JP2010236134A - 紙の製造方法 - Google Patents

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徹 真野
Ko Seriguchi
巧 芹口
Yasuhiro Fujishima
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Abstract

【課題】本発明の課題は、再生パルプを含む原料から紙を製造する方法であって、パルプ繊維や填料の歩留りを高め、再生パルプなどに由来する粘着異物の粘着性を抑制して、粘着異物を紙中に抄き込むような製紙法を提供することである。
【解決手段】再生パルプと、重量平均分子量が1000万より大きい高分子歩留剤と、炭酸ジルコニウム塩とを含んでなる紙料を用いて抄紙することによって、優れた印刷用紙を高い歩留りで製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙の製造方法に関する。特に本発明は、中性抄紙によって印刷用紙を製造する方法に関する。
印刷用紙に求められる重要な品質の1つに、印刷が反対面から透けて見える現象、いわゆる「裏抜け」(print through)を防止することがある。印刷用紙の中でも新聞用紙は、低坪量で軽量であり、かつ、浸透乾燥型インキを用いて熱乾燥工程を含まないコールドセット型オフセット印刷機で印刷されることが多いため、裏抜けの防止は技術的に年々困難になっている。
一般に、裏抜けを抑制するためには、紙の不透明度を上げることが最も効果的であるとされる。紙の不透明度を上げる方法としては、比散乱係数が高く不透明度の上昇効果が大きい填料を紙に配合し、紙中灰分を高めることが有効である。
しかし、近年、紙の製造においては、紙への古紙配合率の増加、紙の製造の高速化や中性化、ワイヤーパートのツインワイヤー化などが進められており、これらの技術動向は、紙料中のパルプ原料および填料(もしくは灰分)の歩留りを低下させる方向に働くため、紙の高灰分化が技術的に難しくなっている。
また、廃棄物削減や環境的な観点から、古紙配合率を高めることも製紙会社に望まれている。しかし、古紙から得られる再生パルプ(古紙パルプ、脱墨パルプ、DIPともいう)を原料として多く配合すると、ホットメルト接着剤などに由来する粘着異物が抄紙系に混入しやすくなり、操業上大きな問題となることがある。一般に、粘着異物が紙料に混入した場合、粗大な粘着異物は抄紙機のヘッドボックスに入る前にクリーナーやスクリーンなどによって除去されるものの、微細な粘着異物はクリーナーやスクリーンなどによって十分には除去されず、紙料と共に抄紙ワイヤー上へ噴射され、ワイヤーやカンバスへ付着して、断紙・紙面欠陥などの原因となる。また、微細な粘着異物が抄紙ワイヤーを通過して白水系に入ると、粘着異物が抄紙系内を循環することになり、このような粘着異物が蓄積するとやがて粗大な異物となって、断紙や紙面欠陥などの問題を引き起こす。
このような製紙技術の近年の動向に照らして、紙中灰分の高い印刷用紙を高い歩留りで製造する技術の開発が求められており、特に、再生パルプを配合した紙においては、粘着異物などのピッチを紙中に上手く取り込み、微細な粘着異物が抄紙系に蓄積しないようにする技術が求められている。これまで、填料などの歩留りを向上させたり、粘着異物などによるピッチトラブルを抑制するため、以下のような技術が提案されている。
特許文献1(特開平6−57685号公報)には、重量平均分子量10万〜1000万のアクリルアミド系両性重合体、および/または、重量平均分子量10万〜1000万の合成カチオン性重合体、ならびに水溶性炭酸ジルコニウム塩を抄紙系に含有させることにより、歩留向上効果やピッチコントロール効果が得られることが記載されている。
特許文献2(特開平5−78998号公報)には、重量平均分子量が3000〜1000万のアクリル酸ヒドラジド系重合体、重量平均分子量が10万〜1000万のアクリルアミド系両性重合体および/または重量平均分子量が10万〜1000万のアクリルアミド系カチオン性重合体、ならびにベントナイトおよび/または水溶性炭酸ジルコニウム塩を抄紙系に含有させることにより、濾水性や歩留りが高くなり、優れたピッチコントロール効果が得られることが記載されている。
特許文献3(特開平6−257082号公報)には、脱墨薬品をパルプに浸透させるソーキング工程においてケイ酸ソーダを特定量使用し、インキをパルプから分離するフローテーション工程をジルコニウム塩等の凝集剤の存在下で行うことによって、塗工紙由来の粘着性物質を除去することが記載されている。
特許文献4(特開平4−500703号公報)には、炭酸アンモニウムジルコニウム等の水溶性ジルコニウム(IV)化合物をパルプ処理もしくは製紙工程の水性系に添加することによって、パルプ処理および製紙工程に用いられる機械に対するピッチの付着を防止することが記載されている。
