JP6866609B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低温条件での成形が可能でありながら、耐熱性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性や耐薬品性に優れる特徴を生かし、電気・電子機器部品や自動車部品等様々な用途に用いられている。ポリアリーレンスルフィド樹脂等の熱可塑性樹脂の成形には射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形等の様々な溶融加工法が採用されており、このうち射出成形法は複雑な形状の成形物を大量生産する場合に好適な成形法として広く利用されている。射出成形法では樹脂を融点以上の温度に加熱して流動性を高め、これを適切な温度に加熱した金型に射出充填し、冷却し固化させて成形物を得る。従来のポリアリーレンスルフィド樹脂の場合、適切な金型温度は130〜180℃程度と比較的高温であることから、成形サイクルにおいて金型の再加熱に要するエネルギーと時間とが生産効率に大きく影響していることから、再結晶化温度(Tc2)が低く、より低い金型温度で成形が可能なポリアリーレンスルフィド樹脂の開発が望まれていた。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の再結晶化温度(Tc2)を低下させる方法として、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩の存在下で、環式ポリアリーレンスルフィド樹脂を高重合度化させる方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に生成されるオリゴマー成分を、ポリアリーレンスルフィド樹脂成分や、反応溶媒、水、ハロゲン化アルカリ金属塩を含む反応生成物から分離回収し、さらに得られたオリゴマー成分から線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーを除き、環式ポリアリーレンスフィドオリゴマーを高濃度化させる精製操作を経る必要があり、極めて生産性が低いものであった。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂の再結晶化温度(Tc2)を低下させる他の方法として、パラジクロロベンゼンとメタジクロロベンゼンとを共重合させる方法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法により得られる樹脂は再結晶化温度(Tc2)を低下させ、低温成形性に優れる一方で、耐熱性も著しく低下してしまい、低温成形性と耐熱性とを両立し得るものではなかった。
WO2015/098748A1パンフレット 特開2014−051655号公報
したがって本発明が解決しようとする課題は、低温条件での成形が可能でありながら、耐熱性に優れる成形品を製造可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂成形品、およびこれらを生産性よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決する為、鋭意努力した結果、末端に結合するナトリウム原子量を低減したポリアリーレンスルフィド樹脂を用い、これをアルカリ土類金属塩に由来するアルカリ土類金属原子と配合するという簡便な方法により、低温条件での成形が可能でありながら、かつ、耐熱性に優れる成形品を製造可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、および、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ナトリウム原子含有量が650ppm以下の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩とを配合し、溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、ナトリウム原子含有量が650ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
また、本発明は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を金型内で成型する工程を有する成形品の製造方法であって、金型温度が40〜180℃の範囲であることを特徴とする成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、ナトリウム原子含有量が650ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを配合し、溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の再結晶化温度(Tc2)の低下方法に関する。
本発明によれば、低温条件での成形が可能でありながら、耐熱性に優れる成形品を製造可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂成形品、およびこれらを生産性よく製造する方法を提供することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、ナトリウム原子含有量が650ppm以下の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、アルカリ土類金属塩とを必須成分として配合し、溶融混練することを特徴とする。
本発明の製造方法の必須成分である、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記一般式(1)
Figure 0006866609
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記一般式(2)
Figure 0006866609
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。式(2)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して0.001〜3モル%の範囲が好ましく、特に0.01〜1モル%の範囲であることが好ましい。
ここで、前記一般式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 0006866609
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記一般式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記一般式(1)や(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
Figure 0006866609
で表される構造部位を、前記一般式(1)と一般式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記一般式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記一般式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
(製造方法)
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの範囲の有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子末端がカルボキシ基又はカルボン酸ナトリウム塩となるが、所望のナトリウム原子の含有量になるまで重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物を後処理工程として洗浄することが好ましい。後処理方法としては、公知慣用の方法でよく、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または水素塩を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌し、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
