JP5196076B1 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し(B)Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMを2価金属としてMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるハイドロタルサイト粒子を0.1〜30重量部配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、流動性および機械的強度を損なうことなく、200℃近傍のポリフェニレンスルフィド樹脂の融点以下の領域での発生ガス量が少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形体に関するものである。本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品は、特にレンズや反射面をもつ光学部品に適する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す場合もある)は高耐熱性のスーパーエンジニアリングプラスチックに属し、優れた機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性などを有している。そのため、射出成形用を中心として、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品および機械部品などの用途に幅広く使用されている。
近年、ポリフェニレンスルフィド樹脂の高い耐熱性を活かし、その組成物をプロジェクターなどのランプケース部品、レンズホルダー部品などのランプ周り部品、シャーシ部品などへの適用が進んでいる。しかしながら、プロジェクター自体の小型化や光源の出力上昇に伴い、プロジェクター内部の温度環境が一段と厳しくなり、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる部品が、200℃近傍の温度環境下で使用されるようになってきた。この温度領域では、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からガスが発生するため、レンズやミラーに付着し曇りが発生することが問題となってきている。
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物として、例えば、特許文献1や2には、ハイドロタルサイトを配合したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が開示されている。特許文献1記載の樹脂組成物の製造方法によれば、遊離の電解質不純物の含有量が低減されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られる。また、特許文献2記載の樹脂組成物の製造方法によれば、成形時の腐食性ガスの発生が抑制されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られる。これらの文献中に使用されているハイドロタルサイトは、Mg−Al系ハイドロタルサイトである。一方、特許文献3にはMg−Zn−Al系ハイドロタルサイトを塩ビなどに配合することで、透明性の高い樹脂組成物を得ることが記載されている。
また、結晶化速度を向上させることにより低温金型成形での高結晶化やインサート成形等の作業性が改善された樹脂組成物として、ポリフェニレンスルフィド樹脂にMg−Al系ハイドロタルサイトを配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、成形時の金属腐食、金型汚染が抑制された樹脂組成物として、ポリフェニレンスルフィド樹脂にマグネシウムアルミニウムヒドロキシ過塩素酸ハイドロタルサイトを配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
一方、農業用フィルム等の水白化防止、ブルーミング抑制・電気抵抗低下防止、着色(黄変)抑制された農業用フィルム等向けの合成樹脂組成物として、ハイドロタルサイトを合成樹脂に配合してなる合成樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照)。また、耐熱劣化性、非凝集性、成形適正、耐衝撃強度が向上した合成樹脂組成物として、熱可塑性の合成樹脂にハイドロタルサイト粒子を配合してなる合成樹脂が提案されている(例えば、特許文献7)。特許文献6〜7に使用されているハイドロタルサイトの粒子は、全体が同一の組成のハイドロタルサイト粒子によって構成されている。
しかしながら、特許文献4〜7に記載された樹脂組成物は、流動性および機械的強度が不十分であり、該樹脂組成物から得られる成形体では、曇り発生等の不具合抑制効果が不十分であるという課題があった。
また、特定のポリフェニレンスルフィド樹脂を用いることで、レンズ等の曇りを防ぐことが出来るポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献8参照)。あるいは、コアシェル構造(なお、本願記載では芯−表層構造に相当)を有するハイドロタルサイト型粉末をエチレン酢酸ビニル共重合体に配合することで、樹脂の酸による分解抑制できることが開示されている。(例えば、特許文献9参照)しかし、特許文献8,9において具体的に開示された組成物では、200℃近傍でのレンズ等の曇り低減には不十分であった。
特開昭61−120856号公報 特開平6−322271号公報 特開2004−299931号公報 平4−103665号公報 平4−218531号公報 WO2006/043352号公報 特開2004−225052号公報 特開2009−275197号公報 特開2011−105573号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として鋭意検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明は、流動性および機械的強度を損なうことなく、200℃近傍のポリフェニレンスルフィド樹脂の融点以下の領域での発生ガス量が少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形体を提供する。
発明者らは、ポリフェニレンスルフィド樹脂にMg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMを2価金属としてMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるハイドロタルサイト粒子を配合することにより、流動性および機械的強度を損なうことなく、200℃近傍での発生ガスを抑制することができるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を見出した。
即ち、本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し(B)Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMを2価金属としてMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるハイドロタルサイト粒子を0.1〜30重量部配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(2)2価金属Mが、Mgおよび/またはZnを含むことを特徴とする(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(3)ハイドロタルサイト粒子の平均板面径が0.1〜1μmであることを特徴とする(1)または(2)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
ただし、上記(1)または(2)に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物において、ハイドロタルサイト粒子の平均板面径は、0.1μm未満であっても良い。また、上記(1)または(2)に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物において、ハイドロタルサイト粒子の平均板面径は、1μmを超えることとしても良い。
