JP4742963B2 - 多孔性填料ならびにその製造方法、多孔性填料スラリーおよび紙 - Google Patents

多孔性填料ならびにその製造方法、多孔性填料スラリーおよび紙 Download PDF

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Description

本発明は、紙の嵩高化に用いられる多孔性填料ならびにその製造方法に関する。また、その多孔性填料を得るための多孔性填料スラリーに関する。また、多孔性填料が配合された紙に関する。
紙は省資源や物流費の削減といった観点、環境保護運動の高まりといった社会的要求等から軽量化が望まれている。しかし、紙を軽量化すると紙厚が減少し、不透明度が下がって裏側の印刷が透けてしまうため、読みにくくなるだけでなく紙の高級感も損なわれるという問題があった。そのため、紙の厚さを維持した上での軽量化、すなわち嵩高化が要求されている。
紙の嵩高化方法としては、例えば、紙の主原料である木材パルプを適宜選択する方法、パルプを叩解、マーセル化処理や酵素処理する方法、抄紙時にかかるウェットプレス圧または平滑化処理の圧力を緩和する方法、界面活性剤などの嵩高剤をパルプに添加する方法などが知られている。
しかしながら、これらの方法では、紙を充分に嵩高にできない上に、嵩高剤を用いた場合には抄紙時に発泡するという問題があった。
そこで、嵩比重が小さい填料を添加する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、無定形シリカや無定形シリケート、ゼオライト等の多孔性填料を配合する方法が提案されている。
特許文献2には、紙の嵩高化と紙の不透明度およびインク吸収性の向上とを目的として、水和ケイ酸塩と金属化合物とが凝集した水和ケイ酸塩填料であって、金属化合物の含有量が酸化物換算で0.5〜8.0質量%(対酸化ケイ素質量%)、平均粒子径が1〜15μm、吸油量が200〜350mL/100gのものが提案されている。
また、特許文献3には、紙の嵩高化と紙の白紙不透明度の向上とを目的として、金属塩を含有する酸性溶液でケイ酸ナトリウム水溶液を中和して、凝集構造を有する金属含有ケイ酸塩を形成させ、さらに湿式粉砕して平均粒子径を1〜15μmにした填料が提案されている。
特許第3306860号公報(特開平10−226982号公報) 特許第3728215号公報(特開2002−274837号公報) 特開2004−250268号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多孔性填料は、炭酸カルシウムやタルクに比べて紙の不透明度を高める能力が低かった。また、粒度分布がブロードであるため、紙に配合した際に、粗大粒子に起因して印刷時のパイリングや粉落ちが生じ、紙の表面強度が低くなる上に、微細粒子に起因して繊維間結合強度(内部結合強度)が低くなるといった問題が生じた。
特許文献2に記載の填料では、粒子径が小さすぎて好適な嵩高性が得られない上、填料自体の脆さを改善できず、パルプスラリー調製時、抄紙時のプレス処理およびキャレンダー処理時に受ける圧力で凝集構造が破壊され、微細粒子が発生して、その填料が配合された紙は、充分な嵩高性および内部結合強度、表面強度が得られなかった。
特許文献3に記載の填料でも、圧力による凝集構造の破壊を防止できず、湿式粉砕により微細粒子が増加するため、その填料が配合された紙は、充分な嵩高性が得られない上に、表面強度および内部結合強度が不充分であった。
本発明は、紙の製造時での凝集構造の破壊が防止され、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明度、紙の表面強度および内部結合強度をいずれも高くできる多孔性填料ならびにその製造方法を提供することを目的とする。また、その多孔性填料を得るための多孔性填料スラリーであって、粘度が低く、ハンドリングに優れるものを提供することを目的とする。また、嵩高であり、白紙の不透明度、表面強度および内部結合強度のいずれもが高い紙を提供することを目的とする。
[1] 孔性填料と電解質とが水中に含まれる多孔性填料スラリーであって、前記多孔性填料は、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集体からなり、比表面積が10〜150m /g、細孔径が0.10〜0.80μm、平均粒子径が16〜40μm、金属化合物の含有量が、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜8.0質量%であり、電解質濃度が64.8〜105.0g/Lであることを特徴とする多孔性填料スラリー。
] 攪拌されているケイ酸アルカリ水溶液中に、鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を添加することにより、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集体からなる多孔性填料を水中で析出させ、多孔性填料スラリーを得る多孔性填料の製造方法であって、ケイ酸アルカリ水溶液の攪拌速度を周速7m/秒以上とし、鉱酸の金属塩溶液の添加量を、酸化ケイ素100質量%に対して0.07〜7.0質量%の金属がケイ酸アルカリ水溶液に添加される量とし、前記多孔性填料スラリーの電解質濃度を64.8〜105.0g/Lとすることを特徴とする多孔性填料の製造方法。
] 前記鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を2回以上に分割して添加する[]に記載の多孔性填料の製造方法。
] 1回目の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を20〜70℃とし、2回目以降の添加の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を70℃より高くする[]に記載の多孔性填料の製造方法。
