JP5889079B2 - 電子写真用転写紙およびその製造方法 - Google Patents
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(1) 澱粉と導電剤を含有するクリア塗工層を片面あたり3.0g/m2より多くなるように原紙上に塗工した電子写真用転写紙。
(2) 澱粉が片面あたり1.0g/m2以上塗工されている、(1)に記載の電子写真用転写紙。
(3) 澱粉がヒドロキシエチル澱粉である、(1)または(2)に記載の電子写真用転写紙。
(4) A4サイズの電子写真用転写紙に27℃、80%RHの環境下で電子写真方式により画像を形成し、印刷面を上にして水平面に置いた際の紙の四隅の高さ(印刷後のカール)が3.0mm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真用転写紙。
(5) 澱粉を含有するクリア塗工層を片面あたり3g/m2より多くなるように原紙上に塗工することを含む、電子写真用転写紙の製造方法。
(6) ゲートロールコーターによってクリア塗工層を塗工する、(5)に記載の方法。
(7) (1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真用転写紙を用いて、27℃以上、80%RH以上の環境下で電子写真方式により画像を形成する方法。
本発明の電子写真用転写紙は、澱粉と導電剤を含むクリア塗工液を原紙の片面または両面に塗布し、クリア(透明)塗工層が設けられる。本発明においてクリア塗工とは、例えば、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、カーテンコーター、スプレーコーターなどのコーター(塗工機)を使用して、塗布液(表面処理液)を原紙上に塗布(サイズプレス)することをいう。
クリア塗工液に配合する高分子化合物として、上述した澱粉のみを用いることもできるが、それ以外にも各種の水溶性高分子を併用できる。水溶性高分子物質としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール;スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを適宜1種以上使用できる。また、紙に吸水抵抗性を付与するために、前記の水溶性高分子物質の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、アルキル(メタ)アクリレート系化合物など一般的な表面サイズ剤を併用塗布することができるが、中性抄紙の場合、サイズ剤のイオン性がカチオン性であるものを塗布することが好ましい。
原紙
本発明の電子写真用転写紙は、原紙層を有する。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
本発明で用いるパルプは特に制限されず、一般的なパルプを用いることができ、具体的には、一般的な木材パルプに加えて、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維などを使用することができる。具体的には、機械パルプ(MP)、脱墨パルプ(DIP、古紙パルプとも呼ばれる)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、紙の抄紙原料として一般的に使用されているものを好適に使用することができ、適宜、これらの1種類または2種類以上を配合して使用される。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。
本発明の紙に使用される填料は、灰分が5重量%以上となるように添加されれば特に制限はないが、例えば、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、シリカ、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン、ベントナイトなどの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料;を単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。特に、本発明においては、安価でかつ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウムを填料として使用することが好ましい。また、炭酸カルシウム−シリカ複合物(例えば、特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)などの複合填料も使用可能である。酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
一般に灰分は、紙に含まれる無機物の量を示すため、基本的に紙中に含まれる填料の量を反映する。紙の灰分は、紙料に添加されるフレッシュな填料に由来するものと、DIP(古紙パルプ、脱墨パルプ)などのパルプ原料によって持ち込まれるもので構成される。DIPによって持ち込まれる灰分としては、炭酸カルシウムが比較的多いが、炭酸カルシウム以外の無機成分も含まれ、炭酸カルシウムと他の無機成分との割合は、新聞古紙や雑誌古紙などの古紙の種類や回収状況などによって異なる。本発明において灰分は、JIS P 8251に規定される紙および板紙の灰分試験方法に準拠し、燃焼温度を525±25℃に設定した方法で測定される。
