JP3874690B2 - 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサ - Google Patents

積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサに関する。更に詳しくは、耐熱衝撃性等の熱的強度に優れる積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサに関する。本発明の積層型ガスセンサ素子及びガスセンサは、自動車等の内燃機関の排気ガス中のガス成分の検知及び測定に使用されるラムダセンサ素子、空燃比センサ素子、窒素酸化物センサ素子及び炭化水素ガスセンサ素子等のガスセンサ素子及びこのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平9−26409号公報等に開示されているように、センサ素子内に内室を備えるセンサ素子が知られている。更に、特開平11−316211号公報等に開示されているように、2つの固体電解質体と内室とを備えるセンサ素子が知られている。これらのセンサ素子では、固体電解質体がセンサ素子を構成する構造部材としても機能するように厚く形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、内燃機関からの排気ガスの調査を内燃機関の始動直後から開始しようとするためにガスセンサでは早期始動できることが強く望まれている。また、同時に更なる小型化も望まれている。このようにガスセンサの早期始動を実現するためには、固体電解質体を活性温度にまで極短時間で昇温させる必要がある。
しかし、固体電解質体を構成する材質は一般に熱伝導率が低く、また、熱衝撃に比較的弱い。このため、固体電解質体が大きいことは、ガスセンサ素子の早期始動性を向上させるうえや、クラックや割れを防止するうえでも不利である。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来に比べて内燃機関の始動後早期に測定を開始でき、高い耐熱衝撃性を発揮でき、より小型化することが可能である積層型ガスセンサ素子を提供することを目的とする。また、このような積層型ガスセンサ素子を安定して得ることができる積層型ガスセンサ素子の製造方法を提供することを目的とする。更に、このような積層型ガスセンサ素子を備えるガスセンサ素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型ガスセンサ素子は、絶縁性セラミックスから形成された第1絶縁性基部と、固体電解質からなる第1セル部用固体電解質体、該第1セル部用固体電解質体の全側面を取り囲んでいる層間調節層及び該第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の電極である第1セル部用電極を備える第1セル部と、絶縁性セラミックスから形成され、且つ、該第1セル部用電極のうちの一方の電極と被測定雰囲気とが接するように配置された通気性を有する多孔質部を備える第2絶縁性基部とが
該第1セル部の一面側に該第1絶縁性基部が、該第1セル部の他面側に該第2絶縁性基部が、積層されて備えられ、
該第1セル部用固体電解質体は、該第2絶縁性基部の1/2倍以下の厚さであり、且つ、長手方向及び幅方向において該第2絶縁性基部よりも小さいことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の積層型ガスセンサ素子は、上記第1セル部用固体電解質体は、幅方向において上記第2絶縁性基部よりも小さいものとすることができる。更に、上記第1絶縁性基部は、発熱部及び該発熱部に連接されたヒータリード部を備えるヒータを表面又は内部に有し、該発熱部は該第1絶縁性基部の長手方向の一端側に配置され、該発熱部の投影像は上記第1セル部用固体電解質体の投影像と重なるものとすることができる。また、上記第1絶縁性基部と上記第2絶縁性基部との間に大気導入室又は検知室となる内室を備え、上記第1セル部用電極のうちの他方は該内室内の雰囲気と接するように配置され、且つ、該第1セル部用固体電解質体は、幅方向において該内室と同じ大きさか又は該内室よりも小さいものとすることができる。更に、上記内室を隔てて上記第1セル部用固体電解質体と対向する固体電解質からなる第2セル部用固体電解質体と、一方の電極が該内室内の雰囲気と接するように該第2セル部用固体電解質体の表面に各々形成された一対の電極である第2セル部用電極と、を有する第2セル部を備えるものとすることができる。また、上記第2セル部用固体電解質体は、長手方向及び幅方向において上記第1セル部用固体電解質体よりも小さいものとすることができる。更に、焼成されて上記第1絶縁性基部となる未焼成第1シート及び焼成されて上記第2絶縁性基部となる未焼成第2シートの各々の焼成収縮率は、焼成されて第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率と同じか若しくは大きいものとすることができる。
【0007】
本発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法は、上記第1絶縁性基部となる未焼成第1シートを備える第1積層体と、上記第2絶縁性基部となる未焼成第2シート及び上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体を備える第2積層体と、を積層した後、焼成する工程を備え、
該未焼成第1シートの焼成収縮率及び該未焼成第2シートの焼成収縮率を、該未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率より大きくすることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
本発明の積層型ガスセンサ素子によると、各固体電解質体を必要な温度にまで昇温させるための時間が短縮でき、より早期の始動が可能となる。また、従来に比べてより小型の積層型ガスセンサ素子を容易に得ることができる。更に、内部抵抗を低減させ消費電力を少なくできる。また、内部抵抗の低減により印加電圧が低くなり、固体電解質体を分解(ブラックニング)させることなく広い範囲(例えば、A/F値において)での測定が可能となる。更に、高い耐熱性(クラック及び割れ等を防止できる)を発揮できる。
更に、第1セル部用固体電解質体が幅方向において第2絶縁性基部よりも小さいことにより、更に早期始動性に優れ、高い耐熱性を発揮できる。また、必要な部分にのみ固体電解質体を形成した場合には、電極リード部等における電流のリークを危惧する必要がなく、固体電解質体の一部表面に絶縁層等の絶縁手段を形成する必要がないため、製造工程上簡便である。更に、第1絶縁性基部が所定の位置にヒータを有することで特に早期始動性に優れる。また、大気導入室又は検知室となる内室を備え、第1セル部用固体電解質体が幅方向において内室より小さいことにより、更に早期始動性に優れ、高い耐熱性を発揮できる。
【0009】
更に、第2セル部を備えることにより、測定に2つ以上のセルを必要とする空燃比センサ素子や窒素酸化物センサ素子等においても、同様に早期始動性に優れ、高い耐熱性を発揮できる。また、第1セル部用固体電解質体よりも第2セル部用固体電解質体が小さいことにより、測定に2つ以上のセルを必要とするガスセンサ素子において、更に早期始動性に優れ、高い耐熱性を発揮できる。未焼成第1シート及び未焼成第2シートの各々の焼成収縮率が未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率と同じか若しくは大きいことにより、特に高い耐熱性及び機械的強度を発揮できるガスセンサ素子となる。
【0010】
本発明のガスセンサ素子の製造方法によると、従来に比べて早期に測定を開始でき、高い耐熱性及び機械的強度を発揮でき、更には小型化されたガスセンサ素子を安定して、確実に得ることができる。
また、本発明のガスセンサによると、小型であって、早期に測定を開始でき、高い耐久性を発揮できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[1]素子を構成する部分
本発明の積層型ガスセンサ素子は、第1絶縁性基部と、第1セル部と、第2絶縁性基部と、の少なくとも3つの部分を備える。以下、これら部分、及び、その他、本発明の積層型ガスセンサ素子が備えることができる部分について説明する。
【0012】
(1)第1絶縁性基部
上記「第1絶縁性基部」は、後述する第2絶縁性基部と共に積層型ガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)全体を支える部分である。この第1絶縁性基部の形状及び大きさ等は特に限定されない。また、その厚さも特に限定されないが、例えば、0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)とすることができる。但し、ヒータを内部に有するためには、厚さは0.2mm以上であることが好ましい。この厚さが0.1mm未満であると素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第1絶縁性基部となる未焼成第1シート上に他部材を積層する工程を要する場合には、この工程を行うことが困難となる場合がある。また、第1絶縁性基部は単層体であっても複層体であってもよい。
【0013】
また、第1絶縁性基部は上記「絶縁性セラミックス」から構成されて十分な絶縁性を発揮できる。その絶縁性は特に限定はされないが、例えば、後述のように表面又は内部にヒータを備える場合には、このヒータと素子が備える電極(第1セル部用電極等)との間の電気抵抗値が1MΩ(好ましくは10MΩ)以上となることが好ましい。
