JP2016003404A - 後糊圧着記録用原紙 - Google Patents

後糊圧着記録用原紙 Download PDF

Info

Publication number
JP2016003404A
JP2016003404A JP2014122677A JP2014122677A JP2016003404A JP 2016003404 A JP2016003404 A JP 2016003404A JP 2014122677 A JP2014122677 A JP 2014122677A JP 2014122677 A JP2014122677 A JP 2014122677A JP 2016003404 A JP2016003404 A JP 2016003404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base paper
coating layer
paper
post
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014122677A
Other languages
English (en)
Inventor
山田 浩之
Hiroyuki Yamada
浩之 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daio Paper Corp
Original Assignee
Daio Paper Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daio Paper Corp filed Critical Daio Paper Corp
Priority to JP2014122677A priority Critical patent/JP2016003404A/ja
Publication of JP2016003404A publication Critical patent/JP2016003404A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】オフセット印刷適性及びインクジェット印刷適性を有すると共に、接着性を維持しつつ優れた剥離性を有する後糊圧着記録用原紙の提供を目的とする。【解決手段】本発明の後糊圧着記録用原紙は、基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面側に積層される一又は複数の塗工層を備える後糊圧着記録用原紙であって、上記塗工層のうち、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含み、坪量が80.0g/m2以上160.0g/m2以下であり、Z軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が3.8kPa/g/m2以上であり、トルエン吸油度が100秒以上であることを特徴とする。上記基紙がポリアクリルアミド系紙力増強剤を含み、上記最外層の塗工層が顔料としてカオリンを含み、上記最外層の塗工層の全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量が30質量部以上であり、上記最外層の塗工層の塗工量が7.5g/m2以上15.0g/m2以下であるとよい。【選択図】なし

Description

本発明は、後糊圧着記録用原紙に関する。
隠蔽、秘匿等する必要のある各種情報を印刷した上で折り畳み、対向する面を再剥離可能に圧着して形成される圧着記録用紙が従来から知られている。また、かかる圧着記録用紙としては、塗工紙表面に予め疑似接着剤層を積層しておき、この疑似接着剤層表面に各種情報を印刷した上で疑似接着剤層を対向させるように折曲げて再剥離可能に圧着する先糊方式と、塗工紙表面に印刷した後に、この印刷面に疑似接着剤層を積層し、さらにこの疑似接着剤層を対向させるように折曲げて再剥離可能に圧着する後糊方式が存在している。この点、今日では、再剥離後の接着面の質感に優れ、高級感を有する後糊方式が多く用いられるようになっている。
ところで、塗工紙に高速かつ大量に印刷を行う方法としては、オフセット印刷が普及している。それゆえ、塗工紙には、オフセット印刷に対応したインク着肉性、表面強度、サイズ性等の多くの性能が要求される。一方、塗工紙に個別情報を印字する方法としては、インクジェット方式が多く用いられている。そのため、オフセット印刷によって共通情報が印刷され、さらにインクジェット印刷によって可変情報が追加されることの多い後糊圧着記録用紙にあっては、オフセット印刷適性とインクジェット印刷適性とを同時に備えることが要求されている。
しかしながら、後糊圧着記録用紙としては、従来のオフセット印刷用の塗工紙が通常用いられているため、疑似接着剤層を形成する接着剤が塗工層に浸透し易く、十分な圧着安定性が得られないという不都合を有する。一方、従来のオフセット印刷用の塗工紙について、十分な接着力を得るために接着剤を多く塗布すると、剥離面から剥離されず塗工紙が破壊され易くなるおそれがある。
このような事情に鑑みて、例えば基紙の一方の面に積層される塗工層を有し、この塗工層が顔料を含み、かつこの塗工層に含まれる顔料100質量部に対する炭酸カルシウムの含有量が30質量部以上90質量部以下である圧着シート用塗工紙(特開2011−195990号公報参照)が発案されている。この圧着シート用塗工紙は、塗工層が上記範囲で炭酸カルシウムを含むことによって、インクジェット印刷におけるインク吸収性を高めつつ、疑似接着剤層を形成する接着剤の浸透を一定程度抑えることで、インクジェット印刷適性及び接着性を一定程度高めることができる。
しかしながら、上記公報所載の圧着シート用塗工紙は、上述のインクジェット印刷適性のため、所定の吸水性を有しているので、疑似接着剤層を形成する接着剤が塗工層に含浸されてしまうことから、例えば接着剤として紫外線硬化型ニスを用いた場合、この接着剤が塗工層内に浸透するのを効果的に抑制することができず、接着剤の使用量が多くなるおそれがある。また、この圧着シート用塗工紙は、このように接着剤の使用量が多くなる結果、再剥離時に剥離面から剥離されず塗工紙が破壊されるおそれがある。
特開2011−195990号公報
本発明は、このような不都合に鑑みてなされたものであり、オフセット印刷適性及びインクジェット印刷適性を有すると共に、接着性を維持しつつ優れた再剥離性を有する後糊圧着記録用原紙の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る後糊圧着記録用原紙は、基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面側に積層される一又は複数の塗工層を備える後糊圧着記録用原紙であって、上記塗工層のうち、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含み、坪量が80.0g/m以上160.0g/m以下であり、Z軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が3.8kPa/g/m以上であり、トルエン吸油度が100秒以上であることを特徴とする。
