JP2016037598A - 繊維強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱伝導性と耐湿熱性と機械物性に優れた熱可塑性樹脂成形体、当該熱可塑性樹脂成形体を提供し得る樹脂組成物を提供すること。【解決手段】 熱可塑性樹脂(α)と、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(β)と、繊維状強化材(γ)とを、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、前記酸化マグネシウム粒子(β)を10〜300質量部の範囲で、かつ、前記繊維状強化材(γ)を2〜150質量部の範囲で含むことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物。また、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなる繊維強化熱可塑性樹脂成形体。【選択図】 図2
Description
本発明は、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子を含み、かつ、繊維状強化材で強化された、優れた熱伝導性と耐湿熱性と機械物性を兼ね備えた繊維強化熱可塑性樹脂成形体および当該成形体を提供するための繊維強化熱可塑性樹脂組成物に関する。
プラスチック材料は、高耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックの普及に伴い、加えて生産性及び形状の自由度から、金属材料に代わる材料として電気、電子機器や自動車用等の部材として幅広く使用されている。近年、機器の高性能化・小型軽量化が一層求められ、半導体デバイスの高集積化・大容量化が進み、それに伴い部材より発生する発熱量も増大したことから、実装部品・周囲部品の熱伝導性向上は重要な課題となっている。又、電気自動車の電費向上として、リチウムイオン電池、モーター、インバータに使用される絶縁部材の熱伝導性向上が強く求められている。さらに、機器の高性能化・小型軽量化に伴い絶縁部材も小型、薄肉化が求められており、機械物性の向上も強く求められている。
プラスチック材料の絶縁性を保持し、熱伝導性を付与する方法としては、無機フィラーを添加する技術が知られており、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。窒化ホウ素は高熱伝導性をもつフィラーであるが、多量に配合した場合コスト面で実用性が低く、又、六方晶の薄片状結晶構造であることより、樹脂組成物中で窒化ホウ素からなるフィラーが配向し、成形体の熱伝導性に異方性が生じてしまう問題がある。窒化アルミは、熱伝導性に異方性はないが、窒化ホウ素と同様にコスト面での実用性が低く、更に容易に加水分解してアンモニアを発生するという問題がある。アルミナはモース硬度が9と高く、押出工程時のスクリュウやペレット化工程時のカッターの刃、及び、射出成形機のスクリュウや金型を摩耗させる問題がある。
酸化マグネシウムは、熱伝導性が比較的高く、異方性も生じないフィラーであり、かつ低コストいう利点もあり、熱可塑性樹脂へ熱伝導性を付与するフィラーとして有望である。しかしながら、酸化マグネシウムは耐湿熱性に劣る。即ち、酸化マグネシウムをフィラーとして含む成形品を高温高湿下に曝露した際、酸化マグネシウムのフィラーの表面から加水分解を起こし、水酸化マグネシウムと変化することで膨張し、成形品の寸法が増大するという問題が起こる。
酸化マグネシウムは、熱伝導性が比較的高く、異方性も生じないフィラーであり、かつ低コストいう利点もあり、熱可塑性樹脂へ熱伝導性を付与するフィラーとして有望である。しかしながら、酸化マグネシウムは耐湿熱性に劣る。即ち、酸化マグネシウムをフィラーとして含む成形品を高温高湿下に曝露した際、酸化マグネシウムのフィラーの表面から加水分解を起こし、水酸化マグネシウムと変化することで膨張し、成形品の寸法が増大するという問題が起こる。
耐湿熱性を改善する手法として、酸化マグネシウムをアルキルアルコキシシランで乾式表面処理被覆する手法(例えば、特許文献1参照)や、リン酸マグネシウム系化合物で被覆する手法が挙げられている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これら他の化合物で表面処理された酸化マグネシウムからなるフィラーを熱可塑性樹脂に配合し成形品としたものにおいても耐湿熱性の改善効果は不十分であり、例えば、温度121℃/湿度100%/圧力2atmのプレッシャークッカーテストでの結果は、前述の用途等における要求レベルには達していない。
一方、炭酸マグネシウムは熱伝導率が良好な上、熱伝導率の異方性も少なく、モース高度は3.5と低く、かつ低コストで耐湿性も良好であることより、熱伝導フィラーとして有用と考えられる。
一般的に炭酸マグネシウムは天然品と合成品があり、天然品はマグネサイト鉱を粉砕することで得られるが、可溶性塩、酸不溶物、カルシウム塩等の不純物が合成品と比較し多く含まれ、結晶性も低い為、熱伝導性に劣るという問題がある。一方、合成品としては、水酸化マグネシウムを出発原料とし、水酸化マグネシウムスラリーに二酸化炭素ガスを供給し炭酸化させ塩基性炭酸マグネシウム(mMgCO3・Mg(OH)2・nH2O)を得る方法や、可溶性マグネシウム塩を可溶性炭酸塩と混合することで炭酸化させ、正炭酸マグネシウム(MgCO3・3H2O)を得る方法等が知られている。正炭酸マグネシウムは、温水中で長時間保持する熟成工程等を経ることで塩基性炭酸マグネシウムへと転化する。塩基性炭酸マグネシウムや正炭酸マグネシウムは酸化マグネシウムやアルミナと比較し熱伝導率が低い上、エンジニアリングプラスチック中に高充填した場合、250℃以上の高温での加工域において含有する結晶水が放たれ、発泡や吐出不安定等の加工性に悪影響を及ぼす懸念がある。そこで、エンジニアリングプラスチック用熱伝導性フィラーとして、塩基性炭酸マグネシウム、中性炭酸マグネシウムを出発原料とし、オートクレーブ中で水熱処理した後に乾燥して得られる、無水炭酸マグネシウムが提供されている(例えば、特許文献3参照)が、依然として熱伝導性フィラーとしての実用レベルには到達しておらず、さらなる改良が求められている。
さらに、ビニルアルコキシシラン化合物で予め表面処理された酸化マグネシウムを熱可塑性樹脂と配合してなる高熱伝導性樹脂組成物も知られているが、当該酸化マグネシウムは、耐湿熱性に極めて劣ることから、依然として熱伝導性フィラーとしての実用レベルには到達しておらず、更にある改良が求められている。
上記実情に鑑み、本発明の課題は、熱伝導性と耐湿熱性と機械物性に優れた熱可塑性樹脂成形体、当該熱可塑性樹脂成形体を提供し得る樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸化マグネシウム粒子と水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物とを水に分散してなるスラリーを水熱処理して得られる、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子が、高い熱伝導性を保ちつつ、樹脂へ配合し加工する場合における加工性が良好で、得られる成形体の耐湿熱性に優れることを見出し、かつ、これを繊維状強化材と併用して熱可塑性樹脂に溶融混練することで本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂(α)と、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(β)と、繊維状強化材(γ)とを、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、前記酸化マグネシウム粒子(β)を10〜300質量部の範囲で、かつ、前記繊維状強化材(γ)を2〜150質量部の範囲で含むことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなる繊維強化熱可塑性樹脂成形体に関する。
本発明により、熱伝導性と耐湿熱性と機械物性に優れた熱可塑性樹脂成形体、当該熱可塑性樹脂成形体を提供し得る樹脂組成物を提供することができる。
[熱可塑性樹脂(α)]
本発明に用いる熱可塑性樹脂(α)としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールスルホン、ポリアリールケトン、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイドスルフォン、ポリアリレート、液晶ポリエステル、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられるが、かかる群から選ばれる熱可塑性樹脂を単独で用いることもでき、または二種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせてポリマーアロイとして用いることもできる。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(α)としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールスルホン、ポリアリールケトン、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイドスルフォン、ポリアリレート、液晶ポリエステル、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられるが、かかる群から選ばれる熱可塑性樹脂を単独で用いることもでき、または二種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせてポリマーアロイとして用いることもできる。