[5] [2]〜[4]のいずれか1項に記載の多孔性填料の製造方法により製造された多孔性填料であって、比表面積が10〜150m /g、細孔径が0.10〜0.80μm、平均粒子径が16〜40μmであり、金属化合物の含有量が、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜8.0質量%であることを特徴とする多孔性填料。
[6] [1]に記載の多孔性填料を含有することを特徴とする紙。
本発明の多孔性填料は、紙の製造時での凝集構造の破壊が防止され、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明度、紙の表面強度および内部結合強度をいずれも高くできるものである。
本発明の多孔性填料スラリーは、紙の製造時での凝集構造の破壊が防止され、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明度、紙の表面強度および内部結合強度をいずれも高くできる多孔性填料が得られるものである。また、得られた多孔性填料を溶媒中に再分散させた際に、粘度を低くでき、ハンドリングに優れたものである。
本発明の多孔性填料の製造方法によれば、紙に配合した際の嵩高化効果が高い上に、白紙の不透明度、紙の表面強度および内部結合強度をいずれも高くでき、また、スラリー状態での粘度が低く、ハンドリングに優れる多孔性填料を製造できる。
また、本発明の紙は、嵩高であり、白紙不透明度、表面強度および内部結合強度が高い。
(多孔性填料)
本発明の多孔性填料は、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集体からなるものである。
多孔性填料を構成する酸化ケイ素は、例えば、二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたものである。ここで、ケイ酸塩とは、一般式xMO・ySiO、xMO・ySiO、xM・ySiOで表される化合物であって、MがAl,Fe,Ca,Mg,Na,K,Ti,Znのいずれかのものである(x,yは任意の正の数値である。)。
通常、酸化ケイ素は、粒子状になっている。
多孔性填料に含まれる金属化合物を形成する金属元素としては、例えば、バリウム、チタン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ニッケル、鉄、ジルコニウム、ストロンチウムなどが挙げられる。また、金属化合物としては、例えば、酸化物が挙げられ、その形状は、粒子状であってもよいし、不定形であってもよい。
多孔性填料中の金属化合物の含有量は、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜8.0質量%であり、好ましくは0.1〜4.3質量%である。本発明者らが調べたところ、金属化合物の含有量が、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08質量%以上であれば、粒度分布を狭くでき、微小粒子および粗大粒子を共に少なくでき、紙に配合した際の内部結合強度および表面強度を高くできることが判明した。また、スラリー状態での粘度を小さくでき、ハンドリングを向上させることができることが判明した。また、金属化合物の含有量が、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で8.0質量%以下であれば、紙に配合した際に嵩高効果を充分に発揮でき、また、白紙の不透明度を高くできることが判明した。
なお、金属化合物の含有量は、多孔性填料の粉末サンプルを錠剤化した後、その錠剤化したものを測定試料として、蛍光X線分析装置により各元素の含有量を測定し、その含有量を酸化物量に換算することにより求められる。
多孔性填料の比表面積は10〜150m/gであり、かつ、細孔径は0.10〜0.80μmであり、好ましくは、比表面積は20〜100m/gであり、かつ、細孔径は0.15〜0.50μmである。比表面積が10〜150m/gであり、かつ、細孔径が0.10〜0.80μmであることにより、多孔性填料を構成する凝集構造体の結合力を強くでき、紙の製造時にて圧力を受けても、凝集構造が破壊されにくいため、紙に配合した際に充分に嵩高にできる。また、凝集構造が破壊されにくいことにより、狭い粒度分布を維持できるため、紙の内部結合強度および表面強度を高くできる。
本発明における比表面積は、水銀圧入法により測定した値であって、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した全細孔の表面積で、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。
本発明における細孔径は、水銀圧入法により測定した値であって、積分比表面積曲線から得られるメジアン細孔直径のことである。
多孔性填料の平均粒子径は16〜40μmである。多孔性填料の平均粒子径が16μm以上であれば、紙に配合した際の嵩高効果を充分に発揮でき、平均粒子径が40μm以下であれば、紙面に存在する粗大粒子の脱落に起因する表面強度の低下を防止できる。
本発明における平均粒子径は、レーザー回折法により測定し、体積積算で50%となる値のことである。
また、多孔性填料の粒度分布は狭いことが好ましく、具体的には、粒子径の標準偏差(σ)が0.490以下であることが好ましく、0.400以下であることがより好ましい。このような粒度分布では、粗大粒子および微細粒子が共により少ないため、紙に配合した際に、表面強度および内部結合強度をより高くできる。
(多孔性填料スラリー)
本発明の多孔性填料スラリーは、上記多孔性填料を得るためのものであって、上述した多孔性填料と、電解質とが水中に含まれるものである。
本発明の多孔性填料スラリーの電解質濃度は50〜120g/Lであり、60〜100g/Lであることがより好ましい。本発明者らが調べたところ、電解質濃度が50g/L以上では、粒子の凝集不足を抑制でき、多孔性填料の比表面積を150m/g以下、かつ、細孔径を0.10μm以上にできることが判明した。そして、多孔性填料の比表面積および細孔径を前記範囲にできる結果、得られる多孔性填料が、紙の製造時に圧力を受けても、凝集構造が破壊されにくくなることが判明した。さらに、比表面積および細孔径を前記範囲にすることにより、紙に配合した際の不透明度を高くできることも判明した。比表面積を小さく、細孔径を大きくすることで、多孔性填料の一次粒子を大きくでき、光散乱能を高くできる。よって、紙に配合した際の嵩高性と不透明度を高くできる。
