JP7260317B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(A成分:ポリアリーレンスルフィド樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。
本発明で使用される充填材の形状は、繊維状、板状、粉末状、粒状などが挙げられる。具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、セラミックビ-ズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムおよびシリカなどの非繊維状充填材が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填材を2種類以上併用することも可能である。
本発明のC成分として使用されるハイドロタルサイト類化合物は一般式(1)または(2)で表される化合物であることが好ましい。
[M2+ 1-x M3+ x (OH)2]x+[An- x/n・mH2O]x-(1)
M2+ 1-xM3+ xO1+x/2 (2)
(式中、M2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-はn価のアニオンを示す。x、m、nは下記式で示される数を示す。0≦x≦0.33、0≦m≦5、0<n≦4)
M2+としてはMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等があげられ、M3+としてはAl3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等があげられ、An-としてはOH-、F-,Cl-、Br-、NO3 -、CO3 2-、SO4 2-、Fe(CN)4 2-、CH3COO-、シュウ酸イオン、サリチル酸イオンなどがあげられる。M2+およびM3+、An-はそれぞれ1種類または2種類以上から構成されてよい。また、(2)式で表されるものは(1)式で表されるハイドロタルサイト類化合物を焼成することで得られる。
本発明における樹脂組成物中は本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマー成分を含むことができる。好適なエラストマー成分としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)およびシリコーン・アクリル複合ゴム系グラフト共重合体などのコア-シェルグラフト共重合体樹脂、あるいはシリコーン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出し成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
(1)耐湿熱性
ISO527に準拠した引張り試験片を、超加速寿命試験装置((株)平山製作所 製 PC-305III/V)に入れ、温度120℃、湿度100%RH、処理時間100時間にて処理を行った。得られた試験片の引張破断強度をISO527(測定条件23℃)に準拠して測定した。測定した湿熱処理前の引張破断強度および湿熱処理後の引張破断強度より下記式を用いて、湿熱処理後の保持率を算出した。この数値が大きいほど樹脂組成物の耐湿熱性が優れていることを意味する。
湿熱処理後の保持率(%)=[(湿熱処理後の引張破断強度)/(湿熱処理前の引張破断強度)]×100
(2)金属腐食性
ガラス製の試験管にペレット状の樹脂組成物4gを入れ、脱脂した鉄製の釘をペレットの上に静置した。試験管をシリコーン製のゴム栓および四フッ化エチレン製のテープを用いて密閉し、加熱装置((株)センシュー科学製SSC-9300)を用いて加熱を行った(275℃/3時間)。加熱後1週間室温で静置し、ビデオマイクロスコープを用いて釘の錆を観察した。釘の錆度合を以下のように判定した。
◎:釘の面積に対する錆の面積が0%~25%
○:釘の面積に対する錆の面積が25%を超え50%以下
△:釘の面積に対する錆の面積が50%を超え75%以下
×:釘の面積に対する錆の面積が75%を超え100%
(3)着色汚染性
金属腐食性の評価にて用いたシリコーン製のゴム栓についてその着色を観察した。
○:着色がない
×:着色がある
ポリアリーレンスルフィド樹脂、充填材およびハイドロタルサイト類化合物を表1に記載の各配合量で、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX-30XSST(完全かみ合い、同方向回転)を使用した。押出条件は吐出量16kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口からダイス部分まで320℃とした。なお、全芳香族ポリアミド繊維を除く繊維状充填材は上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ハイドロタルサイト類化合物、全芳香族ポリアミド繊維および繊維状以外の充填材は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。得られたペレットを130℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG-150U)によりシリンダー温度320℃、金型温度130℃、評価用の試験片を成形した。なお、樹脂組成物の総ヨウ素含有量は、ペレットを(株)三菱ケミカルアナリテック製 AQF-2100Hにて1000℃にて燃焼処理し、発生したガスを吸収液に吸収させ、(株)島津製作所製 HIC-20Aspにてイオンクロマトグラフ法(IC法)により定量した。
<A成分>
PPS-1:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラジヨードベンゼン300.00g及び硫黄27.00gに、重合停止剤としてジフェニルジスルフィド0.60g(最終的に重合されたPPSの重量に基づいて0.65重量%の含量)を投入して180℃に加熱して完全にそれらを溶融及び混合した後、温度を220℃に昇温し、且つ、圧力を200Torrに降圧した。得られた混合物を、最終温度及び圧力がそれぞれ320℃及び1Torrとなるように温度及び圧力を段階的に変化させつつ、8時間重合反応させてポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した。総ヨウ素含有量は610ppmであった。
