JP4911910B2 - NOx測定電極部構造及びその形成方法並びにNOxセンサ素子 - Google Patents

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本発明は、改良されたNOx測定電極部構造及びその形成方法並びにNOxセンサ素子に係り、特に、測定電極とそれを覆う電極保護層とから構成されるNOx測定電極部構造において、その耐久信頼性を高めた構造と、それを容易に形成し得る方法、更には、そのようなNOx測定電極部構造を用いて構成される電気化学的セル並びにNOxセンサ素子に関するものである。
従来より、自動車の排気ガス等の被測定ガス中の、NOやNO2 の如きNOx成分の濃度を知るために、各種の測定方法や装置が提案されてきており、その一つとして、かかる被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメット(焼結体)からなる測定電極と、この測定電極上に、それを覆うように形成された、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とから構成されるNOx測定電極部構造を、所定の固体電解質体に形成してなる電気化学的セルを含み、そのような測定電極にて、NOx成分を還元乃至は分解せしめると共に、かかるNOx成分の還元乃至は分解により発生する酸素量を測定することによって、前記被測定ガス中の、該NOx成分の濃度を求めるようにしたNOxセンサ素子、更には、そのような素子を備えたNOxセンサが、明らかにされている。
例えば、特開平8−271476号公報(特許文献1)、特開平11−237362号公報(特許文献2)、特開2000−28576号公報(特許文献3)等においては、所定厚さの固体電解質層の複数を積層一体化せしめてなる積層構造の素子本体(固体電解質体)の内部に、緩衝空所や第一及び第二の空所を設け、また、外部の被測定ガスを導入するガス導入口と緩衝空所との間、緩衝空所と第一の空所との間、及び第一の空所と第二の空所との間に、それぞれ、第一、第二及び第三の拡散律速通路を設け、更に、第一の空所内や第二の空所内の酸素分圧をそれぞれ制御せしめる第一及び第二の酸素ポンプ手段を設け、加えて、第二の空所内には前記したNOx測定電極部構造を形成して、外部の被測定ガスが、ガス導入口から、所定の拡散抵抗の下に、緩衝空所、第一の空所及び第二の空所内に、順次導入せしめられるようになっている。そして、第一及び第二の空所内においては、それぞれ対応する酸素ポンプ手段の作動によって、導入された被測定ガス中の酸素分圧(濃度)が制御され、第二の空所内においては、その雰囲気中に存在するNOx成分が測定電極にて還元乃至は分解せしめられ得る酸素分圧に制御されて、測定電極に接触せしめられ得るような構造となっている。
ところで、このような構造のNOxセンサ素子にあっては、一般に、積層構造において製造されるものであるところから、必要な電極やそのリード、保護層、ヒータ層等のエレメントは、一般に、その積層される固体電解質層に対してスクリーン印刷技術によって形成されており、前記した第二の空所内に配置せしめられる測定電極にあっても、同様にして、形成されているのである。即ち、積層される固体電解質層の第二の空所が形成される部位における所定位置に、測定電極を与える電極ペーストが、メッシュスクリーンを用いた通常のスクリーン印刷操作により、パターン印刷されて、当該固体電解質層上に測定電極パターンが形成され、更にその上に、同様なスクリーン印刷操作にて、電極保護層を与えるセラミックスペーストがパターン印刷されて、目的とする電極保護層が、かかる測定電極パターンを覆うように、形成される。更にその後、第二の空所に相当する空所等を打抜き形成した孔明き固体電解質層や、それを覆う固体電解質層等が順次積層されて、積層構造体とされた後、焼成一体化せしめることにより、目的とするNOxセンサ素子が形成され、同時に、その第二の空所内に、測定電極とそれを覆うように設けられた電極保護層とからなるNOx測定電極部構造が、形成せしめられるようになっている。
そして、このようにして得られるNOxセンサ素子において、その第二の空所に配設されるNOx測定電極部構造を構成する電極保護層は、第二の空所内の雰囲気中に存在する有害成分によって測定電極が不活性化されるのを阻止する目的をもって設けられるものであるが、そのような電極保護層を前述の如きスクリーン印刷技術によって形成すると、電極保護層は、測定電極上において、ドーム型乃至は「まんじゅう」型の外表面(上面)を呈する、円弧状断面を有する被覆層となり、測定電極の端部付近に位置する電極保護層部位は、その高さが測定電極の中央部における電極保護層部位よりも低くなっているのである。
しかしながら、この得られたNOxセンサ素子にあっては、それが、排気ガス等の被測定ガスのNOx測定に供された時、その繰り返しの測定や被測定ガスの温度変化等によって、第二の空所内に設けられたNOx測定電極部構造における測定電極の電極金属材料が酸化と還元を繰り返し、そしてこれに起因した応力の発生により、電極保護層にクラックが生じたり、或いは測定電極に剥離が生じたりして、NOxセンサ素子におけるNOx感度の増加或いは減少が惹起されて、NOx測定精度が変化せしめられることとなって、センサ寿命が短くなるという問題があった。
また、測定電極には、それが形成される固体電解質層とのより一層強固な一体化を図るべく、サーメットを構成するセラミックス材料として、有利には、ZrO2 材料が用いられることとなるが、このZrO2 は、測定操作の繰返しに対応した加熱、冷却の繰返しに従って、T(正方晶系)/M(単斜晶系)変態を繰り返し、そしてそれが長期間に亘って繰り返されることにより、電極構造の強度が低下するようになって、これが、上記した現象を加速する恐れも内在するものであった。
特開平8−271476号公報 特開平11−237362号公報 特開2000−28576号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、長期間にわたる耐久信頼性を確保し得るNOx測定電極部構造を提供することにあり、また、そのようなNOx測定電極部構造を有利に形成し得る方法を提供することにあり、更に、かかるNOx測定電極部構造を採用することによって耐久性を高めたNOxセンサ素子を提供することにもある。
そして、本発明にあっては、上述の如きNOx測定電極部構造に係る課題を解決するために、被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように設けられた、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とが、スクリーン印刷によって形成されてなるNOx測定電極部構造において、かかる電極保護層を、少なくとも前記測定電極上において水平方向に延びる平坦な上底部と、該上底部の両端からそれぞれ該測定電極の側方に高さが漸次減少する高さ変化部とを有する略台形の断面形状を呈する形態において、形成したことを特徴とするNOx測定電極部構造を、その要旨とするものである。
また、本発明は、上記したNOx測定電極部構造の形成方法に係る課題を解決するために、上述の如きNOx測定電極部構造を形成する方法にして、前記電極保護層を、前記測定電極上に、メタルマスクを用いたスクリーン印刷技術によって形成する工程を含むことを特徴とするNOx測定電極部構造の形成方法を、その要旨としている。
さらに、本発明にあっては、前記したNOxセンサ素子に係る課題を解決するために、被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように形成された、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とから構成されるNOx測定電極部構造を、所定の固体電解質体に形成してなる電気化学的セルを含み、該測定電極にて、該NOx成分を還元乃至は分解せしめると共に、かかるNOx成分の還元乃至は分解により発生する酸素量を測定することによって、前記被測定ガス中の該NOx成分の濃度を求めるNOxセンサ素子にして、前記NOx測定電極部構造が、前記電極保護層を、少なくとも前記測定電極上において水平方向に延びる平坦な上底部と、該上底部の両端からそれぞれ前記測定電極の側方に高さが漸次減少する高さ変化部とを有する略台形の断面形状を呈する形態において、形成してなるNOx測定電極部構造にて、構成されていることを特徴とするNOxセンサ素子を、その要旨とするものである。
このように、かかる本発明に従うNOx測定電極部構造においては、電極保護層が、少なくとも測定電極上において水平方向に延びる平坦な上底部と、その上底部の両端からそれぞれ測定電極の外方に高さ、換言すれば上面高さが漸次低下する高さ変化部とを有する略台形の断面形状において、かかる測定電極を覆うように、形成されているところから、電極保護層は、測定電極の端部位置においても充分な厚さをもって形成されることとなるのであり、そのために、電極金属材料の酸化/還元により応力が発生しても、そのような測定電極の端部に位置する電極保護層部位におけるクラックの発生が効果的に抑制乃至は阻止され得ることとなり、そして、これにより、そのようなクラックの発生に起因するところの測定電極自体の劣化や剥がれ等の問題も効果的に解消され、以て、長期間にわたる耐久信頼性が著しく向上せしめられ得るのである。
また、前記した本発明に従うNOx測定電極部構造の形成方法によれば、そのような略台形形状の電極保護層が、メタルマスクを用いたスクリーン印刷操作によって、測定電極上に、簡単に且つ容易に形成され得ることとなるのであって、これにより、そのようなNOx測定電極部構造の実用的価値を有利に高め得るのである。
さらに、前記した本発明に従うNOxセンサ素子においては、上述の如き耐久信頼性の向上せしめられたNOx測定電極部構造が設けられた電気化学的セルを備えていることによって、素子寿命が効果的に高められ得、長時間の実車使用が可能となる特徴を発揮することとなる。