特開平6−57685号公報 特開平5−78998号公報 特開平6−257082号公報 特開平4−500703号公報
上述したように、印刷時の裏抜けを防止し、良好な印刷適性を有する紙を製造するために、紙に填料を高配合することが行われる。しかし、填料の配合率が高くなると、填料を十分に歩留らせることが難しくなるため、操業を安定化し、製紙原料の歩留りを高める技術が必要となる。また、再生パルプを配合して紙を製造する場合、再生パルプとともに混入する粘着異物によるトラブルを回避することが必要であり、特に、抄紙系を良好な状態に維持するため、粘着異物を抄紙系から単に除去するのでなく、粘着異物の粘着性を抑制しながら粘着異物をパルプ繊維や填料とともに紙に抄き込んで抄紙系外に排出することが望まれる。また、再生パルプの配合量を高めると、再生パルプに伴ってインキ成分などのアニオン系物質が抄紙系に蓄積しやすくなり、抄紙系がアニオンが過多となるため、歩留りが低下しやすい。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、再生パルプを含む原料から紙を製造する方法であって、パルプ繊維や填料の歩留りを高め、再生パルプなどに由来する粘着異物を紙中に抄き込むような製紙法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を行った結果、重量平均分子量が1000万より大きい歩留剤と炭酸ジルコニウム塩とを併用することによって、再生パルプを含んでなる紙料の歩留りを大きく向上させ、また、再生パルプなどに由来する粘着異物を紙中へ抄き込んで、粘着異物を抄紙系外へ排出できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) 再生パルプと、重量平均分子量が1000万より大きい高分子歩留剤と、炭酸ジルコニウム塩とを含んでなる紙料を用いて抄紙することを含む、印刷用紙の製造方法。
(2) 前記高分子歩留剤がカチオン性ポリマーである、(1)に記載の方法。
(3) 前記印刷用紙の紙面pHが6.5〜9.5である、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記印刷用紙の灰分が8重量%以上である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5) 前記再生パルプが、紙料に含まれるパルプの40重量%以上を構成する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
本発明によれば、再生パルプを含んでなる紙料を用いて抄紙する際に、パルプ繊維や填料の歩留りを大きく向上させることができる。また、本発明によれば、粘着異物が抄紙系内に蓄積することを防止できるため、断紙や紙面欠陥などを抑制し、安定して紙を製造することができる。
印刷用紙
本発明は、紙、特に印刷用紙として好適な紙の製造方法に関し、重量平均分子量が1000万より大きい歩留剤と炭酸ジルコニウム塩とを併用する。本発明によれば、紙中灰分が高い場合であっても高い歩留りで印刷用紙を製造することができ、再生パルプなどに起因する粘着異物の粘着性を抑制しつつ粘着異物を紙に抄き込むことができる。
本発明によれば、印刷用紙の高灰分化が可能であり、紙に内添する填料を高配合化できるため、不透明度が高く、裏抜けしにくい印刷用紙を高い歩留りで製造することができる。本発明の印刷用紙は、各種印刷用途に好適に用いることができ、例えば、コールドセット型オフセット輪転機による印刷やヒートセット型オフセット輪転機による印刷などの平版印刷、グラビア印刷などの凹版印刷、凸版印刷などの印刷方式で使用することができる。また、印刷用途の観点からは、本発明の印刷用紙は、上質印刷用紙、中質印刷用紙、新聞用紙、書籍用紙、各種コート紙用の原紙、情報記録用紙などとして用いることができる。中でも、坪量が低く、裏抜けへの対応が必要となる新聞用紙や、電話帳や時刻表などに用いる印刷用紙の製造に本発明を適用すると好適である。
本発明の抄紙系は、特に制限されないが、填料として炭酸カルシウムを比較的多く含有する中性紙に本発明を適用すると、本発明の効果を十分に享受することができ、好適である。すなわち、本発明の印刷用紙の製造方法は、中性抄紙で行われることが好ましく、具体的には、紙面pHが6.5〜9.5であることが好ましく、6.7〜8.5であることがより好ましく、7.0〜8.0であることがさらに好ましい。特に、紙料スラリーのpHが酸性領域(pHが約6以下)であると、粘着異物などと多核錯体を形成しているジルコニウムが加水分解されやすくなり、本発明の効果が低下するおそれがある。また、紙料のpHを上記範囲に調整するために、鉱酸や鉱酸塩などを紙料に添加することができ、例えば、硫酸や硫酸アルミニウムを用いることができる。
