JP7263022B2 - 加熱装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

加熱装置、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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本発明は、加熱装置、定着装置及び画像形成装置に関し、電子写真プロセスで形成されるトナー像を記録材上に定着させる加熱装置の過昇温防止に関する。
電子写真方式が用いられた複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、記録材上に転写されたトナーを加熱して、トナー像を記録材に定着させる定着装置が広く用いられている。定着装置は、熱源である加熱手段と、加熱手段に電力を供給する電源と、加熱手段近傍の温度を検知する温度検知手段と、加熱手段に供給される電力を制御する制御手段で構成される場合が多い。
定着装置を構成する加熱手段、温度検知手段、制御手段のうちの、いずれか一つでも正常に機能しない場合には、定着装置は正常に制御できず、その結果、加熱手段である発熱体の過昇温を招き、定着装置の破損等を引き起こすおそれがある。そのため、一般的には、異常検知部と電力供給を遮断する手段を有する過昇温防止手段を設け、定着装置が過昇温に至る異常を検知した際には、加熱手段への電力供給を遮断する動作が実行される。
ところで、過昇温防止手段を備えた定着装置の信頼性を高める方法として、加熱手段が過昇温したときの温度上昇を緩やかにし、過昇温防止手段が動作するまでの時間を確保する構成が提案されている。例えば特許文献1では、加熱手段であるヒータの異常な昇温を検知すると、定着装置内の定着ニップを必ず当接状態にして、ヒータを放熱部材である加圧ローラに当接させることで、ヒータの温度上昇を緩やかにする構成が提案されている。
特許第5528194号公報
しかしながら、上述した従来技術の手法では、定着ニップ部の当接・離間動作を行うモータ等を含む当接・離間機構が必要となるが、このような機構を有していない定着装置も多い。そのため、定着装置にこのような当接・離間機構を新たに設けることにより、定着装置のコスト増加や、当接・離間機構を設置する空間が必要となり、装置の大型化といった課題が生じる。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、コストアップや装置の大型化を抑制しつつ、定着装置の異常時にヒータの急激な温度上昇を抑制することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
(1)第1の定格電力である第1の発熱体と、前記第1の定格電力より低い第2の定格電力である第2の発熱体とを含む、少なくとも2つ以上の複数の発熱体と、前記複数の発熱体が配置される基板と、を含むヒータと、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体と、電源との接続を切り替える切替え部と、前記ヒータの温度に応じて、前記電源と前記ヒータとの間の電力供給経路を切断し、電力供給を遮断する遮断手段と、前記ヒータの温度を検知する検知手段と、を備え、前記切替え部は、前記検知手段により検知された温度が前記所定の温度以上となった場合、前記遮断手段により前記ヒータへの電力供給が遮断される前に、前記電源と前記第2の発熱体とを接続するように切り替えることを特徴とする加熱装置。
(2)発熱時にヒータに対する熱応力が第1の熱応力となる第1の発熱体と、発熱時にヒータに対する熱応力が前記第1の熱応力よりも小さい第2の熱応力となる第2の発熱体とを含む、少なくとも2つ以上の複数の発熱体と、前記複数の発熱体が配置される基板と、を含むヒータと、前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体と、電源との接続を切り替える切替え部と、前記ヒータの温度に応じて、前記電源と前記ヒータとの間の電力供給経路を切断し、電力供給を遮断する遮断手段と、前記ヒータの温度を検知する検知手段と、を備え、前記切替え部は、前記検知手段により検知された温度が前記所定の温度以上となった場合、前記遮断手段により前記ヒータへの電力供給が遮断される前に、前記電源と前記第2の発熱体とを接続するように切り替えることを特徴とする加熱装置。
(3)記録材に担持された未定着のトナー像を定着する定着装置であって、前記(1)又は前記(2)に記載の加熱装置と、前記加熱装置により加熱される第1の回転体と、前記第1の回転体とともにニップ部を形成する第2の回転体と、を備え、前記第1の回転体はフィルムであることを特徴とする定着装置。
(4)記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記(3)に記載の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、コストアップや装置の大型化を抑制しつつ、定着装置の異常時にヒータの急激な温度上昇を抑制することができる。
実施例1~3の画像形成装置の全体構成図 実施例1~3の画像形成装置の制御ブロック図 実施例1~3の定着装置の長手方向の中央部付近の断面模式図 実施例1の定着装置の回路構成を示す全体概略図、ヒータの断面図 実施例1の定着装置の異常時の温度プロフィールを示す図 実施例2の定着装置の回路構成を示す全体概略図 実施例2の定着装置の異常時の温度プロフィールを示す図 実施例3の定着装置の回路構成を示す全体概略図 実施例3の定着装置の異常時の温度プロフィール、熱応力の特性を示す図 実施例3の定着装置の回路構成を示す全体概略図 実施例4の定着装置の回路構成を示す全体概略図 実施例4の定着装置の異常時の温度プロフィールを示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
[全体構成]
図1は実施例1の定着装置を搭載した一例の画像形成装置である、インライン方式のカラー画像形成装置を示す構成図である。図1を用いて電子写真方式のカラー画像形成装置の動作を説明する。なお、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーションとしている。また、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
第1ステーションで、像担持体である感光ドラム1aは、OPC感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層等からなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低く略絶縁である。帯電手段である帯電ローラ2aが感光ドラム1aに当接され、感光ドラム1aの回転に伴い、従動回転しなから感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧又は交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面とのニップ部から、回転方向の上流側及び下流側の微小な空気ギャップにおいて放電が発生することにより感光ドラム1aが帯電される。クリーニングユニット3aは、後述する転写後に感光ドラム1a上に残ったトナーをクリーニングするユニットである。現像手段である現像ユニット8aは、現像ローラ4a、非磁性一成分トナー5a、現像剤塗布ブレード7aからなる。感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、画像形成装置に対して着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。
露光手段である露光装置11aは、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLED(発光ダイオード)アレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電高電圧電源20aに接続されている。現像ローラ4aは、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像高電圧電源21aに接続されている。1次転写ローラ10aは、1次転写ローラ10aへの電圧供給手段である1次転写高電圧電源22aに接続されている。以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成をしている。他のステーションについて、第1ステーションと同一の機能を有する部品は同一の符号を付し、符号の添え字にステーションごとにb、c、dを付している。なお、以下の説明において、特定のステーションについて説明する場合を除き、添え字a、b、c、dを省略する。
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ15、テンションローラ14、補助ローラ19の3本のローラにより支持されている。テンションローラ14のみバネ(不図示)で中間転写ベルト13を張る方向の力が加えられており、中間転写ベルト13に適当なテンション力が維持されるようになっている。2次転写対向ローラ15はメインモータ(不図示)からの回転駆動を受けて回転し、外周に巻かれた中間転写ベルト13が回動する。中間転写ベルト13は感光ドラム1a~1d(例えば、図1では反時計回り方向に回転)に対して順方向(例えば、図1では時計回り方向)に略同速度で移動する。また、中間転写ベルト13は、矢印方向(時計回り方向)に回転し、1次転写ローラ10は中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と反対側に配置されて、中間転写ベルト13の移動に伴い従動回転する。中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と1次転写ローラ10とが当接している位置を1次転写位置という。補助ローラ19、テンションローラ14及び2次転写対向ローラ15は電気的に接地されている。なお、第2~第4ステーションも1次転写ローラ10b~10dは第1ステーションの1次転写ローラ10aと同様の構成としているので説明を省略する。