発明の態様
ところで、本発明は、前記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように設けられた、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とが、スクリーン印刷によって形成されてなるNOx測定電極部構造において、かかる電極保護層を、少なくとも前記測定電極上において水平方向に延びる平坦な上底部と、該上底部の両端からそれぞれ該測定電極の側方に高さが漸次減少する高さ変化部とを有する略台形の断面形状を呈する形態において、形成したことを特徴とするNOx測定電極部構造。
(2) 前記電極保護層の台形断面形状における前記上底部が、前記測定電極の幅よりも大きくなるように、該測定電極の両端部より側方にそれぞれ突出せしめられている上記態様(1)に記載のNOx測定電極部構造。
このような態様(2)の構成によれば、前記したNOx測定電極部構造に係る本発明の作用・効果が、より効果的に達成され得ることとなる。
(3) 前記電極保護層が、その台形断面形状の上底部の幅が前記測定電極の幅の1.1倍以上となるように、形成されている上記態様(1)又は(2)に記載のNOx測定電極部構造。
また、このような態様(3)の構成を採用すれば、前記した本発明のNOx測定電極部構造に係る作用・効果が、更に一層有利に達成され得ることとなる。
(4) 前記電極保護層が、前記測定電極の両端部よりもそれぞれ80μm離れた側方位置において、前記測定電極の厚みとその上の該電極保護層の厚みとの和に0.9〜1.0を乗じた値となる厚みを有している上記態様(1)乃至(3)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
さらに、このような態様(4)の構成に従って、略台形の断面形状を呈する電極保護層が測定電極上に形成されて、そのような測定電極を充分に覆うようにすることによって、かかる電極保護層のクラック発生防止効果を、より一層効果的に向上せしめることが出来るのである。
(5) 前記測定電極の厚みが15〜35μmであり、且つ該測定電極上に形成される前記電極保護層の厚みが20〜45μmであると共に、それら測定電極の厚みと電極保護層の厚みとの和が、70μm以下となるように構成されている上記態様(1)乃至(4)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
(6) 前記電極保護層が、前記測定電極の幅に200〜600μmを加えた大きさにおいて、形成されている上記態様(1)乃至(5)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
(7) 前記測定電極を構成するサーメットを与える前記電極金属材料が貴金属である一方、かかるサーメットを与える前記セラミックス材料が5.5〜8.5mol%のY23を含むY23安定化ZrO2 材料である上記態様(1)乃至(6)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
このように、測定電極を構成するサーメットを与えるセラミックス材料として、特定量のY23を含むY23安定化ZrO2 材料を用いることによって、加熱/冷却に起因するZrO2 のT/M変態の繰り返しに基づくところの、測定電極の劣化、ひいては、測定電極の剥がれの問題を、有利に抑制乃至は阻止することが出来る。
(8) 前記測定電極を構成するサーメットを与える前記電極金属材料が貴金属であり、且つ該貴金属がPt又はPtとRhとの合金であって、Pt:Rh=100〜40重量%:0〜60重量%の比率を満足するように、PtとRhが用いられている上記態様(1)乃至(7)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
(9) 前記測定電極を構成するサーメットを与える前記電極金属材料が貴金属であり、且つ該貴金属と前記セラミックス材料との比率(vol%)が65/35〜40/60の範囲内となるように用いられている上記態様(1)乃至(8)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
(10) 前記測定電極と前記電極保護層とが、固体電解質にて囲まれて形成された空所内の底面上に一体的に形成されていると共に、かかる空所を区画、形成する固体電解質からなる側壁と接触することなく、かかる側壁との間に空間を介して、配置せしめられている上記態様(1)乃至(9)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造。
このような態様(10)に従って、NOx測定電極部構造における測定電極と電極保護層、特に電極保護層が、第二の空所内において、側壁を構成する固体電解質体と接触しないように、離隔せしめられていることにより、側壁面と電極保護層を構成する材質の熱収縮率差に基づくところの側壁面・電極保護層間の界面剥離、加えて、それに起因する電極保護層の剥がれ、更には、測定電極の剥離の問題の発生を効果的に回避することが可能となる。
(11) 被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように設けられた、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とが、スクリーン印刷によって形成されてなるNOx測定電極部構造において、前記測定電極を構成するサーメットを与える前記電極金属材料として、貴金属を用いる一方、かかるサーメットを与える前記セラミックス材料として、5.5〜8.5mol%のY23を含むY23安定化ZrO2材料を用いてなることを特徴とするNOx測定電極部構造。
このような態様(11)の構成によれば、特定のY23安定化ZrO2 材料を用いて、貴金属とサーメットを形成して、測定電極が構成されていることにより、サーメットを構成しているセラミックス材料のジルコニア(ZrO2 )がT/M変態を惹起しても、充分な強度が確保されていることにより、電極骨格が脆化することを阻止し、測定電極の剥離等の問題が発生するのを有利に防止することが出来るのである。
(12) 前記態様(1)乃至(10)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造を形成する方法にして、前記電極保護層を、前記測定電極上に、メタルマスクを用いたスクリーン印刷技術によって形成する工程を含むことを特徴とするNOx測定電極部構造の形成方法。
(13) 前記態様(1)乃至(11)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造が、所定の固体電解質体に設けられて、構成されていることを特徴とする電気化学的セル。
(14) 被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように設けられた、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とから構成されるNOx測定電極部構造を、所定の固体電解質体に形成してなる電気化学的セルを含み、該測定電極にて、該NOx成分を還元乃至は分解せしめると共に、かかるNOx成分の還元乃至は分解により発生する酸素量を測定することによって、前記被測定ガス中の該NOx成分の濃度を求めるNOxセンサ素子にして、前記NOx測定電極部構造が、前記態様(1)乃至(11)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造にて、構成されていることを特徴とするNOxセンサ素子。
(15) 複数の固体電解質層を積層一体化せしめてなる積層構造を有する、長手の素子形状を呈し、その内部に、素子先端側から素子基部側に向かって、緩衝空所と第一の空所と第二の空所とが、それぞれ別個に配設されていると共に、素子先端側に形成されたガス導入口から、第一の拡散律速手段を通じて、外部の被測定ガスが前記緩衝空所内に導入され、そして該緩衝空所内の雰囲気が、第二の拡散律速手段を通じて前記第一の空所内に導かれ、更に該第一の空所内の雰囲気が、第三の拡散律速手段を通じて前記第二の空所内に導かれるようにした構成のNOxセンサ素子において、前記第二の空所の壁面上に、前記態様(1)乃至(11)の何れか1つに記載のNOx測定電極部構造を一体的に形成してなることを特徴とするNOxセンサ素子。
(16) 前記第一の空所の内外に形成された第一の内側ポンプ電極と第一の外側ポンプ電極を有し、且つ前記緩衝空所から導入された雰囲気中に含まれる酸素を、前記ポンプ電極間に印加される制御電圧に基づいて、ポンピング処理する主ポンプ手段が、配設されている上記態様(15)に記載のNOxセンサ素子。
(17) 前記主ポンプ手段における第一の内側ポンプ電極が、前記第一の空所の天井面に形成された天井電極部と、底面上に形成された底部電極部と、側壁面に形成された、それら天井電極部と底部電極部とを接続する側部電極部とからなる、トンネル型電極構造を有している上記態様(16)に記載のNOxセンサ素子。
この態様(17)の構成に従って、主ポンプ手段のポンプ電極が、トンネル型の電極構造とされていることにより、電極の面積効率が向上し、酸素濃度変化に基づくところのNOx測定への干渉が、有利に低減され得るのである。
(18) 前記第二の空所の内外に形成された一対の補助ポンプ電極を有し、且つ前記第一の空所から導入された雰囲気中に含まれる酸素を、該一対の補助ポンプ電極間に印加される補助ポンプ電圧に基づいて、ポンピング処理する補助ポンプ手段が、設けられている上記態様(15)乃至(17)の何れか1つに記載のNOxセンサ素子。
(19) 前記第二の空所内に形成、配置された補助ポンプ電極が、該第二の空所の天井面に形成された天井電極部と、底面上に形成された底部電極部と、側壁面に形成された、それら天井電極部と底部電極部とを接続する側部電極部とからなる、トンネル型電極構造を有している上記態様(18)に記載のNOxセンサ素子。
