JP5104744B2 - ガスセンサ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子及びその製造方法に関する。
ガスセンサ素子としては、排ガス中の酸素濃度を検出して空燃比制御を行うもの、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)等の特定ガス成分の濃度を検出するもの等がある。そして、ガスセンサ素子の形状としては、固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなる積層タイプのものがある。
この積層タイプのガスセンサ素子においては、酸素イオン導電性を有するジルコニアによって固体電解質シートを形成し、この固体電解質シートの両表面に一対の電極を設けている。そして、この一対の電極を設けた複数の固体電解質シートを、電気絶縁性を有するアルミナシートを介して積層することが行われている。このようなガスセンサ素子としては、例えば、特許文献1、2に開示されたものがある。
特開2007−40987号公報 特開2004−93200号公報
ところで、アルミナの熱伝導率は、15〜40W/mK程度であるのに対し、ジルコニアの熱伝導率は、2〜4W/mK程度である。そのため、ガスセンサ素子においてアルミナを多く用いれば、ガスセンサ素子の早期活性化を図るために有利になる。また、アルミナの曲げ強度は、800MPa程度であるのに対し、ジルコニアの曲げ強度は、470MPa程度である。そのため、ガスセンサ素子においてアルミナを多く用いれば、ガスセンサ素子の強度を図るために有利である。
しかしながら、従来のガスセンサ素子においては、一対の電極を設ける固体電解質シートは、すべてジルコニアから形成している。そのため、ガスセンサ素子の早期活性化及び強度向上の改善を図るためには更なる工夫が必要とされる。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、早期活性化を図ることができると共に強度に優れたガスセンサ素子及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子において、
上記固体電解質シートは、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるアルミナシートに設けた充填用貫通穴内に、酸素イオン導電性を有するジルコニア材料からなるジルコニア充填部を配設してなり、
上記一対の電極は、上記ジルコニア充填部の両表面に設けてあり、
上記アルミナシートの両表面には、該アルミナシートよりも薄く、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層が積層してあり、
該一対の表面アルミナ層には、上記ジルコニア充填部の配設箇所に対応して開口用貫通穴が設けてあり、
該開口用貫通穴の周縁部は、上記ジルコニア充填部の両表面における外縁部に重なっていることを特徴とするガスセンサ素子にある(請求項1)。
本発明のガスセンサ素子は、固体電解質シートの形成状態に工夫をすることによって、ガスセンサ素子の早期活性化及び強度向上を図っている。
具体的には、本発明の固体電解質シートは、上記アルミナシートに設けた充填用貫通穴内に上記ジルコニア充填部を配設してなり、ジルコニア充填部に一対の電極を設けている。これにより、固体電解質シートにおいて、ジルコニア材料を用いる部位は、一対の電極の配設箇所に対応する部位だけにすることができ、残りの部位は、熱伝導率及び曲げ強度がジルコニア材料よりも高いアルミナ材料から構成することができる。
それ故、本発明のガスセンサ素子によれば、早期活性化を図ることができ(ガス濃度の検出が可能になる温度により早く到達させることができ)、強度向上(機械的強度、靭性、耐熱強度等の向上)を図ることができる。
第2の発明は、固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子を製造する方法において、
電気絶縁性を有するアルミナ材料を用いて、充填用貫通穴を有するアルミナシートを形成し、
酸素イオン導電性を有するジルコニア材料からなり、上記充填用貫通穴の形状に沿った形状のジルコニアシートを、上記充填用貫通穴内に配置し、
上記ジルコニアシートの両表面における外縁部に重なる状態で、上記アルミナシートの両表面に電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層を配置して、シート体を形成し、
該シート体を焼成することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法にある(請求項)。
本発明のガスセンサ素子の製造方法は、上記第1の発明のガスセンサ素子の製造に適したものである。