本発明においては、内添用として、公知の製紙用添加剤を使用することができる。製紙用薬品は、特に制限されず、種々の薬品を単独または組み合わせて用いることができる。例えば、例えば、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、ベントナイト、シリカ、サイズ剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、嵩高剤、填料、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの製紙用薬品を用いることができる。中でも、短時間で紙料との混合ができるという本発明の効果を大きく享受できる点で、製紙用薬品として歩留剤を添加することが特に好ましい。歩留剤の他、本発明の製紙用薬品として好適に使用できるものとしては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの内添乾燥紙力増強剤;ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などの内添湿潤紙力増強剤;ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;などを挙げることができる。
抄紙方法・抄紙機
上記のようにして製紙用薬品を混合された紙料は、ヘッドボックスに送られ、ヘッドボックスからワイヤーに噴射されて抄紙される。本発明は、種々の抄紙機や抄紙法に適用することができる。抄紙機としては例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ギャップフォーマー抄紙機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できるが、特に地合が悪化しやすいツインワイヤー抄紙機でも、本発明の効果を有意に発揮させることができる。ツインワイヤー抄紙機としては、ギャップフォーマー、オントップフォーマーなどが挙げられる。
顔料塗工
本発明の電子写真用転写紙は、顔料塗工により顔料塗工層を設けることもできる。本発明の電子写真用転写紙における顔料塗工層は、単層であっても多層であってもよい。本発明において塗工方法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。もちろん、本発明においては、このような顔料塗工を施さなくてもよい。顔料塗工を施した場合、紙の灰分は、顔料塗工層に含まれる無機物により高くなるため、本発明のある態様において、10重量%〜50重量%程度が好ましく、20重量%〜45重量%程度がより好ましい。
本発明の電子写真用転写紙は、以上のように得られた原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を設けることができる。塗工は、原紙の表面片面でも両面でも良いが、カールしない、表裏の物性が異ならないということから、両面塗工が好ましい。
本発明において、塗工液の調製方法は特に限定されず、コータの種類によって適宜調整できる。
本発明においては、通常用いられるコータであればいずれを用いても良い。オンマシンコーターでもオフマシンコーターでも良く、オンマシンコーターであれば、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーターなどのシムサイザーなどのフィルム転写型ロールコーター、ブレードコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーターなどのコーターを使用できる。塗工速度は、特に限定されない。
本発明における塗工液の塗工量は、片面あたり固形分で0.1〜6g/m2が好ましく、0.3〜5g/m2がより好ましく、0.5〜4g/m2がさらに好ましい。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。本発明においては、乾燥状態が用紙のカールの程度に影響を及ぼすため、表裏の乾燥バランスをコントロールすることができるような装置を用いることが好ましい。
本発明においては、紙表面にカレンダー処理を施すこともできるが、カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定はなく、金属ロールから成る通常のカレンダーやソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公用の装置を適宜選定し、品質目標値に応じて、これらの装置の制御可能な範囲内で条件を設定すればよい。
以下に記載する品質評価方法で、電子写真用転写紙の品質を評価した。
(1)印字操業性
23℃、50%RHの環境下で、長辺がMD方向となるようにして白紙をA4にカットし、印字方向に対してCD方向が平行となるようにサンプルをセットした状態でエプソン社製オフィリオLP−S7100を用いて100枚印字した際に、紙詰まりが発生する枚数を計測した。
○:紙詰まりは発生しない(0枚)
×:1枚以上紙詰まりが発生する
(2)クラークこわさ
23℃50%RHの環境下で24時間保持した白紙について、JIS P 8143に準拠した形でCD方向のクラークこわさを測定した。
(3)印字後カール
27℃、80%RHの環境下で、長辺がMD方向となるようにして白紙をA4にカットし、印字方向に対してCD方向が平行となるようにサンプルをセットした状態でエプソン社製オフィリオLP−S7100を用いて印字した後、印字面を上にして水平面に置いた際の四隅の高さを測定し、平均値を算出した。数値が小さい程、カールしにくいことを意味し、カールの高さが3cmを超えると、紙ぞろえしない等の問題が生じることがあるので好ましくない。
製紙用原料パルプとしてフリーネスを420mLに調整した原料パルプ(LBKP100%)に対し、パルプ絶乾重量あたり有姿0.5%の液体硫酸バンド、0.5%のカチオン変性澱粉、0.2%の内添サイズ剤、23%の軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)、100ppmの歩留まり向上剤を順次添加し、紙料を調製した。
