JP2007238693A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形品を高温環境下で使用する際の臭気の発生が少なく、かつ機械強度低下の少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)繊維状充填材10〜200重量部、(C)非繊維状充填材10〜200重量部を配合してなる樹脂組成物を製造する方法であって、繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードすることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形品を高温環境下で使用する際の臭気の発生が少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、押出機で3度溶融することにより臭気を低減することを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は優れた耐熱性、剛性、寸法安定性、および難燃性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として各種電気部品、機械部品及び自動車部品などの用途に幅広く使用されている。しかしながら、ポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した材料はいくつかの欠点も指摘されている。例えば、プリンター定着機廻りの部品として使用する際、周辺の温度が200℃程度の高温になる為、ポリフェニレンスルフィド樹脂成形品から臭気が発生し、市場クレーム等に繋がるケースが存在する。この為、組み付け前に熱処理を施し事前に臭気を除去するケースが多く、工程増に伴う製造サイクル延長等が問題視されている。かかる問題を解消すべく、臭気を材料レベルで低減したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の供給が求められている。
特許文献1には、予め蒸発装置でポリマー材料から揮発成分を蒸発させ、下部に存在する搬送装置にてポリマーを溶融混練することにより、溶剤やモノマー、オリゴマーを除去する方法および装置について開示されている。しかし本方法ではポリマーについては揮発成分蒸発処理がなされるものの、搬送装置で添加する添加物に関しては処理がなされておらず、これらの物質に由来する揮発物質除去が十分にできていなかった。さらに本方法では、大掛かりな設備対応が必要となる。
また、特許文献2にはポリフェニレンエーテルと、ポリフェニレンスルフィドを含む第2の熱可塑性樹脂とを溶融混練する際、臭いや有害揮発性物質をほとんど含まない樹脂組成物を得る方法であって、まずポリフェニレンエーテルを単独で供給し、注水とそれに続く減圧脱気からなる段階で溶融押出し、さらに注水とそれに続く減圧脱気からなる段階の下流個所で第2の熱可塑性樹脂を供給する方法が開示されている。しかしこの方法では、ポリフェニレンエーテル以外の熱可塑性樹脂、他の添加剤等については原理上除去処理が実施出来ず、特許文献1記載の方法と同じくこれらの物質に由来する揮発物質除去が十分できていなかった。
特表2003−530468号公報(特許請求の範囲) 特開平6−114833号公報(特許請求の範囲)

本発明は成形品を高温環境下で使用する際の臭気の発生が少なく、かつ機械強度低下の少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。
かかる課題を解決すべく鋭意研究した結果、繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に繊維状充填材をサイドフィードすることにより、上記問題点が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)繊維状充填材10〜200重量部、(C)非繊維状充填材10〜200重量部を配合してなる樹脂組成物を製造する方法であって、繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードすることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、
(2)上記(1)記載の方法により製造したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の引張強度が、押出機を複数回使用せず1度だけの使用であって、その際に繊維状充填材以外の成分は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードして製造したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物と比較して、80%以上の値を示すことを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、
(3)上記(1)または(2)記載の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の臭気指数相当値が、28以下であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を用いたOA機器部材、
を提供するものである。
本発明の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、成形時の低ガス性や低臭気性に優れている。よって本発明の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を用いた成形品は、OA機器等のプリンター、プロジェクター、リアプロジェクションTVなどのランプケース部品や周辺部品、家電製品に有用である。
本発明で使用する(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂は、下記構造式で示される繰り返し単位
Figure 2007238693
を70モル%以上、好ましくは90モル%以上を含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱性が損なわれる傾向にある。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能である。
Figure 2007238693