このような絶縁性を発揮させることができる絶縁性セラミックスとしては、アルミナ、ムライト、スピネル、ステアタイト及び窒化アルミニウム等のうちの1種又は2種以上を主成分とするものを挙げることができる。中でもアルミナは安価であり、成形も容易である。このアルミナを用いる場合には十分な絶縁性及び耐熱性(耐熱衝撃性等)を発揮させるために、第1絶縁性基部全体に対してアルミナを70質量%以上(より好ましくは80質量%以上、更に好ましく90質量%)含有することが好ましい。
【0014】
一方、残部として第1絶縁性基部に直接接して積層される部位を構成する成分を1〜20質量%含有させることができる。これにより第1絶縁性基部とこれに直接接して積層される部位との間の熱膨張差を緩和できる。しかし、特に高い絶縁性を発揮させようとする場合には、第1絶縁性基部全体に対してアルミナを
90質量%以上(より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99.99%以上)含有し、且つシリカ成分の含有量を10000ppm以下(より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは50ppm以下)含有するか又はシリカ成分を含有しない(測定限界以下)ことが好ましい。このような第1絶縁性基部では、後述するヒータを第1絶縁性基部の内部及び/又は表面に備える場合等に特に効果的に電流のリークを防止できる。
【0015】
(2)第1セル部
上記「第1セル部」は、第1セル部用固体電解質体と一対の電極である第1セル部用電極とを備え、所定のイオン又は気体を一方の電極の側から他方の電極の側へ移動させることができる部分である。この第1セル部は、例えば、被測定ガスの濃度を電位差等として出力できる濃淡電池部や、一対の電極へ電圧を印加することにより一方の電極の側から他方の電極の側へ所定のイオン又は気体等を移動させることができるポンプセル部等として機能させることができる。この第1セル部は、第1セル部用固体電解質体と一対の第1セル部用電極のみからなっていてもよいが、その他にも例えば、第1セル部用固体電解質体の内部抵抗を測定するための内部抵抗測定用電極等の他の部分を備えることができる。
尚、被測定ガスは、被測定雰囲気を構成するガスであって、本発明の素子による測定目的ガスであり、1種又は2種以上の成分からなるものである。
【0016】
(2−1)第1セル部用固体電解質体
上記「第1セル部用固体電解質体」は、イオン導電性を有するものであれば特に限定されることなく用いることができる。この第1セル部用固体電解質体としては、例えば、ジルコニア系焼結体(イットリア等の安定化剤を含有できる)、LaGaO系焼結体等を挙げることができる。これらの中でも、酸素イオンを導電させる場合には、酸素イオン導電性に特に優れたジルコニア系焼結体(イットリア等を安定化剤として含有)を用いることが好ましい。
【0017】
更には、第1セル部用固体電解質体を構成するジルコニア結晶は、キュービック相(以下、単に「C相」という)及びテトラゴナル相(以下、単に「T相」という)の2相を主体とするものであることが好ましい。特に、モノクリニック相(以下、単に「M相」という)は、下記式▲1▼を満たす程度に微量であるか又は測定限界以下であることが好ましい。
【数1】
Figure 0003874690
【0018】
この第1セル部用固体電解質体は、第1絶縁性基部及び/又は第2絶縁性基部に直接接して積層されていてもよく、第1セル部用電極やその他の部材を介して間接的に積層されていてもよい。但し、第1セル部用固体電解質体が第1絶縁性基部及び/又は第2絶縁性基部に直接接して積層される場合には、第1セル部用固体電解質体全体の80質量%以下(より好ましくは50質量%以下)の第1絶縁性基部及び/又は後述する第2絶縁性基部を構成する成分を含有させることができる。
【0019】
また、第1セル部用固体電解質体の形状及び大きさは特に限定されないが、その厚さは、後述する第2絶縁性基部の厚さの1/2倍以下(好ましくは1/5倍以下、より好ましくは1/10倍以下、通常20μm以上)である。この厚さが、第2絶縁性基部が薄いために1/2倍を超える場合は、素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第2絶縁性基部となる未焼成第2シート上に他部材を積層する工程を要する場合には、この工程を行うことが困難となる場合がある。一方、この厚さが、第1セル部用固体電解質体が厚いために1/2倍を超える場合は、第1セル部を構成する電極間の内部抵抗が過度に大きくなり、短時間で固体電解質体を十分なイオン導電性が発揮される程度にまで加熱し難く、早期始動が困難となる。
【0020】
更に、厚さは前述のように第2絶縁性基部の厚さに対しては1/2倍以下であれば、具体的な厚さは特に限定されないが、例えば、300μm以下(好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下、通常20μm以上)とすることができる。
但し、上記の第1セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部との厚さの相関は、第1セル部用固体電解質体の最も厚い領域と第2絶縁性基部の最も薄い領域とを比較した場合の相関である。
【0021】
この第1セル部用固体電解質体を300μm以下と薄くした場合には素子を小型化でき、また熱伝導率がアルミナ等に比べて小さいのが通常である固体電解質体の体積を小さくでき、素子内の熱伝導性が向上し、熱が第1セル部に伝わり易くなるため素子の更なる早期始動が可能となる。更に、その温度の保持に要するエネルギー量もより少なく抑えることが可能となる等、種々の優れた効果を発揮させることができる。この第1セル部用固体電解質体は300μmを超えて厚い場合であっても素子としての機能は失われないが上記の優れた効果は得られ難くなる。一方、20μmより薄い場合には作製が困難となり、また、イオン導電性が十分に得られ難くなる傾向にある。
【0022】
(2−2)第1セル部用電極
上記「第1セル部用電極」は、第1セル部用固体電解質体の表面に形成された電極である。この第1セル部用電極のうちの一方のみは、後述する第2絶縁性基部の備える多孔質部を介して被測定雰囲気と接することができる電極である。また、他方の電極は、大気雰囲気や一定圧力の参照ガスと接し、被測定雰囲気とは接しない電極である。また、第1セル部用電極は、各々第1セル部用固体電解質体の一面と他面に形成されることで対向して配置されていてもよく、また、第1セル部用固体電解質体の一面側に両方の電極が相互に接触しないように配置されていてもよい。また、第1セル部用電極の各々の形状は特に限定されないが、例えば、幅広に形成された電極部と、幅細に形成された電極リード部とから構成することができる。また、これらの電極の大きさも特に限定されない。
【0023】
これら第1セル部用電極を構成する材質は特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ルテニウム及びロジウムのうちの少なくとも1種を主成分(通常、各電極全体の70質量%以上)にすることができ、通常、白金を主成分とすることが好ましい。また、第1セル部用固体電解質体を構成する主成分を含有していてもよい。更に、第1セル部用電極の一方の電極と他方の電極とは異なる材質からなるものであっても、同じ材質からなるものであってもよい。
【0024】
(3)第2絶縁性基部
上記「第2絶縁性基部」は、第1絶縁性基部と共に素子全体を支える部分である。この第2絶縁性基部の形状及び大きさ等は特に限定されない。また、この第2絶縁性基部の厚さは上記の第1セル部用固体電解質層体の厚さとの関係を満たせば特に限定されないが、例えば、0.1mm以上(好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜1.0mm、通常2.0mm以下)とすることができる。この第2絶縁性基部は単層体であっても複層体であってもよい。但し、ヒータを内部に有するためには、厚さは0.2mm以上であることが好ましい。この厚さが0.1mm未満であると素子強度の保障を十分に行うことが困難となる場合がある。また、特に製造時に第2絶縁性基部となる未焼成第2シート上に他部材を積層する工程を要する場合には、この工程を行うことが困難となる場合がある。また、第2絶縁性基部は単層体であっても複層体であってもよい。
【0025】
この第2絶縁性基部は絶縁性セラミックスから形成される(第2絶縁性基部を構成する多孔質部と非多孔質部との両方がこの絶縁性セラミックスから形成されている)。この絶縁性セラミックスとしては、第1絶縁性基部と同様なものを用いることができるが、第1絶縁性基部と第2絶縁性基部を形成する絶縁性セラミックスは同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また、第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部とを形成する絶縁性セラミックスは同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
【0026】
(3−1)多孔質部
上記「多孔質部」は、第2絶縁性基部の一部であって、第1セル部を構成する第1セル部用電極のうちの一方と素子外の被測定雰囲気とを接触させるための部分である。この多孔質部は、電極を構成する金属がリン、鉛及びケイ素等により被毒されることを防止する作用や、素子外における被測定ガスの流速に関わらず電極に接触する時点での被測定ガスの流速を略一定にする律速作用等を発揮することができる。この多孔質部はこれらの作用を十分に発揮できるために、気孔率5%以上(より好ましくは20%以上、更に好ましくは40以上、通常80%以下)であることが好ましい。気孔率が5%未満であると、十分な気孔率の多孔質部を備える素子に比べると応答性が十分に向上しない傾向にある。
また、この多孔質部の形状は特に限定されず、更に、大きさも特に限定されないが、多孔質部の大きさが大きくなると、素子全体の強度が低下する傾向にあるため、過度に大きく形成する必要はない。