このような態様(19)の構成によれば、補助ポンプ電極の面積を、NOx測定電極よりも充分に大きい面積において確保することが出来、これにより、NOx測定出力のオフセット電流が効果的に低減され得るのである。
(20) 素子先端に、外方に開口する目詰まり防止空所が形成され、該目詰まり防止空所の開口部が、前記ガス導入口を構成している一方、該目詰まり防止空所と前記緩衝空所との間に、前記第一の拡散律速手段が設けられている上記態様(15)乃至(19)の何れか1つに記載のNOxセンサ素子。
(21) 前記第一及び第二の拡散律速手段が、それぞれ10μm以下の間隙を有するスリット形状において、形成されている上記態様(15)乃至(20)の何れか1つに記載のNOxセンサ素子。
(22) 前記第一の空所の外側に形成された前記第一の外側ポンプ電極の上に、多孔質セラミックス層が一体的に形成され、該多孔質セラミックス層にて、前記第一の外側ポンプ電極の全体が覆われている上記態様(15)乃至(21)の何れか1つに記載のNOxセンサ素子。
(23) 前記複数の固体電解質層の積層構造内に、素子の電気的な加熱を行なうヒータ層が積層一体化せしめられており、該ヒータ層による加熱によって、少なくとも前記第一の空所及び前記第二の空所を区画する固体電解質層部分が、所定の温度に加熱され得るようになっている上記態様(15)乃至(22)の何れか1つに記載のNOxセンサ素子。
(24) 前記ヒータ層が、発熱部と、該発熱部に接続された電流供給リードと、それら発熱部と電流供給リードとの接続部位に接続された抵抗検出リードとを有するヒータエレメントを含んで構成され、該抵抗検出リードを用いて検出されるリード抵抗:RL と該電流供給リードを用いて検出されるヒータ全体抵抗:Raとから、次式:
H=Ra−2×RL
に従って、前記ヒータエレメントの発熱部の抵抗:RH が一定となるように、該ヒータエレメントに印加される電圧を制御するように構成されている上記態様(23)に記載のNOxセンサ素子。
このような態様(24)の構成に従って、ヒータ発熱部の抵抗(RH )が一定となるように、ヒータ印加電圧が制御されることにより、素子温度を、より正確に制御することが出来る利点を生じる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、図面に示される代表的な具体例を参照しつつ、本発明の構成について、詳細に説明することとする。
先ず、図1〜図4は、本発明に従うNOxセンサ素子の代表的なものの概略構造を示しており、そこにおいて、図1は、そのような素子の積層構造を示す縦断面説明図であり、そして図2は、かかる素子の図1におけるII−II断面説明図である。また、図3は、図2におけるIII −III 断面拡大説明図であり、図4は、図2に示されるNOxセンサ素子の積層構造内に埋め込まれるヒータエレメントの平面構造を示す説明図である。
そして、それらの図において、2は、細長な長尺の板状体形状を呈するセンサ素子であって、該センサ素子2は、図1より明らかな如く、緻密な気密の複数の酸素イオン伝導性の固体電解質層4a、4b、4c、4d、4e、4fを含んで積層されてなる、一体構造の板状体とされている。なお、各固体電解質層4a〜4fは、何れも、ジルコニア磁器等の公知の酸素イオン伝導性の固体電解質材料を用いて形成され、また、そのような一体構造のセンサ素子2は、従来と同様にして、未焼成の固体電解質層の積層構造物を焼成して一体化せしめることにより、容易に得ることが出来る。
また、かかる一体構造のセンサ素子2内には、図において最上部に位置する固体電解質層4aと、上から三番目に位置する固体電解質層4cとが、スペーサ層となる固体電解質層4bを介して、積層、一体化せしめられることによって、それら固体電解質層4a、4c間に位置する内部空所が、図1から明らかな如く、固体電解質層4bの厚さに対応する高さにおいて、換言すれば、それら固体電解質層4a、4c間における、固体電解質層4bの存在しない空間として、素子長手方向に延びるように形成されている。なお、そのような内部空所とは独立した形態において、基準ガス存在空所としての基準空気導入通路6が、固体電解質層4b、4d間において、固体電解質層4cの存在しない空所として、センサ素子2の長手方向に延びるように設けられ、また、この基準空気導入通路6は、ここでは、従来と同様に、センサ素子2の基部側の端部において開口し、大気に連通せしめられるようになっている。
さらに、センサ素子2内において、二つの固体電解質層4a、4c間に形成された内部空所は、図1及び図2から明らかなように、それぞれ矩形形状の平面形態を呈する緩衝空所8と第一の空所10と第二の空所12とが、それぞれ別個に仕切られた形態において、且つ素子長手方向に所定幅で延びるようにして、順次、配設されて、構成されているのである。また、そのような内部空所と同一のレベルに位置するように、スペーサ層となる固体電解質層4bの存在しない、外方に開口する目詰まり防止空所14が、素子先端における二つの固体電解質層4a、4c間に形成されており、この目詰まり防止空所14の開口部が、素子外部の被測定ガスを取り入れるためのガス導入口16とされている。
そして、かかる目詰まり防止空所14と緩衝空所8とは、固体電解質層4bにて構成される第一の隔壁18によって区画されていると共に、この第一の隔壁18は、その上部と下部のそれぞれにおいて、上側および下側の固体電解質層4a、4cに対しては、図2に示される如く、緩衝空所8と略同一幅の素子幅方向に拡がるスリット形状において、第一の拡散律速手段たる第一の拡散律速通路20がそれぞれ形成され、この上下の第一の拡散律速通路20、20を通じて、ガス導入口16から目詰まり防止空所14を通って導かれた外部空間の被測定ガスが、所定の拡散抵抗の下に、緩衝空所8内に導入され得るようになっている。
また、緩衝空所8と第一の空所10とを区画する第二の隔壁22にあっても、それが、固体電解質層4bにて与えられていると共に、上記した第一の隔壁18と同様に、その上部および下部において、第二の拡散律速手段たる第二の拡散律速通路24、24がそれぞれ素子外側及び素子内側の固体電解質層4a、4cとの間において、素子幅方向に拡がるスリット形状において形成され、この第二の拡散律速通路24を通じて、所定の拡散抵抗の下に、緩衝空所8から第一の空所10内に、緩衝空所8内の雰囲気(被測定ガス)が導き入れられるようになっている。そして、固体電解質層4aと、その内外面に形成された内側ポンプ電極26及び外側ポンプ電極28とから構成される、電気化学的なポンプセルである主ポンプ手段のポンピング作動にて、第一の空所10内における雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、或いは外部空間の酸素を第一の空所10内に汲み入れて、第一の空所10内の雰囲気中の酸素濃度(分圧)が、従来と同様に、所定の濃度に制御されるようになっている。
なお、かくの如き素子構造において、緩衝空所8を設け、また、それを区画する第一の隔壁18と第二の隔壁22に、それぞれ、スリット形状の第一及び第二の拡散律速通路20、24を設けることによって、次のような利益を享受することが可能となる。即ち、通常、外部空間における排気圧の脈動によって、ガス導入口16を通じて、酸素が、センサ素子2の内部空所に急激に入り込むこととなるが、図示の構造においては、この外部空間からの酸素は、直接、内部空所(処理空間)に入り込まずに、第一の拡散律速通路20を介して、その前段の緩衝空所8に入り込み、更に、第二の拡散律速通路24を通じて、内部空所である第一の空所10内に導き入れられるようになるのである。従って、排気圧の脈動による酸素濃度の急激な変化は、緩衝空所8や、その前後に設けた第一及び第二の拡散律速通路20、24によって打ち消され、内部空所(第一の空所10)に対する排気圧の脈動の影響は、殆ど無視することが出来る程度となるのである。その結果、処理空間におけるポンプ手段での酸素ポンピング量と、被測定ガス中の酸素濃度との相関性がよくなり、測定精度の向上が図られ得ることになると共に、内部空所を、例えば、空燃比を求めるためのセンサとして兼用させることも可能となるのである。なお、このような効果を有利に発揮させる上において、第一及び第二の隔壁20、24にそれぞれ設けられる第一及び第二の拡散律速通路20、24は、それぞれ、10μm以下の間隙を有するスリット形状において設けられていることが望ましい。
また、素子先端において外方に開口する目詰まり防止空所14は、ガス導入口16を通じて導入される、外部空間の被測定ガス中に発生する粒子物(スート、オイル燃焼物等)が、緩衝空所8の入口付近において詰まるということを回避するように設けられるものであって、これによって、より高精度にNOx成分を測定することが可能となり、そしてその高精度な状態を長期に亘って維持することが出来るという特徴を発揮するところから、そのような目詰まり防止空所14の配設が、有利に採用され得るのである。
ところで、第一の空所10に対して配設される主ポンプ手段において、内側ポンプ電極26及び外側ポンプ電極28は、一般に、多孔質サーメット電極とされ、例えばPt等の金属とZrO2 等のセラミックス材料とから構成されることになるが、被測定ガスに接触する第一の空所10内に配置される内側ポンプ電極26は、被測定ガス中のNOx成分に対して変化を惹起させない材料、即ち、NOやNO2 の如きNOx成分に対する還元能力乃至は分解能力を弱めた、或いはそのような還元/分解能力のない材料を用いる必要があり、例えば、La3CuO4等のペロブスカイト構造を有する化合物、或いはAu等の触媒活性の低い金属とセラミックス材料とのサーメット、或いはAu等の触媒活性の低い金属とPt族金属とセラミックス材料とのサーメットで構成されることとなる。なお、ここでは、外側ポンプ電極28を覆うように、アルミナ等からなる多孔質保護層29が設けられて、外部空間の被測定ガスに含まれるオイル成分等が、外側ポンプ電極28に付着しないようにして、外側ポンプ電極28を保護し得るようになっている。
