JP2017088878A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する耐熱性や機械的強度を維持しつつ、かつ、熱伝導性、耐摩耗性および耐久性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品を提供すること。【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤と、モース硬度が2未満の粘土鉱物とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、前記ウィスカー状無機充填剤が10〜200質量部の範囲であり、前記粘土鉱物が5〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形品。【選択図】 なし

Description

本発明は、高い熱伝導性が付与されたポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PASと略称することがある)組成物と該PAS組成物から成形される樹脂成形品に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す場合がある)樹脂に代表されるポリアリーレンサルファイド(以下PASと略す場合がある)樹脂は、高い耐熱性、機械的物性、耐化学薬品性、寸法安定性、難燃性、電気絶縁性を有していることから、電気・電子機器部品材料、自動車機器部品材料、化学機器部品材料等に広く使用されている。近年、これらの部品の軽薄短小化や、出力向上による発熱量増加に伴い、絶縁性を維持しつつ放熱性を付与した材料の要求がでてきている。そこでポリアリーレンスルフィド樹脂に酸化マグネシウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の高放熱フィラー(充填剤)を混合して、熱伝導性を付与した高熱伝導性樹脂材料が開発されている(特許文献1)。
しかし、高熱伝導性樹脂材料は、その熱伝導性を充分高めるために、フィラーを大量に添加する必要があり、機械的強度の低下を招いていた。これに対して樹脂組成物の機械的強度を向上させる方法として、繊維状強化材を添加する方法が知られている(特許文献2)。しかしながら、高放熱フィラーの中でもアルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等は、硬度が高く硬いため、樹脂組成物の溶融混練時に、繊維状強化材を剪断し、ひいては樹脂組成物の機械的強度を低下させるといった問題があった。
そこで、ポリアリーレンスルフィド樹脂とアルミナとタルクと繊維状強化材を含む組成物が知られている(特許文献3、4参照)。該材料は、アルミナを、モース硬度の低い板状フィラーであるタルクと伴に加えることによって、溶融混練時に、高硬度なアルミナによる繊維状強化材の剪断を抑制して、機械的強度の低下を防ぎ、かつ優れた放熱性を示すことができるものの、アルミナが金型摩耗性や金属摩耗性を低下させることから、耐摩耗性に改良の余地があり、さらに、長期使用によりフィラーが脱落したり、耐久性にも改良の余地があった。
特開2002−256147号公報 特開2010−53350号公報 特開2013−75996号公報 国際公開第2013/191207号パンフレット
そこで本発明が解決しようとする課題は、ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する耐熱性や機械的強度を維持しつつ、かつ、熱伝導性、耐摩耗性および耐久性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本願発明者らは種々の検討を行った結果、アルミナに替えて、カップリング剤で表面処理された針状かつ結晶質構造を有する無機充填剤を、タルク等のモース硬度の低い板状フィラーと共に必須成分として配合して得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品が、ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する耐熱性や機械的強度を維持しつつ、かつ、熱伝導性、耐摩耗性および耐久性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ウィスカー状無機充填剤(B)が10〜200質量部の範囲であり、前記粘土鉱物(C)が5〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
さらに本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)とを必須成分として配合し、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ウィスカー状無機充填剤(B)が10〜200質量部の範囲であり、前記粘土鉱物(C)が5〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関する。
さらに、本発明は前記製造方法でポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得る工程と、得られた樹脂組成物を成形する工程とを有する成形品の製造方法に関する。
本発明によれば、ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する耐熱性や機械的強度を維持しつつ、かつ、熱伝導性、耐摩耗性および耐久性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品を提供することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ウィスカー状無機充填剤(B)が10〜200質量部の範囲であり、前記粘土鉱物(C)が5〜100質量部の範囲であることを特徴とする。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を必須成分として配合する。本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
Figure 2017088878
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記式(2)
Figure 2017088878
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。下記式(8)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して、0.001〜3モル%が好ましく、特に0.01〜1モル%であることが好ましい。
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2017088878