次に実施例1の画像形成装置の画像形成動作を説明する。画像形成装置は待機状態時に印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートする。感光ドラム1や中間転写ベルト13等はメインモータ(不図示)によって所定のプロセススピードで矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電高電圧電源20aにより電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に帯電され、続いて露光装置11aから照射された走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像ローラ4aに塗布される。そして、現像ローラ4aには、現像高電圧電源21aより所定の現像電圧が供給される。感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像ローラ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーが付着することによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(例えば、Y(イエロー))のトナー像が形成される。他の色M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各ステーション(プロセスカートリッジ9b~9d)も同様に動作する。各色の1次転写位置間の距離に応じて、一定のタイミングでコントローラ(不図示)からの書き出し信号を遅らせながら、露光による静電潜像が各感光ドラム1a~1d上に形成される。それぞれの1次転写ローラ10a~10dにはトナーと逆極性の直流高電圧が印加される。以上の工程により、順に中間転写ベルト13にトナー像が転写されて(以下、1次転写という)、中間転写ベルト13上に多重トナー像が形成される。
その後、トナー像の作像に合わせて、カセット16に積載されている記録材である用紙Pは、給紙ソレノイド(不図示)によって回転駆動される給紙ローラ17により給送(ピックアップ)される。給送された用紙Pは搬送ローラによりレジストレーションローラ(以下、レジストローラという)18に搬送される。用紙Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期して、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25との当接部である転写ニップ部へ搬送される。2次転写ローラ25には2次転写高電圧電源26により、トナーと逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して用紙P上(記録材上)に転写される(以下、2次転写という)。用紙P上に未定着のトナー像が形成されるまでに寄与した部材(例えば、感光ドラム1等)は画像形成手段として機能する。一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留したトナーは、クリーニングユニット27によって清掃される。2次転写が終了した後の用紙Pは、定着手段である定着装置50へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として排出トレー30へと排出される。定着装置50のフィルム51、ニップ形成部材52、加圧ローラ53、ヒータ54については後述する。
[画像形成装置のブロック図]
図2は画像形成装置の動作を説明するブロック図であり、この図を参照しながら画像形成装置の印刷動作について説明する。ホストコンピュータであるPC110は、画像形成装置の内部にあるビデオコントローラ91に対して印刷指令を出力し、印刷画像の画像データをビデオコントローラ91に転送する役割を担う。
ビデオコントローラ91はPC110からの画像データを露光データに変換し、エンジンコントローラ92内にある露光制御装置93に転送する。露光制御装置93はCPU94から制御され、露光データに応じてレーザー光のオンオフを行う露光装置11の制御を行う。制御手段であるCPU94は印刷指令を受信すると画像形成シーケンスをスタートさせる。
エンジンコントローラ92にはCPU94、メモリ95等が搭載されており、予めプログラムされた動作を行う。高電圧電源96は上述の帯電高電圧電源20、現像高電圧電源21、1次転写高電圧電源22、2次転写高電圧電源26から構成される。また、電力制御部97は双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56、電力を供給する発熱体を排他的に選択する切替え部としての発熱体切替え器57等から構成される。電力制御部97は、定着装置50において発熱する発熱体を選択し、供給する電力量を決定する。また、駆動装置98はメインモータ99、定着モータ100等から構成される。またセンサ101は定着装置50の温度を検知する定着温度センサ59、フラグを有し用紙Pの有無を検知する紙有無センサ102等からなり、センサ101の検知結果はCPU94に送信される。CPU94は画像形成装置内のセンサ101の検知結果を取得し、露光装置11、高電圧電源96、電力制御部97、駆動装置98を制御する。これにより、CPU94は、静電潜像の形成、現像されたトナー像の転写、用紙Pへのトナー像の定着等を行い、露光データがトナー像として用紙P上に印刷される画像形成工程の制御を行う。なお、本発明が適用される画像形成装置は、図1で説明した構成の画像形成装置に限定されるものではなく、異なる幅の用紙Pを印刷することが可能で、後述するヒータ54を有する定着装置50を備える画像形成装置であればよい。
[定着装置の構成]
次に、発熱体により用紙P上のトナー像を加熱する加熱装置を制御する、実施例1における定着装置50の構成について図3を用いて説明する。ここで、長手方向とは、後述する用紙Pの搬送方向と略直交する加圧ローラ53の回転軸方向のことである。また、搬送方向に略直交する方向(長手方向)の用紙Pの長さを幅という。図3は、定着装置50の断面模式図である。図3左側から未定着のトナー像Tnを保持した用紙Pが、定着ニップ部Nにおいて図中左から右に向けて搬送されながら加熱されることにより、トナー像Tnが用紙Pに定着される。実施例1における定着装置50は、円筒状のフィルム51と、フィルム51を保持するニップ形成部材52と、フィルム51とともに定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ53と、用紙Pを加熱するためのヒータ54とにより構成されている。
フィルム51(第1の回転体)は加熱回転体としての定着フィルムである。実施例1では、基層として、例えばポリイミドを用いている。基層の上に、シリコーンゴムからなる弾性層、PFAからなる離型層を用いている。フィルム51の回転によるニップ形成部材52及びヒータ54とフィルム51との間に生じる摩擦力を低減するために、フィルム51の内面には、グリスが塗布されている。
ニップ形成部材52はフィルム51を内側からガイドするとともに、フィルム51を介して加圧ローラ53との間で定着ニップ部Nを形成する役割を果たす。ニップ形成部材52は剛性・耐熱性・断熱性を有する部材であり、液晶ポリマー等により形成されている。フィルム51はこのニップ形成部材52に対して外嵌されている。加圧ローラ53(第2の回転体)は加圧回転体としてのローラである。加圧ローラ53は、芯金53a、弾性層53b、離型層53cからなる。加圧ローラ53は、両端を回転可能に保持されており、定着モータ100(図2参照)によって回転駆動される。また、加圧ローラ53の回転により、フィルム51は従動回転する。加熱部材であるヒータ54は、ニップ形成部材52に保持され、フィルム51の内面と接している。ヒータ54及び定着温度センサ59については後述する。
[定着装置の回路構成]
図4は、本実施例の定着装置50の全体概略図を示す図である。図4(a)は定着装置50の回路構成を示す全体概略図である。加熱手段であるヒータ54は、交流電源55からの電力供給を受け、発熱する。ヒータ部であるヒータ54は、主として基板54aの上に形成された発熱体54b1、54b2、接点54d1、54d3、54d4、保護ガラス層54eを有している。発熱体54b1、54b2は、交流電源55からの電力供給により発熱する抵抗体である。保護ガラス層54eは、交流電源55と略同電位の発熱体54b1、54b2から、ユーザを絶縁するために設けられている。第1の発熱体である発熱体54b1は、定着装置50に通紙可能な最大紙幅の用紙Pにトナーを定着する際に、主として用いられる発熱体である。そのため、発熱体54b1の長手方向の長さは、LTR(レター)サイズの用紙幅215.9mmより数mm程度、長く設定されている。また、第2の発熱体である発熱体54b2は、主として発熱体54b1より幅の狭い用紙Pを加熱することを目的としたヒータであり、発熱体54b2の長手方向の長さは、A4サイズの用紙幅210mmより数mm程度、長く設定されている。定着装置50は、起動時には定着装置50を冷めた状態から所定の温度まで立ち上げるために、主に発熱体54b1を発熱させる。そして、定着装置50は、所定の温度まで立ち上がった定常状態になると、使用する用紙Pの紙幅に応じて、使用する発熱体を、発熱体54b1、又は発熱体54b2に切り換える。なお、発熱体54b1の定格電力は、発熱体54b2の定格電力より大きくなるように設定されているものとする。
発熱体54b1は、長手方向(図4(a)において上下方向)の長さが略同じ長さの一対の発熱体である。一方、発熱体54b2も、長手方向の長さが略同じ長さの一対の発熱体であるが、長手方向の長さは、発熱体54b1の方が、発熱体54b2よりも長い。また、基板54aの短手方向(図4(a)において左側から右側方向)に、発熱体54b1、発熱体54b2、発熱体54b2、発熱体54b1の順に配置されている。
図4(b)は、図4(a)に示すP-P’線で、定着装置50のヒータ54を切断した断面を示す断面図である。基板54aの発熱体54b1、54b2が設置された面とは反対側の面には、通紙可能な最小用紙幅の用紙Pが通過する範囲に、過昇温検知部である温度ヒューズ107が設置されている。一方、図4(c)は、図4(a)に示すQ-Q’線で、定着装置50のヒータ54を切断した断面を示す断面図である。基板54aの発熱体54b1、54b2が設置された面とは反対側の面には、通紙可能な最小用紙幅の用紙Pが通過する範囲に、温度検知手段である定着温度センサ59が設置されている。なお、本実施例では、定着温度センサ59は、サーミスタを用いている。図4(b)、(c)に示すように、温度ヒューズ107及び定着温度センサ59は、基板54aに接触して設置され、基板54aを介して発熱体54b1、54b2の温度を検知する。温度ヒューズ107は、交流電源55とヒータ54とを電気的に接続する。温度ヒューズ107は、所定の温度を超えると、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となる。これにより、交流電源55からヒータ54への電力供給路を切断して電力供給を遮断することで、定着装置50の安全が確保される。定着温度センサ59は、一端を3.3Vの直流電圧Vcc1に接続され、他端を抵抗202に接続されている。そして、直流電圧Vcc1を、定着温度センサ59と抵抗202によって分圧された電圧V_THがCPU94に入力される。