かかるポリフェニレンスルフィド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明においては、上記のようにして得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を、酸水溶液などによる洗浄(酸洗浄)、有機溶媒あるいは熱水による処理、アルカリ土類金属塩を含む水による洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理を施した上で使用すること、およびこれらの処理を複数回繰り返したり、異なる処理を組み合わせたりすることももちろん可能であるが、なかでも少なくとも酸洗浄することは本発明の効果をより顕著に発揮する上で特に有効である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を酸洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリフェニレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の酸洗浄に用いる酸または酸水溶液について、pHは2.5〜5.5であることが好ましく、使用量は乾燥したポリフェニレンスルフィド樹脂1kgに対して2〜100kgであることが好ましく、4〜50kgであることがより好ましく、5〜15kgであることがさらに好ましい。洗浄温度に特に制限はなく、通常室温で行うことが可能であり、加熱する場合には50〜90℃で行うことが可能である。洗浄時間は通常30分以上であることが好ましく、45分以上であることがさらに好ましい。上限についても特に制限はないが、洗浄効率の点から90分程度であることが好ましい。例えば、酢酸を用いる場合、室温に保持したpH4の水溶液中にポリフェニレンスルフィド樹脂粉末を浸漬し、45〜90分間撹拌することが好ましい。酸処理を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜100℃であることが好ましく、60〜95℃であることがさらに好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸洗浄によるポリフェニレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にポリフェニレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリフェニレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリフェニレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリフェニレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリフェニレンスルフィド樹脂と水との割合は、水が多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、ポリフェニレンスルフィド樹脂200g以下の浴比が選択される。
ポリフェニレンスルフィド樹脂をアルカリ土類金属塩を含む水で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。アルカリ土類金属塩の種類としては特に制限は無いが、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの水溶性有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物が好ましい例として挙げられ、特に酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの水溶性有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩が好ましい。水の温度は、室温〜200℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。上記水中におけるアルカリ土類金属塩の使用量は乾燥ポリフェニレンスルフィド樹脂1kgに対し0.1g〜50gであることが好ましく、0.5g〜30gであることがより好ましい。洗浄時間としては0.5時間以上が好ましく、1.0時間以上がより好ましい。また好ましい洗浄浴比(乾燥ポリフェニレンスルフィド樹脂単位重量当たりのアルカリ土類金属塩を含む温水使用重量)は洗浄時間、温度にもよるが、乾燥ポリフェニレンスルフィド1kg当たり、上記アルカリ土類金属を含む温水を5kg以上用いて洗浄することが好ましく、10kg以上用いて洗浄することがより好ましい。上限としては特に制限はなく、高くてもよいが、使用量と得られる効果の点から100kg以下であることが好ましい。かかる温水洗浄は複数回行っても良い。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。この場合の加熱処理温度としては、通常150〜280℃の範囲が選択され、好ましくは200〜270℃であり、処理時間としては、通常0.5〜100時間の範囲が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコントロールすることによって目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間の条件で加熱処理する方法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
本発明で使用する(B)繊維状充填剤としては、具体的にはガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが用いられ、これらは2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。中でもガラス繊維、炭素繊維がより好適に用いられる。本発明で用いられる繊維状充填材の配合量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し10〜200重量部であり、好ましくは20〜175重量部、更に好ましくは30〜150重量部である。繊維状充填材の配合量が少なすぎると強度、剛性、耐衝撃性が低くなってしまい、多すぎると成形時の流動性が低下する上に靭性が低下してしまう。
