JP5128039B2 - 水陸両用車 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、車輌に用いられる改良された液圧式(hydraulic)サスペンションストラットに関する。
【0002】
公知の油圧式サスペンションストラットは、ダンパー効果を達成するためのシリンダ内で可動なピストンを有し、ストラットに取り付けられたホイールを垂直方向に移動可能にしている。ダンピング効果は、ピストンの片側から反対側への油圧液の流れを制限することによって達成される。ダンパー及びばねの複合効果を得るために、油圧式ストラットはガス充填油圧アキュムレータに接続されることが多く、シリンダ内の油圧液及びガス充填油圧アキュムレータ内の液体を圧縮することによって、ばね効果が達成される。また、このタイプの油圧式サスペンションシステムにおいて、シリンダ内に収容されたある体積の油圧液が、ピストンの移動を制限することで、ホイールの移動を路上走行用の通常の距離に制限する、油圧バンプストップを提供することも知られている。
【0003】
路上走行車が、例えば、BMC/ブリティッシュ・レイランド・ハイドロラスティック・アンド・ハイドロガス・システムズ(BMC/British Leyland Hydrolastic and Hydrogas systems)等の、個々のホイールサスペンション間の様々な弁及び交差接続を有する油圧式サスペンションを用いることも知られている。このような相互接続型サスペンションは、英国特許第2,144,378号(アルファ・ロメオ(Alfa Romeo))、英国特許第1,260,719号(IDCE)、及び米国特許第5,584,498号(ヤマハ(Yamaha))に開示されている。これらのシステムは、例えば、米国特許第4,779,895号(ロバート・ボッシュ(Robert Bosch))、欧州特許第0,183,059号(ロバート・ボッシュ)、及び米国特許第5,678,846号(ロータス(Lotus))から公知のアクティブシステム及びセミアクティブシステムのように、前後左右の揺動等の望ましくない効果を低減するように設計されている。これらのシステムは全て、路上走行車のサスペンションの能力を拡げることにより、路上性能を改良するよう設計されている。
【0004】
更に、特にシトロエン(Citroen)の車では、路上走行車が、でこぼこした地表を移動するために、通常の走行時の高さよりも上昇可能な油圧式サスペンションを有することが知られている。一方、水陸両用車については、ホイールを反対方向に動かして、道路の高さよりも十分上に引き込み、車輌の水線よりも上にしまい込むことが役立つことがわかっている。これは、特にコーナリング時の水上の抵抗を低減する。このような構成変更を可能とするサスペンションは、欧州特許第0,742,761号(ロイクロフト(Roycroft))、米国特許第4,958,584号(ウィリアムソン(Williamson))、及び米国特許第4,241,686号(ウェストファーレン(Westphalen))に開示されている。ロイクロフトは、油圧式及び機械式複合システムを用いており、ウィリアムソンとウェストファーレンは機械式システムを用いている。
【0005】
上記の機械的な引き込みシステムは嵩張るものであり、塩水環境では腐食し易いことが考慮される。先行技術の油圧システムの開発及び使用可能な任意の場所における構成要素の二元使用の導入を通して、路上性能が優れているだけでなく、特に水陸両用車としての代替使用のための、車輌の構成変更を可能にする油圧式サスペンションシステムが設計され得る。
【0006】
本発明の目的は、通常の路上走行において使用可能であると共に、路上走行に適した距離よりも大きな距離だけホイールを引き込むのにも使用可能な、油圧式サスペンションストラットの提供である。
【0007】
本発明の更なる目的は、通常の路上走行において使用可能であると共に、路上走行用の通常の距離よりも大きな距離だけホイールを引き出すのにも使用可能な、油圧式サスペンションストラットの提供である。
【0008】
本発明の更なる目的は、通常の路上走行において使用可能であると共に、路上走行用の通常の距離よりも大きな距離だけホイールを引き込む又は引き出すのにも使用可能な、油圧式サスペンションストラットの提供である。
【0009】
本発明は、 油圧液が入ったシリンダと、 シリンダ内で可動であると共にシリンダ内に第1チャンバ及び第2チャンバを定めるピストンと、 前記ピストンを負荷に接続する連結手段と、 を有する車両用油圧式サスペンションストラットにおいて、 前記ピストンのストロークの少なくとも一部にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する第1オン/オフ弁が設けられ、前記ストラットが、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方のみと油圧供給源及び油圧液リザーバとを連通する第2オン/オフ弁を更に有する ことを特徴とする、車両用油圧式サスペンションストラットを提供する。