一方、電解質濃度が120g/L以下では、多孔性填料の比表面積を10m/g以上、かつ、細孔径を0.80μm以下にできることが判明した。また、多孔性填料の粒度分布を狭くでき、微細粒子および粗大粒子を共に少なくできるため、多孔性填料を紙に配合した際に、紙の内部結合強度および表面強度を高くすることができることが判明した。
ここで、電解質とは、水に溶解した際に陽イオンと陰イオンを生じる物質のことであり、具体的には、NaHSO4、NaHCO、NaCl、NaSO、NaCO3、NaHPO、NaHPO、NaPO、KCl、KSO、KCO、Ca(HCO、CHCOONa、CuSO、FeCl、CHCOONH、MgCl、Mg(OH)、MgCl・Mg(OH)、NaCl、NHCl、CaCl、AlCl、NaNO、NHNO、Ca(NO、Al(NO、(NHSO、CaSO、Al(SOなどが挙げられる。
多孔性填料スラリーの電解質濃度を求めるためには、まず、多孔性填料スラリーをろ紙(5C、例えば、アドバンテック社製ろ紙)でろ過して固形分を除去した後、得られたろ液の体積を測定する。そして、このろ液を乾燥し、電解質からなる乾固物の質量を測定し、(乾固物の質量)/(ろ液体積)により求められる。
なお、多孔性填料スラリー中の電解質は、後述する製造方法で使用する鉱酸の金属塩のみに由来するものではなく、ケイ酸ナトリウム水溶液および鉱酸溶液中のイオンなどにも由来する。そのため、必ずしも鉱酸の金属塩の添加量のみによって電解質濃度が決まるものではない。
(多孔性填料の製造方法)
本発明の多孔性填料の製造方法について説明する。
本発明の多孔性填料の製造方法は、攪拌されているケイ酸アルカリ水溶液中に鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を添加し、ケイ酸アルカリ水溶液を中和することにより、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集物からなる多孔性填料を水中で析出させ、多孔性填料スラリーを得る方法である。
この製造方法で使用するケイ酸アルカリ水溶液としては特に制限されないが、ケイ酸ナトリウム水溶液またはケイ酸カリウム水溶液が好ましい。ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、多孔性填料が効率的に製造できることから、3〜15質量%であることが好ましく、ケイ酸アルカリ水溶液がケイ酸ナトリウム水溶液の場合には、SiO/NaOモル比が2.0〜3.4であることが好ましい。
鉱酸の金属塩溶液の添加量は、生成する酸化ケイ素100質量%に対して0.07〜7.0質量%の金属元素がケイ酸アルカリ水溶液に添加される量とする。本発明者らが調べたところ、鉱酸の金属塩溶液の添加量を、酸化ケイ素100質量%に対して0.07質量%以上の金属元素がケイ酸アルカリ水溶液に添加される量とすれば、多孔性填料中の金属化合物の含有量を、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08質量%以上にできることが判明した。そして、粒度分布を狭くでき、紙に配合した際の内部結合強度を高くできることが判明した。また、スラリーとした際にその粘度を小さくでき、ハンドリングを向上させることができることが判明した。また、酸化ケイ素100質量%に対して7.0質量%以下の金属元素がケイ酸アルカリ水溶液に添加される量とすれば、多孔性填料中の金属化合物の含有量を、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で8.0質量%以下にできることが判明した。そして、紙に配合した際に嵩高効果を充分に発揮し、また、白紙の不透明度の高い多孔性填料が得られることが判明した。
また、多孔性填料中の金属化合物の含有量を確実に酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜8.0質量%にできることから、鉱酸の金属塩溶液の添加量を、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜4.3質量%となるようにケイ酸アルカリ水溶液に添加される量とすることが好ましい。
本発明で用いる鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液において、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、鉱酸の金属塩としては、前記鉱酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、価格、ハンドリングの点で、硫酸、硫酸アルミニウムが好ましく、また、水溶液であることが好ましい。
鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液の添加量の合計は、理論必要中和量の80〜120%の範囲であり、得られる多孔性填料スラリーのpHを、2.5を超えて10以下の範囲に調整する量であることが好ましい。鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液の添加量の合計が理論必要中和量の90%未満あるいは得られるスラリーのpHが10を超える量である場合には、原料であるケイ酸アルカリ水溶液の無駄が多くなる。一方、理論必要中和量の150%超あるいは得られるスラリーのpHが2.5以下になる量である場合には多孔性填料スラリーを濃縮する際に発生するろ液pHが低くなり過ぎて、取り扱いにくくなる。
ケイ酸アルカリ水溶液の攪拌速度は周速7m/秒以上とする。ここで、周速は剪断力の指標となり、周速が速ければ剪断力が大きくなる。周速が7m/秒以上であることにより、充分な剪断力を確保でき、平均粒子径を容易に16〜40μmにでき、かつ、粒度分布を容易に狭くできる。
