比表面積は、ポアサイザ9320(島津製作所社製)を用いて、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した全細孔の表面積で、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。また細孔径も、ポアサイザ9320(島津製作所社製)を用いて、積分比表面積曲線から得られるメジアン細孔直径のことである。また、細孔の積算容積も、ポアサイザ9320(島津製作所社製)を用いて、水銀圧入法により測定し、細孔直径10Å以下で積算した際の値である。
本発明の水和ケイ酸は平均粒子径が10〜40μmであることが好ましい。水和ケイ酸の平均粒子径が10μm未満であると、紙に配合した際の嵩高効果に乏しく、平均粒子径が40μmを超える場合には、紙面に存在する粗大粒子の脱落に起因して表面強度が低下することがある。さらには15〜30μmであることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、SALD2000J((株)島津製作所製)を用いて、レーザー回折法により測定し、体積積算で50%となる値のことである。また、水和ケイ酸の粒度分布としては、標準偏差(σ)が0.350以下であることが好ましい。このような粒度分布であれば、粗大粒子および微細粒子が共により少なくなり、紙に配合した際に、より優れた表面強度および内部結合強度が得られる。
本発明の水和ケイ酸の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液中に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、中和して酸化ケイ素化合物を析出させる水和ケイ酸の製造方法であって、スラリー中の電解質濃度が35〜80g/Lであることを特徴とする。さらにはスラリー中の電解質濃度が64〜80g/Lであることが好ましい。
水和ケイ酸の製造方法)
本発明の水和ケイ酸の製造方法について説明する。
本発明の水和ケイ酸の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液中に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、ケイ酸アルカリ水溶液を中和して酸化ケイ素化合物を一定の電解質の存在下で析出させる方法である。
ここで、ケイ酸アルカリ水溶液としては特に制限されないが、ケイ酸ナトリウム水溶液またはケイ酸カリウム水溶液が好ましい。ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、水和ケイ酸が効率的に製造できることから、3〜15%であることが好ましく、ケイ酸アルカリ水溶液がケイ酸ナトリウム水溶液の場合には、SiO/NaOモル比が2.0〜3.4であることが好ましい。
本発明で用いる鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液において、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、鉱酸の金属塩としては、前記鉱酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、価格、ハンドリングの点で、硫酸、硫酸アルミニウムが好ましく、また、水溶液であることが好ましい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量は、理論必要中和量の95〜150%の範囲であり、得られるスラリーのpHを2.5超10以下の範囲に調整する量であることが好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量が理論必要中和量の95%未満あるいは得られるスラリーのpHが10を超える量である場合には、原料であるケイ酸アルカリ水溶液の無駄が多くなる。一方、理論必要中和量の150%超あるいは得られるスラリーのpHが2.5以下になる量である場合には水和ケイ酸を濃縮する際に発生するろ液pHが低くなり過ぎ、取り扱いにくくなる。
水和ケイ酸の析出時には、攪拌装置により、周速として5〜15m/秒で攪拌することが好ましい。ここで、周速は剪断力の指標となり、周速が速ければ剪断力が大きくなる。周速が5m/秒未満である場合は、剪断力が小さすぎて、適切な平均粒子径および粒度分布を得ることが困難になることがある。
一方、析出時の周速が15m/秒を超える場合には、剪断力が大きくなりすぎて、水和ケイ酸の粒子径が小さくなり、紙に配合した際に内部結合強度が低くなることがある上に、負荷電力の増加、設備費の高額化を招く。
攪拌装置としては、アジテータ、ホモミキサ、パイプラインミキサなどの装置が好ましい。なお、ボールミルやサンドグラインダ等の粉砕機を用いることも可能ではあるが、微細粒子の増加やスラリーの増粘といった問題が生じる傾向があるため好ましくない。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液は1段で一括してケイ酸アルカリ水溶液中に添加してもよいが、良好な粒径分布になることから、2段以上に分割して添加することが好ましい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を2段以上で添加する場合には、良好な粒度分布になることから、1段目のケイ酸アルカリ水溶液の温度を20〜70℃にし、2段目以降では70℃以上にすることが好ましい。また、1段目では、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を理論必要中和量の10〜50%の範囲にすることが好ましい。
1段目および2段目以降共に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加が終了した後には、必要に応じて、添加時の温度を維持したまま攪拌する熟成工程を有してもよい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を1段で添加する場合には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を60℃〜当該溶液の沸点にすることが好ましく、75℃〜当該溶液の沸点にすることがより好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
本発明の製造方法では、得られた水和ケイ酸の凝集性を安定、制御するために、最終反応液の電解質濃度を35〜80g/Lとする必要がある。35g/L未満であれば、多孔質填料の比表面積が大きくなりすぎ、あるいは細孔径が小さくなりすぎ、パルプスラリーへ添加後の攪拌によるシェア、紙に内添された後のプレス圧およびキャレンダー処理圧で潰れやすくなる。
80g/Lを超えれば、多孔質填料の粒度分布が悪くなり、微細粒子および粗大粒子が多くなり、紙に内添した際に内部結合強度および表面強度が弱くなるといった問題が発生する。さらには64〜80g/Lとすることが好ましい。
本発明の電解質濃度とは、反応終了後、200メッシュのフィルター通過スラリー中の電解質濃度の事である。また、電解質濃度を調整するため、電解質物質を適宜添加してもよい。
上述したような、ケイ酸ナトリウム水溶液に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加する本発明の水和ケイ酸の製造方法では、得られた水和ケイ酸は、適切な平均粒子径となる上に、耐シェア性に優れる。また上述したようにケイ酸ナトリウム水溶液に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量、1段目のケイ酸アルカリ水溶液の温度、2段目以降の温度、反応液の電解質濃度を調整することで、比表面積が15〜160m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が4cc/g未満、かつ細孔径が0.10〜0.80μmである水和ケイ酸を得ることができる。このような水和ケイ酸を紙に配合した際には、嵩高化効果が高く、しかも白紙の不透明性、内部強度および表面強度を高くできる。