【0010】
特に好ましい実施形態では、ストラットは、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの少なくとも一方と連通するガス充填油圧アキュムレータも有する。
【0011】
本発明は、更に、 油圧液が入ったシリンダと、 シリンダ内で可動であると共にシリンダ内に第1チャンバ及び第2チャンバを定めるピストンと、 前記ピストンを負荷に接続する連結手段と、 前記第2チャンバと連通するガス充填油圧アキュムレータと、 を有する車両用油圧式サスペンションストラットにおいて、 前記ピストンのストロークの少なくとも一部にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する第1オン/オフ弁が設けられ、前記ストラットが、前記第1チャンバのみと油圧供給源及び油圧液リザーバとを連通する更なるオン/オフ弁を更に有する ことを特徴とする、車両用油圧式サスペンションストラットを提供する。
【0012】
本発明は、更に、 油圧液が入ったシリンダと、 シリンダ内で可動であると共にシリンダ内に第1チャンバ及び第2チャンバを定めるピストンと、 前記ピストンを負荷に接続する連結手段と、 前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方と連通するガス充填油圧アキュムレータと、 を有する車両用油圧式サスペンションストラットにおいて、 前記ピストンのストロークの少なくとも一部にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する第1オン/オフ弁が設けられ、前記ストラットが、前記第2チャンバのみと油圧供給源及び油圧液リザーバとを連通する更なるオン/オフ弁を更に有し、前記ガス充填油圧アキュムレータが前記第1チャンバと連通する ことを特徴とする、車両用油圧式サスペンションストラットを提供する。
【0013】
本発明は、更に、 油圧液が入ったシリンダと、 ピストン内で可動な該ピストンと、 前記ピストンを負荷に接続する連結手段と、 を有する車両用油圧式サスペンションストラットにおいて、 前記ピストンは前記シリンダ内で、該シリンダ内の第1チャンバ及び第2チャンバの第1の対を定める第1の端位置と前記シリンダ内の第1チャンバ及び第2チャンバの第2の対を定める第2の端位置との間を可動であり、前記ストラットは、前記ピストンの前記端位置の一方における前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御するオン/オフ弁と、前記ピストンの前記端位置の他方における前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する更なるオン/オフ弁と、それぞれが前記第1チャンバ及び前記第2チャンバ一方のみと油圧供給源及び油圧液リザーバとを個々に連通する第3及び第4のオン/オフ弁を更に有する ことを特徴とする、車両用油圧式サスペンションストラットを提供する。
【0014】
本発明による油圧式サスペンションストラットの好ましい実施形態では、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを許容する前記1つ又は複数のオン/オフ弁は、シリンダーの外部の油圧移送ライン内に配置される。
【0015】
以下、添付の図面を参照し、本発明の複数の実施形態を説明する。
【0016】
図1から分かるように、10で全体を示される公知の油圧式サスペンションストラットは、シリンダ2及びシリンダ内で軸方向に可動なピストン4を有する。ピストン4の片面には連結棒6が取り付けられており、シリンダ2の基部のシールされた開口部8を通って延出している。連結棒6は、装着部14内のピストン4から離れた端部12で終端している。
【0017】
ピストン4は、シリンダ2内の第1チャンバ16及び第2チャンバ18を画定し、ピストン4内には制限/ダンパ弁20が設けられている。ピストン4の周囲にはシール22が設けられている。第1チャンバ16及び第2チャンバ18には油圧液が充填されている。
【0018】
油圧ライン24は、シリンダ2の基部に近い側壁から延出し、ガス充填油圧アキュムレータ26内で終端している。
【0019】
使用に際しては、ホイール(図示せず)が装着部14を介して連結棒6に連結され、シリンダ2が車体(図示せず)に取り付けられる。
【0020】