当該後糊圧着記録用原紙は、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含むので、好適なドライピック強度及びウェットピック強度を有し、オフセット印刷適性を有する。また、当該後糊圧着記録用原紙は、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含むので、インクジェットインクやオフセットインクの塗工層への浸透が促進及び定着され、好適なインクジェット印刷適性及びオフセット印刷適性を有する。さらに、当該後糊圧着記録用原紙は、坪量が上記範囲とされ、かつZ軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が上記範囲とされているので、十分なZ軸方向に対する層間強度を有する。それゆえ、当該後糊圧着記録用原紙は、上記最外層の塗工層表面に疑似接着剤層が積層された後糊圧着記録用紙において、疑似接着剤層を対向させるように折曲げて接着した上で再剥離する場合の材料破壊が抑制され、剥離面で好適に剥離することができる。また、当該後糊圧着記録用原紙は、トルエン吸油度が上記範囲とされているので、接着剤として例えば紫外線硬化型ニスを用いた場合、この接着剤の浸透が好適に抑制される。それゆえ、当該後糊圧着記録用原紙は、接着剤の使用量を抑え、かつ接着性を維持することが可能であると共に、再剥離時の材料破壊を効果的に抑制することができる。
上記基紙がポリアクリルアミド系紙力増強剤を含み、上記最外層の塗工層が顔料としてカオリンを含むとよい。また、上記最外層の塗工層の全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量としては30質量部以上が好ましく、上記最外層の塗工層の塗工量としては7.5g/m以上15.0g/m以下が好ましい。このように、最外層の塗工層が上記範囲でカオリンを含むと共に、最外層の塗工層の塗工量が上記範囲とされることによって、接着剤の塗工層への浸透が効果的に抑えられ、再剥離時の材料破壊をさらに効果的に抑制することができる。加えて、上記基紙がポリアクリルアミド系紙力増強剤を含むことによって、接着剤の基紙への浸透を抑制することができる。また、ポリアクリルアミド系紙力増強剤は接着剤として用いられる紫外線硬化型ニスとの相溶性が高いため、紫外線硬化型ニスが基紙内に浸透した場合でも、この紫外線硬化型ニスによって基紙内が目止めされることで基紙の強度の低下が抑えられ、ひいてはZ軸方向の剥離強度の低下を防止することができる。
上記基紙のステキヒトサイズ度としては、15秒以上80秒以下が好ましい。これにより、インクジェットインクの浸透性及び接着剤として水溶性接着剤を用いた場合の浸透性を適度に保つことができる。
なお、本発明において、「坪量」とは、JIS−P−8124(2011)に準拠した値である。また、「Z軸方向の剥離強度」とは、ISO 15754に準拠した厚み方向の剥離強度を意味する。「トルエン吸油度」とは、JIS−P−8130(1994)に準拠した値である。「ステキヒトサイズ度」とは、JIS−P−8122(2004)に準拠した値である。
以上説明したように、本発明の後糊圧着記録用原紙は、オフセット印刷適性及びインクジェット印刷適性を有すると共に、接着性を維持しつつ優れた再剥離性を有する。
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
<後糊圧着記録用原紙>
本発明の後糊圧着記録用原紙は、基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面側に積層される一又は複数の塗工層を備える後糊圧着記録用原紙であって、上記塗工層のうち、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含み、坪量が80.0g/m以上160.0g/m以下であり、Z軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が3.8kPa/g/m以上であり、トルエン吸油度が100秒以上であることを特徴とする。
当該後糊圧着記録用原紙は、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含むので、好適なドライピック強度及びウェットピック強度を有し、オフセット印刷適性を有する。また、当該後糊圧着記録用原紙は、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含むので、インクジェットインクやオフセットインクの塗工層への浸透が促進及び定着され、好適なインクジェット印刷適性及びオフセット印刷適性を有する。さらに、当該後糊圧着記録用原紙は、坪量が上記範囲とされ、かつZ軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が上記範囲とされているので、十分な層間強度を有する。それゆえ、当該後糊圧着記録用原紙は、上記最外層の塗工層表面に疑似接着剤層が積層された後糊圧着記録用紙において、疑似接着剤層を対向させるように折曲げて接着した上で再剥離する場合の材料破壊が抑制され、剥離面で好適に剥離することができる。また、当該後糊圧着記録用原紙は、トルエン吸油度が上記範囲とされているので、接着剤として例えば紫外線硬化型ニスを用いた場合、この接着剤の浸透が好適に抑制される。それゆえ、当該後糊圧着記録用原紙は、接着剤の使用量を抑え、かつ接着性を維持することが可能であると共に、再剥離時の材料破壊を効果的に抑制することができる。
(基紙)
基紙は、パルプ繊維を主成分とするパルプスラリーを抄紙して製造される。
上記パルプ繊維としては、公知のものが挙げられ、バージンパルプ、古紙パルプ又はこれらを組み合わせたものを適宜用いることができる。
上記バージンパルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ(MP);ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等が挙げられる。
上記古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
これらの中でも、上記パルプ繊維としては、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを組み合わせたものが好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とを組み合わせたものが特に好ましい。当該後糊圧着記録用原紙は、これら2種のパルプを用いることで基紙の吸水性を的確に調整し、フォーム印刷等に対する優れた印刷適性及び加工適性を具備することができる。