これらのうち、近年の電気出力向上に伴う発熱量の増加に対して充分に対応可能な耐熱性を有する点から、好ましくは融点が170℃以上、より好ましくは170〜390℃の範囲の熱可塑性樹脂、または、好ましくは軟化点が50℃以上、より好ましくは70〜200℃のエラストマ、ゴムが、好ましい樹脂群として挙げられ、具体的にはポリアミド6(6−ナイロン)、ポリアミド66(6,6−ナイロン)またはポリアミド12(12−ナイロン)などの脂肪族骨格を有するポリアミドや、ポリアミド6T(6T−ナイロン)、ポリアミド9T(9T−ナイロン)などの芳香族骨格を有するポリアミドなど融点が170℃以上、好ましくは170〜310℃の範囲であるポリアミドや、ポリブチレンテレフタレート、ポリイソブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリシクロヘキセンテレフタレートなどの融点が220℃以上、好ましくは220〜280℃の範囲であるポリエステル樹脂や、融点が265℃以上、好ましくは265〜350℃の範囲、さらに好ましくは280〜300℃の範囲であるポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィドや、融点が300〜390℃の範囲であるポリエーテルエーテルケトンや、パラヒドロキシ安息香酸を骨格中に有する融点が300℃以上、好ましくは300℃〜熱分解温度(380℃)未満である液晶ポリマーや、融点が220℃以上、好ましくは220〜280℃の範囲であるシンジオタクチックポリスチレン等の融点が170〜390℃の範囲の熱可塑性樹脂といった、いわゆる汎用エンジニアリングプラスチックないしスーパーエンジニアリングプラスチックや、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、塩ビ系、フッ素系などのエラストマやゴムが挙げられ、このうち、優れた難燃性や寸法安定性を有するポリアリーレンスルフィドが好ましい。
本発明に好ましく使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂(α1)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR1及びR2は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A1)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(2)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(3)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(α1)は、前記式(1)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(4)〜(7)
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(α1)は、その分子構造中に、下記式(8)
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂(α1)は300℃で測定した溶融粘度(V6)が2〜1,000〔Pa・s〕の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから5〜100〔Pa・s〕の範囲が好ましい。ただし、300℃で測定した溶融粘度(V6)とは、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度を表す。また、PAS樹脂(α1)は、その非ニュートン指数が0.90〜2.00の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90〜1.20の範囲、さらに0.95〜1.15の範囲であることが好ましく、特に0.95〜1.10であることが好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(α1)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを、硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、2)p−クロルチオフェノールと、更に必要ならばその他の共重合成分とを自己縮合させる方法、3)有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを反応させる方法、4)ジヨード芳香族化合物と単体硫黄と必要に応じて重合禁止剤とを重合触媒の存在下で溶融重合する方法等が挙げられる。これらの方法のなかでも、3)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加しても良い。上記3)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物を含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でポリハロ芳香族化合物、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。
[酸化マグネシウム粒子(β)]
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(以下、「被覆酸化マグネシウム粒子」と略すことがある)を含む。
酸化マグネシウムは一般的に常温・常圧下、大気中の水蒸気に接する事で序々に加水分解し、水酸化マグネシウムMg(OH)2へ変化することが知られている。また、この最表層のMg(OH)2は、大気中の二酸化炭素と反応し、炭酸マグネシウムへと変化する。これらの反応は常温常圧下においては、極めて長い期間をかけての変化である。また、水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを出発原料として、600℃程度の低温で焼成して得た酸化マグネシウムは比較的これらの反応が容易に起こり得るのに対し、1000℃以上の高温で加熱されたものはより密度が高く、安定となりこれらの反応が進行しにくい。即ち、酸化マグネシウムの焼成条件によっても反応性が異なり、かつ酸化マグネシウムが容器に充填されている場合、外気に接触している箇所と、最内部の粒子同士が接触した箇所を比較した場合においても反応性が異なってくる。従って、酸化マグネシウムからの水酸化マグネシウム、更には炭酸マグネシウムへの変化量の調整は極めて難しい。一方で、本発明では、工業的に短時間で酸化マグネシウムの形状を維持しながら、定量的に炭酸マグネシウムへと改質するものである。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(以下、「被覆酸化マグネシウム粒子」と略すことがある)を含む。
酸化マグネシウムは一般的に常温・常圧下、大気中の水蒸気に接する事で序々に加水分解し、水酸化マグネシウムMg(OH)2へ変化することが知られている。また、この最表層のMg(OH)2は、大気中の二酸化炭素と反応し、炭酸マグネシウムへと変化する。これらの反応は常温常圧下においては、極めて長い期間をかけての変化である。また、水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを出発原料として、600℃程度の低温で焼成して得た酸化マグネシウムは比較的これらの反応が容易に起こり得るのに対し、1000℃以上の高温で加熱されたものはより密度が高く、安定となりこれらの反応が進行しにくい。即ち、酸化マグネシウムの焼成条件によっても反応性が異なり、かつ酸化マグネシウムが容器に充填されている場合、外気に接触している箇所と、最内部の粒子同士が接触した箇所を比較した場合においても反応性が異なってくる。従って、酸化マグネシウムからの水酸化マグネシウム、更には炭酸マグネシウムへの変化量の調整は極めて難しい。一方で、本発明では、工業的に短時間で酸化マグネシウムの形状を維持しながら、定量的に炭酸マグネシウムへと改質するものである。
即ち、本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子は、酸化マグネシウムの表面を、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子で被覆することにより、酸化マグネシウム粒子自体の保存安定性の向上や、これを含有する成形体に対し、耐湿熱性や熱伝導性の向上を図ることができる。