具体的には、本発明においては、アルミナシートの充填用貫通穴の形状に沿った形状のジルコニアシートを形成し、このジルコニアシートを充填用貫通穴内に配置する。そして、ジルコニアシートの両表面における外縁部に重なる状態でアルミナシートの両表面に一対の表面アルミナ層を配置して、シート体を形成することにより、ジルコニアシートが充填用貫通穴内から抜け出さないようにすることができる。その後、シート体を焼成することにより、ガスセンサ素子を製造することができる。
それ故、本発明のガスセンサ素子の製造方法によれば、早期活性化を図ることができると共に強度向上を図ることができるガスセンサ素子を安定して製造することができる。
第3の発明は、固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子を製造する方法において、
電気絶縁性を有するアルミナ材料を用いて、充填用貫通穴を有するアルミナシートを形成し、
酸素イオン導電性を有するジルコニア材料のペースト又はスラリーを、上記充填用貫通穴内に充填し乾燥させて、シート体を形成し、
該シート体を焼成することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法にある(請求項)。
本発明のガスセンサ素子の製造方法も、上記第1の発明のガスセンサ素子の製造に適したものである。
具体的には、本発明においては、ジルコニア材料のペースト又はスラリーを、アルミナシートの充填用貫通穴内に充填し乾燥させて、シート体を形成する。その後、シート体を焼成することにより、ガスセンサ素子を製造することができる。
それ故、本発明のガスセンサ素子の製造方法によっても、早期活性化を図ることができると共に強度向上を図ることができるガスセンサ素子を安定して製造することができる。
上述した第1〜第3の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1〜第3の発明において、上記ガスセンサ素子は、排ガス中の酸素濃度を検出して空燃比制御を行うガスセンサ、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)等の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ等に適用することができる。
上記アルミナ材料は、アルミナ(酸化アルミニウム、Al23)を主成分とする(例えば90wt%以上含有する)ものとすることができる。また、アルミナ材料は、アルミナ以外にも、ジルコニア、イットリア、マグネシア、カルシア、シリカ等を含有することができる。
上記ジルコニア材料は、ジルコニア(二酸化ジルコニウム、ZrO2)を主成分とし(例えば85wt%以上含有し)、イットリア(Y23)を添加してなるものとすることができる。また、ジルコニア材料は、ジルコニア、イットリア以外にも、アルミナ、シリカ、マグネシア、カルシア等を含有することができる。
第1の発明において、上記アルミナシートの両表面には、該アルミナシートよりも薄く、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層を積層し、該一対の表面アルミナ層には、上記ジルコニア充填部の配設箇所に対応して開口用貫通穴を設け、該開口用貫通穴の周縁部は、上記ジルコニア充填部の両表面における外縁部に重ねる
これにより、表面アルミナ層によって、ジルコニア充填部が充填用貫通穴内から抜け出してしまうことを防止することができる。また、ジルコニア充填部に設けた一対の電極は、開口用貫通穴からジルコニア充填部の表面に露出させておくことができる。
なお、開口用貫通穴の周縁部は、その全周をジルコニア充填部の両表面における外縁部に重ねることができる。また、開口用貫通穴の周縁部は、その周方向の適宜箇所をジルコニア充填部の両表面における外縁部に重ねることもできる。
また、上記ガスセンサ素子は、上記ジルコニア充填部を配設した2枚の上記アルミナシートを、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるスペーサを介して積層し、該スペーサによって、上記2枚のアルミナシートにおける上記ジルコニア充填部に対応する位置に、被測定ガスを導入するためのチャンバーを形成することが好ましい(請求項)。
この場合には、ジルコニア充填部を配設した2枚のアルミナシートを、スペーサを介して積層することにより、ジルコニア充填部に設けた被測定ガス側の電極を、スペーサによって形成したチャンバーに露出させることができる。そして、早期活性化を図ることができると共に強度に優れたガスセンサ素子を形成することができる。
以下に、本発明のガスセンサ素子及びその製造方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例のガスセンサ素子1は、図1、図2に示すごとく、固体電解質シート2の両表面の互いに対向する位置に一対の電極5(被測定ガス側電極5及び基準ガス側電極5)を設けてなる。本例の固体電解質シート2は、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるアルミナシート3に設けた充填用貫通穴31内に、酸素イオン導電性を有するジルコニア材料からなるジルコニア充填部4を配設してなる。そして、一対の電極5は、ジルコニア充填部4の両表面に設けてある。
