JP5135532B2 - 積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層モータコア表面に電気絶縁被膜を被覆する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、電磁鋼板製品を打ち抜き加工し、作製したモータコアの表面や打ち抜き加工面に、シリコーンを主成分とした樹脂との複合体と、フィラー剤からなる被覆組成物を簡便な方法により塗布・乾燥することにより、高耐電圧の絶縁被膜を形成することができる、積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法に関する。
電気機器部品の小型モータ等に使用されるモータコアは、連続焼鈍ラインで最終焼鈍した電磁鋼板に、有機被膜成分、有機樹脂+無機皮膜成分、又は、無機皮膜成分を塗布し、乾燥して得た製品板を、コア加工工場にて打ち抜き、次いで、積層、カシメ等の工程を経て製造される。積層モータコアとしては、例えば、図1に示すような形状のコア(A)が挙げられる。
図1に示すコア(A)は、複数のティース(b)を有し、各ティースの先端部は、円弧状の部位となっており、各ティース(b)には、コーナー部(a)にて、巻線(c)が施されている。このようなコアは、モータの回転子として用いられるが、コア(A)のティース(b)と巻線(c)との間に絶縁がなされていない場合には、各巻線同士は、コア(A)を通じて短絡して、モータ自身が機能しなくなるので、コア(A)と巻線(c)との間は絶縁する必要がある。
特に、巻線の強い接触を受けるティース(b)のコーナー部(a)や、打ち抜き加工面における絶縁は重要である。適用する機種によって必要な絶縁特性は異なるが、例えば、ハードディスク用モータコアの場合、300V以上の高耐電圧が要求されるので、通常、コア(A)のような積層鋼板の表面には、電磁鋼板の製造工程で、あらかじめ薄膜絶縁処理がなされ、さらに、コア加工工程で、厚膜の絶縁被膜処理が施されている。
このような絶縁処理としては、従来、電着塗料、溶剤スプレー、粉体塗料等により、モータコア表面に絶縁層を形成する方法が採用されている。しかしながら、上記塗料で絶縁層を形成する場合、打ち抜き加工されたモータコアのエッジ部においては、打ち抜き時のカエリによる形状問題に起因して、絶縁被膜層が、鋼板平坦部に比較して付着し難く、薄膜化し易い。その結果、絶縁特性が低下するという問題が生じていた。
そのため、絶縁層の膜厚を厚くする必要があり、乾燥を挟む4〜6回もの多重塗りにより、厚膜化処理を行う必要があった。また、絶縁被膜剤の絶縁性の問題から、前記高耐電圧を得るために、100〜200μmのような厚膜を形成する被膜処理を余儀なくされる場合があり、作業性やコスト面においても問題があった。
しかしながら、近年、モータの小型化、薄型化が要求され、さらには、薄膜で高耐電圧の絶縁被膜層を形成する技術が要求されている。
絶縁層の薄膜化技術の一つとして、特許文献1には、モータコアの表面に、プライマーとしてエポキシ樹脂を塗装し、上塗りとしてセラミック塗料を塗装した2層の絶縁層を、絶縁層全体の膜厚で50〜80μm形成することにより、エッジ部の被覆性が良好で絶縁特性に優れた絶縁層を形成することが開示されている。また、特許文献1には、絶縁層は、多層になっておればよく、2層に限らず3層、4層のごとく層数を増加させてもよいことが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示の技術においては、絶縁層を形成するにあたって、塗装工程が少なくとも2工程以上必要であり、作業性が劣るという欠点がある。
また、特許文献2には、積層モータコア表面に、電気絶縁特性に優れ、かつ、従来より薄膜の絶縁被覆を被覆する方法として、樹脂エマルジョン、酸、酸化剤、金属イオン及び水を含有する自己析出型水性被覆組成物を接触させて、モータコアの表面に、未硬化の樹脂被膜を析出形成させ、次いで、該未硬化の樹脂被膜を加熱乾燥することにより、モータコアの表面に、電気絶縁被膜を形成することを特徴とする積層モータコア表面に電気絶縁被膜を被覆する方法が提案されている。
しかしながら、この技術には、被膜成分として、作業環境の点で問題となるフッ化水素酸、クロム酸化合物を用いる問題があり、鋼板の前処理、処理工程、設備等が複雑で、上記技術は、工業的には、好ましい技術とはいえない。
特開平5−300681号公報 特開平9−233780号公報
本発明の目的は、モータコア表面に電気絶縁層を形成するにあたり、絶縁処理工程を短縮するとともに、絶縁被膜成分を改良することにより、電気絶縁層の膜厚を従来よりも薄膜化し、かつ、簡便に、電気絶縁特性の優れた絶縁被膜、特に、巻線との接触で問題になるコアのティースのコーナー部において、電気絶縁特性の優れた絶縁被膜を形成することができる被覆方法を提供することにある。