本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子の粒子径としては、特に限定されるものではないが、例えば、フィラーとしての取り扱いが良好である点、これを含有する成形体が熱伝導性と耐湿熱性に優れる観点より、平均粒子径が、1〜200μmの範囲であることが好ましい。なお、本発明における粒子径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし前処理として超音波分散を5分実施後測定した値である。
本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子を熱伝導性フィラーとして使用する場合、一般的にフィラーの平均粒子径が大きい程、樹脂と混合した場合の樹脂/フィラー界面の面積が低減することによる高熱伝導化が期待できる。また、本発明のような、熱伝導率の異方性が低く球状の形態をしたフィラーは、熱伝導率の高い繊維状の高結晶性フィラーとの併用の際、球状フィラーと繊維状の高結晶フィラーが接することによる熱伝導パスを形成し得るが、この際に球状フィラーの粒子径が大きい程、効率的な熱伝導パス形成が期待できる。この様な観点より、球状の熱伝導性フィラーを高充填した際に発現する熱伝導率より、より高い熱伝導率を有する成形体を得ようとする場合には、大粒子径のフィラーであることが望ましい。
このような観点から、本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子においても、その平均粒子径が20μm以上の範囲のものであることがより好ましく、特に30μm以上の範囲のものであることがさらに好ましい。
また、平均粒子径が大きいと、樹脂に混合して成形体を得ようとする場合、熱伝導性は良好となるが、その配合割合によっては、耐衝撃性や曲げ強度等の機械的な物性が十分で発揮されなくなったり、特に薄膜の成形体における表面で突起状として外観を不良とすることがあったりすることがある。これらの観点から、その平均粒子径が100μm以下の範囲のものであることがより好ましく、特に90μm以下の範囲のものであることがさらに好ましい。
また、平均粒子径が大きいと、樹脂に混合して成形体を得ようとする場合、熱伝導性は良好となるが、その配合割合によっては、耐衝撃性や曲げ強度等の機械的な物性が十分で発揮されなくなったり、特に薄膜の成形体における表面で突起状として外観を不良とすることがあったりすることがある。これらの観点から、その平均粒子径が100μm以下の範囲のものであることがより好ましく、特に90μm以下の範囲のものであることがさらに好ましい。
なお、後述するように酸化マグネシウムの水熱処理によって本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子を製造する場合においては、原料として用いる酸化マグネシウム粒子の粒径が得られる被覆酸化マグネシウム粒子の粒径に維持される。従って、用途に応じて熱伝導性フィラーとして粒子径を選択する場合、同様の粒子径を有する酸化マグネシウム粒子を原料として用いれば容易である。
熱伝導性フィラーとしての低異方性の観点や、得られる成形体の物性の均質性の観点から、本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子の粒子径分布幅は、変動係数が0.5以下であることが好ましい。なお、粒子径分布幅の評価として用いた変動係数は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし測定した粒度分布において、(d84%−d16%)/2で求めた標準偏差を平均粒子径で割ることで求められる値である。なお、得られた粒子の粒度分布を累積で表した時、全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが、体積基準で84%、16%となる点の粒子径をそれぞれ「d84%」径、「d16%」径(μm)として算出し、上記変動係数の式に代入するものとする。
本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子を上記範囲のものとする方法としては、後述する水熱処理において原料として用いる酸化マグネシウム粒子の粒径分布幅を調節することや、水熱処理後の乾燥・粉砕工程において、分級工程を組み入れる方法等が挙げられる。また、原料として用いる酸化マグネシウム粒子は、粒度分布幅の変動係数が0.5以下のものを用いることが好ましい。
本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子を上記範囲のものとする方法としては、後述する水熱処理において原料として用いる酸化マグネシウム粒子の粒径分布幅を調節することや、水熱処理後の乾燥・粉砕工程において、分級工程を組み入れる方法等が挙げられる。また、原料として用いる酸化マグネシウム粒子は、粒度分布幅の変動係数が0.5以下のものを用いることが好ましい。
本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子は、被覆している炭酸マグネシウムの割合を、目的に応じて設定することが可能であり、具体的には、粒子中の炭酸マグネシウムの含有率を1〜50質量%でコントロールすることができる。特に熱伝導性と耐湿熱性とをバランスよく兼備させた成形体を容易に得ることができる観点より、前記炭酸マグネシウムの含有率としては、5〜50質量%の範囲のものを用いることが好ましく、さらに、高い耐湿熱性と熱伝導率を両立できることから、5〜30質量%の範囲のものがより好ましい。
後述する、酸化マグネシウム粒子の水熱処理で本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子を製造する場合、最初、酸化マグネシウム粒子の表層が加水分解し水酸化マグネシウムとなる。水酸化マグネシウムは水中でマグネシウムイオンと水酸化物イオンへと分解するが、系内に水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)に由来する二酸化炭素、炭酸水素イオン、炭酸イオンが存在することから、瞬時に反応し、酸化マグネシウムの粒子の表面に炭酸マグネシウムが微粒子状に析出する。その結果として酸化マグネシウムが炭酸マグネシウム微粒子で被覆されることになる。なお、析出する炭酸マグネシウム粒子の大きさは、0.01〜2μmの範囲のものであることが好ましい。このようにして得られる炭酸マグネシウムからなる被覆層を有する酸化マグネシウム粒子は、完全な球形でないものも含み、表面に凹凸をもつ場合もある。
被覆している炭酸マグネシウムとしては、熱伝導性フィラーとして好適に用いられる観点より、無水炭酸マグネシウムを30質量%以上の割合で含むものであることが好ましい。後述する水熱処理で製造する場合、当初加水分解されたマグネシウムイオンと水酸化物イオンは、二酸化炭素の存在によって、4水和物の塩基性炭酸マグネシウム(4MgCO3・Mg(OH)2・4H2O)として析出する。この塩基性炭酸マグネシウムは、250℃付近で結晶水を放出する。即ち、例えば、10℃/minの昇温速度条件にてTG分析を行った場合、250℃付近より減量開始のピークが認められる。この結晶水を放出する温度は、主要なエンジニアリングプラスチックの加工温度(300℃以上)よりも低い為、押出加工する際に水が脱離し、発泡やサージング等、加工性に悪影響を及ぼす可能性があり得る為、より少ないことが望ましい。
水熱処理をさらに継続すると、この塩基性炭酸マグネシウムは、無水炭酸マグネシウムに変化させることができる。
上記のように、塩基性炭酸マグネシウムは、特にエンジニアリングプラスチックに用いる熱伝導性フィラーとしてはあまりふさわしくない観点より、本発明に用いる酸化マグネシウム粒子を被覆している炭酸マグネシウム中、無水炭酸マグネシウムの含有率は30質量%以上であることが好ましく、特に50質量%以上であることが好ましい。
本発明において、酸化マグネシウムを被覆している炭酸マグネシウムが、塩基性炭酸マグネシウムであるか、または無水炭酸マグネシウムであるかの判別方法としては、X線回折分析による回折角2θのピークを読み取る方法が挙げられる。被覆物が4水和物の塩基性炭酸マグネシウムである場合、2θが15°の位置にピークを読み取ることができる。一方、被覆物が無水炭酸マグネシウムである場合、2θが33°の位置にピークを読み取る事ができる。
本発明において、酸化マグネシウムを被覆している炭酸マグネシウムが、塩基性炭酸マグネシウムであるか、または無水炭酸マグネシウムであるかの判別方法としては、X線回折分析による回折角2θのピークを読み取る方法が挙げられる。被覆物が4水和物の塩基性炭酸マグネシウムである場合、2θが15°の位置にピークを読み取ることができる。一方、被覆物が無水炭酸マグネシウムである場合、2θが33°の位置にピークを読み取る事ができる。
被覆物が4水和物の塩基性炭酸マグネシウムである場合、100℃から300℃にかけて結晶水を放出し、無水炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムへと分解する(4MgCO3・Mg(OH)2・4H2O→4MgCO3+Mg(OH)2+4H2O)。また、350℃から500℃にかけて水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムと水へ分解する(Mg(OH)2→MgO+H2O)反応と、無水炭酸マグネシウムが熱分解し酸化マグネシウム、及び二酸化炭素となる(MgCO3→MgO+CO2)反応が起こる。10℃/minの昇温速度条件にてTG分析を行うと、250℃付近、450℃付近で減量のピークが認められる。