(紙)
本発明の紙は、上記水和ケイ酸が含まれるものである。上記水和ケイ酸を紙に配合した際には、パルプスラリー調製時のシェア、抄紙時のプレス処理およびキャレンダー処理時に受ける圧力での潰れを防止でき、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明性を高くでき、しかも適切な平均粒子径を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる。
また、本発明では、上記水和ケイ酸の他にも、必要に応じて、一般に紙に用いられる各種の顔料、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機顔料を使用することも可能である。
紙を形成するセルロース繊維原料としては、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、あるいは、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これら単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の紙は、セルロース繊維原料および上記水和ケイ酸を含む紙料を調製し、その紙料を抄紙することにより得られる。その際使用される抄紙機としては、例えば、長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機などが挙げられる。紙料中には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を適宜添加できる。
本発明の紙には、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド等の各種表面バインダーや、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等の表面サイズ剤、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の導電剤が塗布または含浸されていてもよい。
上述した本発明の紙は、上記水和ケイ酸が含まれるものであるから、嵩高であり、不透明性、表面強度および内部結合強度が高い。このような紙は印刷用紙や上質系塗工紙に好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」のことである。
実施例1
水和ケイ酸Aの製造)
水357質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液427質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、15.5μm、標準偏差は0.356であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例1で得られた水和ケイ酸中の比表面積は51m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量は2.82cc/g、細孔径は0.25μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、69.5g/Lであった。
(紙の製造)
カナダ標準濾水度(CSF)が450mLある広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに、合成例1で得られた水和ケイ酸を紙質量当たり7部になるよう添加し、さらに絶乾パルプ量100部当たり、澱粉1.0部、アルキルケテンダイマー0.03部、及び硫酸バンドを0.5部、歩留向上剤0.02部(DR−1500、ハイモ社製)となるように添加して紙料を調製した。その紙料を、角型手抄き装置を用いて目標坪量が風乾で70g/mとなるように抄造し、プレスにより脱水後、シリンダードライヤーを用いて乾燥しシートを作製した。その後、線圧25kg/cmでキャレンダー処理を施して成紙を得た。
実施例2
水和ケイ酸Bの製造)
水396質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液666質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、18.8μm、標準偏差は0.339であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例2で得られた水和ケイ酸中の比表面積は81m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量は3.44cc/g、細孔径は0.21μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、65.1g/Lであった。
更に水和ケイ酸Bを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
参考例1
水和ケイ酸Cの製造)
水435質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液905質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、19.8μm、標準偏差は0.331であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例3で得られた水和ケイ酸中の比表面積は112m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量は3.49cc/g、細孔径は0.17μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、62.0g/Lであった。
更に水和ケイ酸Cを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
参考例2
水和ケイ酸Dの製造)
水646質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液138質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、15.4μm、標準偏差は0.311であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例4で得られた水和ケイ酸中の比表面積は71m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量は3.35cc/g、細孔径は0.22μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、59.0g/Lであった。
更に水和ケイ酸Dを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
参考例3
水和ケイ酸Eの製造)
水1201質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液471質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、19.4μm、標準偏差は0.288であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例5で得られた水和ケイ酸中の比表面積は155m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量は3.95cc/g、細孔径は0.11μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、43.2g/Lであった。
更に水和ケイ酸Eを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
実施例
水和ケイ酸Fの製造)