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記式(1)や式(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
Figure 2017088878
で表される構造部位を、前記式(1)と式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
本発明において前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではないが、溶融粘度(V6)が2〜1000Pa・sであることが好ましく、さらに5〜100Pa・sであることがより好ましい。
ただし、本発明において、「溶融粘度(V6)」とは、島津製作所製フローテスター「CFT−500C」を用いて、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10/1にて、6分間保持した後に測定した溶融粘度を言うものとする。
また、本発明において該ポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではないが、前記ウィスカー状無機充填剤や前記繊維強化材と反応して溶融混練物の溶融粘度が過度に高くなることを防ぎ、流動性や偏肉のない優れた成形性を発揮することができる観点から、0.90〜1.25の範囲のものが好ましく、さらに0.95〜1.15の範囲のものがより好ましい。
ただし、本発明において「非ニュートン指数」は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(l)とオリフィス径(d)の比l/d=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
Figure 2017088878
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]N値は1に近いほどPPSは線状に近い構造であり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
本発明では、当該ポリアリーレンスルフィド樹脂は、機械的強度と流動性とに優れることから溶融粘度が異なる2種以上の樹脂を併用することが好ましい。以下、併用する場合について詳述する。
たとえば、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)のうち、溶融粘度(V6)が5〜15Pa・sのポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、溶融粘度(V6)が50〜150Pa・sのポリアリーレンスルフィド樹脂(a2)とを、質量基準で(a1)/(a2)=10/90〜30/70の範囲で用いることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)としては、溶融混練時のガス発生を抑え、かつ機械的強度に優れる成形品が得られやすくなる傾向にあることから、5Pa・s以上の範囲が好ましい。一方、より低分子量のものを用いることが流動性を確保できる傾向にあることから、15Pa・s以下の範囲、さらには13Pa・sの範囲が好ましい。
一方、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a2)としては、より高分子量のものを用いることが機械的強度に優れる成形品を得られやすくなる傾向にあることから、50Pa・s以上の範囲が好ましい。一方、溶融混練時のゲル化傾向をおさえ、表面平滑性に優れた成形品が得られやすくなる傾向にあることから、150Pa・s以下の範囲、さらには100Pa・sの範囲が好ましい。
また、該ポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートン指数は、特に限定されるものではないが、前記ウィスカー状無機充填剤や前記繊維強化材と反応して溶融混練物の溶融粘度が過度に高くなることを防ぎ、流動性や偏肉のない優れた成形性を発揮することができる観点から、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)としては0.90〜1.25の範囲のものが好ましく、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a2)としては0.90〜1.25の範囲のものが好ましい。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a2)との割合は、機械的強度と流動性とのバランスの観点から質量基準で(a1)/(a2)=10/90〜30/70の範囲であることが好ましく、さらに溶融混練時のガス発生の抑制の観点と前記機械的強度および流動性の両立の観点とから、質量基準で(a1)/(a2)=15/85〜25/75の範囲であることがより好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)を必須成分として配合してなる。本発明で用いるウィスカー状無機充填剤としては、針状構造を有する単結晶体または多結晶体であれば、特に制限なく用いることができるが、好ましくは平均径(d)が0.1〜200μmの範囲であり、かつ、平均長(l)と平均径(d)の比(l/d。以下、アスペクト比)が3以上の範囲のものがあげられる。当該アスペクト比は、さらに好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上の範囲、かつ、1000以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは25以下の範囲のものがあげられる。このように結晶体で、かつ、針状構造を有することにより、熱伝導性に優れた成形品を得ることができるため好ましい。なお、結晶質であることから、溶融混練により、原料時よりも細く割れた形状になる可能性があるが、このようなものも含まれるものとする。
ウィスカー状無機充填剤として、具体的には、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカーおよびワラストナイトウィスカーから選ばれる少なくとも1種以上を挙げることができる。このうち、機械的強度に優れる観点から炭酸カルシウムウィスカーおよびワラストナイトウィスカーが好ましいものとして挙げられる。なお、ウィスカー状無機充填剤は天然物由来でも合成品のいずれでも良いが、天然物由来の場合には、副成分(結晶性シリカ)が当該ウィスカー状無機充填剤中に1.2質量%以下であるものが好ましく、0.1質量%以下であるものがより好ましく、さらに検出限界以下、すなわち、該成分を含まないものであることが最も好ましい。
