JP2004060084A - 製紙原料の調成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェットエンドの安定化を行い得る方法、特に断紙頻度を大幅に削減できる製紙原料の調成方法を提供する。
【解決手段】複数の紙料を調成し種箱6に供給する前の調成工程において、前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置20A,30Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を自動制御する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の紙料を調成し種箱6に供給する前の調成工程において、前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置20A,30Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を自動制御する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙原料の調成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、抄紙工程のウェットエンド(狭義には抄紙機の湿部:ウェットパートを言うが、広義には受入れた原料を調成し白水で希釈し、ヘッドボックスにワイヤーパート及びプレスパートを経てドライヤーパートに渡すまでの、抄紙工程でのウェット原料を扱う全工程を言う。)の安定化の管理因子として、原料濃度、フリーネス、イオン濃度、灰分、ファーストパスリテンション等が挙げられる。
【0003】
また、ウェットエンドの安定化のために、原料スラリーの電位(カチオンデマンド値)の管理が有効であるとされ、原料スラリーの電位調整用の薬品として硫酸バンド、カチオン化澱粉、凝結剤等の使用が広く行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原料スラリーの電位の測定には、従来、調成終了後のスラリー紙料を採取し、これを手分析によるスラリー電位測定器でのデータ収集を行い、次の操業に生かすことが行われてきたのみである。
【0005】
したがって、時系列的に連続測定データではなく、そのスラリー電位データを現操業に十分反映できるものではない。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、ウェットエンドの安定化を行い得る方法、特に断紙頻度を大幅に削減できる製紙原料の調成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、各前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御することを特徴とする製紙原料の調成方法。
【0008】
<作用効果>
本発明では、複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、各前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御する。
したがって、オンラインでのカチオン凝結剤の添加量制御であるから、最適なカチオンデマンドによる電位制御が可能であり、特に、迅速なカチオンデマンド測定値をフィードバックしてこれを制御することが可能であり、抄紙機のワイヤーパートでの濾水性の安定化を図ることができるとともに、ウェットパートでの断紙の低減を行うことができる。
【0009】
<請求項2項記載の発明>
複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御するとともに、
種箱からワイヤーパートに供給過程で、フリーネスを測定し、前記供給過程でフリーネス測定値による凝結剤・凝集剤の添加量の制御を行うことを特徴とする製紙原料の調成方法。
【0010】
<作用効果>
本発明では、種箱からワイヤーパートに供給過程でのフリーネス測定値による凝結剤・凝集剤の添加量の制御とは別に、カチオン凝結剤の添加量制御によるカチオンデマンドによる電位制御を行うので、的確なカチオンデマンドによる電位制御が可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに説明する。
「カチオンデマンド」とは、アニオン物質の持つ総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(炭酸カルシウムやタルクなど)、各種ウェットエンド添加薬品(顔料、サイズ剤、消泡剤など)、樹脂ピッチ、溶出リグニンなどである。
【0012】
アニオン物質にカチオン性の凝結剤を添加し、凝結させたものに、アニオン性(もしくはカチオン性)の凝集剤を添加することで、凝結したアニオン物質が凝集し、フロックを形成する。かかるメカニズムの下で、主に、ピッチをパルプに吸着させ極小な状態で紙料と共に工程を通過するか、系外に排出させることができ、ピッチ濃度の低減を図ることができる。このことで汚れ、欠陥、断紙を減少させることができ、生産性の向上が可能となる。アニオン物質による中和により、歩留の向上が可能となる。アニオン物質が凝集し、フロックを形成すると、濾水状態が良好になる。
【0013】
かかる理由により、濾水状態に関しては、カチオンデマンド(またはその量)が低いことが要求される。
【0014】
他方、配合原料の種類(たとえばNBKP,LBKP、DIP、GP、コートブローク)によってカチオンデマンドが異なる。また、異なる上に経時的な変動を含んでおり、したがって、配合原料の種類によって、添加すべきカチオン凝結剤の添加量を制御することが重要である。
【0015】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
