JP5121864B2 - 不揮発性半導体記憶装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気的に書き換え可能なメモリセルを有する不揮発性半導体記憶装置に関する。
近年、半導体装置の集積度が高くなることに伴い、これを構成するトランジスタ等の回路パターンはますます微細化している。このパターンの微細化には、単に線幅が細くなるだけではなく、パターンの寸法精度や位置精度の向上も要請される。この事情は半導体記憶装置に関しても例外ではない。
従来知られており、市場にも投入されているDRAM、SRAM、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置は、いずれもMOSFETをメモリセルに使用している。このため、パターンの微細化に伴い、微細化の比率を上回る比率での寸法精度の向上が要請されている。このため、これらのパターンを形成するリソグラフィー技術にも、大きな負荷が課せられており、製品コストの上昇要因となっている。
そして、このようなMOSFETをメモリセルとして用いる半導体記憶装置の後継候補として、抵抗変化メモリが注目されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、抵抗変化メモリには、抵抗変化メモリ(ReRAM:Resistive RAM)の他、相変化メモリ(PCRAM:Phase Change RAM)を含む。抵抗変化メモリは、遷移金属酸化物を記録層としてその抵抗値状態を不揮発に記憶する。相変化メモリは、カルコゲナイド等を記録層として用いてその結晶状態(導体)と非晶質状態(絶縁体)の抵抗値情報を利用する。
上述した抵抗変化メモリの可変抵抗素子には、2種類の形態(ユニポーラ型、バイポーラ型)があることが知られている。バイポーラ型の抵抗変化メモリの場合、可変抵抗素子は、セット動作(書き込み)とリセット動作(消去)で極性の異なる電圧パルス(書込パルス、消去パルス)を印加される。セット動作の場合、可変抵抗素子は高抵抗状態から低抵抗状態へと遷移し、リセット動作の場合、可変抵抗副は低抵抗状態から高抵抗状態へと遷移する。
一方、ユニポーラ型の抵抗変化メモリの場合、可変抵抗素子は、印加される電圧パルスの振幅、及び時間等の条件によって、高抵抗状態又は低抵抗状態へと遷移する。よって、ユニポーラ型では、その可変抵抗素子への消去パルスの印加中、消去がなされた後に再び書き込みがなされる現象、所謂、誤書き込みが生じる。実際に製造可能な抵抗変化メモリの多くは、バイポーラ型の特性と共にユニポーラ型の特性を持つため、これら可変抵抗メモリにおける誤書き込みの問題は、未だ解消されていない。
特表2005−522045号公報
本発明は、安定した動作を実行可能な不揮発性半導体記憶装置を提供する。
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置は、複数の第1配線と、前記第1配線に交差するように延びる複数の第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との各交差部に配置され可変抵抗素子を含む複数のメモリセルと、前記メモリセルに印加する電圧を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記可変抵抗素子の抵抗値を下げて前記可変抵抗素子を初期状態から消去状態とするフォーミング動作時に前記可変抵抗素子に第1パルス電圧を与え、前記可変抵抗素子の抵抗値を下げて前記可変抵抗素子を前記消去状態から書込状態とするセット動作時に前記可変抵抗素子に前記第1パルス電圧と逆の極性を有する第2パルス電圧を与え、前記可変抵抗素子の抵抗値を上げて前記可変抵抗素子を前記書込状態から前記消去状態とするリセット動作時に前記可変抵抗素子に前記第1パルス電圧と同一の極性を有する第3パルス電圧を与えることを特徴とする。
