JP5108995B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
三相インバータにあっては、インバータの出力である正弦波出力電圧を得る方法として、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御が一般的に用いられている。PWM制御においては、U相、V相、W相の各アームに直列接続されたハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチによるスイッチング動作が高速に行われているため、三相インバータが高周波のスイッチングノイズの発生源となっている。また、モータ等の負荷はフレームグラウンドとの間に寄生容量をもっているため、この寄生容量を介して高周波のスイッチングノイズが流れることにより、モータのベアリング損傷や周辺機器の誤動作を引き起こすおそれがある。このような問題に対応するため、ノイズを抑制する種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
図23は、従来例に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム900の全体構成を示す図である。
三相インバータ902は三相ブリッジを構成しており、U相アーム912u,V相アーム912v,W相アーム912wからなる。U相アーム912uは、直列接続されたハイサイドスイッチング素子群Q91とローサイドスイッチング素子群Q92から構成されており、ハイサイドスイッチング素子群Q91はスイッチング素子Q91a,Q91bが並列接続されてなる。同様に、ローサイドスイッチング素子群Q92はスイッチング素子Q92a,Q92bが並列接続されてなる。
図24は、従来例に係るスイッチング動作時のタイミングチャートを示す図であり、図23におけるハイサイドスイッチング素子群Q91の動作のみを抽出して示したものである。図24(a)はスイッチング素子Q91aの端子間電圧変動を、図24(b)はスイッチング素子Q91bの端子間電圧変動をそれぞれ示している。図24(c)は部分(D)の拡大図である。
したがって、スイッチングノイズを効率的に抑制することが可能な電力変換装置を提供することが可能となる。
[第1の実施形態]
≪構成≫
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム100の全体構成を示す図である。本実施形態では、三相交流モータ(以下、モータと称する。)を負荷とする構成を説明する。
直流電源DCは電源系統を整流して得られる直流電源、または、バッテリタイプ(代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池)の直流電源である。
電力変換装置113は、電圧検出部101,電流検出部103,三相インバータ102,コントローラ105からなる。電力変換装置113は、直流電源DCから供給される直流電力を、位相が各々120°、電気角で2π/3ラジアンずれたU相,V相,W相の三相交流電力に変換し、その三相交流電力をモータ104に供給する。
〈電力変換装置113〉
(電圧検出部101,電流検出部103,キャパシタ111)
電圧検出部101は、直流電源DCの電圧、すなわち、三相インバータ102に入力される電圧を検出する。
キャパシタ(平滑コンデンサ)111は、電力変換装置113内の電圧変動を抑制するために設けられている。
(三相インバータ102)
三相インバータ102は三相ブリッジを構成しており、U相アーム112u,V相アーム112v,W相アーム112wを備える。各相のアームの構成は図23における三相インバータ902と同様であるので説明を省略する。また、スイッチング素子Q11aとQ11bのように、並列接続された関係にあるスイッチング素子は、耐圧や電流容量などの仕様が同一のスイッチング素子で構成されている。
コントローラ105は、三相インバータ102に含まれるスイッチング素子Q11a〜Q16a,Q11b〜Q16bのスイッチング動作を個別に制御する。
具体的には、コントローラ105は、ゲート駆動回路GDへの指令信号であるパルス幅変調信号(以下、PWM信号と称する。)を生成する。このPWM信号を、ゲート駆動回路GDを介してスイッチング素子Q11a〜Q16a,Q11b〜Q16bのゲート端子へ出力することにより、上記の各スイッチング素子が個別に制御される。
キャリア信号生成部106は、数10kHzの周波数の鋸波電圧であるキャリア信号Cr(例えば、電圧が所定時間をかけて第1レベルから第2レベルへ漸減したのち第2レベルから第1レベルへのリセットを繰り返すことによりできる波形)を生成し、これを次段のPWM信号生成部107へ出力する。
電流制御部110は、電流指令部109からの電流指令に基づき正弦波形の制御指令信号を生成する。それとともに、実際に駆動しているモータ104の動作が目標とするモータ104の動作からずれている場合には、電流検出部103からのフィードバック信号を受けて、上記制御指令信号を適切な正弦波形に修正し、次段のPWM信号生成部107へ出力する。図1では、U相制御指令信号をDu,V相制御指令信号をDv,W相制御指令信号をDwで示している。上記の説明のように、電流指令部109と電流制御部110とで制御指令信号生成部が構成されている。
U相位相シフト部108uは、抵抗R1,R2、キャパシタC1,C2、シュミットトリガSc1,Sc2からなる。上述の第1の位相角はR1とC1の積で決定され、第2の位相角はR2とC2の積で決定される。R1とC1の積に対し、R2とC2の積の方が大きくなるようにすることにより、シュミットトリガSc1から出力されるPWM信号Puaに対し、所定の位相差だけ遅れたPWM信号Pubが生成される。V相位相シフト部108vならびにW相位相シフト部108wは、U相位相シフト部108uと同様の構成であるので説明を省略する。
図3を用いて本実施形態におけるスイッチングノイズ抑制原理について説明する。図3は第1の実施形態に係るタイミングチャートを示す図であり、ここではU相アーム112uのハイサイドスイッチング素子群Q11のみを取り上げて説明する。