後処理方法で添加することができる酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、モノクロロ酢酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、あるいはメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸又はリン酸等の無機酸が挙げられる。また、水素塩としては、例えば、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。実機での使用においては、金属部材への腐食が少ない有機酸が好ましい。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の物性は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、以下の通りである。
(ナトリウム含有量)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、原料のスルフィド化剤などに由来するナトリウム原子の含有量が650ppm以下の範囲であり、さらに500ppm以下の範囲であることが好ましく、特に250ppm以下の範囲であることが特に好ましい。一方、ナトリウム濃度の下限値は、検出限界以下まで低減させることが好ましいものの、過度な低減は生産性を低下させることがあるため40ppm以上の範囲であることが好ましく、さらに50ppm以上の範囲であることがより好ましく、さらに70ppm以上の範囲であることが特に好ましい。なお、ポリアリーレンスルフィド樹脂中に含まれるナトリウム原子含有量は、該樹脂を500℃で焼成し、次いで530℃で6時間焼成して得られた灰分を塩酸で溶解し、原子吸光光度計:AA−6300(島津製作所製)で測定した際のナトリウム原子の濃度(質量基準)を言うものとする。
(溶融粘度)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は本発明の効果を損ねないものであれば特に制限されるものではないが、例えば、300℃で測定した溶融粘度(V6)が2〜1000〔Pa・s〕の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから2〜500〔Pa・s〕の範囲がより好ましく、10〜200〔Pa・s〕の範囲であることが特に好ましい。本発明において、溶融粘度(V6)の測定は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Dを用いて行い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に測定した値とする。
(化学発光強度)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、窒素流通下、160℃で測定した化学発光強度の極大値が、該樹脂1gあたり5000〔カウント/秒〕以下の範囲であることが好ましく、さらに100〜3000〔カウント/秒〕の範囲であることがより好ましい。なお、化学発光強度の測定は化学発光測定装置を用いて行うことができる。ポリアリーレンスルフィド樹脂を加熱することで化学発光強度は徐々に上昇し、極大値を示した後徐々に減衰するのが一般的である。本発明では、測定開始から5分後までの間に極大値を示す加熱温度160℃における値を基準とした。本発明の効果を奏するメカニズムについてはいまだ解明できていないものの、当該範囲のポリアリーレンスルフィド樹脂を用いることで、有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩の配合による、より優れた再結晶化温度(Tc2)の低温化を実現することができ好ましい。
(熱的性質)
本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の融点(Tm)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、280℃以上の範囲であることが好ましく、さらに280℃〜310℃の範囲にあることがより好ましい。また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の再結晶化温度(Tc2)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、270℃以下の範囲であることが好ましく、210〜270℃の範囲であることがより好ましく、さら、220〜260℃の範囲であることが特に好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法の必須成分である、有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩は、有機カルボン酸に含まれている一つ以上の解離し得る水素イオンが、アルカリ土類金属で置換された化合物である。有機カルボン酸は、炭素原子数1〜20の範囲を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはアルキルアリール基にカルボキシル基が結合したカルボン酸であることが好ましい。カルボキシル基に結合するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはアルキルアリール基の炭素原子数はその上限値が20以下の範囲であることが好ましく、10以下の範囲であることがより好ましく、さらに、4以下の範囲であることが特に好ましい。一方、当該炭素原子数の下限値は1以上であることが好ましい。より具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ステアリン酸、リノグリセリン酸、メリシン酸、クエン酸、安息香酸、フェニル酢酸、p−トルイル酸などが挙げられる。
一方、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウムまたはストロンチウムが挙げられるが、この中でカルシウムが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法において、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂に対する前記有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩の配合割合は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中の硫黄原子1モル当たり(またはポリアリーレンスルフィド樹脂108g当たり)、前記有機カルボン酸アルカリ土類金属塩0.05〜15モルの範囲であることが好ましく、さらに0.5〜5モルの範囲であることがより好ましく、0.8〜2モルの範囲であることが特に好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、必要に応じて、熱可塑性エラストマーを任意成分として配合することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマーまたはシリコーン系エラストマーが挙げられ、このうちポリオレフィン系エラストマーが好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーを添加する場合、本発明の効果を損ねなければその配合割合は特に限定されないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.1〜5質量部の範囲であることがより好ましい。かかる範囲において、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の靭性ないし耐衝撃性が向上するため好ましい。