本発明者らは、従来の抱える上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、積層モータコアの表面に、絶縁被膜形成剤として、ポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂とシリコーンの複合体の1種又は2種以上と、シリコーンパウダー、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニュームの1種又は2種以上と、残部溶剤からなる処理剤を塗布し、乾燥することにより、従来技術より簡便に、モータコア表面上に、高耐電圧の電気絶縁性被膜を形成することができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
(1)積層モータコア表面に、ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーンの複合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーンの複合体の1種又は2種以上100質量部に対し、フィラー剤として、粉末の粒子径が5〜20μmであるシリコーンパウダー70〜400質量部、溶剤物質5〜400質量部からなる処理剤を塗布し、電気絶縁被膜を形成することを特徴とする積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
(2)前記ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーン、及び、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン複合体の1種又は2種以上からなるベース液におけるポリエステル、エポキシの有機樹脂成分の割合が20〜80質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
(3)前記ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーン、及び、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン複合体が、ブロック構造を有するシリコーンポリマーの1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法
)前記処理剤中に含有される溶剤の沸点が100℃以上であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれか1つに記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
)前記絶縁被膜溶液の調整段階において、超音波処理装置を用いて、40〜100KHzで1〜10分間処理した後、処理剤を塗布し、電気絶縁被膜を形成することを特徴とする前記(1)〜()のいずれか1つに記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
)前記絶縁被膜を積層コアの表面に塗布する工程において、回転冶具を用いて、ディップ処理を行った後、乾燥し、又は、乾燥を挟む1回又は2回以上の塗布処理を行うことを特徴とする前記(1)〜()のいずれか1つに記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
)前記乾燥工程において、40〜80℃での予備乾燥を含む120〜250℃での乾燥を行うことを特徴とする前記()に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
本発明では、特殊なシリコーンポリマー成分を用いて、ディップ法により、コア絶縁被膜処理を行う。これにより、前処理等の特別な処理を必要とせず、電着塗装等の従来技術に比較して簡便に、かつ、低コストで、均一で緻密な絶縁被膜を形成することができる。また、従来被膜では、コアコーナー部の絶縁対策として、超厚塗りの被膜を形成することが余儀なくされていたが、その問題を、被膜を非常に緻密な膜に改質することで、薄膜化して、解決することが可能となった。
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
本発明で対象とするモータコアは、複数枚の電磁鋼板製品板を出発材として、打ち抜き加工、カシメ工程等を経て成型されたコアである。