サスペンションストラットを備えた車輌が走行中の路面の凹凸にホイールが遭遇すると、ピストン4がシリンダ2内で軸方向に移動する。
【0021】
車輌が、特に荒い地形の上を移動する際には、弁20及びガス充填油圧アキュムレータ26のダンピング効果により、車輌の過度の振動が防止される。
【0022】
図1に示されている油圧式サスペンションストラットでは、ピストン4及びそれに従ったホイールの垂直方向への総移動量は、ピストン4の上面150がシリンダ2の上端壁152の内面に係合し、ピストン4の下面154がシリンダ2の基部の内面156に係合することにより制限される。ピストン4の総移動量を制限するバンプストップ(図示せず)を設けてもよい。
【0023】
本発明による油圧式サスペンションストラットの第1の実施形態が、図2の30で全体を示されている。ストラット30は、シリンダ28及びシリンダ内で軸方向に可動なピストン32を有する。ピストン32の片面には連結棒34が取り付けられており、シリンダ28の基部のシールされた開口部36を通って延出している。連結棒34は、装着部40内のピストン32から離れた端部38で終端している。
【0024】
ピストン32は、シリンダ28内の第1チャンバ42及び第2チャンバ44を定める。ピストン32の周囲にはシール46が設けられている。第1チャンバ42及び第2チャンバ44には油圧液が充填されている。
【0025】
ライン48は、シリンダ28の基部に近い側壁のポート158から延出し、ガス充填油圧アキュムレータ50及び車輌の油圧システムに接続しており、このシステムは、油圧供給源及び油圧液リザーバ(図示せず)を有する。
【0026】
シリンダ28の外部には油圧移送ライン52が設けられ、シリンダの側壁の第1ポート54及び第2ポート56に接続している。第1ポート54は、シリンダ28の基部に近い側壁に位置し、第2ポート56は、シリンダ28の側壁のほぼ中央に位置する。移送ライン52内には第1オン/オフ弁58が設けられている。
【0027】
別の実施形態では、第1ポート54を、シリンダの基部の端部壁に設けてもよい。
【0028】
更なる油圧ライン60が、シリンダ28の上部壁のポート160から延出しており、第2オン/オフ弁62によって制御される。更なるライン60は、車輌の油圧システムに接続されている。
【0029】
使用に際しては、ホイール(図示せず)が装着部40を介して連結棒34に連結され、シリンダ28が車体(図示せず)に取り付けられる。
【0030】
路上走行モードでは、サスペンションストラットを備えた車輌が走行中の路面の凹凸にホイールが遭遇すると、ピストン32がシリンダ28内で軸方向に移動する。
【0031】
車輌が、特に荒い地形の上を移動する際には、ストラット及びガス充填油圧アキュムレータ50のダンピング効果により、車輌の過度の振動が防止される。
【0032】
図2に示されている油圧式サスペンションストラットは路上走行モードにある。移送ライン52の第1オン/オフ弁58は開いていて、第1及び第2チャンバ間を液が制限されて流れるようになっており、上部ライン60の第2オン/オフ弁62は閉じている。ピストン32及びそれに従ったホイールの垂直方向上方への総移動量は、点線で示されている。ピストン32が点線で示される位置にあると、ポート56はピストン32によって閉じられ、シリンダ内のピストンの更に上への移動は、第1チャンバ42内の油圧液の体積によって防止され、このように油圧ストップが設けられる。ピストン32の垂直方向下方への移動は、ピストン32の下面162がシリンダ28の基部164の内面に係合することにより制限される。
【0033】
図3では、ストラットはホイール引き込みモードで示されている。移送ライン52の第1オン/オフ弁58は閉じており、上部ライン60の第2オン/オフ弁62は開いている。この状態では、ストラットは油圧アクチュエータとして作用可能であり、液がポンプで下部チャンバ44へと送られ上部ポート160を通って排出されることにより、ホイールを通常の移動距離を超えて引き込むために用いることができる。
【0034】
ホイールを通常の動作状態に戻すには、液をポンプで上部ポート160を通して上部チャンバ42へと送り込み、下部チャンバから排出して、ストラットを逆に作動させる。ピストン32がポート56の下方の位置に移動したら、弁62を閉じることができ、ストラットが再びホイールに対するサスペンション及びダンピングを提供するように、弁58が開かれる。
【0035】
なお、本明細書で用いる“オン/オフ弁”という用語は、開放時には、弁を通るいずれかの方向への流れを可能にし、閉止時には、液が弁を通っていずれかの方向へ流れるのを防ぐ弁を指す。好ましい実施形態では、オン/オフ弁58及び65は、油圧、電子的、又は手動で作動できるスプール弁である。しかし、任意の適切なタイプの弁を用いてよい。