前記ポリオレフィン系エラストマーは、例えば、α−オレフィンの単独重合または異なるα−オレフィン同士の共重合により、さらに、官能基を付与する場合には、α−オレフィンと官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン−1等の炭素原子数2〜8の範囲のものが挙げられる。また、官能基としては、カルボキシ基、式−(CO)O(CO)−で表される酸無水物基、それらのエステル、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、またはオキサゾリン基などが挙げられる。
このような官能基を有するビニル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、上述したエポキシ基、カルボキシ基、及び、該酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、靭性及び耐衝撃性の向上の点から好ましい。
また本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、その他にも充填剤、シランカップリング剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、または防錆剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として配合することができる。これらの添加剤を配合する場合には、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
前記充填剤は、繊維状、粒状、板状などいずれの形状でも良く、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化珪素、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム等の繊維、ウォラストナイト等の天然繊維等の繊維状充填剤や、ガラスビーズ、ガラスフレーク、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等の非繊維状充填剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記シランカップリング剤は、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物;γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、上記成分に加えて、さらに用途に応じて、適宜、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂、ポリ二弗化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂などを任意成分として配合することができる。また、これらの樹脂の配合割合は、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は特に制限なく、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩、さらに、必要に応じて加える上記の任意成分を、粉末、ペレット、細片など様々な形態でリボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンダーなどに投入してドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどの公知の溶融混練機に投入し、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上となる温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上となる温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃となる温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃となる温度範囲で溶融混練する工程を経て製造することができる。溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5〜500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数50〜500(rpm)の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜5(kg/hr/rpm)なる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、前記成分のうち、充填剤や添加剤を添加する場合は、前記二軸混練押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.9であることが好ましい。中でも0.3〜0.7であることが特に好ましい。
このようにして得られる本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩と、必要に応じて加える任意成分とを配合してなる溶融混合物であり、該溶融混練後に、公知の方法でペレット、チップ、顆粒、粉末等の形態に加工してから、必要に応じて100〜150℃の温度で予備乾燥を施して、各種成形に供することが好ましい。
上記各種製造方法により製造される本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をマトリックスとし、当該マトリックス中に、必須成分である有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩に由来する成分、必要に応じて添加する任意成分が分散したモルフォロジーを形成することにより、低温条件での成形が可能でありながら、耐熱性に優れる成形品を製造可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が得られる。
このようにして得られた本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の融点(Tm)は、耐熱性や機械的強度に優れることから、280℃以上の範囲であることが好ましく、さらに280℃〜310℃の範囲にあることがより好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の再結晶化温度(Tc2)は、耐熱性や機械的強度に優れることから、260℃以下の範囲であることが好ましく、180〜250℃の範囲であることがより好ましく、190〜240℃の範囲であることがさらに好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点(Tm)と再結晶化温度(Tc2)との差(ΔT)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、20℃以上の範囲であることが好ましく、20〜75℃の範囲であることがより好ましく、さらに35〜55℃の範囲であることが特に好ましい。