以下に、本例のガスセンサ素子1及びその製造方法につき、図1〜図3を参照して詳説する。
本例のガスセンサ素子1は、NOx濃度を測定するガスセンサに用いる。なお、本例のガスセンサ素子1は、これ以外にも、酸素濃度を測定する原理を利用した種々のガスセンサに適用することができる。
図1に示すごとく、本例のガスセンサ素子1は、ジルコニア充填部4を配設した2枚のアルミナシート3を、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるスペーサ6を介して積層してなる。このスペーサ6には、2枚のアルミナシート3におけるジルコニア充填部4に対応する位置に、被測定ガスGを導入するためのチャンバー61が形成されている。
本例の2枚のアルミナシート3は、ジルコニア充填部4の一方側の表面に被測定ガスGが接触する被測定ガス側電極5を設けると共に、ジルコニア充填部4の他方側の表面に基準ガスA(大気等)が接触する基準ガス側電極5を設けてなる。第1のアルミナシート3Aは、ジルコニア充填部4の一方側の表面に設けた被測定ガス側電極5と、これに対向してジルコニア充填部4の他方側の表面に設けた基準ガス側電極5とによって、被測定ガスG中の酸素濃度を適切な濃度に調整するためのポンプセル21を形成している。また、第2のアルミナシート3Bは、ジルコニア充填部4の一方側の表面に設けた基準ガス側電極5と、これに対向してジルコニア充填部4の他方側の表面に設けた被測定ガス側電極5とによって、被測定ガスG中の酸素濃度を検出するためのモニタセル22を形成すると共に、ジルコニア充填部4の一方側の表面に設けた基準ガス側電極5と、これに対向してジルコニア充填部4の他方側の表面に設けたNOx活性を有する被測定ガス側電極5とによって、被測定ガスG中のNOx濃度を検出するためのセンサセル23を形成してなる。
図2は、第1のアルミナシート3Aの平面状態を示し、図3は、第2のアルミナシート3Bの平面状態を示す。
両図に示すごとく、本例の各アルミナシート3においては、ジルコニア充填部4は1箇所に形成してある。本例の充填用貫通穴31(ジルコニア充填部4)は、四角形状の電極5の形状に合わせて四角形状に形成してある。モニタセル22とセンサセル23とは、ジルコニア充填部4において隣接して形成してある(図3参照)。
図1に示すごとく、第1のアルミナシート3Aの他方側の表面には、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるヒータ基板721に、通電により発熱する発熱体722を設けてなるヒータ72が積層してある。ヒータ基板721には、基準ガスAを導入するためのチャンバー61が形成してある。第2のアルミナシート3Bには、被測定ガスGを通過させる通過孔32とを形成し、第2のアルミナシート3Bの一方側の表面には、被測定ガスGを透過させることができる多孔質体からなる拡散抵抗層71を通過孔32を覆う状態で積層することができる。
本例のアルミナ材料は、アルミナを主成分とし、ジルコニア、イットリア、マグネシアを添加してなる。本例のジルコニア材料は、ジルコニアを主成分とし、イットリアを添加してなる。
本例のガスセンサ素子1は、固体電解質シート2の形成状態に工夫をすることによって、ガスセンサ素子1の早期活性化及び強度向上を図っている。
具体的には、本例の固体電解質シート2は、アルミナシート3に設けた充填用貫通穴31内にジルコニア充填部4を配設してなり、ジルコニア充填部4に一対の電極5を設けている。これにより、固体電解質シート2において、ジルコニア材料を用いる部位は、一対の電極5の配設箇所に対応する部位だけにすることができ、残りの部位は、熱伝導率及び曲げ強度がジルコニア材料よりも高いアルミナ材料から構成することができる。
それ故、本例のガスセンサ素子1によれば、早期活性化を図ることができ(ガス濃度の検出が可能になる温度により早く到達させることができ)、強度向上(機械的強度、靭性、耐熱強度等の向上)を図ることができる。
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、アルミナシート3の両表面に、アルミナシート3よりも薄く、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層35を積層して、固体電解質シート2を形成した例である。