図1は、コートブローク1とGP2とを強アニオン因子の配合原料とする例であり、コートブローク1はブロークチェスト2により原料(紙料)を混合し、配合チェスト4に導く。GP2は直接、配合チェスト4に導かれる。配合チェスト4での配合原料は、マシンチェスト5に供給された後、種箱6に導かれ、ここで調節したマシン原料をクリーナー7、ポンプ8及びスクリーン9を介して、ストックインレット10により抄紙機11のマシンパート12に供給される。
【0016】
コートブローク1については、ブロークチェスト2から配合チェスト4に導く過程で、オンラインのカチオンデマンド測定装置20Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、ブローク用デマンド制御装置20Bにより添加するブローク凝結剤の添加量を制御する。
【0017】
GP2については、配合チェスト4からマシンチェスト5に導く過程で、オンラインのカチオンデマンド測定装置30Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、GP用デマンド制御装置30Bにより添加するGP用凝結剤の添加量を制御する。
【0018】
この場合、マシンチェスト5が複数台ある場合、マシンチェスト5間での原料スラリーについてオンラインのカチオンデマンド測定装置によりカチオンデマンド測定値を得て、マシンチェスト5間に対してカチオン凝結剤の添加量を制御することも可能であるが、第1番目のマシンチェスト5にカチオン化澱粉を添加する場合、アニオントラッシュとカチオン化澱粉が先に凝結する現象が生じ、カチオン化澱粉の添加による紙力向上が期待できないのに対して、前者(図示)のように、配合チェスト4からマシンチェスト5に導く過程で、オンラインのカチオンデマンド測定装置30Bによるカチオンデマンド測定値に基づき、前記過程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御することにより、カチオン凝結剤の添加によりアニオントラッシュを封鎖するので、パルプにカチオン化澱粉が容易に結合できるので好ましい。
【0019】
配合チェスト4に対して、他のパルプを添加する場合、たとえば図示のように、KP、DIP及びマシーンブロークを添加する場合、これらのカチオンデマンドを実測してその凝結剤を添加する制御を実施することもできるが、通常は、カチオンデマンド測定装置30Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、凝結剤の添加量を制御するのみで足りる。
【0020】
なお、本発明において、凝結剤の添加量制御は、自動化するのが望ましいが、カチオンデマンド測定装置が示す実測値に基づき、作業員が手作業で添加量を調節する態様を排除するものではない。
【0021】
本発明において、カチオン凝結剤としては、PAM(ポリマーアクリルアミド)、PDADMAC(ポリダドマック)、PAm(ポリアミン)、PEI(ポリエチレンイミン)などを挙げることができる。
【0022】
また、オンラインのカチオンデマンド測定装置としては、代表的にPCT15もしくは20(mutek社製)を挙げることができる。このカチオンデマンド測定装置は、紙料を試験機のセルの中に導き入れ上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンの間にサンプル液の流れが生じることでコロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定させる装置である。
【0023】
他方、種箱6からワイヤーパート12に供給過程で、フリーネスを測定し、前記供給過程でフリーネス制御を行うことが望ましい。
【0024】
【実施例】
(比較例1)
図2は、ブローク紙料についてオンラインのカチオンデマンドによる電位制御を行わない比較例を示したものであり、経時的にカチオンデマンドがかなり高い値にまで悪化することが判る。
【0025】
(実施例1)
図1に示した本発明の方法を使用すると、図3に示すように、カチオンデマンドが経時的に安定しかつ低い値を示す。
【0026】
(比較例2)
図4は、オンラインのカチオンデマンドを行わない比較例を示したものであり、GPのカチオンデマンドが高いので、インレットでのカチオンデマンドに差が生じていることが判る。
【0027】
(実施例2)
図1に示した本発明の方法を使用すると、図5に示すように、配合原料種類(品種)間でのカチオンデマンドの差異は実質的になくなることが判る。
【0028】
(比較例3)
図6はそれぞれコートブロークを配合する例であり、オンラインのカチオンデマンドによる電位制御を行わない比較例を示したものであり、コートブロークの種類の相違に基づくカチオンデマンドの差がすべての過程において生じていることが判る。
【0029】
(実施例3)
これに対して、図1に示した本発明の方法を使用すると、図7に示すように、コートブロークの種類間でのカチオンデマンドの差異は実質的になくなることが判る。
【0030】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、受入パルプやコートブローク紙料の受入段階で、電位調整を発明によるオンラインでのカチオンデマンド制御によって行うことで、歩留効果を向上、マシン前の安定化を行うことで、ウェットパートの安定化が可能となり、さらに断紙低減が図れる。ちなみに、断紙については、16回/月であったものが、本発明の採用により、7回/月に顕著に減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概要フロー図である。