本発明によれば、安定した動作を実行可能な不揮発性半導体記憶装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を示すブロック図である。 メモリセルアレイ10を示す斜視図である。 図2の断面図である。 可変抵抗層124を示す断面図である。 フォーミング動作、セット動作、及びリセット動作を説明する図である。 各種動作におけるパルス電圧の極性の組み合わせ(C1、C2)を示す図である。 +フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 +フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 +フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 −フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 −フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 −フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 可変抵抗層124の構造ST1(ST3)の違いによる、+フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 −フォーミング素子Rに、−パルス電圧を印加してリセット動作を行なった場合における、異なるパルス幅毎の−フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 −フォーミング素子Rに、−パルス電圧を印加してリセット動作を行なった場合における、異なるパルス幅毎の−フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 セット動作(+パルス電圧を印加)を実行された後の−フォーミング素子Rに、リセット動作(−パルス電圧を印加)を実行する際における、異なるパルス幅毎の−フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 セット動作(+パルス電圧を印加)を実行された後の−フォーミング素子Rに、リセット動作(−パルス電圧を印加)を実行する際における、異なるパルス幅毎の−フォーミング素子Rの抵抗変化特性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を示すブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の一実施形態について説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のブロック図である。第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、メモリセルアレイ10、カラム制御回路20、ロウ制御回路30、データ入出力バッファ40、アドレスレジスタ50、コマンドI/F60、ステートマシン70、及びパルスジェネレータ80を有する。
メモリセルアレイ10は、図1に示すように、互いに交差するワード線WL、及びビット線BL、並びにワード線WL及びビット線BLの交差部に配置されたメモリセルMCを有する。ワード線WLは、Y方向に所定ピッチをもって配列され、X方向に延びるように形成されている。ビット線BLは、X方向に所定ピッチをもって配列され、Y方向に延びるように形成されている。すなわち、メモリセルMCは、X方向及びY方向にて形成される面上にマトリクス状に配置されている。
メモリセルMCは、図1に示すように、直列接続された双方向ダイオードD、及び可変抵抗素子Rを有する。双方向ダイオードDの一端は、ワード線WLに接続され、その他端は、可変抵抗素子Rの一端に接続されている。可変抵抗素子Rの他端は、ビット線BLに接続されている。可変抵抗素子Rは、抵抗値を変化させ、その抵抗値に基づいてデータを不揮発に記憶する。
可変抵抗素子Rは、少なくとも二つの抵抗値、例えば、低抵抗状態と高抵抗状態に遷移する素子である。可変抵抗素子Rは、所定のパルス電圧を印加されると高抵抗状態から低抵抗状態へ遷移する(書き込み動作、セット動作)。また、可変抵抗素子Rは、セット動作と逆の極性のパルス電圧を印加されると低抵抗状態から高抵抗状態へ遷移する(消去動作、リセット動作)。
カラム制御回路20は、メモリセルアレイ10のビット線BLを制御し、メモリセルMCのデータ消去(リセット動作)、メモリセルMCへのデータ書き込み(セット動作)、及びメモリセルMCからのデータ読み出しを行う。また、カラム制御回路20は、電流制限回路21を有する。電流制限回路21は、ビット線BLからメモリセルMCを介してワード線WLに流れる電流を制限する。
ロウ制御回路30は、メモリセルアレイ10のワード線WLを選択し、メモリセルMCのデータ消去(リセット動作)、メモリセルMCへのデータ書き込み(セット動作)、及びメモリセルMCからのデータ読み出しに必要な電圧を印加する。また、ロウ制御回路30は、電流制限回路31を有する。電流制限回路31は、ワード線WLからメモリセルMCを介してビット線BLに流れる電流を制限する。