本発明で使用する絶縁被膜剤は、ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーンの複合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーンの複合体の1種又は2種以上とシリコーンパウダー、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニュウムの1種又は2種以上と、残部溶剤からなる処理剤である。
この際のベース液におけるポリエステル及び/又はエポキシ樹脂成分とシリコーンの割合は、厚膜化、耐熱性、ティース部のコーナー部への付着性、皮膜の耐クラック発生に対して重要であり、ポリエステル、エポキシ樹脂成分の割合は、20〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明の組成液で重要な役割を持つのがフィラー剤である。ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーン、及び、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーンの1種又は2種以上100重量部に対し、フィラー剤として、シリコーンパウダー10〜400質量部と溶剤物質5〜400質量部が添加される。
このフィラー剤の粉末として、粒子径0.5〜20μmサイズのものを添加すると、処理剤の表面張力を低下させて、ティースのコーナー部への液の付着性を向上させるのみでなく、絶縁性、耐熱性、乾燥性等を向上して、薄膜化を実現するための大きい原動力となる。
本発明における処理剤の分散には溶剤が用いられる。この溶剤としては、作業環境に問題の少ないグリコール系、アルコール系が用いられるが、乾燥時の被膜の性能から、溶剤の沸点が100℃以上のものが、より好ましい。これにより、短時間乾燥で、突沸のない緻密な絶縁被膜を形成することができる。
この絶縁被膜処理溶液の調整段階において、超音波処理装置を用いて、40〜100KHzで1〜10分間処理することにより、溶液中のフィラーの均一分散が得られ、均一な被膜処理を行うのに有利である。
絶縁被膜剤を積層コアの表面に塗布する工程において、図2の(a)及び(b)に示すような回転冶具を用いて、コアを回転しながらディップ処理した後、乾燥し、又は、乾燥を挟む1回又は2回以上の塗布処理を行うと、コア前面に渡って均一な膜厚を容易に得ることができ、特に、ティース部の膜厚を均一化することができる。
乾燥工程においては、40〜80℃の予備乾燥を含め120〜250℃での乾燥を行うことでアウトガスがなく、密着性が優れ、緻密で、高耐電圧の絶縁被膜を得ることができる。乾燥温度と時間は、被膜成分、溶剤種、膜厚によって適宜選択する。
次に、本発明の限定理由について述べる。
まず、本発明におけるベース液は、ポリエステルシリコーン、エポキシシリコーン、又は、ポリエステル−エポキシ複合シリコーンをベース液主成分として使用すると、付着性、密着性が優れる特徴がある。また、乾燥工程や、コア使用時の耐熱性と熱変化による膨張・収縮に追随する性質があり、100μm以上の厚膜処理においても、被膜のクラック発生や密着性低下等の問題がなく、安定した厚膜の形成を可能とする。
これらのベース液は、乾燥後に緻密なシリコーンポリマー膜を形成し、鋼板への密着能が極めて優れた被覆を形成するので、絶縁性が優れた絶縁被膜を形成することができる。
ポリエステルシリコーン、エポキシシリコーン、及び/又は、ポリエステル−エポキシ複合シリコーンからなるベース液中の有機樹脂分の比率は、20〜80質量部がよい。20質量部未満では、乾燥硬化後の被膜の硬度が高く、熱フレキシブルな性質が低下するので、10μm以上のような厚膜処理時に、被膜に微細なクラックが生じる場合がある。特に、耐熱試験のような高温−低温の繰り返し(ヒートショック試験:−40℃〜+170℃、1000サイクル)で、膜にクラックが生じる場合がある。
一方、80質量部超では、液の粘性のコントロールが難しく、また、ヒートショック試験における耐熱性が不足するので好ましくない。
本発明におけるもう一つの主成分であるフィラー剤としては、シリコーンパウダーが用いられる。この粉末成分は、溶液の表面張力低下に有効である。ベース液100質量部当たり10〜400質量部の添加で、従来の課題であったティースのコーナー部分における被覆能の向上に絶大な効果をもたらす。
フィラー粒子は、特に、粒子径2〜15μmの場合、塗布性が優れ、粗大粒子が、コアコーナー部への溶液の付着硬化を促進するので、厚膜確保効果が大きい。
また、これらのフィラー剤は、絶縁性(耐電圧)向上に極めて大きい効果を発揮する。フィラー粒子径が0.5μm未満では、溶液の分散条件によっては、パウダー粒子の凝集が生じ、液の増粘性が増加して、コア全体に平坦な絶縁膜を形成することが困難になる。粒子径が20μm超では、表面張力の低下効果は大きいが、溶液中のパウダーの安定性が低下するので、溶液の循環や撹拌等を行っても、均質の膜を塗布するのが困難になる。