次いで、ゲートロールコーターを用いて、塩化ナトリウム(導電剤)とヒドロキシエチル澱粉(HES:エチレックス2015、Tate&Lyle社、分子量約54万、蒸煮16分後の160rpmでのRVA粘度2600mPa・s)を混合したクリア塗工液(濃度20%)を原紙上にゲートロールコータで塗布、乾燥した。クリア塗工層の塗工量は片面あたり3.1g/m2であり、そのうち、塩化ナトリウムの塗工量は片面あたり0.05g/m2だった。
実施例2
クリア塗工層の塗工量を片面で3.5g/m2とした以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。
クリア塗工層をポンド式コーターで塗工し、クリア塗工層の塗工量を片面で5.0g/m2とした以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。
ヒドロキシエチル澱粉としてエチレックス2015の代わりに、エチレックス2035(蒸煮16分後の160rpmでのRVA粘度8000mPa・s以上)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。クリア塗工液の濃度は20%、塗工量は片面で3.1g/m2であった。
ヒドロキシエチル澱粉としてエチレックス2015の代わりに、エチレックス2035を用いた以外は、実施例3と同様にして電子写真用転写紙を得た。クリア塗工液の濃度は20%、塗工量は片面で5.0g/m2であった。
ヒドロキシエチル澱粉(エチレックス2015)の代わりに、酸化澱粉(SK−20、日本コーンスターチ社、蒸煮16分後の160rpmでのRVA粘度5300mPa・s以上)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。クリア塗工液の濃度は20%、塗工量は片面で3.1g/m2であった。
ヒドロキシエチル澱粉(エチレックス2015)の代わりに、酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ社、蒸煮16分後の160rpmでのRVA粘度6000mPa・s以上)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。クリア塗工液の濃度は20%、塗工量は片面で3.1g/m2であった。
ヒドロキシエチル澱粉(エチレックス2015)の代わりに、エチレックス2005(蒸煮16分後の160rpmでのRVA粘度1490mPa・s以上)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。クリア塗工液の濃度は20%、塗工量は片面で3.6g/m2であった。
ヒドロキシエチル澱粉(エチレックス2015)の代わりに、エチレックス2005(蒸煮16分後の160rpmでのRVA粘度1490mPa・s以上)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。クリア塗工液の濃度は20%、塗工量は片面で5.3g/m2であった。
クリア塗工層の塗工量を両面で2.0g/m2(片面あたり1.0g/m2)とした以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。
クリア塗工層の塗工量を両面で1.0g/m2(片面あたり0.5g/m2)とした以外は、実施例1と同様にして電子写真用転写紙を得た。
クリア塗工層の塗工量を両面で1.0g/m2(片面あたり0.5g/m2)とした以外は、実施例4と同様にして電子写真用転写紙を得た。
Claims (9)
- 分子量が60万以下のヒドロキシエチル澱粉と導電剤を含有するクリア塗工層を片面あたり3.0g/m2より多い塗工量で原紙上に有するが、顔料塗工層を有していない電子写真用転写紙。
- 前記ヒドロキシエチル澱粉が片面あたり1.0g/m2以上塗工されている、請求項1に記載の電子写真用転写紙。
- 前記導電剤の塗工量が片面あたり0.01〜0.5g/m 2 である、請求項1または2に記載の電子写真用転写紙。
- 前記ヒドロキシエチル澱粉が、濃度35重量%の澱粉スラリーをラピッドビスコアナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)を用いて、0〜5分の5分間で98℃まで昇温、5〜9分の4分間は98℃に保持、9〜12分の3分間で50℃まで降温、12〜16分の4分間は50℃に保持という蒸煮条件で蒸煮したときに、蒸煮16分後の粘度が3000mPa・s以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用転写紙。
- A4サイズの電子写真用転写紙に27℃、80%RHの環境下で電子写真方式により画像を形成し、印刷面を上にして水平面に置いた際の紙の四隅の高さ(印刷後のカール)が3.0cm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用転写紙。
- 分子量が60万以下のヒドロキシエチル澱粉を含有するクリア塗工層を片面あたり3g/m2より多くなるように原紙上に塗工することを含む、顔料塗工層を有していない電子写真用転写紙の製造方法。
- ゲートロールコーターによってクリア塗工層を塗工する、請求項6に記載の電子写真用転写紙の製造方法。
- 前記ヒドロキシエチル澱粉が、濃度35重量%の澱粉スラリーをラピッドビスコアナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)を用いて、0〜5分の5分間で98℃まで昇温、5〜9分の4分間は98℃に保持、9〜12分の3分間で50℃まで降温、12〜16分の4分間は50℃に保持という蒸煮条件で蒸煮したときに、蒸煮16分後の粘度が3000mPa・s以下である、請求項6または7に記載の電子写真用転写紙の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用転写紙を用いて、27℃以上、80%RH以上の環境下で電子写真方式により画像を形成する方法。
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