上記パルプ繊維として広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)を併用する場合における全パルプ成分100質量部に対する広葉樹クラフトパルプ(LKP)の含有量の下限としては、65質量部が好ましく、70質量部がより好ましく、75質量部がさらに好ましい。一方、全パルプ成分100質量部に対する広葉樹クラフトパルプ(LKP)の含有量の上限としては、98質量部が好ましく、96質量部がより好ましく、95質量部がさらに好ましい。また、上記パルプ繊維として広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)を併用する場合における全パルプ成分100質量部に対する針葉樹クラフトパルプ(NKP)の含有量の下限としては、2質量部が好ましく、4質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。一方、全パルプ成分100質量部に対する針葉樹クラフトパルプ(NKP)の含有量の上限としては、35質量部が好ましく、30質量部がより好ましく、25質量部がさらに好ましい。広葉樹クラフトパルプ(LKP)は、繊維長が短いため、得られる基紙の繊維間の空隙を比較的少なくすることができる。これに対し、針葉樹クラフトパルプ(NKP)は、繊維長が長いため、得られる基紙の繊維間の結合を強化することができる。それゆえ、当該後糊圧着記録用原紙は、上記基紙が広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)を上記割合で含有することによって、基紙の強度を向上しつつ、基紙に適度な吸水性を持たせてインク転移性を高めると共に、塗工層を形成するバインダーを基紙の繊維間に入り込ませ、このバインダーと繊維とを密に接着することができる。従って、当該後糊圧着記録用原紙は、塗工層のアンカー効果が高くなり、塗工層の表面に疑似接着剤層が積層された後糊圧着記録用紙において、疑似接着剤層を対向させるように折曲げて接着した上で再剥離する場合の塗工層の割れを好適に防止することができる。
上記広葉樹クラフトパルプ(LKP)のフリーネスの下限としては、360mlが好ましく、400mlがより好ましく、420mlがさらに好ましい。また、上記広葉樹クラフトパルプ(LKP)のフリーネスの上限としては、495mlが好ましく、490mlがより好ましく、480mlがさらに好ましい。一方、上記針葉樹クラフトパルプ(NKP)のフリーネスの下限としては、500mlが好ましく、505mlがより好ましく、510mlがさらに好ましい。また、上記針葉樹クラフトパルプ(NKP)のフリーネスの上限としては、610mlが好ましく、600mlがより好ましく、590mlがさらに好ましい。上記広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)のフリーネスが上記範囲であることによって、基紙のZ軸方向の層間強度及び吸水性や接着剤の浸透性を好適に調整しつつ、基紙の引張強度や引裂強度等を高めることができる。なお、「フリーネス」とは、JIS−P−8121(2012)に準拠して測定される値である。
また、上記基紙中には必要に応じて填料を配合することができる。上記基紙中に填料を配合することによって、基紙の不透明度を向上させ、隠蔽性を高めることができる。上記基紙中に配合される填料としては、公知のものを用いることができ、例えばタルク、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、水和ケイ素、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子、再生粒子、シリカ複合再生粒子、シリカ複合無機粒子等が挙げられる。
これらの中でも、上記填料としては、疑似接着させる際の圧力緩衝性及び基紙の白色度向上性を好適に向上することのできる炭酸カルシウムが好ましい。
上記填料の灰分に対する含有量の下限としては、4質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、6質量%がさらに好ましい。一方、上記填料の灰分に対する含有量の上限としては、15質量%が好ましく、14質量%がより好ましく、12質量%がさらに好ましい。上記填料の灰分に対する含有量が上記下限未満の場合、基紙の不透明度を好適に高めることができないおそれがある。逆に、上記填料の灰分に対する含有量が上記上限を超える場合、基紙の引張強度や引裂強度が低下するおそれがある。なお、「灰分」とは、JIS−P−8251(2003)「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠した測定値である。
また、上記基紙中には、紙力増強剤を含有するのが好ましい。上記基紙中に含有される紙力増強剤としては、例えばポリビニルアルコール系高分子、ポリアクリルアミド系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアクリルアミド系の乾燥紙力増強剤が内添されるのが好ましい。当該後糊圧着記録用原紙は、上記基材層中にポリアクリルアミド系の乾燥紙力増強剤が内添されることによって、Z軸方向の剥離強度を好適に高めることができる。またポリアクリルアミド系の接着剤を用いた場合、基紙中のポリアクリルアミドと接着剤との相溶性があるため、接着剤の目拠め作用が働く。
さらに、上記基紙中には、染料定着剤としてカチオン性樹脂を含有してもよい。このカチオン性樹脂としては、カチオン性の水溶性高分子であり、アニオン要求量が5meq/g以上、分子量が5,000以上200, 000以下のものが好適に用いられる。このようなカチオン性樹脂としては、例えばポリエチレンイミン4級アンモニウム塩誘導体;ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体;アンモニア、モノアミンやポリアミン等のアミン類、及びエピハロヒドリン類を反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等);ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド樹脂;ジエチレントリアミン・ジシアンジアミド・アンモニウムクロライド重合物;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物等が挙げられる。これらの中でも、アンモニア、モノアミンやポリアミン等のアミン類、及びエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等)が特に好ましい。当該後糊圧着記録用原紙は、このようなカチオン性樹脂を含有することによって、インクジェット印刷の際の印字部の耐水性を向上させ水漏れを防止することができる。