(4)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に(C)ハイドロタルサイト以外の無機充填材を5〜300重量部配合することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
ただし、上記(1)〜(3)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物において、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に配合する(C)ハイドロタルサイト以外の無機充填材は、5重量部未満であっても良い。また、上記(1)〜(3)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物において、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に配合する(C)ハイドロタルサイト以外の無機充填材は、300重量部を超えることとしても良い。
(5)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなるペレットを200℃、168時間でフォギング試験した後のガラス板のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
ただし、上記(1)〜(4)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物において、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなるペレットを200℃、168時間でフォギング試験した後のガラス板のヘイズ値は、10%を超えることとしても良い。
(6)(1)〜(5)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体。
(7)成形体が光学部品であることを特徴とする(6)記載の成形体。
ただし、(6)記載の成形体は、光学部品以外であっても良い。
本発明の実施形態によれば、流動性および機械的強度を損なうことなく、200℃近傍のポリフェニレンスルフィド樹脂の融点以下の領域での発生ガス分が少なく、レンズ等の曇りを防ぐことが出来るポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形体を得ることが可能である。本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、レンズ等の曇りを防ぐことが可能であり、各種電気・電子部品、自動車部品および機械部品などの用途に適している。特に熱的に過酷な使用条件下で使用され、レンズ等の曇りなどの発生が敬遠されるプロジェクター部品などの光学部品(投光装置用の構造部材)などの材料として適するものである。
((A)ポリフェニレンスルフィド樹脂)
本発明の実施形態で使用する(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略すことがある)は、下記構造式で示される繰り返し単位
Figure 0005196076
を70モル%以上、好ましくは90モル%以上を含む重合体である。上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱性が損なわれる傾向にある。
また、本発明の実施形態で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能である。
Figure 0005196076
かかるポリフェニレンスルフィド樹脂は、通常公知の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される方法、あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される方法などによって製造することができる。特公昭45−3368号公報に記載される方法は、比較的分子量の小さな重合体を得る方法である。特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される方法は、比較的分子量の大きな重合体を得る方法である。
本発明の実施形態においては、上記のようにして得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を、酸水溶液などによる洗浄(酸洗浄)、有機溶媒あるいは熱水による処理、アルカリ土類金属塩を含む水による洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、から選択される処理を施した上で使用することができる。また、これらの処理を複数回繰り返したり、異なる処理を組み合わせたりすることももちろん可能である。なかでもポリフェニレンスルフィド樹脂を酸洗浄してから使用することは、本発明の実施形態の効果をより顕著に発揮する上で特に有効である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を酸洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリフェニレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法であり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の酸洗浄に用いる酸または酸水溶液は、pHは2.5〜5.5であることが好ましい。また、酸洗浄に用いる酸または酸水溶液の使用量は、乾燥したポリフェニレンスルフィド樹脂1kgに対して2〜100kgであることが好ましく、4〜50kgであることがより好ましく、5〜15kgであることがさらに好ましい。洗浄温度に特に制限はなく、通常室温で行うことが可能であり、加熱する場合には50〜90℃で行うことが可能である。洗浄時間は通常30分以上であることが好ましく、45分以上であることがさらに好ましい。上限についても特に制限はないが、洗浄効率の点から90分程度であることが好ましい。例えば、酢酸を用いる場合、室温に保持したpH4の水溶液中にポリフェニレンスルフィド樹脂粉末を浸漬し、45〜90分間撹拌することが好ましい。酸処理を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜100℃であることが好ましく、60〜95℃であることがさらに好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸洗浄によるポリフェニレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にポリフェニレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリフェニレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリフェニレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリフェニレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリフェニレンスルフィド樹脂と水との割合は、水が多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、ポリフェニレンスルフィド樹脂200g以下の浴比が選択される。