また、本発明で使用する(C)非繊維状充填材の具体例としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などが用いられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、カオリン、クレー、タルクなどの珪酸塩、アルミナ、黒鉛が特に好ましい。本発明で用いられる非繊維状充填材の配合量は、繊維状充填材と併用して用いない場合は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し10〜200重量部であり、好ましくは20〜175重量部、更に好ましくは30〜150重量部である。非繊維状充填材の配合量が少なすぎると寸法安定性が不十分であり、多すぎると強度、剛性、耐衝撃性が不十分となってしまう。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、低バリ性および靭性をより改良するために、さらにシラン化合物を配合することが可能である。かかるシラン化合物としては、例えばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物が挙げられる。その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられ、中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物等が好ましい。特に好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。かかるシラン化合物の含有量は、より優れた低バリ性および高靭性を得る点から、0.01〜3重量部の範囲が好ましく選択される。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないが、その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲において、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、有機リン化合物などの結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド系化合物などの離型剤、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物などの酸化防止剤、熱安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤および発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
本発明においてポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を溶融押出する方法としては、組成物原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混合機に供給して、280〜380℃の温度で溶融混合し、ストランド状に押出する方法などを代表例として挙げることができるが、十分な溶融混練を行うという観点から、好ましくは単軸あるいは2軸の押出機、更に好ましくは2軸の押出機を用いることが望ましい。組成物の原料混合物を溶融混合機に供給する場合には各成分が十分混合するよう、単軸押出機の場合はダルメージタイプのスクリューを用いることが望ましい。また2軸押出機の場合はスクリュー回転が同方向、異方向のいずれのものも用いることができる。
本発明の原料混合順序については、繊維状充填材以外の成分を配合後押出機で繰り返し2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に繊維状充填材をサイドフィーダーを用いて供給、混合する方法を用いることが必須である。この際、繊維状充填材を供給するサイドフィーダーは、主原料供給口と吐出口の中間部の、主原料供給口から供給された樹脂等が固体ではなく溶融した状態にある位置であればよく、主原料供給口から吐出口までの距離を1とすれば、5分の1〜5分の4の位置にあることが好ましい。繊維状充填材を他の成分と配合し3度溶融混練した場合、溶融混練時にかかる剪断応力により繊維充填材が破断し、十分な補強効果が発現しない。
なお、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも可能である。
押出機の運転条件はシリンダ温度およびダイヘッドの温度設定を280〜320℃とし、また、押出機スクリューの回転数を調整することにより、ダイヘッドから出たポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の樹脂温度を280〜340℃にすることが望ましい。樹脂温度が280℃未満ではポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の溶融が不充分であり、安定したストランドが得られず、ストランドに未溶融物のコブが発生する場合があり、樹脂温度が340℃を越えるとペレットを完全に結晶化することが難しくなる傾向にある。より好ましい樹脂温度は290〜330℃であり、更に好ましくは300〜320℃である。
なお、押出機による溶融混練の際、揮発性物質除去効率向上の為にシリンダバレル部に設けられたベントポート部より、真空ポンプ等を用い減圧脱気することも可能である。通常、繊維状充填材を添加する部位より後の、吐出部に近いシリンダバレル部に設けられたベントポート部より減圧脱気することが多く、揮発性物質除去効率向上にはこれが有効と考えられる。
溶融混練して得たストランドは例えば冷却バス等の手段を用い冷却され、ストランドカッター等の手段を用いペレット状に切断される。冷却バスの水温は、通常ストランドカッターで切断した直後のペレットの温度が100℃以上150℃以下になるように水温と冷却バスを通過させる時間が調整される。その条件を満たすためには冷却バスの温度は30〜60℃とすることが、また冷却バスを通過させる時間は1.2〜5秒とすることが好ましい。冷却バスの温度が30℃未満では、作成したペレットに非晶部分が存在しやすくなり、60℃より高いと、ストランドの固化が充分でなくストランドカッターでのカッティングが難しくなる。また冷却バスを通過させる時間、すなわち浸漬時間が1.2秒より短いと切断時のストランド温度が高いため、ストランドが融着を起こやすくなる。また5秒より長いと切断時のストランド温度が低くなるためストランドが固くなり、その結果としてカッティング後のペレットに微粉が多く付着することになる。
このようにして本発明で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、極めて臭いが少なく、臭気濃度を表す臭気指数相当値が28以下と極めて低臭気性に優れる。臭気指数相当値と臭気濃度とは密接な相関があることが知られており、臭気濃度は臭気指数相当値をXとしたとき、10X/10で計算され、これは臭いを感じなくなるまで薄める倍率を表している。具体例として、臭気指数相当値10とは、そのサンプルを10倍に薄めれば臭いを感じないことを表す値(臭気濃度)であり、臭気指数相当値20とは、そのサンプルを100倍に、臭気指数相当値30とは、そのサンプルを1000倍に薄めたときに臭いを感じないことを表す値(臭気濃度)である。臭気指数相当値の測定法としては、測定対象であるペレットまたは成形品をガラス瓶等に密閉した後で加熱し、発生する臭気を捕集した後に窒素等の不活性ガスで希釈し、例えば(株)島津製作所製のにおい識別装置FF−2A等の測定装置に注入し測定する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した樹脂組成物を成形品としたときの好ましい臭気指数相当値としては、28以下であり、より好ましくは25程度である。実際には、ポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した樹脂組成物を成形品としたときの臭気指数相当値は、最も優れたもので23程度と推測される。臭気相当指数が28より大きいと樹脂組成物を成形品とし、200℃に加熱したときに成形品から発する臭いが大きくなる傾向にある。