また、かかる主ポンプ手段を構成する内側ポンプ電極26は、図1に示されるように、第一の空所10を区画する上下の固体電解質層4a、4c及び側壁を与える固体電解質層4bに跨って形成されている。具体的には、第一の空所10の天井面を与える固体電解質層4aの下面には、天井電極部26aが形成され、また、底面を与える固体電解質層4cの上面には、底部電極部26bが形成され、そして、それら天井電極部26aと底部電極部26bとを接続するように、側部電極部26cが、第一の空所10の両側壁部を構成する固体電解質層4bの側壁面(内面)に、それぞれ形成されて、そのような側部電極部26cの配設部位においてトンネル形態とされたトンネル型電極構造において、配設されている。
さらに、かかる例示のセンサ素子2においては、第一の空所10と第二の空所12とを区画する第三の隔壁30が、固体電解質層4bにて与えられて、図1に示される如く、その上部と下部において、前記した第一及び第二の隔壁18、22と同様に、固体電解質層4a及び固体電解質層4cとの間において、素子幅方向に広がる第二の空所12の幅に略等しい長さのスリット形状において、第一の空所10と第二の空所12とを連通せしめる第三の拡散律速手段としての第三の拡散律速通路32が形成されており、この第三の拡散律速通路32を通じて、第一の空所10内の酸素濃度(分圧)が制御された雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第二の空所12内に導かれるようになっている。
そして、第二の空所12内には、補助ポンプ電極34と測定用電極36とが設けられており、この補助ポンプ電極34と、外側の適当な電極、例えば外側ポンプ電極28とを、固体電解質層4aを介して組み合わせ、補助的な電気化学的ポンプセルとして構成することにより、第二の空所12内の雰囲気中の酸素濃度(分圧)を所定濃度に制御し得るようになっている。加えて、かかる補助ポンプ電極34は、先の第一の空所10内に設けられた内側ポンプ電極26と同様なトンネル型電極構造において、第二の空所12内に設けられているのである。即ち、第二の空所12の天井面を与える固体電解質層4aに対して、天井電極部34aが形成され、また、第二の空所12の底面を与える固体電解質層4cには、底部電極部34bが形成され、そして、それら天井電極部34aと底部電極部34bとを連結する側部電極部34cが、第二の空所12の側壁を与える固体電解質層4bの両側面にそれぞれ形成されて、トンネル構造とされているのである。なお、このような補助ポンプ電極34は、前記主ポンプ手段における内側ポンプ電極26と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元/分解能力を弱めた、或いは還元/分解能力のない材料を用いて、形成されており、例えば、Au1%を含むPtとZrO2 との多孔質サーメット電極にて形成されている。
さらに、かかる第二の空所12内に配設される測定電極36は、第二の空所12内の酸素濃度(分圧)が制御された雰囲気が接触せしめられることにより、その雰囲気中に含まれるNOx成分の還元乃至は分解が惹起されるような成分を含んで形成されていることが必要であり、ここでは、被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料と、セラミックス材料とのサーメットからなる多孔質電極の形態において、形成されている。なお、そのような測定電極38を構成するサーメットを与える電極金属材料としては、有利には、貴金属が用いられ、特に貴金属の中でも、Pt(白金)又はPtとRh(ロジウム)との合金が有利に用いられ、また、PtとRhの合金比率としては、Pt:Rh=100〜40重量%:0〜60重量%の比率を満足するような割合が好適に採用されることとなる。更に、電極金属材料として、貴金属が用いられた場合において、そのような貴金属とセラミックス材料との比率(vol%)としては、貴金属/セラミックス材料=65/35〜40/60の範囲内の値が有利に採用されることとなる。
また、測定電極36を構成するサーメットを与える他の一つの成分であるセラミックス材料としては、固体電解質層4cとの強固な結合のために、ZrO2 材料が有利に用いられることとなるが、中でも、Y23を5.5〜8.5mol%の割合で含むY23安定化ZrO2 材料が、特に有利に用いられるのである。このような特定量のY23にて安定化されたZrO2 材料を用いることによって、繰り返しの測定等によって、加熱と冷却が繰り返された時、ZrO2 のT/M変態により、電極骨格が崩壊して、電極としての機能の低下、ひいては電極の剥離、クラック等の問題の発生を効果的に抑制乃至は阻止して、センサ素子2の耐久性を有利に向上せしめ得るのである。なお、Y23の含有量が4.5mol%未満となると、そのような問題が惹起され易くなるのであり、また、8.5mol%を越える割合において含有せしめられて、ZrO2 がより安定化せしめられても、ZrO2 の強度は低下し、上記と同様な問題が惹起されるようになる。
ところで、この第二の空所12内に配置される測定電極36には、同様に第二の空所12内に配設された補助ポンプ電極34から揮散する金属の如き不活性成分等が付着することを防ぎ、かかる測定電極36の触媒活性(NOx分解/還元能)を有効に保持し得るように、図1や図3に示される如く、かかる測定電極36上に、それを覆うようにして形成された多孔質セラミックス層からなる電極保護層38が、Al23の如きセラミックス材料を用いて、所定厚さにおいて形成されているのである。
そして、ここでは、かかる電極保護層38が、少なくとも測定電極36上においては平坦な上面(表面)を有するように形成されて、図3に示されているように、測定電極36上において水平方向に延びる平坦な上底部38aと、この上底部38aの両端からそれぞれ測定電極36の側方に向かって高さが漸次減少する高さ変化部38b、38bとを有する略台形形状を呈する断面形態において、形成されており、これによって、かかる電極保護層38のクラックや剥離の発生が効果的に抑制乃至は阻止され得たのである。なお、その理由については、未だ充分に解明されてはいないが、恐らく電極保護層38を台形の断面形状とすることによって、測定電極36の両端部において、充分な厚さが確保され得、それによって、電極保護層38の強度が有効に高められ得ることにより、測定電極36を与えるサーメットにおける電極金属の酸化/還元の繰返し等によって応力が生じても、充分な抵抗力を発揮し、そのような測定電極36の両端部付近から発生するクラックを効果的に阻止し得ることとなると考えられている。
なお、かかる電極保護層38にあっては、その台形断面形状における上底部38aの幅(W1 )が測定電極36の幅(W2 )よりも大きくなるように(W1 >W2 )、かかる測定電極36の両端部よりも側方に、それぞれ突出せしめられていることが望ましく、更には、次式:W1 ≧1.1×W2 を満足するように、電極保護層38が形成されていることがより望ましいのである。ここで、測定電極36の幅(W2 )は、測定電極36と固体電解質層4cとの界面(測定電極36の底面)における幅である。このように、電極保護層38が、図1や図3に示される如く、測定電極36の左右の端部より側方に更に延びだして突出せしめられてなる形態とされていることによって、電極保護層38のクラック発生防止や剥離の防止がより一層有利に達成され得るのである。
なかでも、本発明にあっては、電極保護層38は、測定電極36の左右の両端部から、それぞれ80μm離れた側方位置:P1 、P2 において、測定電極36の厚みとその上に位置する電極保護層38の厚みとの和(t2 )に0.9〜1.0を乗じた値となる厚み(t1 =0.9t2 〜1.0t2 )を有していることが、更に望ましく、これによって、本発明の目的は、より一層有利に達成されることとなる。
なお、ここで、電極保護層38の少なくとも測定電極36上に位置する上面は、かかる電極保護層38がスクリーン印刷によって形成されて、焼成せしめられてなるものであるために、水平方向に延びる完全な平坦面として与えられるものではなく、ある程度の凹凸が存在する平面にて与えられるものであるところから、本明細書においては、8μmまでの凹凸の存在は許容し得ることとし、従って、電極保護層38の台形の断面形状においても、そのような凹凸によって8μm以下において高さ(厚さ)が変化する上底部38aは、実質的に平坦なものとして取り扱うこととする。また、電極保護層38における両端部の高さ変化部38b、38b、換言すれば台形形状の斜辺部にあっても、直線的に高さが変化する高さ変化部として構成される他、図3に示される如く、曲線的に高さが変化する高さ変化部として構成することも可能である。
また、かかる例示のセンサ素子2においては、NOx測定電極部構造を構成する測定電極36と電極保護層38とが、第二の空所12内において、固体電解質層4c上に一体的に形成され、更に、その第二の空所12を区画形成する固体電解質層4bにて構成される側壁と接触することなく、かかる側壁との間に所定の空間を介して、換言すれば、その側壁面から離隔した形態において、配置せしめられている。これによって、それら電極保護層38や測定電極36が、固体電解質層4bにて構成される側壁面に接触している場合において惹起される、熱収縮率差に基づくところの問題の発生、具体的には、それら電極保護層38等が、固体電解質層4bの側壁面から剥離して、NOx測定電極部構造に悪影響をもたらす問題が、効果的に回避され得ることとなる。