具体的に、炭酸カルシウムウィスカーとしては、公知のものを特に制限なく用いることができ、アラゴナイト結晶が90%以上の繊維を挙げることができる。中でも平均径5μm以下、平均長が5〜200μm、アスペクト比が3〜1,000の範囲にあるものが好ましい。
ワラストナイトウィスカーとしては、CaSiOで示される白色針状鉱物を挙げるこができる。中でも平均繊維径が0.1〜20μm、平均繊維長が1〜100μm、アスペクト比が3〜100の範囲にあるものが好ましい。
ウィスカー状無機充填剤の表面処理に用いるカップリング剤としては、ウィスカー状無機充填剤の表面処理が可能であれば特に制限されず公知のものが使用でき、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等を挙げることができる。この中でも、エポキシシラン、アミノシラン等のシランカップリング剤を好ましく使用できる。カップリング剤の使用量は、特に制限されず、得ようとする組成物の用途等に応じて適宜選択すればよいが、通常無機充填剤に対して0.3〜5質量%とすればよい。
前記ウィスカー状無機充填剤(B)の配合割合はポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して10〜200質量部の範囲であり、30〜160質量部の範囲が好ましく、50〜130質量部の範囲であることがさらに好ましい。樹脂組成物中のウィスカー状無機充填剤(B)の配合割合が当該範囲の下限値以上であれば熱伝導性が高くなり、また該配合割合が当該範囲の上限値以下であれば相対的に樹脂や繊維状強化材など他成分の量が多くなり、組成物の機械的強度が向上するうえ、流動性も向上する。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、モース硬度が2未満の粘土鉱物(D)を必須成分として配合してなる。本発明で用いる粘土鉱物(C)としては、モース硬度が2未満であればよいが、さらに熱伝導率が1〜5W/m・Kの範囲のものが好ましいものとして挙げられる。この様な粘土鉱物としては、タルク(滑石)や、カオリナイト(kaolinite)、ディク石(dickite)、ナクル石(nacrite)、ハロイ石(halloysite)、アンチゴライト(antigorite)、単斜クリソタイル石、斜方クリソタイル石(orthochrysotile)、パラクリソタイル石(parachrysotile)、リザード石(lizardite)、アメス石(amesite)、ケリー石(kellyite)、ベルチェリン(berthierine)、グリーナ石およびヌポア石(nepouite)などのカオリナイト(高陵石)等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、硬度と熱伝導率のバランスの観点からタルクが好ましい。
該粘土鉱物(C)の形状としては特に制限はないが、板状のもの、より具体的にはアスペクト比が10以上のものを用いることがフィラー間の接触確率が増加する点から好ましい。また、粘土鉱物として板状のものを用いる場合、その粒径は特に制限はないが、体積分布基準の50%粒径で5〜50μmの範囲のものを用いることが好ましい。
該粘土鉱物(C)の配合割合はポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して5〜100質量部の範囲であり、10〜90質量部の範囲であることが好ましく、20〜60質量部の範囲であることがより好ましい。樹脂組成物中の粘土鉱物(C)の配合割合が当該範囲の下限値以上であれば熱伝導性が高くなり、また該配合割合が当該範囲の上限値以下であれば相対的に樹脂や他成分の量が多くなり、組成物の機械的強度が向上するうえ、流動性も向上する。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必要に応じて、繊維状強化材(D)を任意成分として配合してなる。繊維状強化材(D)としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系などの炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。本発明においては、樹脂組成物として絶縁性を保持する観点から、ガラス繊維が好ましい。
繊維状強化材(D)の繊維径および繊維長としては特に制限はないが、充填率と機械的強度の観点から、繊維径が5〜15μmの範囲のもの、また、繊維長が1〜5mmの範囲のものが好ましい。
本発明において繊維状強化材(D)は必須成分ではないが、配合する場合、その配合割合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないものの、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して25〜150質量部の範囲であることが好ましく、50〜100質量部の範囲であることがより好ましい。当該範囲で機械的強度と熱伝導性をより向上させることができるため好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必要に応じて、耐衝撃性付与剤(E)を任意成分として配合してなる。耐衝撃性付与剤としては、例えばα−オレフィン類とビニル重合性化合物とを共重合して得られる前記熱可塑性エラストマー(E)などが挙げられる。前記α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素原子数2〜8のα−オレフィン類などが挙げられる。前記ビニル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸類及びそのアルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の炭素原子数4〜10の不飽和ジカルボン酸類とそのモノ及びジエステル類、その酸無水物等のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において耐衝撃性付与剤(E)は必須成分ではないが、配合する場合、その配合割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。当該範囲で伸び特性と耐衝撃性をより向上させることができるため好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必要に応じ、シランカップリング剤を任意成分として配合してなる。シランカップリング剤としては、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、カルボキシ基と反応する官能基、例えば、エポキシ基、イソシアナト基、アミノ基または水酸基を有するシランカップリング剤が好ましいものとして挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