また、本発明により繊維状充填材以外の成分を配合後押出機で繰り返し2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に繊維状充填材をサイドフィーダーを用いて供給、混合する方法で製造されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、代表的機械強度特性の一つである引張強度が押出機で1度溶融混練しかつ繊維状充填材をサイドフィードし製造した樹脂組成物比で80%以上であり、物性低下を抑制しながら低臭気化を達成可能である。
また本発明の方法によれば、物性低下を抑制しながら低臭気化を達成可能である。物性低下を抑制できるのは、繊維状充填材を他の成分と配合して3度溶融混練した場合、溶融混練時にかかる剪断応力により繊維状充填材が破断してしまうためである。また繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物とともに繊維状充填材を配合しても、物性低下の抑制は不十分である。一方、低臭気が可能なのは、1度の溶融混練では臭気の原因である揮発成分の除去が不十分であるが、3度の溶融混練により十分除去されるためである。
以上のように、本発明の方法により製造したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は低臭気性に優れていることから、プリンター部品、プロジェクターやリアプロジェクションTVなどのランプケース部品やその周辺部品用途に特に好適に用いられる。
その他本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の適用可能な用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品など各種用途が例示できる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[使用原材料]
PPS−1:攪拌機付きオートクレーブに47%水硫化ナトリウム水溶液2.98kg(25モル)、48%水酸化ナトリウム2.17kg(26モル)ならびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す。)5kgを仕込み、徐々に205℃まで昇温し、水2.7kgを含む抽出水2.8リットルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2.5kgを加えて、270℃で1時間加熱した。これを濾過し、pH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、密閉されたオートクレーブ中で192℃で約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、ポリマーを120℃で24時間減圧乾燥してMFR6000(g/10min)のPPS−1を得た。なお、MFRは、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定した。またポリフェニレンスルフィド樹脂の加熱減量は、0.5重量%であった。なお、加熱減量は、ポリフェニレンスルフィド樹脂を1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定した。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で徐してパーセント表示して加熱減量とした。
PPS−2:攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、NMP5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.763kg(25.6モル)ならびにNMP1.8kgを加えて、窒素下に密閉し、274℃まで昇温後、274℃で0.8時間反応した。オートクレーブ下部に設けた抜き出しバルブを常温常圧下で開放して、内容物を抜き出し、80℃の熱水で洗浄した。これを濾過し、酢酸カルシウムを10.4g入れた水溶液25リットル中に投入し、密閉されたオートクレーブ中で192℃で約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥し、MFR3000g/10分のPPS−2を得た。
ガラス繊維(以下、GFと略す):日本電気硝子社製、ガラスチョップドストランド“ECS 03 T−747H”
炭酸カルシウム(以下、炭カルと略す):同和カルファイン社製、重質炭酸カルシウム“KSS−1000”
[引張強度の測定]
引張強度の測定は、片方にゲートを有するASTM1号ダンベル片を東芝機械IS80型射出成形機にて、シリンダー温度:320℃、金型温度:130℃、射出−冷却時間:13-15秒、射出速度:75%、射出圧力:充填下限圧力+10kg/cm(G)の設定条件で射出成形し、引張歪速度10mm/min、支点間距離114mmの条件でASTM−D638に従い引張強度の測定を行った。なお、実施例記載の引張強度は5回の平均値である。
[臭気指数相当値の測定方法]
臭気指数相当値の測定は以下の通り実施した。本発明の方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(顆粒状)を用い、東芝機械IS80型射出成形機にてシリンダー温度:320℃、金型温度:130℃、射出−冷却時間:13-15秒、射出速度:75%、射出圧力:充填下限圧力+10kg/cm(G)の設定条件で、フィルムゲートを有する縦80mm、横80mm、厚さ3mmの金型キャビティー内に射出成形し、角板状ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物成形体を得た。得られた角板を4等分に帯ノコにて切断し、蓋に2箇所の出入り口を持つガラス製の500mLのガス洗浄瓶(例としてSIBATA製、円筒フィルター付ガス洗浄瓶等が挙げられる)に入れた。2箇所の口にシリコンチューブを取り付け、先端をクリップで止めた。チューブは200℃で臭いを発生しないものが好ましい。このガス洗浄瓶部分がすべて収まるような大きさの熱風オーブンに入れ、200℃、2時間放置した。放置後、シリコンチューブの片方に2.0Lのバッグを取り付け、反対方向から、2.0Lの空気を送り、バッグに栓をして、ガスサンプルを得た。なお、蓋やシリコンチューブなどの全ての接続部には、ガスが漏れないようにテフロン(登録商標)テープで漏れ対策を施した。