【図2】カチオンデマンドによる電位制御を行わない場合におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図3】本発明に従って、カチオンデマンドによる電位制御を実施した場合におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図4】カチオンデマンド制御を行わない場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図5】本発明に従って、カチオンデマンドによる電位制御を実施した場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図6】他のパルプに関して、カチオンデマンドによる電位制御を行わない場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図7】他のパルプに関して、本発明に従って、カチオンデマンドによる電位制御を実施した場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【符号の説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙原料の調成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、抄紙工程のウェットエンド(狭義には抄紙機の湿部:ウェットパートを言うが、広義には受入れた原料を調成し白水で希釈し、ヘッドボックスにワイヤーパート及びプレスパートを経てドライヤーパートに渡すまでの、抄紙工程でのウェット原料を扱う全工程を言う。)の安定化の管理因子として、原料濃度、フリーネス、イオン濃度、灰分、ファーストパスリテンション等が挙げられる。
【0003】
また、ウェットエンドの安定化のために、原料スラリーの電位(カチオンデマンド値)の管理が有効であるとされ、原料スラリーの電位調整用の薬品として硫酸バンド、カチオン化澱粉、凝結剤等の使用が広く行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原料スラリーの電位の測定には、従来、調成終了後のスラリー紙料を採取し、これを手分析によるスラリー電位測定器でのデータ収集を行い、次の操業に生かすことが行われてきたのみである。
【0005】
したがって、時系列的に連続測定データではなく、そのスラリー電位データを現操業に十分反映できるものではない。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、ウェットエンドの安定化を行い得る方法、特に断紙頻度を大幅に削減できる製紙原料の調成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、各前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御することを特徴とする製紙原料の調成方法。
【0008】
<作用効果>
本発明では、複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、各前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御する。
したがって、オンラインでのカチオン凝結剤の添加量制御であるから、最適なカチオンデマンドによる電位制御が可能であり、特に、迅速なカチオンデマンド測定値をフィードバックしてこれを制御することが可能であり、抄紙機のワイヤーパートでの濾水性の安定化を図ることができるとともに、ウェットパートでの断紙の低減を行うことができる。
【0009】
<請求項2項記載の発明>
複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御するとともに、
種箱からワイヤーパートに供給過程で、フリーネスを測定し、前記供給過程でフリーネス測定値による凝結剤・凝集剤の添加量の制御を行うことを特徴とする製紙原料の調成方法。
【0010】
<作用効果>
本発明では、種箱からワイヤーパートに供給過程でのフリーネス測定値による凝結剤・凝集剤の添加量の制御とは別に、カチオン凝結剤の添加量制御によるカチオンデマンドによる電位制御を行うので、的確なカチオンデマンドによる電位制御が可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに説明する。
「カチオンデマンド」とは、アニオン物質の持つ総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(炭酸カルシウムやタルクなど)、各種ウェットエンド添加薬品(顔料、サイズ剤、消泡剤など)、樹脂ピッチ、溶出リグニンなどである。
【0012】
アニオン物質にカチオン性の凝結剤を添加し、凝結させたものに、アニオン性(もしくはカチオン性)の凝集剤を添加することで、凝結したアニオン物質が凝集し、フロックを形成する。かかるメカニズムの下で、主に、ピッチをパルプに吸着させ極小な状態で紙料と共に工程を通過するか、系外に排出させることができ、ピッチ濃度の低減を図ることができる。このことで汚れ、欠陥、断紙を減少させることができ、生産性の向上が可能となる。アニオン物質による中和により、歩留の向上が可能となる。アニオン物質が凝集し、フロックを形成すると、濾水状態が良好になる。
【0013】
かかる理由により、濾水状態に関しては、カチオンデマンド(またはその量)が低いことが要求される。
【0014】
他方、配合原料の種類(たとえばNBKP,LBKP、DIP、GP、コートブローク)によってカチオンデマンドが異なる。また、異なる上に経時的な変動を含んでおり、したがって、配合原料の種類によって、添加すべきカチオン凝結剤の添加量を制御することが重要である。
【0015】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