【0027】
また、本発明の積層型ガスセンサ素子では、この多孔質部は、その側面の一部又は全部が第2絶縁性基部を構成する非多孔質部により囲まれているものとすることができる。この多孔質部の側面の一部又は全面を取り囲む枠部の幅は最狭部において少なくとも0.2mm以上であることが好ましい。この枠部の最狭部における幅が0.2mm未満となると、焼成時や使用時の冷熱間サイクルや衝撃等に対する耐久性が十分に得られ難くなる傾向にある。また、製造時における未焼成体の取り扱いも難しくなる場合がある。
【0028】
(4)素子を構成することができるその他の部分
本発明の素子は、これまでに述べた第1絶縁性基部と第1セル部と第2絶縁性基部以外にも、素子を構成する他の部分を備えることができる。その他の部分としては、例えば、固体電解質体を加熱するヒータ、検知室や大気導入室等となる内室、内室内に被測定ガスを律速させて導入するための律速導入部、第1セル部と同様にイオン導電性を発揮できる他のセル部、各部分の層間の高さを調節する層間調節層及び第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部との境界が細い導電層と接触することを防止する中間層等を挙げることができる。
【0029】
(4−1)ヒータ
本発明の素子を稼働させるためには第1セル部の備える第1セル部用固体電解質体(後述のように複数のセル部を備える場合にはこれらのセル部が有する各固体電解質体も同様)を所定の温度にまで加熱しないとイオン導電性が十分に発揮され難い。このため、ヒータを備えない素子を用いる場合、例えば、内燃機関の排気ガス中の成分の測定を行う素子では、素子を高温になる排気管内に設置することで素子は自然に所定の温度にまで加熱される場合もある。しかし、内燃機関の作動状態等に依存することなく、常に正確な測定を行うためには第1セル部用固体電解質体を加熱するヒータを備えることが好ましい。
【0030】
このヒータは、通常、発熱部とヒータリード部とを備える。このうち発熱部は電力の供給により実際に昇温する部位であり、ヒータリード部は外部回路からの電力を発熱部まで導く部位である。これらの形状は特に限定されないが、例えば、発熱部はヒータリード部と比較して幅細に形成することができる。また、素子内におけるヒータの位置も特に限定されないが、例えば、第1絶縁性基部の表面及び/又は内部や、第2絶縁性基部の表面や内部等とすることができる。
更に、発熱部及びヒータリード部を構成する材質は特に限定されず、例えば、貴金属、モリブデン及びレニウムの少なくとも1種により構成することができる。また、発熱部とヒータリード部とは同じ材質からなっていてもよく、異なる材質からなっていてもよい。
【0031】
(4−2)内室
本発明の素子をラムダセンサ等の酸素センサとして使用する場合等には、検知室は必要とせず、また、参照ガスを導入する必要も特にないので参照ガス導入室も必要としない。しかし、本発明の素子を空燃比センサや窒素酸化物ガスセンサ等として使用する場合には検知室及び/又は参照ガス導入室となる内室を1つ又は2つ以上必要とする場合がある。
この内室の形状及び大きさは特に限定されないが、積層方向の高さは1.0mm以下(より好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.1mm以下、通常0.02mm以上)であることが好ましい。
【0032】
また、素子内においてこの内室を備える位置は特に限定されないが、例えば、図3〜5、図20及び図21のように、第1絶縁性基部と第1セル部との間に内室を備え、この内室を参照ガス導入室又は検知室として機能させることができる。更に、例えば、図6〜19、図22及び図23のように、後述する第1セル部に加えて第2セル部を備える2セル型の素子では、第1セル部と第2セル部との間に内室を備え、この内室を検知室として機能させることができる。
【0033】
この内室は全方向に閉じたものであってもよく、また、少なくとも一方向で素子外に開放されたものであってもよい。このうち全方向に閉じた形状の内室は参照ガス室として機能させることができる。即ち、第1セル部の一方の電極がこの全方向に閉じた内室内に面し、他方の電極が例えば酸素を含有する被測定雰囲気に面し、第1セル部用固体電解質体をポンプセルとして機能させることで、内室内に酸素を充填することができる。これにより、内室内の雰囲気を参照ガスとして利用することができる。
【0034】
(4−3)律速導入部
上記のように内室を備える場合であって、例えば、上記のように内室が少なくとも一方向で素子外に開放されることにより、内室内に被測定ガスを律速させて導入する必要がある場合には、律速導入部を備えることができる。この律速導入部は、どのように形成されていてもよく、例えば、被測定ガスを律速させて導入できる程度の通気性を有する律速導入用多孔質部(図6等における151及び152)や、被測定ガスを律速させて導入できる程度に小さな貫通孔(図15及び図16における157)等により形成することができる。
この様な律速導入用多孔質部としては、気孔率が5〜40%(より好ましくは5〜30%、更に好ましくは10〜20%)であるものが挙げられる。一方、被測定雰囲気を構成する被測定ガスを律速させて導入できる程度に小さな貫通孔としては、素子外表面における開口面積が0.5mm以下の貫通孔を挙げることができる。
【0035】
(4−4)他のセル部
また、素子はイオン導電部として第1セル部のみを備えるもの(図1〜5、図22及び図23)とすることができるが、その他にもイオン導電性を発揮できるセル部を備えることができる。例えば、第1セル部以外に他のセル部を1つ(以下、「第2セル部」という)のみ備える素子としては図6〜19、図22及び図23に示すような素子を挙げることができる。また、第1セル部以外に他のセル部を2つ(以下、一方を「第2セル部」、他方を「第3セル部」という)を備える素子を挙げることができる。
【0036】
このうち第2セル部は、前述の第1セル部と同様に、第2セル部用固体電解質体と一対の第2セル部用電極とを備える。また、第3セル部は、第3セル部用固体電解質体と一対の第3セル部用電極とを備える。これら第2セル部用固体電解質体及び第3セル部用固体電解質体に関しては、第1セル部用固体電解質体と同様であるが、これらを構成する固体電解質体の大きさ、形状、厚さ及び組成等は各々異なっていても同じであってもよい。また、第2セル部用電極及び第3セル部用電極についても、第1セル部用電極と同様であるが、これらを構成する電極の大きさ、形状、厚さ及び組成等は各々異なっていても同じであってもよい。
【0037】
(4−5)層間調節層
また、素子は、素子の備える各部分間の層間の高さ等を調節する目的で層間調節層を備えることができる。この層間調節層の大きさ、形状、厚さ及び組成等は特に限定されない。この層間調節層としては、例えば、図21及び図23に示すように、第1セル部12と第2セル部13との間に形成された内室15と他部の高さをあわせるために層間調節層153及び154を備えることができる。
【0038】
(4−6)中間層
更に、素子は、第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部との境界が、第2絶縁性基部の層下に配置されるセル部の備える電極と直接接することを防止するために、中間層(例えば、図21及び図23における17)を備えることができる。電極は幅広に形成された電極部と幅細に形成された電極リード部とから形成することができる。しかし、特にこのような幅細の電極リード部が第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部との境界と接すると、製造過程における積層時や焼成時において細線化されたり、切断されることが危惧される。このため、第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部との境界部分に生じ易い段差をできる限り平坦化して取り除くために、この境界と電極との間に薄い層(但し、第2絶縁性基部の通気性を阻害しない)を形成することができる。
【0039】
[2]素子を構成する各部分の相関
これまでに述べたように、素子は、上述の各部分を備えることができるが、以下では、これらの各部分の素子内での大きさ、配置、及び、これら大きさと配置とが反映される各部分の投影像の位置関係により、素子を構成する各部分の相関を説明する。
【0040】
(1)第1セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部との相関
本発明の素子は、前述のように第1セル部用固体電解質体が第2絶縁性基部よりも厚さが薄いことに加えて、素子の長手方向において第1セル部用固体電解質体の方が第2絶縁性基部よりも短いものである。このような態様であることにより、第1セル部は早期に安定して所定の温度にまで加熱され、少ないエネルギー量でこの温度が保持できる。この素子の長手方向における第1セル部用固体電解質体の長さは、第2絶縁性基部の1/2倍以下(より好ましくは1/4倍以下、更に好ましくは1/8倍以下、通常1/20倍以上)であることが好ましい。
【0041】
また、素子の幅方向においては、第1セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部との相関は特に限定されず、例えば、第1セル部用固体電解質体の方が第2絶縁性基部よりも小さくても(図2、図4〜図9、図11〜図13、図17及び図18)、第1セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部とが同じ大きさ(図1、図3、図10、図14、図15、図16及び図19)であってもよい。しかし、第1セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部とが同じ大きさである場合に比べて、長手方向におけると同様に第1セル部を早期に安定して所定の温度に加熱し、少ないエネルギー量で所定の温度を保持できるため、第1セル部用固体電解質体の方が第2絶縁性基部よりも短いことが好ましい。この素子の幅方向における第1セル部用固体電解質体の幅は、第2絶縁性基部の3/4倍以下(より好ましくは2/3倍以下、更に好ましくは1/2倍以下、通常1/5倍以上)であることが好ましい。