なお、上記基紙は、本発明の効果を損なわない範囲において、助剤として、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂又はその誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョン又はその誘導体、カルバミン酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉等を含んでもよい。
上記基紙の縦方向の引張強度の下限としては、5.0kN/mが好ましく、6.3kN/mがより好ましく、6.5kN/mがさらに好ましい。一方、上記基紙の縦方向の引張強度の上限としては、9.8kN/mが好ましく、9.5kN/mがより好ましく、9.3kN/mがさらに好ましい。また、上記基紙の横方向の引張強度の下限としては、2.0kN/mが好ましく、3.5kN/mがより好ましく、3.8kN/mがさらに好ましい。一方、上記基紙の横方向の引張強度の上限としては、5.0kN/mが好ましく、4.8kN/mがより好ましく、4.5kN/mがさらに好ましい。上記基紙の縦方向及び横方向の引張強度が上記下限未満の場合、基紙が破紙されやすくなり、加工性や取扱性が低下するおそれがある。逆に、上記基紙の縦方向及び横方向の引張強度が上記上限を超える場合、密度が高くなり、吸水性や接着剤の浸透性が十分に得られないおそれがある。なお、「引張強度」とは、JIS−P−8113(2006)に準拠した値である。
上記基紙の白色度の下限としては、80%が好ましく、82%がより好ましい。一方、上記基紙の白色度の上限としては88%が好ましく、86%がより好ましい。上記基紙の白色度が上記下限未満の場合、見栄えや印刷された文字等の視認性が低下するおそれがある。逆に、上記基紙の白色度が上記上限を超える場合、コスト高となるおそれがある。なお、「白色度」とは、JIS−P−8148(2001)「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した値である。
また、上記基紙の不透明度の下限としては、85%が好ましく、87%がより好ましく、89%がさらに好ましい。上記基紙の不透明度が上記下限未満の場合、裏抜けが生じやすくなるおそれがある。なお、「不透明度」とは、JIS−P−8149(2000)「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠した値である。
上記基紙のステキヒトサイズ度の下限としては、15秒が好ましく、18秒がより好ましく、20秒がさらに好ましい。一方、上記基紙のステキヒトサイズ度の上限としては、80秒が好ましく、70秒がより好ましく、60秒がさらに好ましい。上記基紙のステキヒトサイズ度が上記下限未満の場合、例えば疑似接着剤層を形成する接着剤として水溶性接着剤を用いた場合に接着剤の浸透性が大きくなり、疑似接着剤層の接着力が低下するおそれがある。逆に、上記基紙のステキヒトサイズ度が上記上限を超える場合、インクの吸収性が悪化してインクの滲みが生じやすくなるおそれや、水溶性接着剤の浸透が不十分となるおそれがある。
(アンダー塗工層)
当該後糊圧着記録用原紙は、上記基紙の塗工層を積層する側の面に、予めアンダー塗工層を設けておくことが好ましい。当該後糊圧着記録用原紙は、このようなアンダー塗工層を設けることによって、塗工層を積層した際の塗工層表面の平坦性、印刷情報の高精細化、フルカラー印刷の品質向上等を促進することができると共に、塗工層又はこの塗工層の表面に積層される疑似接着剤層に用いられる塗工液が基紙中へ含浸するのを抑制し、塗工液使用量を抑えることができる。
上記アンダー塗工層は、顔料をバインダー中に分散させた塗工液をフィルム転写方式によって塗工することで設けることができる。上記アンダー塗工層に含有される顔料としては、例えばカオリン、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、炭酸カルシウムが好ましく、重質炭酸カルシウムが特に好ましい。当該後糊圧着記録用原紙は、上記アンダー塗工層中に含有される顔料として重質炭酸カルシウムを用いることによって、上記基紙及び塗工層の層間強度を好適に向上することができる。また、上記アンダー塗工層に含有されるバインダーとしては、例えば澱粉、ラテックス等が挙げられる。これらの中でも、安価かつ基紙に対するアンカー効果が得られる澱粉が好ましく、澱粉とSBRラテックスとの併用が特に好ましい。
上記顔料100質量部に対する上記澱粉及びSBRラテックスの合計含有量(固形分換算)の下限としては、2質量部が好ましく、4質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。一方、上記顔料100質量部に対する上記澱粉及びSBRラテックスの合計含有量(固形分換算)の上限としては、25質量部が好ましく、18質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましい。また、上記澱粉及びSBRラテックスの質量基準の配合比としては8:7以上8:5以下が好ましい。当該後糊圧着記録用原紙は、澱粉及びSBRラテックスを上記割合で含有することによって、基紙及び塗工層に対するアンカー効果を向上することができる共に、塗工層や疑似接着層の品質を好適に高めることができる。
上記アンダー塗工層の塗工量(固形分換算)の下限としては、4.0g/mが好ましく、4.5g/mがより好ましく、5.0g/mがさらに好ましい。一方、上記アンダー塗工層の塗工量(固形分換算)の上限としては、7.5g/mが好ましく、7.0g/mがより好ましく、6.0g/mがさらに好ましい。上記アンダー塗工層の塗工量が上記下限未満の場合、基紙表面の凹凸を十分に埋めることができず、塗工層の表面に疑似接着剤層を積層した場合の光沢度が低下するおそれがある。逆に、上記アンダー塗工層の塗工量が上記上限を超える場合、生産性が低下するおそれがある。
なお、上記基紙の両面側に塗工層が積層される場合、上記アンダー塗工層についても上記基紙の両面側に積層されることが好ましい。また、上記アンダー塗工層が上記基紙の両面側に積層される場合、各々のアンダー塗工層の成分、塗工量等の構成を上記構成とすることができる。
(塗工層)
塗工層は、上記基紙の少なくとも一方の面側に塗工液の塗工によって積層される。当該後糊圧着記録用原紙は、一つの塗工層を有してもよく、複数の塗工層を有してもよい。また、上記塗工層のうち、最外層の塗工層は顔料及びバインダーを含んでいる。