なお、NOx測定電極部構造を構成する測定電極36や電極保護層38は、それらが設けられる第二の空所12の大きさに応じて、適宜の厚さやサイズにおいて形成されることとなるが、特に、本発明にあっては、測定電極36の厚みとしては、15〜35μmが好適に採用され、また、電極保護層38においては、20〜45μmの厚みが好適に採用され、そして、本発明の所期の効果を有効に達成する上において、それら測定電極36の厚みと電極保護層38の厚みとの和(t2 )が70μm以下となるように構成されることが望ましい。けだし、測定電極36の厚みが薄くなり過ぎると、電極としての機能の低下等が惹起されるからであり、また、その厚みが厚くなり過ぎると、長時間の実車使用において、クラックや剥がれ等が発生し易くなるからである。また、電極保護層38の厚みが薄くなり過ぎると、保護層としての機能の低下を惹起する問題があり、一方、その厚みが厚くなり過ぎると、焼成時にNOx測定電極部構造が一体的に形成される固体電解質層(4c)にクラックが発生する等の問題が惹起される。
また、そのようなNOx測定電極部構造においては、図1や図3に示される如き素子長手方向、換言すれば、内部空所内における被測定ガス乃至は雰囲気の主たる拡散方向(図において左右方向)において、測定電極36の電極幅としては、一般に、0.2〜0.8mmとされ、また、電極保護層38の幅としては、測定電極36の長さ(幅)に200〜600μmを加えたサイズにおいて形成されていることが望ましく、これによって、本発明の目的が、よりよく達成され得ることとなる。
なお、例示のセンサ素子2においては、固体電解質層4cの第二の空所12とは反対側において、基準空気導入通路6内の基準空気に接触せしめられ得るような形態において、基準電極39が設けられ、この基準電極39を用いて、第一の空所10や第二の空所12内の雰囲気中の酸素濃度(分圧)を測定することが可能となっている。特に、測定電極36と固体電解質層4c、4dと基準電極39とを組み合わせて、電気化学的センサセルとしての酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極36の周りの雰囲気中に含まれるNOx成分の還元乃至は分解によって発生した酸素の量と基準空気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することが出来、これによって、被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。なお、ここでは、基準電極39は、シール層としての固体電解質層4d上に設けられ、更に、それを覆うように、空気導入用の多孔質アルミナ層40が設けられており、基準空気導入通路6内の基準空気が、かかる多孔質アルミナ層40を通じて、基準電極39に接触せしめられ得るようになっている。
また、かかるセンサ素子2においては、図1に示されるように、固体電解質層4cの前記内部空所(8、10、12)の配設側とは反対側に複数のセラミックス層、即ち、固体電解質層4d〜4fが積層一体化せしめられており、そして、隣り合う二つの固体電解質層4d及び4eにて上下から挟まれた形態において、外部からの給電によって発熱するヒータ層42が設けられている。このヒータ層42は、センサ素子を構成する固体電解質層4a〜4fにおける酸素イオンの導電性を高めるために、それらを所定の温度に加熱すべく設けられたものであって、ヒータエレメント44を、固体電解質層4d及び4eとの電気的絶縁を得るためのアルミナ等の電気絶縁層にて、上下から挟んだ形態において配設され、更に、そのようなヒータ層42は、そのセンサ素子基部側において、固体電解質層4dを貫通する圧力放散孔45によって、基準空気導入通路6に連通せしめられて、ヒータ層42内の内圧上昇が緩和せしめられ得るようになっている。また、かかるヒータ層42のヒータエレメント44は、固体電解質層4e及び4fを貫通して設けられた、周囲が絶縁されたスルーホール46を通じて、素子表面に取り出され、更に、固体電解質層4fとは絶縁して形成されたコネクタパッド47に導通せしめられるようになっている。
そして、かかるヒータ層42におけるヒータエレメント44は、少なくとも第一の空所10及び第二の空所12を区画する固体電解質層4a〜4c部分を所定の温度に加熱し得るように構成されており、ここでは、図4に示されるように、それら第一及び第二の空所10、12の配設部位付近を加熱せしめる発熱部44aと、この発熱部44aの両端にそれぞれ接続されて、かかる発熱部44aに所定のヒータ電流を通電せしめる電流供給リード44b、44bと、それら発熱部44aと電流供給リード44b、44bの一方(ここでは、通電方向において上流側のもの)との接続部位に接続された抵抗検出リード44cとから構成されている。そして、一方の電流供給リード部44bと抵抗検出リードを用いて検出されるヒータリード抵抗:RL と二つの電球供給リード部44b、44bを用いて得られるヒータ全体抵抗:Raから、下式:
H =Ra−2×RL
に基づいて、ヒータ発熱部44aの抵抗:RH を算出し、このヒータ発熱部抵抗:RH が一定となるように、図示しない制御装置によって、ヒータエレメント44に対する印加電圧を制御せしめるようになっており、これにより、素子温度がより正確に制御せしめ得るようになっている。
そして、このようなNOxセンサ素子2においては、固体電解質層4aと内側及び外側ポンプ電極26及び28とから、電気化学的なポンプセル、即ち主ポンプセル50が構成され、また、第一の空所10内の酸素濃度(分圧)を検出するために、固体電解質層4a〜4dと内側ポンプ電極26と基準電極39とから、電気化学的なセンサセル、即ち主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52が構成されている。なお、そこで、54は、主ポンプセル50を駆動するための可変電源である。
また、第二の空所12内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、固体電解質層4aと外側ポンプ電極28と補助ポンプ電極34とからなる電気化学的なポンプセル、即ち補助ポンプセル56が構成されており、そして第二の空所12内の酸素分圧を検出すべく、固体電解質層4a、4b、4c、4dと補助ポンプ電極34と基準電極39とから、電気化学的なセンサセル、即ち補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル58が構成されている。なお、この補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル58によって電圧制御される可変電源60にて、補助ポンプセル56がポンプ作動させられるようになっていると共に、そのポンプ電流値:Ip1が、前記主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52における起電力:V0の制御に用いられるようになっている。
さらに、測定電極36の周りの雰囲気中における窒素酸化物(NOx)の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量を検出すべく、固体電解質4a、4b、4cと外側ポンプ電極28と測定電極36とから、電気化学的なポンプセル、即ち測定用ポンプセル62が構成され、一方、そのような測定電極36の周りの雰囲気中の酸素分圧を検知する測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル64が、固体電解質層4a、4b、4c、4dと測定電極36と基準電極39とによって、電気化学的なセンサセルとして、構成されている。そして、この測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル64にて検出された起電力:V2に基づき、電圧が制御される可変電源64によって、測定用ポンプセル62がポンプ作動せしめられて、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に対応したポンプ電流値:Ip2が得られるようになっている。
なお、固体電解質4a、4b、4c、4dと外側ポンプ電極28と基準電極39とからも、電気化学的なセンサセル68が構成されており、このセンサセル68によって得られる起電力:Vrefによって、センサ外部の被測定ガス中の酸素分圧(濃度)を検出し得るようになっている。
そして、このような構成の窒素酸化物センサを用いて、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度を検出するに際しては、先ず、外部の被測定ガスが、センサ素子2の先端の目詰まり防止空所14から、第一の隔壁18の上下に設けたスリット形状の第一の拡散律速通路20を通じて、緩衝空所8内に導入された後、更に、第二の隔壁22の上下に設けたスリット状の第二の拡散律速通路24を通じて、第一の空所10内に導き入れられ、そこで、主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52における起電力:V0が一定となるように、可変電源54の電圧を制御して、主ポンプセル50におけるポンプ電流:Ip0が制御される。なお、ここで、第一の空所10内の雰囲気中の酸素分圧は、所定の値、例えば10-7atm程度となるように制御される。
また、第三の隔壁30の上下のスリット状の第三の拡散律速通路32を通じて、第一の空所10から第二の空所12内に導かれた雰囲気は、補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル58にて検知される起電力:V1に基づいて電圧制御される可変電源60からの給電によって、補助ポンプセル56が酸素のポンピング作動を行い、第二の空所12内の雰囲気中の酸素分圧を、窒素酸化物の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御するようになっている。また、この補助ポンプセル56におけるポンピング電流:Ip1は、制御信号として、前記主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52に入力され、その起電力:V0が制御されることにより、第三の拡散律速通路32から補助ポンプ電極34に至る第二の空所12内の雰囲気中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように、制御されている。