本例においても、アルミナシート3に設けた充填用貫通穴31内にはジルコニア充填部4が配設してあり、ジルコニア充填部4の両表面には一対の電極5が設けてある。また、本例の一対の表面アルミナ層35には、ジルコニア充填部4の配設箇所に対応して開口用貫通穴351が設けてある。開口用貫通穴351の周縁部は、ジルコニア充填部4の両表面における外縁部に重ねてあり、ジルコニア充填部4が充填用貫通穴31内から抜け出さないようにしてある。開口用貫通穴351は、ジルコニア充填部4(充填用貫通穴31)よりも小さく、ジルコニア充填部4における電極5よりも大きな形状に形成してある。そして、ジルコニア充填部4の両表面における外縁部に開口用貫通穴351の周縁部が重なった状態において、一対の電極5を、開口用貫通穴351を介して、ジルコニア充填部4の表面に露出させておく。
本例のガスセンサ素子1は、以下のようにして製造することができる。
すなわち、本例においては、まず、図5に示すごとく、電気絶縁性を有するアルミナ材料を用いて、充填用貫通穴31を有するアルミナシート3を形成する。次いで、図6に示すごとく、酸素イオン導電性を有するジルコニア材料からなり、充填用貫通穴31の形状に沿った形状のジルコニア充填部4となるジルコニアシートを、充填用貫通穴31内に配置する。次いで、図7に示すごとく、ジルコニア充填部4の両表面における外縁部に重なる状態で、アルミナシート3の両表面に電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層35(本例ではシート状のもの)を積層して、シート体20を形成する(図4参照)。ここで、一対の電極5は、ジルコニアシートを充填用貫通穴31内に配置する前にジルコニアシートの両表面に設けておくことができる。また、一対の電極5は、ジルコニアシートを充填用貫通穴31内に配置した後にジルコニアシートの両表面に設けることもできる。
なお、表面アルミナ層35は、アルミナシート3とする以外にも、ペースト、スラリー等を塗布することによって形成することもできる。
次いで、2枚のシート体20を、アルミナ材料からなるスペーサ6を介して積層し、第1のシート体20(上記第1のアルミナシート3A)にヒータ72を積層すると共に、第2のシート体20(上記第2のアルミナシート3B)に拡散抵抗層71を積層して、積層体を形成する(図1参照)。スペーサ6は、シート材を用いて形成することができ、ペースト、スラリー等をアルミナシート3の表面に塗布して形成することもできる。また、各構成部品間の積層は、アルミナ材料からなるペースト、スラリー等を塗布して行うことができる。その後、積層体を焼成してガスセンサ素子1を製造する。
本例のガスセンサ素子1の製造方法によれば、早期活性化を図ることができると共に強度向上を図ることができるガスセンサ素子1を安定して製造することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例3)
本例は、ガスセンサ素子1を製造する他の方法を示す例である。
本例の製造方法においては、まず、図5に示すごとく、電気絶縁性を有するアルミナ材料を用いて、充填用貫通穴31を有するアルミナシート3を形成する。次いで、図8に示すごとく、酸素イオン導電性を有するジルコニア材料のペースト又はスラリーを、充填用貫通穴31内に充填し乾燥させてジルコニア充填部4とし、シート体20を形成する。次いで、図9に示すごとく、形成したジルコニア充填部4の両表面に一対の電極5を設ける。次いで、2枚のシート体20をアルミナ材料からなるスペーサ6を介して積層し、第1のシート体20にヒータ72を積層すると共に、第2のシート体20に拡散抵抗層71を積層して、積層体を形成する(図1参照)。スペーサ6は、シート材を用いて形成することができ、ペースト、スラリー等をアルミナシート3の表面に塗布して形成することもできる。また、各構成部品間の積層は、アルミナ材料からなるペースト、スラリー等を塗布して行うことができる。その後、積層体を焼成してガスセンサ素子1を製造する。
本例のガスセンサ素子1の製造方法によっても、早期活性化を図ることができると共に強度向上を図ることができるガスセンサ素子1を安定して製造することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1、2と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(早期活性化の確認)
上記実施例1において用いたアルミナ材料の熱伝導率は、約27W/mKであり、実施例1において用いたジルコニア材料の熱伝導率は、約2.3W/mKであった。ジルコニア材料の熱伝導率は、アルミナ材料の熱伝導率に比べて約12倍大きい。
そして、ガスセンサ素子1において用いられるジルコニア材料の割合とアルミナ材料の割合とから、ガスセンサ素子1の活性化時間を検討した。その結果、ジルコニア材料のみからなる固体電解質シート2を用いた従来のガスセンサ素子においては、一対の電極5を設けた検知部分においてガス検知が可能になる温度に安定する活性化時間が、約100秒となった。これに対し、アルミナシート3にジルコニア充填部4を配設した実施例1のガスセンサ素子1においては、上記活性化時間が約80秒となった。このことより、実施例1に示したガスセンサ素子1を用いることにより、早期活性化を図ることができることがわかった。