【0036】
図4は、図2のストラット30の変形例を示している。図4の変形例のストラット30では、油圧アキュムレータが、第1チャンバ42と第2チャンバ44との間の移送ライン52の分岐路の一方と連通している。他の全ての点では、図4の油圧式ストラット30は、図2に示されているストラット30と同じであり、路上走行モード及びホイール引き込みモードの両方において同様に動作可能である。
【0037】
図5は、図4に従った油圧式ストラットの車輌への搭載を示す図である。ホイール1はサスペンションアーム3に装着され、サスペンションアーム3は装着点5でシャーシ部材7に取り付けられている。油圧回路をはっきり示すために図示はしないが、サスペンションストラットの最上部に、類似のシャーシ装着部が必要であることが認識されよう。ピストン連結棒34は、ブッシュ(図示せず)を有してもよい装着部40によって、サスペンションアーム3にフレキシブルに取り付けられている。
【0038】
油圧ライン48及び60(弁62を介して)は、共に、軸11によって駆動されるポンプ9に接続されている。このポンプは、図示されるように逆転可能であってもよく、又は単方向であってもよいと共に、車輌のエンジンによって直接駆動されてもよく、又は電気モータによって駆動されてもよい。単方向ポンプを用いる場合には、必要に応じて液流の方向を逆転するために、弁(図示せず)を用いなければならない。
【0039】
このように、路上走行モードでは、ホイールが路面の凹凸上を進む際に生じるサスペンションアーム3の動きが、装着部40及び連結棒34を介してピストン32に伝達されることが分かる。この動きはストラット30によって従来の方法でダンピングされる。ストラット30がホイール引き込みモードで作動すると、ポンプ9をチャンバ42及び44の一方に選択的に接続して、ピストンをシリンダ内で動かすことができる。この動きは、連結棒34及び装着部40を介して、サスペンションアーム3の枢動運動及びそれに従ったホイールの移動に変換される。
【0040】
図6からわかるように、70で全体を示される油圧式サスペンションストラットの別の実施形態は、シリンダ64及びシリンダ64内で軸方向に可動なピストン66を有する。ピストン66の片面には連結棒68が取り付けられており、シリンダ64の基部のシールされた開口部72を通って延出している。連結棒68は、装着部76内のピストン66から離れた端部74で終端している。
【0041】
ピストン66は、シリンダ64内の第1チャンバ78及び第2チャンバ80を定める。ピストン66の周囲にはシール82が設けられている。第1チャンバ78及び第2チャンバ80には油圧液が充填されている。
【0042】
油圧ライン84は、シリンダ64の上部に近い側壁のポート164から延出し、ガス充填油圧アキュムレータ86及び車輌の油圧システム(図示せず)に接続している。別の構成では、ポート164はシリンダの最上部の端部壁に設けられてもよい。
【0043】
シリンダ64の外部には油圧移送ライン88が設けられ、シリンダの壁の第1ポート90及び第2ポート92に接続している。第1ポート90は、シリンダ64の側壁のほぼ中央に位置し、第2ポート92は、シリンダ64の最上部付近に位置する。移送ライン88内には第1オン/オフ弁94が設けられている。
【0044】
別の構成では、第2ポート92はシリンダの最上部の端部壁に設けられてもよい。
【0045】
更なる油圧ライン96が、シリンダ64の基部に近い側壁のポート166から延出しており、第2オン/オフ弁98によって制御される。更なる油圧ライン96は、車輌の油圧システム(図示せず)に接続されている。
【0046】
使用に際しては、ホイール(図示せず)が装着部76を介して連結棒68に装着される。
【0047】
サスペンションストラットを備えた車輌が走行中の路面の凹凸にホイールが遭遇すると、ピストン66がシリンダ64内で軸方向に移動する。
【0048】
車輌が、特に荒い地形の上を移動する際には、ストラット及びガス充填油圧アキュムレータ86のダンピング効果により、車輌の過度の振動が防止される。
【0049】
図6に示されている油圧式サスペンションストラットは路上走行モードにある。移送ライン88の第1オン/オフ弁94は開いており、下部ライン96の第2オン/オフ弁98は閉じている。ピストン99及びそれに従ったホイールの垂直方向上方への総移動量は、ピストン66の上面168がシリンダ64の上端部壁170の内面に係合することにより制限される。垂直方向下方への移動の限界は点線で示されており、ピストン66がポート90を閉止している際には第2チャンバ80内の油圧液の体積によって制限され、このように油圧ストップが設けられる。
【0050】