被覆物が塩基性炭酸マグネシウムである場合、粒子中の炭酸マグネシウム量(wt%)は、以下の式で求めることとする。
(TG分析により得られるX(℃)の減量値−150℃の減量値)×(466/72)
上記式中、Xは300℃から350℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度とする。また、上記式中、466はMgの原子量を24、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Oの原子量を16とした場合の、4水和物塩基性炭酸マグネシウム4MgCO3・Mg(OH)2・4H2Oの分子量、72は4H2Oの分子量である。
被覆物が無水炭酸マグネシウムである場合、被覆酸化マグネシウム粒子の炭酸マグネシウム量(wt%)は、以下の式で求めることとする。
(TG分析により得られる800℃の減量値−Y(℃)の減量値)×(84/44)
上記式中、Yは400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度とする。
また、上記式中、84はMgの原子量を24、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Oの原子量を16とした場合の、無水炭酸マグネシウムMgCO3の分子量、44は二酸化炭素の分子量である。
本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子を製造する方法としては、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理する方法が挙げられる。以下、詳述する。
まず始めに、原料として酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)を水中にて撹拌して、該酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)が水中に分散してなるスラリーを調製する。
本発明で原料として用いる酸化マグネシウム粒子は、水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを焼成して得たもの等が挙げられるが、いかなる製法で得られたものを使用しても構わない。又、平均粒子径、最大粒子径、アルミナ・酸化鉄等の不純物量に特に制限は無いが、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜70μmの平均粒子径である酸化マグネシウムを用いることで、高熱伝導率のみならず、高流動性を与える樹脂組成物及び良機械物性を有する成形体を得る事ができる。即ち、原料として用いる酸化マグネシウム粒子の平均粒子径、及びその分布幅は、水熱処理中に維持されることになる。
後述する水熱処理工程では、酸化マグネシウム粒子に対する水の仕込み量が少ない程、炭酸マグネシウムへの変化速度が小さくなる。これは酸化マグネシウムが加水分解し、水酸化マグネシウムとなり、水中へマグネシウムイオンと水酸化物イオンへと分解し水へ溶出する際、水の量によりマグネシウムが溶出する量が異なる為である。炭酸マグネシウムへの変化量が増すにつれ、酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムで被覆され、酸化マグネシウムが露出する面積が減少することで、マグネシウムイオンの溶出速度は徐々に減少し、その結果炭酸マグネシウムへの変化速度が小さくなる。
また、酸化マグネシウム粒子に対する水の量が少ない程、スラリーの粘度が上昇し、水熱処理後の濾過や洗浄工程の生産性が低下する。酸化マグネシウム粒子が水により加水分解する工程において、等モル量より過剰に水を加える事で、水熱反応時のスラリー流動性が向上し、作業性が大幅に向上する。ただし、水の量が多すぎると、取れ高が小さくなり生産性が低下する。
従って、十分な炭酸マグネシウムへの改質量が得られ、かつ作業性、生産性が良好である条件としては、酸化マグネシウム粒子100質量部に対し、水の量が50〜2000質量部の範囲が好ましく、さらに100〜1500質量部がより好ましく、150〜1000質量部が最も好ましい。
また、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)とを分散させて、スラリーを調製する際の水温としては、当該化合物(B)が分解しない温度であることが好ましく、具体的には50℃以下であることが好ましい。原料の酸化マグネシウム粒子と当該化合物(B)を分散させる順序は特に限定はなく、酸化マグネシウム粒子と当該化合物(B)とを水に分散させてスラリーを調製しても、また、酸化マグネシウム粒子を水に分散させた後、当該化合物(B)を加えてスラリーを調製しても、さらに、当該化合物(B)を水に分散させた後、酸化マグネシウム粒子を加えてスラリーを調製しても良い。
本発明に用いる、水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)としては、低温(例えば、50℃以下、より好ましくは30℃以下)で水に可溶で、その後、水溶液を加熱することで分解し、二酸化炭素を生成する化合物であればいずれのものであってもよく、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム等の炭酸水素アルカリ金属塩や、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、尿素等が挙げられる。該スラリーに添加する当該化合物(B)の割合は、前記酸化マグネシウム粒子100モルに対し、1〜60モルの範囲であることが好ましく、さらに5〜30モルの範囲であることがさらに好ましい。
前記化合物(B)として、炭酸水素アルカリ金属塩を用いる場合、水熱処理開始時のpHを弱アルカリ性とすることにより、酸化マグネシウムの反応速度を上げて、析出する無水炭酸マグネシウムの粒子を小粒径化することができる。その結果、酸化マグネシウム粒子表面を薄くかつ均一に炭酸マグネシウムで被覆することができ、高熱伝導率と耐湿性を両立することができる。ただし、この場合、炭酸水素アルカリ金属塩に起因して、炭酸マグネシウム微粒子中にアルカリ金属を0.1〜30質量%の割合で含有することがある。しかし、アルカリ金属の存在が好ましくない用途に用いる場合は、粒子質量に対し、3〜20倍の水で水洗処理を行うことによって、20質量%以下の範囲に、好ましくは10質量%以下の範囲に、さらに好ましくは検出限界以下に抑えればよい。ただし、当該割合は、蛍光X線法で測定した値である。
前記化合物(B)として、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、尿素を用いる場合、当該化合物(B)の分解によりアンモニアまたはアンモニウム塩が生成するが、分子サイズが大きいため、生成したアンモニアまたはアンモニウム塩は、炭酸マグネシウム表面を被覆する炭酸マグネシウム微粒子中に固溶体を形成しない。このため、アルカリ金属の存在が好ましくない用途に用いる場合に後処理として必須であった水洗処理を、本発明では必須工程とする必要がなく、したがって表面に被覆した炭酸マグネシウム微粒子の脱離も防止でき、耐湿性の低下を抑制することができる。
さらに、上記のようにして得られたスラリーに対して水熱処理を行う。ここで、水熱処理とは、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)を水中にて分散してなるスラリーを、前記化合物(B)の分解により生成した二酸化炭素が酸化マグネシウム粒子と反応する温度以上の温度範囲で改質処理を行うことをいうものである。当該温度範囲として具体的には、100℃以上、好ましくは100℃以上かつ270℃以下の範囲が好ましい。
水熱処理することで、前述のように酸化マグネシウム粒子の表層が加水分解し水酸化マグネシウムとなる。水酸化マグネシウムは水の存在によって、水中にマグネシウムイオンと水酸化物イオンとになるが、水中には前記化合物(B)を添加していることから、生成した二酸化炭素と酸化マグネシウムが反応して酸化マグネシウム粒子の表面で炭酸マグネシウムとして析出する。したがって、炭酸マグネシウムへの変化量は水熱処理時間と、酸化マグネシウムに対する水の仕込み量、前記化合物(B)の量で調整する事ができる。
水熱処理時間を長くする事、前記化合物(B)の添加量を増やす事で、炭酸マグネシウムへの変化量は増大する。炭酸マグネシウムの熱伝導率が酸化マグネシウムに比較し小さい為、粒子中の、炭酸マグネシウム体積量が酸化マグネシウム体積量に占める割合が大きくなる程、熱伝導率はやや低下する傾向を示すが、一方でこれを熱伝導性フィラーとして用いて得られる成形体の耐湿熱性は良好となる。