発熱体54b1、54b2が接続される接点54d1、発熱体54b2が接続される接点54d3、発熱体54b1が接続される接点54d4は、図4(a)に示す定着装置50を制御する回路に接続されている。接点54d3は、c接点構造のリレー57aの接点57a3に接続され、接点54d4は接点57a4に接続されている。発熱体切替え器57であるリレー57aは、C接点構造のリレーであり、コイル部57a2、及び接点57a1、57a3、57a4を有している。コイル部57a2は、一方の端子が24Vの直流電圧Vcc2に接続され、もう一方の端子はトランジスタ204のコレクタ端子に接続されている。CPU94がハイ(High)レベルのDrive2信号を出力した場合には、ダイオード206が導通状態となり、抵抗205を介してトランジスタ204のベース端子にベース電流が流れる。これにより、トランジスタ204のコレクタ端子-エミッタ端子間電圧が0.2~0.3V程度の飽和電圧となって、トランジスタ204がオンする。トランジスタ204がオンするとコレクタ電流が流れることにより、コイル部57a2両端に電位差が生じ、コイル部57a2に電流が流れ、コイル部57a2に発生する磁力により、接点57a1は接点57a3と接続される。以下、この状態をリレー57aのオン状態という。
一方、CPU94がロー(Low)レベルのDrive2信号を出力した場合には、ダイオード206が非導通状態で、トランジスタ204のベース端子にはベース電流が流れない。そのため、トランジスタ204はオンせず、コイル部57a2の両端に電位差は生じない。その結果、コイル部57a2に電流が流れず磁力が発生しないため、接点57a1は接点57a4と接続される。以下、この状態をリレー57aのオフ状態という。すなわち、c接点構造のリレー57aの動作により、リレー57aがオン状態では接点57a1が接点57a3と接続されて、交流電源55から接点54d3と接点54d1を介して、発熱体54b2に電力供給が行われる。一方、リレー57aがオフ状態では接点57a1が接点57a4と接続されて、交流電源55が接点54d4と接点54d1を介して、発熱体54b1に電力供給が行われる。
CPU94は、入力された定着温度センサ59の電圧V_THによる温度情報に基づいて、定着温度センサ59が予め定められた目標温度になるように、供給制御部であるトライアック56aを制御する。具体的には、CPU94がハイレベルのDrive1信号を出力すると、電流制限抵抗226を介して、トランジスタ225のベース端子にベース電流が流れ、これによりトランジスタ225がオンし、コレクタ電流が流れる。トランジスタ225のコレクタ電流が流れると、フォトトライアックカプラ221の発光ダイオードが導通状態となり、抵抗224を介して電流が流れて発光ダイオードが発光し、フォトトライアックカプラ221の受光部が導通状態となる。フォトトライアックカプラ221の受光側が導通状態になると、電流制限抵抗222を介してトライアック56aのT1端子-G端子間にゲートトリガ電流が流れ、トライアック56aのT1端子-T2端子間が導通状態となる。
一方、CPU94がローレベルのDrive1信号を出力すると、トランジスタ225のベース端子にベース電流が流れず、トランジスタ225はオンしない。その結果、フォトトライアックカプラ221の発光ダイオードは発光せず、フォトトライアックカプラ221の受光部が非導通状態となる。そして、トライアック56aのゲートトリガ電流は流れず、トライアック56aのT1端子-T2端子間が非導通状態となる。CPU94は、用紙Pの紙幅情報に基づいて、リレー57aを制御して、電力供給される発熱体を切り換える。そして、CPU94は、定着温度センサ59が検知した温度情報に基づいてトライアック56aを制御し、定着装置50の温度制御を行う。
[温度ヒューズ]
しかしながら、例えばトライアック56aのT1端子-T2端子間のショート等の故障が生じた場合には、交流電源55からヒータ54への電力供給を制御できなくなる。これにより、ヒータ54の温度は目標温度に制御することができなくなり、熱暴走状態に陥ることになる。このような場合にも、定着装置50が著しく破損等したりしないよう、定着装置50には、過昇温検知部が備えられており、本実施例では、温度ヒューズ107が過昇温検知部となる。遮断手段でもある温度ヒューズ107は、例えば205℃程度より高い温度になると内部のペレットが溶融し、所定量のペレットが溶融すると温度ヒューズ107内部の接点が短絡状態から開放状態になる。これにより、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断され、上述した熱暴走状態が解消される。
[異常検知部と経路切替え部]
ところで、基板54aから温度ヒューズ107に熱が伝わる過程において、温度ヒューズ107の熱容量により、温度ヒューズ107内のペレットに温度が伝わるまでには、相応の時間を要する。加えて、ペレットが溶融を開始してから所定量が溶融するまでにも、相応の時間を要する。すなわち、熱暴走によりヒータ54が過昇温しても、直ぐに温度ヒューズ107が動作し、接点が開放状態となるわけではない。このようなタイムラグがあっても、確実に定着装置50の安全が確保されるように、本実施例の定着装置50は、異常検知手段である(異常検知部でもある)オペアンプ207、及び経路切替え部であるリレー57aを備えている。オペアンプ207は、非反転入力端子(+)には定着温度センサ59の検知温度を示す電圧V_THが入力され、反転入力端子(-)には基準電圧生成部208で生成された基準電圧が入力される。定着温度センサ59は、温度が高いほど抵抗値が低くなるNTC特性を有しているため、定着温度センサ59が検知する温度が高いほど、非反転入力端子(+)に入力される電圧V_THは高くなる。本実施例では、定着温度センサ59の検知温度が180℃の場合に電圧V_THが2.5Vになるよう、抵抗202の抵抗値が選定されている。また、基準電圧生成部208は、基準電圧として直流電圧2.5Vを生成している。オペアンプ207の直流電圧Vcc2の電圧は、直流hVである。定着温度センサ59の温度が180℃より低い場合、すなわち電圧V_THが2.5Vより低い場合には、オペアンプ207の出力はGND電位と略等しい0Vとなる。この場合、ダイオード209は非導通状態であり、したがって、トランジスタ204はDrive2信号のみによって制御されることになる。一方、定着温度センサ59の温度が180℃以上の場合、すなわち電圧V_THが2.5V以上の場合には、オペアンプ207の出力は直流電圧Vcc2と略等しい24Vとなる。この場合、ダイオード209は導通状態となり、抵抗210を介してトランジスタ204のベース端子にベース電流が流れ、リレー57aはオン状態となる。なお、ダイオード206により、オペアンプ207の出力が略24Vを出力している際には、Drive2信号がハイレベル、又はローレベルに関係なく、トランジスタ204のベース端子にはベース電流が供給され続ける。そのため、定着温度センサ59の検知温度が180℃以上(所定の温度以上)という定着装置50にとって異常な温度になった場合には、経路切り換え部であるリレー57aの接点57a1は接点54a3側に接続される。
[定着装置の異常時の温度プロファイル]
図5は、定着装置50が熱暴走状態となり、異常検知部や過昇温検知部により交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断されるまでの、時間経過に伴う定着温度センサ59の温度特性(温度プロファイル)を示す図である。
図5(a)は、上述した異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図5(a)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t0~t4は、時間(タイミング)を示す。
図5(a)において、時間0~時間t0までは、定着装置50の冷却状態のヒータ54に交流電源55から電力供給が行われ、室温の30℃から目標温度である160℃まで、定着温度センサ59の検知温度が上昇する様子を示している。次に、時間t0~時間t1間は、発熱体54b1への電力供給制御を行いながら、定着温度センサ59の温度が160℃に制御されている様子を示している。時間t1は、トライアック56aのT1端子-T2端子間のショート等の故障が生じ、ヒータ54の熱暴走が始まったタイミングである。ヒータ54の熱暴走が始まると、定着温度センサ59の温度が急激に上昇する。時間t2に、定着温度センサ59の検知温度が180℃に達すると、前述したように、異常検知部であるオペアンプ207が定着温度センサ59の検知温度の異常を検知すると、リレー57aがオン状態となる。そして、交流電源55からの電力供給先が、発熱体54b1から発熱体54b2に切り替わる。前述したように、発熱体54b2は、発熱体54b1に比べて定格電力が低いので、熱暴走時の温度上昇が緩やかになる。時間t3は、温度ヒューズ107のペレットが溶融を開始したタイミングである。時間t3から期間td_1が経過した後(所定の時間以上続いた後)の時間t4になると、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。その結果、ヒータ54の温度は緩やかに低下し、定着装置50の安全が確保される。
図5(b)は、図5(a)との比較のために、本実施例の異常検知部と経路切替え部を備えていない定着装置の、定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図5(b)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t0~t2、t5、t6は、時間(タイミング)を示す。
図5(b)において、時間0~時間t2までは、定着温度センサ59の温度プロファイルは、図5(a)と同様の変化をする。定着温度センサ59の検知温度が180℃に達する時間t2において、定着装置が異常検知部と経路切替え部を備えていないため、温度上昇の傾きは緩やかにならない。そのため、図5(a)の時間t3よりも早い時間t5で、定着温度センサ59は205℃に到達し、温度ヒューズ107のペレットが溶融し始める。そして、時間t5から期間td_2秒が経過した時間t6になると、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。なお、温度ヒューズ107の熱容量は、時間t3から時間t4までの温度変化(図5(a)の場合)、時間t5から時間t6までの温度変化(図5(b)の場合)に対して十分大きいため、期間td_1と期間td_2は、略同じ時間幅である。時間t6に、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となり、ヒータ54への電力供給が遮断された後は、ヒータ54の温度は緩やかに低下し、定着装置50の安全が確保される。図5(b)の場合、時間t6では、定着温度センサ59の温度は260℃に達している。一方、図5(a)の場合、時間t4では定着温度センサ59の温度は220℃である。すなわち、異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の方が、異常検知部と経路切替え部を備えていない場合に比べて、ヒータ54の温度上昇を40℃(=260℃-220℃)低く抑えられ、定着装置50へのダメージを低減することができる。