さらに、第二の空所12内において、酸素分圧が制御された雰囲気は、電極保護層38を通じて、所定の拡散抵抗の下に、測定電極36に到達するようになるが、その導かれた雰囲気中の窒素酸化物は、測定電極36の周りにおいて、還元乃至は分解されて、酸素を発生する。そして、この発生した酸素が、測定用ポンプセル62によって、ポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル64における起電力:V2が一定となるように、可変電源66の電圧が制御される。ここで、このように測定電極36の周りにおいて発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるところから、測定用ポンプセル62におけるポンプ電流:Ip2を用いて、目的とする被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度が、算出されることとなるのである。
ところで、かくの如き構造のセンサ素子2は、基本的には、積層構造の素子を製造するために従来から採用されている方式を適宜に選択して、製造され得るものであって、例えば固体電解質層4a〜4fを与える未焼成の固体電解質のテープ(グリーンシート)を用いて、それらを順次積層せしめるに際して、所定の電極が設けられる固体電解質層4a、4b、4c等を与えるグリーンシートには、焼成によってサーメット電極を形成する電極ペーストを、所定の部位に印刷し、また、固体電解質層4bや4cを与えるグリーンシートには、目詰まり防止空所14、緩衝空所8、第一の空所10、第二の空所12を形成するための空所や基準空気導入通路6を形成するための空所を、プレス加工等によって形成し、更に、固体電解質層4d、4e、4fには、圧力拡散孔45やスルーホール46のための打抜きが行なわれ、そして、固体電解質層4dと4eを与えるグリーンシート間には、ヒータ層42の形成層を介在せしめた状態において積層一体化し、またその際、第一、第二及び第三の拡散律速通路20、24、32をスリット形状において形成するために、第一第二及び第三の隔壁18、22、30を与えるグリーンシート(4b)の上面及び下面及びそれらに対向する固体電解質層4a、4cを与えるグリーンシート面に、テオブロミン等の焼成によって消失する物質の層を、所定厚さに形成して、調整を行なうことにより、目的とする素子構造のセンサ素子2を得ることが出来る。
そして、そのようなセンサ素子2の製造に際しては、第二の空所12内に、NOx測定電極部構造(36、38)を有利に形成すべく、そのようなNOx測定電極部構造を構成する電極保護層38が、メタルマスクを用いたスクリーン印刷技術によって、測定電極36上に、略台形の断面形状を呈する形態において、有利に形成されることとなるのである。即ち、このメタルマスクを用いたスクリーン印刷技術は、よく知られているように、また図5にも模式的に示されている如く、固体電解質層(4c)を与えるグリーンシート70上に、所定のパターンにおいて、測定電極36を与える電極材料にて構成される測定電極形成層72を設けた後、目的とする電極保護層38の形状に対応するパターンが打ち抜かれてなる薄肉の金属板からなるメタルマスク(金属製版)74を重ね合わせ、その後、電極保護層38を与える印刷用ペーストが、プラスチック・スキージ76等の適当なスキージを用いて、従来と同様な操作に従って、スクリーン印刷され、以て、測定電極形成層72の上に電極保護層形成層78がスクリーン印刷せしめられ、更にその後、グリーンシート70と共に一体焼成されることにより、図3に示される如き略台形形状の断面形態を有する電極保護層38が有利に形成され得るのである。
なお、かかるメタルマスク印刷において、メタルマスク74としては、一般に、50〜100μm程度の厚さを有するSUS等の金属板(箔)が用いられ、また、プラスチック・スキージ76等のスキージにあっても、プラスチック製や金属製の如き硬質スキージが有利に用いられ、更に、電極保護層38を与える印刷ペーストとしては、目的とする電極保護層38の台形断面形状をより一層有効に実現せしめるべく、比較的に高粘度のもの、例えば100〜300Pa・s程度の粘度を有するものが、好適に用いられることとなる。
そして、そのようなメタルマスク印刷に先立って、グリーンシート70上に形成される測定電極形成層72は、公知の各種の手法に従って形成され得るものであるが、それは、一般に、通常のスクリーン印刷技術を適用して、形成されることとなる。また、その際、測定電極形成層72は、メッシュスクリーンを用いた通常のスクリーン印刷技術によって形成される他、上述せる如きメタルマスク印刷手法を採用して、形成することも可能である。
なお、本発明の代表的な実施形態について、詳細に説明してきたが、本発明が、そのような例示の形態のもののみに限定して解釈されるものでないことは、言うまでもないところであり、また本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであることも、言うまでもないところであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
また、以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、また、そのような実施例の記載によっても、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
<実施例1>
先ず、NOx測定電極部構造を設けてなるテストピースを、図6〜図8の如くして、作製した。即ち、図6に示される如く、厚さ:略250μmのZrO2 グリーンシート80に、測定電極(36)を与える電極ペーストを用いて、通常のメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法により、0.5mm×1.25mmの大きさの測定電極形成層82を、約25μmの厚さにおいて、印刷し、乾燥した。なお、電極ペーストは、(Rh/Pt=50/50重量%粉末)/(ZrO2 粉末)=60/40vol%に、有機バインダー、溶剤及び可塑剤を適宜に添加して、調製した。次いで、Al23ペーストを用いて、グリーンシート80上に、電極リード下絶縁層84を通常のメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法により、約13μmの厚みに印刷して、乾燥した後、かかる電極リードした絶縁層84上に電極リード86を、通常のメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法により、約13μmの厚みに印刷して、乾燥せしめた。ここで、かかる電極リード86の形成に用いたペーストは、電極リード86が焼成後に緻密化するように、グリーンシート80と同等か、あるいはそれよりも焼結性の高いZrO2 を用いて、Pt粉末/ZrO2 粉末=60/40vol%に、更に、有機バインダー、溶剤、可塑剤を適宜に添加して、調製したものであった。また、電極リード86上には、電極リード上絶縁層88が、焼成後に緻密な膜となるAl23ペーストにより、通常のメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法により、約13μmの厚みに印刷され、乾燥された。
その後、更に、測定電極形成部82の上に、焼成後多孔質層を与えるAl23ペーストを用いて、メタルマスクを用いたスクリーン印刷手法により、0.9mm×1.75mmの大きさの電極保護層形成部90を、約35μmの厚みにおいて印刷し、乾燥することにより、図7に示される如き断面構造の積層印刷物を得た。
次いで、この得られた積層印刷物に対して、固体電解質層(4b)を与える内部空所相当切欠きを設けてなるグリーンシート92を、重ね合わせ、そして素子寸法に切断した後、大気中において、1300〜1400℃の温度で焼成することにより、目的とするテストピースAを得た。なお、この得られたテストピースAについて、SEMにより断面観察した結果、焼成によって形成された測定電極や電極保護層の厚みは、それぞれ18〜24μm及び24〜31μmとなり、また、測定電極とその上に位置する電極保護層の合計の厚みは、46〜50μmとなった。また、それら測定電極や電極保護層の焼成後の寸法は、図8の左右方向における寸法において、測定電極は約400μmの電極幅を有するものとなり、更に、電極保護層は、その上底部の寸法が約560μm、下底部の寸法が約720μmとなった。
一方、比較のために、通常のメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法により、電極保護層形成用のAl23ペーストを印刷すること以外は、上記と同様にして、積層印刷物を作製し、更に、内部空所形成用のグリーンシート92を積層した後、同様な焼成操作を行なって、比較例としてのテストピースBを得た。なお、この焼成して得られたテストピースBにおける測定電極や電極保護層の厚みは、それぞれ、18〜24μm及び22〜32μmとなり、更に、それら測定電極と電極保護層の合計の厚みは、44〜51μmとなった。また、このテストピースBにおける電極保護層の上面の平坦な部分の長さは、約300μmであった。
そして、このようにして得られたテストピースA及びBについて、SEMにて断面観察し、それぞれの図8(a)に相当するSEM断面写真を、図9及び図10に、それぞれ示した。この図9や図10の断面写真から明らかな如く、テストピースAにおいては、フラットな上底部の長さの長い台形形状の断面を示している(図9)のに対して、テストピースBにあっては、電極保護層の上面が、ドーム形状に湾曲しており、有効な台形形状とはなっていない(図10)ことが、認められる。