上述したように本発明の製造方法は、高灰分の紙の抄造において効果が高いため、本発明の印刷用紙の灰分は8重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、12%重量以上がさらに好ましく、15重量%以上であってもよい。灰分の上限は特にないが、紙の強度や操業性を考慮すると、40重量%以下であることが好ましい。一般に灰分は、紙に含まれる無機物の量を示すため、基本的に紙中に含まれる填料の量を反映する。紙の灰分は、紙料に添加されるフレッシュな填料に由来するものと、DIP(古紙パルプ、再生パルプ)などのパルプ原料によって持ち込まれるもので構成される。DIPによって持ち込まれる灰分としては、炭酸カルシウムが比較的多いが、炭酸カルシウム以外の無機成分も含まれ、炭酸カルシウムと他の無機成分との割合は、新聞古紙や雑誌古紙などの古紙の種類や回収状況などによって異なる。本発明において灰分は、JIS P 8251に規定される紙および板紙の灰分試験方法に準拠し、燃焼温度を525±25℃に設定した方法で測定される。
本発明の印刷用紙に使用される填料は、特に制限されないが、例えば、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、シリカ、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン、ベントナイトなどの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料;を単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。特に、本発明においては、安価でかつ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウムを填料として使用することが好ましい。また、炭酸カルシウム−シリカ複合物(例えば、特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)などの複合填料も使用可能である。酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明においては、紙の不透明度や白色度を比較的低コストで向上させることができるため、炭酸カルシウムを内添填料として配合することが好ましい。不透明度や白色度を高めるという観点から、本発明の紙は、非塗工紙の場合、炭酸カルシウム含量が5重量%以上であることが好ましく、6重量%以上であることがより好ましく、7重量%以上であることがさらに好ましい。塗工紙の場合は、原紙の炭酸カルシウム含量が5重量%以上であることが好ましく、6重量%以上であることがより好ましく、7重量%以上であることがさらに好ましい。
本発明で用いるパルプは特に制限されず、一般的なパルプを用いることができ、具体的には、一般的な木材パルプに加えて、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維などを使用することができる。具体的には、機械パルプ(MP)、再生パルプ、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、印刷用紙の抄紙原料として一般的に使用されているものを好適に使用することができ、適宜、これらの1種類または2種類以上を配合して使用される。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。
一般に古紙配合率を高くすると、インキ成分などのマイナスに帯電した微細粒子が抄紙系に多く流入するが、これらのマイナスに帯電した粒子は互いに反発し合い、同じくマイナスに帯電しているパルプ繊維とも容易に結合しないため、マイナスに帯電したコロイド粒子が抄紙系内に蓄積し、カチオン性の歩留剤の効果が著しく低下させる。また、古紙配合率を高くすると、粘着異物が抄紙系に混入することになる。この点、歩留りを低下させやすく、粘着異物を混入させやすいDIPを多く配合する場合に本発明を適用すると、本発明の効果を十分に発揮され、特に有利である。したがって、本発明の1つの態様において、パルプ原料に占めるDIPの割合は、40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。DIPとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙や、コピー紙や感熱紙、ノーカーボン紙などを含むオフィス古紙を原料とするDIPなどを好適に使用することができる。特に雑誌古紙には背糊やシール、テープ等の粘着物質が多いため、雑誌古紙を5%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは40%以上含む古紙から得られるDIPに対して用いる場合に本発明の効果が大きくなる。