以上説明したように、異常検知や経路切替えを行うために、定着温度センサ59やリレー57aを用いることにより、コスト増加や装置の大型化を最小限に抑えることができる。更に、異常検知した際に、定格電力が低い発熱体に電力供給先を切り換えることで、ヒータの温度上昇を緩やかにし、過昇温時の定着装置50へのダメージを最小限にすることができる。なお、異常検知部にラッチ機能やヒステリシス機能を設け、一度、異常検知温度を上回った後に、再度、定着温度センサ59の温度が180℃未満を検知しても異常検知が解除されないようにしてもよい。また、温度ヒューズ107の代わりにサーモスイッチを用いたり、定着温度センサ59に用いたサーミスタの代わりにサーモパイルを用いたりするなど、本実施例の構成部品と同等の機能を有する部品を用いても本実施例の効果が変わるわけではない。
以上説明したように、本実施例によれば、コストアップや装置の大型化を抑制しつつ、定着装置の異常時にヒータの急激な温度上昇を抑制することができる。
実施例1では、一対の発熱体を2種類有するヒータの実施例について説明した。実施例2では、3種類の発熱体を有するヒータの実施例について説明する。
[定着装置の回路構成]
図6は、定着装置50の回路構成を示す全体概略図である。ヒータ54は、発熱体54b1と発熱体54b3と発熱体54b4を備えている。第1の発熱体である発熱体54b1は、実施例1で用いた発熱体と同様の一対のメイン発熱体であり、ここでの説明を省略する。発熱体54b3と発熱体54b4はともにサブ発熱体で、メイン発熱体54b1の機能を補助する発熱体である。第2の発熱体である発熱体54b3は、B5程度の用紙幅の用紙Pを定着するために適した発熱体である。一方、第3の発熱体である発熱体54b4は、A5程度の用紙幅の用紙Pを定着するために適した発熱体であり、主としてA5より紙幅の狭い用紙Pを加熱する際に使用される。実施例1と同様に、定着装置50は、起動時には定着装置50を冷めた状態から所定の温度まで立ち上げるために、主に発熱体54b1を発熱させる。そして、所定の温度まで立ち上がった定常状態になると、使用する用紙Pの紙幅に応じて、使用する発熱体を、発熱体54b1、発熱体54b3、又は発熱体54b4に切り換える。なお、発熱体54b1の定格電力は、発熱体54b3、54b4の定格電力より大きくなるように設定されているものとする。
発熱体54b1は、長手方向(図6において上下方向)の長さが略同じ長さの一対の発熱体である。発熱体54b1、54b3、54b4の長手方向の長さは、発熱体54b1が最も長く、次に発熱体54b3が長く、発熱体54b4が最も短い。また、基板54aの短手方向(図6において左側から右側方向)に、発熱体54b1、発熱体54b4、発熱体54b3、発熱体54b1の順に配置されている。
発熱体54b1、54b3が接続される接点54d1、発熱体54b4が接続される接点54d2、発熱体54b3が接続される接点54d3、発熱体54b1、54b4が接続される接点54d4は、図6に示す定着装置50を制御する回路に接続されている。第1の接点である接点54d1は、c接点構造のリレー57bの接点57b3に接続され、第2の接点である接点54d2は、リレー57bの接点57b4に接続されている。一方、第3の接点である接点54d3は、c接点構造のリレー57aの接点57a3に接続され、第4の接点である接点54d4は、リレー57aの接点57a4に接続されている。
CPU94から出力されるDrive2信号により制御される、第1のリレーであるリレー57aの動作は、実施例1と同様であり、ここでの説明を省略する。第2のリレーであるリレー57bは、リレー57aと同様のc接点構造のリレーであり、コイル部57b2と接点57b1、57b3、57b4を有している。なお、リレー57a、57bは、発熱体切り替え器57である。コイル部57b2は、一方の端子が24Vの直流電圧Vcc2に接続され、もう一方の端子はトランジスタ301のコレクタ端子に接続されている。CPU94から出力されるDrive3信号がローレベルのときには、ダイオード303が非導通状態となり、トランジスタ301のベース端子に電流は流れず、トランジスタ301はオフ状態となる。そのため、コイル部57b2には電流が流れないため、リレー57bの接点57b1は接点57b3と接続される。以下、この状態をリレー57bのオフ状態という。一方、CPU94から出力されるDrive3信号がハイレベルのときには、ダイオード303が導通状態となり、電流制限抵抗302を介してトランジスタ301のベース端子にベース電流が流れる。これによりトランジスタ301のコレクタ-エミッタ間電圧が0.2~0.3V程度の飽和電圧となり、トランジスタ301がオンする。トランジスタ301がオンすると、コレクタ電流が流れ、コイル部57b2両端に電位差が生じ、コイル部57b2に電流が流れる。コイル部57b2に電流が流れると、コイル部57b2に発生する磁力により、接点57b1は接点57b4と接続される。以下、この状態をリレー57bのオン状態という。定着装置50の初期設定では、CPU94から出力されるDrive2信号、Drive3信号はともにローレベル設定となり、交流電源55から発熱体54b1への電力供給経路が選択された状態となる。
このように、CPU94は、用紙Pの紙幅情報に基づいて用紙幅に応じて適切な発熱体を選択し、選択された発熱体に交流電源55からの電力供給が行われるように、リレー57a、リレー57bを制御し、接続する接点を切り替える。なお、定着温度センサ59、及び定着温度センサ59の温度情報に基づいて行われるCPU94のトライアック56aの制御は、実施例1と同様であり、ここでの説明は省略する。
[電力検知部]
電力検知部400は、電圧検知部401、電流検知部402、及び電力実効値演算部403を有している。電圧検知部401は、交流電源55からヒータ54に入力される交流電圧値を検知する。電流検知部402は、交流電源55からヒータ54へ供給される電流値を検知する。電圧検知部401で検知された電圧値と、電流検知部402で検知された電流値は、電力実効値演算部403に出力される。電力値演算部である電力実効値演算部403は、電圧検知部401及び電流検知部402で検知された電圧値と電流値から電力実効値を算出し、算出した電力実効値をrms信号として、CPU94に送信する。CPU94は、定着装置50を起動する場合には、定着温度センサ59の温度情報ではなく、rms信号に基づいて、ヒータ54への供給電力が一定値になるように、トライアック56aを制御する。交流電源55の出力電圧が、装置の設置環境等により様々な場合(例えば、100V~240V等)においても、このような電力制御を行うことで、オーバーシュートやアンダーシュートの少ない、良好な定着装置50の起動特性を実現することができる。
[サーモスイッチ]
定着装置50において、例えばCPU94が故障し、トライアック56aが制御されない状況になった場合には、ヒータ54は所定の温度に制御することができなくなる。特にCPU94が、ヒータ54の温度を実際よりも低く検知するように故障した場合には、ヒータ54は過昇温状態になる。このような場合にも、定着装置50が著しく破損等したりしないよう、定着装置50には過昇温検知部が備えられており、本実施例ではサーモスイッチ227が過昇温検知部となる。遮断手段でもあるサーモスイッチ227は、270℃以上で動作する。サーモスイッチ227は、270℃未満の温度ではショート状態となり、電流検知部402とリレー57bの接点57b1とを接続し、交流電源55からヒータ54への電力供給路を形成する。一方、サーモスイッチ227は、270℃以上の温度でオープン状態となり、電流検知部402とリレー57bの接点57b1との接続が切断され、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。
[異常検知部と経路切替え部]
本実施例の定着装置50は、過昇温検知部であるサーモスイッチ227に加えて、異常検知部であるオペアンプ207と経路切替え部であるリレー57a、リレー57bを備えている。オペアンプ207の非反転入力端子(+)には、実施例1では定着温度センサ59の検知温度を示す電圧V_THが入力されていたが、本実施例では、電力検知部400の電力実効値演算部403の出力であるrms信号が入力される点が異なる。オペアンプ207のその他の構成については、実施例1と同様であり、ここでの説明を省略する。定着装置50に供給される電力が想定より大きい場合には、オペアンプ207の非反転入力端子(+)に入力されるrms信号の電圧が基準電圧生成部208の基準電圧より高くなる。その結果、オペアンプ207は、ハイレベルの異常検知信号を出力する。
オペアンプ207が、ハイレベルの異常検知信号を出力すると、ダイオード209が導通状態となり、抵抗210を介して、トランジスタ204のベース端子にベース電流が流れる。その結果、トランジスタ204がオンし、コイル部57a2に電流が流れ、リレー57aがオン状態となる。更に、オペアンプ207が、ハイレベルの異常検知信号を出力すると、ダイオード305が導通状態となり、抵抗304を介して、トランジスタ301のベース端子にベース電流が流れる。その結果、トランジスタ301がオンし、コイル部57b2に電流が流れ、リレー57bがオン状態となる。その結果、リレー57aの接点57a1は接点57a3と接続され、リレー57bの接点57b1は接点57b4と接続される。その結果、交流電源55は、発熱体54b4、発熱体54b1、発熱体54b3の3つの発熱体を直列に接続した抵抗体に接続され、電力供給を行うことになる。
[定着装置の異常時の温度プロファイル]
図7は、前述したようにCPU94が故障した場合の、異常検知部や過昇温検知部により交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断されるまでの、時間経過に伴う定着温度センサ59の温度特性(温度プロファイル)を示す図である。図7(a)は、上述した異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図7(a)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t7~t10は、時間(タイミング)を示す。
図7(a)の時間t7は、定着装置50の冷却状態のヒータ54に交流電源55から電力供給が開始されたタイミングである。図7では、時間t7の時点で、既にCPU94には、ヒータ54の温度を実際より低く検知してしまう故障が生じており、定着装置50は電力供給開始と同時に熱暴走状態になっているものとする。時間t7と時間t8との期間時間td_3の間に、電力検知部400の電力実効値演算部403が出力するrms信号に基づいて、異常検知部であるオペアンプ207は異常な電力を検知する。例えば、定着装置50の定格電力が1000Wあれば、異常と判断する電力は1200Wと設定されているものとする。オペアンプ207がrms信号に基づいて1200W以上(所定の電力値以上)の電力が供給されていることを検知すると、オペアンプ207は、ハイレベルの異常検知信号を出力する。その結果、上述した経路切替え部であるリレー57a、57bの動作により、時間t8で、リレー57a、リレー57bがオン状態に設定される。これにより、時間t8以降は、交流電源55からの電力は、発熱体54b1、54b3、54b4の3つの発熱体が直列に接続されて形成された抵抗体へ供給されるように接点が切り替わり、直列接続された抵抗体の熱暴走状態が継続する。時間t9は、過昇温検知部であるサーモスイッチ227が反応し始めたタイミングである。直列接続された抵抗体で形成されたヒータ54の温度がサーモスイッチ227の動作温度である270℃に到達すると、サーモスイッチ227が反応し始める。時間t9から期間td_4秒が経過した後に、サーモスイッチ227の感熱部に十分に熱が加わり、サーモスイッチ227内部の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。