次いで、かくして得られたテストピースA、Bについて、その各々を、実験用エンジンベンチ(3.5L/V6ガソリンエンジン)の排気管に取り付け、排気ガスに晒すことにより、耐久評価を行なった。なお、ガソリンエンジンの運転パターンは、ライフサイクルパターンとし、ガス温度を150℃〜600℃の範囲内において、変化させた。そして、20時間毎にテストピースを取り出し、顕微鏡にて、電極保護層にクラックが生じているか、いないかについて、観察した。そして、顕微鏡にてクラックの発生が認められた時間を、故障時間とした。
かかる耐久試験の結果、比較例のテストピースBにおいては、43時間からクラックが発生し始め、100時間で、テストピースの略半数にクラックが発生することを認めた。これに対して、本発明に係るテストピースAにあっては、耐久900時間に至っても、故障(クラック)の発生はなく、テストピースの全数が合格となったところから、その時点で1本のテストピースが故障したとして、その仮想線を描き、テストピースAの寿命を推定した。その結果を示す図11のグラフから明らかな如く、故障率:0.1%に至る時間で比較すると、本発明に係るテストピースAは500時間、比較例に係るテストピースBは33時間となるところから、テストピースAは、テストピースBに対して15倍以上の耐久性能を有していることを、確認した。
<実施例2>
測定電極形成用の電極ペーストを調製するために用いられるZrO2 材料を、Y23の含有量が異なる4種のZrO2 材料に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、各種のテストピース(イ)〜(ニ)を作製した。なお、テストピース(イ)は、Y23を5mol%添加した部分安定化ZrO2 材料を電極ペースト形成用セラミックス材料として用いたものであり、同様に、テストピース(ロ)は、Y23を6mol%添加した部分安定化ZrO2 材料を用いたものであり、またテストピース(ハ)は、Y23を8mol%添加した完全安定化ZrO2 材料を用いたものである。更に、テストピース(ニ)は、Y23を4mol%添加した部分安定化ZrO2 材料を用いたものであって、実施例1におけるテストピース(B)と同様にして、電極保護層がメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷により形成された、比較例に係るものである。なお、それら得られたテストピースのうち、テストピース(イ)〜(ハ)については、実施例1のテストピースAと同様な台形状の断面形態を有していたが、テストピース(ニ)は、テストピースBと同様なドーム形状の断面形態を有するものとなった。
そして、この得られたテストピース(イ)〜(ニ)について、それぞれ、実施例1と同様な耐久試験を行ない、それぞれのテストピースにおける電極保護層にクラックが発生しているか、否かについて、顕微鏡にて観察した。なお、この耐久試験においては、ガス温度が400℃〜800℃の間において変化せしめられた。
かかる耐久試験の結果、比較例に係るテストピース(ニ)は、43時間からクラックが発生し始め、100時間で略半数にクラックが発生したことを認めた。これに対して、本発明に係るテストピース(イ)乃至(ハ)は、何れも、耐久2000時間まで故障(クラックの発生)はなく、その全数が合格したため、その1本が故障した場合の仮想線にて、その寿命を推定し、その結果を、図12に示した。そして、その図12から明らかなように、故障率が0.1%に至る時間で比較すると、本発明に係るテストピース(イ)〜(ハ)は1000時間、比較例に係るテストピース(ニ)は33時間であることから、本発明に係るテストピース(イ)〜(ハ)は、比較例のテストピース(ニ)に対して、30倍以上の耐久性能を有していることが確認された。
<実施例3>
実施例2において調製された4種の測定電極形成用の電極ペーストを用いて、図1に示される構造の各種のNOxセンサ素子を作製した。なお、固体電解質層4a〜4fを形成するために、焼成後の厚みが0.2±0.05mmとなるZrO2 シート(グリーンシート)を用い、その6枚が、従来と同様にして、積層される一方、その第二の空所12内に形成される測定電極36と電極保護層38からなるNOx測定電極部構造は、実施例2のテストピース(イ)〜(ニ)と同様にして形成され、それぞれ対応するNOxセンサ素子(イ)〜(ニ)を得た。従って、NOxセンサ素子(イ)〜(ハ)にあっては、その電極保護層38は、メタルマスクを用いたスクリーン印刷手法にて形成されており、また、NOxセンサ素子(ニ)は、その電極保護層38がメッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法にて形成されたものである。
次いで、この得られたNOxセンサ素子(イ)〜(ニ)を用い、従来と同様に金属部品を組み付けて、それぞれNOxセンサ完成品と為し、それをサンプルセンサとして、エンジン実機を用いた耐久試験にて評価した。
具体的には、それぞれのNOxセンサ素子(イ)〜(ニ)に対応するサンプルセンサ(各水準N=5)を、実験用エンジンベンチ(3.5L/V6ガソリンエンジン)の排気管に取り付け、運転パターン:ライフサイクルパターン、ガス温度:400〜800℃の排気ガスに晒し、そして、100時間毎にサンプルセンサを取り出して、モデルガス評価装置にて、各サンプルセンサのNOx感度を測定した。そして、耐久前の初期感度で、各耐久時間後の感度を割り返して、変化率を算出し、その結果を、図13に示した。
かかる図13の耐久試験結果から明らかな如く、比較例に係るNOxセンサ素子(ニ)を用いた場合にあっては、耐久開始から700時間まで徐々に感度は増加するが、700時間以降は感度は減少に転じ、耐久1200時間後には、感度は−25%にまで減少した。これに対して、本発明に係るNOxセンサ素子(イ)〜(ハ)を用いた場合にあっては、どの水準においても、耐久2100時間まで感度変化率は±3%以内を維持し、比較例のNOxセンサ素子(2)に対して、明らかな優位性を示した。
<実施例4>
実施例2と同様にして、4種類の測定電極形成用の電極ペーストを用いて、メッシュスクリーンを用いたスクリーン印刷手法にて、それぞれ、電極保護層形成部90を形成し、対応する4種のテストピース(1)〜(4)を作製した。なお、テストピース(1)は、電極ペースト構成セラミックス材料に、Y23を5mol%添加した部分安定化ZrO2 材料を用いて得られたものであり、同様に、テストピース(2)は、Y23を6mol%添加した部分安定化ZrO2 材料を用いて得られたものであり、またテストピース(3)は、Y23を8mol%添加した完全安定化ZrO2 材料を用いて得られたものであり、更に、テストピース(4)は、Y23を4mol%添加した部分安定化ZrO2 材料を用いて得られたものである。
そして、この得られた4種のテストピース(1)〜(4)について、それぞれ、実施例2と同様にして、その耐久試験を行ない、その結果を、図14に示した。この図14の結果から明らかなように、比較例に係るテストピース(4)にあっては、43時間からクラックが発生し始め、100時間で略半数にクラックが発生することを認めた。これに対して、本発明に係るテストピース(1)〜(3)にあっては、耐久1500時間までクラックの発生はなく、その全数が合格したところから、図14においては、その1本が故障した場合の仮想線で、その寿命が推定されている。そして、故障率が0.1%に至る時間で比較すると、本発明に係るテストピース(1)〜(3)においては950時間、比較例に係るテストピース(4)においては33時間となるところから、本発明に係るテストピースは、比較例のテストピースに対して、28倍以上の耐久性能を有していることが確認された。
<実施例5>
実施例4と同様な方法において、電極保護層を形成すること以外は、実施例3と同様にして、NOxセンサ素子(1)〜(4)を製造し、そして、それぞれのNOxセンサ素子から得られたサンプルセンサについて、耐久試験を行なった。なお、NOxセンサ素子(1)は、前記テストピース(1)に対応し、また、NOxセンサ素子(2)、(3)及び(4)は、それぞれ、前記テストピース(2)、(3)及び(4)に対応して、製作されたものである。
そして、それら得られた各サンプルセンサについての耐久試験の結果を、図15に示した。この図15の結果から明らかなように、比較例に係るNOxセンサ素子(4)を用いた場合にあっては、耐久開始から700時間まで徐々に感度が増加するが、700時間以降は感度は減少に転じ、耐久1200時間後には、感度は−25%にまで減少したことが認められる。これに対して、本発明に係るNOxセンサ素子(1)〜(3)を用いた場合にあっては、どの水準においても耐久2100時間まで、感度変化率は±3%以内を維持しており、比較例のNOxセンサ素子(4)に対して明らかな優位性を示した。
本発明に従うNOxセンサ素子の一例を示す縦断面説明図である。 図1におけるII−II断面の形態を縮小して示す部分説明図である。 図1に示されるNOxセンサ素子の第二の空所に設けられた測定電極と電極保護層を拡大して模式的に示す、図2におけるIII −III 断面説明図である。 図1に示されるNOxセンサ素子において用いられたヒータエレメントの平面形態を示す説明図である。 本発明に従って、電極保護層を、メタルマスクを用いたスクリーン印刷技術にて形成する工程の一例を示す断面説明図である。 実施例1において作製されるテストピースの製造工程を平面形態において示す工程説明図である。 実施例1において得られた積層印刷物の縦断面(図6におけるVII −VII 断面に相当)を示す拡大部分説明図である。 実施例1において得られたテストピース(焼成前)を示す説明図であって、(a)は、その縦断面拡大部分説明図であり、(b)におけるVIII−VIII断面を示す略図に相当し、(b)はそのようなテストピースの平面説明図である。 実施例1において得られたテストピースAの縦断面を示すSEM断面写真である。 実施例1において得られたテストピースBの縦断面を示すSEM断面写真である。 実施例1において得られた耐久試験結果を示すグラフである。 実施例2において得られた耐久試験結果を示すグラフである。 実施例3において得られた耐久試験結果を示すグラフである。 実施例4において得られた耐久試験結果を示すグラフである。 実施例5において得られた耐久試験結果を示すグラフである。