得られたガスサンプルに窒素ガスを注入し、10倍に希釈したサンプルを臭気指数相当値測定用サンプルとして調整した。
臭気指数相当値測定用サンプルを(株)島津製作所製のにおい識別装置FF−2Aに吸引させ、温度25℃、ガス吸引時間60秒、測定シーケンスがASmell条件で4回測定を行い、2回目以降の3回の平均値を測定データとした。なお、10倍に希釈したため、10倍に換算して得られたデータを臭気指数相当値とした。
実施例1〜4
表1、2に示す繊維状充填材以外の各原材料を、表1、2記載の割合でシリンダー温度280℃(主原料供給口下側)〜310℃(吐出口側)に設定したスクリュー型2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44、スクリュウ回転:同方向)を用いてまず2度溶融混練し、3度目の溶融混練の際に、主原料供給口より2度の溶融混練により得られた樹脂組成物を供給しこれが完全に溶融した後に、サイドフィーダーを用いて繊維状充填材を表1、2に示す割合で供給し溶融混練した。なおサイドフィーダーの位置は主原料供給口から吐出口までの距離を1とすれば、5分の2の位置に設けた。その後、ペレタイズしてペレット状樹脂組成物を作製した。なお、繊維状充填材をサイドフィードする位置より吐出部に近い位置(主原料供給口から吐出口までの距離を1とすれば、5分の4の位置)に設けたシリンダバレル部に設けられたベントポート部より、真空ポンプを用い減圧度が660Paとなるよう減圧脱気を行った。このペレットを用い、上記の各手段により機械物性、臭気指数相当値の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ここで引張強度保持率を算出する際の基準値は、溶融混練回数1回であり、GF以外の全原料を主原料供給口より投入して溶融混練し、次いでGFをサイドフィードし製造した樹脂組成物の引張強度を100%として算出した。
Figure 2007238693
比較例1、6
繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードする代わりに、押出機を複数回使用せず1度だけの使用であって、その際に繊維状充填材以外の成分は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードして製造した以外は実施例1と同様にしてペレット状樹脂組成物を作製した。つまり押出機の使用は1回である。その結果を表2に示す。
比較例2、7
繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードする代わりに、全ての原料を主原料供給口から添加し3度溶融混練した以外は実施例1と同様にしてペレット状樹脂組成物を作製した。その結果を表2に示す。
比較例3、8
繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードする代わりに、繊維状充填材以外の成分を押出機で1度溶融混練した後、2度目の溶融混練の際に1度目の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードした以外は実施例1と同様にしてペレット状樹脂組成物を作製した。つまり押出機の使用は2回である。その結果を表2に示す。
比較例4、9
繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードする代わりに、繊維状充填材以外の成分を押出機で3度溶融混練した後、4度目の溶融混練の際に3度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードした以外は実施例1と同様にしてペレット状樹脂組成物を作製した。つまり押出機の使用は4回である。その結果を表2に示す。
比較例5、10
各原料の配合量を変えた以外はそれぞれ比較例1、6と同様にしてペレット状樹脂組成物を作製した。その結果を表2に示す。
Figure 2007238693
表1、2の結果からは次の事項が明らかである。
(1)実施例1、2では、PPS−1をベースとしており、繊維状充填剤と非繊維状充填剤の配合割合が異なるが、これらの結果よりいずれも優れた臭気指数相当値、引張強度保持率を示すことがわかる。なお、実施例2に示す充填剤配合量が多い処方において、より低い臭気指数相当値であることがわかる。
(2)実施例3、4ではPPS−2をベースポリマとしており、PPS−1を用いた実施例1、2と同等またはそれ以上の効果を示すことがわかる。
(3)比較例1、5、6、10は、溶融混練回数1回であるが、いずれも引張強度では優れるものの臭気指数相当値が大きく劣ることがわかる。
(4)比較例2、7は、GFを含めた全原料を主原料供給口より投入しているが、いずれも臭気指数相当値は同等であるものの引張強度が大きく劣ることがわかる。
(5)比較例3、8は、溶融混練回数2回であるが、いずれも引張強度保持率では若干優れるものの、臭気指数相当値が劣ることがわかる。
(6)比較例4、9は、溶融混練回数4回であるが、いずれも臭気指数相当値は優れるものの、引張強度保持率が劣ることがわかる。

Claims (4)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)繊維状充填材10〜200重量部、(C)非繊維状充填材10〜200重量部を配合してなる樹脂組成物を製造する方法であって、繊維状充填材以外の成分を押出機で2度溶融混練した後、3度目の溶融混練の際に2度の溶融混練で得られた樹脂組成物は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードすることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法により製造したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の引張強度が、押出機を複数回使用せず1度だけの使用であって、その際に繊維状充填材以外の成分は主原料供給口より添加し、繊維状充填材はサイドフィードして製造したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物と比較して、80%以上の値を示すことを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の臭気指数相当値が、28以下であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を用いたOA機器部材。
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