図7(b)は、図7(a)との比較のために、本実施例の異常検知部と経路切替え部を備えていない定着装置の、定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図7(b)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t7、t8、t11、t12は、時間(タイミング)を示す。
図7(b)において、時間t7~時間t8までは、定着温度センサ59の温度プロファイルは、図7(a)と同様の変化をする。定着温度センサ59の検知温度が150℃に達する時間t8において、定着装置が異常検知部と経路切替え部を備えていないため、温度上昇の傾きは緩やかにならない。そのため、図7(a)の時間t9よりも早い時間t11で、定着温度センサ59は270℃に到達し、サーモスイッチ227が動作し始める。そして、時間t11から期間td_5秒が経過した後の時間t12に、サーモスイッチ227内部の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。なお、時間t12での定着温度センサ59の検知温度は370℃である。サーモスイッチ227の感熱部の熱容量は、時間t9から時間t10の温度変化(図7(a)の場合)、又は時間t11から時間t12の温度変化(図7(b)の場合)に対して十分大きいため、期間td_4と期間td_5は、略同じ時間幅である。時間t12に、サーモスイッチ227内部の接点が開放状態となった後は、ヒータ54への電力供給が遮断されるため、ヒータ54の温度は緩やかに低下し、定着装置50の安全が確保される。
図7(b)の場合、時間t12で、定着温度センサ59の温度は370℃に達している。一方、図7(a)の場合、時間t10で定着温度センサ59の温度は280℃である。すなわち、異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の方が、異常検知部と経路切替え部を備えていない場合に比べて、ヒータ54の温度上昇を90℃(=370℃-280℃)低く抑えられ、定着装置50へのダメージを低減することができる。
以上説明したように、本実施例では、異常検知や経路切替えを行うため、オペアンプ207、電力検知部400、リレー57a、57bを用いている。そして、定着装置50に供給される電力が想定より大きい場合には、電力を供給する発熱体の接続を切り替えることにより、ヒータ54の過昇温の温度上昇を緩やかにしている。また、定着温度センサ59の温度とは別のパラメータである電力の異常を検知する異常検知部を備えることにより、定着温度センサ59の目標温度より低い温度で経路切替え部を動作させる。これにより、コスト増加や装置の大型化を抑制しつつ、過昇温時の定着装置50へのダメージを最小限に抑制することができる。サーモスイッチ227の代わりに温度ヒューズ107を用いたり、定着温度センサ59に用いたサーミスタの代わりにサーモパイルを用いたりするなど、本実施例の構成部品と同等の機能を有する部品を用いても本実施例の効果が変わるわけではない。
以上説明したように、本実施例によれば、コストアップや装置の大型化を抑制しつつ、定着装置の異常時にヒータの急激な温度上昇を抑制することができる。
実施例3では、ヒータの熱暴走状態においてヒータを有する基板の破損を防ぐため、異常検知部や経路切替え部を用いて、熱暴走時に電力を供給する発熱体を切り替える構成について説明する。
[定着装置の回路構成]
図8は、定着装置50の回路構成を示す全体概略図である。ヒータ54は、第1の発熱体である発熱体54b5と、第2の発熱体である発熱体54b6を有する。発熱体54b5、54b6の発熱時にヒータ54の基板54aに加わる熱応力が高くなると、セラミック製の基板54aは破損することがある。基板54aが破損すると、定着装置50も著しく破損してしまうことになる。ヒータ54の基板54aに加わる熱応力は、発熱体54b5と発熱体54b6と発熱体がない部分との温度差によって生じる。本実施例のヒータ54は、発熱体54b5が発熱する場合の方が、発熱体54b6が発熱する場合に比べて、図中X軸方向(ヒータ54の短手方向)の温度分布の均一性が高い。そのため、ヒータ54の基板54aに加わる熱応力が小さくなり、基板54aは破損しにくくなる。そこで、本実施例では、発熱体54b6が熱暴走状態となった場合には、交流電源55からヒータ54への電力供給経路を切り替えて、発熱体54b5にも電力供給を行う。これにより、X軸方向の温度分布の均一性を高めて、基板54aに加わる熱応力を下げることで、過昇温時にヒータ54の基板54aが破損しにくくなる制御を行う。
発熱体54b5は、ヒータ54の長手方向において、中央部の抵抗値が高く、端部に行くほど徐々に抵抗値が低くなる特性を有する、テーパー形状の発熱体である。一方、発熱体54b6は、ヒータ54の長手方向において、中央部の抵抗値が低く、端部に行くほど徐々に抵抗値が高くなる特性を有する、テーパー形状の発熱体である。また、発熱体54b5及び発熱体54b6は、温度によって抵抗値が変化せず、抵抗値が一定となる特性を有する発熱体である。そのため、ヒータ54は、発熱体54b5と発熱体54b6を交互に発熱させたり、同時に発熱させたりすることにより、図中Y軸方向(ヒータ54の長手方向)の発熱が均等になるように設計されたヒータである。
図8に示すように、図中X軸方向(ヒータ54の短手方向)において、一対の発熱体54b5は、発熱体54b6を挟むように配置されている。一対の発熱体54b5は、図中Y軸方向の長さが略同じ長さであり、発熱体54b6の図中Y軸方向の長さも略同じ長さである。一対の発熱体54b5の一端及び発熱体54b6の一端が接続される接点54d2、発熱体54b6の他端が接続される接点54d3、一対の発熱体54b5の他端が接続される接点54d4は、図8に示す定着装置50を制御する回路に接続されている。接点54d2は、過昇温検知部であるサーモスイッチ227を介して電流検知部402に接続されている。電流検知部402は、交流電源55に接続されている。
接点54d3は、トライアック56bに接続されている。第2のスイッチであるトライアック56bは、CPU94から出力されるDrive2信号により導通、非導通が制御される。具体的には、CPU94がハイレベルのDrive2信号を出力すると、ダイオード241が導通状態となり、抵抗236を介して、トランジスタ235のベース端子にベース電流が流れ、これによりトランジスタ235がオンする。トランジスタ235がオンすると、フォトトライアックカプラ231の発光ダイオードが導通状態となって、抵抗234を介して電流が流れ、発光ダイオードが発光し、フォトトライアックカプラ231の受光部が導通状態となる。フォトトライアックカプラ231の受光側が導通状態になると、電流制限抵抗232を介してトライアック56bのT1端子-G端子間にゲートトリガ電流が流れ、トライアック56bのT1端子-T2端子間が導通状態となる。一方、CPU94がローレベルのDrive2信号を出力すると、ダイオード241が非導通状態となり、トランジスタ235のベース端子にベース電流が流れず、トランジスタ235はオンしない。その結果、フォトトライアックカプラ231の発光ダイオードは発光せず、フォトトライアックカプラ231の受光部も非導通状態となる。そして、トライアック56bのゲートトリガ電流は流れず、トライアック56bのT1端子-T2端子間が非導通となる。
接点54d4は、第1のスイッチであるトライアック56aに接続され、トライアック56aはCPU94から出力されるDrive1信号によりトライアック56aの導通、非導通が制御される。トライアック56aを駆動する回路構成は、抵抗226とCPU94との間にダイオード242が追加されている点を除けば、実施例1、2と同様の回路構成であり、ここでの説明を省略する。このように、CPU94は、定着温度センサ59の検知温度が目標温度になるように、トライアック56a、56bを制御する。
[電力検知部]
図8に示すように、電力検知部400は、電流検知部402、記憶部404、電力実効値演算部403から構成される。記憶部404は、EEPROMであり、予め所定の室温(約30℃)で測定された発熱体54b6の抵抗値、及び発熱体54b5の抵抗値が格納されている。電流検知部402は、実施例2と同様であり、ここでの説明は省略する。なお、本実施例の電流検知部402は、検知した電流値をCPU94に出力する。電力実効値演算部403は、記憶部に格納された抵抗値と、電流検知部402で検知した電流値と、に基づいて、電力実効値を演算し、演算した電力実効値をrms信号として、CPU94内の積算電力演算部501に出力する。CPU94内部に設けられた積算電力演算部501は、電力実効値演算部403からrms信号で出力された電力実効値と、ヒータ54への電力供給時間と、から、ヒータ54へ供給された積算電力値W_integを算出する。なお、CPU94は、ヒータ54への電力供給時間を計測するために、タイマを有しているものとする。CPU94は、電流検知部402が検知した電流値に基づいて、検知した電流値が予め定められた電流値である15A以上の場合には、次のような制御を行う。すなわち、CPU94は、Drive1信号、Drive2信号によりトライアック56a、56bを制御して、交流電源55からヒータ54への電力供給を遮断する。このように、CPU94は、交流電源55からヒータ54に流れる電流値が15A未満となるように、トライアック56a、56bを制御する。本実施例では、過昇温検知部は、実施例2と同様にサーモスイッチ227を用いている。サーモスイッチ227の動作は実施例2と同様であり、ここでの説明は省略する。
[異常検知部と経路切替え部]