製紙用薬品
(炭酸ジルコニウム塩)
本発明の印刷用紙の製造方法は、炭酸ジルコニウム塩と重量平均分子量が1000万より大きい歩留剤とを併用することによって、填料配合量および再生パルプ配合量が高い場合でも、高い歩留りを実現し、粘着異物の粘着性を低下させて粘着異物を紙中に抄き込む。炭酸ジルコニウム塩と重量平均分子量が1000万より大きい歩留剤とを併用することによって本発明の効果が発揮されるメカニズムの詳細は明らかでなく、本発明はこれに拘束されるものではないが、両者を併存させることにより、粘着異物を紙中に取り込みつつ、粘着異物表面の官能基と炭酸ジルコニウムなどが錯形成して、粘着異物の粘着性が低減されるものと推測される。
本発明で用いる炭酸ジルコニウム塩は、水溶性である限り、塩の種類などは特に制限されない。好ましい炭酸ジルコニウム塩としては、例えば、炭酸ジルコニウムのアルカリ金属塩、炭酸ジルコニウムのアミン塩、炭酸ジルコニウムのアンモニウム塩が挙げられる。具体的には、日本軽金属製のベイコート20(炭酸ジルコニウムアンモニウム:(NH・Zr(CO(OH))などを好適に用いることができる。本発明の炭酸ジルコニウム塩は、粉体を紙料スラリーに直接添加しても、あらかじめ水に溶解させてから添加してもよい。本発明の炭酸ジルコニウム塩の添加量は、抄紙系に応じて適宜決定することができるが、好ましい態様において紙固形分重量に対して0.04%(400ppm)〜0.15%(1500ppm)程度である。
本発明において、炭酸ジルコニウム塩を添加する際の紙料濃度は、炭酸ジルコニウム塩を紙料中に十分に分散させるため、2〜15重量%(固形分)程度が好ましく、2.5〜10重量%がより好ましく、3〜6%程度がさらに好ましい。紙料スラリーの固形分濃度が2%未満だと、スラリー中の固形分が少なく、炭酸ジルコニウム塩がパルプや粘着異物と相互作用しにくく、効果を発揮しにくくなることがある。また、紙料スラリーの固形分濃度が15%を超えると、スラリーの流動性が低く、炭酸ジルコニウム塩を均一に紙料に混合しにくくなる。
また、炭酸ジルコニウム塩を紙料に添加する際の紙料スラリーのpHは、6.5〜9.5が好ましく、6.7〜8.5がより好ましく、7.0〜8.0がさらに好ましい。紙料のpHがこの範囲であれば、炭酸ジルコニウム塩が効果を発揮しやすい。また、炭酸ジルコニウム塩の添加態様も特に制限されない。ただし、粘着異物と炭酸ジルコニウム塩とが錯形成し、比較的安定な複合体となるにはある程度の滞留時間が必要となり、また、機械的な攪拌などによるせん断力(シェア)によって粘着異物と炭酸ジルコニウム塩との複合体が破壊される可能性を考慮すると、本発明の炭酸ジルコニウム塩は、抄紙機のヘッドボックス直前での添加や、ポンプなどの攪拌の影響を受けやすい場所での添加は避けた方が望ましい。
本発明において炭酸ジルコニウム塩の添加タイミングは、炭酸ジルコニウム塩がアニオン性であるため、他のカチオン性薬品が添加される前に紙料に添加することが好ましい。例えば、完成した再生パルプは、貯蔵装置(ストックタワーなど)にストックされ、ミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱、ヘッドボックスへと送られて抄紙されることが一般的だが、本発明の炭酸ジルコニウム塩は、貯蔵装置からマシンチェストの間に添加することが好ましく、貯蔵装置からミキシングチェストの間に添加することがより好ましい。
(歩留剤)
本発明においては、上記炭酸ジルコニウム塩とともに、分子量が1000万より大きい歩留剤を併用する。炭酸ジルコニウム塩と粘着異物とが架橋構造を形成し、粘着異物表面が親水化されると、粘着異物の粘着性は低下するものの、粘着異物は紙料中に分散され、繊維に定着されるわけではない。そのため、粘着異物を紙に抄き込むためには、粘着異物が歩留りしやすい環境で抄紙する必要があり、仮に、歩留りしにくい条件で抄紙すると、粘着異物が白水工程などの抄紙系を循環、粘着異物と炭酸ジルコニウム塩との架橋構造が破壊され、最終的に粘着異物が凝集して粗大化するおそれがある。そこで、本発明では、パルプ繊維などを凝集させる力が高く、歩留り効果が大きい、高分子量の歩留剤を用いる。
本発明において、炭酸ジルコニウム塩と併用される歩留剤は、その極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上であり、好ましくは1300万以上であるが、本発明においては1500万以上、さらには2000万以上の歩留剤も使用することができる。歩留剤の分子量が1000万以下であると、歩留剤の凝集力が十分でなく、粘着異物を十分に紙中に抄き込むことが難しくなる。分子量の上限は特に制限されるものではないが、大きすぎると凝集力が高くなりすぎて紙の地合を悪化させるおそれがあり、また、歩留剤水溶液の粘度が高くなりすぎて分散性が悪くなるなど取り扱いが難しくなることから、約2500万以下が適当である。本発明の歩留剤の添加量は、抄造条件に応じて適宜決定すればよいが、50〜500ppmが好ましく、100〜400ppmがより好ましい。50ppm未満だと歩留り効果が低くなりやすく、500ppmを超えると凝集力が強すぎて紙の地合を悪化させるおそれがあるためである。