図3(a)は、PWM信号生成部107に入力される鋸波のキャリア信号CrとU相制御指令信号Duの電圧波形を示す図である。U相制御指令信号Duは正弦波形であるが、図3(a)は微小な時間を拡大して図示したものであり、ここではほとんど電圧が変動していないものとして図示した。
PWM信号生成部107でキャリア信号CrとU相制御指令信号Duの大小関係が反転することにより(図3(a))、図3(b)に示すPWM信号Puaの電圧波形においてオンからオフ、またはオフからオンへの状態遷移が起こる。以下、U相制御指令信号Duよりもキャリア信号Crが大きくなった場合にオンからオフへの状態遷移が起こるものとして説明する。
以上説明したように、上記の構成によれば、スイッチング素子がオンからオフへの状態遷移に伴って発生するリンギング電圧、ならびに、オフからオンへの状態遷移に伴って発生するリンギング電圧の両方を打ち消すようにすることが可能である。
ここで、周波数frの算出方法を、図4を用いて説明する。
図4は、周波数frを算出するための等価回路モデルを示す図である。図4では、図1における、U相アーム112u,キャパシタ111のみを図示している。ここで、図1に示したように、U相アーム112uは、スイッチング素子Q11a,Q11bとスイッチング素子Q12a,Q12bがそれぞれ並列接続されているため、スイッチング素子Q11aとQ11b間で流れる電流量は略同一であり、スイッチング素子Q12aとQ12b間で流れる電流量も略同一である。したがって、簡略化のために、図4ではU相アーム112uのスイッチング素子が、スイッチング素子Q11aとスイッチング素子Q12aのみから構成されているものとみなした。したがって、図4では、スイッチング素子Q11a(またはスイッチング素子Q11b)とキャパシタ111とを含む閉回路と、スイッチング素子Q12a(またはスイッチング素子Q12b)とキャパシタ111とを含む閉回路を示していることになる。
ここで、スイッチング素子Q11a(スイッチング素子Q11)とキャパシタ111とを含む閉回路においては、スイッチング素子Q11aに含まれる配線のインダクタンスがLm_1,Lm_2に、キャパシタ111に含まれるインダクタンスがLcap_1,Lcap_2に、スイッチング素子Q11aとキャパシタ111を接続する配線のインダクタンスがLm_3,Lm_4,Lw_1、Lw_2に、それぞれ相当する。したがって、スイッチング素子Q11aとキャパシタ111とを含む閉回路のインダクタンスは、Lcap_1,Lcap_2,Lw_1、Lw_2,Lm_1,Lm_2,Lm_3,Lm_4とからなることになる。
図4の等価回路モデルにおける周波数frは、当該等価回路に数1を適用することで算出できる。実際に周波数frを算出するにあたって、(1)スイッチング素子Q11aがオフでスイッチング素子Q12aがオンの場合と、(2)スイッチング素子Q11aがオンでスイッチング素子Q12aがオフの場合の2つの場合を考える。
≪まとめ≫
本実施形態に係る電力変換装置の構成によれば、各スイッチング素子の端子間に発生するリンギング電圧が、各スイッチング素子間で互いに打ち消される。また、本実施形態では特許文献1とは異なり、各スイッチング素子から発生するスイッチングノイズを、その発生源である、スイッチング素子Q11a,Q11bとキャパシタ111とを結ぶ閉回路内で抑制することが可能である。図5は、本実施形態に係る効果を説明するための図である。図5では、図4と同様に、U相アーム112u,キャパシタ111のみを図示している。スイッチング素子Q11は、スイッチング素子Q11a,スイッチング素子Q11bを区別して図示しているが、スイッチング素子Q12は図4と同様に、簡略化したものを図示している。
第1の実施形態(図1)では、PWM信号生成部107で生成されたPWM信号を、位相シフト部108で位相シフトさせることにより、各スイッチング素子用のPWM信号を生成する構成であった。一方、本変形例では、各スイッチング素子用のキャリア信号を生成し、それらの信号を基に各スイッチング素子用のPWM信号を生成する構成である。以下、図6を参照しながら具体的に説明する。
図7は、本変形例に係るキャリア信号生成部106Aの構成の一例を示す回路図である。
位相シフト回路は、入力されたパルス信号Plに基づき、各スイッチング素子用のパルス信号を生成する。位相シフト回路は、パルス信号Plを第3の位相角だけシフトさせてパルス信号Pl1を生成するとともに、パルス信号Plを第4の位相角だけシフトさせてパルス信号Pl2を生成する。第4の位相角は、第3の位相角に対してα[sec]だけ遅れている。パルス信号Pl1はトランジスタTr1に出力され、パルス信号Pl2はトランジスタTr2に出力される。
トランジスタTr1(Tr2)がオフの期間では、キャパシタC3は定電流源Iへ向けて放電しており、キャパシタC3の電圧は一定速度で降下する。一方、トランジスタTr1(Tr2)がオンの期間では、キャパシタC3は充電を行っており、キャパシタC3の電圧は一定周期で瞬時に上昇する。その結果、所定時間をかけて第1レベルから第2レベルへ遷移したのち第2レベルから第1レベルへのリセットを繰り返し、かつ、互いに位相がα[sec]ずれた鋸波のキャリア信号Cra,Crbが生成される。
PWM信号生成部107A(図6)は、キャリア信号CraとCrbに基づき、スイッチング素子Q11a用のPWM信号Puaおよびスイッチング素子Q11b用のPWM信号Pubを生成する。最終的にスイッチング素子Q11a,Q11bに出力されるPWM信号Pua,Pubは、第1の実施形態におけるPWM信号Pua,Pub(図3(b)、(c))と同一のものとなる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、2個のスイッチング素子間でリンギング電圧を互いに打ち消されるようにする構成を示した。本実施形態では、3個のスイッチング素子間でリンギング電圧を互いに打ち消されるようにする構成について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る電力変換装置の一部構成、特に三相インバータ202および位相シフト部208を示す図である。