例えば、酸化マグネシウムの耐湿性改善のために、質量換算で20%以上を炭酸マグネシウムとする方法としては、水熱処理する時間を1時間以上とすることが好ましい。処理温度も炭酸マグネシウムへの変化量に影響を与えるものであり、同じく20%以上を変化させるには、100〜220℃の範囲で処理を行うことが好ましい。
また、前記水熱処理において、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種熱伝導フィラー、充填剤を加えることができる。熱伝導フィラーとしては、例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ベーマイト、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、結晶性酸化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、炭素繊維などが挙げられる。また、充填剤としては、例えば、タルク、酸化ケイ素、珪藻土、ドロマイト、クレー、マイカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。このような他の粒子を併用して水熱処理することで、得られる熱伝導性フィラーがあらかじめ混合されたものとして得ることができ、後の樹脂組成物を調製する際の煩雑性を軽減することが可能となる。
また、前記水熱処理において、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、分散性、疎水性の更なる向上等を目的として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤、水溶性樹脂、及び従来公知の各種添加剤を加えることができる。これらは水熱処理時においては水溶性であることが望ましく、例えば信越シリコーン製のKBM−903、KBE−903、味の素ファインテクノ製のプレンアクトKR ETなどが好ましく用いられる。
以上説明した本発明に用いる被覆酸化マグネシウム粒子(β)の製造方法は、該化合物(B)が水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成するという性質を利用するものである。すなわち、当該化合物(B)の分解反応の活性化エネルギー(活性化障壁)を超える直前まで、水中で酸化マグネシウム粒子(A)と当該化合物(B)とを撹拌し、互いに近傍に配置しておき、その後、当該活性化エネルギーを超える熱エネルギーを付与して、いわば、二酸化炭素の発生と、発生した二酸化炭素による酸化マグネシウムとの反応を反応系内で同時かつ一律に進行させることができ、その結果、酸化マグネシウム粒子表面を薄くかつ均一に炭酸マグネシウムで被覆することができる。このようにして得られた炭酸マグネシウム被覆酸化マグネシウム粒子は、高熱伝導率と耐湿性を両立することができ、熱伝導性フィラーとして、熱可塑性樹脂(α)と繊維状強化材(γ)と伴に用いることができる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物中、前記熱可塑性樹脂(α)と前記酸化マグネシウム粒子(β)との割合は、成形性、機械的強度および熱伝導性が良好となる点から、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、前記酸化マグネシウム粒子(β)が10〜300質量部の範囲であることが好ましく、さらに20〜150質量部の範囲であることがより好ましい。
[繊維状強化材(γ)]
本発明で用いる繊維状強化材(γ)としては、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維状強化材や、アラミド繊維、ナイロンMXD6繊維(m−キシリレンジアミンとアジピン酸との共縮重合体からなる繊維)、PET繊維、PBT繊維などの有機繊維状強化材が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、樹脂組成物としての絶縁性を保持する観点から、ガラス繊維が好ましい。
本発明で用いる繊維状強化材(γ)としては、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維状強化材や、アラミド繊維、ナイロンMXD6繊維(m−キシリレンジアミンとアジピン酸との共縮重合体からなる繊維)、PET繊維、PBT繊維などの有機繊維状強化材が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、樹脂組成物としての絶縁性を保持する観点から、ガラス繊維が好ましい。
繊維状強化材(γ)の繊維径および繊維長としては特に制限はないが、充填率と機械的強度の観点から、繊維径が5〜15〔μm〕の範囲のものが好ましく、また、繊維長が1〜5〔mm〕の範囲のものが好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物中、繊維状強化材(γ)の割合は、流動性を保持した上で機械特性と熱伝導性が良好となる点から、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、繊維状強化材(γ)が2〜150質量部の範囲であることが好ましく、さらに10〜100質量部の範囲であることがより好ましい。
[粘土鉱物(δ)]
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、機械物性および成形時の流動性をより向上させる為に、粘度鉱物(δ)をさらに加えることができる。本発明で用いる粘土鉱物(δ)としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されるものではないが、例えば、タルク(滑石)や、カオリナイト(kaolinite)、ディク石(dickite)、ナクル石(nacrite)、ハロイ石(halloysite)、アンチゴライト(antigorite)、単斜クリソタイル石、斜方クリソタイル石(orthochrysotile)、パラクリソタイル石(parachrysotile)、リザード石(lizardite)、アメス石(amesite)、ケリー石(kellyite)、ベルチェリン(berthierine)、グリーナ石およびヌポア石(nepouite)などのカオリナイト(高陵石)、ウォラストナイト(Wollastonite)、モンモリロナイト(montmorillonite)、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト(bentonite)等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、流動性と熱伝導率のバランスの観点からタルク、ウォラストナイトが好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、機械物性および成形時の流動性をより向上させる為に、粘度鉱物(δ)をさらに加えることができる。本発明で用いる粘土鉱物(δ)としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されるものではないが、例えば、タルク(滑石)や、カオリナイト(kaolinite)、ディク石(dickite)、ナクル石(nacrite)、ハロイ石(halloysite)、アンチゴライト(antigorite)、単斜クリソタイル石、斜方クリソタイル石(orthochrysotile)、パラクリソタイル石(parachrysotile)、リザード石(lizardite)、アメス石(amesite)、ケリー石(kellyite)、ベルチェリン(berthierine)、グリーナ石およびヌポア石(nepouite)などのカオリナイト(高陵石)、ウォラストナイト(Wollastonite)、モンモリロナイト(montmorillonite)、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト(bentonite)等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、流動性と熱伝導率のバランスの観点からタルク、ウォラストナイトが好ましい。
該粘土鉱物(δ)の形状としては、板状、球状、円板状、針状など特に制限はないが、板状または針状のもの、より具体的にはアスペクト比が10以上のものを用いることがフィラー間の接触確率が増加する点から好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物に粘土鉱物(δ)を加える場合、該樹脂組成物中の、粘土鉱物(δ)の割合は、機械特性および成形時の流動性が良好となる点から、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、粘土鉱物(δ)が1〜100質量部の範囲であることが好ましく、さらに10〜80質量部の範囲であることがより好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物に粘土鉱物(δ)を加える場合、該樹脂組成物中の、粘土鉱物(δ)の割合は、機械特性および成形時の流動性が良好となる点から、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、粘土鉱物(δ)が1〜100質量部の範囲であることが好ましく、さらに10〜80質量部の範囲であることがより好ましい。