なお、この図に示されているアキュムレータ86は、図4に示されているものと同様に、移送ライン88の分岐路に取り付けられてもよい。
【0051】
図7では、示されているストラットはホイール引き出しモードにある。油圧移送ライン88の第1オン/オフ弁94は閉じており、下部ライン96の第2オン/オフ弁98は開いている。この状態では、ストラットは油圧アクチュエータとして作用し、液がポンプで上部チャンバ78へと送られ下部ポート166を通って排出されることにより、ホイールを通常の移動距離を超えて引き出すために用いることができる。ピストン66の垂直方向下方への移動は、ピストン66の下面172がシリンダ64の基部174の内面と係合することによって制限される。
【0052】
ホイールを通常の動作状態に戻すには、液をポンプで下部チャンバ80へと送り込み、上部チャンバ78から排出して、ストラットを逆に作動させる。ピストンがポート90の上方に移動したら、弁98を閉じることができ、ストラットが再びホイールに対するサスペンション及びダンピングを提供するよう動作するように、弁94が開かれる。
【0053】
図8からわかるように、100で全体を示される油圧式サスペンションストラットの更なる実施形態は、シリンダ102及びシリンダ内で軸方向に可動なピストン104を有する。ピストン104の片面には連結棒106が取り付けられており、シリンダ102の基部のシールされた開口部108を通って延出している。連結棒106は、装着部114内のピストン104から離れた端部112で終端している。
【0054】
ピストン104は、シリンダ102内の第1チャンバ116及び第2チャンバ118を定める。ピストン104の周囲にはシール122が設けられている。第1チャンバ116及び第2チャンバ118には油圧液が充填されている。
【0055】
シリンダ102の外部には油圧移送ライン132が設けられ、シリンダ102の最上部付近のポート176、シリンダ102のほぼ中央部のポート178、及びシリンダの基部付近のポート180に取り付けられている。ポート178とポート180との間の油圧ライン内には第1オン/オフ弁136が設けられており、ポート176とポート178との間の油圧ライン内には第3オン/オフ弁としての更なるオン/オフ弁134が設けられている。
【0056】
第1オン/オフ弁136と第3オン/オフ弁134との間のライン132から、第2油圧ライン138が分岐しており、ガス充填油圧アキュムレータ140内で終端している。
【0057】
第3油圧ライン124は、シリンダ102の基部に近い側壁から延出しており、第4オン/オフ弁としてのオン/オフ弁126及び車輌の油圧システム(図示せず)に接続している。
【0058】
第4油圧ライン128は、シリンダ102の最上部に近い側壁から延出しており、第2オン/オフ弁としてのオン/オフ弁130及び車輌の油圧システム(図示せず)に接続している。
【0059】
使用に際しては、ホイール(図示せず)が装着部114を介して連結棒106に装着され、シリンダ102が車体(図示せず)に取り付けられる。
【0060】
サスペンションストラットを備えた車輌が走行中の路面の凹凸にホイールが遭遇すると、ピストン104がシリンダ102内で軸方向に移動する。
【0061】
車輌が、特に荒い地形の上を移動する際には、ストラット及びガス充填油圧アキュムレータ140のダンピング効果により、車輌の過度の振動が防止される。
【0062】
図8に示されている油圧式サスペンションストラットは、例えば、ホイールの過剰な移動に起因する、荒い地形の上での地面との接触を防止するために、圧縮移動が制限されたモードにある。油圧ライン124の第4オン/オフ弁126は閉じており、油圧ライン132の第1オン/オフ弁136は開いている。油圧ライン128の第2オン/オフ弁130及び油圧ライン132の第3オン/オフ弁134は閉じている。ピストン104及びそれに従ったホイールの垂直方向上方への総移動量は点線で示されており、ピストン104がポート178を覆っている際には、第1チャンバ116内に閉じこめられた油圧液の体積によってポート178のレベルに制限される。ピストン104の垂直方向下方への総移動量は点線で示されており、シリンダ102の基部との係合により制限される。
【0063】
図8に従った油圧式サスペンションストラットの実施形態を、例えば、低速時に特別な最低地上高を用いるだけの路上走行車で、引き出し移動が制限されるモードで使用することが意図される場合には、ストラットを図9に示すように動作させるべきである。この構成では、ライン124の第4オン/オフ弁126及びライン132の第1オン/オフ弁136は閉じている。ライン128の第2オン/オフ弁130は閉じており、ライン132の第3オン/オフ弁134は開いている。
【0064】