上記バインダーとしては、特に限定されず、例えばカチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、カルバミン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;これら各種重合体にカチオン性基を用いてカチオン化したラテックス、カチオン性界面活性剤によって重合体表面をカチオン化したラテックス、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し、重合体表面にこのカチオン性ビニルアルコールを分布させたラテックス、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面にこのカチオン性コロイド粒子を分布させたラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体;ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、費用対効果の点から、汎用性の高いスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス又は澱粉誘導体が好適に用いられる。また、当該後糊圧着記録用原紙を用いて得られる後糊圧着記録用紙が主として郵送用途に用いられることから、黄変化しやすいアクリロニトリルの含有量は少ない方が好ましい。さらに、上記スチレン−ブタジエン共重合体のガラス転移温度としては、優れた柔軟性を有することができるよう低い方が好ましく、例えば0℃未満とすることができる。
上記顔料としては、特に限定されず、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、デラミネーティッドカオリン、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、カリオン修飾したコロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料;スチレン又はその共重合体のプラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、比較的安価で、かつブレードコーターやフィルムトランスファーロール等での高速塗工適性に優れると共に、優れた後糊適性が得られるカオリン又は炭酸カルシウムが好ましく、カオリン及び炭酸カルシウムの併用がより好ましい。また、上記炭酸カルシウムとしては、形状が不定型な重質炭酸カルシウムが特に好ましい。
最外層の塗工層における全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量の下限としては、30質量部が好ましく、35質量部がより好ましく、40質量部がさらに好ましい。一方、最外層の塗工層における全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量の上限としては、80質量部が好ましく、70質量部がより好ましく、50質量部がさらに好ましい。最外層の塗工層における全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量が上記下限未満の場合、疑似接着剤層を形成する接着剤の浸透を十分に抑えられないおそれがある。逆に、最外層の塗工層における全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量が上記上限を超える場合、インクジェットインクの吸収性が悪化するおそれがある。
また、上記顔料としてカオリン及び炭酸カルシウムが併用される場合におけるカオリン及び炭酸カルシウムの質量基準の配合比の下限としては、3:7が好ましく、7:13がより好ましい。一方、上記顔料としてカオリン及び炭酸カルシウムが併用される場合におけるカオリン及び炭酸カルシウムの質量基準の配合比の上限としては、4:1が好ましく、7:3がより好ましい。カオリン及び炭酸カルシウムの配合比が上記下限未満の場合、疑似接着剤層を形成する接着剤の最外層の塗工層への浸透を十分に抑制することができないおそれがある。逆に、カオリン及び炭酸カルシウムの配合比が上記上限を超える場合、インクジェットインクの吸収性が悪化するおそれがある。
上記顔料100質量部に対する上記バインダーの含有量(固形分換算)の下限としては、5質量部が好ましく、7質量部がより好ましく、9質量部がさらに好ましい。一方、上記顔料100質量部に対する上記バインダーの含有量(固形分換算)の上限としては、25質量部が好ましく、23質量部がより好ましく、21質量部がさらに好ましい。上記顔料100質量部に対する上記バインダーの含有量が上記下限未満の場合、最外層の塗工層の強度が十分に得られないおそれがある。逆に、上記顔料100質量部に対する上記バインダーの含有量が上記上限を超える場合、最外層の塗工層内の密着性が高くなり、製造工程におけるブロッキング、貼り付き等が生じるおそれがある。これに対し、上記顔料100質量部に対する上記バインダーの含有量が上記範囲である場合、最外層の塗工層の強度、粘着性等の物性を好適に調整することができる。
なお、上記基紙の一方の面側に複数の塗工層が積層される場合、全ての塗工層が上記顔料及びバインダーを含むことが好ましい。ただし、当該後糊圧着記録用原紙においては、少なくとも最外層の塗工層が上記顔料及びバインダーを含む限り、その他の塗工層は必ずしも上記顔料及びバインダーを含まなくてもよい。また、上記顔料及びバインダーを含まない場合の塗工層としては、例えば水溶性接着剤からなるクリア塗工層が挙げられる。
上記塗工層(塗工液)には、上記顔料及びバインダーの他、例えば顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、滑剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料、定着剤等の通常の添加剤や、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸、オレイン酸カルシウム、オレイン酸アンモニウム、レシチン、ポリエチレン、ワックス又はこれらの誘導体等の助剤を必要に応じて適宜配合することができる。
上記塗工層の塗工量(固形分換算)の下限としては、7.5g/mが好ましく、9.0g/mがより好ましく、9.5g/mがさらに好ましい。一方、上記塗工層の塗工量(固形分換算)の上限としては、15.0g/mが好ましく、14.0g/mがより好ましく、13.0g/mがさらに好ましい。上記塗工層の塗工量が上記下限未満の場合、十分な印刷適性が得られないおそれがある。逆に、上記塗工層の塗工量が上記上限を超える場合、塗工層の硬化に起因して柔軟性が低下し、当該後糊圧着記録用原紙の加工適性が低下するおそれがある。なお、上記塗工層の塗工量は、塗工層が複数積層される場合においては各塗工層の塗工量を意味する。