データ入出力バッファ40は、図示しない外部のホストにI/O線を介して接続され、書き込みデータの受け取り、消去命令の受け取り、読み出しデータの出力、アドレスデータやコマンドデータの受け取りを行う。データ入出力バッファ40は、受け取った書き込みデータをカラム制御回路20に送り、カラム制御回路20から読み出したデータを受け取って外部に出力する。
アドレスレジスタ50は、外部からデータ入出力バッファ40に供給されたアドレスを、カラム制御回路20及びロウ制御回路30に送る。
コマンド・インターフェイス60は、ホストからデータ入出力バッファ40に供給されたコマンドを受け付ける。コマンド・インターフェイス60は、ホストからの外部制御信号を受け、データ入出力バッファ40に入力されたデータが書き込みデータかコマンドかアドレスかを判断し、コマンドであれば受け取りコマンド信号としてステートマシン70に転送する。
ステートマシン70は、この不揮発性メモリ全体の管理を行うもので、ホストからのコマンドを受け付け、読み出し、書き込み、消去、データの入出力管理等を行う。また、外部のホストは、ステートマシン70が管理するステータス情報を受け取り、動作結果を判断することも可能である。また、このステータス情報は書き込み、消去の制御にも利用される。
パルスジェネレータ80は、ステートマシン70によって制御される。この制御により、パルスジェネレータ80は、任意の電圧、任意のタイミングのパルスを出力することが可能となる。ここで、形成されたパルスはカラム制御回路20及びロウ制御回路30で選択された任意の配線へ転送することが可能である。なお、メモリセルアレイ10以外の周辺回路素子は配線層に形成されたメモリセルアレイ10の直下のSi基板に形成可能であり、これにより、この不揮発性メモリのチップ面積は、略メモリセルアレイ10の面積に等しくすることも可能である。
次に、図2を参照して、第1実施形態に係るメモリセルアレイ10の積層構造を詳細に説明する。図2は、メモリセルアレイ10を示す斜視図である。メモリセルアレイ10は、いわゆる、クロスポイント型にて構成されている。
メモリセルアレイ10は、図2に示すように、下層から上層へと、第1導電層11、メモリ層12、及び第2導電層13を有する。第1導電層11は、ワード線WLとして機能する。メモリ層12は、メモリセルMCとして機能する。第2導電層13は、ビット線BLとして機能する。
第1導電層11は、図2に示すように、Y方向に所定ピッチをもって、X方向に延びるストライプ状に形成されている。第1導電層11は、熱に強く、且つ抵抗値の低い材料が望ましく、例えば、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、ニッケルシリサイド(NiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)のいずれかにて構成されている。
メモリ層12は、図2に示すように、第1導電層11上に設けられ、X方向及びY方向にマトリクス状に配列されている。
第2導電層13は、図2に示すように、X方向に所定ピッチをもって、Y方向に延びるストライプ状に形成されている。第2導電層13は、メモリ層12の上面に接するように形成されている。第2導電層13は、熱に強く、且つ抵抗値の低い材料が望ましく、例えば、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、ニッケルシリサイド(NiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)のいずれかにて構成されている。
次に、図3を参照して、詳細にメモリ層12の積層構造について説明する。図3は、図2の断面図である。メモリ層12は、図3に示すように、下層から上層へと、電極層121、ダイオード層122、電極層123、可変抵抗層124、及び電極層125を有する。
電極層121は、第1導電層11の上面に形成されている。電極層121は、チタン(Ti)、又は窒化チタン(TiN)もしくはこれらの積層構造にて構成されている。
ダイオード層122は、電極層121の上面に形成されている。ダイオード層122は、双方向ダイオードDとして機能する。電極層123は、ダイオード層122の上面に形成されている。電極層123は、電極層121と同様の材料にて構成されている。