PPS-2:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラジヨードベンゼン327.0g及び硫黄26.5gに、重合停止剤としてジフェニルスルフィド1gを投入して180℃に加熱して完全にそれらを溶融及び混合した後、温度を220℃に昇温し、且つ、圧力を200Torrに降圧した。得られた混合物を、最終温度及び圧力がそれぞれ320℃及び1Torrとなるように温度及び圧力を段階的に変化させつつ、8時間重合反応させてポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した。総ヨウ素含有量は4700ppmであった。
PPS-3:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
PPS-1とPPS-2を1:1で、ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX-30XSST(完全かみ合い、同方向回転)を使用し溶融混錬することによりポリフェニレンスルフィド樹脂を調製した。なお、押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口からダイス部分まで300℃とした。総ヨウ素含有量は2600ppmであった。
PPS-4:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラジヨードベンゼン327.0g及び硫黄26.5gからなる混合物を180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、温度を220℃に上げ、圧力を200torrに下げた後、温度は320℃、圧力は1torr以下までそれぞれを段階的に変えながら計8時間反応させた。またジフェニルスルフィド3gを、重合が50%進行した時点で添加した。総ヨウ素含有量は12,000ppmであった。次に、当該ポリフェニレンスルフィド樹脂とPPS-2を1:1で、ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX-30XSST(完全かみ合い、同方向回転)を使用し溶融混錬することによりポリフェニレンスルフィド樹脂を調製した。なお、押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口からダイス部分まで300℃とした。総ヨウ素含有量は8600ppmであった。
B-1:円形断面チョップドガラス繊維(日本電気硝子(株)製 T-732H 直径:10.5μm、カット長:3mm、ウレタン・エポキシ系集束剤)
B-2:炭酸カルシウム((株)カルファイン製 KSS-1000)
B-3:炭素繊維(東邦テナックス(株)製 IMC702 6mm 長径:6μm、カット長:6mm、引張弾性率:282GPa、引張強度:5,490MPa、ウレタン系集束剤)
B-4:全芳香族ポリアミド繊維(帝人(株)製 パラ系アラミド繊維 T322EH 長径:12μm、カット長:3mm、ポリエステル系集束剤)
C-1:ハイドロタルサイト(堺化学(株)製 HT-6 BET比表面積16~25m2/g)
C-2:ハイドロタルサイト(堺化学(株)製 HT-100 BET比表面積34~41m2/g)
C-3:ハイドロタルサイト(堺化学(株)製 HT-1 BET比表面積6~12m2/g)
C-4:ハイドロタルサイト(協和化学(株)製 DHT-4A-2 BET比表面積13m2/g)
F-1:ポリテトラフルオロエチレン((株)喜多村製 KTL-620 焼成タイプ 融点328℃)
Claims (9)
- (A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)充填材(B成分)10~300重量部および(C)ハイドロタルサイト類化合物(C成分)0.1~20重量部を含有する樹脂組成物であって、A成分の総ヨウ素含有量が200ppm以上5,000ppm以下であり、かつC成分のBET比表面積が15m2/g以上であることを特徴とする樹脂組成物。
- B成分が、繊維状充填材(B-1成分)および繊維状以外の充填材(B-2成分)からなる群より選ばれる少なくとも一種の充填材であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- B-1成分が、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、炭素繊維および全芳香族ポリアミド繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状充填材であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
- B-2成分が、ガラスフレーク、マイカ、タルク、炭酸カルシウムおよびガラスビーズからなる群より選ばれる少なくとも一種の充填材であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
- C成分が、下記式(1)で表されるハイドロタルサイト類化合物であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
[M2+ 1-x M3+ x (OH)2]x+[An- x/n・mH2O]x-(1)
(式中、M2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-はn価のアニオンを示す。x、m、nは下記式で示される数を示す。0≦x≦0.33、0≦m≦5、0<n≦4) - C成分が、M2+がMg2+であり、M3+がAl3+であるハイドロタルサイト類化合物であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
- (A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)充填材(B成分)10~300重量部および(C)ハイドロタルサイト類化合物(C成分)0.1~20重量部を含有する樹脂組成物であって、A成分の総ヨウ素含有量が200ppm以上5,000ppm以下であり、かつC成分のBET比表面積が15m2/g以上であることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
- A成分が、ジヨードアリール化合物、固体硫黄、並びに重合停止剤および/または重合反応触媒を、極性溶媒を使用せずに直接加熱して重合させる方法よって得られるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の樹脂組成物の製造方法。
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