本実施例の定着装置50は、過昇温検知部であるサーモスイッチ227に加えて、異常検知部であるオペアンプ237と、発熱体への電力供給経路を切り替える切替え部であるトライアック56a、56bを備えている。オペアンプ237の非反転入力端子(+)には、積算電力演算部501からヒータ54へ供給された積算電力値W_integが入力される。一方、オペアンプ237の反転入力端子(-)には基準電圧生成部238で生成された基準電圧が入力される。基準電圧生成部238は、基準電圧として直流電圧2.5Vを生成している。オペアンプ237の直流電圧Vcc2の電圧は、直流電圧24Vである。積算電力値W_integの電圧値が基準電圧生成部238の基準電圧より高い場合には、オペアンプ237はハイレベルの信号を出力する。オペアンプ237がハイレベルの信号を出力することにより、ダイオード239が導通状態となり、抵抗240を介してトランジスタ225のベース端子にベース電流が流れる。その結果、Drive1信号がハイレベル、ローレベルの状態に関係なく、トライアック56aのT1端子-T2端子間を導通状態に設定することができる。例えば、定着装置50の定格電力を1000Wとすると、800Wは異常な電力ではない。しかしながら、800Wが7秒間連続してヒータ54に供給されることは正常な動作としては有り得ない場合には、800W×7秒以上の状態は異常な状態と定義することができる。すなわち、基準電圧生成部238が生成する基準電圧を「800W×7秒」に相当する積算電力値W_integに対応する電圧値に設定する。これにより、「800W×7秒」以上の異常な積算電力がヒータ54に供給された場合には、積算電力値W_integに対応する電圧値が基準電圧生成部238の基準電圧よりも高くなり、オペアンプ237はハイレベルの信号を出力する。そして、オペアンプ237がハイレベルの信号を出力することにより、上述したように、トライアック56aのT1端子-T2端子間が導通状態となり、発熱体54b5に電力供給が行われる。
[定着装置の異常時の温度プロファイル]
ここで、例えばトライアック56bが故障し、トライアック56bが常時導通状態となる故障によりヒータ54が過昇温するような状況を想定する。図9は、トライアック56bが故障してヒータ54が過昇温状態となった場合の、異常検知部や過昇温検知部により交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断されるまでの、定着温度センサ59の温度特性、熱応力の特性を示す図である。
図9(a)は、上述した異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図9(a)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t14~t18は、時間(タイミング)を示す。
図9(a)において、時間0~時間t14までは、定着装置50の冷却状態のヒータ54に交流電源55から電力供給が行われ、室温の30℃から目標温度である200℃まで、定着温度センサ59の検知温度が上昇する様子を示している。次に、時間t14~時間t15の間は、発熱体54b5、発熱体54b6への電力供給が正常に制御され、定着温度センサ59の温度が200℃に制御されている様子を示している。時間t15は、トライアック56bが故障し、トライアック56bが常時導通状態となるタイミングである。時間t15~時間t16の間は、交流電源55から発熱体54b6に常時、電力が供給され、発熱体54b6が熱暴走した状態となっている。時間t15から時間t16の間で、CPU94の積算電力演算部501は、時間t15から時間t16の間の期間td_6において発熱体54b6へ供給された電力を含む、ヒータ54へ供給された積算電力値W_integを出力する。異常検知部であるオペアンプ237は、積算電力演算部501から出力された積算電力値W_integに基づいて、異常な積算電力がヒータ54に電力供給されたと判断すると、ハイレベルの信号を出力する。これにより、時間t16の時点で、トライアック56aのT1端子-T2端子間を常時導通状態に設定される。その結果、時間t16~時間t17の期間では、発熱体54b5と発熱体54b6がともに交流電源55から電力を供給され、発熱状態となる。そのため、時間t17で、定着温度センサ59により検知されたヒータ54の温度が270℃に達すると、過昇温防止手段であるサーモスイッチ227が動作し始める。そして、時間t18で、サーモスイッチ227の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。
図9(b)は、上述した異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の基板54aに加わる熱応力のプロファイルを示した図である。図9(b)において、横軸は時間[単位:sec(秒)]を示し、縦軸は基板54aの長手辺における熱応力の最大値[単位:MPa]を示している。図9(a)では、時間t16~時間t17の期間における定着温度センサ59の検知温度は、時間t15~時間t16の期間の検知温度に比べて、検知温度の温度上昇は大きくなっている。一方、図9(b)では、時間t16~時間t18の期間の熱応力は、時間t15~時間t16の期間の熱応力に比べて、熱応力の上昇が緩やかになっている。これは、本実施例の図8に示す基板54a上の発熱体54b5、54b6の配置位置に依るものである。すなわち、ヒータ54(ヒータ54の基板54a)が破損しにくいように熱応力を低減させるために、本実施例では発熱体54b5にも強制的に電力供給を行い、ヒータ54の温度上昇が大きくなったとしても、発熱体54b6だけが発熱する状態を回避している。このように、発熱体54b5、54b6に同時に電力供給を行い発熱させることで、X方向(図8参照)の温度分布むらを低減させ、ヒータ54に加わる熱応力を低減しヒータ54が破損しにくい状態に設定することで、定着装置50へのダメージを抑制している。
以上説明したように、本実施例では、異常を検知するために、電力検知部400や積算電力演算部501を用いることで、コスト増加や装置の大型化に抑えつつ、過昇温時の定着装置50へのダメージを最小限に抑制することができる。
[その他の実施例]
図10は、図8で説明した定着装置50の一部の構成を変更した定着装置の回路構成を示す全体概略図である。図10では、電力検知部400が、電圧検知部401、発熱体54b5、54b6の抵抗値を記憶した記憶部404、電力実効値演算部403を有している点が、図8に示す定着装置50の回路構成とは異なる点である。その他の構成については、図8に示す回路構成と同様であり、ここでの説明を省略する。前述した図8の定着装置50では、電力実効値演算部403は、電流検知部402で検知した電流値と記憶部404に格納された発熱体の抵抗値とから、電力実効値を演算している。一方、図10に示す定着装置では、電力実効値演算部403は、電圧検知部401で検知された電圧値と記憶部404に格納された発熱体の抵抗値とから、電力実効値を演算する構成としているが、このような構成により電力実効値を演算してもよい。なお、上述した実施例2の電力検知部400のように、電力実効値演算部403は電圧値と電流値に基づいて、電力実効値を算出してもよい。また、実施例2の電力検知部400の構成を、実施例3の電力検知部400と同様の構成にしてもよい。サーモスイッチ227の代わりに温度ヒューズを用いたり、定着温度センサ59に用いたサーミスタの代わりにサーモパイルを用いたりするなど、本実施例の構成部品と同等の機能を有する部品を用いても本実施例の効果が変わるわけではない。
以上説明したように、本実施例によれば、コストアップや装置の大型化を抑制しつつ、定着装置の異常時にヒータの急激な温度上昇を抑制することができる。
実施例4では、実施例2と同様に3種類発熱体を有するヒータを駆動するが、実施例2とは回路構成の異なる定着装置について説明する。
[定着装置の回路構成]
図11は、本実施例の定着装置50の全体概略図を示す図である。ヒータ54は、交流電源55からの電力供給を受け、発熱する。ヒータ54は、基板54aの上に形成された発熱体54b1、54b2、54b3、接点54d1、54d2、54d3、54d4を有している。発熱体54b2は、接点54d2、54d3に接続される点が、実施例2とは異なる。また、発熱体54b2は、発熱体54b3に比べて定格電力が低い。ヒータ54のその他の構成は、実施例2と同様であり、ここでの説明を省略する。
スイッチ部であるリレー58aは、A接点構造のリレーであり、コイル部58a3、及び接点58a1、58a2を有している。コイル部58a3は、一方の端子が24Vの直流電圧Vcc4に接続され、もう一方の端子はトランジスタ245のコレクタ端子に接続されている。定着装置50の初期設定では、CPU94から出力されるDrive4信号はローレベル設定となり、これによりトランジスタ245はオフし、リレー58aはオフ状態となり、交流電源55から発熱体54への電力供給が遮断された状態となる。一方、CPU94がハイレベルのDrive4信号を出力した場合には、抵抗246を介してトランジスタ245のベース端子にベース電流が流れる。これにより、トランジスタ245のコレクタ端子-エミッタ端子間電圧が0.2~0.3V程度の飽和電圧となって、トランジスタ245がオンする。トランジスタ245がオンすると、トランジスタ245にコレクタ電流が流れることにより、コイル部58a3両端に電位差が生じ、コイル部58a3に電流が流れ、コイル部58a3に発生する磁力により、接点58a1は接点58a2と接続される。以下、この状態をリレー58aのオン状態という。
温度ヒューズ107は、一端を外部から供給される24Vである直流電圧Vcc3に接続され、他端を直流電圧Vcc4に接続される。温度ヒューズ107は、所定の温度を超えると、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となる。温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となると、外部より供給される24Vである直流電圧Vcc3と、直流電圧Vcc4への接続が切れ、直流電圧Vcc4が0Vとなる。これにより、リレー58aのコイル部58a3に直流電圧Vcc4が供給されず、リレー58aはオフ状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給路が切断されて電力供給を遮断することで、定着装置50の安全が確保される。定着温度センサ59は、実施例1と同様の構成であり、ここでの説明は省略する。
発熱体54b1の一端、及び発熱体54b3の一端が接続される接点54d1、及び発熱体54b2の一端が接続される接点54d2は、図11に示す定着装置50を制御する回路に接続されている。同様に、発熱体54b2の他端、及び発熱体54b3の他端が接続される接点54d3、及び発熱体54b1の他端が接続される接点54d4も、図11に示す定着装置50を制御する回路に接続されている。第1の接点である接点54d1は、a接点構造のリレー58aの接点58a2に接続され、第2の接点である接点54d2は、c接点構造のリレー57aの接点57a4、抵抗232、トライアック56bに接続されている。一方、第3の接点である接点54d3は、c接点構造のリレー57aの接点57a1に接続され、第4の接点である接点54d4は、トライアック56a、抵抗222に接続されている。
CPU94から出力されるDrive3信号により制御されるリレー57aの動作は、実施例1の図4のリレー57aと同様であり、ここでの説明を省略する。定着装置50の初期設定では、CPU94から出力されるDrive3信号はローレベル設定となり、これによりリレー57aの接点57a1と接点57a4が接続された状態となり、交流電源55から発熱体54b3への電力供給経路が選択された状態となる。