可変抵抗層124は、電極層123の上面に形成されている。可変抵抗層124は、可変抵抗素子Rとして機能する。電極層125は、可変抵抗層124の上面と第2導電層13の下面との間に形成されている。電極層125は、電極層121と同様の材料にて構成されている。
次に、図4を参照して、詳しく、可変抵抗層124の構成について説明する。可変抵抗層124は、図4に示す、いずれかの構造ST1〜ST3をとり得る。構造ST1(可変抵抗層124)は、下層から上層へと、酸化ハフニウム(HfO)にて構成された金属酸化物層124a、酸化チタニウム(TiO)にて構成された金属酸化物層124bを有する。構造ST2(可変抵抗層124)は、構造ST1とは反対に、下層から上層へと、金属酸化物層124b、124aを有する。構造ST3(可変抵抗層124)は、金属酸化物層124aのみを有する。第1実施形態において、可変抵抗層124は、構造ST3よりも、構造ST1、又は構造ST2のいずれかが望ましく、これにより、リセット動作の際の誤書き込みを抑制することができる。なお、この効果の詳細については、後述する。
[動作]
次に、図5を参照して、可変抵抗素子Rの抵抗値の変化について説明する。図5に示すように、可変抵抗素子Rは、製造された直後の初期状態(S1)において、最も高抵抗状態にある。この後、可変抵抗素子RをメモリセルMCの一部として機能させるため、フォーミング動作が実行される。これによって、可変抵抗素子Rは、消去状態(S2)となり、その抵抗値を初期状態(S1)よりも低く設定される。
そして、メモリセルMCの動作としてセット動作が実行されると、可変抵抗素子Rは消去状態(S2)から書込状態(S3)となり、その抵抗値を消去状態(S2)よりも低く設定される。また、リセット動作が実行されると、可変抵抗素子Rは、再び書込状態(S3)から消去状態(S2)となり、その抵抗値を書込状態(S3)よりも高く設定される。
ここで、可変抵抗素子Rが低抵抗化した瞬間、メモリセルMCに流れる電流は増大する。これによって、素子特性が劣化する。そこで、第1実施形態は、電流制限回路21、31によって、ビット線BLからワード線WLに流れる電流、及びワード線WLからビットBLに流れる電流を制限している。
次に、図6を参照して、第1実施形態におけるフォーミング動作、セット動作、及びリセット動作のためのパルス電圧を印加する方法について説明する。図6は、各種動作におけるパルス電圧の極性の組み合わせ(C1、C2)を示している。
ここで、以下、「+方向」は、ワード線WLからメモリセルMC(可変抵抗素子R)を介してビット線BLに向かう方向を示す。また、「−方向」は、ビット線BLからメモリセルMC(可変抵抗素子R)を介してワード線WLに向かう方向を示す。「+パルス電圧」は、「+方向」に電流が流れるようなパルス電圧を示す。また、「−パルス電圧」は、「−方向」に電流が流れるようなパルス電圧を示す。すなわち、「−パルス電圧」は、「+パルス電圧」と逆の極性を有する。「+フォーミング素子R」は、フォーミングパルスとして「+パルス電圧」を印加された可変抵抗素子Rを示す。「−フォーミング素子R」は、フォーミングパルスとして「−パルス電圧」を印加された可変抵抗素子Rを示す。なお、+パルス電圧及び−パルス電圧の印加は、カラム制御回路20及びロウ制御回路30により実行される。
図6の組み合わせC1では、可変抵抗素子Rは、フォーミング動作時に「+パルス電圧」を印加され、+フォーミング素子Rとなる。この組み合わせC1の場合、+フォーミング素子Rは、セット動作時に「−パルス電圧」を印加される。また、この組み合わせC1の場合、+フォーミング素子Rは、リセット動作時に「+パルス電圧」を印加される。リセット時、「+パルス電圧」のパルス幅は、1us未満とする。
図6の組み合わせC2では、可変抵抗素子Rは、フォーミング動作において、「−パルス電圧」を印加され、−フォーミング素子Rとなる。この組み合わせC2の場合、−フォーミング素子Rは、セット動作において「+パルス電圧」を印加される。また、この組み合わせC2の場合、−フォーミング素子Rは、リセット動作において、「−パルス電圧」を印加される。リセット時、「−パルス電圧」のパルス幅は、1us未満とする。
上記図6に示す+パルス電圧及び−パルス電圧の組み合わせC1、C2によって、第1実施形態は、セット時のパルス電圧を低減させることができ、且つリセット時の誤書き込みを抑制することができる。また、第1実施形態は、パルス幅を1us未満とすることによって、更に誤書き込みを抑制することができる。なお、これらの効果の詳細については、後述する。