本実施形態に係る三相インバータ202は、第1の実施形態と同様に、U相アーム212u,V相アーム212v,W相アーム212wを構成するハイサイドスイッチング素子群Q21,Q23,Q25およびローサイドスイッチング素子群Q22,Q24,Q26のそれぞれにおいて、複数のスイッチング素子が並列接続されてなる。しかし、並列接続されているスイッチング素子の個数が第1の実施形態と異なる。
位相シフト部208は、PWM信号生成部(図示せず)から入力されたPWM信号Puに基づき、スイッチング素子Q21a用のPWM信号Pua,スイッチング素子Q21b用のPWM信号Pub,スイッチング素子Q21c用のPWM信号Pucを生成し、次段のゲート駆動回路GDに出力する。位相シフト部208は、PWM信号Puを第1の位相角だけシフトさせてPWM信号Puaを生成し、PWM信号Puを第2の位相角だけシフトさせてPWM信号Pubを生成し、PWM信号Puを第3の位相角だけシフトさせてPWM信号Pucを生成する。第2の位相角は、第1の位相角に対してα[sec](第1の実施形態で説明したものと同一である。)だけ遅れており、第3の位相角は、第2の位相角に対してα[sec]だけ遅れている。
〈スイッチングノイズ抑制原理〉
図9を用いて本実施形態におけるスイッチングノイズ抑制原理について説明する。図9は第2の実施形態に係るタイミングチャートを示す図である。ここではU相アーム212uのハイサイドスイッチング素子群Q21のみを取り上げて説明する。
図9(b)は位相シフト部208から出力されるPWM信号Puaの電圧波形を、図9(c)はPWM信号Pubの電圧波形を、図9(d)はPWM信号Pucの電圧波形をそれぞれ示している。図9(b),(c),(d)に示すように、PWM信号PucはPWM信号Puaに対し2α[sec](αは第1の実施形態で説明したものと同一である。)、PWM信号Pubに対しα[sec]遅延している。
以下、第1の実施形態と同様に、U相制御指令信号Duよりもキャリア信号Crが大きくなった場合にオンからオフへの状態遷移が起こるものとして説明する。
本変形例では、第2の実施形態と同様に3個のスイッチング素子間でリンギング電圧が互いに打ち消されるようにする構成であるが、各スイッチング素子で発生するリンギング電圧が理想的な正弦波である場合に、特に良好なノイズ抑制効果を奏する構成について説明する。
図10は本変形例に係るタイミングチャートを示す図であり、図10(a),(b),(c)は、それぞれ、スイッチング素子Q21a,Q21b,Q21cに発生するリンギング電圧Vra,Vrb,Vrcの波形の拡大図である。位相差βをリンギング電圧の3分の1周期分に相当する値に設定することにより、リンギング電圧Vra,Vrb,Vrcが正確な正弦波である場合には、これらのリンギング電圧の足し合わせはゼロとなり、リンギング電圧が互いに相殺される。
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、スイッチング素子を2個並列に接続することで定格電流を倍増させた三相インバータにおいて、並列関係にあるスイッチング素子のスイッチングのタイミングをずらすことで、これらのスイッチング素子から発生するリンギング電圧を打ち消すようにする構成を説明した。第3の実施形態では、U相アームを構成するスイッチング素子,V相アームを構成するスイッチング素子,W相アームを構成するスイッチング素子のスイッチングのタイミングをずらすことで、U相アーム,V相アーム,W相アーム間でリンギング電圧を打ち消すようにする構成を説明する。
図11は、第3の実施形態に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム300の全体構成を示す図である。
負荷駆動システム300は、直流電源DC,電力変換装置313,モータ304を備える。直流電源DC、モータ304は、それぞれ、第1の実施形態における直流電源DC,モータ104と同一の構成であるが、電力変換装置313は第1の実施形態における電力変換装置113と構成が異なる。
本実施形態の電力変換装置313においては、U相アーム312u,V相アーム312v,W相アーム312wのうちいずれか1つとキャパシタ311とを含む閉回路が、アーム毎に形成されている。すなわち、ある一の閉回路には、U相アーム312uとキャパシタ311とが含まれており、このような閉回路が電力変換装置313にはアームの個数分(3個)形成されている。以下、ハイサイドスイッチング素子Q31,Q33,Q35を中心に説明する。
ここで、U相アーム312uのスイッチング素子Q31のスイッチング動作により、U相アーム312uとキャパシタ311を含む閉回路に発生するリンギング電圧の周波数は、当該閉回路に含まれるインダクタンスとその閉回路に含まれるアームを構成するスイッチング素子Q31の出力容量とで規定される。また、図4において、スイッチング素子Q11,Q12を、それぞれ本実施形態におけるスイッチング素子Q31,Q32と置き換えると、図4は、U相アーム312uとキャパシタ311を含む閉回路を示していることになる。したがって、図4において説明した周波数frの算出方法を本実施形態においても適用することができる。
図12に示すタイミングチャート図を用いて、本実施形態におけるスイッチングノイズ抑制原理について説明する。
図12(a)は、PWM信号生成部307に入力される鋸波のキャリア信号Cr、U相制御指令信号Du、V相制御指令信号Dv、W相制御指令信号Dwの電圧波形を示す図である。キャリア信号Crは、第1の実施形態の場合と同様の鋸波波形である。U相制御指令信号Du、V相制御指令信号Dv、W相制御指令信号Dwは位相が各々120°、電気角で2π/3ラジアンずれている。
図12(c)は、位相シフト部308に入力されるPWM信号Pvの電圧波形(点線)と、位相シフト部308から出力されるPWM信号Pv’(実線)をそれぞれ示している。PWM信号Pv’はPWM信号Pvに対し、α[sec]遅延している。
