JP5127542B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式(電子写真プロセス技術)を用いた複写機やプリンタ、ファクシミリあるいはその複合機等の画像形成装置に関し、特にその加熱定着装置における異常過熱安全装置に関するものである。
画像形成装置における加熱定着装置は、熱源である通電発熱体と、前記発熱体に電流を供給する電源と、発熱近傍の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段からの信号にもとづいて前記電源の供給電流を制御する制御手段等を有している。そして、画像形成装置の作像部で未定着画像を形成担持させた記録材を加熱して画像を定着させる加熱式の定着装置が知られている。前記構成によって画像定着温度が画像定着のための所定の温度に制御される。このような加熱定着装置においては、発熱体、電源、温度検出手段、制御手段の何れか1つの要素でも正常に機能しない場合は定着装置として機能しない。さらには、通電暴走を生じた時には過熱による装置の破壊に至るおそれもある。
そこで、このような定着装置においては、特許文献1で開示されているように、発熱体の近傍にサーミスタ等の温度検出手段を配置し、発熱体が異常過熱状態である場合には、通電回路に介入されたリレー等の電流遮断手段によって発熱体への通電を遮断する。このような異常過熱安全装置を備えることで、通電暴走時の過熱・発煙・発火を回避している。前記異常過熱温度安全装置の作動する温度は、正常動作時において到達する温度以上に設定して正常動作時に誤動作することを防ぎ、異常過熱時のみ作動するようにしている。
図10は従来の異常過熱安全装置の構成図である。505は電源と発熱体の間に挿入されているリレーであり、リレー505がオフ時は発熱体への通電を遮断される。
2009はオペアンプであり、サーミスタの出力レベルと、所定基準レベルとの比較を行う。基準電圧は電源電圧:Vccを抵抗2010、2011によって分圧にすることで生成されている。サーミスタの温度が異常過熱温度以下の場合、オペアンプ2009の出力がLOWになる。これによってトランジスタ2006はオフ状態となり、さらにトランジスタ2003はオン状態となってリレー505内のコイルに電流が流れ、リレー505は通電状態となる。
ここで、通電暴走が起きた場合、サーミス検出信号が低下し、オペアンプ2009の出力がLOWからHIGHに切り替わる。これによってトランジスタ2006がオン状態となり、さらにトランジスタ2003がOff状態となってリレー505内のコイルの電流が停止し、リレーは遮断状態に切り替わる。2013はラッチ回路である。ラッチ回路2013は、リレー505がオフ状態に切り替わった場合に、その状態を保持しリレーが再び通電状態となることを防ぐ働きをする。図10のG点がLOW状態になると、ラッチ回路2013によってG点がLOWレベルに固定され、その後はサーミスタの状態に関わらずG点はLOWレベルで保持される。ラッチ回路2013の内部には時定数回路が設けられており、G点が所定期間:τで連続してLOW状態にならないと、ラッチ動作が働かない構成としている。このように時定数回路を設ける理由は、製品内で発生したノイズによってG点が瞬間的にLOWレベルとなり、これによってラッチ回路が誤作動することを回避するためである。
特開平08−248813号公報
しかしながら、前述のような異常加熱安全装置においては、機器の動作異常によって、発熱体の温度が短時間だけ上昇した場合に、異常過熱安全装置のリレーがダメージを受け、異常過熱安全装置が故障するという問題があった。発熱体の温度の上昇によって、サーミスタの温度が異常過熱安全装置の作動温度以上まで達すると、リレーが遮断する。ここで、サーミスタの温度がラッチ回路の作動時間:τ以内に作動温度以下まで低下した場合は、ラッチ回路が作動せずに、リレーは再び通電状態となる。この時、リレーの接点は、遮断時にアーク放電が発生し、その直後に接点は再び接合状態となる。接点のダメージは、アーク放電の発生直後に接点が接合すると特に大きくなる。このダメージがさらに繰り返されると、接点溶着に至る場合がある。接点が溶着した場合、リレーは常に通電状態となり、異常過熱安全装置が作動しなくなる問題が発生する。