(素子強度の確認)
上記実施例1において用いたアルミナ材料の曲げ強度は、約800MPaであり、実施例1において用いたジルコニア材料の曲げ強度は、約470MPaであった。
そして、ガスセンサ素子1において用いられるジルコニア材料の割合とアルミナ材料の割合とから、ガスセンサ素子1の曲げ強度を検討した。その結果、ジルコニア材料のみからなる固体電解質シート2を用いた従来のガスセンサ素子においては、曲げ強度が約730MPaとなった。これに対し、アルミナシート3にジルコニア充填部4を配設した実施例1のガスセンサ素子1においては、曲げ強度が約800MPaとなり、この曲げ強度が約1.1倍になった。このことより、実施例1に示したガスセンサ素子1を用いることにより、その強度の向上を図ることができることがわかった。
実施例1における、ガスセンサ素子を示す断面説明図。 実施例1における、ジルコニア充填部を配設した第1のアルミナシートを示す平面説明図。 実施例1における、ジルコニア充填部を配設した第2のアルミナシートを示す平面説明図。 実施例2における、ジルコニア充填部を配設したアルミナシートを示す断面説明図。 実施例2における、充填用貫通穴を形成したアルミナシートを示す断面説明図。 実施例2における、アルミナシートの充填用貫通穴内にジルコニア充填部を配置した状態を示す断面説明図。 実施例2における、ジルコニア充填部を配設したアルミナシートの両表面に一対の表面アルミナ層を積層した状態を示す断面説明図。 実施例3における、ジルコニア充填部を配設したアルミナシートを示す断面説明図。 実施例3における、アルミナシートの充填用貫通穴内にジルコニアのペーストを配置した状態を示す断面説明図。
符号の説明
1 ガスセンサ素子
2 固体電解質シート
20 シート体
3 アルミナシート
31 充填用貫通穴
35 表面アルミナ層
351 開口用貫通穴
4 ジルコニア充填部
5 一対の電極
6 スペーサ
61 チャンバー

Claims (4)

  1. 固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子において、
    上記固体電解質シートは、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるアルミナシートに設けた充填用貫通穴内に、酸素イオン導電性を有するジルコニア材料からなるジルコニア充填部を配設してなり、
    上記一対の電極は、上記ジルコニア充填部の両表面に設けてあり、
    上記アルミナシートの両表面には、該アルミナシートよりも薄く、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層が積層してあり、
    該一対の表面アルミナ層には、上記ジルコニア充填部の配設箇所に対応して開口用貫通穴が設けてあり、
    該開口用貫通穴の周縁部は、上記ジルコニア充填部の両表面における外縁部に重なっていることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 請求項において、上記ガスセンサ素子は、上記ジルコニア充填部を配設した2枚の上記アルミナシートを、電気絶縁性を有するアルミナ材料からなるスペーサを介して積層してなり、
    該スペーサによって、上記2枚のアルミナシートにおける上記ジルコニア充填部に対応する位置に、被測定ガスを導入するためのチャンバーを形成したことを特徴とするガスセンサ素子。
  3. 固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子を製造する方法において、
    電気絶縁性を有するアルミナ材料を用いて、充填用貫通穴を有するアルミナシートを形成し、
    酸素イオン導電性を有するジルコニア材料からなり、上記充填用貫通穴の形状に沿った形状のジルコニアシートを、上記充填用貫通穴内に配置し、
    上記ジルコニアシートの両表面における外縁部に重なる状態で、上記アルミナシートの両表面に電気絶縁性を有するアルミナ材料からなる一対の表面アルミナ層を配置して、シート体を形成し、
    該シート体を焼成することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  4. 固体電解質シートの両表面の互いに対向する位置に一対の電極を設けてなるガスセンサ素子を製造する方法において、
    電気絶縁性を有するアルミナ材料を用いて、充填用貫通穴を有するアルミナシートを形成し、
    酸素イオン導電性を有するジルコニア材料のペースト又はスラリーを、上記充填用貫通穴内に充填し乾燥させて、シート体を形成し、
    該シート体を焼成することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
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