図12(e)は、ハイサイドスイッチング素子Q31の端子間の電圧変動を、図12(f)はハイサイドスイッチング素子Q33の端子間の電圧変動を、図12(g)は、ハイサイドスイッチング素子Q35の端子間の電圧変動を、図12(h)は図12(e),(f)、(g)に示す(C)付近の拡大図をそれぞれ示している。
先ず、図12の時刻(1)について説明する。図12(a)において、キャリア信号CrとU相制御指令信号Duが交差し、図12(b)に示すPWM信号Pu’はオンからオフへ状態遷移する。この状態遷移に伴い、ハイサイドスイッチング素子Q31はオンからオフへ切り換わり、ハイサイドスイッチング素子Q31の端子間電圧はハイレベルからローレベルへ遷移する(図12(e))。このとき、ハイサイドスイッチング素子Q31の端子間にはリンギング電圧Vruが発生する。
≪スイッチングノイズ抑制原理の検証≫
本実施形態に係るスイッチングノイズ抑制原理の検証結果を、図13乃至図15を用いて説明する。
先ず、パルスジェネレータ321からハイサイドスイッチング素子Q31、Q33のゲート端子へパルス信号が送られる。このパルス信号が入力されることにより、ハイサイドスイッチング素子Q31,Q33においてスイッチング動作が行われる。ここで、パルスジェネレータ321から出力されるパルス信号は、ハイサイドスイッチング素子Q31とQ33間で時間差が設けられており、これによってスイッチング動作のタイミングがずれることとなる。
電圧検出部322u,322vで観測したローサイドスイッチング素子のQ32,Q34の端子間電圧変動を図14に示す。図14(a)は本実施形態のスイッチング動作を想定した場合の結果であり、図14(b)は比較例における結果である。また、各図において、ローサイドスイッチング素子Q32の端子間電圧変動を実線で、ローサイドスイッチング素子Q34の端子間電圧変動を点線でそれぞれ示している。
続いて、直流電源DCと三相インバータとの間に、擬似電源回路網(LISN)318(図13)を接続し、ローサイドスイッチング素子Q32,Q34の端子間に図14に示すような電圧変動が起こっている状態で、スペクトラムアナライザ319によりノイズスペクトラムを計測し、その結果を図15に示した。図15の実線が本実施形態における結果(図14(a)に対応する。)、点線が比較例における結果(図14(b)に対応する。)である。
本実施形態においては、リンギング電圧の打ち消し合いがなされるスイッチング素子は、互いに異なる相のスイッチング素子である。よって、これらのスイッチング素子に入力されるPWM信号は、位相の異なる制御指令信号に基づき生成されるものである。一方、第1、第2の実施形態およびその変形例においては、リンギング電圧の打ち消し合いがなされるスイッチング素子は、同一相におけるスイッチング素子である。よって、これらのスイッチング素子に入力されるPWM信号は、同じ制御指令信号に基づき生成されるものである。したがって、第1,第2の実施形態およびその変形例の場合のように、同一相におけるスイッチング素子同士でリンギング電圧の打ち消し合いがなされる実施形態の方が、より精度の良いノイズ抑制を図ることが可能である。
本変形例では、第3の実施形態と同様にU相,V相,W相のスイッチング素子間でリンギング電圧が互いに打ち消されるようにする構成であるが、各スイッチング素子で発生するリンギング電圧が理想的な正弦波である場合に、特に良好なノイズ抑制効果を奏する構成について説明する。
図16は本変形例に係るタイミングチャートを示す図であり、図16(a),(b),(c)は、それぞれ、ハイサイドスイッチング素子Q31,Q33,Q35に発生するリンギング電圧Vru,Vrv,Vrwの波形の拡大図である。位相差βをリンギング電圧の3分の1周期分に相当する値に設定することにより、リンギング電圧Vru,Vrv,Vrwが正確な正弦波である場合には、これらのリンギング電圧の足し合わせはゼロとなり、リンギング電圧が互いに相殺される。
[第4の実施形態]
図17は、第4の実施形態に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム400の全体構成を示す図である。図17を用いて第4の実施形態について説明する。
電力変換装置413は、電圧検出部401,電流検出部403,三相インバータ402,コントローラ405からなる。電流検出部403,三相インバータ402は、それぞれ、第3の実施形態における電流検出部303,三相インバータ302と同一の構成である。一方、電圧検出部401,コントローラ405は、第3の実施形態における電圧検出部301,コントローラ305と構成が異なる。
リンギング電圧の周波数は、数1より、スイッチング素子の出力容量Cによって定まるが、スイッチング素子の端子間の電圧が高くなると、スイッチング素子の出力容量は小さくなる特性をもっていることが知られている。よって、リンギング電圧に基づくノイズが三相インバータ402から直流電源DC側へ伝導することにより電源電圧値が上がるにしたがって、リンギング電圧の周波数は大きくなる。そのため、電源電圧が大きく変動するシステムにおいて良好なノイズ抑制効果を得るためには、位相シフト部における位相差の設定値を可変にする必要がある。
具体的には、各電源電圧値におけるスイッチング素子の出力容量が分かれば、数5によりリンギング電圧の周波数を算出することができる。そして、この周波数に基づき数2または数6から位相差の設定値を算出することによって、データベースを作成することができる。位相シフト部408は、電圧検出部401で検出した電源電圧値に基づくフィードバック信号を得て、当該信号に応じた位相差の設定値をデータベースから読み込み、位相シフト動作を行う。
[第5の実施形態]
図18は、第5の実施形態に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム500の全体構成を示す図である。図18を用いて第5の実施形態について説明する。