この問題に対しては、リレー接点間でアーク放電が発生した場合でも、特性に影響を与えないリレーの構成にすればよい。具体的には、接点の材質を接点溶着が発生しにくいものを選択する、あるいは、接点の開離力を強くし、接点溶着を防ぐ手法がある。しかしながら、いずれの手法も、リレーのコストが上昇するといった新たな問題が生じる。また、他の対策として、ラッチ回路の作動時間:τを小さく設定し、リレー遮断時は短期間でラッチ回路を作動させ、リレー遮断時のアーク放電の発生後に再び接点が接合状態にならないようにする手法がある。しかしながら、この手法では、画像形成装置内で発生するノイズによってラッチ回路が作動し、異常過熱安全装置が誤動作する問題があった。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、発熱体の温度が短時間だけ上昇した場合に、接点が開きその直後に閉じることによる故障を回避でき、ノイズによる誤動作が起こり難い、異常過熱安全装置を備えた定着装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明では、定着装置を以下のとおりに構成する。
(1)ヒータと、前記ヒータの温度を検出する温度検出素子と、前記温度検出素子の出力と基準値を比較する比較回路と、商用電源から前記ヒータへ電力を供給する電力供給回路に設けられているリレーと、前記リレーを駆動するリレー駆動回路と、前記比較回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に設けられており入力する信号を積分する積分回路と、入力端が前記積分回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に繋がれており、出力端が前記比較回路から前記積分回路への信号経路中に繋がれているラッチ回路と、を有し、前記積分回路に入力する信号の積分値が基準積分値に達することによって前記リレー駆動回路に入力する信号レベルが変化して前記リレーが開放状態となり、前記リレーが開放状態となるように前記入力端の信号レベルが変化すると、前記ラッチ回路は前記出力端から前記積分回路へ信号を送り続け、前記リレーを開放状態にラッチすることを特徴とする定着装置。
(2)前記比較回路から前記積分回路への信号経路と前記ラッチ回路の出力端との交点と、前記比較回路と、の間には、アノードが前記比較回路側、カソードが前記交点側となるように第1のダイオードが設けられており、前記交点と前記ラッチ回路との間には、アノードが前記ラッチ回路側、カソードが前記交点側となるように第2のダイオードが設けられていることを特徴とする前記(1)に記載の定着装置。
(3)前記定着装置は更に、前記ヒータの温度を検出する第2の温度検出素子と、前記第2の温度検出素子の出力と基準値を比較する第2の比較回路と、前記第2の比較回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に設けられており入力する信号を積分する第2の積分回路と、入力端が前記第2の積分回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に繋がれており、出力端が前記第2の比較回路から前記第2の積分回路への信号経路中に繋がれている第2のラッチ回路と、を有し、二つの積分回路のいずれか一方に入力する信号の積分値が基準積分値に達すると、前記リレーは開放状態となり且つ開放状態にラッチされることを特徴とする前記(1)に記載の定着装置。
(4)前記定着装置は更に、内面に前記ヒータが接触する筒状の定着フィルムと、前記定着フィルムを介して前記ヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有することを特徴とする前記(1)に記載の定着装置。
本発明によれば、発熱体の温度が短時間だけ上昇した場合に、直ちに電源供給遮断手段を遮断状態にラッチして接点の再接合を阻止し、異常過熱安全装置の故障を回避できる。また、ノイズによって電源供給遮断手段を遮断状態にラッチする誤動作が起こり難く、異常過熱安全装置を比較的安価な構成で実現できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、画像形成装置の実施例により詳しく説明する。
実施例1である“画像形成装置”について説明する。本実施例は、具体的にはレーザビームプリンタの例である。
(1)画像形成装置の構成
図1は本実施例のレーザビームプリンタ100の構成図である。レーザビームプリンタ100は、記録紙Pを収納するデッキ101を有し、デッキ101内の記録紙Pの有無を検知するデッキ紙有無センサが設けられている。また、デッキ101内の記録紙Pのサイズを検知する紙サイズ検知センサ103、デッキ101から記録紙Pを繰り出すピックアップローラ104、前記ピックアップローラ104によって繰り出された記録紙Pを搬送するデッキ給紙ローラ105が設けられている。また、前記デッキ給紙ローラ105と対をなし、記録紙Pの重送を防止するためのリタードローラ106が設けられている。また、デッキ給紙ローラ105の下流には、デッキ101と後述する両面反転部からの給紙搬送状態を検知する給紙センサ107、さらに下流へと記録紙Pを搬送するための給紙搬送ローラ108が設けられている。また、記録紙Pを印刷タイミングと同期して搬送するレジストローラ対109、前記レジストローラ対109への記録紙Pの搬送状態を検知するレジ前センサ110が配設されている。