ピストン104及びそれに従ったホイールの垂直方向上方への総移動量は点線で示されており、ピストンの上面がシリンダ102の上端部壁179の内面と係合することにより制限される。ピストン104の垂直方向下方への総移動量は点線で示されており、ピストン104がポート178を覆っている際には、第2チャンバ118内に閉じこめられた油圧液の体積によってポート178のレベルに制限される。
【0065】
図8 に従った油圧式サスペンションストラットの実施形態を、移動が油圧で制限されないモードで使用することが意図される場合には、ストラットを図10に示すように動作させるべきである。この構成では、ライン124の第4オン/オフ弁126は閉じており、ライン132の第1オン/オフ弁136は開いている。ライン128の第2オン/オフ弁130は閉じており、ライン132の第3オン/オフ弁134は開いている。ピストン104の総移動量は、垂直方向上方へは、シリンダ102の上端部壁179の内面との係合により、及び垂直方向下方へは、シリンダ102の基部との係合により制限される。
【0066】
図8に従った油圧式サスペンションストラットの実施形態を、ストラットの位置を、ストラットを伸ばし又は縮め、それに従って、例えば車輌がニール(kneel)するように、車輌を高く又は低くするように制御可能なモードで使用することが意図される場合には、ストラットを図11に示すように動作させるべきである。この構成では、ライン124の第4オン/オフ弁126は開いており、ライン132の第1オン/オフ弁136は閉じている。ライン128の第2オン/オフ弁130は開いており、ライン132の第3オン/オフ弁134は閉じている。液がライン124に沿って入り、ライン128を介して出るようにすることにより、ストラットが縮められる。同様に、液がライン128に沿って入り、ライン124を介して出るようにすることにより、ストラットが伸ばされる。
【0067】
油圧式サスペンションストラットの別の構成では、車体(図示せず)が装着部を介して連結棒に連結され、ホイール(図示せず)がシリンダに取り付けられてもよい。
【0068】
上述した全ての油圧弁は、例えば、スプール弁やポペット弁であってもよい。これらの弁は、ソレノイドやモータで操作されてもよく、又は手動で操作されてもよい。弁が手動で操作される場合には、パイロット操作弁を用いるのが便利であろう。更に、種々の油圧ラインは、適宜シリンダの側壁又は端部壁に位置するポートによって、シリンダ内のチャンバに接続されてもよい。
【0069】
本発明による油圧式サスペンションストラットは、特に水陸両用車における用途を有することが可能である。水陸両用車は、従来の自動車輌のホイールと同様に、ホイールが陸上使用のために車輌を支持するように構成される引き出し位置から、水上使用のためにホイールが車体に対して持ち上げられる引き込み位置へと、移動可能に装着されたホイールを有することが知られている。本発明による油圧式サスペンションストラットは、このような水陸両用車のホイールに接続可能であり、車輌を地上で用いる場合には、路上走行モードにあるストラットがホイールに対するダンピング及び/又はサスペンションを提供する。しかし、車輌を水中で用いる場合には、ストラットを引き込み又は引き出しモードで用いて、ホイールを引き出し位置と引き込み位置との間で移動させることができる。更に、ストラットの引き込み及び引き出しのための制御システムを、車輌を路上モードと海洋モードとの間で変換するための他の制御機構に連結してもよい。
【0070】
なお、水陸両用車の異なるホイールや異なる車軸が、異なるサスペンション引き込み要件を有してもよい。例えば、先に参照したウェストファーレンの米国特許第4,241,686号では、前方のホイールは閉じたポッド領域に引き込まれるが、後方のホイールは、単に、プロペラのレベルより上の開いた凹み領域に引き込まれる。また、米国特許第4,008,679号(ボザーノ(Bozzano))では、キャタピラトラックと個々のホイールとを組み合わせて用いる水陸両用車が開示されている。故に、本発明の油圧式サスペンションストラットが、要求に応じて、三輪車輌の1つのホイールのみに、又は四輪車輌の1つの車軸のみに、又は全ホイールに適用され得ることが理解されよう。水陸両用車に関して説明したが、このサスペンションストラットは、他の構成変更可能な車輌に適用されてもよい。
【0071】
示された全ての実施形態において、ストラットはガス充填油圧アキュムレータに接続されたが、必ずしもその必要はなく、ばね効果を提供する別の手段を用いることもできる。例えば、ストラットを、ばね等の弾性部材によって作用(作動)されるピストンに油圧的に接続してもよい。或いは、ストラットを、従来の車輌用の機械的ばね構成と組み合わせて用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 公知の油圧式サスペンションストラットを示す図である。