また、当該後糊圧着記録用原紙は、上記基紙がポリアクリルアミド系紙力増強剤を含み、上記塗工層のうち、最外層の塗工層が顔料としてカオリンを含み、上記最外層の塗工層の全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量が上記下限以上であり、上記最外層の塗工層の塗工量が上記範囲であることによって、接着剤の最外層の塗工層への浸透が効果的に抑えられ、再剥離時の材料破壊をさらに効果的に抑制することができる。加えて、上記基紙がポリアクリルアミド系紙力増強剤を含む場合、このポリアクリルアミド系紙力増強剤によって接着剤の基紙への浸透を抑制することができる。また、このポリアクリルアミド系紙力増強剤は接着剤として用いられる紫外線硬化型ニスとの相溶性が高いため、紫外線硬化型ニスが基紙内に浸透した場合でも、この紫外線硬化型ニスによって基紙内が目止めされることで基紙の強度の低下が抑えられ、ひいてはZ軸方向の剥離強度の低下を防止することができる。
上記最外層の塗工層表面の平滑度の下限としては、140秒が好ましく、150秒がより好ましく、160秒がさらに好ましい。一方、上記最外層の塗工層表面の平滑度の上限としては、210秒が好ましく、200秒がより好ましく、190秒がさらに好ましい。上記最外層の塗工層表面の平滑度が上記下限未満の場合、疑似接着層を形成する接着剤が塗工層内に過度に含浸したり、塗布液の浸透ムラ、塗布液の浸透速度ムラ等が生じるおそれがある。逆に、上記最外層の塗工層表面の平滑度が上記上限を超える場合、最外層の塗工層表面が緻密になり疑似接着層を積層した際に塗布液のアンカー効果が十分かつ均等に得られず、再剥離性にムラが生じるおそれがある。なお、「平滑度」は、JIS−P8119(1998)に記載の「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠した値である。
上記最外層の塗工層表面のPPS平滑度の下限としては、1.6μmが好ましく、1.8μmがより好ましく、2.0μmがさらに好ましい。一方、上記最外層の塗工層表面のPPS平滑度の上限としては、3.2μmが好ましく、3.0μmがより好ましく、2.8μmがさらに好ましい。上記最外層の塗工層表面のPPS平滑度が上記下限未満の場合、最外層の塗工層表面が緻密になり疑似接着層を積層した際に塗布液のアンカー効果が十分かつ均等に得られず、再剥離性にムラが生じるおそれがある。逆に、PPS平滑度が上記上限を超える場合、疑似接着層を形成する接着剤が塗工層内に過度に含浸したり、塗布液の浸透ムラ、塗布液の浸透速度ムラ等が生じるおそれがある。
なお、上記基紙の両面側に塗工層が積層される場合、各々の面側の塗工層の成分、塗工量、平滑度等の構成を上記構成とすることができる。
<後糊圧着記録用原紙の品質>
当該後糊圧着記録用原紙の坪量としては、80.0g/m以上160.0g/m以下とされている。
当該後糊圧着記録用原紙のZ軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値としては、3.8kPa/g/m以上とされている。また、当該後糊圧着記録用原紙のZ軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値の下限としては、5.5kPa/g/mがより好ましく、6.6kPa/g/mがさらに好ましい。上記Z軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が上記下限未満の場合、層間強度が十分に得られず、再剥離時等に材料破壊が生じるおそれがある。
当該後糊圧着記録用原紙のトルエン吸油度としては、100秒以上とされている。また、当該後糊圧着記録用原紙のトルエン吸油度の下限としては、110秒がより好ましく、120秒がさらに好ましい。上記トルエン吸油度が上記下限未満の場合、疑似接着剤を形成する紫外線硬化型ニス等が過度に含浸され、疑似接着剤層の接着性が低下するおそれがある。
<疑似接着剤層>
当該後糊圧着記録用原紙は、基紙の一方の面側又は両面側に塗工層が積層され、この塗工層の表面に疑似接着剤層が積層された後糊圧着記録用紙として好適に用いられる。この疑似接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、紫外線硬化成分、アクリル重合体、光重合開始剤等が相溶される紫外線硬化型ニス組成物が好適に用いられる。
上記疑似接着剤層の塗工量(固形分換算)の下限としては、1g/mが好ましく、2g/mがより好ましく、4g/mがさらに好ましい。一方、上記疑似接着剤層の塗工量(固形分換算)の上限としては、15g/mが好ましく、13g/mがより好ましく、10g/mがさらに好ましい。上記疑似接着剤層の塗工量が上記下限未満の場合、十分な接着性が得られないおそれがある。逆に、上記疑似接着剤層の塗工量が上記上限を超える場合、再剥離時に後糊圧着記録用原紙が破壊されるおそれがある。
<後糊圧着記録用原紙の製造方法>
当該後糊圧着記録用原紙の製造方法としては、特に限定されず、例えば原料パルプスラリーを抄紙し、プレスパート及びプレドライヤーパートに供して基紙を製造する工程と、アンダーコーターパートにてアンダー塗工液を塗工した上、乾燥及び平坦化処理してアンダー塗工層を積層する工程と、塗工液を塗工し、カレンダー処理を施す工程とを有する。なお、当該後糊圧着記録用原紙がアンダー塗工層を有しない場合には、上記アンダーコーターパートに替えて、基紙表面に表面処理を施し、乾燥及び平坦化処理を行ってもよい。
塗工液又はアンダー塗工液を塗工する際の塗工装置としては、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコータ、バーコータ、ゲートロールコータ、ロッドコータ、エアナイフコータ等が挙げられる。
また、カレンダー処理の際のカレンダー装置としては、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトコンパクトカレンダ等の金属又はドラムと弾性ロールとの組み合わせによる各種カレンダーがオンマシン又はオフマシン仕様で適宜使用される。
なお、当該後糊圧着記録用原紙は、上記アンダー塗工液又は塗工液を複数回塗工してもよい。
<後糊圧着記録用紙の製造方法>
当該後糊圧着記録用原紙の塗工層表面に疑似接着剤層が積層される後糊圧着記録用紙の製造方法としては、例えば上記塗工層の表面側にオフセット印刷及びインクジェット印刷を施した上、紫外線硬化型ニス組成物を塗工し硬化させる方法が挙げられる。
上記紫外線硬化型ニス組成物を塗工する塗工装置としては、例えばロールコータ、フレキソコータ、グラビアコータ、エアナイフコータ等が挙げられる。また、上記紫外線硬化型ニス組成物の硬化方法としては、例えばケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の紫外線照射装置を用い、80W/cm以上280W/cm以下の照射強度で、積算光量が15mJ/cm以上400mJ/cm以下(Rigaku Innovative Technologies Inc.製の「UVIMAP UM−365HS」で測定)となるように照射して乾燥させる方法が挙げられる。
さらに、上記疑似接着剤層が対向するように折曲げて圧着する方法としては、例えば必要に応じて加熱しつつ10kg/cm以上3000kg/cm以下の圧力で加圧する方法が挙げられ、かかる方法によった場合の剥離強度としては、例えば40g/15mm以上300g/15mm以下とされる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法によって行った。