符号の説明
2 センサ素子 4a〜4f 固体電解質層
6 基準空気導入通路 8 緩衝空所
10 第一の空所 12 第二の空所
14 目詰まり防止空所 16 ガス導入口
18 第一の隔壁 20 第一の拡散律速通路
22 第二の隔壁 24 第二の拡散律速通
26 内側ポンプ電極 26a 天井電極部
26b 低部電極部 26c 側部電極部
28 外側ポンプ電極 29 多孔質保護層
30 第三の隔壁 32 第三の拡散律速通路
34 補助ポンプ電極 36 測定(用)電極
38 電極保護層 38a 上底部
38b 厚さ変化部 39 基準電極
40 多孔質アルミナ層 42 ヒータ層
44 ヒータエレメント 44a 発熱部
44b 電流供給リード部 44c 抵抗検出リード部
45 圧力放散孔 46 スルーホール
47 コネクタパッド 50 主ポンプセル
52 主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル
54、60、66 可変電源 56 補助ポンプセル
58 補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル
62 測定用ポンプセル
64 測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル
68 センサセル
70、80、92 グリーンシート
72、82 測定電極形成層
74 メタルマスク 76 プラスチック・スキージ
78 電極保護層形成層 84 絶縁層
86 電極リード 88 電極リード上絶縁層
90 電極保護層形成部

Claims (19)

  1. 被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように設けられた、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とが、スクリーン印刷によって形成されてなるNOx測定電極部構造において、
    かかる電極保護層を、少なくとも前記測定電極上において水平方向に延びる平坦な上底部と、該上底部の両端からそれぞれ該測定電極の側方に高さが漸次減少する高さ変化部とを有する略台形の断面形状を呈する形態において、形成すると共に、該電極保護層の平坦な上底部を、前記測定電極の幅よりも大きくなるように、該測定電極の両側の端部から更に側方にそれぞれ突出せしめて、該電極保護層を、その台形断面形状の上底部の幅が該測定電極の幅の1.1倍以上となるように、構成し、更に該電極保護層を、該測定電極の両端部よりもそれぞれ80μm離れた側方位置において、該測定電極の厚みとその上の該電極保護層の厚みとの和に0.9〜1.0を乗じた値となる厚みを有するように構成したことを特徴とするNOx測定電極部構造。
  2. 前記測定電極の厚みが15〜35μmであり、且つ該測定電極上に形成される前記電極保護層の厚みが20〜45μmであると共に、それら測定電極の厚みと電極保護層の厚みとの和が、70μm以下となるように構成されている請求項1に記載のNOx測定電極部構造。
  3. 前記電極保護層が、前記測定電極の幅に200〜600μmを加えた大きさにおいて、形成されている請求項1又は請求項2に記載のNOx測定電極部構造。
  4. 前記測定電極を構成するサーメットを与える前記電極金属材料が貴金属であり、且つ該貴金属がPt又はPtとRhとの合金であって、Pt:Rh=100〜40重量%:0〜60重量%の比率を満足するように、PtとRhが用いられている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造。
  5. 前記測定電極を構成するサーメットを与える前記電極金属材料が貴金属であり、且つ該貴金属と前記セラミックス材料との比率(vol%)が65/35〜40/60の範囲内となるように用いられている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造。
  6. 前記測定電極と前記電極保護層とが、固体電解質にて囲まれて形成された空所内の底面上に一体的に形成されていると共に、かかる空所を区画、形成する固体電解質からなる側壁と接触することなく、かかる側壁との間に空間を介して、配置せしめられている請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造を形成する方法にして、前記電極保護層を、前記測定電極上に、メタルマスクを用いたスクリーン印刷技術によって形成する工程を含むことを特徴とするNOx測定電極部構造の形成方法。
  8. 前記請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造が、所定の固体電解質体に設けられて、構成されていることを特徴とする電気化学的セル。
  9. 被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料とセラミックス材料とのサーメットからなる測定電極と、該測定電極上に、それを覆うように設けられた、多孔質セラミックス層からなる電極保護層とから構成されるNOx測定電極部構造を、所定の固体電解質体に形成してなる電気化学的セルを含み、該測定電極にて、該NOx成分を還元乃至は分解せしめると共に、かかるNOx成分の還元乃至は分解により発生する酸素量を測定することによって、前記被測定ガス中の該NOx成分の濃度を求めるNOxセンサ素子にして、
    前記NOx測定電極部構造が、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造にて、構成されていることを特徴とするNOxセンサ素子。
  10. 複数の固体電解質層を積層一体化せしめてなる積層構造を有する、長手の素子形状を呈し、その内部に、素子先端側から素子基部側に向かって、緩衝空所と第一の空所と第二の空所とが、それぞれ別個に配設されていると共に、素子先端側に形成されたガス導入口から、第一の拡散律速手段を通じて、外部の被測定ガスが前記緩衝空所内に導入され、そして該緩衝空所内の雰囲気が、第二の拡散律速手段を通じて前記第一の空所内に導かれ、更に該第一の空所内の雰囲気が、第三の拡散律速手段を通じて前記第二の空所内に導かれるようにした構成のNOxセンサ素子において、前記第二の空所の壁面上に、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のNOx測定電極部構造を一体的に形成してなることを特徴とするNOxセンサ素子。
  11. 前記第一の空所の内外に形成された第一の内側ポンプ電極と第一の外側ポンプ電極を有し、且つ前記緩衝空所から導入された雰囲気中に含まれる酸素を、前記ポンプ電極間に印加される制御電圧に基づいて、ポンピング処理する主ポンプ手段が、配設されている請求項10に記載のNOxセンサ素子。
  12. 前記第一の空所の外側に形成された前記第一の外側ポンプ電極の上に、多孔質セラミックス層が一体的に形成され、該多孔質セラミックス層にて、かかる第一の外側ポンプ電極の全体が覆われている請求項11に記載のNOxセンサ素子。
  13. 前記主ポンプ手段における第一の内側ポンプ電極が、前記第一の空所の天井面に形成された天井電極部と、底面上に形成された底部電極部と、側壁面に形成された、それら天井電極部と底部電極部とを接続する側部電極部とからなる、トンネル型電極構造を有している請求項11又は請求項12に記載のNOxセンサ素子。
  14. 前記第二の空所の内外に形成された一対の補助ポンプ電極を有し、且つ前記第一の空所から導入された雰囲気中に含まれる酸素を、該一対の補助ポンプ電極間に印加される補助ポンプ電圧に基づいて、ポンピング処理する補助ポンプ手段が、設けられている請求項10乃至請求項1の何れか1項に記載のNOxセンサ素子。
  15. 前記第二の空所内に形成、配置された補助ポンプ電極が、該第二の空所の天井面に形成された天井電極部と、底面上に形成された底部電極部と、側壁面に形成された、それら天井電極部と底部電極部とを接続する側部電極部とからなる、トンネル型電極構造を有している請求項1に記載のNOxセンサ素子。
  16. 素子先端に、外方に開口する目詰まり防止空所が形成され、該目詰まり防止空所の開口部が、前記ガス導入口を構成している一方、該目詰まり防止空所と前記緩衝空所との間に、前記第一の拡散律速手段が設けられている請求項10乃至請求項1の何れか1項に記載のNOxセンサ素子。
  17. 前記第一及び第二の拡散律速手段が、それぞれ、10μm以下の間隙を有するスリット形状において、形成されている請求項10乃至請求項1の何れか1項に記載のNOxセンサ素子。
  18. 前記複数の固体電解質層の積層構造内に、素子の電気的な加熱を行なうヒータ層が積層一体化せしめられており、該ヒータ層による加熱によって、少なくとも前記第一の空所及び前記第二の空所を区画する固体電解質層部分が、所定の温度に加熱され得るようになっている請求項10乃至請求項17の何れか1項に記載のNOxセンサ素子。
  19. 前記ヒータ層が、発熱部と、該発熱部に接続された電流供給リードと、それら発熱部と電流供給リードとの接続部位に接続された抵抗検出リードとを有するヒータエレメントを含んで構成され、該抵抗検出リードを用いて検出されるリード抵抗:RL と該電流供給リードを用いて検出されるヒータ全体抵抗:Raとから、次式:
    H=Ra−2×RL
    に従って、前記ヒータエレメントの発熱部の抵抗:RH が一定となるように、該ヒータエレメントに印加される電圧を制御するように構成されている請求項18に記載のNOxセンサ素子。
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