本発明によって歩留剤を添加する場合、本発明の効果を得ることができれば、歩留剤の種類は特に制限されず、有機歩留剤、あるいは、複数の歩留剤の混合システムなどを用いることができる。本発明において歩留剤とは、パルプや填料の歩留りを向上させるために用いられる製紙用薬品であり、濾水性向上剤や凝結剤などの名称で販売等されていたとしても、歩留り向上効果があれば本発明における歩留剤に該当する。本発明においては、高分子歩留剤(ポリマー系歩留剤)を好ましく用いることができ、例えば、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、非イオン性ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレンオキサイドとフェノール樹脂(スルホン化フェノールホルムアルデヒド樹脂など)とを併用する歩留りシステムのように複数の薬剤を併用することも可能である。
本発明の望ましい態様において使用する歩留剤としては、カチオン性の直鎖または分枝ポリマーが好ましく、製品の形態として、エマルション型もしくはディスパージョン型ポリマーであることが好ましく、ディスパージョン型ポリマーがより好ましく、ディスパージョン型でカチオン性であり、直鎖状のポリアクリルアミド系物質であることがさらに好ましい。エマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質の場合は、公知の方法で乳化重合されるが、好ましくは油中水型の逆相エマルション化法で合成される。
ポリアクリルアミド系物質の具体的な組成としては、アクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特には限定されないが、歩留りを高める観点からカチオン電荷密度は高いほうが良く、好ましくは1.0meq/g以上、より好ましくは1.5meq/g、さらに好ましくは2.0meq/g以上である。
歩留剤として用いるカチオン性ポリマーは、例えば、カチオン性モノマーと非イオン性モノマーとを共重合して得ることができ、カチオン性モノマーとしては、カチオン性ビニル単量体である(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミドなどを挙げることができる。また、非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドアクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられる。これらの中でアクリルアミドが最も好ましい。また、ポリマー化した後に加水分解などを行なって製造するポリビニルアミンなどに対しても用いることができる。
歩留剤として用いる両性ポリマーは、例えば、アニオン性ビニル単量体とカチオン性単量体とを共重合して得ることができ、アニオン性ビニル単量体としては、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸あるいはイタコン酸などを挙げることができる。
歩留剤としてアニオン性ポリマーや非イオン性ポリマーを使用する場合も、種類は特に制限されず、公知のポリマーを使用することができる。
本発明の歩留剤の添加場所は特に限定されないが、歩留剤を紙料と十分に混合させるため、スクリーンの出入口周辺で歩留剤を添加することが好ましい。スクリーン処理の際に生じるせん断力によって歩留剤の効果が抑制されないように、スクリーン出口で歩留剤を添加することがより好ましい。
(他の薬品等)
本発明において紙料に添加する製紙用薬品は、上記の炭酸ジルコニウム塩と分子量が1000万より大きい歩留剤を除いて特に制限されず、種々の薬品を単独または組み合わせて用いることができる。具体的には、本発明の製紙用薬品としては、例えば、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、ベントナイト、シリカ、サイズ剤、紙力剤、填料、染料、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などを用いることができる。本発明の製紙用薬品として好適に使用できるものとしては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの内添紙力増強剤;ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;などを挙げることができる。