また、レジストローラ対109の下流には、レーザスキャナ部111からのレーザ光にもとづいて感光ドラム1上にトナー像を形成するプロセスカートリッジ112が設けられている。また、感光ドラム1上に形成されたトナー像を記録紙P上に転写するためのローラ部材113(以後転写ローラと記す)、記録紙P上の電荷を除去し感光ドラム1からの分離を促進するための放電部材114(以後除電針と記す)が配設されている。また、除電針114の下流には搬送ガイド115、記録紙P上に転写されたトナー像(請求項でいう、記録媒体上に形成された未定着トナー像に相当)を熱定着する定着装置116が設けられている。また、定着装置116からの搬送状態を検知する定着排紙センサ119、定着装置116から搬送されてきた記録紙Pを排紙部か両面反転部に行き先を切り替えるための両面フラッパ120が配設されている。また、排紙部側の下流には排紙部の紙搬送状態を検知する排紙センサ121、記録紙を排紙する排紙ローラ対122が配設されている。一方記録紙Pの両面に印字するために片面印字終了後の記録紙Pを表裏反転させ、再度画像形成部へと給紙するための両面反転部側には、正逆転によって記録紙Pをスイッチバックさせる反転ローラ対123、反転ローラ対123への紙搬送状態を検知する反転センサ124が設けられている。また、記録紙Pの横方向位置を合わせるための横方向レジスト部(不図示)から記録紙Pを搬送するためのDカットローラ125、両面反転部の記録紙P搬送状態を検知する両面センサ126が設けられている。さらに、両面反転部から給紙部へと記録紙Pを搬送するための両面搬送ローラ対127が配設されている。
(2)定着装置
図2は定着装置の概略構成の模型図である。本例の定着装置は特開平4−44075〜44083号公報、同4−204980〜204984号公報等に開示のフィルム加熱方式の装置である。211はセラミックヒータ固定兼フィルム内面ガイド用の耐熱性・断熱性・剛体ステーであり、記録紙210の搬送路を横断する方向(図面に垂直方向)を長手とする横長部材である。205は後述するセラミックヒータであり、前記ステー211の下面に長手に沿って形成した溝部に嵌入して耐熱性接着剤で固定支持させた、転写材搬送路を横断する方向を長手とする横長部材である。201は円筒状の耐熱性フィルム材(以下、定着フィルムと記す)であり、セラミックヒータ205を取り付けたステー211にルーズに外嵌させてある。例えば、厚さ40〜100μm程度の、耐熱性・離型性・強度・耐久性等を有するPTFE、PFA、FEPなどの円筒状単層フィルムである。あるいはポリイミド、ポリアミド、PEEK、PES、PPSなどの円筒状フィルムの外周面にPTFE、PFA、FEPなどをコーティングした複合層フィルムである。202は加圧ローラであり、芯金203の外周にシリコーンゴム等の耐熱性弾性層204をローラ状に同心一体に設けた弾性ローラである。この加圧ローラ202と、前記ステー211側のセラミックヒータ205とを定着フィルム201を挟ませて加圧ローラ202の弾性に抗して圧接させてある。矢印Nで示した範囲がその圧接により形成される定着ニップ部である。加圧ローラ202は定着駆動モータM2 118(図1参照)により矢示Bの方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ202の回転駆動による、定着ニップ部Nにおける加圧ローラ202と定着フィルム201の外面との摩擦力で定着フィルム201に直接的に回転力が作用する。記録紙210が矢印A方向で定着ニップ部Nに導入されたときは記録紙210を介して定着フィルム201に回転力が間接的に作用する。この作用により、定着フィルム201がセラミックヒータ205の下面に圧接摺動しつつ矢示の時計方向Cに回転駆動される。ステー211はフィルム内面ガイド部材としても機能して定着フィルム201の回転を容易にする。定着フィルム201の内面とセラミックヒータ205の下面との摺動抵抗を低減するために両者の間に耐熱性グリス等の潤滑剤を少量介在させることもできる。加圧ローラ202の回転による定着フィルム201の回転が定常化し、セラミックヒータ205の温度が所定どおりに立ち上がった状態になるのを待つ。この状態で、定着フィルムを挟んでセラミックヒータ205と加圧ローラ202とで形成される定着ニップ部Nの定着フィルム201と加圧ローラ202との間に画像定着すべき記録紙210が導入されて定着フィルム201と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送される。このことにより、セラミックヒータ205の熱が定着フィルム201を介して記録紙210の未定着画像に付与され、記録紙210上の未定着画像が記録紙210面に加熱定着されるものである。定着ニップ部Nを通った記録紙210は定着フィルム201の面から分離されて搬送される。なお、図2における矢印Aは記録紙210の搬送方向を示す。