このように本発明は、ナトリウム原子含有量が650ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを配合し、溶融混練することによりポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の再結晶化温度(Tc2)を、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩を配合しなかった場合に比べて低下させることができ、その差、すなわち、原料の該ポリアリーレンスルフィド樹脂の再結晶化温度(Tc2)と、原料の該ポリアリーレンスルフィド樹脂と有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを配合し溶融混練して得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の再結晶化温度(Tc2)の差(ΔTc2)が、好ましくは100℃以下の範囲、より好ましくは40〜80℃の範囲、さらに好ましくは10〜50℃の範囲まで低下させることができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能である。中でも、低温条件での成形が可能である本願発明の効果を生かし、射出成形用途、さらには大型射出成形品用途に好適に用いることができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を射出成形にて成形する場合の各種条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。成形の前には、100〜150℃の温度で予備乾燥することにより、成形物の外観や機械物性が向上する。シリンダー温度は、シリンダー内の樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の融点以上、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃の温度範囲となるよう適宜設定する。その後、溶融された樹脂組成物は、樹脂吐出口より金型内に注入されて成形されればよい。その際の金型温度は通常、130〜160℃の範囲に設定されるが、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は低温成形性に優れる特徴を有することから、130℃未満の範囲であっても、より好ましくは120℃以下の範囲、さらに好ましくは115℃以下の範囲、かつ、40℃以上の範囲という比較的低温条件であっても外観や機械物性に優れる成形物を得ることができる。
前記複合成形体の主な用途例としては、各種家電製品、携帯電話、及びPC(Personal Computer)等の電子機器の筐体、箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(測定方法)
・溶融粘度
実施例においてポリアリーレンスルフィド樹脂及びポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の300℃での溶融粘度(V6)は、島津製作所製フローテスター「CFT−500D」を用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)の条件にて、6分間保持した後に測定した。
・融点および再結晶化温度(Tc2)
ポリアリーレンスルフィド樹脂及びポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の融点(Tm)および再結晶化温度(Tc2)は、示差走査熱量計(Perkin Elmer社製「DSC8500」)を用いて測定した。
融点は、該樹脂又は樹脂組成物を50mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温条件で40℃から400℃までの範囲を測定し、融解による吸熱ピーク温度を求めた。
再結晶化温度(Tc2)は、該樹脂又は樹脂組成物を350℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/min)、溶融状態にした後(保持時間:3min)、当該樹脂又は組成物を20℃/minの降温速度で120℃まで冷却した時に発現する樹脂又は組成物の再結晶化ピーク温度を測定し、評価した。
・ナトリウム原子の含有量
各合成例で製造したポリフェニレンスルフィド樹脂を500℃で焼成し、次いで530℃で6時間焼成して得られた灰分を塩酸で溶解し、原子吸光光度計:AA−6300(島津製作所製)で測定した。
・化学発光強度
化学発光測定装置(東北電子産業、形式名:ケミルミネッセンスアナライザーCLA−ID3)を用いて、各合成例で製造したポリフェニレンスルフィド樹脂(試料4g)を試料室に入れて、窒素流通下、加熱温度160℃で化学発光強度の計測を行い、計測開始から5分後までの間に観測される化学発光強度の極大値を測定値とした。なお、測定値は該樹脂1gあたり、1秒間に測定されるカウントとして表記した。
〔合成例1〕(低Na含有PPSの合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.81重量%NaS)15.400kg(120モル)と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)38.0kg(383モル)を仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(p−DCB)17.640kg(120モル)、トリクロロベンゼン(TCB)0.017kg(0.096モル)、及びNMP16.0kg(161モル)を仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて0.098MPa(ゲージ圧)に加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が150℃になった時点で、シュウ酸二水和物0.151kg(1.20モル)を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に圧入し、次に150℃で30分間攪拌して酸処理した後、冷却した。該処理時のスラリーのpHは、8.9であった。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。この混合物に70℃のイオン交換水360gを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み150℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み160℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。その後、120℃で4時間乾燥し、溶融粘度(V6)80Pa・s、融点289℃、再結晶化温度(Tc2)242℃、Na含有量200ppm、化学発光強度1265カウント/秒のPPS樹脂(PPS−1)を得た。
〔合成例2〕(低Na含有PPSの合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.81重量%NaS)15.400kg(120モル)と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)38.0kg(383モル)を仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(p−DCB)17.640kg(120モル)、及びNMP16.0kg(161モル)を仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて0.098MPa(ゲージ圧)に加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が150℃になった時点で、シュウ酸二水和物0.151kg(1.20モル)を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に圧入し、次に150℃で30分間攪拌して酸処理した後、冷却した。該処理時のスラリーのpHは、8.9であった。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。この混合物に70℃のイオン交換水360gを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み150℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み160℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。その後、120℃で4時間乾燥し、溶融粘度(V6)270Pa・s、融点287℃、再結晶化温度(Tc2)242℃、Na含有量23ppm、化学発光強度2538カウント/秒のPPS樹脂(PPS−2)を得た。