ケイ酸アルカリ水溶液の攪拌速度は、目的の平均粒子径(16μm以上)に容易にできることから、15m/秒以下であることが好ましい。
攪拌装置としては、アジテータ、ホモミキサ、パイプラインミキサなどの装置が好ましい。なお、ボールミルやサンドグラインダ等の粉砕機を用いることも可能ではあるが、微細粒子の増加やスラリーの増粘といった問題が生じる傾向があるため好ましくない。
鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液は、ケイ酸アルカリ水溶液中に1回で一括して添加して、1段階で中和してもよいが、多孔性填料の比表面積、細孔径および粒子径を前記範囲に容易に調整できることから、2回以上に分割して添加して、ケイ酸アルカリ水溶液を2段階以上で中和することが好ましい。
さらに、鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を2回以上に分割して添加して、ケイ酸アルカリ水溶液を2段階で中和する場合には、多孔性填料の比表面積、細孔径および粒子径を前記範囲により容易に調整できることから、1回目の添加の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を20〜70℃にし、2回目以降の添加の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を70℃より高くすることが好ましい。また、2回目以降の添加の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を、0.1MPaにおける水の沸点である100℃以下にすることが好ましい。
また、鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を2回以上に分割して添加して、ケイ酸アルカリ水溶液を2段階以上で中和する場合には、最終的に、鉱酸溶液と鉱酸の金属塩溶液とが添加されれば、各回ごとに添加する溶液の種類を変更してもよい。例えば、鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を3回に分割して添加して、ケイ酸アルカリ水溶液を3段階で中和する場合には、1回目の添加(1段目の中和)にて鉱酸溶液を添加し、2回目の添加(2段目の中和)にて鉱酸溶液を添加し、3回目の添加(3段目の中和)にて鉱酸の金属塩溶液を添加してもよい。また、1回目の添加(1段目の中和)にて鉱酸溶液を添加し、2回目の添加(2段目の中和)にて鉱酸の金属塩溶液を添加し、3回目の添加(3段目の中和)にて鉱酸溶液を添加してもよい。
また、1回目の添加では、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を理論必要中和量の10〜50%の範囲にすることが好ましい。あるいは、1回目で鉱酸溶液の添加量を理論必要中和量の20〜50%に範囲とした上で、最終回では鉱酸の金属塩溶液を添加することが好ましい。
このように1回目の添加量を特定することにより、平均粒子径をより容易に16〜40μmにでき、粒度分布をより容易に狭くできる。また、多孔性填料スラリーの粘度をより低くでき、ハンドリングをより高めることができる。
1回目の添加および2回目以降の添加共に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液をケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加が終了した後には、必要に応じて、添加時の温度を維持したまま攪拌する熟成工程を有してもよい。
鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を1回で添加する場合には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を60℃〜当該溶液の沸点にすることが好ましく、75℃〜当該溶液の沸点にすることがより好ましい。鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
この製造方法では、多孔性填料を析出することによって得られる多孔性填料スラリーを、電解質濃度を50〜120g/Lにする。
多孔性填料スラリーの電解質濃度を50〜120g/Lにするためには、上記製造方法におけるケイ酸アルカリ水溶液の濃度、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を適宜選択すればよい。電解質濃度を高くするためには、ケイ酸アルカリ水溶液の濃度を高く、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を多くすればよく、さらには、電解質溶液および/または粉末を必要に応じて一括又は複数回に分けて添加してもよい。電解質濃度を低くするためには、ケイ酸アルカリ水溶液の濃度を低く、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を少なくすればよい。
上述したように、特定の攪拌速度で攪拌されているケイ酸ナトリウム水溶液に特定量の鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を添加することにより、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集体からなる多孔性填料を析出させることができる。これにより、平均粒子径が16〜40μmで、粒度分布が狭く、粗大粒子と微細粒子とが共に少なく、比表面積が10〜150m/g、細孔径が0.10〜0.80μmの多孔性填料を得ることができる。このような多孔性填料を紙に配合することにより、紙を嵩高にでき、また、不透明度を高くできる上に、紙の表面強度および内部結合強度を高くできる。
また、上記製造方法によれば、粘度が低く、ハンドリングに優れた多孔性填料スラリーを製造できる。
(紙)
本発明の紙は、上記多孔性填料が含まれるものである。また、上記多孔性填料の他にも、必要に応じて、一般に紙に用いられる各種の顔料、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機顔料が含まれていてもよい。