[高放熱性フィラー(ε)]
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、熱伝導性をより向上させる為に、高放熱性フィラー(ε)をさらに加えることができる。このような高放熱性フィラー(ε)としては、熱伝導率が20以上〔W/m・K〕の範囲のものであれば特に制限はなく、このような熱伝導率を有するものを好ましいものとして用いることができる。この様な高放熱性フィラー(ε)としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、または、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の他、金属シリコン、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデンなどの金属材料およびこれら2種以上の合金、混合体、あるいは人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンナノファイバーなどの炭素材料およびこれら2種以上の混合体が挙げられ、目的とする電気伝導性に応じ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、プラスチック材料の高い絶縁性を保持し、化学的安定性が高いという観点より窒化ホウ素が望ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、熱伝導性をより向上させる為に、高放熱性フィラー(ε)をさらに加えることができる。このような高放熱性フィラー(ε)としては、熱伝導率が20以上〔W/m・K〕の範囲のものであれば特に制限はなく、このような熱伝導率を有するものを好ましいものとして用いることができる。この様な高放熱性フィラー(ε)としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、または、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の他、金属シリコン、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデンなどの金属材料およびこれら2種以上の合金、混合体、あるいは人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンナノファイバーなどの炭素材料およびこれら2種以上の混合体が挙げられ、目的とする電気伝導性に応じ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、プラスチック材料の高い絶縁性を保持し、化学的安定性が高いという観点より窒化ホウ素が望ましい。
高放熱性フィラー(ε)の形状としては球状、板状、円板状、針状など特に制限はないが、モース硬度が8以下で、かつ球状のものを用いることが、押出機や射出成形機のシリンダー表面、又は金型内の磨耗を低減できるため好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物に高放熱性フィラー(ε)を加える場合、該樹脂組成物中の、高放熱性フィラー(ε)の割合は、機械特性および熱伝導性が良好となる点から、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、高放熱性フィラー(ε)が1〜100質量部の範囲であることが好ましく、さらに1〜80質量部の範囲であることがより好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、耐衝撃性付与剤を配合してもよい。耐衝撃性付与剤としては、例えばα−オレフィン類とビニル重合性化合物とを共重合して得られる前記熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。前記α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素原子数2〜8のα−オレフィン類などが挙げられる。前記ビニル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸類及びそのアルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の炭素原子数4〜10の不飽和ジカルボン酸類とそのモノ及びジエステル類、その酸無水物等のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、耐衝撃性付与剤の配合量は、多すぎると伸び特性を低下させる傾向にあるため、熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
[その他の添加剤]
前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、金属石鹸、スチレン系オリゴマー、ポリアミド系オリゴマー、重合開始剤、重合禁止剤、チタン系架橋剤、ジルコニア系架橋剤、その他の架橋剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン等)、結晶核剤、キレート剤、イオン交換剤、分散剤、酸化防止剤、無機顔料、有機顔料等をあげることができる。
前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、金属石鹸、スチレン系オリゴマー、ポリアミド系オリゴマー、重合開始剤、重合禁止剤、チタン系架橋剤、ジルコニア系架橋剤、その他の架橋剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン等)、結晶核剤、キレート剤、イオン交換剤、分散剤、酸化防止剤、無機顔料、有機顔料等をあげることができる。
前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、疎水性を更に向上させる目的で、シランカップリング剤、またはチタネートカップリング剤などにより、表面処理を施してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロプルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N,N−ジアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルフォスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルフォスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)フォスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネートなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限されず、例えば、原料である熱可塑性樹脂(α)と前記酸化マグネシウム粒子(β)と繊維状強化材(γ)を、タンブラー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合、次いでバンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどを用いて溶融混練する方法などが挙げられる。なかでも十分な混練力を有する単軸または2軸の押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。
具体的には、熱可塑性樹脂(α)と前記酸化マグネシウム粒子(β)と繊維状強化材(γ)を、更に必要に応じてその他の配合成分を、タンブラー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合、次いで二軸混練押出機などの溶融混練押出機に投入し、前記熱可塑性樹脂(α)が溶融する温度以上に設定し、溶融混練することにより得られる。溶融混練条件としては、樹脂成分の吐出量5〜500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数100〜500(rpm)と、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜2(kg/hr/rpm)なる条件下に溶融混練する方法が好ましい方法として挙げられる。かかる条件下に製造することによって前記熱可塑性樹脂(α)をマトリックス(連続相)として、前記酸化マグネシウム粒子(β)と繊維状強化材(γ)が微分散する熱可塑性樹脂組成物を好ましく製造することができる。
上記製造方法につき更に詳述すれば、前記した各成分を押出機内に投入し、設定温度300℃、樹脂温度320℃程度の温度条件下に溶融混練する方法が好ましく挙げられる。この際、樹脂成分の吐出量は回転数200rpmで4〜400kg/hrの範囲であることが好ましく、なかでも分散性の点から10〜250kg/hrであることがより好ましい。したがって、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)は、特に0.05〜1.25(kg/hr/rpm)であることが好ましい。