【0042】
更に、素子の長手方向における第1セル部用固体電解質体と第2絶縁性基部の多孔質部との相関は特に限定されない。従って、第1セル部用固体電解質体の方が多孔質部よりも小さくてもよく、大きくてもよく、第1セル部用固体電解質体と多孔質部とが同じ大きさであってもよい。しかし、同じ大きさであるか又は第1セル部用固体電解質体の方が多孔質部よりも小さいことが好ましく、更には、第1セル部用固体電解質体の方が多孔質部よりも小さいことがより好ましい。
【0043】
同様に、素子の幅方向においても、第1セル部用固体電解質体と多孔質部との相関は特に限定されず、例えば、第1セル部用固体電解質体の方が多孔質部よりも小さくても(図2、図4〜図9及び図13)、大きくても(図1、図10、図11、図14、図15、図16及び図19)、第1セル部用固体電解質体と多孔質部とが同じ大きさ(図12)であってもよい。しかし、同じ大きさであるか又は第1セル部用固体電解質体の方が多孔質部よりも小さいことが好ましく、更には、第1セル部用固体電解質体の方が多孔質部よりも小さいことがより好ましい。
これらの第1セル部用固体電解質体と多孔質部との相関が好ましい理由は、前述の通りである。
【0044】
更に、第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線は、多孔質部の投影像の外周線と少なくとも一部で重ならないことが好ましく、全周で重ならないことがより好ましい。これは、素子を構成する各部分の外周線は他部に比べてクラックや割れの起点となる確率が高い部分であるため、各部分の外周線は相互に接触しないように位置していることが好ましいからである。即ち、このような態様であることにより、クラックや割れの起点となる可能性のある部位を素子内で分散させることとなり、素子のクラックや割れが効果的に防止できる。
従って、前述のように早期に安定して所定の温度にまで加熱され、少ないエネルギー量でこの温度が保持できることに加えて、クラックや割れを防止できるため、第1セル部用固体電解質体は多孔質部よりも小さく、且つ、第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線は多孔質部の投影像の外周線の内側に位置することが好ましい。
【0045】
(2)第1セル部用固体電解質体とヒータとの相関
素子では、素子の長手方向において第1セル部用固体電解質体をどの位置に備えていてもよいが、例えば、長板状の素子では素子の長手方向の一端側に配置されたものとすることができる。このような素子において、第1絶縁性基部の表面又は内部にヒータを備える場合、ヒータの発熱部の投影像は第1セル部用固体電解質体の投影像と少なくとも一部で重なるように配置されていることが好ましく、発熱部の投影像の外周縁の内側に第1セル部用固体電解質体の投影像が位置するように配置されていることがより好ましい。同様に、第1セル部用固体電解質体が素子の一端側に配置された素子において、第2絶縁性基部がその表面又は内部にヒータを備える場合には、このヒータの発熱部の投影像も第1セル部用固体電解質体の投影像と少なくとも一部で重なることが好ましく、発熱部の投影像の外周縁の内側に第1セル部用固体電解質体の投影像が位置することがより好ましい。このような態様であることにより、素子は加熱を要するイオン導電部を効率よく(時間も消費電力も)加熱及び保温することができる。
【0046】
(3)第1セル部用固体電解質体と内室との相関
素子が前述のように内室を備える場合に、第1セル部用固体電解質体と内室との相関は特に限定されず、第1セル部用固体電解質体の方が内室よりも小さくてもよく(図4、図6〜図9、図13、図17及び図18)、大きくてもよく(図3、図5、図10、図11、図14〜図16及び図19)、第1セル部用固体電解質体と内室とが同じ大きさ(図12)であってもよい。しかし、前述のようにより早期に安定して所定の温度にまで加熱され、より少ないエネルギー量でこの温度が保持できるためには、第1セル部用固体電解質体と内室とは同じ大きさであるか、又は第1セル部用固体電解質体の方が内室よりも小さいことが好ましく、更には、第1セル部用固体電解質体の方が内室よりも小さいことがより好ましい。
【0047】
また、第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線と第1セル部用固体電解質体と面する内室の投影像の外周線とは少なくとも一部で重ならないことが好ましく、全周で重ならないことがより好ましい。この理由は第1セル部用固体電解質体と多孔質部との相関におけると同様であり、クラックや割れの起点となる可能性のある部位が素子内で分散されるためである。これにより、第1セル部用固体電解質体は内室である空間とこの空間を形作る層間調節層等の緻密層とを跨がない構造となり、素子は製造段階における焼成時や、使用段階における冷熱間サイクル時にクラックや割れを生じ難いという高い耐熱性を発揮できることとなる。この相関は、素子内にイオン導電部を第1セル部しか有さない素子(即ち例えば、図3に示すような断面構造を有する素子)だけでなく、素子内に2つのイオン導電部を有し且つこれらイオン導電部が内室を介して対向する構造を有する素子(即ち例えば、図6に示すような断面構造を有する素子)においても同様である。
【0048】
従って、早期に安定して所定の温度にまで加熱され、少ないエネルギー量でこの温度が保持できることに加えて、クラックや割れを防止できるため、第1セル部用固体電解質体は内室よりも小さく、且つ、第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線は内室の投影像の外周線の内側に位置することが好ましい。
尚、図22では第2セル部固体電解質体131は、内室15と層間調節層154とを跨いで形成されている。これは第1セル部用固体電解質体121に比べて第2セル部用固体電解質体131は、その積層方向(内室15及び層間調節層154に面する)の表面積が小さい。このため、内室15と層間調節層154とを跨いで形成されていても、上記のような第1セル部用固体電解質体と内室との場合におけるような問題は生じないものとすることができる。
【0049】
(4)第1セル部用固体電解質体と第2セル部用固体電解質体との相関
また、本発明の素子では第1セル部と第2セル部との2つのイオン導電部を備えることができる。このような素子では、第1セル部用固体電解質体と第2セル部用固体電解質体との大きさの相関は特に限定されず、第1セル部用固体電解質体の方が第2セル部用固体電解質体よりも大きくてもよく(図7〜図9)、小さくてもよく(図6、図10〜図12及び図15〜図18)、第1セル部用固体電解質体と第2セル部用固体電解質体とが同じ大きさであってもよい(図13、図14及び図19)。
【0050】
しかし、素子の長手方向及び幅方向の少なくとも一方の方向において第1セル部用固体電解質体よりも第2セル部用固体電解質体の方が小さいことが好ましい。更には、素子の長手方向及び幅方向の両方の方向において第1セル部用固体電解質体よりも第2セル部用固体電解質体の方が小さいことがより好ましい。また、特に第2セル部用固体電解質体の投影像の外周線が第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線の内側に位置することが特に好ましい。このような態様であることにより、素子は早期始動性に優れるものとなる。
【0051】
(5)内室と多孔質部との相関
更に、本発明の素子では、第1絶縁性基部と第2絶縁性基部とを他の各部分に比べて相対的に厚く形成することができる。このような場合であって、本発明の素子が内室を備える場合には、第2絶縁性基部の多孔質部と非多孔質部との境界面のうち第2絶縁性基部の第1絶縁性基部に対向する側の表面に現れる境界線の投影像と、内室のうち第2絶縁性基部側に位置する内室の外周線の投影像とは少なくとも一部で重ならないことが好ましく、その全周で重ならないことがより好ましい。
これにより、前述の第1セル部用固体電解質体と多孔質部との相関におけると同様にクラックや割れの起点となる確率が高い外周線が相互に接触しないように配置され、素子のクラックや割れが効果的に防止される。
また、このような態様であることに加えて、内室が素子の長手方向及び幅方向の各々の方向で多孔質部よりも小さいことが好ましい。このような態様であることにより、素子の機械的強度を向上させることができる。
【0052】
(6)第1セル部用電極と多孔質部との相関
本発明の素子では、第1セル部を構成する一対の電極のうちのいずれか一方のみが多孔質部を介して被測定雰囲気と接するように配置されている。即ち、一対の電極のうちの一方の電極の外周線の投影像が多孔質部の外周線の投影像と少なくとも一部で重なることを意味する。この重なりは第1セル部用電極の30%以上(より好ましくは60%以上、更に好ましくは全面)であることが好ましい。
【0053】
(7)第1セル部用電極と第2セル部用電極との相関
本発明の素子において、内室を隔てて第1セル部と対向する第2セル部を備えることができる。このような素子においては、第1セル部用電極のうちの内室に面する電極の実電極領域と、第2セル部用電極のうちの内室に面する電極の実電極領域とは、少なくとも一部で対向(40%以上、更に好ましくは60%以上)していることが好ましく、特に第1セル部用電極のうちの内室に面する電極の投影像は、第2セル部用電極のうちの内室に面する電極の投影像内にすべて含まれるように配置されていることが好ましい。このような態様の素子は応答性に優れ、測定雰囲気の変化が激しい場合であっても応答遅れを生じ難いものとなる。
【0054】