[実験結果]
次に、各種実験結果について説明する。先ず、図7A〜図7Cを参照して、+フォーミング素子Rの抵抗変化特性について説明する。図7A〜図7Cにおいて、横軸は、+フォーミング素子Rに印加されるパルス電圧の絶対値を示し、縦軸は、+フォーミング素子Rの抵抗値を示す。図7Aは、構造ST1の可変抵抗層124(図4)を+フォーミング素子Rとした場合の結果を示す。また、図7Bは、構造ST2の可変抵抗層124(図4)を+フォーミング素子Rとした場合の結果を示し、図7Cは、構造ST3の可変抵抗層124(図4)を+フォーミング素子Rとした場合の結果を示す。なお、図7A、図7Bでは、1μsの幅のパルス電圧を印加し、図7Cでは、50nsの幅のパルス電圧を印加した。
図7A〜図7Cに示すように、構造ST1〜ST3の可変抵抗層124の各々で、+フォーミング素子Rは、「+パルス電圧」よりも「−パルス電圧」の印加によって、大きく抵抗値を低下させた。
次に、図8A〜図8Cを参照して、−フォーミング素子Rの抵抗変化特性について説明する。図8A〜図8Cにおいて、横軸は、−フォーミング素子Rに印加されるパルス電圧の絶対値を示し、縦軸は、−フォーミング素子Rの抵抗値を示す。図8Aは、構造ST1の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示す。また、図8Bは、構造ST2の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示し、図8Cは、構造ST3の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示す。なお、図8A、及び図8Bでは、1μsの幅のパルス電圧を印加し、図8Cでは、50nsの幅のパルス電圧を印加した。
図8A〜図8Cに示すように、構造ST1〜ST3の各々で、−フォーミング素子Rは、「−パルス電圧」よりも「+パルス電圧」の印加によって、大きく抵抗値を低下させた。
以上、図7A〜図7C、及び図8A〜図8Cに示すように、フォーミング時と同じ極性のパルス電圧をセット時の電圧として印加した場合に比べ、フォーミング時と逆の極性のパルス電圧をセット時の電圧として印加した場合の方が、フォーミング素子Rは、低抵抗化しやすい。このことは、フォーミング時と逆の極性のパルス電圧によってセット動作を行なえば、そのパルス電圧を低減可能であることを示している。また、フォーミング時と逆の極性のパルス電圧を印加した場合に比べ、フォーミング時と同じ極性のパルス電圧を印加すれば、フォーミング素子Rは、低抵抗化しにくい。このことは、フォーミング時と同じ極性のパルス電圧によってリセット動作を行えば、誤書き込みを抑制可能であるこを示している。
すなわち、フォーミング素子Rは、セット動作において、フォーミング時と逆の極性のパルス電圧を印加されることが望ましい。また、フォーミング素子Rは、リセット動作において、フォーミング時と同じ極性のパルス電圧を印加されることが望ましい。
次に、図9を参照して、構造ST1と構造ST3の違いによる、+フォーミング素子Rの抵抗変化特性について説明する。図9において、横軸は、+フォーミング素子Rに印加されるパルス電圧の絶対値を示し、縦軸は、+フォーミング素子Rの抵抗値を示す。図9では、各測定において共通に、1μsの幅のパルス電圧を印加した。
図9に示すように、フォーミング時と同じ極性のパルス電圧を印加した場合と逆のパルス電圧を印加した場合の抵抗値の変化し易さの差は、構造ST3よりも、構造ST1のほうが大きい。このことは、多層構造の可変抵抗層124を用いることによって、誤書き込みを抑制可能であるこを示している。すなわち、可変抵抗層124は、単層の構造ST3よりも、多層の構造ST1が望ましい。
次に、図10A、図10Bを参照して、−フォーミング素子Rの高抵抗状態に、−パルス電圧を印加した場合における、異なるパルス幅毎の−フォーミング素子Rの抵抗変化特性について説明する。図10A、図10Bにおいて、横軸は、−フォーミング素子Rの高抵抗状態に印加されるパルス電圧の絶対値を示し、縦軸は、−フォーミング素子Rの抵抗値を示す。また、図10Aは、構造ST1の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示し、図10Bは、構造ST3の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示す。