また、前記組成成分のうち繊維状強化材(γ)は、前記2軸押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが該繊維状強化材(γ)の分散性が良好となる点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記2軸押出機のスクリュー全長に対する、押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.6の範囲であることが好ましい。中でも0.2〜0.4の範囲であることが特に好ましい。
このようにして溶融混練された繊維強化熱可塑性樹脂組成物はその後、直接各種公知の成形法を用いて成形体へと成形されるか、一旦、ペレットとして成形された後、次いで、これを各種成形機に供して溶融成形することにより、目的とする繊維強化熱可塑性樹脂成形体に成形することができる。公知の成形法としては、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出成形法、注型成形法およびブロー成形法などが挙げられる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、熱可塑性樹脂(α)の本来有する機械的強度、耐熱性、寸法安定性等の諸性能を活かして、例えば、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品などに代表される電気・電子部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品などに代表される家庭、事務電気製品部品や、オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モータ部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品や、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品や、水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサ、水量センサ、水道メーターハウジングなどの水廻り部品や、バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ,ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモータ用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモータ関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース、HEV用コンデンサーケース、車速センサ、ケーブルライナ、プラスチックギヤなどの自動車・車両関連部品など各種用途あるいはバグフィルター、保温衣料、不織布や縫い糸等の繊維若しくは粘着フィルム用基材、離型フィルム、回路基板、フィルムコンデンサ、モーター・トランス用絶縁フィルム、転写ベルト、回路基板、燃料チューブ等、フィルム用の材料、電磁波の遮蔽材などとして幅広く有用である。
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明はこの記述に限定されるものではないことは言うまでもない。
製造例1
〈被覆酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)300g、水900g(水/酸化マグネシウム粒子比=3)、炭酸水素ナトリウム63gを3Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら60分かけ160℃まで温度を昇温させた。160℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子を得た。
〈被覆酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)300g、水900g(水/酸化マグネシウム粒子比=3)、炭酸水素ナトリウム63gを3Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら60分かけ160℃まで温度を昇温させた。160℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子を得た。
製造例2
〈被覆酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)300g、水900g(水/酸化マグネシウム粒子比=3)、炭酸水素ナトリウム189gを3Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら60分かけ160℃まで温度を昇温させた。160℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子を得た。
〈被覆酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)300g、水900g(水/酸化マグネシウム粒子比=3)、炭酸水素ナトリウム189gを3Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら60分かけ160℃まで温度を昇温させた。160℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子を得た。
比較製造例1
〈ビニルシラン表面処理酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム「RF−98」100質量部に対し、ビニルアルコキシシランを0.5質量部加え、ミキサーにて10分間均一混合した後、120℃で4時間乾燥を行い、表面処理酸化マグネシウムを得た。
〈ビニルシラン表面処理酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム「RF−98」100質量部に対し、ビニルアルコキシシランを0.5質量部加え、ミキサーにて10分間均一混合した後、120℃で4時間乾燥を行い、表面処理酸化マグネシウムを得た。
得られたマグネシウム粒子の各種評価は以下の方法で行った。
〔被覆酸化Mg粒子の平均粒子径とその分布幅〕
レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし前処理として超音波分散を5分実施後、粒度分布を測定した。また粒子径分布幅の評価として、変動係数は(d84%−d16%)/2で求めた標準偏差を平均粒子径で割ること得られた変動係数を用いた。
レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし前処理として超音波分散を5分実施後、粒度分布を測定した。また粒子径分布幅の評価として、変動係数は(d84%−d16%)/2で求めた標準偏差を平均粒子径で割ること得られた変動係数を用いた。
〔被覆酸化Mg粒子の質量測定/TG−DTA分析〕
被覆酸化マグネシウム粒子中の被覆層(炭酸マグネシウム)の質量分率を以下の方法で測定した。
被覆酸化マグネシウム粒子中の被覆層(炭酸マグネシウム)の質量分率を以下の方法で測定した。
TG分析による減量値、分解温度等の値は全て、エスアイアイ・ナノテクノロジー製EXSTAR−6300を用い、空気中下(200ml/min)、試料量5mg、昇温条件を10℃/minにて測定した。
塩基性炭酸マグネシウム量A=(TG分析により得られるX(℃)の減量値−150℃の減量値)×(466/72)
無水炭酸マグネシウム量B=(TG分析により得られる800℃の減量値−Y(℃)の減量値)×(84/44))
無水炭酸マグネシウム含有率(%)=(B/(A+B))×100
X:300℃から350℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
Y:400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
X:300℃から350℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
Y:400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
〔被覆層(炭酸Mg)の粒子径・成分分析/蛍光X線分析〕
製造例1〜2、比較製造例1で得られた被覆酸化マグネシウム粒子を、SEM装置(日本電子株式会社製「JSM−6360A」)により測定した。得られた画像のうち、酸化マグネシウム粒子表面の被覆層を構成する微粒子を無作為に30点ほど選択して、当該微粒子の数平均粒子径を算出した。
製造例1〜2、比較製造例1で得られた被覆酸化マグネシウム粒子を、SEM装置(日本電子株式会社製「JSM−6360A」)により測定した。得られた画像のうち、酸化マグネシウム粒子表面の被覆層を構成する微粒子を無作為に30点ほど選択して、当該微粒子の数平均粒子径を算出した。
実施例1〜10、比較例1〜3
〈PPSコンパウンドの製造〉