電力変換装置513は、電流検出部501,503、三相インバータ502、コントローラ505からなる。電流検出部503,三相インバータ502は、それぞれ、第4の実施形態における電流検出部403,三相インバータ402と同一の構成である。一方、コントローラ505は、第4の実施形態におけるコントローラ405と構成が異なり、電流検出部501は第4の実施形態にはない構成である。
電流検出部501はハイパスフィルターを備えており、三相インバータ502から直流電源DC側へ伝導するリンギング電圧成分を検出する。リンギング電圧成分のゼロクロスを判定することでリンギング電圧の周波数を算出し、このリンギング電圧の周波数に基づき、数2または数6から位相差の設定値を決定する。位相シフト部508は、このように決定した位相差に基づき、位相シフト動作を行う。
[第6の実施形態]
図19は、第6の実施形態に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム600の全体構成を示す図である。図19を用いて第6の実施形態について説明する。
電力変換装置613は、電圧検出部601,電流検出部603,三相インバータ602,コントローラ605からなる。電圧検出部601,三相インバータ602は、それぞれ、第3の実施形態における電流検出部301、第5の実施形態における三相インバータ502と同一の構成である。一方、電流検出部603,コントローラ605は、第5の実施形態における電流検出部503,コントローラ505と構成が異なる。
電流検出部603はハイパスフィルターを備えており、三相インバータ602からモータ604側へ伝導するリンギング電圧成分を検出する。リンギング電圧成分のゼロクロスを判定することでリンギング電圧の周波数を算出し、このリンギング電圧の周波数に基づき、数2または数6から位相差の設定値を決定する。位相シフト部608は、このように決定した位相差に基づき、位相シフト動作を行う。
第1〜第6の実施形態においては、三相インバータを構成する各スイッチング素子の電流流通率を変えて出力電圧を制御するPWM方式による説明をしたが、本発明はこれに限られない。本実施形態では、直流電源と三相インバータとの間にチョッパ回路を接続し、チョッパ回路の出力電圧を可変することでモータの入力電圧を可変制御する駆動方式、いわゆるPAM(Pulse Amplitude Modulation)方式による電力変換装置についての実施例を説明する。
負荷駆動システム700は直流電源DC,電力変換装置713,モータ704からなる。
直流電源DCは電源系統を整流して得られる直流電源、または、バッテリタイプの直流電源である。
昇圧チョッパ回路716は直流電源DCの電圧を昇圧し、昇圧後の直流電圧を三相インバータ702に出力する回路である。昇圧チョッパ回路716は、インダクタ714,ダイオード715,スイッチング素子群Q7,キャパシタ711を備える一般的な構成である。スイッチング素子群Q7は、第1および第2の実施形態のスイッチング素子群と同様に、スイッチング素子群Q7に流せる電流量を増加させることを目的として、スイッチング素子Q7a,Q7bが並列接続して構成されている。スイッチング素子Q7a,Q7bのゲート端子にはゲート駆動回路GDが接続されている。
コントローラ705は、ゲート駆動回路GDへの指令信号であるPWM信号を生成する。このPWM信号をゲート駆動回路GDを介してスイッチング素子Q7a,Q7bのゲート端子へ出力することにより、各スイッチング素子が個別に制御される。また、コントローラ705は三相インバータ702への指令信号も生成している。
ここで、仮に並列接続された関係にあるスイッチング素子Q7a,Q7bを同期して動作させた場合には、スイッチング動作に伴うリンギング電圧が重畳してしまい、スイッチングノイズが増大する。
なお、図20ではスイッチング素子群Q7が2個のスイッチング素子からなる構成であったが、個数はこれに限定されず、3個のスイッチング素子からなることとしてもよい。その場合には、第2の実施形態およびその変形例の構成を採用することができる。
本実施形態では、本発明を三相コンバータに適用した実施例を説明する。
図21は本実施形態に係る電力変換装置を備える負荷駆動システム800の全体構成を示す図である。
図21に示すように、負荷駆動システム800はコンバータ・インバータ方式の電力変換装置を備える負荷駆動システムであり、三相交流電源AC,電力変換装置813,モータ804からなる。
電力変換装置813は、三相コンバータ817,三相インバータ802,コントローラ805,キャパシタ811からなり、三相交流電源ACから供給される三相交流電力を直流電力に整流したのち、再びU相,V相,W相の三相交流電力に変換し、モータ804に給電するものである。
三相インバータ802は、三相コンバータ817から出力される直流電力を三相交流電力に変換し、これをモータ804に給電する。三相インバータ802の詳細な構成は図示していないが、第3の実施形態における三相インバータ302と同様に、三相ブリッジにより構成されている。
キャパシタ811は、電力変換装置813内の電圧変動を抑制するために設けられている。
以上、第1〜第8の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られない。例えば、以下のような変形例等が考えられる。
[変形例]
(1)第1、第2の実施形態およびその変形例では、U相アームのハイサイドスイッチング素子群のみを取り上げてノイズ抑制原理について説明したが、ローサイドスイッチング素子群は、オンとオフを逆にすることで同様に説明することができる。V相アーム,W相アームの各スイッチング素子群の場合についても、U相アームと同様の原理で説明できる。