図10A、図10Bに示すように、−パルス電圧の幅を長くすることによって、−フォーミング素子Rの抵抗値は、大きく低下する。このことは、リセット動作においてフォーミング動作と同じ極性のパルス電圧を用いる場合においても、そのパルス電圧の幅を長くすれば、誤書き込みが生じ易くなることを示している。
具体的に、図11A、図11Bを参照して、セット動作(+パルス電圧を印加)を実行された後の−フォーミング素子Rに、リセット動作(−パルス電圧を印加)を実行する際における、異なるパルス幅毎の−フォーミング素子Rの抵抗変化特性について説明する。図11A、図11Bにおいて、横軸は、リセット動作時に−フォーミング素子Rに印加されるパルス電圧を示し、縦軸は、−フォーミング素子Rの抵抗値を示す。また、図11Aは、構造ST1の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示し、図11Bは、構造ST3の可変抵抗層124(図4)を−フォーミング素子Rとした場合の結果を示す。
図11A、図11Bに示すように、リセット動作時、−パルス電圧の幅が長くなるほど、−フォーミング素子Rは、ある程度高抵抗化した後に再度低抵抗化し易い。例えば、図11Aに示す構造ST1においては、−パルス電圧の幅を1msとした場合、−パルス電圧を1.5Vより大きくした時に、−フォーミング素子Rは低抵抗化した。例えば、図11Bに示す構造ST3においては、−パルス電圧の幅を1ms、100μsもしくは1usとした場合、−フォーミング素子Rはある程度高抵抗化した後に低抵抗化した。また、図11Bに示すように、-フォーミング素子が低抵抗化してしまう電圧の絶対値はパルス幅が長いほど小さい。このことは、図10A、図10Bと同様に、リセット動作においてフォーミング動作と同じ極性のパルス電圧を用いる場合においても、そのパルス電圧の幅を長くすれば、誤書き込みが生じ易くなることを直接的に示している。
すなわち、図10A、図10B、及び図11A、図11Bに示すように、リセット動作の際に用いられるリセット時のパルス電圧の幅は、短いほど望ましく、具体的には、1μs未満であることが適切である。
[効果]
次に、第1実施形態の効果について説明する。第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図6に示したように、フォーミング時に可変抵抗素子Rに+パルス電圧を与え、セット時に+フォーミング素子R(可変抵抗素子R)に−パルス電圧を与え、リセット時に+フォーミング素子Rに+パルス電圧を与える。或いは、第1実施形態は、フォーミング時に可変抵抗素子Rに−パルス電圧を与え、セット時に−フォーミング素子R(可変抵抗素子R)に+パルス電圧を与え、リセット時に−フォーミング素子Rに−パルス電圧を与える。よって、第1実施形態は、図7A〜図7C、及び図8A〜図8Cに示したように、セット時のパルス電圧を低減させることができ、且つリセット時の誤書き込みを抑制することができる。
また、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示したように、+方向及び−方向の電流を制限する電流制限回路21、31を備える。したがって、第1実施形態は、可変抵抗素子Rが低抵抗化した瞬間にメモリセルMCに流れる電流を制限し、素子特性の劣化を抑制することができる。
また、第1実施形態に係る可変抵抗層124は、図4に示したように、互いに異なる2つの金属酸化物層123a、123bの積層構造ST1、ST2によって、構成可能である。したがって、第1実施形態は、図9に示したように、単層の金属酸化物層の場合よりも、リセット動作の際の誤書き込みを抑制することができる。
また、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、リセット動作時に、1us未満の幅のパルス電圧を印加する。したがって、第1実施形態は、図10A、図10B、及び図11A、図11Bに示したように、リセット動作時の誤書き込みを抑制することができる。
[第2実施形態]
[構成]
次に、図12を参照して、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成について説明する。第2実施形態は、図12に示すように、可変抵抗素子Rと通常のダイオードDaとが直列接続されたメモリセルMCaを有する。この点で、第2実施形態は、第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。ダイオードDaのアノードは、ワード線WLに接続され、そのカソードは、可変抵抗素子Rの一端に接続されている。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