<坪量>
坪量(g/m)は、JIS−P−8124(2011)「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した。
<Z軸方向の剥離強度>
Z軸方向の剥離強度(kPa)は、TAPPI T 541に準拠して、Lorentzen & Wettre製の「L&W ZDTENSILE TESTER」を用いて測定した。
<トルエン吸油度>
トルエン吸油度(秒)は、JIS−P−8130(1994)「吸油度試験方法」に準拠して、試験油としてトルエン(米山薬品工業株式会社製)を用いて測定した。
<ステキヒトサイズ度>
ステキヒトサイズ度(秒)は、JIS−P−8122(2004)「紙及び板紙−サイズ度試験方法−ステキヒト法」に準拠して測定した。
<接着性>
後糊圧着記録用原紙の塗工層の表面に紫外線硬化型ニス組成物(互応化学工業株式会社製プラスサイズOP-5220)を塗工量10.0g/m(固形分換算)で塗工し、高圧水銀ランプにて紫外線硬化させて疑似接着剤層を積層した後糊圧着記録用紙を疑似接着剤層が対向するように折り曲げて、圧着シーラ(大日本印刷株式会社製のMS-9100)を用い、シーラギャップ7の条件で圧着した状態における接着状態を以下の基準で判定した。
(評価基準)
◎:完全に接着しており、折り曲げても接着箇所の剥がれは生じない。
○:ほぼ接着しており、折り曲げても接着面に浮き剥がれは生じない。
△:一応接着するが、弱く、曲げれば接着面に浮き剥がれが生じる場合がある。
×:接着が弱いか又は全く接着しない。
<再剥離性>
後糊圧着記録用原紙の塗工層の表面に紫外線硬化型ニス組成物(互応化学工業株式会社製プラスサイズOP-5220)を塗工量10.0g/m(固形分換算)で塗工し、高圧水銀ランプにて紫外線硬化させて疑似接着剤層を積層した後糊圧着記録用紙を疑似接着剤層が対向するように折り曲げて、圧着シーラ(大日本印刷株式会社製のMS-9100)を用い、シーラギャップ7の条件で圧着し、圧着直後の剥離性と60℃、90%RHの環境下に2時間放置した後の剥離性について以下の基準で判定した。
(評価基準)
○:紙破れなく剥がれた。
△:紙破れなく剥がれるが、剥離強度が強く、表面のニス面に割れ筋が入る場合がある。
×:接着してしまい、剥がそうとすれば紙が破れた。
−:最初から未接着のため判定不能であった。
[実施例1]
フリーネス380mlの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量部及びフリーネス550mlの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量部からなるパルプスラリーに、湿式重質炭酸カルシウム30.0kg/t、歩留向上剤(エカケミカルス株式会社製の「NP247」)0.3kg/t、内添サイズ剤(東邦化学工業株式会社製の「FK34改」)0.3kg/tを添加してなる紙料スラリーを用いて抄紙して基紙を得た。次に、この基紙の両面に、バインダー(澱粉(日本食品株式会社製の「RC#20」8.0質量部及びラテックス(JSR株式会社製の「PB2901」)6.0質量部)並びに平均粒子径1.4μmの湿式重質炭酸カルシウム100質量部を含有するアンダー塗工液を両面で12.0g/m(固形分換算)で塗工してアンダー塗工層を形成した。さらに、各塗工層の表面に、バインダー(澱粉(日本食品株式会社製の「RC#20」)2.5質量部及びSBRラテックス(JSR株式会社製の「PB2901」)7.5質量部)、顔料(平均粒子径2.3μmのカオリン35質量部及び平均粒子径1.1μmの湿式重質炭酸カルシウム65質量部)からなる塗工液を両面で23.0g/m(固形分換算)で塗工して坪量127.9g/mの後糊圧着記録用原紙を得た。なお、上記記載の薬品添加量は、絶乾パルプ量に対する固形分換算した量で記載した。また、アンダー塗工層及び塗工層の片面あたりの塗工量は、両面の塗工量の略1/2となるように塗工した。
[実施例2〜10及び比較例1〜5]
原料に用いた広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の含有割合、バインダー及び顔料の種類及び含有割合、アンダー塗工層及び塗工層の塗工量、並びに後糊圧着記録用原紙の坪量を表1の通りとし、実施例2〜10及び比較例1〜5の後糊圧着記録用原紙を得た。
Figure 2016003404
また、実施例1〜10及び比較例1〜5で得られた後糊圧着記録用原紙について、上述のZ軸方向の剥離強度、トルエン吸油度及びステキヒトサイズ度を測定した。さらに、実施例1〜10及び比較例1〜5で得られた後糊圧着記録用原紙について、上述の接着性及び再剥離性について評価を行った。上記測定結果及び評価結果について、表2に示す。
Figure 2016003404
表2の結果から示されるように、実施例1〜10の後糊圧着記録用原紙は、優れた接着性を有すると共に再剥離性に優れている。一方、比較例1〜5の後糊圧着記録用原紙は、いずれもトルエン吸油度が100秒未満であるため、接着性及び再剥離性が共に劣ることが分かった。
当該後糊圧着記録用原紙は、オフセット印刷適性及びインクジェット印刷適性を有すると共に、接着性を維持しつつ優れた剥離性を有し、例えば郵送用途に用いられる後糊圧着記録用紙用の原紙として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面側に積層される一又は複数の塗工層を備える後糊圧着記録用原紙であって、
    上記塗工層のうち、最外層の塗工層が顔料及びバインダーを含み、
    坪量が80.0g/m以上160.0g/m以下であり、
    Z軸方向の剥離強度を上記坪量で除した値が3.8kPa/g/m以上であり、
    トルエン吸油度が100秒以上であることを特徴とする後糊圧着記録用原紙。
  2. 上記基紙がポリアクリルアミド系紙力増強剤を含み、
    上記最外層の塗工層が顔料としてカオリンを含み、上記最外層の塗工層の全顔料100質量部に対する上記カオリンの含有量が30質量部以上であり、
    上記最外層の塗工層の塗工量が7.5g/m以上15.0g/m以下である請求項1に記載の後糊圧着記録用原紙。
  3. 上記基紙のステキヒトサイズ度が15秒以上80秒以下である請求項1又は請求項2に記載の後糊圧着記録用原紙。
JP2014122677A 2014-06-13 2014-06-13 後糊圧着記録用原紙 Pending JP2016003404A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014122677A JP2016003404A (ja) 2014-06-13 2014-06-13 後糊圧着記録用原紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014122677A JP2016003404A (ja) 2014-06-13 2014-06-13 後糊圧着記録用原紙