紙を形成するセルロース繊維原料としては、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、あるいは、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これら単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の紙は、セルロース繊維原料および上記多孔性填料を含む紙料を調製し、その紙料を抄紙することにより得られる。その際使用される抄紙機としては、例えば、長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機などが挙げられる。
紙料中には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を適宜添加できる。
本発明の紙には、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド等の各種表面バインダーや、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等の表面サイズ剤、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の導電剤が塗布または含浸されていてもよい。
上述した本発明の紙は、上記多孔性填料が含まれるものであるから、嵩高であり、不透明度、表面強度および内部結合強度が高い。このような紙は印刷用紙や上質系塗工紙に好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」のことである。
合成例1
水道水206gに7%硫酸ナトリウム水溶液867gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)143.4g(中和比55%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目の中和、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例2
2段目の中和では、温度90℃にて硫酸(濃度20%)156.4g(中和比60%)を、3段目の中和では、温度90℃にて硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を各々40分かけて略等速で添加した以外は合成例1と同様にして多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例3
水道水422gに7%硫酸ナトリウム水溶液647gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、温度50℃のまま、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、硫酸(濃度20%)83.4g(中和比32%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)159g(中和比61%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)6.1g(中和比2%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料を得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例4
水道水206gに7%硫酸ナトリウム水溶液867gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を8.7m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)52.1g(中和比20%)、硫酸アルミニウム(濃度45%)136.4g(中和比45%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例5
水道水590gに20%硫酸ナトリウム水溶液497gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度65℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度65℃のまま、硫酸(濃度20%)62.6g(中和比24%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)159g(中和比61%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例6
水道水623gに7%硫酸ナトリウム水溶液450gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸アルミニウム(濃度20%)45.5g(中和比15%)、硫酸(濃度20%)130.3g(中和比50%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例7
水道水206gに7%硫酸ナトリウム水溶液867gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)117.3g(中和比45%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)60.6g(中和比20%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例8
水道水246gに7%硫酸ナトリウム水溶液827gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸アルミニウム(濃度20%)4.5g(中和比1.5%)、硫酸(濃度20%)165.5g(中和比63.5%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例9