本発明においてシランカップリング剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合割合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.1〜5質量部の範囲であることがより好ましい。かかる範囲において、成形品の機械的強度が向上するため好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、更に機械的強度、特に冷熱衝撃強度、耐熱性、寸法安定性等の性能を改善するために、上記のカップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)及び繊維状強化材(D)以外の充填剤を任意成分として配合してなる。
本発明において該充填剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合割合は前記ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0質量部より多く、通常は1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、かつ600質量部以下の範囲であることが好ましい。かかる範囲において成形品が、強度、剛性、耐熱性、放熱性および寸法安定性など、加える充填剤の機能に応じて各種性能が向上するため好ましい。
該充填剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ公知慣用の材料を用いることもでき、例えば、粒状や板状などの非繊維状のものなど、さまざまな形状の充填材等が挙げられる。具体的には、ガラスビーズ、ガラスフレーク、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等の非繊維状充填剤が使用できる。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上記成分に加えて、さらに用途に応じて、適宜、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂、ポリ二弗化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂、或いは、弗素ゴム等のエラストマーなどを任意成分として配合してなる。
これらの樹脂は必須成分ではないが、配合する場合、その配合割合は、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いることが好ましい。
また本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、その他にも離型剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、防錆剤、カップリング剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として配合してなる。
これらの添加剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合割合は、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は特に制限なく、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)とを必須成分として、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練する。より具体的には、原料としてポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)の各必須成分と、必要に応じて、充填剤等のその他の任意成分を、粉末、ベレット、細片など様々な形態でリボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンターなどに投入してドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーターなどの公知の溶融混練機に投入し、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上となる温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上となる温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃となる温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃となる温度範囲で溶融混練する工程を経て製造することができる。溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5〜500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数50〜500(rpm)の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜5(kg/hr/rpm)なる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、前記成分のうち、充填剤や添加剤を配合する場合は、前記二軸混練押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.9であることが好ましい。中でも0.3〜0.7であることが特に好ましい。
このように溶融混練して得られる本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)と、必要に応じて加える任意成分およびそれらの由来成分を含む溶融混練物であり、該溶融混練後に、公知の方法でペレット、チップ、顆粒、粉末等の形態に加工してから、必要に応じて100〜150℃の温度で予備乾燥を施して、各種成形に供することが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に離形性にも優れるため射出成形用途に適している。射出成形にて成形する場合、各種成形条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。例えば、射出成形機内で、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上の温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃の温度範囲で前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融する工程を経た後、樹脂吐出口よりを金型内に注入して成形すればよい。その際、金型温度も公知の温度範囲、例えば、室温(23℃)〜300℃の範囲、好ましくは120〜180℃に設定すればよい。