図1は、コートブローク1とGP2とを強アニオン因子の配合原料とする例であり、コートブローク1はブロークチェスト2により原料(紙料)を混合し、配合チェスト4に導く。GP2は直接、配合チェスト4に導かれる。配合チェスト4での配合原料は、マシンチェスト5に供給された後、種箱6に導かれ、ここで調節したマシン原料をクリーナー7、ポンプ8及びスクリーン9を介して、ストックインレット10により抄紙機11のマシンパート12に供給される。
【0016】
コートブローク1については、ブロークチェスト2から配合チェスト4に導く過程で、オンラインのカチオンデマンド測定装置20Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、ブローク用デマンド制御装置20Bにより添加するブローク凝結剤の添加量を制御する。
【0017】
GP2については、配合チェスト4からマシンチェスト5に導く過程で、オンラインのカチオンデマンド測定装置30Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、GP用デマンド制御装置30Bにより添加するGP用凝結剤の添加量を制御する。
【0018】
この場合、マシンチェスト5が複数台ある場合、マシンチェスト5間での原料スラリーについてオンラインのカチオンデマンド測定装置によりカチオンデマンド測定値を得て、マシンチェスト5間に対してカチオン凝結剤の添加量を制御することも可能であるが、第1番目のマシンチェスト5にカチオン化澱粉を添加する場合、アニオントラッシュとカチオン化澱粉が先に凝結する現象が生じ、カチオン化澱粉の添加による紙力向上が期待できないのに対して、前者(図示)のように、配合チェスト4からマシンチェスト5に導く過程で、オンラインのカチオンデマンド測定装置30Bによるカチオンデマンド測定値に基づき、前記過程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御することにより、カチオン凝結剤の添加によりアニオントラッシュを封鎖するので、パルプにカチオン化澱粉が容易に結合できるので好ましい。
【0019】
配合チェスト4に対して、他のパルプを添加する場合、たとえば図示のように、KP、DIP及びマシーンブロークを添加する場合、これらのカチオンデマンドを実測してその凝結剤を添加する制御を実施することもできるが、通常は、カチオンデマンド測定装置30Aによるカチオンデマンド測定値に基づき、凝結剤の添加量を制御するのみで足りる。
【0020】
なお、本発明において、凝結剤の添加量制御は、自動化するのが望ましいが、カチオンデマンド測定装置が示す実測値に基づき、作業員が手作業で添加量を調節する態様を排除するものではない。
【0021】
本発明において、カチオン凝結剤としては、PAM(ポリマーアクリルアミド)、PDADMAC(ポリダドマック)、PAm(ポリアミン)、PEI(ポリエチレンイミン)などを挙げることができる。
【0022】
また、オンラインのカチオンデマンド測定装置としては、代表的にPCT15もしくは20(mutek社製)を挙げることができる。このカチオンデマンド測定装置は、紙料を試験機のセルの中に導き入れ上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンの間にサンプル液の流れが生じることでコロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定させる装置である。
【0023】
他方、種箱6からワイヤーパート12に供給過程で、フリーネスを測定し、前記供給過程でフリーネス制御を行うことが望ましい。
【0024】
【実施例】
(比較例1)
図2は、ブローク紙料についてオンラインのカチオンデマンドによる電位制御を行わない比較例を示したものであり、経時的にカチオンデマンドがかなり高い値にまで悪化することが判る。
【0025】
(実施例1)
図1に示した本発明の方法を使用すると、図3に示すように、カチオンデマンドが経時的に安定しかつ低い値を示す。
【0026】
(比較例2)
図4は、オンラインのカチオンデマンドを行わない比較例を示したものであり、GPのカチオンデマンドが高いので、インレットでのカチオンデマンドに差が生じていることが判る。
【0027】
(実施例2)
図1に示した本発明の方法を使用すると、図5に示すように、配合原料種類(品種)間でのカチオンデマンドの差異は実質的になくなることが判る。
【0028】
(比較例3)
図6はそれぞれコートブロークを配合する例であり、オンラインのカチオンデマンドによる電位制御を行わない比較例を示したものであり、コートブロークの種類の相違に基づくカチオンデマンドの差がすべての過程において生じていることが判る。
【0029】
(実施例3)
これに対して、図1に示した本発明の方法を使用すると、図7に示すように、コートブロークの種類間でのカチオンデマンドの差異は実質的になくなることが判る。
【0030】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、受入パルプやコートブローク紙料の受入段階で、電位調整を発明によるオンラインでのカチオンデマンド制御によって行うことで、歩留効果を向上、マシン前の安定化を行うことで、ウェットパートの安定化が可能となり、さらに断紙低減が図れる。ちなみに、断紙については、16回/月であったものが、本発明の採用により、7回/月に顕著に減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概要フロー図である。