水424質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液558質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)99質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、25.4μm、標準偏差は0.343であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例6で得られた水和ケイ酸中の比表面積は132m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量は3.48cc/g、細孔径は0.16μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、65.0g/Lであった。
更に水和ケイ酸Fを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
参考例4
水和ケイ酸Gの製造)
水507質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液555質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、18.8μm、標準偏差は0.333であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例7で得られた水和ケイ酸中の比表面積は102m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量3.46cc/g、細孔径は0.10μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、61.7g/Lであった。
更に水和ケイ酸Gを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
実施例
水和ケイ酸Hの製造)
水73質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液733質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)65質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、8.5μm、標準偏差は0.287であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例8で得られた水和ケイ酸中の比表面積は41m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量2.03cc/g、細孔径は0.65μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、79.4g/Lであった。
更に水和ケイ酸Hを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
参考例5
水和ケイ酸Iの製造)
水622質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液362質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)96質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、25.5μm、標準偏差は0.360であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例9で得られた水和ケイ酸中の比表面積は158m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量3.98cc/g、細孔径は0.13μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、58.6g/Lであった。
更に水和ケイ酸Iを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
参考例6
水和ケイ酸Jの製造)
水543質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液507質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)104質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、38.8μm、標準偏差は0.372であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。実施例10で得られた水和ケイ酸中の比表面積は155m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量3.36cc/g、細孔径は0.10μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、60.7g/Lであった。
更に水和ケイ酸Jを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例1
水和ケイ酸Kの製造)
水23質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液760質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、43.2μm、標準偏差は0.501であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例1で得られた水和ケイ酸中の比表面積は39m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量2.07cc/g、細孔径は0.61μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、81.7g/Lであった。
更に水和ケイ酸Kを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例2
水和ケイ酸Lの製造)
水293質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液502質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)78質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、14.4μm、標準偏差は0.441であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例2で得られた水和ケイ酸中の比表面積は13m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量1.95cc/g、細孔径は0.77μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、71.7g/Lであった。
更に水和ケイ酸Lを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例3
水和ケイ酸Mの製造)
水571質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液479質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)104質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、30.2μm、標準偏差は0.454であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例3で得られた水和ケイ酸中の比表面積は163m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量3.85cc/g、細孔径は0.09μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、59.8g/Lであった。