ポリフェニレンスルフィド樹脂をアルカリ土類金属塩を含む水で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。アルカリ土類金属塩の種類としては特に制限は無いが、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの水溶性有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物が好ましい例として挙げられる。特に酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの水溶性有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩が好ましい。水の温度は、室温〜200℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。上記水中におけるアルカリ土類金属塩の使用量は乾燥ポリフェニレンスルフィド樹脂1kgに対し0.1g〜50gであることが好ましく、0.5g〜30gであることがより好ましい。洗浄時間としては0.5時間以上が好ましく、1.0時間以上がより好ましい。また、洗浄浴比(乾燥ポリフェニレンスルフィド樹脂単位重量当たりのアルカリ土類金属塩を含む温水使用重量)は、洗浄時間、温度にもよるが、乾燥ポリフェニレンスルフィド1kg当たり、上記アルカリ土類金属を含む温水を5kg以上用いて洗浄することが好ましく、10kg以上用いて洗浄することがより好ましい。洗浄浴比の上限としては特に制限はなく、高くてもよいが、使用量と得られる効果の点から100kg以下であることが好ましい。かかる温水洗浄は複数回行っても良い。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下、あるいは、前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で加熱を行う方法を例示することができる。加熱により架橋/高分子量化する場合には、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行えば良い。加熱処理温度としては、通常150〜280℃の範囲が選択され、好ましくは200〜270℃である。加熱処理時間としては、通常0.5〜100時間の範囲が選択され、好ましくは2〜50時間である。加熱処理温度および加熱処理時間をコントロールすることによって、目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。ポリフェニレンスルフィド樹脂を加熱により架橋/高分子量化したものを本発明の実施形態の(A)ポリフェ二レンスルフィド樹脂として用いると、発生ガス量の低減がより顕著となる。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃の条件で加熱処理する方法を例示することができる。加熱時間としては、0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間の条件を選択することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
本発明の実施形態で用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は1〜1500Pa・sの範囲のものであれば特に制限はない。しかし、薄肉の射出成形体が得られやすい観点から、300Pa・s以下であることが好ましく、200Pa・s以下がより好ましい。下限については、溶融粘度が1Pa・s以下であると溶融成形加工性が劣り、ガス発生量が増加するという困難なことがあるので、1Pa・s以上であることが好ましく、5Pa・s以上であることがより好ましい。
なお、本発明の実施形態における溶融粘度は、300℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
また、本発明の実施形態では、溶融粘度の異なる複数種類のポリフェニレンスルフィド樹脂を混合して使用しても良い。
((B)Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子)
次に、本発明の実施形態で用いる(B)Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMを2価金属としてMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるハイドロタルサイト粒子(以下、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子という)について述べる。
本発明の実施形態では、ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し(B)Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を0.1〜30重量部配合することで、流動性および機械的強度を損なうことなく、200℃近傍での発生ガスが少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られる。さらに、本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形した場合には、レンズ、ミラー等の曇りを防ぐことが出来る成形体を得ることが可能である。
本発明の実施形態で用いる(B)Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMを2価金属としてMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるハイドロタルサイト粒子であり、平均板面径が0.1〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.8μmである。
実施形態で用いる(B)Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子としては、具体的には、特開2004−299931号公報または特開2011−105573号公報に開示されるハイドロタルサイト型粒子粉末を用いることができる。
ここでMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の平均板面径は、電子顕微鏡写真で5万倍で観察し、100個の粒子の粒径を測定し、数平均をとった値である。それぞれの粒子の粒径は、写真に写った面において最も長い径と最も短い径を足して2で割った値とする。
Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の平均板面径が0.1μm以上であると、PPS樹脂に配合する際の分散性が良好となる。また、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の平均板面径は、1μm以下が工業的な生産が現実的である。
また、本発明の実施形態で用いる(B)Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子のBET比表面積は、5〜150m2/gが好ましく、より好ましくは5〜60m2/g、更により好ましくは7〜30m2/gである。BET比表面積は、窒素を用いたB.E.T.法により測定した値である。BET比表面積が5m2/g以上のハイドロタルサイト粒子は、比表面積が小さすぎることはないため、十分なガス吸着性を得ることが可能となる。BET比表面積が150m2/g以下の場合には、粒子同士の凝集が起こりにくく、樹脂への均一分散が可能となる。
また、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、粒子全体として下記組成式で表されるものであることが好ましい。芯粒子のMgおよびAlの合計モル数に対する該芯粒子の粒子表面に形成された外層におけるMg、2価金属MおよびAlの合計モル数のモル比は、0.50以下が好ましく、0.35以下であることがより好ましい。
<Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の組成>
(Mg1-yy1-x・Alx・(OH)2・Ann- p・mH2
0.2≦x≦0.5、
0.003≦y≦0.6、
0<m≦1、
p=x/n、
An:n価のアニオン
ここで、mの値は、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の水分含有量を示す値であり、0.8〜1.0が好ましい。
上記組成式におけるx、yの値は、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を酸で溶解し、プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))などで分析することにより求めることができる。