水道水623gに7%硫酸ナトリウム水溶液450gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸アルミニウム(濃度20%)197.1g(中和比65%)を40分かけて略等速で添加し、2段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例10
水道水312gに7%硫酸ナトリウム水溶液490gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を8.7m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)70.4g(中和比27%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)151.2g(中和比58%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例11
水道水206gに7%硫酸ナトリウム水溶液867gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を8.7m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸アルミニウム(濃度20%)136.4g(中和比45%)、硫酸(濃度20%)52.1g(中和比20%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例12
水道水568gに7%硫酸ナトリウム水溶液209gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)99g(中和比38%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)122.5g(中和比47%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例13
水道水587gに20%硫酸ナトリウム水溶液504gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度70℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10m/秒に調整し、温度70℃のまま、硫酸(濃度20%)57.3g(中和比22%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)164.2g(中和比63%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例14
水道水664gに7%硫酸ナトリウム水溶液408gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10.58m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸(濃度20%)143.4g(中和比55%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例15
水道水430gに20%硫酸ナトリウム水溶液632gを加えた後、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を6.97m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)91.2g(中和比35%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、そのままの温度で硫酸アルミニウム(濃度20%)60.6g(中和比20%)、硫酸(濃度20%)104.3g(中和比40%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
合成例16
水道水1913gに、スリーワンモータで攪拌しながら、市販の3号ケイ酸ナトリウム水溶液347g(濃度38%)を温度50℃にて添加した。その後、スリーワンモータ攪拌翼の周速を10.58m/秒に調整し、温度50℃のまま、硫酸(濃度20%)78.2g(中和比30%)を15分間かけて略等速で添加して1段目の中和を行った後、上記周速の状態で90℃まで昇温した。次いで、このままの温度で硫酸(濃度20%)78.2g(中和比55%)、硫酸アルミニウム(濃度20%)30.3g(中和比10%)を順次40分かけて略等速で添加し、2段目、3段目の中和を行って多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーは、ろ過・洗浄した後、水に再分散させて、紙への配合評価に供した。
上記合成例1〜16の条件を表1,2にまとめた。なお、表1,2における「金属添加量」とは、生成した酸化ケイ素100質量%に対する量であり、「金属化合物含有量(酸化物換算)」とは、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物に換算した量である。
合成例1〜16の多孔性填料スラリーについて、pH、電解質濃度、粘度、多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を測定した。また、多孔性填料スラリーをろ過・洗浄した後のケーキの一部を105℃にて乾燥して、比表面積および細孔径を測定した。また、蛍光X線分析装置による金属化合物含有割合(酸化物換算)の測定に供した。それらの結果を表1または表2に示す。
なお、多孔性填料スラリーの粘度は、多孔性填料スラリーの固形分濃度を15%に調整し、温度20℃で、B型粘度計により測定した値である。
また、各多孔性填料について、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(SALD2000J((株)島津製作所製)を用いて測定された50%体積積算値の粒子径である。また、粒子径の標準偏差はレーザー回折式粒度分布計により求めた粒子径から算出した値である。