更に水和ケイ酸Mを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例4
水和ケイ酸Nの製造)
水90質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液693質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)91質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、21.1μm、標準偏差は0.358であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例4で得られた水和ケイ酸中の比表面積は14m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量2.11cc/g、細孔径は0.81μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、79.3g/Lであった。
更に水和ケイ酸Nを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例5
水和ケイ酸Oの製造)
水165質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液496質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)104質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、20.1μm、標準偏差は0.352であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例5で得られた水和ケイ酸中の比表面積は42m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量2.84cc/g、細孔径は0.83μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、79.1g/Lであった。
更に水和ケイ酸Oを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例6
水和ケイ酸Pの製造)
水1609質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液40質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)117質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、25.6μm、標準偏差は0.398であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例6で得られた水和ケイ酸中の比表面積は253m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量4.21cc/g、細孔径は0.05μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、34.0g/Lであった。
更に水和ケイ酸Pを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
比較例7
水和ケイ酸Qの製造)
水656質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液398質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%珪酸ソーダ347質量部を攪拌しながら順次添加した。攪拌しながら温度50℃にし、その後、攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)99質量部を15分間で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布計で測定したところ、50%質量積算値の粒子径は、24.1μm、標準偏差は0.388であった。
填料スラリーはろ過・洗浄した後、水に再分散させ、手抄き評価に用いた。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量、および細孔径を測定に供した。比較例7で得られた水和ケイ酸中の比表面積は158m/g、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量4.11cc/g、細孔径は0.11μmであった。またろ過したスラリーの電解質濃度を測定したところ、57.2g/Lであった。
更に水和ケイ酸Qを用いて実施例1と同様に成紙を得た。
各実施例・比較例について、以下のように評価した。評価結果を表1に示す。
・紙の密度:JIS P 8118により測定した。
・灰分:JIS P 8251に基づき525℃で灰化した。
・不透明度:JIS P 8149に従って測定した。
・内部結合強度:J.TAPPI No.18−2に従い測定した。
・印刷強度:RI印刷機(明製作所製)にてオフセットインキT13を用いて測定し、その結果を評価表示した。
:強度が高く、実用上問題なく、品質も優れている。
○:強度が高く、実用上問題ない。
△:強度がやや劣り、実用上問題ある。
×:強度が著しく劣り、実用上問題であり、品質も著しく劣っている。
Figure 0005422884
実施例1〜4の製造方法で製造された水和ケイ酸は、パルプスラリーに添加、紙を形成する際の、パルプスラリー調製時のシェアおよびプレス圧およびキャレンダー圧による潰れを防止し、紙形成時の嵩高化効果が高い上に、白紙での不透明性を高くできた。また、適切な平均粒子径を有し、紙の表面強度および内部結合強度を高くできた。
これに対し、電解質濃度が80g/Lであり、粒子径が40μm以上の比較例1の水和ケイ酸は、表面強度で満足する結果が得られなかった。
細孔表面積が15m/g未満の比較例2の水和ケイ酸は、内部結合強度および、表面強度が不足していた。
比表面積が160m/g以上であり、細孔径が0.10μm未満の比較例3の水和ケイ酸は、嵩高効果および白紙不透明度が不足していた。
比表面積が15m/g以下であり、細孔径が0.80μm以上の比較例4の水和ケイ酸は、内部結合強度および表面強度が不足していた。
細孔径が0.80μmを超える比較例5の水和ケイ酸は、内部結合強度および、表面強度が不足していた。
電解質濃度が35g/L以下、細孔表面積160m/g以上、細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が4cc/g以上であり、細孔径が0.10μm未満の比較例6の水和ケイ酸は、嵩高効果、内部結合強度および白紙不透明度が不足していた。
細孔直径10Å以下の細孔の積算容量が4cc/g以上の比較例7の水和ケイ酸は、嵩高効果および白紙不透明度が不足していた。
Figure 0005422884

Claims (1)

  1. ケイ酸アルカリ水溶液に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加、中和し、酸化ケイ素化合物を析出させて、水和ケイ酸を含むスラリーを調整する工程と、該スラリーから水和ケイ酸を回収する工程とを有し、該水和ケイ酸スラリー中の電解質濃度を64〜80g/Lにすることにより、平均粒子径が10〜40μm、比表面積が15〜160m/g、細孔直径105Å以下の細孔の積算容量が4cc/g未満、かつ細孔径が0.10〜0.80μmであることを特徴とする水和ケイ酸の製造方法。
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