本発明の実施形態のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子のAl含有量の割合xは0.2〜0.5が好ましい。xが0.2未満の場合及び0.5を超える場合には、ハイドロタルサイト粒子の単層を得ることが困難となる。なお、単層とは芯粒子及び芯粒子表面の外層それぞれの各成分が均一であることを示す。より好ましくは0.2〜0.4である。xがこの範囲のハイドロタルサイト粒子を用いることで、PPS樹脂に配合したときの発生ガスを抑える効果を発現させることができる。また、2価金属M含有量の割合yは0.003〜0.6が好ましい。yがこの範囲のハイドロタルサイト粒子を用いることで、PPS樹脂に配合したときの発生ガスを抑える効果を発現させることができる。yの好ましい範囲は0.003〜0.4である。
本発明の実施形態に用いるMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の表面に存在する2価金属Mの含有量は、芯粒子のマグネシウムのモル数に対する、芯粒子表面に設けられた外層におけるマグネシウムと2価金属Mとの合計モル数のモル比(Mg+M)/Mgが0.05〜0.6が好ましく、0.2〜0.4がより好ましく、0.2〜0.3がさらに好ましい。前記モル比が0.05〜0.6の範囲であると、PPS樹脂に配合したときの発生ガス量を抑える効果を発現させることができる。なお、芯粒子に含有されるMgのモル数と、表面の2価金属Mのモル数は、ハイドロタルサイト粒子を製造する際の仕込み量と一致するものと推定される。
本発明の実施形態のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子に含有されているアニオン(Ann-)の種類は、特に限定されるものではないが、例えば水酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、有機カルボン酸イオン、有機スルフォン酸イオン、有機リン酸イオンなどが挙げられる。
上記Mで表される2価金属の種類は、Mg、Zn、Ca、Fe、Ni、Cu、Co、Mnなどから選ばれる1種以上が挙げられ、2価金属の中から少なくとも一種含有しておればよく、必要であれば2種以上の2価金属を含有させることもできる。上記Mで表される2価金属としては、Mgおよび/またはZnが生産性および経済的に好ましい。本発明の実施形態のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、例えば、Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、芯粒子表面にMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を成長させることによって得られる。本発明の実施形態では、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子として、熱処理をしたものを用いても良い。
本発明の実施形態のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、必要に応じ、粒子表面が高級脂肪酸やアニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の表面処理剤で被覆されていてもよい。表面被覆物で被覆することによってMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子のPPS樹脂中への分散性が向上するほか、さらなるPPS樹脂組成物の高機能化、安定化が可能である。
高級脂肪酸としては、例としてラウリル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。高級脂肪酸リン酸エステルとしては、例えば、ステアリルエーテルリン酸、オレイルエーテルリン酸、ラウリルエーテルリン酸などが挙げられる。多価アルコールエステルとしては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ステアリン酸モノグリセライドなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ひまし油カリウムなどの塩類などが挙げられる。
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、チタン系、ジルコニウム系カップリング剤などが挙げられる。
((B)Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の製造方法)
次に、本発明の実施形態で用いるMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の製造法について述べる。
アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム塩水溶液とアルミニウム塩水溶液とを混合し、pH値が10〜14の範囲の混合溶液とする。その後、該混合溶液を40〜105℃、好ましくは80〜105℃の温度範囲で処理してMg−Al系ハイドロタルサイト型粒子の芯粒子を生成させる(1次反応)。次いで、該芯粒子を含む水性懸濁液に、該芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、合計モル数が0.50以下、好ましくは0.35以下となる割合でマグネシウム、2価金属M及びアルミニウムを含有するマグネシウム塩水溶液と2価金属M塩水溶液とアルミニウム塩水溶液とを添加する。その後、pH値が8〜11の範囲、温度が45〜105℃、好ましくは65〜105℃の範囲で処理すること(2次反応)により、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を得ることができる。
ここでアニオンを含むアルカリ性水溶液としては、アニオンを含む水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液が好ましい。
アニオンを含む水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、有機カルボン酸塩、有機スルフォン酸塩、有機リン酸塩などの水溶液が好ましい。
水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、尿素水溶液などが好ましい。
マグネシウム塩水溶液としては、硫酸マグネシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液及び硝酸マグネシウム水溶液などを使用することができ、好ましくは硫酸マグネシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液である。また、酸化マグネシウム粉末や水酸化マグネシウム粉末のスラリーを代用しても良い。
アルミニウム塩水溶液としては、硫酸アルミニウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液及び硝酸アルミニウム水溶液などを使用することができ、好ましくは硫酸アルミニウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液である。また、酸化アルミニウム粉末や水酸化アルミニウム粉末のスラリーを代用しても良い。
1次反応において、アニオンを含有するアルカリ水溶液、マグネシウム及びアルミニウムの混合順序は、特に限定されるものではなく、また、各水溶液あるいはスラリーを同時に混合してもよい。好ましくは、アニオンを含有するアルカリ水溶液に、予めマグネシウム及びアルミニウムを混合した水溶液若しくはスラリーを添加する。
また、各水溶液を添加する場合には、該水溶液を一度に添加する場合、又は連続的に滴下する場合のいずれで行ってもよい。
1次反応におけるアニオンを含有するアルカリ水溶液、マグネシウム及びアルミニウムを混合した反応溶液中の濃度は、マグネシウムは0.1〜1.5mol/lが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2mol/l、アルミニウムは0.03〜1.0mol/lが好ましく、より好ましくは、0.04〜0.8mol/l、アニオンは0.05〜1.4mol/lが好ましく、より好ましくは、0.06〜1.2mol/l、アルカリは0.5〜8mol/lが好ましく、より好ましくは0.8〜6mol/lである。添加するマグネシウムとアルミニウムとのモル比(Mg/Al)は0.8〜5.0が好ましく、より好ましくは0.9〜4.5である。