比表面積は、ポロシメーターであるポアサイザ9230((株)島津製作所製))を用いて、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した場合の全細孔の表面積であり、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。
細孔径は、ポアサイザ9230((株)島津製作所製))を用いて測定されたメジアン細孔直径である。
多孔性填料中の金属化合物の含有量(酸化物換算)は、蛍光X線分析装置(スペクトリス社製PW2404)を用いて測定した値である。
Figure 0004742963
Figure 0004742963
合成例1〜16の多孔性填料を紙に配合した。
製造例1
カナダ標準濾水度(CSF)が450mLある晒化学パルプ(BKP)スラリーに、合成例1で得られた多孔性填料を紙質量当たり7部になるよう添加し、さらに絶乾パルプ量100部当たり、澱粉1.0部、アルキルケテンダイマー0.03部、及び硫酸バンドを0.5部、歩留向上剤0.02部(DR−1500、ハイモ社製)となるように添加して紙料を調製した。その紙料を、角型手抄き装置を用いて目標坪量が風乾で70g/mとなるように抄造し、プレスにより脱水後、シリンダードライヤーを用いて乾燥しシートを作製した。その後、線圧25kg/cmでキャレンダー処理を施して成紙を得た。
製造例2〜15
多孔性填料を合成例2〜16のものに各々変更したこと以外は、製造例1と同一条件で成紙を得た。
各製造例の紙について、以下のように評価した。評価結果を表3または表4に示す。
・紙の緊度:JIS P 8118により測定した。
・不透明度:JIS P 8149に従って測定した。
・内部結合強度:J.TAPPI No.18−2に従い測定した。
・表面強度(印刷強度):RI印刷機(明製作所製)にてオフセットインキT13を用いて測定し、その結果を評価表示した。
◎:強度が高く、実用上問題なく、品質も優れている。
○:強度が高く、実用上問題ない。
△:強度がやや劣り、実用上問題ある。
×:強度が著しく劣り、実用上問題であり、品質も著しく劣っている。
Figure 0004742963
Figure 0004742963
酸化ケイ素と特定量の金属化合物とを含有し、特定の粒子特性を有し、凝集構造の破壊が防止された多孔性填料が配合された製造例1〜7の紙は、嵩高であり、白紙の不透明度、表面強度および内部結合強度のいずれもが高かった。
これに対し、金属化合物の含有量が酸化物換算で0.08質量%未満の多孔性填料が配合された製造例8の紙は、不透明度、内部結合強度および表面強度が低かった。
金属化合物の含有量が酸化物換算で8.0質量%を超え、凝集構造の破壊が防止されていない多孔性填料が配合された製造例9の紙は、嵩高化が不充分であり、また、不透明度も低かった。
比表面積が10g/cm未満であり、凝集構造の破壊が防止されていない多孔性填料が配合された製造例10の紙、比表面積が150g/cmを超え、凝集構造の破壊が防止されていない多孔性填料が配合された製造例11の紙は、嵩高化が不充分であった。
細孔径が0.10μm未満であり、凝集構造の破壊が防止されていない多孔性填料が配合された製造例12の紙は、嵩高化が不充分であった上に、内部結合強度および表面強度も低かった。
細孔径が0.80μmを超え、凝集構造の破壊が防止されていない多孔性填料が配合された製造例13の紙は、嵩高化が不充分であった。
平均粒子径が16μm未満である多孔性填料が配合された製造例14および製造例16の紙は、嵩高化が不充分であった。
平均粒子径が40μmを超えていた多孔性填料が配合された製造例15の紙は、不透明度、内部結合強度、表面強度が低かった。


Claims (6)

  1. 孔性填料と電解質とが水中に含まれる多孔性填料スラリーであって、
    前記多孔性填料は、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集体からなり、比表面積が10〜150m /g、細孔径が0.10〜0.80μm、平均粒子径が16〜40μm、金属化合物の含有量が、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜8.0質量%であり、
    電解質濃度が64.8〜105.0g/Lであることを特徴とする多孔性填料スラリー。
  2. 攪拌されているケイ酸アルカリ水溶液中に、鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を添加することにより、酸化ケイ素と金属化合物とが凝集した凝集体からなる多孔性填料を水中で析出させて、多孔性填料スラリーを得る多孔性填料の製造方法であって、
    ケイ酸アルカリ水溶液の攪拌速度を周速7m/秒以上とし、
    鉱酸の金属塩溶液の添加量を、酸化ケイ素100質量%に対して0.07〜7.0質量%の金属がケイ酸アルカリ水溶液に添加される量とし、
    前記多孔性填料スラリーの電解質濃度を64.8〜105.0g/Lとすることを特徴とする多孔性填料の製造方法。
  3. 前記鉱酸溶液および鉱酸の金属塩溶液を2回以上に分割して添加する請求項に記載の多孔性填料の製造方法。
  4. 1回目の添加の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を20〜70℃とし、2回目以降の添加の際には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を70℃より高くする請求項に記載の多孔性填料の製造方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の多孔性填料の製造方法により製造された多孔性填料であって、
    比表面積が10〜150m /g、細孔径が0.10〜0.80μm、平均粒子径が16〜40μmであり、金属化合物の含有量が、酸化ケイ素100質量%に対して酸化物換算で0.08〜8.0質量%であることを特徴とする多孔性填料。
  6. 請求項に記載の多孔性填料を含有することを特徴とする紙。
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