(2)第1,第2,第3の実施形態では、位相差αがリンギング電圧の半周期分、すなわち0.5周期である構成を示したが、この位相差αは1.5周期、2.5周期のように、0.5×N(Nは正の奇数)に相当する遅延量であればリンギング電圧を互いに打ち消すようにすることができるため、ノイズ抑制効果を得ることが可能である。しかし、この場合には、遅れた周期分のリンギングが打ち消されずに残ってしまうため、位相差αが0.5周期である構成と比較して、ノイズ抑制効果は低いものとなる。なお、上記の実施形態、例えば第1の実施形態では、スイッチング素子Q11aに対してスイッチング素子Q11bのスイッチング動作のタイミングを遅延させる例を示したが、スイッチング素子Q11aに対してスイッチング素子Q11bのスイッチング動作のタイミングを進めることでも同様のノイズ抑制効果を得ることができる。
したがって、スイッチング素子が2個並列接続されており、かつ、各スイッチング素子から発生するリンギング電圧が正確な正弦波であると仮定した場合の「略半周期」の範囲は、117°から243°である。
(5)通常、同一相のアームのハイサイドスイッチング素子群とローサイドスイッチング素子群が同時にオンとなることによる短絡防止のため、デッドタイムが設けられる。すなわち、第1の実施形態の場合、スイッチング素子Q11a,Q11bがオンからオフへ状態遷移してから、所定時間をおいてスイッチング素子Q12a,Q12bがオフからオンへ状態遷移し、この所定時間をデッドタイムと呼んでいる。ここで、スイッチング素子Q12aに設けられるデッドタイムと、スイッチング素子Q12bに設けられるデッドタイムは同一であることが望ましい。このようにすることで、デッドタイムの設定期間の差による、ノイズ抑制効果の低減を防ぐことができる。
FPGAは、約200[MHz](約5[nsec])程度のクロックまで動作させることが可能である。仮に、スイッチング素子Q31を容量、スイッチング素子Q32を抵抗体とみなす場合を考える。スイッチング素子Q31,Q32とキャパシタ311とを結ぶ閉回路に含まれる寄生インダクタンスの総和が50[nH]、スイッチング素子Q31の出力容量が120[pF]であるとすると、数1より、リンギング電圧の周波数fは約65[MHz]である。そうすると、数2よりαは約7.7[nsec]と算出されるので、FPGAにより第3の実施形態のような制御を行うことが可能である。
(7)本発明に係る電力変換装置のノイズ抑制手法は、近年注目されているSiCやGaN等のワイドバンドギャップ半導体をスイッチング素子に適用した場合に、さらに有効である。この理由について以下に説明する。
(9)第1〜第6の実施形態では、三相インバータ内にキャパシタが含まれる例を図示しているが、キャパシタが三相インバータ内に含まれていない構成であってもよい。
(11)第1,第2の実施形態において、一つのスイッチング素子群において並列接続されたスイッチング素子の数は2または3であった。上記の実施形態の構成を応用することで、これ以上の数のスイッチング素子が並列接続された場合に対応することが可能である。
(12)第4〜第6の実施形態では、リンギング電圧に基づくノイズを検出するノイズ検出部を用いることにより、リンギング電圧の周波数帯域が変動するシステムであっても、効率的なノイズ抑制効果を得ることを可能としている。具体的には、第4の実施形態におけるノイズ検出部は電圧検出部401に、第5の実施形態におけるノイズ検出部は電流検出部501に、第6の実施形態におけるノイズ検出部は電流検出部603に、それぞれ相当する。
(15)上記の実施形態および変形例は単なる好適例に過ぎず、何らこれに限定されない。また、これらの実施形態および変形例に挙げた構成を適宜好適に組み合わせることも可能である。
101、301、401、601 電圧検出部
102、202、302、402、502、602、702、802、902 三相インバータ
103、303、403、501、503、603 電流検出部
104、304、404、504、604、704、804、904 モータ
105、105A、305、405、505、605、705、805、905 コントローラ
106、106A、306、406、506、606 キャリア信号生成部
107、107A、307、407、507、607 PWM信号生成部
108、208、308、408、508、608 位相シフト部
108u U相位相シフト部
108v V相位相シフト部
108w W相位相シフト部
109、309、409、509、609 電流指令部
110、310、410、510、610 電流制御部
111、311、411、511、611、711、811 キャパシタ(平滑コンデンサ)
112u、212u、312u、412u、512u、612u、817u、912u、 U相アーム
112v、212v、312v、412v、512v、612v、817v、912v V相アーム
112w、212w、312w、412w、512w、612w、817w、912w W相アーム
113、113A、313、413、513、613、713、813 電力変換装置
714 インダクタ
715 ダイオード
716 昇圧チョッパ回路
817 三相コンバータ
318 擬似電源回路網(LISN)
319 スペクトラムアナライザ
320 負荷
321 パルスジェネレータ
322u U相電圧検出部
322v V相電圧検出部
DC 直流電源
AC 三相交流電源
GD ゲート駆動回路
Q11、Q13、Q15、Q21、Q23、Q25、Q91 ハイサイドスイッチング素子群
Q12、Q14、Q16、Q22、Q24、Q26、Q92 ローサイドスイッチング素子群
Q7 スイッチング素子群
Q31、Q33、Q35、Q41、Q43、Q45、Q51、Q53、Q55、Q61、Q63、Q65、Q81、Q83、Q85 ハイサイドスイッチング素子
Q32、Q34、Q36、Q42、Q44、Q46、Q52、Q54、Q56、Q62、Q64、Q66、Q82、Q84、Q86 ローサイドスイッチング素子
Q11a〜Q16a、Q11b〜Q16b、Q21a〜Q26a、Q21b〜Q26b、Q21c〜Q26c、Q7a、Q7b、Q91a、Q92a、Q91b、Q92b スイッチング素子
R1、R2 抵抗
C1、C2 キャパシタ
Lcap_1、Lcap_2、Lw_1、Lw_2、Lm_1〜Lm_4 寄生インダクタンス
Coss_1、Coss_2 出力容量
Vra、Vrb、Vrc、Vru、Vrv、Vrw リンギング電圧
Cr、Cra、Crb キャリア信号