1次反応を行なう際の温度は40〜105℃であり、好ましくは45〜105℃、より好ましくは80〜105℃、更により好ましくは85〜105℃である。40℃未満の場合にも芯粒子は生成するが、粒径の大きな芯粒子を得ることが困難である。105℃を越える場合には、オートクレーブ等の耐圧容器が必要となり経済的ではない。
1次反応を行なう際のpH値は10〜14であり、好ましくは11〜14である。pH値が10未満の場合、粒径が大きな芯粒子が得難くなる。
1次反応を行なう際の反応時間は2〜24時間が好ましい。反応時間が2時間未満の場合には、粒径が大きな芯粒子が得られ難い。24時間を超える反応時間は経済的ではない。
1次反応終了時点で、マグネシウムとアルミニウムは反応懸濁液中に残存しておらず、全て芯粒子の生成に寄与している。従って、芯粒子の組成は仕込み組成と同一になるものと推定される。
1次反応で得られた芯粒子の平均板面径は、0.1〜0.9μmが好ましい。また、1次反応で得られた芯粒子のBET比表面積は、5〜150m2/gが好ましく、より好ましくは5〜80m2/gである。ここで平均板面径、BET比表面積は、前述した段落[0041]、[0043]に記載の方法で測定した値である。
2次反応において、添加するマグネシウム、2価金属M及びアルミニウムの合計モル数は、1次反応で添加したマグネシウムとアルミニウムの合計モル数に対して0.50以下であることが好ましく、より好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.35以下である。1次反応の合計モル数に対し0.50を超える場合には、成長反応が起きずに芯粒子外に微細な粒子が多量に析出し、均一な芯−表層構造が得られず、効果が不十分となる場合がある。また、芯粒子のマグネシウムのモル数に対する、芯粒子表面に設けられた外層におけるマグネシウムと2価金属Mとの合計モル数の、モル比は、0.05〜0.6が好ましく、0.2〜0.4がより好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.3である。この範囲のハイドロタルサイト粒子を用いることで、PPS樹脂に配合したときの発生ガスを抑える効果を発現させることができる。
2次反応において、マグネシウム、2価金属M及びアルミニウムの添加順序は、特に限定されるものではなく、また、各水溶液あるいはスラリーを同時に添加してもよい。好ましくは、予めマグネシウム、2価金属M及びアルミニウムを混合した水溶液若しくはスラリーを添加する。
また、各水溶液を添加する場合には、該水溶液を一度に添加する場合、又は連続的に滴下する場合のいずれで行ってもよい。
2次反応におけるマグネシウム、2価金属M及びアルミニウムを混合した混合溶液中の金属濃度の合計は、0.1〜1.5mol/lが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2mol/lである。混合溶液中の合計金属濃度が0.1mol/l未満では、PPS樹脂に配合したときの発生ガスを抑える効果が不十分となり得る。混合溶液中の金属濃度の合計が1.5mol/lを超えると均一な成長反応が起きずに芯粒子外に微粒子が存在してしまい、PPS樹脂への分散性が悪くなり得る。
2次反応を行なう際の温度は45〜105℃であり、より好ましくは65〜105℃である。45℃未満の場合にもMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は生成するが、平均板面径の大きなMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を得ることができない。その後に所望の粒子を得るためには、反応時間の延長、または105℃以上の温度へ昇温して、エージングを行うことが効果的である。エージングの温度範囲は105℃〜200であるが、105℃を越える場合には、オートクレーブ等の耐圧容器が必要となり経済的ではない。
2次反応を行なう際のpH値は8〜11であり、好ましくは8〜10である。pH値が8未満の場合、平均板面径が大きいMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が得難くなる。またpHが11を超えると添加した2価金属Mの一部が析出せずに水溶液中に残ってしまうため経済的でも工業的でもない。
2次反応を行なう際の反応時間は2〜24時間が好ましい。反応時間が2時間未満の場合には、平均板面径が大きいMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が得られ難い。24時間を超える反応時間は経済的ではない。
2次反応終了時点で、マグネシウム、2価金属M及びアルミニウムは反応懸濁液中に残存しておらず、全てハイドロタルサイト型粒子粉末の生成に寄与している。従って、芯粒子の表面に被覆されたハイドロタルサイト層の組成は、成長反応における仕込み組成と同一になるものと推定される。
反応終了後に、常法により濾別、水洗、乾燥すれば、Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が得られる。
(Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の熱処理)
上記の方法で得られたMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、熱処理をして用いることができる。熱処理は、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を80〜500℃、好ましくは80〜350℃、より好ましくは180〜320℃の温度範囲で行う。熱処理時間は熱処理温度によって調整すればよい。また、熱処理時の雰囲気は酸化雰囲気、非酸化雰囲気いずれでも構わないが、水素のような強い還元作用を持つガスは好ましくない。
(Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の表面処理)
上記の方法で得られたMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、表面処理剤により被覆をして用いることができる。
表面処理剤による被覆は、乾式表面処理、湿式表面処理のいずれでも行うことができる。乾式表面処理を行う場合は、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子をヘンシェルミキサー、サンドミル、エッジランナー、タニナカ式粉砕機、らいかい機等に入れ、表面処理剤を添加して乾式混合及び粉砕する。
湿式表面処理を行う場合は、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を分散して得られる水性懸濁液に、高級脂肪酸塩等の水溶液を添加して水温を20〜95℃に調整して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の粒子表面を被覆する。その後、濾別、水洗、乾燥、粉砕を行なう。さらに続けて熱処理を行う場合は、熱処理温度において分解しない任意の表面処理剤を選択する。
所望の熱処理温度で表面処理剤が分解してしまう場合には、熱処理後にヘンシェルミキサーなどを使用した乾式表面処理を行えばよい。乾式表面処理を行う場合は、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子と表面処理剤とを粉砕及び混合しながら、必要で有れば外部より加熱すれば良い。
表面処理剤としては前述したものを用いることができる。
(PPS樹脂組成物)
本発明の実施形態では、上記のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を配合することが重要であり、配合量は(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.1〜30重量部である。配合量は、0.5重量部以上とすることが好ましく、1.0重量部以上とすることがさらに好ましい。また、配合量は、25重量部以下とすることが好ましく、20重量部以下とすることがさらに好ましい。0.1重量部未満であるとフォギング性(発生ガスによりガラスなどが曇るのを防ぐ効果)が不十分であり、30重量部を超える場合、流動性および機械的強度が不十分となり、強度とフォギング性に優れた樹脂組成物を得難くなる。
本発明の実施形態においては、さらに(C)ハイドロタルサイト以外の無機充填材を5〜300重量部配合することが好ましい。かかる無機充填剤は、繊維状充填材、非繊維状充填剤のいずれも用いることができる。