尚、上記でいう実電極領域とは、電極のうち各セル部内において実際にイオンを導電させる機能に関与する領域である。即ち、第1セル部用電極の内室に面する電極においては、一面側で固体電解質体と接し、他面側で内室に面している領域である。一方、第2セル部用電極の内室に面する電極においても、一面側で固体電解質体と接し、他面側で内室に面している領域である。例えば、図19における第1セル部用電極123と第2セル部用電極132とにはそれぞれ、実電極領域と非実電極領域がある。
【0055】
[3]素子の具体的な構成
素子は、上記[1]において説明した各部分を備え、更にこれらの各部分は上記[2]において説明したような相関を有することができる。このような素子の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、以下のような、イオン導電部を1つ備える素子、イオン導電部を2つ備える素子、及び、イオン導電部を3つ備える素子等を挙げることができる。
【0056】
(1)イオン導電部を1つのみ備える素子
例えば、第1絶縁性基部、1つの内室、第1セル部及び第2絶縁性基部の各々をこの順に積層して備えるイオン導電部を1つのみ備える素子である。
この素子は、更に例えば、第1セル部を構成する第1セル部用固体電解質体として酸素イオン導電性を有するものを用いてこの第1セル部を酸素濃淡電池として機能させ、内室を参照ガス導入室として用いることで、酸素センサや空燃比センサ等として用いることができる。尚、この素子でいう参照ガス導入室は、測定に際して基準となるガスを導入するための室である。この基準となるガスとしては、大気や一定濃度に保たれた各種の気体等を用いることができる。
【0057】
このような素子としては、図3(幅方向断面図)、図20(長手方向断面図)及び図21(分解斜視図)に示すような具体的構成とすることができる。尚、図20は図3のA−A’における模式的な断面図であり、図3は図20のB−B’における模式的な断面図である。
即ち、第1絶縁性基部11は、第1絶縁性基部下部111と第1絶縁性基部上部112との間に発熱部114及びヒータリード部115を備え、スルーホール116を介してヒータ取出パッド117から外部と導通されるヒータ113を備えるものとすることができる。また、第1内室15は層間調節層153により形成することができる。更に、第1セル部12は、第1セル部用固体電解質体121と、この第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の第1セル部用電極122及び123と、層間調節層124とを備えるものとすることができる。
【0058】
これらの第1セル部用電極のうちの一方の電極123は、層間調節層124の端部に形成されたスルーホール125を介し、更に後述する中間層非多孔質部172に形成されたスルーホール174を介し、後述する第2絶縁性基部非多孔質部162の端部に形成されたスルーホール163を介して電極取出パッド165に接続して、外部回路へと導出することができる。一方、電極122は、後述する中間層非多孔質部172の端部に形成されたスルーホール173を介し、後述する第2絶縁性基部非多孔質部162の端部に形成されたスルーホール163を介して電極取出パッド164に接続して、外部回路へと導出することができる。
【0059】
また、多孔質材から形成された中間層多孔質部171及び非多孔質材から形成された中間層非多孔部172を有する中間層を備えることができる。更に、多孔質材から形成された第2絶縁性基部多孔質部161及び非多孔質材から形成された第2絶縁性基部非多孔部162を有する第2絶縁性基部を備えることができる。この第2絶縁性基部多孔質部161と第2絶縁性基部非多孔質部162との境界167は、この中間層多孔質部171と中間層非多孔質部172との境界176と接しないことが好ましい。
【0060】
(2)イオン導電部を2つ備える素子
また、例えば、第1絶縁性基部、第2セル部、1つの内室、第1セル部及び第2絶縁性基部の各々をこの順に積層して備えるイオン導電部を2つ備える素子である。
この素子は、更に例えば、第1セル部及び第2セル部の各々を構成する固体電解質体として酸素イオン導電性を有するものを用い、第2セル部を酸素濃淡電池として機能させ、第1セル部を酸素ポンプとして機能させ、内室を検知室として用いることで、空燃比センサ等として用いることができる。尚、この素子でいう検知室は、被測定雰囲気中に含有される酸素を第1セル部の酸素ポンプ作用により導入及び導出でき、また、第2セル部の濃淡電池作用により、室内の酸素濃度を測定することができる室である。
このような素子としては、図6(幅方向断面図)、図22(長手方向断面図)及び図23(分解斜視図)に示すような具体的な構成とすることができる。尚、図22は図6のA−A’における模式的な断面図であり、図6は図22のB−B’における模式的な断面図である。また、この素子については、後述する実施例で詳細に説明する。
【0061】
(3)イオン導電部を3つ備える素子
更に、例えば、第1絶縁性基部、第3セル部、第2内室及び第3内室、第2セル部、第1内室、第1セル部及び第2絶縁性基部の各々をこの順に積層して備えるイオン導電部を3つ備える素子である。
この素子は、第1セル部、第2セル部及び第3セル部の各々を構成する固体電解質体として酸素イオン導電性を有するものを用い、第1セル部及び第3セル部を酸素ポンプセルとして機能させ、第2セル部を酸素濃淡電池として機能させ、第1内室を検知室として用い、第2内室を第1内室に連通する一酸化窒素分解室とし、第3内室を参照ガス室として用いることで、窒素酸化物センサ素子として用いることができる。
【0062】
[4]本発明の素子の製造方法
以下では、本発明の素子の製造方法について説明する。
本発明の素子を得る方法は特に限定されず、例えば、第1絶縁性基部となる未焼成第1シート又は第2絶縁性基部となる未焼成第2シートの一面側に、焼成されて各部となる未焼成部分(未焼成第1セル部や、未焼成第2シート又は未焼成第1シート等)を順次積層し、得られる未焼成素子を焼成して得ることができる。
【0063】
また、本発明の製造方法のように第1積層体と第2積層体とに分けて積層する工程を経る製造方法により得ることもでき、この製造方法においては更に第1絶縁性シート及び第2絶縁性シートを除く他の部分となる未焼成部分は、第1積層体及び第2積層体のいずれの積層体中に形成されていてもよい。以下で説明する第1積層体と第2積層体とに分けて積層する工程を備え、且つ、第2積層体側に未焼成第1セル部を形成する工程を備える製造方法は、特にイオン導電部を2つ以上備える素子の製造に適している。
【0064】
上記「未焼成第1シート」は、焼成されて第1絶縁性基部となるものである。この未焼成第1シートを構成し、焼成されて絶縁性セラミックスとなる未焼成絶縁性セラミックスは、焼成されて十分な絶縁性を発揮できるものであれば特に限定されない。その形成方法も特に限定されないが、例えば、セラミック原料粉末(例えば、アルミナ、ムライト、スピネル、ステアタイト及び窒化アルミニウム等のうちの1種又は2種以上からなる粉末又はこれらを主成分とする粉末)、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをドクターブレード法等により、シート状に成形した後、乾燥させて、得られるグリーンシートを所望の大きさに切り出すことにより得られる素シートとして、又は、この素シートを複数枚積層したものとして得ることができる。
【0065】
上記「第1積層体」は、未焼成第1シートのみからなるか、又は、未焼成第1シートとその他の未焼成部分を備えるものである。その他の未焼成部分とは、焼成されて第2絶縁性基部となる未焼成第2シート及び第1セル部となる未焼成第1セル部を除く他の部分である。その他の未焼成部分としては、例えば、焼成されて層間調節層となる未焼成層間調節層や、複数のイオン導電部を備えることとなる未焼成素子を形成する場合には、焼成されて第2セル部や第3セル部となる未焼成イオン導電部等を挙げることができる。
【0066】
上記「未焼成第2シート」は、焼成されて第2絶縁性基部となるものである。この未焼成第2シートを構成し、焼成されて非多孔質部となる未焼成非多孔質部を構成する絶縁性セラミックスは、上記で述べた未焼成第1シートにおける未焼成絶縁性セラミック部と同様なものとすることができる。
一方、焼成されて多孔質部となる未焼成多孔質部を構成する絶縁性セラミックスは、焼成されて十分な通気性を発揮できるものであれば特に限定されず、その形成方法も特に限定されない。例えば、セラミック原料粉末(例えば、アルミナ、ムライト、スピネル、ステアタイト及び窒化アルミニウム等のうちの1種又は2種以上からなる粉末又はこれらを主成分とする粉末)、多孔質化粉末(例えば、カーボン粉末、テオブロミン等のキサンチン誘導体等からなる粉末又はこれらを主成分とする粉末)、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをドクターブレード法等により、シート状に成形した後、乾燥させて、得られるグリーンシートを所望の大きさに切り出すことにより得られる素シートとして、又は、この素シートを複数枚積層したものとして得ることができる。
【0067】
上記「未焼成第1セル部用固体電解質体」は、焼成されて第1セル部の第1セル部用固体電解質体となる部分である。この未焼成第1セル部用固体電解質体は、前述のように焼成されてイオン導電性を発揮できるものであれば特に限定されないが、酸素イオンを導電させるためにジルコニア系焼結体を第1セル部用固体電解質体として用いる場合には、セラミック原料粉末として、ジルコニア粉末及びイットリア粉末等が配合されたものを用いることができる。
【0068】