抄紙工程・仕上げ工程
上記のようにして製紙用薬品を混合された紙料は、ヘッドボックスに送られ、ヘッドボックスからワイヤーに噴射されて抄紙される。本発明は、種々の抄紙機や抄紙法に適用することができる。抄紙機としては例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ギャップフォーマー抄紙機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できるが、特に地合が悪化しやすいツインワイヤー抄紙機でも、本発明の効果を有意に発揮させることができる。ツインワイヤー抄紙機としては、ギャップフォーマー、オントップフォーマーなどが挙げられる。抄紙速度は特に制限されないが、高速であることが好ましい。すなわち、高速抄紙においてはスクリーンにおけるシェアが大きくなるため、スクリーン後に歩留剤を添加すると本発明の効果を享受しやすくなり、また、高速抄紙ではヘッドボックス内での紙料と希釈水との合流が激しくなるため、スクリーン後に歩留剤を添加しても紙料を均一に混合することができるため、地合の良好な紙を高歩留りで製造することができる。本発明において高速抄紙とは、700m/分以上での抄紙を意味するが、本発明を適用して得られる効果が大きいことから、本発明の抄速は800m/分以上が好ましく、1000m/分以上がより好ましく、1200m/分以上がより好ましく、1500m/分以上が最も好ましい。なお、抄紙機は今後も高速化が進むと予想されるが、本発明の効果が得られる限り、抄紙速度の上限は制限されない。
さらに、本発明においては、抄造した紙に種々の表面処理を施すことができる。表面処理としては、顔料塗工やクリア塗工などの表面塗工を施すこともできるし、カレンダー処理を施すこともできる。
本発明において、紙表面に表面処理剤を塗工する場合、例えば、プレドライヤーとアフタードライヤーの間に設置された表面塗工装置を利用することができる。塗工装置は、一般に使用されるもの用いることができ、例えば、新聞用紙用の抄紙機ではゲートロールサイズプレスなどのフィルムトランスファー型のサイズプレスが一般的に用いられ、本発明においても好ましく用いることができる。もちろん、本発明においては、このような表面塗工を施さなくてもよい。
クリア塗工する表面塗工剤の種類や組成は、特に限定はないが、表面強度の強化を目的とした水溶性高分子物質としては、生澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉などの澱粉;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール;スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用する。中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉またはヒドロキシプロピル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、紙に吸水抵抗性を付与するために、前記の水溶性高分子物質の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物など一般的な表面サイズ剤を併用塗布することができるが、サイズ剤のイオン性がカチオン性であるものを塗布することが好ましい。
水溶性高分子物質と表面サイズ剤からなる表面処理剤を塗布する場合、水溶性高分子物質と表面サイズ剤との混合比率は公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。また、水溶性高分子物質および/または表面サイズ剤の塗布量も公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。
また、顔料塗工する場合、顔料としてはカオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料;プラスチックピグメント等の有機顔料を適宜選択して使用できる。接着剤としてはスチレン・ブタジエン系ラテックス、ポリビニルアルコール等の合成接着剤;澱粉類、セルロース誘導体等を便宜選択して使用できる。顔料と接着剤の割合は公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。塗工装置としては、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、ゲートロールコーター等を使用できる。もちろん、本発明においては、このような顔料塗工を施さなくてもよい。顔料塗工を施した場合、紙の灰分としては、顔料塗工層の組成により特に限定されるものではないが、10重量%〜50重量%程度が好ましく、20重量%〜45重量%程度がより好ましい。