〔合成例3〕(低Na含有PPSの合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.81重量%NaS)15.400kg(120モル)と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)38.0kg(383モル)を仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(p−DCB)17.534kg(119モル)、トリクロロベンゼン(TCB)0.131kg(0.724モル)、及びNMP16.0kg(161モル)を仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて0.098MPa(ゲージ圧)に加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が150℃になった時点で、シュウ酸二水和物0.151kg(1.20モル)を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に圧入し、次に150℃で30分間攪拌して酸処理した後、冷却した。該処理時のスラリーのpHは、8.9であった。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。この混合物に70℃のイオン交換水360gを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み150℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み160℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。その後、120℃で4時間乾燥し、溶融粘度(V6)1100Pa・s、融点280℃、再結晶化温度(Tc2)238℃、Na含有量23ppm、化学発光強度3653カウント/秒のPPS樹脂(PPS−3)を得た。
〔比較合成例1〕(高Na含有PPSの合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.81重量%NaS)15.400kg(120モル)と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)38.0kg(383モル)を仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(p−DCB)17.534kg(119モル)、トリクロロベンゼン(TCB)0.131kg(0.724モル)、及びNMP16.0kg(161モル)を仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて0.098MPa(ゲージ圧)に加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が150℃になった時点で、シュウ酸二水和物0.151kg(1.20モル)を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に圧入し、次に150℃で30分間攪拌して酸処理した後、冷却した。該処理時のスラリーのpHは、8.9であった。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。この混合物に70℃のイオン交換水360gを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み150℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み160℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。その後、120℃で4時間乾燥した後、250℃で30分間熱処理し、溶融粘度(V6)70Pa・s、融点286℃、再結晶化温度(Tc)227℃、Na含有量1000ppm、化学発光強度26068カウント/秒のPPS樹脂(PPS−C1)を得た。
〔比較合成例2〕(高Na含有PPSの合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.81重量%NaS)15.400kg(120モル)と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)38.0kg(383モル)を仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(p−DCB)17.640kg(120モル)、及びNMP16.0kg(161モル)を仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて0.098MPa(ゲージ圧)に加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却した。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。この混合物に70℃のイオン交換水360gを加えて10分間攪拌した後にろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み150℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。得られた含水ケーキとイオン交換水180gを0.5リッターオートクレーブに仕込み160℃で30分間攪拌を行った。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ過後のケーキに70℃のイオン交換水480gを加えケーキ洗浄を行った。その後、120℃で4時間乾燥し、溶融粘度(V6)30Pa・s、融点288℃、再結晶化温度(Tc2)202℃、Na含有量1200ppm、化学発光強度6397〔カウント/秒〕のPPS樹脂(PPS−C2)を得た。
〔比較合成例3〕(高Na含有PPSの合成)
撹拌機付きのステンレス製反応器1に48%水硫化ナトリウム水溶液1169kg(10kmol)、48%水酸化ナトリウム水溶液841kg(10.1kmol)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略する場合もある)を1,983kg(20kmol)、50%酢酸ナトリウム水溶液322kg(1.96kmol)を仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで3時間かけて徐々に加熱し、精留塔を介して水1200kgおよびNMP26kgを留出した。なお、この脱液操作の間に仕込んだイオウ成分1モル当たり0.02モルの硫化水素が系外に飛散した。
次いで、200℃まで冷却した後、内容物を別の攪拌機付きのステンレス製反応器2に移送した。反応器1にNMP932kgを仕込み内部を洗浄し、洗浄液を反応器2に移した。次に、p−ジクロロベンゼン1,477kg(10.0kmol)を反応器2に加え、窒素ガス下に密封し、撹拌しながら200℃まで昇温した。次いで200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、この温度で140分保持した。水353kg(19.6kmol)を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後220℃まで0.4℃/分の速度で冷却してから、80℃まで急冷し、スラリー(A)を得た。このスラリー(A)を2,623kgのNMPで希釈しスラリー(B)を得た。80℃に加熱したスラリー(B)をふるい(80mesh、目開き0.175mm)で濾別し、メッシュオン成分としてスラリーを含んだ顆粒状PPS樹脂を、濾液成分としてスラリー(C)を得た。