(3)セラミックヒータ
図3はセラミックヒータの構成図である。セラミックヒータは記録紙の搬送方向に対して直交する方向に長く配設されている。基材301としてのアルミナ(Al2O3)を用いており、一面側には印刷によって2つの発熱パターン302a及び302bが形成されている。また、発熱パターン302a及び302bは電気絶縁層としてのガラス保護膜によって被覆されている。なお、本実施例では発熱パターン302aで形成されたヒータ部をメインヒータ、発熱パターン302bで形成されたヒータ部をサブヒータと記す。303a、303b、303cは給電電極であり、発熱パターンの両端に電圧を印加できるように形成されている。2つのメインヒータ302a及びサブヒータ302bは、発熱分布が大きく異なる。
図4はメインヒータ302a及びサブヒータ302bの発熱分布を示すものである。メインヒータ302aはセラミックヒータの中央部で発熱量が大きく形成されている。一方、サブヒータ302bは端部での発熱量が大きく形成されている。
(4)サーミスタ
本実施例の定着装置では、セラミックヒータの温度を測定するためのサーミスタを3個有する。各サーミスタはセラミックヒータ上に所定の圧で押し当てられている。図4はサーミスタの配置関係を示す図であり、サーミスタのセラミックヒータ長手方向の配置を矢印D、E、F、G(請求項でいう、発熱体の互いに異なる箇所に相当)で示す。サーミスタ1はセラミックヒータ中央部に配置されている。一方、サーミスタ2、3は端部に配置している。各サーミスタは不図示の温度検出回路に接続されている。
図6は温度検出回路の内部回路である。サーミスタ1、2、及び3はそれぞれ抵抗604、606及び607と直列に接続されている。S6、S7、及びS8は検出信号であり、温度によって変化するサーミスタの抵抗値に応じて変動する。サーミスタの抵抗値は温度が高くなると低下する特性であることから、検出信号S6、S7、及びS8は検出温度が高いほど電圧レベルが低下する特性である。検出信号S7はCPU501のみに接続している。一方、検出信号S6、S8はCPU501及び後述の異常過熱安全装置に接続している。
(5)サーモスイッチ
本実施例における定着装置では、異常加熱時の電流遮断手段として非図示のサーモスイッチを1個有している。サーモスイッチはセラミックヒータ205上に所定の圧で押し当てられている。図4にサーモスイッチのセラミックヒータ長手方向の位置を示す。
サーモスイッチの作動温度は250℃である。ここでサーモスイッチの作動温度について説明する。サーモスイッチの作動温度は作動温度に到達するまでの温度上昇速度に大きく関係する。即ちサーモスイッチは作動温度に到達するまでの温度上昇速度が低いほど、より作動温度:250℃に近い温度で作動する特性をもつ。このような特性はサーモスイッチ自体が持つ熱容量によって生じる。
(6)電力制御回路
次にセラミックヒータに電力を供給する電力制御回路について説明する。電力制御はメインヒータ302aとサブヒータ302bで独立して制御する構成となっている。図5は電力供給制御回路の接続図である。501はCPU、502,503は第1と第2の双方向3端子サイリスタ、504はAC電源、505はリレーである。第1の双方向3端子サイリスタ502とメインヒータ302aとは直列接続し、また第2の双方向3端子サイリスタ503とサブヒータ302bとは直列接続し、それらを並列にAC電源504に対して接続させてある。第1と第2の双方向3端子サイリスタ502,503はそれぞれCPU501からの第1と第2のヒータ駆動信号S1、S2のON、OFFでON・OFF制御される。
前述のサーミスタの検出出力にもとづいて第1と第2のヒータ駆動信号S1,S2のON、OFFでON・OFF制御することで、セラミックヒータ205を所望の温度に制御することができる。本実施例では、サーミスタ1の検出値が200℃となるように制御される。
リレー505は第1と第2の双方向3端子サイリスタ502,503とAC電源504の間に挿入しており、リレー505の駆動によりメインヒータ302a及びサブヒータ302bへの通電を遮断できる構成になっている。
リレー505の制御信号は後述の異常過熱安全装置509から供給されている。
(7)異常過熱安全装置
本実施例の画像形成装置では異常加熱安全装置を設けて通電暴走時のセラミックヒータ205の過熱を回避している。異常過熱安全装置として前述のサーモスイッチの他に、サーミスタ1を用いてセラミックヒータ205の異常過熱を検知し、異常過熱時は通電を遮断する回路を設けている。
サーミスタ1で異常過熱と判断する温度は220℃である。前述のように、本実施例の画像形成装置では、セラミックヒータ205はサーミスタ1の検出値が200℃となるように制御される。よって正常動作時に異常過熱安全装置が作動することはない。通電暴走時には検出温度が220℃で異常過熱安全装置が作動し、セラミックヒータ205への通電を遮断できる。