表2に記載の組成成分となるようと配合し、スクリュウ径30mm、L/D52の二軸混練押出機を用い、設定温度330℃、スクリュウ回転数200rpm、吐出量20kg/hの条件で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
〈PPSコンパウンドの製造〉
表2に記載の組成成分となるようと配合し、スクリュウ径30mm、L/D52の二軸混練押出機を用い、設定温度330℃、スクリュウ回転数200rpm、吐出量20kg/hの条件で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
実施例11〜16、比較例4〜5
〈PA6コンパウンドの製造〉
表3に記載の組成成分となるようと配合し、スクリュウ径30mm、L/D52の二軸混練押出機を用い、設定温度300℃、スクリュウ回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
〈PA6コンパウンドの製造〉
表3に記載の組成成分となるようと配合し、スクリュウ径30mm、L/D52の二軸混練押出機を用い、設定温度300℃、スクリュウ回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られた熱可塑性樹脂組成物の各種評価は以下の方法で行った。
〔熱伝導率〕
実施例1〜16、比較例1〜5で得られた熱可塑性樹脂組成物を140℃ギアオーブンで2時間乾燥後、射出成形機にて成形し、厚み2mm×長辺115mm×短辺50mmのプレートを得た。プレートの中心を10mm×10mm角に切り取り、熱伝導性評価用試験片とし、キセノンフラッシュ熱伝導率計(Bruker AXS社製 LFA447)を用い、測定開始温度25℃で、ISO22007−4に基づき熱伝導率(W/m・K)を求めた。
〔熱伝導率〕
実施例1〜16、比較例1〜5で得られた熱可塑性樹脂組成物を140℃ギアオーブンで2時間乾燥後、射出成形機にて成形し、厚み2mm×長辺115mm×短辺50mmのプレートを得た。プレートの中心を10mm×10mm角に切り取り、熱伝導性評価用試験片とし、キセノンフラッシュ熱伝導率計(Bruker AXS社製 LFA447)を用い、測定開始温度25℃で、ISO22007−4に基づき熱伝導率(W/m・K)を求めた。
〔比重〕
熱伝導率評価用プレートの中心部を10mm×10mm角に切り取り、比重評価用試験片とし、ISO1183に基づき測定した。
熱伝導率評価用プレートの中心部を10mm×10mm角に切り取り、比重評価用試験片とし、ISO1183に基づき測定した。
〔耐摩擦性〕
JIS K7218に準拠し、成形品と鋼材(HRC61〜62)の磨耗試験を実施し単位時間[hr]、単位面積[mm2]当たりの鋼材磨耗量[mg]を算出した。
JIS K7218に準拠し、成形品と鋼材(HRC61〜62)の磨耗試験を実施し単位時間[hr]、単位面積[mm2]当たりの鋼材磨耗量[mg]を算出した。
〔耐湿熱性/プレッシャークッカーテスト(PCT)〕
熱伝導率評価試験で作成した厚み2mm×長辺115mm×短辺50mmのプレートを、エスペック製加速寿命測地装置(プレシャークッカー)を用いて、設定温度121℃、湿度100RH%、圧力2atmの条件にて500時間曝露した。暴露前と暴露後の表面粗さ(Ra)をレーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−8710」)で測定し、以下の式で表面粗さ変化を求めた。表面粗さ変化は低いほど好ましく、2未満が合格品と判断される。
熱伝導率評価試験で作成した厚み2mm×長辺115mm×短辺50mmのプレートを、エスペック製加速寿命測地装置(プレシャークッカー)を用いて、設定温度121℃、湿度100RH%、圧力2atmの条件にて500時間曝露した。暴露前と暴露後の表面粗さ(Ra)をレーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−8710」)で測定し、以下の式で表面粗さ変化を求めた。表面粗さ変化は低いほど好ましく、2未満が合格品と判断される。
(表面粗さ変化)=(暴露後の表面粗さ)−(暴露前の表面粗さ)
〔流動性/スパイラルフロー〕
1.6mm厚みのスパイラルフロー金型を用い、シリンダー温度330 ℃、金型温度150 ℃、射出速度60mm/secで成形したときの流動長を測定した。
1.6mm厚みのスパイラルフロー金型を用い、シリンダー温度330 ℃、金型温度150 ℃、射出速度60mm/secで成形したときの流動長を測定した。
〔機械物性/MD曲げ強さおよびMD曲げ弾性率〕
JIS−K7171「プラスチック−曲げ特性の試験方法」に準拠し、流動方向(MD)の曲げ強さ(MPa)および曲げ弾性率(GPa)を測定した。
JIS−K7171「プラスチック−曲げ特性の試験方法」に準拠し、流動方向(MD)の曲げ強さ(MPa)および曲げ弾性率(GPa)を測定した。
なお、表中の各成分は下記のものを用いた。
熱可塑性樹脂(α1)・・・ポリフェニレンサルファイド樹脂(DIC株式会社製LR−110G、300℃の溶融粘度10Pa・s)
熱可塑性樹脂(α2)・・・ポリアミド6樹脂(宇部興産株式会社製)
熱可塑性樹脂(α1)・・・ポリフェニレンサルファイド樹脂(DIC株式会社製LR−110G、300℃の溶融粘度10Pa・s)
熱可塑性樹脂(α2)・・・ポリアミド6樹脂(宇部興産株式会社製)
繊維状強化材(γ1)・・・ガラス繊維(オーエンスコーニング社製「CS−03−JAFT−562」繊維径/10(μm)、繊維長/3(mm)、熱伝導率1(W/m・K)
)
)
粘土鉱物(δ2)・・・ウォラストナイト(NYCO MINERALS社製「NYGLOS 4W」)
粘土鉱物(δ1)・・・タルク(富士タルク工業株式会社製「DS−34」熱伝導率3(W/m・K))
粘土鉱物(δ1)・・・タルク(富士タルク工業株式会社製「DS−34」熱伝導率3(W/m・K))
高放熱性フィラー(ε1)・・・窒化ホウ素(C1):板状、D50/25.6(μm)、モース硬度2、熱伝導率60(W/m・K)
高放熱性フィラー(ε2)・・・金属シリコンキンセイマテック株式会社製金属シリコン「#200」(金属シリコン中のケイ素含有率98.4質量%、平均粒子径17μm、不定形状粉末)
高放熱性フィラー(ε2)・・・金属シリコンキンセイマテック株式会社製金属シリコン「#200」(金属シリコン中のケイ素含有率98.4質量%、平均粒子径17μm、不定形状粉末)
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂(α)と、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(β)と、繊維状強化材(γ)とを、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、前記酸化マグネシウム粒子(β)を10〜300質量部の範囲で、かつ、前記繊維状強化材(γ)を2〜150質量部の範囲で含むことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- さらに、粘土鉱物(δ)を、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、1〜100質量部の範囲で含む請求項1記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- さらに、高放熱性フィラー(ε)を、前記熱可塑性樹脂(α)100質量部に対し、1〜100質量部の範囲で含む請求項1又は2記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 前記酸化マグネシウム粒子(β)が、酸化マグネシウム粒子(A)と、水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理することにより得られるものである請求項1〜3の何れか一項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 前記化合物(B)が、炭酸水素アルカリ金属塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウムおよび尿素から成る群からなる少なくとも一つである請求項4記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物が溶融混練して得られるものである、請求項1〜5の何れか一項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6の何れか一項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
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WO2022195722A1 (ja) * | 2021-03-16 | 2022-09-22 | 三菱電機株式会社 | 樹脂成形体及び樹脂成形体の製造方法 |
-
2015
- 2015-01-22 JP JP2015010293A patent/JP2016037598A/ja active Pending
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