この未焼成第1セル部用固体電解質体の形成方法は特に限定されないが、例えば、セラミック原料粉末(例えば、ジルコニア粉末及びイットリア粉末等からなる粉末又はこれらを主成分とする粉末)、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをドクターブレード法により成形した後、乾燥させて得られるグリーンシートを所定の大きさに切り出して得ることができる。また、同様なペーストをスクリーン印刷法により成形した後、乾燥させて得ることができる。
【0069】
また、第1セル部用固体電解質体と共に第1セル部を構成することとなる、一対の第1セル部用電極は、未焼成第1セル部用電極として形成することができる。この未焼成第1セル部用電極は、焼成されて導電性を発揮できるものであれば特に限定されない。その形成方法も特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ルテニウム及びロジウムのうちの少なくとも1種の金属を含有する原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをスクリーン印刷法等により、未焼成第1セル部用固体電解質体の表面に、所望の形状に薄く塗布した後、乾燥させて得ることができる。
また、この未焼成第1セル部用電極を、未焼成第1セル部用固体電解質体の表面に上記の形成方法等により形成することで未焼成第1セル部を得ることができる。
【0070】
上記「第2積層体」は、未焼成第2シート及び未焼成第1セル部のみからなるか、又は、未焼成第2シート及び未焼成第1セル部とその他の未焼成部分を備えるものである。このその他の未焼成部分とは、焼成されて第1絶縁性基部となる未焼成第1シートを除く他の部分の未焼成体であれば特に限定されないが、例えば、焼成されて層間調節層となる未焼成層間調節層や、複数のイオン導電部を備えることとなる未焼成素子を形成する場合には、焼成されて第2セル部や第3セル部となる未焼成イオン導電部等を挙げることができる。
【0071】
また、検知室や参照ガス導入室等となる内室の形成方法は特に限定されないが、例えば、内室となる積層面にスペーサを介して第1積層体と第2積層体とを接合することで、焼成後に内室を得ることができる。また、焼成により焼失するペーストを充填したり、このようなペーストから得られる未焼成シートを積層することにより、焼成後に内室を得ることができる。
【0072】
更に、本発明の素子では第1絶縁性基部又は第2絶縁性基部の表面にヒータを備えることができるが、このような第1絶縁性基部及び第2絶縁性基部は、例えば、1枚の素シート又は複数枚の素シートが積層された複層素シートの表面に焼成されてヒータとなる未焼成ヒータを形成することにより得ることができる。また、本発明の素子では第1絶縁性基部又は第2絶縁性基部の内部にヒータを備えることができるが、このような第1絶縁性基部及び第2絶縁性基部は、例えば、焼成後にヒータとなる未焼成ヒータを素シート又は複層素シートの一面に形成し、次いで、この未焼成ヒータを覆うように、更に別の素シート又は別の複層素シートを積層圧着し、乾燥させることにより得ることができる。
【0073】
この未焼成ヒータは、焼成後に通電により発熱する導電層であればよく、その形成方法は特に限定はされないが、例えば、貴金属、モリブデン及びレニウムの少なくとも1種の金属を含有する原料粉末、バインダ及び可塑剤等から調合されたペーストをスクリーン印刷法等により所望の形状に成形した後、乾燥させることで得ることができる。
【0074】
[5]本発明の素子及び製造方法における各未焼成体の焼成収縮
未焼成第1シート(第1絶縁性基部となる)、未焼成第2シート(第2絶縁性基部となる)、未焼成第1セル部用固体電解質体(第1セル部用固体電解質体となる)及び未焼成第2セル部用固体電解質体(第2セル部用固体電解質体となる)の各々の焼成収縮率は特に限定されず、また、これらの焼成収縮率の相関も特に限定されない。従って、未焼成第1シートの焼成収縮率と未焼成第2シートの焼成収縮率とは同じであっても、異なっていてもよい。同様に、未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率と未焼成第2セル部用固体電解質体の焼成収縮率とは同じであっても、異なっていてもよい。
【0075】
しかし、未焼成第1シート及び未焼成第2シートの両方の焼成収縮率が、未焼成イオン導電部用固体電解質体の焼成収縮率よりも大きく(より好ましくは0.3〜6%大きく、更に好ましくは0.3〜3%大きく、特に好ましくは0.5〜1.5%大きく)することが好ましい。但し、複数の未焼成イオン導電部用固体電解質体を備える場合には少なくとも最も大きい未焼成イオン導電部用固体電解質体の焼成収縮率よりも大きいことが好ましい。このような焼成収縮率の相関とすることにより、各絶縁性基部による残留応力を適度に固体電解質体に付加した状態を焼成後に保つことができ、クラック及び割れの防止に極めて効果的である。
【0076】
尚、上記にいう焼成収縮率(%)とは、未焼成体の所定位置の長さをLとし、温度1300〜1600℃において焼成して得られた焼成体の同じ位置の長さをLとした場合に、下記式▲2▼から算出される割合X(%)をいうものとする。
X(%)={(L−L2)/L)}×100 ・・・ ▲2▼
また、上記にいう一方の焼成収縮率が他方の焼成収縮率よりもX%大きいとは、未焼成第1シート及び未焼成第2シートのうちの小さい方の焼成収縮率をX%とし、未焼成イオン導電部用固体電解質体の焼成収縮率(複数の未焼成イオン導電部用固体電解質体を備える場合には最も大きい焼成収縮率)をX%とした場合に、X=X−Xであることをいうものとする。
【0077】
更に、未焼成第2シートにおける、未焼成多孔質部と未焼成非多孔質部との焼成収縮率は、特に限定されず、同じであってもよく、異なっていてもよいが、未焼成多孔質部の焼成収縮率は、未焼成非多孔質部の焼成収縮率よりも小さく(より好ましくは0.3〜1.5%小さく、更に好ましくは0.3〜1.1%小さく、特に好ましくは0.3〜0.7%小さく)することが好ましい。未焼成多孔質部の焼成収縮率が未焼成非多孔質部の焼成収縮率よりも小さいことにより、焼成時に未焼成非多孔質部の方が未焼成多孔質部よりも大きく収縮するため、多孔質部と非多孔質部とがより強固に接合され、得られる素子全体の熱的強度及び機械的強度を他の場合に比べて向上させることができる。
尚、上記にいう焼成収縮率(%)とは、上記式▲2▼から算出される割合X(%)をいうものとする。また、上記にいう一方の焼成収縮率が他方の焼成収縮率よりもX%小さいとは、未焼成多孔質部の焼成収縮率をX%とし、未焼成非多孔質部の焼成収縮率をX%とした場合に、X=X−Xであることをいうものとする。
【0078】
[6]ガスセンサ
本発明のガスセンサは、本発明の素子を備える。本発明のガスセンサは、これら以外についての構成は特に限定されないが、例えば、以下のようなものとすることができる。
即ち、素子1は、ホルダ211、タルク粉末等からなる緩衝材212及びスリーブ213(素子1とスリーブ213との間に、素子1と後述するリード線26とを電気的に接続するリードフレーム25を介する)等の熱による膨張収縮を緩和できる治具類に固定され、更に、これら全体が主体金具22に固定された構造とすることができる。また、主体金具22の一端側には被測定ガスを導入できる複数の孔を有し、且つ素子1の検知部(図24においては発熱部、濃淡電池用固体電解質体及びポンプセル用固体電解質体等を備える一端側部)近傍を覆ってガスセンサ2の一端側を保護するプロテクタ23を配設し、主体金具22の他端側にはガスセンサ2の他端側を保護する外筒24を配設することができる。更に、外筒24の一端側からは、素子1を外部回路へと接続するためのリード線26を分岐挿通する貫通孔が設けられたセパレータ27及びガスセンサ2内への水等の侵入を防止するグロメット28を備えることができる。
【0079】
このようなガスセンサ2を用いて内燃機関から排出される排気ガスを測定しようとする場合には、例えば、主体金具22の側面に螺子形状などの取付部221を設けることにより排気ガスの流通する排気管に素子1の検知部が突出するように取り付け、素子1の検知部を被測定ガスに曝して測定を行うことができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明の素子のうち2つのイオン導電部を有する素子について、図6、図22及び図23を用いて更に詳しく説明する。
尚、以下では解かり易さのために各部の符号を焼成前後で同じにした。
[1]積層型ガスセンサ素子の製造(図6及び図22に示される模式的な断面構造を有する素子)
〈1〉第1積層体の作製(第1積層体形成工程)
(1)未焼成第1シート11の作製
▲1▼ 素シート111及び112の作製
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。その後、このスラリーをドクターブレード法により厚さ0.5mmのグリーンシート2枚に成形した。次いで、一方のグリーンシートはそのまま未焼成第1シートの一部である素シート112(焼成後、第1絶縁性基部上層112となる)とした。他方のグリーンシートには、その一端側の所定位置に2つのスルーホール116を設けて素シート111(焼成後、第1絶縁性基部下層111となる)とした。
【0081】
▲2▼ 未焼成ヒータ113の形成
白金粉末とアルミナ粉末とを配合した混合粉末、ブチラール樹脂及びブチルカルビトールを用いてスラリーを得た。このスラリーを素シート111の一面に所定の形状にスクリーン印刷し、発熱部114となる幅細の未焼成発熱部114及びヒータリード部115となる幅広の未焼成ヒータリード部115を備える未焼成ヒータ113を形成した。
【0082】
▲3▼ 未焼成ヒータ取出パッド117の形成及び未焼成ヒータ113との接続
上記▲2▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成ヒータ113が形成された素シート111の一面とは反対の他面側に、スルーホール116上を通過するようにスクリーン印刷し、未焼成ヒータ取出パッド117を形成した。