本発明においては、紙表面にカレンダー処理を施すこともできるが、カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定はなく、金属ロールから成る通常のカレンダーやソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公用の装置を適宜選定し、品質目標値に応じて、これらの装置の制御可能な範囲内で条件を設定すればよい。
本発明の内容をより詳細に説明するため以下に実施例を示すが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において、部、%及びppmは、それぞれ重量部、重量%、重量ppmを示すものとして記載される。
評価方法
本発明における各種評価方法の詳細は次の通りである。各実施例および比較例の結果を表3に示す。
<歩留りの測定方法>
ストックインレット紙料又は動的濾水性試験機(マツボー(株)製、Dynamic Drainage Analyzer、以下DDAと表記する)の供試紙料とワイヤー下に抜け落ちた白水又はDDAの濾液について、それぞれ固形分濃度と灰分濃度を測定した。下記式(1)により紙料歩留りを、下記式(2)により灰分(填料)歩留りを測定した。なお、灰分の測定は、その固形分を525℃で灰化し、重量を測定した。
Figure 2010236134
<ピッチ欠陥の測定方法>
抄紙機のリール部に設置されている欠陥検出機を常時監視し、欠陥検出機で検出された異物の個数を一日あたりの欠陥数として集計した。
<粘着異物量への影響の確認>
[テスト1]
新聞古紙85%、雑誌古紙15%からなる古紙を脱墨して得られた完成DIP(固形分濃度1%)300gを40℃に加温した後、ダイナミックドレネージジャー(DDJ)を用いて1600rpmで撹拌し、炭酸ジルコニウムアンモニウム(日本軽金属(株)社製、商品名「ベイコート20」、製品濃度20%)を紙料固形分重量当たり0.01%添加した後再び1600rpmで3分間攪拌した。再生パルプを開口径25μmの篩で濾過し、得られた濾液を分子間相互作用定量測定装置(Q−sence(株)、商品名「QCM−D300」)に導入して濾液をポリスチレンで表面をコーティングした水晶振動子に12分間接触させた後、蒸留水を水晶振動子上に流して洗浄する作業を3分間行い、洗浄後の水晶振動子上における疎水性物質の付着量を測定した。
なお、上記の分子間相互作用定量測定装置は、消散型水晶振動子微小天秤を使用した粘着異物付着量の測定装置であり、特開2007−271545号公報に記載された方法に準じて測定され、値が小さいほど粘着異物量が少ないことを意味する。結果を表1に示す。
[テスト2]
炭酸ジルコニウムアンモニウムの添加量を0.02%に変えた以外は、テスト1と同様に行った。
[比較テスト1]
炭酸ジルコニウムアンモニウムを添加しなかった以外は、テスト1と同様に行った。
Figure 2010236134
表1の結果から、炭酸ジルコニウムアンモニウムを添加することにより、粘着異物量が低減されることがわかる。
<歩留り効果の確認>
[テスト3〜8、比較テスト2〜7]
新聞古紙85%、雑誌古紙15%からなる古紙を脱墨して得られた完成DIPを蒸留水で適宜希釈して作成した固形分濃度0.05%のパルプスラリー100gをDDAの攪拌槽に投入して攪拌回転数1200rpmで20秒間攪拌し、表2に示す各種歩留剤を添加し、15秒間攪拌後に回転速度を300rpmで3秒間撹拌した後、0.35barの減圧下で紙料を吸引し、ワイヤー上に形成したパルプシートを回収し、上記の方法で紙料および灰分歩留りを測定した。結果を表2に示す。
なお、各テストに使用した歩留剤について、製品名、製造メーカー、製品形態、製品濃度、極限粘度法による重量平均分子量、電荷密度、および添加量(紙料固形分重量当たり)を表2に示す。
Figure 2010236134
表2の結果から、分子量が1000万より大きい歩留剤(テスト3〜8)の場合、分子量が1000万以下の歩留剤(比較テスト2〜7)に比べて、紙料および灰分歩留りに優れることがわかる。
<新聞用紙の製造>
[実施例1]