また、粗粒子フィラーの添加は、絶縁性の向上に効果的で、同一被膜量(平均厚み)において、無添加に比較し、絶縁性向上効果が極めて優れている。
フィラーの添加量は、ベース液100質量部に対し、10質量部未満では、溶液表面張力低下効果や絶縁性向上効果が充分に得られない。一方、400質量部以上では、ベース液によるバインダー効果が不足して、乾燥後、絶縁膜に微細なクラックが発生するので、好ましくない。乾燥条件にも依存するが、安定して良好な添加量は、75〜300質量部である。
本発明の処理剤の分散は溶剤によって行う。溶剤の沸点は100℃以上が好ましい。アルコール系溶剤のように、低沸点溶剤を用いると、コアの板間に染み込んだ処理剤が急激に分解、放出されて、突沸現象を起こし、膜面を荒らすので、好ましくない。一方、100℃以上の沸点の溶剤を用いると、溶剤成分の分解が被膜硬化反応に追随して徐々に生じ、突沸等の問題が生じない。
このような問題から、溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートのようなグリコール系溶剤が、環境問題等の点から有利であり、また、揮発性が小さいため、工業的に使用する際には、溶液の安定性が優れていることから、作業性に有利で、緻密な膜を形成することができる。
本発明のような溶剤を用いたシリコンポリマーによる絶縁被膜処理においては、鋼板打ち抜き時に付着する打ち抜き油等の汚れの影響がなく、前処理を行うことなく、絶縁被膜処理を行うことができる。コアに絶縁膜を塗布処理する際は、溶液を、予め、20〜100KHzで超音波処理すると、フィラー剤の均一分散ができて有利である。
超音波処理する時間は、1分未満では、パウダーの粒度分布によっては凝集が生じる。10分以上では、超音波による溶液の温度上昇があるため好ましくない。しかしながら、冷却装置を設置した超音波処理工程を、溶液を循環して行えば、これらの問題は解決される。
コア塗布における塗布方法は、図2に示すような回転冶具を用いてディップすると、より均一な塗膜を得ることができるので有利である。この塗布方法によれば、液の濃度、粘度、及び、コアを固定した冶具の回転数によって、塗布膜の厚みを制御することができる。また、回転冶具よる塗布は、液のコア全面へのまわり付きがよく、コアの平坦部の膜厚みを不必要に厚くしないためにも効果的である。
乾燥工程は、まず、40〜80℃で予備乾燥して大部分の溶剤を乾燥して、絶縁被膜表面の安定化を行った後、120〜250℃で10〜120分程度の乾燥を行うのがよい。このように、乾燥初期を徐加熱して乾燥することにより、アウトガスがなく、緻密な膜を形成することができる。
また、絶縁被膜を重ね塗りする際は、塗布間の乾燥条件は重要である。この塗布間の乾燥は、100℃〜140℃がよい。100℃未満では、繰り返し塗布の際の溶液によって、前段階の膜が影響を受ける場合がある。140℃超の場合には、後処理液の塗布性が悪くなる等の問題がある。
(実施例1)
図1(a)に示すような形状に打ち抜いた後、積層とカシメを行って作製した電磁鋼板コアを出発材として用いた。このコアに、表1に示す組成の溶液を、回転冶具を用いて、15rpm×15秒間、ディップ塗布し、乾燥を挟む3回の塗布焼き付け処理を行った。この際の乾燥は、塗布間の乾燥を、50℃×15分の予備乾燥の後、120℃×30分行い、最終乾燥を、同様に、予備乾燥を含む150℃×1Hr行った。
この後、コアエッジ部の膜厚と耐電圧を測定した。結果を表1に示す。なお、平坦部膜厚≦70μm、耐電圧≧300Vを判定基準とした。
この試験の結果、A1、A2、A4のポリエステル複合シリコンポリマーを用いた絶縁被膜では、前処理ナシで、2回塗布により、コーナー部に12〜20μmの被膜を形成することができ、絶縁膜が緻密なため、比較例のように、前処理−セラミック被膜のような多重塗りにしなくても、良好な耐電圧が得られた。
特に、フィラー剤の平均粒子径が5μm以上の場合には、優れた絶縁性が得られた。
この際のコア絶縁被膜を断面観察したところ、コーナー部にフィラー剤がベース絶縁被膜剤に混合された状態で付着していることを確認することができた。フィラー剤は、溶液表面張力の低下のみならず、コーナー部の絶縁性向上に、少なからず寄与していることが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様に、打ち抜きの後、積層とカシメを行って作製した電磁鋼板コアを出発材として用いた。このコアに、表2に示す組成の溶液を、回転冶具を用いて、10rpm×20秒間、ディップ塗布し、実施例1と同様に、予備乾燥と乾燥を挟む2回の塗布焼き付け処理を行った。この際の乾燥は、塗布間の乾燥を、120℃×30分行い、最終乾燥を、150℃×1Hr行った。