次いで、同様なスラリーをスルーホール116内に流し込むようにして、未焼成ヒータリード部115と未焼成ヒータ取出パッド117とを焼成後に導通できるように接続した。
【0083】
▲4▼ 素シート111及び112の張り合わせ
上記▲3▼までに得られた一方の素シート111の未焼成ヒータ113が形成された一面に、上記▲1▼で得られた他方の素シート112をその一面に第2ブタノールとブチルカルビトールとの混合液を塗布した後、積層し、圧着して未焼成ヒータ113を内部に備える未焼成第1シート11を得た。
【0084】
(2)未焼成第2セル部13の形成
この未焼成第2セル部13は焼成されて酸素濃度検知セルとして機能する。
▲1▼ 未焼成第2セル部用電極133の形成
白金粉末とジルコニア粉末とを配合した混合粉末、ブチラール樹脂及びブチルカルビトールを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(1)で得られた積層体の素シート112の表面にスクリーン印刷し、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部とを備える未焼成第2セル部用電極133を形成した。この電極は焼成後に、第2セル部の参照電極となる。
【0085】
▲2▼ 未焼成第2セル部用固体電解質体131の形成
ジルコニア粉末とアルミナ粉末とを配合した混合粉末、分散剤、ブチルカルビトール、ジブチルフタレート及びアセトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(2)▲1▼で形成された未焼成第2セル部用電極133上に厚さ30μmでスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第2セル部用固体電解質体131を得た。
【0086】
▲3▼ 未焼成層間調節層(第2セル部用)134の形成
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを上記(2)▲2▼で形成された未焼成第2セル部用固体電解質体131を除く、素シート112及び未焼成第2セル部用電極133の未焼成電極リード部上に、未焼成第2セル部用固体電解質体131の表面と高さが合うようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成層間調節層134を得た。但し、後に未焼成電極133の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド166とを接続するためのスルーホール135が形成されるように印刷を行った。
【0087】
▲4▼ 未焼成第2セル部用電極132の形成
上記(2)▲1▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成第2セル部用固体電解質体131及び未焼成層間調節層134の表面に印刷し、乾燥させて、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部(この未焼成電極部は未焼成第2セル部用固体電解質体131の表面に形成した)と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部(この未焼成電極リード部は未焼成層間調節層134の表面に形成した)を備える未焼成第2セル部用電極132を形成した。この電極は焼成後に第2セル部の検知電極となる。
このようにして未焼成第2セル部13を、未焼成第1シート11上に積層し、上記(1)及び上記(2)により第1積層体を得た。
【0088】
〈2〉内室15及び未焼成律速導入部151及び152の形成
(1)未焼成層間調節層(内室形成用)153及び154の形成
上記〈1〉(2)▲3▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記〈1〉(2)までに形成された第1積層体の未焼成第2セル部用電極132と未焼成層間調節層134上にスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成層間調節層153及び154を得た。但し、後に未焼成第2セル部用電極132の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド165と接続するためのスルーホール155が形成され、また、未焼成第2セル部用電極133の未焼成電極リード部と未焼成電極取出パッド166と接続するためのスルーホール156が形成されるように印刷を行った。更に、焼成後に内室15が形成されるように未焼成層間調節層を153と154との2つの部位に分け、その間に空間が形成されるように印刷を行った。
【0089】
(2)未焼成律速導入部151及び152の形成
アルミナ粉末(焼成後に空隙を残存させることができる粒径)、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いてスラリーを得た。このスラリーを第1積層体の未焼成層間調節層134上であって、未焼成層間調節層153及び154の形成されていない部分に図23に示すような形状にスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成律速導入用多孔質部151及び152を得た。尚、未焼成層間調節層153及び154並びに未焼成律速導入部151及び152に囲まれた図23中の内室15は検知室となる。
【0090】
〈3〉第2積層体の作製
(1)未焼成第2シート16の作製
アルミナ粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いて非多孔質部用スラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法により厚さ500μmの非多孔質部用のグリーンシートに成形した。
一方、アルミナ粉末、カーボン粉末、ブチラール樹脂、ジブチルフタレート、トルエン及びメチルエチルケトンを用いて多孔質部用スラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法により厚さ500μmの多孔質部用のグリーンシートに成形した。
これら2種のグリーンシートから図23に示すような非多孔質部となる未焼成非多孔質部162となるシートの一端側に多孔質部161となる未焼成多孔質部161を備えるシートを形成した。次いで、スルーホール163となる孔を3つ設けて未焼成第2シート16を得た。
【0091】
(2)未焼成中間層17の形成
上記〈3〉(1)と同様の多孔質部用及び非多孔質部用の2種のスラリーを得た。このうち多孔質部用のスラリーを、上記〈3〉(1)で得られた未焼成第2シート16の備える未焼成多孔質部161を覆うようにスクリーン印刷し、乾燥させて中間層17の多孔質部171となる未焼成中間層多孔質部171を形成した。次いで、非多孔質部用のスラリーを未焼成第2シート16上であって、未焼成中間層多孔質部171が形成されていない表面にスクリーン印刷し、乾燥させて中間層17の非多孔質部172となる未焼成中間層非多孔質部172を形成した。但し、後に未焼成第2セル部用電極133と未焼成電極取出パッド166とを接続するためのスルーホール175が形成され、また、未焼成第2セル部用電極132及び未焼成第1セル部用電極123と未焼成電極取出パッド165とを接続するためのスルーホール174が形成され、更に、未焼成第1セル部用電極122と未焼成電極取出パッド164とを接続するためのスルーホール173が形成されるように印刷を行った。
【0092】
(3)未焼成第1セル部12の形成
この未焼成第1セル部12は焼成されて酸素ポンプセルとして機能する。
▲1▼ 未焼成第1セル部用電極122の形成
上記〈1〉(2)▲1▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成中間層17の表面にスクリーン印刷し、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部1221と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部1222を備える未焼成第1セル部用電極122を形成した。
【0093】
▲2▼ 未焼成第1セル部用固体電解質体121の形成
上記〈1〉(2)▲2▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成第1セル部用電極122の未焼成電極部上に30μmの厚さにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成第1セル部用固体電解質体121を得た。
【0094】
▲3▼ 未焼成層間調節層124(第1セル部用)の形成
上記〈1〉(2)▲3▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを上記で得られた未焼成第1セル部用固体電解質体121を除く、未焼成中間層17及び未焼成第1セル部用電極122の未焼成電極リード部上に、未焼成第1セル部用固体電解質体121の表面と高さが合うようにスクリーン印刷し、乾燥させて未焼成層間調節層124を得た。但し、後に未焼成第2セル部用電極133と未焼成電極取出パッド166とを接続するためのスルーホール126が形成され、また、未焼成第2セル部用電極132及び未焼成第1セル部用電極123(この時点では未形成)と未焼成電極取出パッド165とを接続するためのスルーホール125が形成されるように印刷を行った。
【0095】
▲4▼ 未焼成第1セル部用電極123の形成
上記〈1〉(2)▲1▼と同様にスラリーを得た。このスラリーを未焼成第1セル部用固体電解質体121及び未焼成層間調節層124の表面に印刷し、乾燥させて、焼成されて電極部となる幅広の未焼成電極部(この未焼成電極部は未焼成第1セル部用固体電解質体121の表面に形成した)と、焼成されて電極リード部となる幅細の未焼成電極リード部(この未焼成電極リード部は未焼成層間調節層124の表面に形成した)を備える未焼成第1セル部用電極123を形成した。