次に、異常過熱安全装置の構成の詳細を図8を用いて説明する。
サーミスタ1の検出信号S6は、コンパレータ909(請求項でいう、温度検出手段の出力値を比較基準値と比較する温度比較手段に相当)の負極入力に入力されており、正極に入力されている基準電圧:Vrefとの比較を行ない、異常過熱状態と判断する。
サーミスタ1の検出信号は、基準電圧:Vrefである、電圧:Vccを抵抗910及び911で分圧した値と比較される。サーミスタ1のレベルにより装置は次のように動作する。
サーミスタ1の温度が異常過熱温度以上の場合
図7は、通電暴走でセラミックヒータ205が過熱状態となった時の異常過熱安全装置各部の波形を示したものである。サーミスタ1の検出信号:S6のレベルが昇温によって低下し、基準電圧:Vref以下になると、コンパレータ909の出力がLOWからHIGHに切り替わる(タイミング:T1)。コンパレータ909の出力がHIGHに切り替わると、電源:Vccから抵抗908、ダイオード925を介してコンデンサ920、抵抗907に電流が流れはじめる。コンデンサ920と抵抗907で構成された積分回路(請求項でいう、時間積分する積分手段に相当)によって、トランジスタ906のベース電圧は除々に上昇する。トランジスタ906のベース電圧がトランジスタ906のオン電圧に到達した時点でトランジスタ906がオン状態となる(タイミングT2)。これにより、トランジスタ903がオフ状態に切り替わりC点の電位がLOWレベルに切り替わり、セラミックヒータ205の通電が停止する。
次にラッチ動作について説明する。C点はオペアンプ923の負極入力に入力されており、正極入力に入力される基準電圧と比較される。基準電圧は電源Vccを抵抗910及び911で分圧して生成されている。前述したとおり、サーミスタ1の検出信号:S6のレベルが昇温によって低下し、C点がHIGHレベルからLOWレベルに切り替わると、オペアンプ923の出力(E点)はLOWからHIGHに切り替わる。これにより、ダイオード921が通電状態となり、トランジスタ906のベースには、抵抗908、ダイオード925を介して流れる電流に加え、抵抗922、ダイオード921を介しての電流が流れ込む。
この状態で、サーミスタ1の検出信号:S6が上昇し、コンパレータ909の出力電圧(D点)がHIGHからLOWに切り替わった場合(タイミング:T3)、ダイオード925がオフ状態となる。しかし、ダイオード921は継続してオン状態となり、電源Vccから抵抗922、ダイオード921を介してトランジスタ906のベースに電流が流れ、トランジスタ906はオン状態となる。即ち、セラミックヒータ205の通電停止状態がラッチされる。通電停止状態のラッチは、電源電圧:Vccをオフしない限り持続される。
サーミスタ1の温度が異常過熱温度以下の場合
サーミスタ1の出力信号:S6は基準電圧:Vrefよりも大きいことからコンパレータ909の出力がLOW状態となる。これにより、電源Vccから抵抗908を介して流れる電流はコンパレータ909の出力端子に流れ込み、トランジスタ906のベースには電流が流れない。即ち、トランジスタ906はOFF状態となり、C点はHIGH状態となる。これにより、電源Vccから抵抗940を介してトランジスタ903のベースに電流が流れ、トランジスタ903はオン状態となる。トランジスタ903がオン状態になると、リレー505に電源Vddによって通電が行われ、リレー505の出力は通電状態となる。
また、C点のラインがノイズによって瞬時的にHIGHレベルからLOWレベルに変化した場合、オペアンプ923の出力は短期間でLOWからHIGHレベルに変化する。しかし、コンデンサ920と抵抗907によって、トランジスタ906のベース電圧は上昇しないため、トランジスタ906はオン状態とならない。即ち、リレー505の出力は通電状態が持続され、ノイズによる異常過熱安全装置の誤動作は回避できる。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置では、発熱体の温度が短時間だけ上昇した場合に、直ちにリレーを遮断状態にラッチしてリレー接点の再接合を阻止し、リレー接点のダメージによる異常過熱安全装置の故障を回避できる。また、ノイズによってリレーを遮断状態にラッチする誤動作が起こり難く、異常過熱安全装置を比較的安価な構成で実現できる。
実施例2である“画像形成装置”について説明する。
本実施例の画像形成装置は、実施例1と基本構成は同じであり、温度検出手段、温度比較手段、ラッチ手段を複数組有する点が実施例1の構成と異なる。
図9は本実施例の異常過熱安全装置の構成図である。サーミスタ1の検出信号:S6に応じてリレー505を遮断する回路は実施例1と同じであり、サーミスタ2検出信号:S7にもとづいてリレーを遮断する回路が追加されている。