【図2】 通常走行用の第1のモード及びホイールを引き込むための第2のモードで使用可能な油圧式サスペンションストラットの第1の実施形態を、路上走行モードで示す図である。
【図3】 ホイール引き込みモードにある、図2の油圧式サスペンションストラットを示す図である。
【図4】 アキュムレータが別の位置に装着された、図2の油圧式サスペンションストラットの変形例を示す図である。
【図5】 図3に示されているストラットを用いた、車輌のホイールサスペンションの取り付けを示す略図である。
【図6】 通常走行用の第1のモード及びホイールを引き出すための第2のモードで使用可能な油圧式サスペンションストラットの第2の実施形態を、路上走行モードで示す図である。
【図7】 ホイール引き出しモードにある、図6の油圧式サスペンションストラットを示す図である。
【図8】 通常走行用の第1のモード、ホイールを引き込むための第2のモード、及びホイールを引き出すための第3のモードで使用可能な油圧式サスペンションストラットの第3の実施形態を、圧縮移動が制限されるモードで示す図である。
【図9】 引き出し移動が制限されるモードにある、図8の油圧式サスペンションストラットを示す図である。
【図10】 移動が制限されないモードにある、図8の油圧式サスペンションストラットを示す図である。
【図11】 ストラットの位置を、ストラットを引き出す又は引き込むように制御可能な、図8の油圧式サスペンションストラットを示す図である。

Claims (11)

  1. 地上使用のためにホイールが車輌を支持するよう構成される引き出し位置から、前記車輌の水上使用のために前記ホイールが車体に対して持ち上げられる引き込み位置へと可動な、少なくとも1つの前記ホイールを有する水陸両用車は液圧式ストラットを有し、前記液圧式ストラットは、
    液圧液が入り、側部の中間部に少なくとも一のポートを有し、他のポートを一端部に有する、シリンダと、
    シリンダ内で可動であると共にシリンダ内に第1チャンバ及び第2チャンバを定めるピストンであって、前記ピストンがシリンダ内を移動するストロークの一部によって前記ポートを閉鎖する、ピストンと、
    前記ピストンを前記ホイールと関連づけられたサスペンション連結部に接続する連結手段と、を備え、
    前記ピストンのストロークの一部にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する第1オン/オフ弁であって、前記中間部のポートを介して液の流れを制御する第1オン/オフ弁と、
    前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方と、油圧供給源及び油圧液リザーバとを連通する第2オン/オフ弁と、を更に有し、
    前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの他方は、前記油圧供給源及び油圧液リザーバに連通し、
    前記第1オン/オフ弁が開放され前記第2オン/オフ弁が閉止されている場合には、前記ストラットは前記ホイールに対してサスペンション及び/又はダンピングを提供するよう構成され、前記第1オン/オフ弁が閉止され前記第2オン/オフ弁が開放されている場合には、前記ストラットは前記引き出し位置と前記引き込み位置との間で前記ホイールを移動させるアクチュエータとして動作するよう構成され、
    前記第2オン/オフ弁の閉止時に、前記シリンダ中間部のポートが前記ピストンによって閉じられて、前記シリンダ内における前記ピストンの移動が前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方内の液圧液の容積によって制限されることを特徴とする、水陸両用車。
  2. 前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの少なくとも一方には、ガス充填アキュムレータが連通される
    ことを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用車。
  3. 前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の流れを制御する前記第1オン/オフ弁の開放時には、前記ガス充填アキュムレータが前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの両方と連通し、前記チャンバ間の流れを制御する前記第1オン/オフ弁の閉止時には、前記ガス充填アキュムレータが、前記第2オン/オフ弁と連通する前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方のみと連通する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の水陸両用車。