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018226822A Division JP6802831B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 後糊圧着記録用原紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016003404A true JP2016003404A (ja) 2016-01-12

Family

ID=55222911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014122677A Pending JP2016003404A (ja) 2014-06-13 2014-06-13 後糊圧着記録用原紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016003404A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019069530A (ja) * 2017-10-06 2019-05-09 大王製紙株式会社 情報用紙、これを備える疑似圧着紙、及び疑似圧着紙の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123493A1 (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Nippon Paper Industries Co., Ltd. 塗工原紙および塗工紙の製造方法
JP2009228171A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Oji Paper Co Ltd 感圧接着シート用塗工紙
JP2011195990A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Oji Paper Co Ltd 圧着シート用塗工紙
JP2011207094A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Daio Paper Corp インクジェット記録用紙
JP2013108195A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Daio Paper Corp 塗工紙

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123493A1 (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Nippon Paper Industries Co., Ltd. 塗工原紙および塗工紙の製造方法
JP2009228171A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Oji Paper Co Ltd 感圧接着シート用塗工紙
JP2011195990A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Oji Paper Co Ltd 圧着シート用塗工紙
JP2011207094A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Daio Paper Corp インクジェット記録用紙
JP2013108195A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Daio Paper Corp 塗工紙

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019069530A (ja) * 2017-10-06 2019-05-09 大王製紙株式会社 情報用紙、これを備える疑似圧着紙、及び疑似圧着紙の製造方法
JP6990086B2 (ja) 2017-10-06 2022-01-12 大王製紙株式会社 情報用紙、これを備える疑似圧着紙、及び疑似圧着紙の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5251364B2 (ja) 塗工白板紙
JP4763529B2 (ja) 後糊用接着用紙及び後糊用接着紙
JP4528248B2 (ja) 圧着用紙
JP2009228171A (ja) 感圧接着シート用塗工紙
JP6414356B1 (ja) 塗工板紙の製造方法
JP6802831B2 (ja) 後糊圧着記録用原紙
JP2016003404A (ja) 後糊圧着記録用原紙
JP2010077552A (ja) 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート
JP2009293139A (ja) 印刷用板紙
JP5140373B2 (ja) 多層抄き板紙
JP4037430B2 (ja) 圧着用紙
JP5521673B2 (ja) 圧着シート用塗工紙
JP7035961B2 (ja) 塗工板紙の製造方法
JP6149679B2 (ja) 塗工白板紙
JP2022086839A (ja) 後糊圧着記録用原紙及び後糊圧着記録用紙
JP6847889B2 (ja) 耐水耐油紙の製造方法
JP4952628B2 (ja) 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート
JP2016060975A (ja) 塗工白板紙
JP6867802B2 (ja) 水系後糊圧着用紙及び水系後糊圧着用紙の製造方法
JP7463879B2 (ja) 疑似接着紙用ラベル紙および配送伝票用紙
JP6200183B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP5593599B2 (ja) 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート
JP7123925B2 (ja) 印刷用塗工紙および封筒用紙
JP2009270220A (ja) 封入封緘シート用塗工紙
JP2006326840A (ja) インクジェット記録用タック紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170607

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180329

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180904