Du U相制御指令信号
Dv V相制御指令信号
Dw W相制御指令信号
Pu、Pu’、Pua、Pub、Puc U相PWM信号
Pv、Pv’、Pva、Pvb、Pvc V相PWM信号
Pw、Pw’、Pwa、Pwb、Pwc W相PWM信号
Claims (23)
- キャパシタと、
前記キャパシタに並列接続された複数のスイッチング素子と、
前記各スイッチング素子におけるスイッチング動作を個別に制御するコントローラと、を備え、
前記複数のスイッチング素子が互いに並列に接続され、
前記複数のスイッチング素子のうちいずれか1つと前記キャパシタとを含む閉回路が、前記スイッチング素子毎に形成された電力変換装置であって、
前記コントローラは、
前記各スイッチング素子で行われるオンまたはオフのスイッチング動作によって前記各閉回路に発生し、前記各閉回路に含まれるインダクタンスとその閉回路に含まれるスイッチング素子の出力容量とで規定される周波数をそれぞれ有するリンギング電圧が、前記複数の閉回路のうち少なくとも2つの閉回路間で互いに打ち消されるように、
前記少なくとも2つの閉回路のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを互いにずらす、
電力変換装置。 - 前記コントローラは、
前記スイッチング動作のタイミングを、前記少なくとも2つの閉回路のスイッチング素子間で、互いに前記リンギング電圧の周期の略半周期分ずらす、
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記複数の閉回路は、それぞれ、第1、第2および第3のスイッチング素子を含む閉回路であり、
前記第1、第2および第3のスイッチング素子は互いに並列に接続されており、
前記コントローラは、
前記第2のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを、前記第1のスイッチング素子におけるスイッチング動作に対し前記リンギング電圧の略1/3周期遅延させ、かつ、
前記第3のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを、前記第1のスイッチング素子におけるスイッチング動作に対し前記リンギング電圧の略2/3周期分遅延させる、
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記コントローラは、
キャリア信号を生成するキャリア信号生成部と、
制御指令信号を生成する制御指令信号生成部と、
前記スイッチング動作を行うタイミングを制御するためのパルス幅変調信号を、前記キャリア信号と前記制御指令信号との比較に基づき生成するパルス幅変調信号生成部と、
前記パルス幅変調信号に基づき前記各スイッチング素子用のパルス幅変調信号を生成する位相シフト部であって、前記少なくとも2つの閉回路のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを互いにずらすように、前記各スイッチング素子用のパルス幅変調信号間で所定の位相差を設ける位相シフト部と、を備える、
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記コントローラは、
前記各スイッチング素子用のキャリア信号を生成するキャリア信号生成部であって、前記少なくとも2つの閉回路のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを互いにずらすように、前記各スイッチング素子用のキャリア信号間で所定の位相差を設けたキャリア信号を生成するキャリア信号生成部と、
制御指令信号を生成する制御指令信号生成部と、
前記スイッチング動作を行うタイミングを制御するための前記各スイッチング素子用のパルス幅変調信号を、対応する各スイッチング素子用の前記キャリア信号と前記制御指令信号との比較に基づき生成するパルス幅変調信号生成部と、を備える、
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記周波数frの逆数を前記リンギング電圧の周期とし、
前記コントローラは、
前記スイッチング動作のタイミングが、前記少なくとも2つの閉回路のスイッチング素子間で互いに前記周期の略半周期分ずれるように制御する、
請求項6に記載の電力変換装置。 - 前記複数の閉回路は、それぞれ、第1、第2および第3のスイッチング素子を含む閉回路であり、
前記周波数frの逆数を前記リンギング電圧の周期とし、
前記コントローラは、
前記第2のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを、前記第1のスイッチング素子におけるスイッチング動作に対し前記周期の略1/3周期分遅延させ、かつ、
前記第3のスイッチング素子におけるスイッチング動作のタイミングを、前記第1のスイッチング素子におけるスイッチング動作に対し前記周期の略2/3周期分遅延させる、
請求項6に記載の電力変換装置。 - キャパシタと、
前記キャパシタに並列接続されたスイッチング素子を含む、N個のアームにより構成されるN相ブリッジ(Nは正の整数)と、
所定時間をかけて第1レベルから第2レベルへ遷移したのち第2レベルから第1レベルへのリセットを繰り返すキャリア信号を用いたパルス幅変調に基づき、前記各アームのスイッチング素子におけるスイッチング動作を制御するコントローラと、を備え、
前記N個のアームが互いに並列に接続され、
前記N個のアームのうちいずれか1つと前記キャパシタとを含む閉回路が、前記アーム毎に形成された電力変換装置であって、
前記コントローラは、
前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作によって前記各閉回路に発生し、前記各閉回路に含まれるインダクタンスとその閉回路のアームを構成するスイッチング素子の出力容量とで規定される周波数をそれぞれ有するリンギング電圧が、前記複数の閉回路のうち少なくとも2つの閉回路間で互いに打ち消されるように、