((C)無機充填材)
本発明の実施形態のPPS樹脂組成物には、さらに、ハイドロタルサイト以外の無機充填材を配合することができ、必要な機械特性、寸法安定性などを付与することができる。無機充填材としては、繊維状充填材、非繊維状充填材を用いることができる。
繊維状充填材としては、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ワラステナイトウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが用いられ、これらは2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。中でもガラス繊維、炭素繊維がより好適に用いられる。
非繊維状充填材の具体例としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などが挙げられる。これらの非繊維状充填材は中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、カオリン、クレー、タルクなどの珪酸塩が特に好ましい。
本発明の実施形態で用いられる(C)無機充填材の配合量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、5重量部以上とすることが好ましく、50重量部以上とすることがさらに好ましい。また、(C)無機充填材の配合量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、300重量部以下とすることが好ましく、225重量部以下とすることがさらに好ましく、180重量部以下とすることが特に好ましい。無機充填材の配合量を5重量部以上とすることで、強度、剛性、寸法安定性を向上させることができ、300重量部以下であれば、成形時の流動性を維持することができる。
(その他の添加剤など)
本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物においては、本発明の実施形態の効果を損なわない範囲において、低バリ性および高靭性をより改良するために、さらにシラン化合物を配合することが可能である。かかるシラン化合物としては、例えばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物が挙げられる。その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられ、中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物等が好ましい。特に好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
かかるシラン化合物の含有量は、より優れた低バリ性および高靭性を得る点から、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.05重量部以上とすることが好ましく、0.2重量部以上とすることがさらに好ましい。また、3重量部以下とすることが好ましく、1.5重量部以下とすることがさらに好ましい。0.05重量部以上配合することで、シラン化合物添加による低バリ性および高靭性の向上効果を発現させることができる。配合量を3重量部以下とすることで、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からのガス発生量を増加させることがない。
本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の実施形態の効果を損なわない範囲において、さらに他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないが、その具体例としては、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドなどの非結晶性樹脂、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、芳香族系ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシル基やカルボン酸エステル基や酸無水物基やエポキシ基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミド、ポリアセタールおよびポリイミドなどが挙げられる。
また、本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の実施形態の効果を損なわない範囲において、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、有機リン化合物などの結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド系化合物などの離型剤、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物などの酸化防止剤、熱安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤および発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
(PPS樹脂組成物の製造方法)
本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法には特に制限はないが、各原料を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して、280〜380℃の温度で混練する方法などを挙げることができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法などのいずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
このようにして得られる本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に射出成形用途に適している。
(PPS樹脂組成物の特性)
本発明の実施形態のPPS樹脂組成物は、200℃近傍のポリフェニレンスルフィドの融点以下の領域での発生ガスが少ない。また、本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形した場合には、レンズ等の曇りを防ぐことが出来る成形体を得ることができる。
具体的には、以下の方法によるフォギング試験を行った後のガラス板の曇りの指標であるヘイズ値が10%以下のものを得ることができる。
フォギング試験として、以下に例を挙げる。
PPS樹脂組成物からなるペレットを熱風乾燥機にて130℃×3hr予備乾燥後、これを500mlのガラスビンに100g秤量、その上にスライドガラスを置き、シャーレで蓋をする。熱風循環式オーブンに入れ200℃×168hr加熱する。この際に発生したガスをスライドガラス上に付着させ、スライドガラスのヘイズ値を、東洋精機社製直読ヘイズメーターで測定した。ヘイズ値が小さいほど発生ガスが少なく、ガラスの曇りが少ないことを示す。そのため、ヘイズ値が10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
(PPS樹脂組成物の用途)
以上のように、本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、200℃近傍のポリフェニレンスルフィドの融点以下の領域での発生ガスが少なく、レンズ等の曇りを防ぐことが出来ることから、例えばレンズホルダー、ケースなどの光学部品、特にプロジェクター部品に好適に用いられる。
その他本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の適用可能な用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・コンパクトディスク・DVD・Blu−rayディスクなどの音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品など各種が例示できる。また、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品など各種が例示できる。また、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品など各種が例示できる。また、水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品など各種が例示できる。また、バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品など各種用途が例示できる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