Drive1信号により制御されるトライアック56a、及びDrive2信号により制御されるトライアック56bの動作は、実施例1の図4及び実施例2の図6のトライアック56aと同様であり、ここでの説明は省略する。リレー58aがオン状態の時、トライアック56aを制御することにより発熱体54b1へ交流電源55より電力が供給されて、ヒータ54が加熱される。同じく、リレー58aがオン状態で、かつ、c接点リレー57aがオン状態の時、トライアック56bを制御することにより、発熱体54b2へ交流電源55より電力が供給されヒータ54が加熱される。リレー58aがオン状態で、かつ、c接点リレー57aがオフ状態の時、発熱体54b3へ、交流電源55より電力が供給され、ヒータ54が加熱される。ヒータ幅と用紙の関係は実施例1と同様であり、ここでは説明を省略する。
このように、CPU94は、用紙Pの紙幅情報に基づいて用紙幅に応じて適切な発熱体を選択し、選択された発熱体に交流電源55からの電力供給が行われるように、リレー57aを制御し、接続する接点を切り替える。また、CPU94は、トライアック56a、56bを制御する。なお、定着温度センサ59、及び定着温度センサ59の温度情報に基づいて行われるCPU94のトライアック56aの制御は、実施例1と同様であり、ここでの説明は省略する。
[温度ヒューズ]
しかしながら、例えばトライアック56bのT1端子-T2端子間のショート、かつ、トランジスタ245のコレクタエミッタ間ショート等の故障が生じた場合には、交流電源55からヒータ54への電力供給を制御できなくなる。これにより、ヒータ54の温度は目標温度に制御することができなくなり、熱暴走状態に陥ることになる。このような場合にも、定着装置50が著しく破損等したりしないよう、定着装置50には、過昇温検知部が備えられており、本実施例では、温度ヒューズ107が過昇温検知部となる。遮断手段でもある温度ヒューズ107は、例えば205℃程度より高い温度になると内部のペレットが溶融し、所定量のペレットが溶融すると温度ヒューズ107内部の接点が短絡状態から開放状態になる。これにより、リレー58aがオフ状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断され、上述した熱暴走状態が解消される。
[異常検知部と経路切替え部]
ところで、基板54aから温度ヒューズ107に熱が伝わる過程において、温度ヒューズ107の熱容量により、温度ヒューズ107内のペレットに温度が伝わるまでには、相応の時間を要する。加えて、ペレットが溶融を開始してから所定量が溶融するまでにも、相応の時間を要する。すなわち、熱暴走によりヒータ54が過昇温しても、直ぐに温度ヒューズ107が動作し、接点が開放状態となるわけではない。このようなタイムラグがあっても、確実に定着装置50の安全が確保されるように、本実施例の定着装置50は、異常検知手段である(異常検知部でもある)オペアンプ207、及び経路切替え部であるリレー57aを備えている。オペアンプ207、及びリレー57aの動作は、実施例1と同様であり、ここでの説明は省略する。
[定着装置の異常時の温度プロファイル]
図12(a)は、上述した異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図12(a)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t19~t23は、時間(タイミング)を示す。
図12(a)において、時間0~時間t19までは、定着装置50の冷却状態のヒータ54に交流電源55から発熱体54b3に電力供給が行われ、室温の30℃から目標温度である160℃まで、定着温度センサ59の検知温度が上昇する様子を示している。このとき、リレー58aはオン状態、リレー57aはオフ状態、すなわち接点57a1と接点57a4とが接続された状態に設定されている。また、トライアック56aはオフ状態(T1端子とT2端子間が開放状態)、トライアック56bはオン状態(T1端子とT2端子間が接続状態)に設定されている。
次に、時間t19~時間t20間は、発熱体54b3への電力供給制御を行いながら、定着温度センサ59の温度が160℃に制御されている様子を示している。時間t20は、トライアック56bのT1端子-T2端子間のショート、トランジスタ245のコレクタ-エミッタ間のショート等の故障が生じ、ヒータ54の熱暴走が始まったタイミングである。ヒータ54の熱暴走が始まると、定着温度センサ59の温度が急激に上昇する。時間t21に、定着温度センサ59の検知温度が180℃に達すると、前述したように、異常検知部であるオペアンプ207が定着温度センサ59の検知温度の異常を検知する。そして、定着温度センサ59の検知温度の異常を検知したオペアンプ207がハイレベルを出力することによりトランジスタ204がオンし、リレー57aがオン状態となる。そして、交流電源55からの電力供給先が、発熱体54b3から発熱体54b2に切り替わる。前述したように、発熱体54b2は、発熱体54b3に比べて定格電力が低いので、熱暴走時の温度上昇が緩やかになる。時間t22は、温度ヒューズ107のペレットが溶融を開始したタイミングである。時間t22から期間td_7が経過した後の時間t23になると、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。その結果、ヒータ54の温度は緩やかに低下し、定着装置50の安全が確保される。
図12(b)は、図12(a)との比較のために、本実施例の異常検知部と経路切替え部を備えていない定着装置の、定着温度センサ59の温度プロファイルを示した図である。図12(b)において、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、縦軸は定着温度センサ59の検知温度(単位:℃)を示す。また、t19~t21、t24、t25は、時間(タイミング)を示す。
図12(b)において、時間t19~時間t21までは、定着温度センサ59の温度プロファイルは、図12(a)と同様の変化をする。定着温度センサ59の検知温度が180℃に達する時間t21において、定着装置が異常検知部と経路切替え部を備えていないため、温度上昇の傾きは緩やかにならない。そのため、図12(a)の時間t22よりも早い時間t24で、定着温度センサ59は205℃に到達し、温度ヒューズ107のペレットが溶融し始める。そして、時間t24から期間td_8秒が経過した時間t25になると、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となり、交流電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。なお、温度ヒューズ107の熱容量は、時間t22から時間t23までの温度変化(図12(a)の場合)、時間t24から時間t25までの温度変化(図12(b)の場合)に対して十分大きいため、期間td_7と期間td_8は、略同じ時間幅である。時間t25に、温度ヒューズ107内部の接点が開放状態となり、ヒータ54への電力供給が遮断された後は、ヒータ54の温度は緩やかに低下し、定着装置50の安全が確保される。図12(b)の場合、時間t25では、定着温度センサ59の温度は260℃に達している。一方、図12(a)の場合、時間t23では定着温度センサ59の温度は220℃である。すなわち、異常検知部と経路切替え部を備える本実施例の定着装置50の方が、異常検知部と経路切替え部を備えていない場合に比べて、ヒータ54の温度上昇を40℃(=260℃-220℃)低く抑えられ、定着装置50へのダメージを低減することができる。
以上、発熱体54b3に電源55から電力供給されているときに、オペアンプ207が定着温度センサ59の検知温度の異常を検知した場合の動作について説明した。なお、発熱体54b2に電源55から電力供給されているときに、オペアンプ207が定着温度センサ59の検知温度の異常を検知した場合には、そのまま電源55から発熱体54b2への電力供給が継続される。また、発熱体54b1に電源55から電力供給されているときには、CPU94は、リレー58aをオン状態、トライアック56aをオン状態、トライアック56bをオフ状態に設定している。このとき、オペアンプ207が定着温度センサ59の検知温度の異常を検知した場合には、リレー57aはオン状態に設定される。また、CPU94にも定着温度センサ59の検知温度が入力されている。CPU94は定着温度センサ59により検知された温度が異常であると判断した場合には、トライアック56aのオン・オフ状態を制御するDrive信号1の出力をハイレベルからローレベルに切り替え、トライアック56aをオフ状態に設定する。これにより、電源55からヒータ54への電力供給が遮断される。ここでは、定着温度センサ59の検知温度の異常を検知した場合には、CPU94がトライアック56aをオフ状態に設定しているが、例えば、オペアンプ207の出力をトライアック56aを制御するトランジスタ225に出力するようにしてもよい。これにより、温度異常時には、CPU94が介在することなく、トライアック56aのオン状態からオフ状態への切替を行うことができる。
以上説明したように、異常検知や経路切替えを行うために、定着温度センサ59やリレー57aを用いることにより、コスト増加や装置の大型化を最小限に抑えることができる。更に、異常検知した際に、定格電力が低い発熱体に電力供給先を切り換えることで、ヒータの温度上昇を緩やかにし、過昇温時の定着装置50へのダメージを最小限にすることができる。なお、異常検知部にラッチ機能やヒステリシス機能を設け、一度、異常検知温度を上回った後に、再度、定着温度センサ59の温度が180℃未満を検知しても異常検知が解除されないようにしてもよい。また、温度ヒューズ107の代わりにサーモスイッチを用いたり、定着温度センサ59に用いたサーミスタの代わりにサーモパイルを用いたりするなど、本実施例の構成部品と同等の機能を有する部品を用いても本実施例の効果が変わるわけではない。
以上説明したように、本実施例によれば、コストアップや装置の大型化を抑制しつつ、定着装置の異常時にヒータの急激な温度上昇を抑制することができる。
54 ヒータ
54b1、54b2 発熱体
55 交流電源
57a リレー
107 温度ヒューズ
207 オペアンプ

Claims (28)

  1. 第1の定格電力である第1の発熱体と、前記第1の定格電力より低い第2の定格電力である第2の発熱体とを含む、少なくとも2つ以上の複数の発熱体と、前記複数の発熱体が配置される基板と、を含むヒータと、
    前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体と、電源との接続を切り替える切替え部と、
    前記ヒータの温度に応じて、前記電源と前記ヒータとの間の電力供給経路を切断し、電力供給を遮断する遮断手段と、
    前記ヒータの温度を検知する検知手段と、
    を備え、
    前記切替え部は、前記検知手段により検知された温度が所定の温度以上となった場合、前記遮断手段により前記ヒータへの電力供給が遮断される前に、前記電源と前記第2の発熱体とを接続するように切り替えることを特徴とする加熱装置。