このようにして、上記(1)〜(3)により第2積層体を得た。
【0096】
〈4〉第1積層体と第2積層体との接合
一面側に内室15と未焼成律速導入部151及び152等が形成された第1積層体のこの面と、第2積層体の未焼成第2セル部用電極132が形成された面とに、第2ブタノールとブチルカルビトールとの混合液を塗布した後、接合し、圧着して未焼成素子1を得た。
【0097】
〈5〉脱脂及び焼成
上記〈4〉までに得られた未焼成素子1を、大気雰囲気において、脱脂処理を行った。その後、大気雰囲気において1300〜1600℃で焼成し積層型ガスセンサ素子1を得た。
【0098】
〈6〉ガスセンサの製造
上記〈5〉までに得られた素子1を用いて図24に示すガスセンサ2を製造した。
このガスセンサ2において、素子1は主体金具22内に収められたセラミックホルダ211、タルク粉末212及びセラミックスリーブ213(センサ素子1とセラミックスリーブ213との間にはリードフレーム25を介し、センサ素子1の上端はセラミックスリーブ213内に位置する)に支持されて固定されている。この主体金具22の下部には、センサ素子1の下部を覆う複数の孔を有する2重構造の金属製のプロテクタ23が取設され、主体金具22の上部には外筒213が取設されている。また、外筒24の上部には、センサ素子1を外部回路と接続するためのリード線26を分岐挿通する貫通孔が設けられたセラミックセパレータ27及びグロメット28を備える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図2】 本発明の例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図3】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図4】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図5】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図6】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図7】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図8】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図9】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図10】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図11】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図12】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図13】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図14】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図15】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図16】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図17】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図18】 本発明の更に他例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図19】 参考例の積層型ガスセンサ素子の幅方向の模式的な断面図である。
【図20】 参考例の積層型ガスセンサ素子の長手方向の模式的な断面図である。
【図21】 参考例の積層型ガスセンサ素子の模式的な分解斜視図である。
【図22】 本発明の一例の積層型ガスセンサ素子の長手方向の模式的な断面図である。
【図23】 本発明の一例の積層型ガスセンサ素子の模式的な分解斜視図である。
【図24】 本発明のガスセンサの一例の模式的な断面図である。

Claims (16)

  1. 絶縁性セラミックスから形成された第1絶縁性基部と、固体電解質からなる第1セル部用固体電解質体、該第1セル部用固体電解質体の全側面を取り囲んでいる層間調節層及び該第1セル部用固体電解質体の表面に形成された一対の電極である第1セル部用電極を備える第1セル部と、絶縁性セラミックスから形成され、且つ、該第1セル部用電極のうちの一方の電極と被測定雰囲気とが接するように配置された通気性を有する多孔質部を備える第2絶縁性基部とが
    該第1セル部の一面側に該第1絶縁性基部が、該第1セル部の他面側に該第2絶縁性基部が、積層されて備えられ、
    該第1セル部用固体電解質体は、該第2絶縁性基部の1/2倍以下の厚さであり、且つ、長手方向及び幅方向において該第2絶縁性基部よりも小さいことを特徴とする積層型ガスセンサ素子。
  2. 上記多孔質部は、その側面の全部が上記第2絶縁性基部を構成する非多孔質部により囲まれている請求項1記載の積層型ガスセンサ素子。
  3. 上記第1絶縁性基部、上記層間調節層及び上記第2絶縁性基部は、いずれもアルミナを70質量%以上含有する絶縁性セラミックスからなる請求項1又は2に記載の積層型ガスセンサ素子。
  4. 上記第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線は、上記多孔質部の投影像の外周線と全周で重ならない請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  5. 上記第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線は、上記多孔質部の投影像の外周線の内側に位置する請求項4に記載の積層型ガスセンサ素子。
  6. 本積層型ガスセンサ素子の長手方向における上記第1セル部用固体電解質体の長さは、上記第2絶縁性基部の1/20〜1/2倍であり、且つ、本積層型ガスセンサ素子の幅方向における該第1セル部用固体電解質体の幅は、該第2絶縁性基部の1/5〜3/4倍である請求項5に記載の積層型ガスセンサ素子。
  7. 上記第1絶縁性基部は、発熱部及び該発熱部に連接されたヒータリード部を備えるヒータを表面又は内部に有し、該発熱部は該第1絶縁性基部の長手方向の一端側に配置され、該発熱部の投影像は上記第1セル部用固体電解質体の投影像と重なる請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  8. 上記第1絶縁性基部と上記第2絶縁性基部との間に大気導入室又は検知室となる内室を備え、
    上記第1セル部用電極のうちの他方は該内室内の雰囲気と接するように配置され、且つ、該第1セル部用固体電解質体は、幅方向において該内室よりも小さい請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  9. 上記内室を隔てて上記第1セル部用固体電解質体と対向する固体電解質からなる第2セル部用固体電解質体と、一方の電極が該内室内の雰囲気と接するように該第2セル部用固体電解質体の表面に各々形成された一対の電極である第2セル部用電極と、を有する第2セル部を備える請求項記載の積層型ガスセンサ素子。
  10. 上記第2セル部用固体電解質体は、長手方向及び幅方向において上記第1セル部用固体電解質体よりも小さい請求項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  11. 上記第1セル部用固体電解質体の投影像の外周線と、該第1セル部用固体電解質体と面する上記内室の投影像の外周線と、は全周で重ならない請求項10記載の積層型ガスセンサ素子。
  12. 上記第2絶縁性基部の上記多孔質部と上記非多孔質部との境界面のうち該第2絶縁性基部の上記第1絶縁性基部に対向する側の表面に現れる境界線の投影像と、上記内室のうち該第2絶縁性基部側に位置する該内室の外周線の投影像とは全周で重ならない請求項11記載の積層型ガスセンサ素子。
  13. 上記第1セル部を構成する一対の電極のうちの上記一方の電極の外周線の投影像が上記多孔質部の外周線の投影像と少なくとも一部で重なる請求項12記載の積層型ガスセンサ素子。
  14. 焼成されて上記第1絶縁性基部となる未焼成第1シート及び焼成されて上記第2絶縁性基部となる未焼成第2シートの各々の焼成収縮率は、焼成されて第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率より大きい請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  15. 請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記第1絶縁性基部となる未焼成第1シートを備える第1積層体と、上記第2絶縁性基部となる未焼成第2シート及び上記第1セル部用固体電解質体となる未焼成第1セル部用固体電解質体を備える第2積層体と、を積層した後、焼成する工程を備え、
    該未焼成第1シートの焼成収縮率及び該未焼成第2シートの焼成収縮率を、該未焼成第1セル部用固体電解質体の焼成収縮率より大きくすることを特徴とする積層型ガスセンサ素子の製造方法。
  16. 請求項1乃至14のうちのいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子を備えることを特徴とするガスセンサ。
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