<溶融粘度測定>
300℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて、PPS樹脂の溶融粘度を測定した。
<灰分測定>
PPS樹脂を540℃の炉中で6時間加熱し、加熱後の残渣の重量分率を測定し、算出した。
[使用原材料]
(A−1)PPS樹脂−1:
攪拌機付きオートクレーブに47%水硫化ナトリウム水溶液2.98kg(25モル)、48%水酸化ナトリウム2.17kg(26モル)ならびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す。)5kgを仕込み、徐々に205℃まで昇温し、水2.7kgを含む抽出水2.8リットルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2.5kgを加えて、270℃で1時間加熱した。これを濾過し、pH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、密閉されたオートクレーブ中で192℃で約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、ポリマーを120℃で24時間減圧乾燥してER85(g/10min)(溶融粘度10Pa・s)のPPS樹脂−1を得た。得られたPPS樹脂−1は、灰分が0.21重量%であった。
(A−2)PPS樹脂−2:
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.10モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.45kg(71.07モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを酸素気流下、200℃で熱処理し、乾燥PPS樹脂−2を得た。得られたPPS樹脂−2は、溶融粘度が150Pa・s、灰分が0.16重量%であった。
(A−3)PPS樹脂−3:
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム3.0kg(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.43kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム0.86kg(10.5モル)、及びイオン交換水10.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。次に、p−ジクロロベンゼン10.24kg(69.63モル)、NMP9.01kg(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1.26kg(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。内容物を取り出し、26.30kgのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31.90kgのNMPで洗浄、濾別した。これを、56.00kgのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70.00kgで洗浄、濾別した。70.00kgのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した乾燥PPS樹脂−3を得た。得られたPPS樹脂−3は、溶融粘度が60Pa・s、灰分が0.04重量%であった。
(A−4)PPS樹脂−4:撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.48kg(71.27モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPS樹脂−4を得た。得られたPPS樹脂−4は、溶融粘度が130Pa・s、灰分が0.6重量%であった。
(B−1)Mg−M−Al系(M=Mg)ハイドロタルサイト粒子:
戸田工業社製、ハイドロタルサイト“NAOX−91N”。平均板面径は、0.15μm(芯粒子;Mg−Al、外層;Mg−Mg−Al、芯粒子におけるMgのモル数(Mg1)に対する、外層におけるMgと2価金属Mとの合計モル数(Mg2+M)の、モル比(Mg2+M)/Mg1は、0.2〜0.3)。
(B−2)Mg−M−Al系(M=Zn)ハイドロタルサイト粒子:
戸田工業社製、ハイドロタルサイト“N−57D”。平均板面径は、0.20μm(芯粒子;Mg−Al、外層;Mg−Zn−Al、芯粒子におけるMgのモル数(Mg1)に対する、外層におけるMgと2価金属Mとの合計モル数(Mg2+M)の、モル比(Mg2+M)/Mg1は、0.2〜0.4)。
(B−3)Mg−Al系ハイドロタルサイト:
協和化学工業社製、ハイドロタルサイト“KW−2100”。(芯粒子、外層は均一組成;Mg−Al)。
(C−1)繊維状充填材:
ガラス繊維。日本電気硝子社製、ガラスチョップドストランド“ECS 03 T−747H”。
(C−2)非繊維状充填材:
炭酸カルシウム。同和カルファイン社製、重質炭酸カルシウム“KSS−1000”。
[樹脂あるいは樹脂組成物ペレットの調整方法]
上記各材料を表1に示す割合で予めドライブレンドし、シリンダー温度280℃(ホッパー下側)〜310℃(吐出口側)に設定したスクリュー型2軸押出機(日本製鋼所社製TEX−44)を用いて溶融混練し、ペレタイズしてペレットを得た。このペレットを用い、以降に示す各手段により機械物性の測定を行った。なお、いずれの試験においても、成形前にペレットを130℃に温調した熱風乾燥機中にて3時間予備乾燥を行った。
[フォギング試験後のヘイズ値]
ポリフェニレンスルフィド樹脂、あるいはポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなるペレットを、熱風乾燥機にて130℃×3hr予備乾燥した。その後、これを500mlのガラスビンに100g秤量、その上にスライドガラスを置き、シャーレで蓋をし、ガラスビンを熱風循環式オーブンに入れ200℃×168hr加熱した。この際に発生したガスをスライドガラス上に付着させ、スライドガラスのヘイズ値を、東洋精機社製直読ヘイズメーターにて測定した。ヘイズ値が小さいほど発生ガスが少なく、曇りが少ないことを示す。
[曲げ強度]
ISO D178に準じて測定を行った。具体的には次のように測定を行った。上記の方法で得たペレットを、シリンダー温度320℃に設定した住友重機械工業社製射出成形機“SE100DU”に供給し、金型温度140℃、射出圧力=充填下限圧力+10MPa、射出速度100mm/secにて射出成形を行い、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を得た。この試験片を用い、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、スパン64mm、試験速度2mm/minの条件で測定を行った。
[流動長]
1mm厚みのスパイラルフロー金型を用い、シリンダー温度320℃、金型温度140℃、射出速度230mm/sec、射出圧力98MPa、射出時間5sec、冷却時間15secの条件で成形し、流動長を測定した(使用成形機:住友重機械工業社製射出成形機“SE−30D”)。この流動長の値が大きい程、溶融流動性に優れていると言える。
[成形収縮率]
80mm×80mm×3mm厚み(フィルムゲート)の角板金型を用い、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sec、射出圧力=充填下限圧力+10MPa、射出時間10sec、冷却時間15secの条件で成形し、角板の流れ方向/直角方向の寸法を測定した(使用成形機:住友重機械工業社製射出成形機“SE100DU”)。この成形収縮率の値が小さく、流れ方向/直角方向の差が小さい程、寸法精度に優れていると言える。