【図2】カチオンデマンドによる電位制御を行わない場合におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図3】本発明に従って、カチオンデマンドによる電位制御を実施した場合におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図4】カチオンデマンド制御を行わない場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図5】本発明に従って、カチオンデマンドによる電位制御を実施した場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図6】他のパルプに関して、カチオンデマンドによる電位制御を行わない場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【図7】他のパルプに関して、本発明に従って、カチオンデマンドによる電位制御を実施した場合における、各過程におけるカチオンデマンドの経時的推移を示すグラフである。
【符号の説明】
Claims (2)
- 複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御することを特徴とする製紙原料の調成方法。
- 複数の紙料を調成し種箱に供給する前の調成工程において、各前記紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置によるカチオンデマンド測定値に基づき、前記調成工程におけるカチオン凝結剤の添加量を制御するとともに、
種箱からワイヤーパートに供給過程で、フリーネスを測定し、前記供給過程でフリーネス測定値による凝結剤・凝集剤の添加量の制御を行うことを特徴とする製紙原料の調成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002218544A JP2004060084A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 製紙原料の調成方法 |
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JP2002218544A JP2004060084A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 製紙原料の調成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004060084A true JP2004060084A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31939697
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002218544A Pending JP2004060084A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 製紙原料の調成方法 |
Country Status (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005179831A (ja) * | 2003-12-19 | 2005-07-07 | Daio Paper Corp | 古紙再生パルプとそれを用いた紙 |
JP2005299028A (ja) * | 2004-04-13 | 2005-10-27 | Oji Paper Co Ltd | 抄紙機紙切れ予測装置、抄紙機紙切れ予測方法およびコンピュータプログラム |
WO2008123493A1 (ja) | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 塗工原紙および塗工紙の製造方法 |
JP2019060045A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 大王製紙株式会社 | 新聞用紙の製造方法 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002218544A patent/JP2004060084A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005179831A (ja) * | 2003-12-19 | 2005-07-07 | Daio Paper Corp | 古紙再生パルプとそれを用いた紙 |
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JP4560772B2 (ja) * | 2004-04-13 | 2010-10-13 | 王子製紙株式会社 | 抄紙機紙切れ予測装置、抄紙機紙切れ予測方法およびコンピュータプログラム |
WO2008123493A1 (ja) | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 塗工原紙および塗工紙の製造方法 |
JPWO2008123493A1 (ja) * | 2007-03-30 | 2010-07-15 | 日本製紙株式会社 | 塗工原紙および塗工紙の製造方法 |
US8101046B2 (en) | 2007-03-30 | 2012-01-24 | Nippon Paper Industries, Co. Ltd. | Methods for producing coating base papers and coated papers |
JP5210298B2 (ja) * | 2007-03-30 | 2013-06-12 | 日本製紙株式会社 | 塗工原紙および塗工紙の製造方法 |
JP2019060045A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 大王製紙株式会社 | 新聞用紙の製造方法 |
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