  2. 前記遮断手段は、前記電源と前記第2の発熱体とが接続するように切り替えられた後に、前記電源と前記ヒータの間の電力供給路を切断することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記第1の発熱体は、長手方向の長さが略同じ長さの一対の発熱体であり、
    前記第2の発熱体は、長手方向の長さが前記第1の発熱体よりも短い、略同じ長さの一対の発熱体であり、
    前記基板の短手方向において、前記第1の発熱体、前記第2の発熱体、前記第2の発熱体、前記第1の発熱体の順に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱装置。
  4. 前記第1の発熱体の一端及び前記第2の発熱体の一端が電気的に接続される第1の接点と、
    前記第2の発熱体の他端が電気的に接続される第2の接点と、
    前記第1の発熱体の他端が電気的に接続される第3の接点と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
  5. 前記切替え部は、リレーを有し、
    前記リレーは、前記電源と前記第2の接点との接続、又は前記電源と前記第3の接点との接続を切替え可能であり、
    前記遮断手段は、前記電源と前記第1の接点とに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
  6. 前記検知手段は、前記ヒータの温度が前記所定の温度以上になった場合、検知信号を出力し、
    前記リレーは、前記検知信号が入力されると、前記電源と前記第2の接点とを接続し、
    前記電源は、前記第2の発熱体と接続されることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
  7. 前記電源と前記リレーとの間の電力供給経路に設けられ、前記電力供給経路の接続、又は切断を行うことにより前記ヒータへの電力供給を制御する供給制御部を備えることを特徴とする請求項6に記載の加熱装置。
  8. 前記ヒータは、更に前記第1の定格電力より低い第3の定格電力である第3の発熱体を有し、
    前記第1の発熱体は、長手方向の長さが略同じ長さの一対の発熱体であり、
    前記第2の発熱体は、前記長手方向の長さが前記第1の発熱体よりも短い発熱体であり、
    前記第3の発熱体は、前記長手方向の長さが前記第2の発熱体よりも短い発熱体であり、
    前記基板の短手方向において、前記第1の発熱体、前記第3の発熱体、前記第2の発熱体、前記第1の発熱体の順に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱装置。
  9. 前記第1の発熱体の一端と前記第2の発熱体の一端とが電気的に接続される第1の接点と、
    前記第3の発熱体の一端が電気的に接続される第2の接点と、
    前記第2の発熱体の他端が電気的に接続される第3の接点と、
    前記第1の発熱体の他端と前記第3の発熱体の他端とが電気的に接続される第4の接点と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の加熱装置。
  10. 前記切替え部は、第1のリレー及び第2のリレーを有し、
    前記第1のリレーは、前記電源と前記第1の接点との接続、又は前記電源と前記第2の接点との接続を切替え可能であり、
    前記第2のリレーは、前記電源と前記第3の接点との接続、又は前記電源と前記第4の接点との接続を切替え可能であり、
    前記遮断手段は、前記電源と前記第1のリレーとの間の前記電力供給経路に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の加熱装置。
  11. 前記電源から前記ヒータに供給される電力値を求める電力取得手段を備え、
    前記検知手段は、前記電力取得手段により求められた前記電力値が所定の電力値以上になった場合、検知信号を出力することを特徴とする請求項10に記載の加熱装置。
  12. 前記第1のリレーは、前記検知信号が入力されると、前記電源と前記第2の接点とを接続し、
    前記第2のリレーは、前記検知信号が入力されると、前記電源と前記第3の接点とを接続し、
    前記電源は、直列に接続された前記第3の発熱体、前記第1の発熱体、及び前記第2の発熱体と接続されることを特徴とする請求項11に記載の加熱装置。
  13. 前記電源と前記第2のリレーとの間の電力供給経路に設けられ、前記電力供給経路の接続、又は切断を行うことにより前記ヒータへの電力供給を制御する供給制御部を備えることを特徴とする請求項12に記載の加熱装置。
  14. 前記第1の発熱体の一端及び前記第2の発熱体の一端が電気的に接続される第1の接点と、
    前記第3の発熱体の一端が電気的に接続される第2の接点と、
    前記第2の発熱体の他端と、前記第3の発熱体の他端とが電気的に接続される第3の接点と、
    前記第1の発熱体の他端が電気的に接続される第4の接点と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の加熱装置。
  15. 前記電源と前記第1の接点との間の前記電力供給経路に設けられ、前記電力供給経路の接続、又は切断を行うスイッチ部を備え、
    前記スイッチ部は、前記遮断手段を介して前記スイッチ部を駆動する電圧を供給されていることを特徴とする請求項14に記載の加熱装置。
  16. 前記切替え部は、リレーを有し、
    前記リレーは、前記スイッチ部と前記第3の接点との接続、又は前記電源と前記第3の接点との接続を切替え可能であり、
    前記第2の接点及び前記第4の接点は、前記電源と接続されていることを特徴とする請求項15に記載の加熱装置。
  17. 前記検知手段は、前記ヒータの温度が前記所定の温度以上になった場合、検知信号を出力し、
    前記リレーは、前記電源と前記第3の接点とを接続し、前記電源から前記第2の発熱体へ電力供給が行われているときに、前記検知信号が入力されると、前記スイッチ部と前記第3の接点との接続に切り替え、
    前記電源は、前記第3の発熱体と接続されることを特徴とする請求項16に記載の加熱装置。
  18. 前記電源と前記リレー及び前記第2の接点との間の電力供給経路と、前記電源と前記第4の接点との間の電力供給経路と、に設けられ、前記電力供給経路の接続、又は切断を行うことにより前記ヒータへの電力供給を制御する供給制御部を備えることを特徴とする請求項17に記載の加熱装置。
  19. 発熱時にヒータに対する熱応力が第1の熱応力となる第1の発熱体と、発熱時にヒータに対する熱応力が前記第1の熱応力よりも小さい第2の熱応力となる第2の発熱体とを含む、少なくとも2つ以上の複数の発熱体と、前記複数の発熱体が配置される基板と、を含むヒータと、
    前記第1の発熱体又は前記第2の発熱体と、電源との接続を切り替える切替え部と、
    前記ヒータの温度に応じて、前記電源と前記ヒータとの間の電力供給経路を切断し、電力供給を遮断する遮断手段と、
    前記ヒータの温度を検知する検知手段と、
    を備え、
    前記切替え部は、前記検知手段により検知された温度が所定の温度以上となった場合、前記遮断手段により前記ヒータへの電力供給が遮断される前に、前記電源と前記第2の発熱体とを接続するように切り替えることを特徴とする加熱装置。
  20. 前記切替え部は、前記検知手段により検知された温度が前記所定の温度以上となった場合、前記遮断手段により前記ヒータへの電力供給が遮断される前に、前記電源と前記第1の発熱体とを接続するように切り替えることを特徴とする請求項19に記載の加熱装置。
  21. 前記第1の発熱体は、長手方向の長さが略同じ長さの一対の発熱体で、前記ヒータの前記長手方向において、中央部から端部に向かうほど抵抗値が低くなる特性を有し、
    前記第2の発熱体は、前記長手方向の長さが前記第1の発熱体と略同じ長さの発熱体で、前記ヒータの前記長手方向において、中央部から端部に向かうほど抵抗値が高くなる特性を有し、
    前記基板の短手方向において、前記第1の発熱体、前記第2の発熱体、前記第1の発熱体の順に配置され、
    前記第1の発熱体の一端及び前記第2の発熱体の一端が電気的に接続される第1の接点と、
    前記第2の発熱体の他端が電気的に接続される第2の接点と、
    前記第1の発熱体の他端が電気的に接続される第3の接点と、を備えることを特徴とする請求項20に記載の加熱装置。
  22. 前記切替え部は、前記電源と前記第3の接点との間の電力供給路に設けられ、前記電源と前記第1の発熱体とを接続、又は切断する第1のスイッチと、前記電源と前記第2の接点との間の電力供給路に設けられ、前記電源と前記第2の発熱体とを接続、又は切断する第2のスイッチと、を有し、
    前記遮断手段は、前記電源と前記第1の接点との間の前記電力供給経路に設けられていることを特徴とする請求項21に記載の加熱装置。
  23. 前記電源から前記ヒータに供給される積算電力値を求める電力取得手段を備え、
    前記検知手段は、前記電力取得手段により求められた前記積算電力値が所定の電力値以上になった場合、検知信号を出力することを特徴とする請求項22に記載の加熱装置。
  24. 前記第1のスイッチは、前記検知信号が入力されると、前記電源と前記第3の接点との間を接続し、前記電源から前記第1の発熱体へ電力を供給するように設定されることを特徴とする請求項23に記載の加熱装置。
  25. 前記遮断手段は、前記所定の温度以上の状態が所定の時間以上続くと接点が開放状態となる温度ヒューズ又はサーモスイッチであることを特徴とする請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の加熱装置。
  26. 記録材に担持された未定着のトナー像を定着する定着装置であって、
    請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の加熱装置と、
    前記加熱装置により加熱される第1の回転体と、
    前記第1の回転体とともにニップ部を形成する第2の回転体と、
    を備え、
    前記第1の回転体はフィルムであることを特徴とする定着装置。
  27. 前記ヒータは、前記フィルムの内部空間に配置されており、前記ヒータと前記第2の回転体により前記フィルムを挟持しており、記録材上の画像は前記フィルムと前記第2の回転体の間に形成されたニップ部で前記フィルムを介して加熱されることを特徴とする請求項26に記載の定着装置。
  28. 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    請求項26又は請求項27に記載の定着装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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