サーミスタ2の検出信号:S7のレベルが昇温によって低下し基準電圧:Vref以下になると、コンパレータ959の出力がLOWからHIGHに切り替わる。コンパレータ959の出力がHIGHに切り替わると、電源:Vccから抵抗958を介してコンデンサ970、抵抗957に電流が流れはじめる。コンデンサ970と抵抗957で構成された積分回路によって、トランジスタ956のベース電圧は除々に上昇し、トランジスタ956のベース電圧がトランジスタ956のオン電圧に到達した時点でトランジスタ956がオン状態となる。これにより、トランジスタ903がオフ状態に切り替わりC点の電位がLOWレベルに切り替わり、セラミックヒータ205の通電が停止する。また、C点がHIGHレベルからLOWレベルに切り替わったことにより、オペアンプ973の出力(L点)はLOWからHIGHに切り替わる。これにより、ダイオード972が通電状態となり、セラミックヒータ205の通電停止状態がラッチされる。
以上説明したように、本実施例では、実施例1における温度検出手段、温度比較手段、積分手段を複数設けている。これにより、複数の温度検出手段のいずれかで異常高温が検出された場合に、実施例1と同様の効果が達成できる。
実施例1である画像形成装置の構成を示す断面図 実施例1における定着装置の構成を示す断面図 実施例1におけるセラミックヒータの構成図 実施例1におけるセラミックヒータの発熱分布の説明図 実施例1における電力制御回路の構成図 実施例1における温度検出回路の構成図 実施例1における異常過熱安全装置内部の波形図 実施例1における異常過熱安全装置の回路図 実施例2における異常過熱安全装置の回路図 従来の異常過熱安全装置の回路図
符号の説明
100 レーザビームプリンタ
116 定着装置
205 セラミックヒータ
206 サーミスタ
505 リレー
909 コンパレータ
923 オペアンプ
903、906 トランジスタ
921、925 ダイオード
906 抵抗
907 コンデンサ

Claims (4)

  1. ヒータと、前記ヒータの温度を検出する温度検出素子と、前記温度検出素子の出力と基準値を比較する比較回路と、商用電源から前記ヒータへ電力を供給する電力供給回路に設けられているリレーと、前記リレーを駆動するリレー駆動回路と、前記比較回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に設けられており入力する信号を積分する積分回路と、入力端が前記積分回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に繋がれており、出力端が前記比較回路から前記積分回路への信号経路中に繋がれているラッチ回路と、を有し、前記積分回路に入力する信号の積分値が基準積分値に達することによって前記リレー駆動回路に入力する信号レベルが変化して前記リレーが開放状態となり、前記リレーが開放状態となるように前記入力端の信号レベルが変化すると、前記ラッチ回路は前記出力端から前記積分回路へ信号を送り続け、前記リレーを開放状態にラッチすることを特徴とする定着装置。
  2. 前記比較回路から前記積分回路への信号経路と前記ラッチ回路の出力端との交点と、前記比較回路と、の間には、アノードが前記比較回路側、カソードが前記交点側となるように第1のダイオードが設けられており、前記交点と前記ラッチ回路との間には、アノードが前記ラッチ回路側、カソードが前記交点側となるように第2のダイオードが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着装置は更に、前記ヒータの温度を検出する第2の温度検出素子と、前記第2の温度検出素子の出力と基準値を比較する第2の比較回路と、前記第2の比較回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に設けられており入力する信号を積分する第2の積分回路と、入力端が前記第2の積分回路から前記リレー駆動回路への信号経路中に繋がれており、出力端が前記第2の比較回路から前記第2の積分回路への信号経路中に繋がれている第2のラッチ回路と、を有し、二つの積分回路のいずれか一方に入力する信号の積分値が基準積分値に達すると、前記リレーは開放状態となり且つ開放状態にラッチされることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記定着装置は更に、内面に前記ヒータが接触する筒状の定着フィルムと、前記定着フィルムを介して前記ヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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