[実施例1〜10]
表1に実施例を示す。実施例1〜4は、PPSにMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を配合した組成物である。Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が多いほどヘイズ値が小さくなり、発生ガスが少なくなることを示している。
実施例5〜7は、PPSに、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子に加えてさらにガラス繊維を配合したものである。Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が多いほどヘイズ値が小さくなり、発生ガスが少なくなることを示している。また、ガラス繊維の配合により成形収縮率は小さくなった。
実施例8〜10は、PPSに、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子に加えて、さらにガラス繊維および炭酸カルシウムを配合したものである。Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が多いほどヘイズ値が小さくなり、発生ガスが少なくなることを示している。成形収縮率は、ガラス繊維のみを配合した実施例5〜7と同等であった。
Figure 0005196076
[比較例1〜8]
表2に比較例を示す。比較例1はPPSのみであり、ヘイズ値が高く、発生ガスが多いことを示している。比較例2は比較例1にMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を45重量部配合したものであり、ヘイズ値は小さいが、曲げ強度、流動性が低下した。比較例3〜5は比較例1に無機充填剤を配合したもの、比較例6〜8は本発明のハイドロタルサイトとは異なる、Mg−Al系ハイドロタルサイトを配合したものであり、本願発明のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を配合したものの方がガス発生量が少ないことがわかる。
Figure 0005196076
[実施例11〜27]
表3に2種類のPPS樹脂を混合した場合の実施例を示す。なお、(A−1)PPS樹脂―1を40重量部と(A−2)PPS樹脂―2を60重量部配合したものの溶融粘度は90Pa・sであった。実施例11〜14は、PPS樹脂にMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子(M=Mg)を配合した組成物である。Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の配合量が多いほどヘイズ値が小さくなり、発生ガスが少なくなることを示している。
実施例15〜17は、PPS樹脂にMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子(M=Mg)を配合した組成物に、さらにガラス繊維を配合したものである。Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子が多いほどヘイズ値が小さくなり、発生ガスが少なくなることを示している。また、ガラス繊維の配合により、曲げ強度が向上し、成形収縮率は小さくなった。
実施例18〜22、26および27は、PPS樹脂にMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子(M=Mg)を配合した組成物に、さらにガラス繊維および炭酸カルシウムを配合したものである。Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子の配合量が多いほどヘイズ値が小さくなり、発生ガスが少なくなることを示している。ガラス繊維および炭酸カルシウムの配合により曲げ強度が向上し、成形収縮率が小さくなり、流れ方向と直角方向の差も小さくなった。
実施例23は、実施例18で使用したMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子(M=Mg)をMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子(M=Zn)に置き換えたものであり、その他原料および配合量は実施例18と同様である。実施例23は、実施例18よりはヘイズ値が大きくなったが、発生ガス量およびガラスの曇りは十分少なくなると考えられる。そのため、M=Znのハイドロタルサイト粒子を用いた場合でも、本発明の効果は十分に奏すると考えられる。
実施例24および25は、実施例1〜23、26および27で用いたPPS樹脂の溶融粘度とは異なる粘度の樹脂に、Mg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子(M=Mg)に加えて、ガラス繊維および炭酸カルシウムを配合したものである。様々な溶融粘度の樹脂に対しても、本発明のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子は、発生ガス量低減という効果を奏することがわかる。
Figure 0005196076
[比較例9〜20]
表4に2種類のPPS樹脂を混合した場合の比較例を示す。比較例9は2種類のPPS樹脂のみであり、ヘイズ値が高く、発生ガスが多いことを示している。比較例10は比較例1にMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を45重量部配合したものであり、ヘイズ値は小さいが、曲げ強度、流動性が低下した。比較例11〜13は比較例9に無機充填剤を配合したもの、比較例14〜18は本発明のハイドロタルサイトとは異なる、Mg−Al系ハイドロタルサイトを配合したものである。比較例11〜18を実施例と比較することで、本願発明のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を配合した場合に、流動性および機械的強度を損なうことなく、発生ガス量が少ない、という優れた効果示すことがわかる。
比較例19および20は、実施例24および25に記載のハイドロタルサイト粒子を、本発明のものとは異なるハイドロタルサイトに置き換えたものである。比較例19、20と比較すると、本願発明のMg−M−Al系ハイドロタルサイト粒子を配合することにより、流動性および機械的強度を損なうことなく、発生ガス量が少ない、という優れた効果を奏することがわかる。
Figure 0005196076
本発明は、流動性および機械的強度を損なうことなく、200℃近傍のポリフェニレンスルファイドの融点以下の領域での発生ガス分が少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形体に関するものである。本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品は、特にレンズや反射面をもつ光学部品に適する。

Claims (7)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し(B)Mg−Al系ハイドロタルサイトを芯粒子とし、該芯粒子の粒子表面にMを2価金属としてMg−M−Al系ハイドロタルサイト層を備えるハイドロタルサイト粒子を0.1〜30重量部配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 2価金属Mが、Mgおよび/またはZnを含むことを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. ハイドロタルサイト粒子の平均板面径が0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に(C)ハイドロタルサイト以外の無機充填材を5〜300重量部配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなるペレットを200℃、168時間でフォギング試験した後のガラス板のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体。
  7. 成形体が光学部品であることを特徴とする請求項6記載の成形体。
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