この際に用いたポリエステル−シリコーン複合ポリマーは、ブロック構造状の化合物で、ポリエステル成分比率は、45質量%のものを用いた。また、エポキシ−シリコーン複合ポリマーは、エポキシ成分比率が55質量%のものを用いた。
この後、コアエッジ部の膜厚と耐電圧を測定した。結果を表2に示す。なお、平坦部膜厚≦70μm、耐電圧≧300Vを判定基準とした。
この試験の結果、濃度をアップし、フィラー粒子径と配合比率を下地塗布でアップし、上塗りでフィラー比率を低下した本発明の溶液を塗布した場合、2回処理の条件で、コーナー部の被膜厚みとして20μm程度を確保することができ、外観、絶縁性の両立した絶縁被膜が得られた。
一方、溶剤としてIPA(沸点82℃)を用いた本発明C5は、コア端面部に溶剤の突沸マークと思われる泡状のムラがやや発生し、やや外観が劣る結果となった。また、溶液調整段階で、超音波により分散処理を行った本発明C6では、塗布膜が非常に均一で綺麗で、被膜特性もよく、塗布時の溶液の安定性が極めて良好で、分散向上効果が顕著に見られた。
また、塗布間の乾燥を150℃で行った本発明C7は、重ね塗り時に溶液の弾きによる塗布ムラが発生し、絶縁性においても、他の120℃乾燥品に比較して、かなり劣る結果となった。
比較例のエポキシ樹脂のみによる処理剤を用いた場合には、光沢はあるが、膜の膨れによる不均一な塗布膜となり、また、コーナー部の膜厚が、平坦部に比較して薄くなる傾向があり、絶縁特性が不良であった。
本発明によれば、前述したように、簡便に、かつ、低コストで、均一で緻密な絶縁被膜を形成することができ、さらに、コアコーナー部の被膜を薄膜化することができる。したがって、本発明は、電磁鋼板の絶縁被膜被覆技術として利用可能性が高いものである。
積層モータコアの一例を示す図である。(a)はコアの形状を示し、(b)は、一部を拡大した形状を示す。 串刺し状のコアとディップ処理を施す回転治具の態様を示す図である。(a)は、串刺し状のコアを示し、(b)は、串刺し状のコアを回転治具に取り付けた態様を示す。
符号の説明
A コア
a コーナー部
b ティース
c 巻線

Claims (7)

  1. 積層モータコア表面に、ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーンの複合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーンの複合体の1種又は2種以上100質量部に対し、フィラー剤として、粉末の粒子径が5〜20μmであるシリコーンパウダー70〜400質量部、溶剤物質5〜400質量部からなる処理剤を塗布し、電気絶縁被膜を形成することを特徴とする積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
  2. 前記ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーン、及び、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン複合体の1種又は2種以上からなるベース液におけるポリエステル、エポキシの有機樹脂成分の割合が20〜80質量%であることを特徴とする請求項1に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
  3. 前記ポリエステル樹脂とシリコーン、エポキシ樹脂とシリコーン、及び、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン複合体が、ブロック構造を有するシリコーンポリマーの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
  4. 前記処理剤中に含有される溶剤の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
  5. 前記絶縁被膜溶液の調整段階において、超音波処理装置を用いて、40〜100KHzで1〜10分間処理した後、処理剤を塗布し、電気絶縁被膜を形成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
  6. 前記絶縁被膜を積層コアの表面に塗布する工程において、回転冶具を用いて、ディップ処理を行った後、乾燥し、又は、乾燥を挟む1回又は2回以上の塗布処理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
  7. 前記乾燥工程において、40〜80℃での予備乾燥を含む120〜250℃での乾燥を行うことを特徴とする請求項に記載の積層モータコア表面の絶縁被膜被覆方法。
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