前記少なくとも2つの閉回路に対応するアームのスイッチング素子における、前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを互いにずらす、
電力変換装置。 - 前記コントローラは、
前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを、前記少なくとも2つの閉回路に対応するアーム間で、互いに前記リンギング電圧の周期の略半周期分ずらす、
請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記複数の閉回路は、それぞれ、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む閉回路であり、
前記コントローラは、
前記U相アームに対し、前記V相アームのスイッチング素子における前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを、前記リンギング電圧の略1/3周期遅延させ、かつ、
前記U相アームに対し、前記W相アームのスイッチング素子における前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを、前記リンギング電圧の略2/3周期分遅延させる、
請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記コントローラは、
前記キャリア信号を生成するキャリア信号生成部と、
制御指令信号を生成する制御指令信号生成部と、
前記スイッチング動作を行うタイミングを制御するためのパルス幅変調信号を、前記キャリア信号と前記制御指令信号との比較に基づき生成するパルス幅変調信号生成部と、
前記パルス幅変調信号に基づき前記各アーム用のパルス幅変調信号を生成する位相シフト部であって、前記少なくとも2つの閉回路に対応するアームのスイッチング素子における、前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを互いにずらすように、各パルス幅変調信号間で所定の位相差を設ける位相シフト部と、を備える、
請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記コントローラは、
前記各アーム用のキャリア信号を生成するキャリア信号生成部であって、前記少なくとも2つの閉回路に対応するアームのスイッチング素子における、前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを互いにずらすように、前記各アーム用のキャリア信号間で所定の位相差を設けたキャリア信号を生成するキャリア信号生成部と、
制御指令信号を生成する制御指令信号生成部と、
前記スイッチング動作を行うタイミングを制御するための前記各アーム用のパルス幅変調信号を、対応するアーム用の前記キャリア信号と前記制御指令信号との比較に基づき生成するパルス幅変調信号生成部と、を備える、
請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記周波数frの逆数を前記リンギング電圧の周期とし、
前記コントローラは、
前記キャリア信号のリセットに伴って行われる前記スイッチング動作のタイミングが、前記少なくとも2つの閉回路に対応するアーム間で互いに前記周期の略半周期分ずれるように制御する、
請求項14に記載の電力変換装置。 - 前記複数の閉回路は、それぞれ、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む閉回路であり、
前記周波数frの逆数を前記リンギング電圧の周期とし、
前記コントローラは、
前記U相アームに対し、前記V相アームのスイッチング素子における前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを、前記リンギング電圧の略1/3周期遅延させ、かつ、
前記U相アームに対し、前記W相アームのスイッチング素子における前記キャリア信号のリセットに伴って行われるスイッチング動作のタイミングを、前記リンギング電圧の略2/3周期分遅延させる、
請求項14に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換装置は、さらに、
前記リンギング電圧に基づくノイズを検出するノイズ検出部を備え、
前記ノイズ検出部の検出結果に応じて、前記スイッチング動作のタイミングのずれ量を可変とする、
請求項1または請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記ノイズ検出部は、前記電力変換装置の入力端子におけるノイズを検出する、
請求項17に記載の電力変換装置。 - 前記ノイズ検出部は、前記電力変換装置の出力端子におけるノイズを検出する、
請求項17に記載の電力変換装置。 - 前記スイッチング素子におけるオンからオフへの遷移時間と、オフからオンへの遷移時間とが同一である、
請求項1または請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体により構成されている、
請求項1または請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換装置は、さらに、
前記電力変換装置の入力端子に接続された電源の電圧値を検出する電圧検出部を備え、
前記電圧検出部の検出結果に応じて、前記スイッチング動作のタイミングのずれ量を可変とする、
請求項1または請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記位相シフト部は、フィールドプログラマブルゲートアレイにより構成され、
前記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体により構成されている、
請求項4または12に記載の電力変換装置。
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