[動作]
第2実施形態において、「+パルス電圧」は、ダイオードDaの順バイアス方向に電流を流す。「−パルス電圧」は、ダイオードDaの逆バイアス方向に電流を流す。このとき、「−パルス電圧」の立上がり時間は、「+パルス電圧」の立ち上がり時間よりも短いことを特徴とする。具体的には、「−パルス電圧」の立ち上がり時間は、可変抵抗素子Rの低抵抗状態の抵抗値とダイオードDaの接合容量の値との積に基づき定まる時間よりも短く、過渡的に流れる接合容量の充電電流を利用して決定される。第2実施形態における可変抵抗素子Rは、フォーミング動作時に「+パルス電圧」を印加され、+フォーミング素子Rとなる。+フォーミング素子Rは、セット動作時に「−パルス電圧」を印加される。また、+フォーミング素子Rは、リセット動作時に「+パルス電圧」を印加される。
[効果]
第2実施形態は、第1実施形態と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。
[その他実施形態]
以上、不揮発性半導体記憶装置の一実施形態を説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。例えば、上下に位置する2つのメモリ層12(メモリセルMC)は、1つの第1導電層12(ワードWL)又は1つの第2導電層13(ビット線BL)を共有する構造であってもよい。例えば、上記実施形態において、電極層121、123、125は、全て、チタン、又は窒化チタンにて構成されているが、電極層123、125の少なくとも一方が、チタン、又は窒化チタンにて構成され、その他は、他の金属にて構成されていても良い。例えば、可変抵抗層124は、構造ST1〜ST3に限られず、互いに異なる2層以上の金属酸化物の積層構造であれば良い。
10…メモリセルアレイ、 20…カラム制御回路、 30…ロウ制御回路、 40…データ入出力バッファ、 50…アドレスレジスタ、 60…コマンドI/F、 70…ステートマシン、 80…パルスジェネレータ。

Claims (5)

  1. 複数の第1配線と、
    前記第1配線に交差するように延びる複数の第2配線と、
    前記第1配線と前記第2配線との各交差部に配置され可変抵抗素子を含む複数のメモリセルと、
    前記メモリセルに印加する電圧を制御する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、前記可変抵抗素子の抵抗値を下げて前記可変抵抗素子を初期状態から消去状態とするフォーミング動作時に前記可変抵抗素子に第1パルス電圧を与え、前記可変抵抗素子の抵抗値を下げて前記可変抵抗素子を前記消去状態から書込状態とするセット動作時に前記可変抵抗素子に前記第1パルス電圧と逆の極性を有する第2パルス電圧を与え、前記可変抵抗素子の抵抗値を上げて前記可変抵抗素子を前記書込状態から前記消去状態とするリセット動作時に前記可変抵抗素子に前記第1パルス電圧と同一の極性を有する第3パルス電圧を与える
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
  2. 前記制御回路は、前記メモリセルに流れる第1方向及び前記第1方向とは逆方向の第2方向の電流を制限する電流制限回路を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
  3. 前記可変抵抗素子は、互いに異なる2層以上の金属酸化物の積層構造にて構成されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
  4. 前記リセット動作時に、前記第3パルス電圧は、1us未満の幅を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の不揮発性半導体記憶装置。
  5. 前記メモリセルは、前記可変抵抗素子と直列接続されたダイオードを更に含み、
    前記第1パルス電圧は、前記ダイオードの順バイアス方向に電流を流し、
    前記第2パルス電圧は、前記ダイオードの逆バイアス方向に電流を流す
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の不揮発性半導体記憶装置。
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