  4. 前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の流れを制御する前記第1オン/オフ弁の開放時には、前記ガス充填アキュムレータが前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの両方と連通し、前記チャンバ間の流れを制御する前記第1オン/オフ弁の閉止時には、前記ガス充填アキュムレータが前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの、前記第2オン/オフ弁と連通しない他方のみと連通する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の水陸両用車。
  5. 前記第1オン/オフ弁が、前記ピストンのストロークの第1の部分にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御し、前記ピストンのストロークの第2の部分にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する第3オン/オフ弁が設けられ、第4オン/オフ弁が、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの、前記第2オン/オフ弁が連通しない他方のチャンバのみと、油圧供給源及び油圧液リザーバとを連通する、
    請求項1に記載の水陸両用車。
  6. 前記第1オン/オフ弁が、前記ピストンのストロークの第1の部分にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御し、前記ピストンのストロークの第2の部分にわたって前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する第3オン/オフ弁が設けられ、第4オン/オフ弁が、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの、前記第2オン/オフ弁が連通しない他方のチャンバのみと、油圧供給源及び油圧液リザーバとを連通する、
    請求項2に記載の水陸両用車。
  7. 前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の流れを制御する前記第1オン/オフ弁又は前記第3オン/オフ弁のいずれか又は両方の開放時には、前記ガス充填アキュムレータが前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの両方と連通し、前記チャンバ間の流れを制御する前記第1オン/オフ弁及び前記第3オン/オフ弁の両方の閉止時には、前記ガス充填アキュムレータが前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方のみと連通する、
    請求項6に記載の水陸両用車。
  8. 前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の液の流れを制御する前記1つ又は複数のオン/オフ弁が、前記シリンダの外部に配置される
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の水陸両用車。
  9. 前記1つ又は複数のオン/オフ弁が、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを接続する液圧移送ライン内、又は、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバのいずれかと、油圧供給源及び油圧液リザーバと、を接続する液圧移送ライン内に配置される、
    請求項8に記載の水陸両用車。
  10. 前記液圧移送ラインが、シリンダの壁に存在する2つ以上のポートを接続する
    ことを特徴とする、請求項に記載の水陸両用車。
  11. 前記第1チャンバ及び第2チャンバの他方のチャンバのみと連通する前記第4オン/オフ弁の閉止時に、前記シリンダ中間部のポートが前記ピストンにより閉じられて、前記シリンダ内における前記ピストンの移動が前記第1チャンバ及び第2チャンバの他方のチャンバ内の液圧液の容積によって制限される
    ことを特徴とする、請求項5〜のいずれか1つに記載の水陸両用車。
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