メッシュオン成分として得られた、スラリーを含んだ顆粒状PPS樹脂100kgにNMP250kgを加えて85℃で30分間洗浄し、ふるい(80mesh、目開き0.175mm)で濾別した。得られた固形物を500kgのイオン交換水で希釈して、70℃で30分撹拌後、80メッシュふるいで濾過して固形物を回収する操作を合計5回繰り返した。このようにして得られた固形物を、窒素雰囲気下130℃で乾燥し、顆粒状ポリフェニレンスルフィドを得た。
得られた顆粒状PPS樹脂は溶融粘度(V6)70Pa・s、融点290℃、再結晶化温度(Tc2)225℃、Na含有量1000ppm、化学発光強度8132カウント/秒のPPS樹脂(PPS−C3)であった。
Figure 0006866609
〔実施例1〕
PPS−1を20g、酢酸カルシウムを0.2g秤量し、各材料をタンブラーで均一に混合した。その後、二軸押出機(DSM Explore社製「Compounder15」)に前記材料の混合物を投入し、設定温度320 ℃、回転数150rpm、滞留時間3分にて溶融混練を行った。
続いて、前記二軸押出機に取り付けたヘッドから溶融混練物をストランド状に押出し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて融点、再結晶化温度(Tc2)を測定し、PPS−1と実施例1で得られたペレットの再結晶化温度の差(ΔTc2)を算出した。その結果を表2に示した。
〔実施例2〕
PPS−1の代わりにPPS−2を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示した。
〔実施例3〕
PPS−1の代わりにPPS−3を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示した。
[実施例4]
酢酸カルシウムの変わりに次亜りん酸カルシウムを用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示した。
[比較例1]
PPS−1の代わりにPPS−C1を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表3に示した。
[比較例2]
PPS−1の代わりにPPS−C2を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表3に示した。
[比較例3]
PPS−1の代わりにPPS−C3を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表3に示した。
[比較例4]
酢酸カルシウムの変わりにステアリン酸カルシウムを用いたこと以外は、比較例3と同様に実施した。その結果を表3に示した。
Figure 0006866609
Figure 0006866609

Claims (12)

  1. ナトリウム原子含有量が650ppm以下の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩とを配合し、溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
    前記有機カルボン酸は、炭素原子数1〜10の範囲を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはアルキルアリール基にカルボキシル基が結合したカルボン酸であること、を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法
  2. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂が、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを重合反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する工程(1)、重合反応により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含むスラリーに酸又は水素塩を添加して酸処理する工程(2)、を経て得られたポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、窒素流通下、160℃で測定した化学発光強度の極大値が、該樹脂1gあたり5000カウント/秒以下の範囲である、請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  4. ナトリウム原子含有量が650ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
    前記有機カルボン酸は、炭素原子数1〜10の範囲を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはアルキルアリール基にカルボキシル基が結合したカルボン酸であること、を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
  5. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、窒素流通下、160℃で測定した化学発光強度の極大値が、該樹脂1gあたり5000カウント/秒以下の範囲である、請求項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 融点(Tm)が270℃以上であり、かつ、再結晶化温度(Tc2)が160〜210℃の範囲である請求項4または5記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 請求項4〜6の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
  8. 請求項4〜6の何れか一つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を金型内で成型する工程を有する成形品の製造方法であって、金型温度が40〜180℃の範囲であることを特徴とする成形品の製造方法。
  9. 前記金型温度が、40〜120℃の範囲であることを特徴とする請求項記載の成形品の製造方法。
  10. ナトリウム原子含有量が650ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを配合し、溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の再結晶化温度(Tc2)の低下方法であって、
    前記有機カルボン酸は、炭素原子数1〜10の範囲を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはアルキルアリール基にカルボキシル基が結合したカルボン酸であること、を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の再結晶化温度(Tc2)の低下方法
  11. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂が、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを重合反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する工程(1)、重合反応後のポリアリーレンスルフィド樹脂のスラリーに酸又は水素塩を添加して酸処理する工程(2)、を経て得られたポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項10記載の再結晶化温度(Tc2)の低下方法。
  12. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、窒素流通下、160℃で測定した化学発光強度の極大値が、該樹脂1gあたり5000カウント/秒以下の範囲である、請求項10または11記載の再結晶化温度(Tc2)の低下方法。
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