新聞古紙90%、雑誌古紙10%からなる古紙を脱墨して得られた完成DIPに対して、pH6.5〜9.5の範囲となるように適宜硫酸を添加した後、抄紙機のDIP受入チェスト出口において再生パルプに対して炭酸ジルコニウムアンモニウム(日本軽金属(株)社製、商品名「ベイコート20」)を紙料固形分重量当たり0.1%添加した。その後、この炭酸ジルコニウムアンモニウム処理を行った再生パルプが70%、機械パルプが30%となるように配合した紙料に対して、マシンチェストからスクリーン前の間において、紙料固形分重量当たり、湿潤紙力増強剤を0.3%、硫酸バンドを0.3%、カチオン変性澱粉を0.9%、軽質炭酸カルシウムを6%となるようにそれぞれ添加した。さらに、スクリーン出口において極限粘度法による重量平均分子量が1500万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留剤(ハイモ(株)製、商品名「ND270」、製品濃度15%、カチオン電荷密度2.3meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加し、オントップ型抄紙機を用いて抄紙速度900m/分で坪量42.8g/m、紙中灰分12%となるように抄紙して新聞用紙を得た。上記の操業条件において、抄紙機の洗浄後の抄き出しから数えて16日間連続操業を行い、1日ごとに歩留りおよびピッチ欠陥の発生個数を計測した。
表3に結果を示す。なお、紙料および灰分の歩留りは、抄き出し後の連続操業期間の平均値として表す。また、ピッチ欠陥の発生個数は、抄き出し後の連続操業期間の累積個数と、それを操業日数で割った1日あたりの平均値(小数点以下四捨五入)として表す。
[実施例2]
歩留剤の添加量を250ppmに変えた以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
歩留剤を極限粘度法による重量平均分子量が約2000万のカチオン性の直鎖状ポリアクリルアミド系歩留剤(ソマール(株)製、商品名「リアライザーR300」、製品濃度50%、カチオン電荷密度1.74meq/g)を紙料固形分重量当たり300ppm添加した以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1]
炭酸ジルコニウムアンモニウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。但し、抄紙機の洗浄後の抄き出しから数えて8日間連続操業を行ったところで、ピッチの蓄積により抄紙機の洗浄が必要となり停機した。
[比較例2]
歩留剤を極限粘度法による重量平均分子量が約900万のカチオン性の直鎖状ポリアクリルアミド系歩留剤(ハイモ(株)製、商品名「DR1500」、製品濃度17%、カチオン電荷密度1.98meq/g)に変えた以外は、実施例1と同様に行った。但し、抄紙機の洗浄後の抄き出しから数えて5日間連続操業を行ったところで、ピッチの蓄積により抄紙機の洗浄が必要となり停機した。
[比較例3]
炭酸ジルコニウムアンモニウムの代わりにポリアミン・ポリアルキレンポリアミン複合体系凝結剤(ハイモ(株)製、商品名「SC924」、製品濃度35%)を紙料固形分重量当たり0.03%添加した以外は、実施例1と同様に行った。但し、抄紙機の洗浄後の抄き出しから数えて5日間連続操業を行ったところで、ピッチの蓄積により抄紙機の洗浄が必要となり停機した。
[比較例4]
炭酸ジルコニウムアンモニウムの代わりにアクリルアミド/トリメチルアミノアクリル酸系凝結剤(栗田工業(株)製、商品名「P610」、製品濃度45%)を紙料固形分重量当たり0.03%添加した以外は、実施例1と同様に行った。但し、抄紙機の洗浄後の抄き出しから数えて9日間連続操業を行ったところで、ピッチの蓄積により抄紙機の洗浄が必要となり停機した。
Figure 2010236134
表3の結果から、炭酸ジルコニウムアンモニウムと分子量が1000万より大きい歩留剤とを併用した場合(実施例1〜3)は、炭酸ジルコニウムアンモニウムを使用しない場合(比較例1)に比べて、紙料および灰分の歩留りが高く、かつ、ピッチ欠陥の発生が抑制されて長期の連続操業が可能であることがわかる。炭酸ジルコニウムアンモニウムと分子量が1000万以下の歩留剤とを併用した場合(比較例2)は、紙料および灰分の歩留りが低く、ピッチ欠陥の発生も著しかった。また、凝結剤と分子量が1000万より大きい歩留剤とを併用した場合(比較例3、4)も、紙料および灰分の歩留りが低く、ピッチ欠陥の発生も著しかった。

Claims (5)

  1. 再生パルプと、重量平均分子量が1000万より大きい高分子歩留剤と、炭酸ジルコニウム塩とを含んでなる紙料を用いて抄紙することを含む、印刷用紙の製造方法。
  2. 前記高分子歩留剤がカチオン性ポリマーである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記印刷用紙の紙面pHが6.5〜9.5である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記印刷用紙の灰分が8重量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記再生パルプが、紙料に含まれるパルプの40重量%以上を構成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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