このようにして得られた本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂成形品は熱伝導性に優れるものであり、例えば、実施例に記載された測定方法にて、0.2(W/m・K)以上の範囲の熱伝導率のものがあげられ、好ましくは0.2〜5.0(W/m・K)の範囲の熱伝導率のものがあげられ、さらに好ましくは0.5〜4.5(W/m・K)の範囲の熱伝導率のものがあげられる。また、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂成形品は機械的強度、特にTD方向の機械的強度に優れるものであり、例えば、実施例に記載された測定方法にて、100(MPa)以上の範囲の曲げ強さのものがあげられ、好ましくは100〜150(MPa)の範囲の曲げ強さのものがあげられ、より好ましくは100〜120(MPa)の範囲の曲げ強さのものがあげられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂成形品は、熱伝導性および機械的強度に優れることから、熱交換器、放熱板等といった内部で発生した熱を外部に放熱する部品に好適に用いることができる。
主な用途例として箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
[曲げ強さ]
ISO 178に準拠。流動方向の評価にはISO TYPE−Aダンベル、流動と直角方向の評価にはISO D2シートから25mm幅で切り出したものを試験片とした。
[流動性(スパイラルフロー長)]
1.6mm厚みのスパイラルフロー金型を用い、シリンダー温度330 ℃、金型温度150 ℃、射出圧力90MPa、6秒で成形したときのスパイラルフロー長を測定した。
[熱伝導率]
キセノンフラッシュ法を用いて、JIS−R1611「セラミックスの熱拡散率測定」に準拠し、φ10mm、厚み2mmの円柱状試験片を評価した。
[金属磨耗性]
JIS K7218 A法に準拠した摺動試験にて、鋼材(HRC61〜62)と1時間摺り合わせたときの鋼材の磨耗量を測定した。摩耗量が0.05mg未満を◎、0.05以上0.10mg未満を○、0.10以上0.20mg未満を△、0.20mg以上を×とした。
[長期耐久性]
85℃、85%RHの湿熱条件下、1500時間後の「曲げ強さ」(MD方向)を測定した。
(実施例)
PPS(A)、無機充填剤フィラー(B)、粘土鉱物(C)および繊維状強化材(D)等を下表に示す割合で、株式会社日本製鋼所製ベント付き2軸押出機「TEX−30」に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数200rpm、設定樹脂温度330℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。なお、繊維状強化材(D)はサイドフィーダーで、その他の材料はタンブラーで予め均一に混合し、トップフィーダーで投入した。
得られた樹脂組成物のペレットを、140℃ギヤオーブンで2時間乾燥した後射出成形することで試験片を作製し、各種物性を測定した。結果を表1〜2に示す。なお、表中の単位は特に断りがない限り質量単位である。
Figure 2017088878
Figure 2017088878
以下、上記実施例において用いた各試料を記載する。
PPS(a1):DIC株式会社製DIC.PPS(製品名;溶融粘度(V6)10Pa・s、熱伝導率0.2(W/m・K))
PPS(a2):DIC株式会社製DIC.PPS(製品名;溶融粘度(V6)60Pa・s、熱伝導率0.2(W/m・K))
無機充填剤(b1):ワラストナイト シランカップリング剤を用いた表面処理品、繊維径18μm、アスペクト比13、熱伝導率3.0W/m・K、副成分(結晶性シリカ)含有量が検出限界以下
無機充填剤(b2):アルミナ、D50/7(μm)、熱伝導率25(W/m・K)
粘土鉱物(c1):タルク:アスペクト比 <20、D50/20(μm)、モース硬度1、熱伝導率3W/m・K
ガラス繊維(d1):繊維径/10(μm)、繊維長/3(mm)、熱伝導率1W/m・K
その他添加剤(e1):エチレン/グリシジルメタクリレート(88/12質量%)共重合体

Claims (10)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ウィスカー状無機充填剤(B)が10〜200質量部の範囲であり、前記粘土鉱物(C)が5〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記ウィスカー状無機充填剤(B)が、ワラストナイトウィスカー及び炭酸カルシウムウィスカーからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記ウィスカー状無機充填剤(B)が、平均径が0.1〜200μmの範囲で、かつ、平均長(l)と平均径(d)との比(l/d)が3以上である請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)がタルクである請求項1〜3の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  5. さらに、繊維状強化材(D)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して25〜150質量部の範囲で配合してなる請求項1〜4の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 溶融混練物である請求項1〜5の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 前記請求項1〜6の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
  8. 熱伝導率が、0.2〜5.0W/m・Kの範囲である請求項7記載の成形品。
  9. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、カップリング剤で表面処理されたウィスカー状無機充填剤(B)と、モース硬度が2未満の粘土鉱物(C)とを必須成分として配合し、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ウィスカー状無機充填剤(B)が10〜200質量部の範囲であり、前記粘土鉱物(C)が5〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項9記載の製造方法でポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得る工程と、得られた組成物を成形する工程とを有する成形品の製造方法。
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